JP4514860B2 - 床吹出し型空調設備 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、室内を冷房又は暖房するために、室内に空調機を設け、床側に設けた吹出し口から調温空気を吹出すようにした空調設備に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の床吹出し型空調設備においては、床下吹出し空調機を床面に設置し、該空調機で処理された調温空気を、空調機吹出し口と略同一面積の狭いダクトを経て床開口に送り、広い二重床内に拡散させて床面に設けた多数の吹出し口から吹出させる形式が多い。このような空調設備においては、二重床の幅に比べてダクトの幅が極めて狭い。この狭いダクトを調温空気が流通するとき、ダクト中の流速が大きいため抵抗が大きく、且つダクトを出たとき該ダクトと二重床内の空間の間で流路の断面積が急変するから大きい乱流が発生し、これらによって騒音が発生したり、空気流に大きい圧力損失が生じ、各吹出し口から出る空気量も不均一になる不都合が生じる。また空調機を床面に設置するため居住空間が狭くなるという問題もある。
【0003】
更に、床吹出し口のみによっては、外気温度の影響を最も受けやすい窓際の温度を、室内中央部と同等にすることは困難である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、床吹出し型空調設備において、調温空気の循環及び分配を良好にすること、居住空間を狭くしないこと、及び室内温度をできるだけ均等にすることを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための手段の一つは、請求項1に記載したとおり、2つの扉と、窓とを備えた被空調室に二重床を設け、前記二重床の床吹出し口から調温空気を吹出して空調する床吹出し型空調設備において、前記被空調室の壁の内側の前記扉間に二重壁を設け、スラブの上に多数の前記床吹出し口をもつ前記二重床を設け、それぞれの前記扉側の床面と前記二重床の床部とを接続するステップを設け、且つ前記窓の下の前記壁の内側に窓下二重壁を設けてその上端に窓下吹出し口を設け、前記二重壁の下部と前記二重床の内部空間を前記ステップ間に形成される空間を介して連続させることにより前記二重壁の下部から前記二重床の入口部に向かって流路が幅広となるように構成し、前記窓下二重壁の下部を前記二重床に連通させ、前記被空調室の天井側に前記空調機を設置し、前記空調機の空気出口側を前記二重壁の内部空間の上部に接続したことを特徴とする。
【0006】
この手段によれば、室内を囲む二重壁と二重床と窓下二重壁の各内部空間には調温空気が流れているので、該内部空間は、室内の温度を維持する防壁の作用をし、且つ外気温度の影響を大きく受け易い窓側に、窓下吹出し口から多量の調温空気が放出されると共に、該調温空気が室内空気を包み込んで窓から伝わる外気温度の影響を少なくするから、室内温度が均一化される。
【0007】
また別の解決手段は、請求項2に記載したとおり、請求項1に記載の床吹出し型空調設備において、前記空調機を動圧回収器を介して前記二重壁の内部空間の上部に接続し、前記動圧回収器の上流側の寸法を前記空調機の出口寸法と一致させ、前記動圧回収器の下流側に向かって流路の断面の高さ及び幅が広がるように構成したことを特徴とする。
【0008】
この手段によれば、空調機の空気出口を出た調温空気は、断面積が無段階で広がる動圧回収器を通るとき、次第に減速して動圧が静圧に変換され、乱流の発生も抑制されるから、二重壁と二重床の内部空間を通る空気の流速と静圧が平均化され、床吹出し口を出る空気量が平均化する。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1、図2において、1は被空調室で、該被空調室1は、建物の内部にあって上下のスラブ2、2と、廊下3aとの仕切り壁3と、該仕切り壁3と反対側の窓下壁4、窓4aによって囲まれている。図中、3b,3cは出入り用の扉、4bはブラインドである。被空調室1の上部には天井5が張設されており、仕切り壁3の内側には、内壁6a,断熱材6b,空間6cからなる二重壁6が設けられ、スラブ2上には、床材7a,断熱材7b,空間7cからなる二重床7が置かれ、扉3b,3c近くにはステップ7dが設けられる。窓下壁4の内側には、内壁8a,断熱材8b,空間8cからなり、窓4aに向けて立ちあげた腰壁状の窓下二重壁8が設けられている。
【0010】
前記空間6c,7c,8cからなる被空調室1の外側空間は、調温空気の流路となるが、本実施の形態では、二重壁6の下部から二重床7の入口部にかけて流路が幅広になり、二重床7の流路は、ステップ7dを経て更に広がっている。
【0011】
そして二重床7の床材7aには多数の床吹出し口9が開けられ、窓下二重壁8の頂部には長手方向に長穴状の窓下吹出し口10が数個設けられている。吹出し口10は、開口幅20〜50mmの線状のものが望ましい。
なお、二重壁6の内壁6aと断熱材6bの有効間隔は75〜200mmの範囲とし、内壁6aとしてサンドイッチパネルのような表面平滑のものを使用することが空間6c内の圧力低下防止と省スペースの点で望ましい。
【0012】
天井5の上方には、天吊り型の空調機11が設置され、該空調機11は、熱交換器11aと送風機11bを備え、熱交換器11aに冷房用又は暖房用の熱媒が送られる。そして天井5に設けた吸込口12から吸入した空気を調温し、動圧回収器13を介して2重壁6内に送る。このようにして被空調室ごとに、中央式でなく個別式の床吹出し空調設備が構成される。
【0013】
図示の動圧回収器13は、縦断面が横長の長方形で、下流側すなわち二重壁6側の断面積が、上流側から下流側に直線的又は曲線的に無段階で広くなる構造をもち、上流側の形状と寸法は、空調機11の出口11cの形状と寸法に略一致するが、下流端部の高さHと横幅Wは、空調機11の出口11cの寸法に比べて大になっている。動圧回収器としては、この他にホッパー又はガイド付きホッパーが例示できる。
【0014】
動圧回収器13は前記の構造であるから、空調機11から出た調温空気は、動圧回収器13内で大きい乱流を発生することなく次第に減速しながら流れ、したがって運動エネルギの損失が少ない状態で動圧が静圧に変換されたのち二重壁6内に流入する。そして該調温空気は、広い二重壁6内の薄い空間6cを流れる間に整流され、空間6cと空間7cのつきつけ部の近辺の二重床7内でも流路面積の変化はそれ程大きくないから、偏流又は乱流の発生は抑制される。したがって、ここに整流板を別途設ける必要はなく、床吹出し口9の設置位置の制約も緩和される。
【0015】
更に該調温空気は、二重床7内の空間7cの内部から窓下二重壁8内の空間8cの内部にわたって流れの乱れが少ない状態で低速で流れるから、各空間内においては、位置が異なっても静圧の差が少なく、各床吹出し口9又は各窓下吹出し口10から、流量に大差がない状態で放出されて室内の空気を調和する。
【0016】
窓4a近くの室内空気は、外気温度の影響を大きく受けるが、窓下吹出し口10を設けたことにより、室内の他の部分に比し多量の調温空気が放出され、且つ該窓下吹出し口10を出た調温空気は、室内の空気を包み込むように流れて、該室内の空気に対して窓から伝わる外気温度の影響を少なくするから、室内空気の温度変化は抑制され、室内は、温度偏差が小さく略均等の温度に保たれる。
【0017】
なお、天吊り型の空調機11として天井隠蔽型のものを例示して説明したが、天井板を張設しない設備においては、もちろん天井露出型を採用でき、空調機としてファンコイルユニット、パッケージ型空調機、エアハンドリングユニットなど各種の空調機が使用できる。
【0018】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなとおり、請求項1の手段によれば、室内を囲む二重壁と二重床と窓下二重壁の各内部空間には調温空気が流れるので、該内部空間が室内の温度を維持する防壁となり、且つ外気温度の影響を大きく受け易い窓側に、窓下吹出し口から多量の調温空気が放出されると共に、該調温空気が室内空気を包み込んで窓から伝わる外気温度の影響を少なくするから、室内温度が一層均一化される効果がある。
【0019】
また請求項2の手段によれば、空調機の空気出口側を、空気通路の断面積が無段階で広がる動圧回収器を介して前記二重壁の内部空間の上部に接続したから、簡単な構成で、調温空気の運動エネルギの損失を少なくすると共に静圧を平均化して調温空気を室内に均等に送ることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態の縦断面図
【図2】 同じく斜め透視図
【符号の説明】
1 被空調室 5 天井 6 二重壁
7 二重床 8 窓下二重壁 9 床吹出し口
10 窓下吹出し口 11 空調機 13 動圧回収器
Claims (2)
- 2つの扉と、窓とを備えた被空調室に二重床を設け、前記二重床の床吹出し口から調温空気を吹出して空調する床吹出し型空調設備において、前記被空調室の壁の内側の前記扉間に二重壁を設け、スラブの上に多数の前記床吹出し口をもつ前記二重床を設け、それぞれの前記扉側の床面と前記二重床の床部とを接続するステップを設け、且つ前記窓の下の前記壁の内側に窓下二重壁を設けてその上端に窓下吹出し口を設け、前記二重壁の下部と前記二重床の内部空間を前記ステップ間に形成される空間を介して連続させることにより前記二重壁の下部から前記二重床の入口部に向かって流路が幅広となるように構成し、前記窓下二重壁の下部を前記二重床に連通させ、前記被空調室の天井側に前記空調機を設置し、前記空調機の空気出口側を前記二重壁の内部空間の上部に接続したことを特徴とする床吹出し型空調設備。
- 前記空調機を動圧回収器を介して前記二重壁の内部空間の上部に接続し、前記動圧回収器の上流側の寸法を前記空調機の出口寸法と一致させ、前記動圧回収器の下流側に向かって流路の断面の高さ及び幅が広がるように構成したことを特徴とする請求項1に記載の床吹出し型空調設備。
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