JPH06159783A - 吹出用チャンバ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 空気調和機の室内機１から送られた空気が送
風ダクト７を通って吹出用チャンバ９から室内へ吹き出
される際に、空気の直進性を増大させ、部屋の遠くまで
空気が到達できるようにする。 【構成】 吹出用チャンバ９の内壁面１３に、空気の吹
き出し方向に沿って板状の突起１５を設けたものであ
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、例えば空気調和機等の
送風ダクトに接続される吹出用チャンバの構造に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】一般に、空気調和機の室内機において、
その吹出口がこの室内機から遠く離れて存在するような
場合に、室内機と吹出口との間を送風ダクトでつなぐこ
とは知られている（例えば、実開昭６１−２０４３５号
公報）。

【０００３】この種のものでは、その送風ダクトは天井
裏に沿って配置されるなどしており、送風ダクトの内部
を送られる空気は、吹出口に設けられた吹出用チャンバ
により方向を直角に変えて導かれ、天井から室内へ吹き
出される。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかし、送風ダクトか
ら吹出用チャンバにつながる部分において、送風ダクト
の断面積は吹出用チャンバの断面積よりも小さいので、
急に断面積が拡大し、空気の流速が不均一となり、風向
の分散化をおこすという問題がある。

【０００５】これによれば、吹出用チャンバから吹き出
された冷風又は温風は、室内の遠くまで到達しにくいと
いう現象が生じる。このため吹出用チャンバの付近だけ
が冷房或いは暖房され、室内全体を早期に、冷房或いは
暖房することが困難になるという問題がある。

【０００６】そこで、本発明の目的は、上述した従来の
技術が有する問題点を解消し、空気の流速の不均一化、
風向の分散化を抑え、冷風又は温風を室内の遠くまで到
達させることができる吹出用チャンバを提供することに
ある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、送風ダクトに接続され送風路が略直角に
形成された吹出用チャンバにおいて、チャンバ内壁面の
うち送風ダクトから吐出された空気がぶつかる壁の内面
に、空気の吹出方向に沿う板状の突起を設けたことを特
徴とするものである。

【０００８】

【作用】本発明によれば、吹出用チャンバ内部で、空気
は板状の突起に沿って流れようとするコアンダ効果を受
け、流速は板状の突起に沿って均一化され、風向が整え
られる。これにより、吹き出された空気のいわば直進性
が増大し、部屋の遠くまで冷風又は温風を到達させるこ
とができる。

【０００９】

【実施例】以下、本発明の一実施例を添付図面を参照し
て説明する。

【００１０】図１に示す本実施例の室内機１は、図示を
省略した室外機につながれ、その室外機には、コンプレ
ッサ、熱交換器など各種機器類が収納されている。ま
た、室内機１には熱交換器（図示せず）、及びシロッコ
ファン２が収納され、室内機１の熱交換器は、室外機の
各種機器類に冷媒管によりつながれ、これらにより冷凍
サイクルが構成されている。

【００１１】室内機１は室内機本体１Ａを有しており、
この室内機本体１Ａには吸込口３が設けられている。ま
た、吹出口５を構成する吹出用チャンバ９は、室内機本
体１Ａから離れた複数の場所に設けられ、室内機本体１
Ａと複数の吹出用チャンバ９との間は、複数の送風ダク
ト７によってつながれている。また、吸込口３、及び吹
出用チャンバ９には、夫々グリル１１が設けられ、吸込
口３のグリル１１の内面にはフィルタが取り付けられて
いる。

【００１２】送風ダクト７は、一般には天井裏に配置さ
れ、吹出用チャンバ９は、吹出口５が室内に向って直角
に、即ち略鉛直方向に向くように、天井に取付けられ
る。このため、チャンバ内壁面のうち空気が直角にぶつ
かる側の内壁面１３は、図２に示すように、曲面が形成
され、空気の流体エネルギを損失しないよう形成されて
いる。

【００１３】しかして、この実施例によれば、この曲面
を形成する内壁面１３に、空気の流れの直進性を増大さ
せるために板状の突起１５が設けられる。

【００１４】この板状の突起１５は、チャンバ内を完全
に分割するものではなく、図３に示すように、反対側の
内壁１７からは離れるように形成されている。即ち寸法
ｌ₁は吹出口の寸法Ｌ₁ の半分以上で１０割未満が望ま
しいと考えられる。半分以下であれば、吹き出された空
気の直進性を増大させる効果が小さく、逆に反対側の内
壁１７に完全に接触するものとすれば、今度は、板状の
突起１５にぶつかり板状の突起１５から外側へ向う流速
を持つ空気が増え、かえって風向を外側に分散してしま
うからである。

【００１５】この板状の突起１５の数は図示のように１
つでもよいが、細長い矩形を有する吹出口５に沿って複
数設けることも可能である。

【００１６】また、板状の突起１５の吹出方向の寸法ｌ
₂ は、図４に示すように、チャンバの上底１９とグリル
１１に設けられた横羽根２１との間の寸法Ｌ₂ に対し、
小さめになっている。即ち、板状の突起１５の吹出方向
の下端は横羽根２１から離れている。これは、前記した
のと同じ理由から、板状の突起１５が長すぎるとかえっ
て風向に分散が生じ、直進性を増大させる効果が薄れる
からである。

【００１７】更に、図４に示すように、内側壁面２３の
端部２３ａは、横羽根２１に可能な限り接近するように
延設されている。このようにすることで、グリル１１が
チャンバ内に露出せず、チャンバ内の空気の流れはチャ
ンバの内側壁面２３に沿って滑らかに流れるようにな
る。これによると、風は端部２３ａによって案内され
て、風の流れの直進性は増大する。

【００１８】以下、本実施例の作用について説明する。

【００１９】室内機１の吸込口３から吸い込まれた室内
の空気は、室内機１の内部で熱交換されて冷風または温
風となった後に、送風ダクト７内を送られる。そして、
吹出用チャンバ９内において曲面を形成する内壁面１３
に沿って直角に導かれる。この時に、空気は板状の突起
１５に沿って流れて、いわゆるコアンダ効果を受ける。
これにより空気の流速は、板状の突起１５に沿った成分
を多く持ち、流速が板状の面に沿って均一化される。

【００２０】従って、風向が吹き出し方向に沿って整え
られ、分散化が抑えられる。よって、空気はいわば直進
性を増大させる。

【００２１】この直進性の増大を示す実験を図５及び図
６に示す。即ち、天井に設けられた吹出用チャンバ９の
２．０ｍ下方に設けられた複数のセンサにより空気の流
速を検出した。センサは、Ａ，Ｂ，Ｃ，Ｄの４つが対称
に配置された。図６に示すように、検出結果は、従来に
比べて流速が増大している。吹き出された空気の中心位
置に配置された４つのセンサが、増大された流速を検出
していることから、中心における流速が大きくなってお
り、吹き出された空気の直進性が増大していることがわ
かる。

【００２２】この吹き出される空気は、グリル１１の横
羽根２１によって、ある程度方向が変えられる。直進性
が増大した空気は部屋の遠くまで到達することができ、
この到達方向を横羽根２１で変え、必要な室内の部位の
冷房或いは暖房を迅速におこなうことができる。

【００２３】なお、以上の実施例においては、板状の突
起１５は曲面を形成する内壁面１３、即ち空気が直角に
ぶつかる側の内壁面にのみ設けたが、他の例として、内
壁面１３に直角な内側壁面２３にも板状の突起１５を設
けることが可能である。即ち、矩形を有する吹出口５が
あまり細長くなく、正方形に近い形状をしているような
場合には、空気流速の不均一化及び風向きの分散化は、
鉛直方向をＺ軸とした場合のＸ軸方向及びＹ軸方向の両
方向に生じる。

【００２４】従って、両方向に板状の突起を設ければ、
両方向に対する空気の直進性を増大させることができ、
冷房又は暖房された空気を、より遠くまで到達させるこ
とが可能となる。

【００２５】

【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
吹出用チャンバの空気は板状の突起に沿って流れようと
し、いわば直進性を増大させるので、室内の遠くまで温
風又は冷風を到達させることができる。これにより室内
全体を迅速に冷房または暖房することが可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示す空気調和機の室内機全
体を示す分解斜視図である。

【図２】図１に示した吹出用チャンバの側面図である。

【図３】図２に示した底面図である。

【図４】図３にグリルを取付けた状態のＡ−Ａ断面図で
ある。

【図５】空気流速検出試験を示すセンサの配置を表わす
もので、（Ａ）は従来例を示す図であり、（Ｂ）は一実
施例を示す図である。

【図６】図５に示した実験による実験結果を示す図であ
る。

【符号の説明】

１ 室内機 ３ 吸込口 ５ 吹出口 ７ 送風ダクト ９ 吹出用チャンバ １１ グリル １５ 板状の突起 ２１ 横羽根

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 送風ダクトに接続され送風路が略直角に
   形成された吹出用チャンバにおいて、チャンバ内壁面の
   うち前記送風ダクトから吐出された空気がぶつかる壁の
   内面に、空気の吹出方向に沿う板状の突起を設けたこと
   を特徴とする吹出用チャンバ。