JP3907968B2 - 車両のルーフモール取付構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、車両のルーフモール取付構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車のルーフには、ルーフパネルとサイドアウタパネルとの間に前後方向に沿う溝部を形成し、その内部に装飾用のルーフモールを取付けた構造のものがある(類似技術として、特開平10−76886号公報参照)。
【0003】
溝部は、左右の壁部が互いに内側に傾斜したインバース構造で、ルーフパネルとサイドアウタパネルの底面部同士が、スポット溶接又はレーザ溶接により接合されている。また、溝部の底面には、防水用のペイントシールも塗布される。レーザ溶接の場合は、レーザ痕が生じるため、特に厚めのペイントシールが溝部の底面全体に施される。
【0004】
ルーフモールは、ゴム等の弾性部材による押出成型品で、溝部の上側に位置する頭部と、頭部の下側で左右の壁部に弾接する一対のメインリップと、溝部の底面に当接する脚部を備えている。頭部は溝部を上から見た場合の意匠面を形成し、メインリップは、溝部内での保持力を発生させると共に左右方向での姿勢を保持する機能を有し、脚部は、溝部内におけるルーフモールの上下位置を規制する。脚部は、ルーフモールから下向きに形成した中実の凸部で、ルーフモールの本体と同じ弾性硬度を有している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の技術にあっては、溝部の底面に当接するルーフモールの脚部が中実構造で、所定の弾性硬度を有しているため、溝部の成形誤差や、ペイントシール塗布層の厚さ誤差などにより、溝部の深さにバラツキが生じた場合には、ルーフモールの上下位置にもバラツキが生じることになり、その結果として、ルーフモールの頭部表面が前後方向で波打ち状態となって、見映えの低下を招く。
【0006】
また、ルーフモールの上下位置にバラツキが生じるということは、溝部がインバース構造をしていることから、メインリップの壁部に対する弾接位置も変化することになり、その位置が幅の狭い上側に変化した場合には、メインリップを窮屈な状態で壁部に弾接させなければならず、その際の余剰反力により、ルーフモールが必要以上に浮き上がってしまうおそれもある。
【0007】
この発明は、このような従来の技術に着目してなされたものであり、溝部の深さにバラツキが生じても、ルーフモールを前後方向にわたって所定の高さ位置に取付けることができる車両のルーフモール取付構造を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、ルーフパネルの左右両端部と、サイドアウタパネルとの間に、左右の壁部が互いに内側に傾斜し且つ底面部同士が接合された溝部を、前後方向に沿って形成し、該溝部内に、溝部の上側に位置する頭部と、頭部の下側で左右の壁部の少なくとも一方に対して弾接するメインリップと、溝部の底面に当接する下向きの脚部とが長手方向に形成されたルーフモールを取付けた車両のルーフモール取付構造であって、前記脚部が、上下方向で弾性変形自在な中空構造であり、前記メインリップの根本部の厚さを、先端部の厚さよりも大きくし、前記メインリップに対応する位置の他方に、サイドアウタパネル側の壁部に当接する下側突起部を形成したことを特徴とする。
【0009】
請求項1記載の発明によれば、メインリップの根本部の厚さを、先端部の厚さよりも大きくしたため、メインリップの壁部への追従性を維持しながら、ルーフモールの保持力を高めることができる。また、脚部を上下方向で弾性変形自在な中空構造にしたため、溝部の深さにバラツキがあっても、そのバラツキを脚部の変形により吸収することができる。従って、ルーフモールを溝部内において、正規の高さ位置に取付けることができ、ルーフモールの頭部表面が前後方向で波打ち状態になることはなく、見映えが良い。また、メインリップも溝部の壁部に対して所定の高さ位置で弾接するため、メインリップが窮屈になって、ルーフモールが必要以上に浮き上がったりすることがない。さらに、頭部の他方を溝部の壁部に対して離間させても、メインリップに対応する位置の他方に、サイドアウタパネル側の壁部に当接する下側突起部が形成されているため、溝部内でのルーフモールの姿勢が安定する。
【0014】
請求項2記載の発明は、頭部の一方に、ルーフパネル上に当接する延長リップを形成した。
【0015】
請求項2記載の発明によれば、頭部の一方に、ルーフパネル上に当接する延長リップを形成したため、延長リップとルーフパネルとの当接により、ルーフモールの溝部内での回転を防止することができると共に、ルーフモールの溝部から露出する頭部の面積が広がり、外観性能が向上する。
【0016】
請求項3記載の発明は、延長リップの先端が、ルーフパネルの表面に密着した先細り断面形状である。
【0017】
請求項3記載の発明によれば、延長リップの先端が、先細り断面形状であるため、洗車時の水圧や、走行時の風圧を受けても、延長リップの先端がめくれることはない。
【0018】
請求項4記載の発明は、頭部の他方に、サイドアウタパネル側の壁部に当接する上側突起部を形成した。
【0019】
請求項4記載の発明によれば、頭部の他方にサイドアウタパネル側の壁部に当接する上側突起部を形成したため、溝部内でのルーフモールの姿勢が安定する。
【0020】
請求項5記載の発明は、ルーフパネルの左右両端部と、サイドアウタパネルとの間に、左右の壁部が互いに内側に傾斜し且つ底面部同士が接合された溝部を、前後方向に沿って形成し、該溝部内に、溝部の上側に位置する頭部と、頭部の下側で左右の壁部の少なくとも一方に対して弾接するメインリップと、溝部の底面に当接する下向きの脚部とが長手方向に形成されたルーフモールを取付けた車両のルーフモール取付構造であって、前記脚部が、上下方向で弾性変形自在な中空構造であり、前記メインリップの根本部の厚さを、先端部の厚さよりも大きくし、前記頭部の一方に、ルーフパネル上に当接する延長リップを形成し、前記頭部の他方を、溝部の壁部に対して離間させたことを特徴とする。
請求項5記載の発明によれば、メインリップの根本部の厚さを、先端部の厚さよりも大きくしたため、メインリップの壁部への追従性を維持しながら、ルーフモールの保持力を高めることができる。また、脚部を上下方向で弾性変形自在な中空構造にしたため、溝部の深さにバラツキがあっても、そのバラツキを脚部の変形により吸収することができる。従って、ルーフモールを溝部内において、正規の高さ位置に取付けることができ、ルーフモールの頭部表面が前後方向で波打ち状態になることはなく、見映えが良い。また、メインリップも溝部の壁部に対して所定の高さ位置で弾接するため、メインリップが窮屈になって、ルーフモールが必要以上に浮き上がったりすることがない。さらに、頭部の他方を溝部の壁部に対して離間させたため、離間した部分を排水用のドリップ溝として利用することができる。
【0021】
請求項6記載の発明は、頭部の他方を、溝部の壁部に対して離間させた。
請求項6記載の発明によれば、頭部の他方を溝部の壁部に対して離間させたため、離間した部分を排水用のドリップ溝として利用することができる。
【0022】
請求項7記載の発明は、メインリップに対応する位置の他方に、サイドアウタパネル側の壁部に当接する下側突起部を形成した。
【0023】
請求項7記載の発明によれば、頭部の他方を溝部の壁部に対して離間させても、メインリップに対応する位置の他方に、サイドアウタパネル側の壁部に当接する下側突起部が形成されているため、溝部内でのルーフモールの姿勢が安定する。
【0024】
請求項8記載の発明は、下側突起部の先端に小リップを形成した。
【0025】
請求項8記載の発明によれば、下側突起部の先端に形成した小リップにより、溝部の幅寸法の誤差を吸収することができるため、ルーフモールの溝部内における安定性を増すことができる。
【0026】
請求項9記載の発明は、脚部を他方側へ変位させた。
【0027】
請求項9記載の発明によれば、頭部の他方を溝部の壁部に対して離間させても、脚部を他方側へ変位させたため、ルーフモールの溝部内における安定性を増すことができる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
【0031】
図1及び図2は、この発明の第1実施形態を示す図である。符号1は、ルーフで、該ルーフ1には、その左右両側に、前後方向に沿う溝部2が形成されている。ルーフ1は、ルーフパネル3と、サイドアウタパネル4との上面により形成されており、前記溝部2は、ルーフパネル3における車幅方向での両端部と、サイドアウタパネル4との間に形成されている。溝部2内では、ルーフパネル3とサイドアウタパネル4とが、ルーフパネル3を上にした状態で互いにスポット溶接され、その端部には、防水のためのペイントシール5が前後方向に沿って施されている。この溝部2は、左右の壁部6、7が内側に傾斜したインバース構造になっていると共に、サイドアウタパネル4側の壁部7の方が高く形成されている。これは、ルーフ1上の水滴がサイドアウタパネル4を越えてドア側に落ちるのを防止するためである。
【0032】
そして、この溝部2内に装飾用のルーフモール16が取付けられている。このルーフモール16は、ゴム等の弾性部材による押出成型品で、長手方向にわたって同一の断面形状を有している。ルーフモール16の中心には、軽量化のための空洞部9が形成され、その上下には形状を安定化させるための丸棒状の芯材10と、板状の芯材11がインサート成形されている。
【0033】
ルーフモール16の上部は、頭部17で、その上面が溝部2内で露出して意匠面を形成している。頭部17の一方にルーフパネル3上に当接する延長リップ18が形成され、他方に壁部7に当接する上側突起部19が形成されている。延長リップ18の先端は、ルーフパネル3の表面に密着する先細り断面形状になっている。従って、洗車時の水圧や、走行時の風圧を受けても、延長リップ18の先端がめくれ上がることはない。
【0034】
ルーフモール16の左右両側の下部には、メインリップ20がそれぞれ形成されている。メインリップ20は、壁部6、7に達する長さよりも十分に長く形成され、壁部6、7に対して上側に撓んだ状態で弾接し、ルーフモール16の溝部2からの抜けを防止する保持力の確保と、溝部2内での姿勢を保持する機能を有すると共にメインリップ20の根本部20aの厚さが先端部よりも大きく形成されている(約2〜4倍が好適)。
【0036】
そして、ルーフモール16の下面には、中空構造の脚部15が下向きに形成され、溝部2の底面に対して弾接した状態になっている。この脚部15は、上下方向で弾性変形自在で、溝部2の深さにバラツキがあっても、そのバラツキを脚部15の変形により吸収することができる。従って、ルーフモール16を溝部2内において正規の高さ位置で取付けることができ、ルーフモール16の頭部17表面が前後方向で波打ちすることがないため、見映えが向上する。また、メインリップ20も壁部6、7に対して所定の高さ位置で弾接するため、メインリップ20が窮屈になって、ルーフモール8が必要以上に浮いたりすることがない。
【0038】
この実施形態によれば、頭部17の一方に延長リップ18を形成したため、延長リップ18とルーフパネル3との当接により、ルーフモール16の溝部2内での回転を防止することができると共に、ルーフモール16の溝部2から露出する頭部17の面積が広がり、外観性能が向上する。
【0039】
また、メインリップ20の根本部20aの厚さを、先端部の厚さよりも大きくしたため、メインリップ20の壁部6、7への追従性を維持しながら、ルーフモール16の保持力を高めることができる。更に、頭部17の他方に壁部7へ当接する上側突起部19を形成したため、延長リップ18からの反力によるルーフモール16の回転を防止し、溝部2内でのルーフモール16の姿勢が安定する。
【0040】
図3は、この発明の第2実施形態を示す図である。この第2実施形態に係るルーフモール21は、第1実施形態の構造を更に変更したもので、頭部22の一方に延長リップ18を形成したまま、他方を壁部7に対して離間させ、壁部7との間に、排水用のドリップ溝Dを形成している。
【0041】
また、サイドアウタパネル4側のメインリップ20は廃止して、その代わりに壁部7に当接する下側突起部23を形成した。更に、脚部24の位置をサイドアウタパネル4側へ変位させた。先の実施形態の「空洞部」と「丸棒状の芯材」は省略し、板状の芯材11だけ設けた。
【0042】
この第2実施形態によれば、頭部22の他方側に大きめのドリップ溝Dを形成したため、ルーフパネル3からルーフモール21上に達した水を確実に排水することができる。また、このように頭部22の他方を壁部7に対して離間させても、他方の壁部7に当接する下側突起部23が形成され、且つ脚部24を他方側へ変位させたため、第1実施形態と同様に、溝部2内でのルーフモール21の姿勢が安定する。その他の構成及び作用効果は先の実施形態と同様に付き、共通部分に同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0043】
図4は、この発明の第3実施形態を示す図である。この第3実施形態は、第2実施形態の下側突起部23の構造を更に変更したもので、下側突起部23の先端に小リップ23aを形成した。このような小リップ23aを形成したことにより、溝部2の幅寸法の誤差を吸収することができ、ルーフモール25の溝部2内における安定性を増すことができる。
【0044】
この小リップ23aの幅方向での長さは、下側突起部23の幅方向での長さよりも小さいことが望ましい。小リップ23aの幅方向での長さをあまり長くし過ぎると、下側突起部23と壁部7との弾接がきつくなり過ぎるからである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の第1実施形態に係るルーフモール取付構造を示すルーフの斜視図。
【図2】 ルーフモールの構造を示す図1中矢示SA−SA線に沿う断面図。
【図3】 この発明の第2実施形態に係るルーフモールを示す断面図。
【図4】 この発明の第3実施形態に係るルーフモールを示す断面図。
【符号の説明】
1 ルーフ
2 溝部
3 ルーフパネル
4 サイドアウタパネル
6、7 壁部
16、21、25 ルーフモール
10、11 心材
17、22 頭部
20 メインリップ
15、24 脚部
18 延長リップ
19 上側突起部
20a 根本部
23 下側突起部
23a 小リップ
D ドリップ溝
Claims (9)
- ルーフパネルの左右両端部と、サイドアウタパネルとの間に、左右の壁部が互いに内側に傾斜し且つ底面部同士が接合された溝部を、前後方向に沿って形成し、
該溝部内に、溝部の上側に位置する頭部と、頭部の下側で左右の壁部の少なくとも一方に対して弾接するメインリップと、溝部の底面に当接する下向きの脚部とが長手方向に形成されたルーフモールを取付けた車両のルーフモール取付構造であって、
前記脚部が、上下方向で弾性変形自在な中空構造であり、
前記メインリップの根本部の厚さを、先端部の厚さよりも大きくし、
前記メインリップに対応する位置の他方に、サイドアウタパネル側の壁部に当接する下側突起部を形成したことを特徴とする車両のルーフモール取付構造。 - 請求項1記載の車両のルーフモール取付構造であって、
前記頭部の一方に、ルーフパネル上に当接する延長リップを形成したことを特徴とする車両のルーフモール取付構造。 - 請求項2記載の車両のルーフモール取付構造であって、
延長リップの先端が、ルーフパネルの表面に密着した先細り断面形状であることを特徴とする車両のルーフモール取付構造。 - 請求項2又は請求項3に記載の車両のルーフモール取付構造であって、
前記頭部の他方に、サイドアウタパネル側の壁部に当接する上側突起部を形成したことを特徴とする車両のルーフモール取付構造。 - ルーフパネルの左右両端部と、サイドアウタパネルとの間に、左右の壁部が互いに内側に傾斜し且つ底面部同士が接合された溝部を、前後方向に沿って形成し、
該溝部内に、溝部の上側に位置する頭部と、頭部の下側で左右の壁部の少なくとも一方に対して弾接するメインリップと、溝部の底面に当接する下向きの脚部とが長手方向に形成されたルーフモールを取付けた車両のルーフモール取付構造であって、
前記脚部が、上下方向で弾性変形自在な中空構造であり、
前記メインリップの根本部の厚さを、先端部の厚さよりも大きくし、
前記頭部の一方に、ルーフパネル上に当接する延長リップを形成し、
前記頭部の他方を、溝部の壁部に対して離間させたことを特徴とする車両のルーフモール取付構造。 - 請求項5に記載の車両のルーフモール取付構造であって、
前記延長リップの先端が、ルーフパネルの表面に密着した先細り断面形状であることを特徴とする車両のルーフモール取付構造。 - 請求項5又は請求項6に記載の車両のルーフモール取付構造であって、
前記メインリップに対応する位置の他方に、サイドアウタパネル側の壁部に当接する下側突起部を形成したことを特徴とする車両のルーフモール取付構造。 - 請求項1,2,3,4,7のいずれか1項に記載の車両のルーフモール取付構造であって、
前記下側突起部の先端に、小リップを形成したことを特徴とする車両のルーフモール取付構造。 - 請求項1〜8のいずれか1項に記載の車両のルーフモール取付構造であって、
前記脚部を、他方側へ変位させたことを特徴とする車両のルーフモール取付構造。
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