JP3877560B2 - 自動工具交換装置 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、マシニングセンタ等の工作機械の主軸と複数の工具を収納した工具マガジンとの間で、工具を自動的に交換する自動工具交換装置に関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来から、一般的に広く採用されているマシニングセンタ等の工作機械の自動工具交換装置として、特開平８−３２３５７５号公報に開示されている形式のものがある。これは、コラム側面に設けられ、周回軌道に沿って工具を収納した複数のポットが所定位置に割り出し可能に周回する工具マガジンと、所定位置に割り出されたポットの工具を一方のグリッパで把持してポットから抜き出し、工具マガジンの周回軌道の外側へ９０°旋回することによって他方のグリッパで主軸に装着された工具を把持し、新旧工具の交換を行う交換アームとで構成されている。交換アームが９０°旋回せず、別に設けたサブアームが９０°旋回してポットを工具マガジンから交換位置まで予め移動させておき、その後交換アームで主軸との間で工具交換を行うタイプもある。いずれのタイプでも、工具マガジン周回軌道の外側へ交換すべき工具又はポットを９０°旋回させる構造をとっている（以上第１の従来技術）。
【０００３】
第２の従来技術として特公平５−８５２９８号公報に開示の自動工具交換装置がある。これはコラム側面に複数のポットを有した円環状の工具マガジンが外周をローラで回転支持されており、工具マガジン中央の空間部で交換アームがいろいろな動作をして主軸との間で工具交換するものである。その交換アームの動作は、工具マガジンの工具の把持、工具のポットからの抜き差し、交換アームの９０°旋回、主軸に装着された工具の把持、工具の主軸からの抜き差し、及び新旧工具の位置の入れ換えのための回転である。交換アームにこのような多種動作を行わせるための機構が工具マガジン近傍に設けられている。
【０００４】
第３の従来技術として、特開２００１−７１２２８号公報に開示の自動工具交換装置がある。これは円形の工具マガジンに、平面的に、工具先端が円の中心を向くよう放射状に工具を配置し、その工具マガジンを加工領域を囲むスプラッシュガードの天井に設け、交換すべき工具を工具マガジンから交換位置まで降ろし、その位置で交換アームにより主軸との間で工具交換するものである。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
第１の従来技術では、工具マガジンの周回軌道の外側へ工具又はポットを９０°旋回させて主軸との間で工具交換を行うため、工具交換動作のための空間が工具マガジンの外部にも必要となり、省スペースに反する問題点がある。
第２の従来技術では、第１の従来技術の問題点はなくなるが、従来技術の説明で述べたように、交換アームが何種類もの動作をしなければならず、交換アームの構造が複雑化、大形化するという問題がある。
第３の従来技術では、第１及び第２の従来技術の問題点はなくなるが、工具を平面内に放射状に配置するため、同一直径の工具マガジンでは、円盤面に垂直に工具を配置する構成に比べ、収納工具本数が少なくなるという問題点がある。
【０００６】
本発明はこうした従来技術の問題を解決することを技術課題としており、周回割り出し可能な複数のポットに工具を収納した工具マガジンと主軸との間で工具の交換を行う自動工具交換装置において、機構の簡単な、コンパクトな自動工具交換装置を提供することを目的とする。
【０００７】
【課題を解決するための手段】
上記目的に鑑み、本発明は、ポットが周回割り出し可能な工具マガジンとし、交換すべきポットを工具マガジンの内側に旋回させて、旋回したポットの工具の軸線と主軸とを平行にし、その旋回したポットの工具と主軸の工具とを交換アームで交換するという構成をとったものである。
すなわち本発明は、工作機械の主軸と工具マガジンとの間で工具を自動的に交換する自動工具交換装置において、工具を収納する複数のポットが着脱可能に保持され、保持されたポットが周回軌道に沿って周回し、所定の位置に割り出し可能に設けられた工具マガジンと、前記工具マガジンの内側に設けられ、所定の位置に割り出されたポットを把持し、把持したポットを前記工具マガジンから内側方向へ取り外し可能で、前記工具マガジンへ内側方向から装着可能にしたポット把持手段と、前記ポット把持手段を前記工具マガジンに保持されたポットの軸線と直交して設けられた旋回軸を中心として旋回させることによって、前記把持したポットを前記工具マガジンから内側方向へ取り外し、取り外したポットの軸線が前記主軸と平行になるように旋回させるポット旋回手段と、前記旋回したポットと工具交換位置に位置決めされた前記主軸との間で工具を把持して工具の交換を行う交換アームとを具備する自動工具交換装置を要旨とする。
【０００８】
本発明は上記のように構成されるので、工具マガジンのポットの周回軌道内側のスペースを工具交換動作のために利用でき、しかもポットの旋回動作だけで交換すべきポットの工具の軸線と主軸とが平行となり、あとは周知のダブルグリッパ方式等の工具交換アームで新旧工具の交換を行え、機構が簡単なコンパクトな自動工具交換装置が得られる。
【０００９】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の好ましい実施形態を説明する。
図１は、本発明の自動工具交換装置を有した工作機械の左側面図、図２は、図１の平面図、図３は、本発明の自動工具交換装置の主要部を示した部分斜視図、図４は、ポットがマガジン本体から旋回した位置に位置決めされた状態を示す部分斜視図、図５は、ポット旋回手段を説明する斜視図である。
【００１０】
マシニングセンタは、ベッド１、ベッド１の後部の上部でＸ軸方向に移動するコラム３、コラム３内を上下のＹ軸方向に移動する主軸頭５、主軸頭５に回転可能に内蔵され、先端に工具を装着する主軸７、ベッド１の前部の上部で主軸７の軸線方向であるＺ軸方向に移動するテーブル９、テーブル９上に着脱可能に載置されるパレット１１、ベッド１の最前部に取り付けられ、交換するパレット１３を載置し、図示しないパレット交換アームでパレット１１と１３とを水平面内の旋回動作で交換するパレット交換装置１５、ベッド１の左側面に取り付けられ、工具１７を収納する複数のポット１９を有する工具マガジン２１及び工具マガジン２１の工具と主軸７の工具とを交換する交換アーム２３を備えた工具交換装置２５で基本的に構成されている。
そしてパレット１１に固定されたワークと主軸７に装着した工具との間でＸ，Ｙ，Ｚ軸の相対移動を与えて、工具交換装置２５によって適宜工具交換を行いワークを加工する。１つのワークが加工されるとパレット交換装置１５によって新しいワークの固定されたパレット１３がテーブル９上に載置され、次の加工が行われる。
【００１１】
次に工具交換装置２５について詳しく説明する。ベッド１の左側面に取り付けられたフレーム２９の４箇所にローラ３１を設け、円環状をしたマガジン本体３３を回転支持する。マガジン本体３３は、ベルト、チェーン、歯車等の適宜手段を用いてモータ３５等のアクチュエータに接続し、回転割り出し可能になっている。
マガジン本体３３の円環内周部には、板ばねでなるポット保持具３７が複数個配置され、ポット１９を着脱可能に保持している。ポット１９は、図示しない周知の保持手段を用いて工具１７を着脱可能に収納している。
【００１２】
所定位置３９に割り出されたポット１９は、フレーム２９に設けられたシリンダ装置４１で挟持され、旋回軸４３を中心としてシリンダ装置４５によって工具マガジン２１の内側へ向って９０°旋回する。その時、ポット１９は板ばねでなるポット保持具３７から強制的に引き抜かれ、工具マガジン２１の内側に設けられたレスト４７に当接して位置決めされる。このとき、ポット１９内の工具の軸線は主軸７と平行となる。
【００１３】
シリンダ装置４１は、図５に示すように、ピストンに連結された可動部材４１ａを進退させてポット１９を挟持部材４１ｂと４１ｃによって挟み込み、キー溝とキーとが係合する等の適宜手段を用いてポット１９が容易に脱落しないように、かつ常に正確な位置に挟持できるように構成されている。シリンダ装置４５は、ピストンロッド４５ａの先端がシリンダ装置４１の底部にピボット結合され、ピストンロッド４５ａがシリンダ装置４５に引き込まれる動作によってポット１９を挟持したシリンダ装置４１全体が旋回軸４３を中心にして９０°旋回する。
【００１４】
一方フレーム２９にはレスト４７に位置決めされたポット１９の工具と工具交換位置に位置決めされた主軸７の工具とを交換する交換アーム２３も設けられている。交換アーム２３は、その両端部に工具を把持するグリッパ４９、４９を有し、図３の矢印５１、５２の方向（主軸の軸線方向）に所定距離進退する運動と、矢印５３、５４の方向に（主軸の軸線と垂直な平面内で）９０°又は１８０°回転する運動が可能である。この機構はカムやシリンダ装置を用いた周知のものなので説明を省略する。交換アーム２３は通常図示のように２つのグリッパ４９、４９が上下にあるような姿勢をとっており、工具交換指令があると（図３参照）、矢印５３の方向に９０°回転して下側のグリッパ４９がレスト４７にあるポット１９の工具を把持し、同時に上側のグリッパ４９が主軸７に装着されている工具を把持できるように交換アーム２３は設けられている。
【００１５】
次に工具交換装置の作用を説明する。工具マガジン２１の各ポット１９には、必要な工具が予め収納されており、主軸７には最初に使用される工具が装着されている。そして次に使用する工具が収納されているポット１９が所定位置３９に割り出される。そしてシリンダ装置４１及び４５によって当該ポット１９が９０°旋回してレスト４７に位置決めされ、待機する。工具交換指令が発せられると交換アーム２３が９０°回転し、グリッパ４９、４９はレスト４７に待機しているポット１９の新工具と主軸７に装着されている旧工具とを同時に把持する。次いで交換アーム２３は矢印５１の方向に進出してポット１９から工具を抜き出すと同時に主軸７から工具を抜き出す。そして交換アーム２３は矢印５３の方向に１８０°回転し、矢印５２の方向に後退し、新工具を主軸７に装着すると同時に旧工具をポット１９に収納する。交換アーム２３は矢印５４の方向に９０°回転し、シリンダ装置４１、４５は９０°旋回し、当該ポット１９を所定位置３９の空いているポット保持具３７に強制的に押し込み、板ばね力でポットを保持させる。シリンダ装置４１がポット１９の挟持を解除した後、モータ３５が回転し、次に使用する工具の収納されたポット１９を所定位置３９に割り出す。その後は上述と同様の順序で工具交換が行われる。
【００１６】
このように工具マガジン２１の内側にポット１９を旋回させる構成にしたため、従来技術１の工具マガジンの位置（図２の破線で示した位置）より大幅に前方へ工具マガジンを設置できる。すると従来、工具マガジンのあった位置（図２の破線で示した位置）に油圧ユニットや油温制御装置などのマシニングセンタに必要な周辺機器が設置でき、マシニングセンタ全体としての設置面積を小さくできる。油圧ユニットや油温制御装置などの周辺機器は、本発明の工具マガジンが設置してあるマシニングセンタの前側に近い場所には、見ばえ等の理由で配置しにくかったものである。
【００１７】
本実施形態では、円環形の工具マガジンを説明したが工具を収納したポットが長円形、楕円形、コーナの丸い多角形等無端の周回軌道に沿って周回する形式の工具マガジンでも同様な構成がとれる。また横形の主軸に限らず立形の主軸を有した工作機械にも適用可能である。その場合、工具マガジンの最上部を所定位置に定め、所定位置のポットを工具マガジンの内側へ旋回させ、旋回後の工具軸線と立形主軸とが平行になるように構成すれば良い。もちろん交換アームも上下方向の進退動作と水平面内の回転動作が行えるように設けるものである。
【００１８】
【発明の効果】
本発明によれば、ポットを把持して周回軌道の内側へ旋回させる機構及び周知の交換アームという簡単かつコンパクトな構造で自動工具交換装置を実現できた。そして工具マガジンの設置位置を従来より大幅に工作機械前側に移動することができ、従来工具マガジンが設置されていた場所に他の周辺機器を設置して工作機械全体としての設置スペースの縮小化が図れた。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の自動工具交換装置を有した工作機械の左側面図である。
【図２】図１の工作機械の平面図である。
【図３】本発明の自動工具交換装置の主要部を示した部分斜視図である。
【図４】ポットがマガジン本体から旋回した位置に位置決めされた状態を示す部分斜視図である。
【図５】ポット旋回手段の斜視図である。
【符号の説明】
１…ベッド
３…コラム
５…主軸頭
７…主軸
９…テーブル
１１，１３…パレット
１５…パレット交換装置
１７…工具
１９…ポット
２１…工具マガジン
２３…交換アーム
２５…工具交換装置
２９…フレーム
３１…ローラ
３３…マガジン本体
３５…モータ
３７…ポット保持具
３９…所定位置
４１…シリンダ装置
４３…旋回軸
４５…シリンダ装置
４７…レスト
４９…グリッパ

Claims (1)

1. 工作機械の主軸（７）と工具マガジン（２１）との間で工具を自動的に交換する自動工具交換装置において、
   工具を収納する複数のポット（１９）が着脱可能に保持され、保持されたポット（１９）が周回軌道に沿って周回し、所定の位置（３９）に割り出し可能に設けられた工具マガジン（２１）と、
   前記工具マガジン（２１）の内側に設けられ、所定の位置（３９）に割り出されたポット（１９）を把持し、把持したポット（１９）を前記工具マガジン（２１）から内側方向へ取り外し可能で、前記工具マガジン（２１）へ内側方向から装着可能にしたポット把持手段（４１）と、
   前記ポット把持手段（４１）を前記工具マガジン（２１）に保持されたポット（１９）の軸線と直交して設けられた旋回軸（４３）を中心として旋回させることによって、前記把持したポット（１９）を前記工具マガジン（２１）から内側方向へ取り外し、取り外したポット（１９）の軸線が前記主軸（７）と平行になるように旋回させるポット旋回手段（４５）と、
   前記旋回したポット（１９）と工具交換位置に位置決めされた前記主軸（７）との間で工具を把持して工具の交換を行う交換アーム（２３）と、
   を具備することを特徴とした自動工具交換装置。

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