JP3871018B2 - 錫−銅合金電気めっき浴及びそれを使用するめっき方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、錫−鉛合金(半田)めっき材料の代替として有効な錫−銅合金電気めっき浴及びめっき方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来、半田付けを必要とする部品、例えばチップ部品、端子部品、プレス部品、水晶発振子、バンプ、コネクター、コネクターピン、リードフレーム、各種フープ材、パッケージのリードピン、ピングリッドアレイ、ボールグリッドアレイ、プリント基板の回路などの電子機器を構成する部品等に対しては、錫めっきや錫−鉛合金めっきを施すことが行われていた。
【0003】
また、プリント基板の製造などにおいて、錫めっきや錫−鉛合金めっき皮膜は、エッチングレジスト用としても広く使用されていた。
【0004】
しかし近年、環境保護問題対策として鉛の使用規制が強まり、錫−鉛合金めっき材料の代替として、錫めっき浴や鉛フリー半田(合金金属中の鉛含有率が0.01重量%以下である錫合金)のめっき浴が望まれるようになった。この場合、錫めっきでは、半田付け性の劣化や錫めっき皮膜にひげ状結晶であるウイスカー発生の問題があり、対処できない。
【0005】
従って、錫を含む合金めっきの開発が種々行われており、これまでに錫−ビスマス合金めっきや錫−銀合金めっきが開発されてきた。しかし、錫−ビスマス合金めっきは、優れた半田濡れ性をするものの、めっき処理した電子部品の加工時やプリント基板への実装時にひび割れ(クラック)や界面剥離などのビスマスに起因する不良が発生することがあった。更に、錫陽極や錫ビスマス合金陽極を無通電時にめっき浴に浸漬したままの場合、錫陽極や錫ビスマス合金陽極の表面にビスマスが置換析出するので、めっき浴中の金属イオン濃度のバランスが崩れると共に金属イオンの安定供給が難しくなる。そのような使用法が中心となるラックめっき法やバレルめっき法では、従来の錫めっきや錫鉛合金めっきに近い水準の低コストでの実用化が極めて困難となり、高速めっき法においても細心のめっき浴管理が必要なので、ランニングコストが従来の錫めっき、錫鉛合金めっきに比べて大幅に増えるなどの不利益が大きい。次に、錫銀合金めっきは、熱疲労特性などの半田材料としての諸特性が最も優れたもののひとつとされ、ビスマスのようなクラックや界面剥離の懸念はかなり少ない。しかし、均一で安定しためっき皮膜を得るためのめっき浴管理技術が非常に難しい。また、含有するAgが比較的高価格なので、めっき浴管理の難しさと共にかなり高コストのめっきとならざるを得ない。加えて、錫ビスマス合金めっきと同じく、無通電時に錫陽極や錫銀合金陽極の表面に銀が置換析出するので、ラックめっき法やバレルめっき法は実用化が難しく。高速めっき法でも大幅なランニングコスト増加を避けることができなかった。
【0006】
一方、この錫−銅合金めっき浴としては、従来から銅が50重量%以上含まれる銅−錫合金めっきが知られており、そのめっき浴はシアン化アルカリ或いはピロリン酸アルカリを錯化剤として用いた強アルカリ性浴(特開平8−27590号公報等)、又は硫酸ベースで錯化剤を使用しない単純浴が開発されてきた。しかし、電子部品やプリント基板に使用されている錫めっき、錫−鉛合金めっきに代わる半田代替めっき、薄膜としては銅が0.01〜10重量%の錫−銅合金めっきが必要であるが、そのような錫−銅合金組成を析出させることは実現されていない。
【0007】
更に、錫−銅合金めっき浴中の1価又は2価の銅イオンが安定に錯体形成されていないため、無通電時に陽極表面の錫が溶出し、銅が析出する置換反応が起こり、更に1価又は2価の銅化合物の沈殿が発生し易くなり、めっき浴管理が難しかった。これに加えて、錫化合物の沈殿も発生し易く、浴の安定性が悪く、長期使用ができなかった。即ち、めっき浴中で1価又は2価の銅イオンが2価の錫イオンより電位が高いので、錫又は錫−銅合金陽極表面や既に錫−銅合金めっきが施された被めっき物表面に銅が置換析出し易い。そのため、めっき浴中の銅イオン濃度が低下し易く、めっき浴管理が困難であった。また、被めっき物のめっき皮膜に変色、半田濡れ性劣化、密着性不良、皮膜中Sn/Cu比率の大幅な変動等の不具合が発生し易い。更に、めっき浴中の2価の錫イオンと反応して錫化合物の沈殿等が発生し易いので、浴安定性が悪く、長期使用できなかった。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、めっき浴中の1価の銅イオンを安定に錯体形成させると共に、2価の錫イオンより電位を低くし、銅の置換析出反応及び錫化合物や銅化合物の沈殿を抑制することで、浴の管理を容易にでき、より浴安定性が高く、ひいては錫−鉛合金めっきの代替として、半田付けの必要な各種部品に対して良好な半田付け性を与え、或いはエッチングレジスト用として有効な錫−銅合金めっき皮膜を形成し得る錫−銅合金電気めっき浴及びそれを使用するめっき方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】
本発明は、上記目的を達成するため、少なくとも水溶性錫塩と、水溶性銅塩と、無機酸及び有機酸並びにそれらの水溶性塩から選ばれる1種又は2種以上を含有する錫−銅合金電気めっき浴において、チオ尿素又はその誘導体1〜200g/Lと、(A)2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾールのシクロヘキシルアミン塩、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩もしくはアンモニウム塩、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾールのシクロヘキシルアミン塩、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩もしくはアンモニウム塩、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾールのシクロヘキシルアミン塩、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩もしくはアンモニウム塩、3−(2−ベンゾチアジルチオ)プロピオン酸、2−メルカプト安息香酸、2−メルカプトエチルアミン、メルカプトフェノール、メルカプトピリジンの中から選ばれる1種又は2種以上0.001〜20g/Lと、非イオン界面活性剤とを含有し、pHが10以下であることを特徴とする錫−銅合金電気めっき浴、及びこれを用いためっき方法を提供する。
【0010】
本発明の錫−銅合金電気めっき浴は、めっき浴中の1価の銅イオンを安定に錯体形成すると共に、2価の錫イオンより電位を低くし、錫化合物や銅化合物の沈殿を抑制することで、より浴の安定性を高くでき、また、錫、錫−銅合金等の可溶性陽極やめっき皮膜への銅の置換析出も起こらず、銅の優先析出が生じないものであり、作業上有利である。即ち、チオ尿素又はその誘導体、(A)2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾールのシクロヘキシルアミン塩、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩もしくはアンモニウム塩、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾールのシクロヘキシルアミン塩、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩もしくはアンモニウム塩、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾールのシクロヘキシルアミン塩、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩もしくはアンモニウム塩、3−(2−ベンゾチアジルチオ)プロピオン酸、2−メルカプト安息香酸、2−メルカプトエチルアミン、メルカプトフェノール、メルカプトピリジンの中から選ばれる1種又は2種以上、及び非イオン界面活性剤、特にポリオキシエチレンアルキルエーテル型非イオン界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル型非イオン界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルアミノエーテル型非イオン界面活性剤の中から選ばれる1種又は2種以上を含有することで、2価の錫イオンと1価の銅イオンを酸性〜アルカリ性下でめっき浴中で濁りや沈殿を発生させずに確実かつ安定に錯体化させることができる。
【0011】
この場合、まず、チオ尿素又はその誘導体は、めっき浴中に加えられた2価の銅イオンを1価の銅イオンに還元すると共に、めっき浴中で1価の銅イオンが安定に錯体化するのに寄与する。次に、(A)成分は、チオ尿素又はその誘導体との相乗効果で1価の銅イオンを安定に錯体化する。なお、チオ尿素又はその誘導体と(A)成分だけでなく、それら以外のチオール化合物又はチオアミド化合物を併用することによって、めっき浴の安定性が一層向上する場合がある。また、非イオン界面活性剤、特にポリオキシエチレンアルキルエーテル型非イオン界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル型非イオン界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルアミノエーテル型非イオン界面活性剤は、上記(A)成分をめっき浴中に安定に溶解、分散させて、1価の銅イオンを錯体化する能力を有効に活用できるようにする。加えて、1価の銅イオンを2価の錫イオンより低電位にシフトさせ、錫又は錫−銅合金陽極及び錫−銅合金めっきが施された被めっき物への1価の銅イオン置換析出反応を起こさないようにするものである。なお、(A)成分を溶解させるのに従来はメタノール、エタノール、2−プロパノール等のモノアルコールを使用していたが、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等のグリコール類を用いた方が沈殿の発生がなく、めっき浴の安定性が一層向上する。加えて、1価の銅イオンを2価の錫イオンより低電位にシフトさせ、錫又は錫−銅合金陽極及び錫−銅合金めっきが施された被めっき物への1価の銅イオン置換析出反応を起こさないようにすることができる。
【0012】
このように、上記の錫ビスマス合金めっきや錫銀合金めっきの不利益を解決するために、錫銅合金めっきを検討開発し、半田濡れ性に優れ、クラックや界面剥離の懸念を従来以上になくし、半田材料としての諸物性も優れ、無通電時に錫陽極や錫銅合金陽極表面の銅の置換析出が起こらない、錫鉛合金めっき代替の錫合金めっきでは従来考えられなかった画期的なめっき浴を開発することができたものである。
【0013】
本発明の錫−銅合金電気めっき浴は、半田付け用或いはエッチングレジスト用の錫めっきや錫−鉛合金めっきの代替として、鉛フリー半田めっきを必要とするチップ部品、端子部品、プレス部品、水晶発振子、バンプ、コネクター、コネクターピン、リードフレーム、各種フープ材、パッケージのリードピン、ピングリッドアレイ、ボールグリッドアレイ、プリント基板の回路などの電子機器等を構成するあらゆる部品に対して適用することができる。
【0014】
また、この錫−銅合金めっき浴は、陰極電流密度範囲が広く、バレル、ラック、ラックレス(噴流、フロー等の高速めっき)などの各めっき方法により良好な錫−銅合金めっき皮膜を得ることができ、また、セラミック、鉛ガラス、プラスチック、フェライト等の絶縁性材料を複合化した電子部品の該絶縁性材料に侵食、変形、変質等を生じさせることなく錫−銅合金めっきを行うことができ、しかも錫、錫−銅合金等の可溶性陽極やめっき皮膜への銅の置換析出も起こらず、銅の優先析出が生じないものであり、作業上有利である。
【0015】
以下、本発明につき更に詳しく説明する。
本発明の錫−銅合金電気めっき浴は、少なくとも水溶性錫塩と、水溶性銅塩と、無機酸及び有機酸並びにそれらの水溶性塩を含有する錫−銅合金電気めっき浴において、チオ尿素又はその誘導体と、(A)2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾールのシクロヘキシルアミン塩、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩もしくはアンモニウム塩、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾールのシクロヘキシルアミン塩、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩もしくはアンモニウム塩、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾールのシクロヘキシルアミン塩、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩もしくはアンモニウム塩、3−(2−ベンゾチアジルチオ)プロピオン酸、2−メルカプト安息香酸、2−メルカプトエチルアミン、メルカプトフェノール、メルカプトピリジンの中から選ばれる1種又は2種以上と、非イオン界面活性剤とを含有する。
【0016】
ここで、錫塩としては第1錫塩と第2錫塩があり、第1錫塩(錫塩(II))としては、メタンスルホン酸第1錫等の有機スルホン酸錫(II)、硫酸錫(II)、塩化錫(II)、臭化錫(II)、ヨウ化錫(II)、酸化錫(II)、リン酸錫(II)、ピロリン酸錫(II)、酢酸錫(II)、クエン酸錫(II)、グルコン酸錫(II)、酒石酸錫(II)、乳酸錫(II)、コハク酸錫(II)、スルファミン酸錫(II)、イセチオン酸錫(II)、ホウフッ化錫(II)、ギ酸錫(II)、ケイフッ化錫(II)等が挙げられ、第2錫塩(錫塩(IV))としては、錫酸ナトリウム、錫酸カリウム等が挙げられる。
【0017】
また、銅塩としては、第1銅塩と第2銅塩があり、第1銅塩(銅塩(I))としては、酸化銅(I)、シアン化銅(I)、塩化銅(I)、臭化銅(I)、ヨウ化銅(I)、チオシアン酸銅(I)等が挙げられ、第2銅塩(銅塩(II))としては、メタンスルホン酸銅(II)等の有機スルホン酸銅(II)、硫酸銅(II)、塩化銅(II)、臭化銅(II)、ヨウ化銅(II)、酸化銅(II)、リン酸銅(II)、ピロリン酸銅(II)、酢酸銅(II)、クエン酸銅(II)、グルコン酸銅(II)、酒石酸銅(II)、乳酸銅(II)、コハク酸銅(II)、スルファミン酸銅(II)、イセチオン酸銅(II)、ホウフッ化銅(II)、ギ酸銅(II)、ケイフッ化銅(II)等が挙げられる。
【0018】
特に銅塩として、1価の銅イオンである第1銅塩(銅塩(I))を用いることによってめっき浴の安定性が向上し、濁りや沈殿が発生しにくくなる。これは銅塩を2価の銅イオンである第2銅塩(銅塩(II))で加えた場合、めっき浴中の成分であるチオ尿素又はその誘導体、更には2価の錫イオンの複合的な作用によって2価の銅イオンが1価の銅イオンに還元されるが、その還元に消費されたチオ尿素又はその誘導体、2価の錫イオンの酸化反応生成物が原因となってめっき浴に濁りや沈殿が発生する場合がある。特にめっき浴中の銅イオン濃度が高くなった場合にそれらが発生し易くなる。これに対し、銅塩として、第2銅塩(銅塩(II))よりも第1銅塩(銅塩(I))を用いることによって、めっき浴中に濁りや沈殿生成の原因となるチオ尿素又はその誘導体或いは2価の錫イオンの酸化反応生成物を形成することがないので、めっき浴中の濁りや沈殿が発生するおそれが大幅になくなり、めっき浴の安定性を大幅に向上させることができる。
【0019】
この場合、錫塩のめっき浴中での含有量は、錫として1〜99g/L、特に5〜59g/Lであり、また銅塩の含有量は、銅として0.001〜99g/L、特に0.01〜54g/Lであることが好ましいが、銅が0.01〜30%(重量%、以下同じ)の錫−銅合金めっき皮膜を得る場合は、錫塩の含有量は錫として1〜99g/L、特に5〜59g/L、銅塩の含有量は銅として0.001〜30g/L、特に0.01〜18g/Lとすることが好ましい。
【0020】
次に、チオ尿素又はその誘導体としては、チオ尿素、ジメチルチオ尿素、ジエチルチオ尿素、トリメチルチオ尿素、N,N−ジイソプロピルチオ尿素、アセチルチオ尿素、アリルチオ尿素、エチレンチオ尿素、1,3−ジフェニルチオ尿素、二酸化チオ尿素、チオセミカルバジド、テトラメチルチオ尿素、1−アセチル−2−チオ尿素、sym.−ジ−o−トリルチオ尿素、sym.−ジ−p−トリルチオ尿素、1,3−ビス(ヒドロキシメチル)チオ尿素、1−フェニル−3−(2−チアゾリル)−2−チオ尿素、塩酸ベンジルイソチオ尿素、2−マロニルチオ尿素、S−メチルイソチオ尿素硫酸塩、N,N’−ジフェニルチオ尿素、N,N’−ジエチルチオ尿素、1−ナフチルチオ尿素、1,3−ビス(ジメチルアミノプロピル)−2−チオ尿素、トリブチルチオ尿素、N,N’−ジ−n−ブチルチオ尿素、1−アリル−2−チオ尿素、4−フェニル−3−チオセミカルバジド又はそれらの水溶性塩(例えばアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アルカリ土類金属塩など)が挙げられる。
【0021】
チオ尿素又はその誘導体はめっき浴中の2価の錫イオン(第1錫イオン)の酸化を防止し、2価の銅イオンを1価の銅イオンヘ還元し、1価の銅イオンを安定に錯体形成するもの(錯化剤)として添加される。ここで、炭素数が1〜5のチオ尿素化合物又はその誘導体は、容易に水に溶解させることができ、アルコールや有機溶剤等を使用しなくてもよいため、不純物がめっき浴中に混入するおそれがない。また、特にチオ尿素又はその誘導体は、浴を安定なものとする。これら成分のめっき浴中の含有量は1〜200g/L、特に5〜100g/Lとすることが好ましい。少なすぎるとその添加効果が十分に発揮されない場合があり、多すぎると析出するめっき皮膜の結晶の微細化を阻害する場合がある。
【0022】
また、本発明のめっき浴には、(A)成分として2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾールのシクロヘキシルアミン塩、アルカリ金属塩(ナトリウム、カリウム、リチウム塩)、アルカリ土類金属塩(マグネシウム、カルシウム、バリウム塩等)もしくはアンモニウム塩、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾールのシクロヘキシルアミン塩、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩もしくはアンモニウム塩、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾールのシクロヘキシルアミン塩、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩もしくはアンモニウム塩、3−(2−ベンゾチアジルチオ)プロピオン酸、2−メルカプト安息香酸、2−メルカプトエチルアミン、メルカプトフェノール、メルカプトピリジン等の中から選ばれる1種又は2種以上が含まれる。
【0023】
これら成分はめっき浴中でめっき皮膜表面の平滑剤、2価の錫イオンと1価の銅イオンの酸化防止剤とめっき浴中での安定な錯体形成に寄与するものとして添加され、めっき浴中の配合量は、0.001〜20g/L、特に0.001〜5g/Lとすることが好ましい。少なすぎると1価の銅イオンを安定に錯体形成できず、浴の安定性が悪くなり、ヤケやコゲが発生し易くなり、高電流密度でめっきを行う場合にはめっき皮膜表面の平滑性が悪くなるおそれが生じる。また、多すぎるとめっき浴中での溶解度を超えてしまい、めっき浴が不安定になり、濁りや沈澱を発生する場合が生じる。
【0024】
上記チオ尿素又はその誘導体のみを含有する錫−銅合金電気めっき浴では、多量のチオ尿素又はその誘導体が必要であるだけでなく、1価の銅イオンが安定に錯体形成されないため、濁りや沈殿を発生してしまう場合が生じる。しかし、上記チオ尿素又はその誘導体に加え、(A)成分を配合することにより、1価の銅イオンをより安定に錯体形成することが可能となり、より浴安定性を高め、長期使用が可能となり、無通電時に錫、錫−銅合金等の可溶性陽極やめっき皮膜への銅の置換析出も起こらず、銅の優先析出が生じなくなる。
【0025】
本発明のめっき浴には、チオ尿素又はその誘導体と、(A)成分に加え、それら以外のチオール化合物(メルカプタン化合物)又はその誘導体を更に添加し、併用してもよい。チオール化合物としては、具体的には、L−シスチン、L−システイン、チオ乳酸、チオグリコール酸、チオリンゴ酸、チオ安息香酸等が挙げられ、めっき浴中の配合量は、0〜20g/L、好ましくは0.0001〜20g/L、特に0.001〜5g/Lとすることが好ましい。その配合量の過不足は(A)成分と同じである。
【0026】
更に、本発明のめっき浴には、非イオン界面活性剤が配合される。この非イオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル型界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル型界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルアミノエーテル型界面活性剤の中から選ばれる1種又は2種以上が含まれることが好適である。特に、めっき浴がpH<1未満の場合には特にそれらの中では制限されるものはないが、めっき浴がpH1〜10の場合は、非イオン界面活性剤であっても、アミノ基などのカチオン性を有する官能基がないと、めっき浴に塩析が発生し易くなるので、ポリオキシエチレンアルキルアミノエーテル型界面活性剤が特に好適である。
【0027】
ポリオキシエチレンアルキルエーテル型界面活性剤では、ポリオキシエチレンデシルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンヤシアルコールエーテル、ポリオキシエチレン−2−エチルヘキシルエーテル、ポリオキシエチレン合成アルコールエーテル、ポリオキシエチレンセカンダリーアルコールエーテル、ポリオキシエチレントリデシルエーテル等が好適である。また、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル型非イオン界面活性剤では、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンクミルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン多核フェニルエーテル、ポリオキシエチレン−β−ナフトールエーテル、ポリオキシエチレンビスフェノール−A−エーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル、ノニルフェノールノボラックEO付加物等が好適である。更に、ポリオキシエチレンアルキルアミノエーテル型非イオン界面活性剤では、ポリオキシエチレンラウリルアミノエーテル、ポリオキシエチレン牛脂アミノエーテル、ポリオキシエチレンオレイルアミノエーテル、ポリオキシエチレンステアリルアミノエーテル、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−N−シクロヘキシルアミンのEO付加物等が好適である。以上に挙げた非イオン界面活性剤は単独で使用するだけでなく、これらの中から選ばれた2種以上を含有するように配合することもできる。
【0028】
この非イオン界面活性剤はめっき皮膜表面を平滑緻密化させ、析出合金組成を均一化する。また、めっき浴中の1価の銅イオンが2価の銅イオンに酸化するのを防止し、めっき浴中で安定な錯体を形成するのに寄与するために添加される上記(A)成分は、それ単独ではめっき浴中に溶解、分散しにくい性質を持っているが、該非イオン界面活性剤は、(A)成分のめっき浴中への溶解を促進し、めっき浴中に安定に分散させるものとして作用するため、これにより前記チオ尿素又はその誘導体、(A)成分、非イオン界面活性剤、特にポリオキシエチレンアルキルエーテル型、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル型、又はポリオキシエチレンアルキルアミノエーテル型非イオン界面活性剤をめっき浴中に含むことで、1価の銅イオンを確実かつ安定に錯体化させることができるようになる。
【0029】
この非イオン界面活性剤の配合量は、めっき浴中0.01〜50g/L、特に2〜10g/Lであることが好ましく、少なすぎると高電流密度でヤケやコゲが発生する場合や、(A)成分の溶解が促進されず、1価の銅イオンを安定に錯体化できずに浴が不安定になる場合があり、多すぎるとめっき皮膜が黒っぽくなったり、色ムラが発生するなどの不利を生じる場合があり、また、めっき浴中での溶解度を超えて塩析する場合が生じる。
【0030】
本発明のめっき浴には、無機酸及び有機酸並びにそれらの水溶性塩の1種又は2種以上が含有されているが、それら成分はカルボン酸、ラクトン化合物、縮合リン酸及びホスホン酸並びにそれらの水溶性塩から選ばれる1種又は2種以上とそれ以外の無機酸及び有機酸並びにそれらの水溶性塩から選ばれる1種又は2種以上とを添加することが好ましい。
【0031】
この場合、カルボン酸、ラクトン化合物、縮合リン酸及びホスホン酸並びにそれらの水溶性塩は、ギ酸、乳酸、プロピオン酸、酪酸、グルコン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、トリカルバル酸、フェニル酢酸、安息香酸、アニス酸、イミノ二酢酸、ニトリロ三酢酸(NTA)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸、グルコノラクトン、グルコノヘプトノラクトン、ピロリン酸、トリポリリン酸、テトラポリリン酸、ポリリン酸、ヘキサメタリン酸、アミノトリメチレンホスホン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸又はそれらのアルカリ金属塩(ナトリウム、カリウム、リチウム塩)、アルカリ土類金属塩(マグネシウム、カルシウム、バリウム塩等)、2価の錫塩、4価の錫塩、アンモニウム塩もしくは有機アミン塩(モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、イソプロピルアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン等)が挙げられるが、特にクエン酸、酒石酸、コハク酸、グルコン酸、リンゴ酸、EDTA、NTA、マロン酸及びそれらの水溶性塩が好ましい。
【0032】
これらのカルボン酸、ラクトン化合物、縮合リン酸及びホスホン酸並びにそれらの水溶性塩は、その1種又は2種以上を使用することができ、そのめっき浴中の含有量は50g/L以上、特に100g/L以上が好ましく、また600g/L以下、より好ましくは500g/L以下、更に好ましくは400g/L、最も好ましくは300g/L以下であることが好ましい。少なすぎると、めっき浴の安定性が悪くなり、沈殿物が発生し易くなる傾向となる。また、上記の量を超えて配合してもそれ以上の効果はなく、界面活性剤が塩析するおそれがある。
【0033】
本発明には、上記カルボン酸、ラクトン化合物、縮合リン酸及びホスホン酸並びにそれらの水溶性塩に加えて、又は場合によってはこれらに代えて、導電性塩としてそれ以外の無機酸、有機酸又はそれらの水溶性塩、具体的には、硫酸、塩酸、硝酸、フッ化水素酸、ホウフッ化水素酸、スルファミン酸、酢酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、イセチオン酸、プロパンスルホン酸、2−プロパンスルホン酸、ブタンスルホン酸、2−ブタンスルホン酸、ペンタンスルホン酸、クロロプロパンスルホン酸、2−ヒドロキシエタン−1−スルホン酸、2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、2−ヒドロキシブタン−1−スルホン酸、2−ヒドロキシペンタンスルホン酸、アリルスルホン酸、2−スルホ酢酸、2−スルホプロピオン酸、3−スルホプロピオン酸、スルホコハク酸、スルホマレイン酸、スルホフマル酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、ニトロベンゼンスルホン酸、スルホ安息香酸、スルホサリチル酸、ベンズアルデヒド酸、p−フェノールスルホン酸又はそれらのアルカリ金属塩(ナトリウム、カリウム、リチウム塩等)、アルカリ土類金属塩(マグネシウム、カルシウム、バリウム塩等)、2価の錫塩、4価の錫塩、アンモニウム塩もしくは有機アミン塩(モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、イソプロピルアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン等)から選ばれる1種又は2種以上を配合することが好ましい。
【0034】
かかる無機酸及び有機酸としては、特に酢酸、硫酸、塩酸、硝酸が好ましく、また塩としては、カリウム塩、ナトリウム塩、アンモニウム塩、マグネシウム塩が好ましい。その配合量は、めっき浴中5〜200g/L、より好ましくは30〜200g/L、特に30〜100g/Lであることが好ましく、少なすぎると、バレル法などでは析出するめっき皮膜中の錫と銅の合金比率が安定しない場合が生じ、浴電圧が高くなる傾向がある。また、上記量を超えて配合してもそれ以上の効果はなく、界面活性剤を配合する場合に界面活性剤が十分に溶解せず、塩析し易くなる傾向となる。
【0035】
本発明のめっき浴には、必要に応じ更に陽イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤及び両性界面活性剤の1種又は2種以上を配合することができる。この場合、陽イオン界面活性剤の例としては、ドデシルトリメチルアンモニウム塩、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム塩、オクタデシルトリメチルアンモニウム塩、ドデシルジメチルエチルアンモニウム塩、オクタデセニルジメチルエチルアンモニウム塩、ドデシルジメチルアンモニウムベタイン、オクタデシルジメチルアンモニウムベタイン、ジメチルベンジルドデシルアンモニウム塩、ヘキサデシルジメチルベンジルアンモニウム塩、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム塩、トリメチルベンジルアンモニウム塩、トリエチルベンジルアンモニウム塩、ヘキサデシルピリジニウム塩、ドデシルピリジニウム塩、ドデシルピコリニウム塩、ドデシルイミダゾリウム塩、オレイルイミダゾリウム塩、オクタデシルアミンアセテート、ドデシルアミンアセテートなどが挙げられ、陰イオン界面活性剤の例としては、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、(ポリ)アルキルナフタレンスルホン酸塩などが挙げられる。アルキル硫酸塩としては、ドデシル硫酸ナトリウム、オレイル硫酸ナトリウムなどが挙げられる。ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩としては、ポリオキシエチレン(EO12)ノニルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(EO15)ドデシルエーテル硫酸ナトリウムなどが挙げられ、両性界面活性剤の例としては、ベタイン、スルホベタイン、アミノカルボン酸、イミダゾリウムベタインなどが挙げられ、また、エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドとアルキルアミン又はジアミンとの縮合生成物の硫酸化或いはスルホン化付加物も使用できる。これらの界面活性剤の配合量は、めっき浴中0〜50g/L、好ましくは0.01〜50g/L、特に2〜10g/Lが好ましい。
【0036】
更に、本発明のめっき浴には、めっき薄膜表面の光沢剤又は平滑剤として下記一般式(1)で表されるC=Oと共役の位置に二重結合を有する化合物或いは下記一般式(2)で表されるアルデヒド化合物の中から選ばれる1種又は2種以上を添加することができる。
【0037】
Ra−CRb=CH−CO−XRc (1)
[ここで、Ra及びRcはフェニル、ナフチル、ピリジル、キノリル、チエニル、フリル、ピロニル、アミノ、水酸基又は水素から選ばれた基であり、該基はアルキル(C1〜C6)、アルキルオキシ(C1〜C6)、アシル(C1〜C6)、アルキルチオ(C1〜C6)、水酸基、ハロゲン、カルボキシル基、ニトロ基及び−NRdRe(Rd及びReは、同一又は異なってもよく、各々水素又はアルキル基(C1〜C4)を表す)から選ばれた同一又は異なる置換基を1〜4個有してもよく、或いはRaとRcは結合して環状となってもよく、或いはRcはRa−CRb=CH−CO−に等しくてもよい。Xは単結合もしくはメチレン基である。Rbは水素又はアルキル(C1〜C4)である。]
【0038】
R−CHO (2)
[ここで、Rはアルキル(C1〜C6)、アルケニル(C2〜C6)、アルキニル(C3〜C6)、フェニル、ナフチル、アセナフチル、ピリジル、キノリル、チエニル、フリル、インドール、ピロニル、アルデヒド基又は水素から選ばれた基であり、該基はアルキル(C1〜C6)、フェニル、アルキルオキシ(C1〜C6)、アシル(C1〜C6)、アルキルチオ(C1〜C6)、水酸基、ハロゲン、ニトロ基及び−NRaRb(Ra及びRbは、同一又は異なってもよく、各々水素又はアルキル(C1〜C4)を表す)から選ばれた同一又は異なる置換基を1〜4個有してもよい。]
【0039】
この場合、C=Oと共役の位置に二重結合を有する化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、クロトン酸、イタコン酸、プロピレン−1,3−ジカルボン酸、桂皮酸、アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、t−ブチルアクリルアミド、N−メトキシジメチルアクリルアミド、クルクミン、イソホロン、メシチルオキシド、ビニルフェニルケトン、ビフェニルプロペニルケトン、フェニルイソブテニルケトン、フェニル−2−メチルプロペニルケトン、ベンジリデンアセチルアセトン、2−(α−ベンゾイル)ビニルフラン、p−フルオロ又はクロロフェニルプロペニルケトン、p−ヒドロキシフェニルプロペニルケトン、m−ニトロフェニルプロペニルケトン、p−メチルフェニルプロペニルケトン、2,4,6−トリメチルフェニルプロペニルケトン、p−メトキシフェニルプロペニルケトン、p−メトキシフェニルブテニルケトン、p−メチルフェニルプロペニルケトン、p−イソブチルフェニルプロペニルケトン、α−ナフチル−1−メチルプロペニルケトン、4−メトキシナフチルプロペニルケトン、2−チエニルプロペニルケトン、2−フリルプロペニルケトン、1−メチルピロールプロペニルケトン、ベンジリデンメチルエチルケトン、ベンジリデンアセトンアルコール、p−トルイデンアセトン、p−ヒドロキシベンジリデンアセトン、ベンジリデンメチルイソブチルケトン、3−クロロベンジリデンアセトン、ベンザルアセトン、sub,ピリジリデンアセトン、sub,フルフリジンアセトン、sub,テニリデンアセトン、4−(1−ナフチル)−3−ブテン−2−オン、4−(2−フリル)−3−ブテン−2−オン、4−(2−チオフェニル)−3−ブテン−2−オン、(2,4−又は3,4−)ジクロロアセトフェノン、ベンジリデンアセトフェノン、アクロレイン、アリルアルデヒド、クロトンアルデヒド、シンナムアルデヒド、ベンジルクロトンアルデヒド、テニリデンアセトン等が挙げられ、これらの成分のめっき浴中の配合量は0.001〜50g/L、特に0.01〜10g/Lとすることが望ましい。
【0040】
また、アルデヒド化合物としては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、パラアルデヒド、ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−バレルアルデヒド、グリオキサール、スクシンアルデヒド、カプロンアルデヒド、イソバレルアルデヒド、アリルアルデヒド、グルタルアルデヒド、クロトンアルデヒド、プロパルギルアルデヒド、ベンズアルデヒド、シンナムアルデヒド、o−フタルアルデヒド、サリチルアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、p−ニトロベンズアルデヒド、o−(又はm−又はp−)メトキシベンズアルデヒド、o−バニリン、ベラトルアルデヒド、2,5−ジメトキシベンズアルデヒド、(2,4−又は2,6−)ジクロロベンズアルデヒド、m−(又はo−又はp−)クロロベンズアルデヒド、1−(又は2−)ナフトアルデヒド、2−(又は4−)ヒドロキシ−1−ナフトアルデヒド、2−(又は4−)クロル−1−ナフトアルデヒド、5−(又は2−)メトキシナフトアルデヒド、ピコリンアルデヒド、3−アセナフトアルデヒド、2−(又は3−)チオフェンカルボキシアルデヒド、2−(又は3−)フルアルデヒド、3−インドールカルボキシアルデヒド、1−ベンジリデン−7−ヘプテナール、2,4−ヘキサジエナール、ベンジルクロトンアルデヒド、o−(又はm−又はp−)アニスアルデヒド、2−(又は3−)チオフェンアルデヒド、サリチルアルデヒドアリルエーテル等が挙げられ、これらの成分のめっき浴中の配合量は0〜50g/L、好ましくは0.001〜50g/L、特に0.01〜10g/Lとすることが望ましい。
【0041】
本発明の錫−銅合金電気めっき浴には、更にめっき皮膜平滑剤を配合することができる。該平滑剤としては、特に、水溶性金塩、水溶性銀塩、水溶性亜鉛塩、水溶性ビスマス塩、水溶性ニッケル塩、水溶性コバルト塩、水溶性鉄塩、水溶性パラジウム塩、水溶性アンチモン塩、及び水溶性鉛塩から選ばれる1種又は2種以上の水溶性金属塩を配合することが好ましい。これらの水溶性金属塩を配合することにより、該金属が錫、銅と共に共析して緻密な錫−銅−該金属系3元合金めっき皮膜を形成したり、或いは微量重金属剤として働き、緻密な錫−銅合金めっき皮膜を形成し、半田付け性が向上し、熱処理後の変色を防止する。
【0042】
上記水溶性金属塩として、具体的には、亜硫酸金(I)ナトリウム、塩化銀(I)、硫酸銀(I)、メタンスルホン酸銀(I)、酸化亜鉛、硫酸亜鉛、塩化亜鉛、酸化ビスマス(III)、硫酸ビスマス(III)、メタンスルホン酸ビスマス(III)、塩化ニッケル(II)・6水和物、硫酸ニッケル(II)・6水和物、スルファミン酸ニッケル(II)・4水和物、塩化コバルト(II)・6水和物、硫酸コバルト(II)・7水和物、スルファミン酸コバルト(II)・4水和物、塩化パラジウム(II)、硫酸パラジウム(II)、酢酸鉛(II)・3水和物、塩化アンチモン(III)、塩化鉄(II)・4水和物、硫酸鉄(II)・7水和物等が挙げられる。
【0043】
上記水溶性金属塩を配合する場合、その配合量は、めっき浴中に0.001〜2g/L、好ましくは0.001〜1g/L、より好ましくは0.005〜1g/Lとすることが望ましい。この場合、水溶性金属塩の使用でめっき皮膜の半田付け性を改良し、熱処理後の変色を防止することができる。
【0044】
更に、本発明のめっき浴には、(A)成分、非イオン界面活性剤、光沢剤、平滑剤の内、水に不溶性又は難溶性の成分をめっき浴に溶解させる有機溶媒に、エチレングリコール、ジエチレングリコール、又はトリエチレングリコール又はその他のグリコール類を使用すると、沈殿物が生成しにくく、めっき浴の安定性が向上する。これら成分のめっき浴中の配合量は0〜200g/L、好ましくは1〜200g/L、特に5〜100g/Lとすることが好ましい。
【0045】
本発明のめっき浴のpHは10以下、より好ましくは9以下、更に好ましくは7以下であることが好ましい。pHの下限は特に制限されず、1以下でもよいが、カルボン酸、ラクトン化合物、縮合リン酸及びホスホン酸並びにそれらの水溶性塩から選ばれる1種又は2種以上と、カルボン酸、ラクトン化合物、縮合リン酸及びホスホン酸以外の無機酸及び有機酸並びにそれらの水溶性塩から選ばれる1種又は2種以上とを併用する場合は、pH2以上、特に4以上であることが好ましい。なお、めっき浴のpH調整は、適宜な酸又はアルカリを用いて行うことができる。
【0046】
本発明のめっき浴においては、pHを2以上とすることができるため、pHが2未満の強酸性浴では、絶縁物質にガラス、セラミック、プラスチック等を用いた電子部品において、その部分に侵食・変質・変形等が起こり易く、使用し難いような場合にも有効である。
【0047】
本発明のめっき浴を用いて電気めっきする方法としては常法を採用し得、高速めっき法、ラック法、バレル法等のいずれのめっき方法も制限なく採用することができる。陰極電流密度は、これらのめっき法によって0.01〜100A/dm2、特に0.01〜50A/dm2の範囲で適宜選定されるが、高速めっき法の場合は通常3〜50A/dm2、特に5〜40A/dm2、ラック法の場合は通常0.5〜5A/dm2、特に1〜4A/dm2であり、バレル法の場合は通常0.01〜1A/dm2、特に0.05〜0.5A/dm2である。めっき温度は10〜50℃、特に15〜40℃とすることができ、撹拌は無撹拌でもよいが、カソードロッキング、スターラーによる撹拌、ポンプによる液流動などの方法が採用し得る。
【0048】
本発明において用いられる陽極としては、白金、白金めっきチタン、炭素等の不溶性陽極でも用いられるが、可溶性陽極が好適に使用できる。特に、後述する微量金属イオンの補給方法と組み合わせる場合には、錫、銅、錫−銅合金の内から選ばれる1種又は2種以上を陽極に好適に使用できる。また、陽極として用いる錫、銅、錫−銅合金中に、更に、めっき皮膜表面平滑剤としてのニッケル、コバルト、銀、金、ビスマス、鉛、パラジウム、アンチモン、亜鉛、鉄から選ばれる1種又は2種以上の金属を含んだ陽極も使用できる。これらの陽極中の金属組成比率は、析出するめっき皮膜組成比率と同組成比率とすることが好ましい。これらの可溶性陽極を用いることにより、この可溶性陽極を構成する金属からそれに相応する金属イオンを補給することができる。なお、本発明のめっき浴においては、めっき浴中の1価の銅イオンが安定に錯体化されているので、無通電下でも錫や錫−銅合金陽極等の錫合金陽極に銅の置換析出が生じるおそれはない。なお、本発明のめっき浴の陰極電流効率は、通常80〜99%である。
【0049】
また、本発明は、めっき浴中の錫イオン濃度比率及び銅イオン濃度及び微量金属イオンの濃度を適切な範囲に容易に管理することができる。この場合、目的とする良好なめっき皮膜組成比率及び皮膜物性を安定して得ることができるようにするために、めっき浴中の錫イオン濃度及び/又は銅イオン濃度、及び、更にめっき浴中に付加的に添加される微量金属イオンの濃度を、容量分析、光分析、電気分析、熱分析、X線分析、比色分析、重量分析の内から選ばれる1種又は2種以上の分析方法を併用してめっき浴を分析し、目的の数値の濃度となるように上記の錫イオン、銅イオン、微量金属イオンの内から選ばれる1種又は2種以上をめっき浴中に補給することが好ましい。
【0050】
これらめっき浴中の主要金属イオンである錫イオン濃度、銅イオン濃度、微量金属イオン濃度は、目的とするめっき皮膜合金組成比率や皮膜物性を与えるよう予め適切な濃度に配合されているが、めっき処理量が多くなるにつれて、消費されていき、従って、めっき浴中の金属イオン濃度が変動する。これに伴い、消費された金属イオンを陽極からの溶解及び/又はめっき浴の外部から金属塩の濃厚溶液等の補給により、予め設定された濃度に維持することができる。
【0051】
容量分析では、酸化還元滴定法、キレート滴定法、沈殿滴定法等がある。光分析では、原子吸光分析法、誘導結合プラズマ発光分析法等がある。電気分析では、ポーラログラフィー、電量分析法、電位差測定法等がある。熱分析では、示差熱分析法、示差走査熱量分析法等がある。X線分析では、X線回折測定法、蛍光X線分析法等がある。
【0052】
本発明においては、主要金属イオンである錫イオン、銅イオン、微量金属イオンを補給する前に、めっき浴中の当該金属イオン濃度を上述の分析法の内から選ばれる1種又は2種以上の分析方法を併用してめっき浴を分析し、測定して、その過不足分を算出し、当該金属イオンを陽極から溶出させて及び/又は外部から金属塩の濃厚溶液、粉末、ペースト、固体の内から選ばれる1種又は2種以上で補給することができる。
【0053】
また、上記金属イオンの補給には、上記の陽極と、金属塩の濃厚溶液、粉末、ペースト、固体の内から選ばれる1種又は2種以上の外部補給とを併用してもよく、めっき浴中に不純物を持ち込まないようにするには併用することが好ましい。この場合、金属塩の濃厚溶液、粉末、ペースト、固体は各金属イオンを供給する金属を単体で又は混合して補給してもよい。なお、金属塩の粉末、ペースト、固体での補給は、十分な撹拌が必要であり、濃厚溶液での補給が特に好ましい。
【0054】
ここで、錫−銅合金電気めっき浴中の銅イオンの管理方法としては、特に錫−銅合金電気めっき浴中の銅イオンを吸光光度法により間欠的又は連続的に自動分析し、その分析値が管理値以下に減少した場合、その不足分を自動補給して、銅イオン濃度を所定管理値に維持することが好ましい。
【0055】
即ち、強酸性の液で、錫−銅陽極を使用すると銅イオンを補給することなく、ほぼ銅イオン濃度が維持できる。しかし、陽極スライムができるというおそれがある。錫陽極を使用した場合はこれができないが、銅イオンを外部から補給しなければならない。いずれの場合も、めっき浴中の所定の銅イオン濃度が不足した場合に銅イオンを自動補給することが望まれる。他方、弱酸性から中性の錫−銅合金めっき浴の場合は、錫−銅陽極を使用しても銅イオンの溶解が不足する場合が多い。従って、この場合も不足分は自動補給することが望まれる。
【0056】
つまり、錫−銅合金陽極、錫陽極を使用した場合、不足分の銅イオンを電気化学当量等から計算して補給しても、経時的に陰極効率が変化したり、被めっき物毎に銅消費量が変化したり、被めっき物からの銅の溶け込みがある等により、銅イオン濃度が変化するものである。
【0057】
ここで、銅の分析には、吸光光度法の他に、重量法、容量法、電解重量法、ポーラログラフィー法などもあるが、これらは、測定液中に比較的多くの銅イオンが存在しないと測定精度が低く現実的でない。その他、発光分光分析、原子吸光分析やICP法は、分析精度は高いが、自動分析法を作製することが困難で、かつコストが高くなる。その点、吸光光度法は、自動分析法に適しており、発色を原理とするため、微量濃度の定量が可能であり、かつ低コストで行える。
【0058】
錫−銅合金めっき浴中において、銅イオンは殆ど1価の状態で存在すると考えられるが、1価の銅イオンの定量法としては、2つの方法があり、1つはめっき浴中に存在する1価銅をそのままの形で発色定量する方法であり、もう1つは1価銅イオンを2価イオンに酸化し、これを発色させ定量する方法である。この場合、1価銅をそのままの形で発色定量する方法としては、クプロイン類(吸光光度法;クプロイン法、ネオクプロイン法、バトクプロイン法など)と反応させて発色させ、反応物を有機溶剤で抽出する方法、1価銅イオンを2価イオンに酸化し、これを発色させ定量する方法としては、液中の1価銅を過酸化水素で酸化させ、2価銅イオンとし、アミン類で発色させる方法が好適に採用される。
【0059】
なお、上記めっき浴中の銅イオン濃度を自動で分析し、不足分を自動補給することによって、省力化を行うと共に、補給ピッチを小さくすることによって、浴中銅イオン濃度のばらつきを少なくすることができるが、自動補給法としては、定量ポンプ、定量カラムを使用する等、公知の方法を採用し得る。
【0060】
被めっき物の種類は、特に制限されず、電気めっき可能な導電性部分を有するものであればよく、金属等の導電性材料とセラミック、鉛ガラス、プラスチック、フェライト等の絶縁性材料が複合したものであってもよい。これら被めっき物は、その材質に応じた適宜な前処理を施した後、めっきに供される。なお、本発明のめっき浴によれば、銅が優先析出したり、めっき皮膜に銅の置換析出が生じたりすることはなく、また、上記絶縁性材料を複合化した電子部品等の被めっき物をめっきする際、この絶縁性材料に侵食、変形、変質等を生じさせることはない。
【0061】
具体的には、被めっき物として、チップ部品、端子部品、プレス部品、水晶発振子、バンプ、コネクター、コネクターピン、リードフレーム、各種フープ材、パッケージのリードピン、ピングリッドアレイ、ボールグリッドアレイ、プリント基板の回路等のあらゆる電子部品やその他の製品の半田材料必要部分に錫−銅合金めっき皮膜を形成し得る。
【0062】
本発明のめっき浴から得られる錫−銅合金めっき皮膜は、その外観が、銅含有率の多少及び光沢成分や微量の水溶性金属塩添加の有無によって、均一で緻密な白色から灰白色まで及び光沢から半光沢或いは無光沢まで選択可能である。また、めっき浴中の錫イオンと銅イオンとの割合、めっき条件により合金組成で錫99.99〜10重量%、銅0.01〜90重量%のものを得ることができ、その合金組成は、使用目的によって選定し得るが、半田付け用途、エッチングレジスト用途等には、錫50重量%以上、好ましくは70重量%以上、より好ましくは90重量%以上であり、銅は0.01重量%以上、特に0.1重量%以上である。
【0063】
【実施例】
以下、実施例と比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0064】
[実施例、比較例I]
表に示す組成の錫−銅合金めっき浴を調製し、表1〜20に示す条件で各種被めっき物に対しめっきを行い、浴安定性、めっき皮膜の特性を評価した。結果を表21〜30に示す。
【0065】
【表1】
【0066】
【表2】
【0067】
【表3】
【0068】
【表4】
【0069】
【表5】
【0070】
【表6】
【0071】
【表7】
【0072】
【表8】
【0073】
【表9】
【0074】
【表10】
【0075】
【表11】
【0076】
【表12】
【0077】
【表13】
【0078】
【表14】
【0079】
【表15】
【0080】
【表16】
【0081】
【表17】
【0082】
【表18】
【0083】
【表19】
【0084】
【表20】
【0085】
【表21】
【0086】
【表22】
【0087】
【表23】
【0088】
【表24】
【0089】
【表25】
【0090】
【表26】
【0091】
【表27】
【0092】
【表28】
【0093】
【表29】
【0094】
【表30】
注1:pH=2〜10の実施例はアンモニア水、水酸化ナトリウム等のアルカリ性水溶液及び硫酸、メタンスルホン酸、塩酸等の酸性水溶液でpH調整を行った。
注2:置換析出反応とは、通電時及び無通電時にかかわらず、錫又は錫合金陽極に錫以外の金属が置換析出する反応をいう。
注3:金属イオン濃度分析方法
ア:錫は容量分析法で分析し、銅、微量重金属は原子吸光分析法で分析する。
イ:錫、銅、微量重金属の3つとも容量分析法で分析する。
ウ:錫は容量分析法で分析し、銅、微量重金属は電位差測定法で分析する。
エ:分析せずに陰極及び陽極の一般的な電流効率と総電気量から推定した。
注4:金属イオン供給方法
A:純錫陽極を使用し、銅を濃厚溶液として外部から補給した。
B:純錫陽極と純銅陽極を使用した。
C:純錫陽極を使用し、銅と平滑剤として使用する微量重金属のそれぞれの濃厚溶液を外部から補給した。
D:錫に平滑剤として使用する微量重金属を微量加えた合金陽極を使用し、銅を濃厚溶液として外部から補給した。
E:錫−銅合金陽極を使用した。
F:錫−銅合金陽極を使用し、平滑剤として使用する微量重金属の濃厚溶液を外部から補給した。
G:錫と、銅と、平滑剤として使用する微量重金属の3元合金陽極を使用した。
H:白金めっきしたチタンの不溶性陽極を使用し、錫を酸化錫(II)の粉末で、銅と平滑剤として使用する微量重金属をそれぞれの濃厚溶液で外部から補給した。
I:純錫陽極、純銅陽極、微量重金属で陽極を分離してそれぞれ使用した。
なお、A〜Iまでのいずれにおいてもめっき浴中の合金比率の微調整のための不足分を、錫、銅、平滑剤として使用する微量重金属のそれぞれの濃厚溶液を外部から補給することも含まれる。
注5:浴安定性
優:濁りや沈殿が長期使用においてもほとんど発生しない。
良:濁りや沈殿が長期使用においては多少発生するが、実用化には支障はない。
不可:濁りや沈殿が多量に発生し、長期使用において実用化においてめっき外観や合金変動などの支障が発生する。
注6:めっき外観
優:均一で緻密 可:少し色調ムラ有り 不可:色調ムラとヤケ有り
注7:めっき皮膜中の錫/銅析出比率安定性
優:使用する陰極電流密度の変動に伴う錫/銅析出比率の変動幅が±10%未満である。
可:使用する陰極電流密度の変動に伴う錫/銅析出比率の変動幅が±10%以上である。
不可:使用する陰極電流密度の変動に伴う錫/銅析出比率の変動幅が±30%以上である。
注8:半田濡れ性
優:Sn−Pb合金めっきと同等の半田濡れ性
良:Sn−Pb合金めっきとの中間の半田濡れ性
可:Snめっきと同等の半田濡れ性
良:Snめっきより劣る半田濡れ性
【0095】
[実施例II]
下記の実施例81〜100のめっき浴につき、下記の分析法で分析を行った。分析法1は液中に1価で存在する1価銅イオンを定量するものであり、分析法2は、1価銅イオンを過酸化水素で酸化して2価銅イオンとし、発色剤で発色する方法である。
【0096】
<実施例;分析法1>
めっき浴0.1mLを電磁弁を用いて採取し、脱イオン水で押し出し、正確に採取し、約50mLのpH電極を装着した縦長容器に入れた後、10%塩酸ヒドロキシルアミン溶液5mLを電磁弁を用いて添加し、更に、10%酒石酸溶液5mLを添加後、撹拌子でこの液を撹拌、pH測定しながら、14%アンモニア水を添加して、pH5に調整した。
【0097】
次に、0.02%のクプロインを溶解したアミルアルコール液を10mL添加し、強く3分間液撹拌した。その後、撹拌を止めると、2層に分液した。3分間放置後、上層のアルコール溶液を吸光光度用のセルに入れ、545nmでの吸光度を測定した。
【0098】
別に作製した検量線と計算式から、めっき浴中の銅濃度を算出した。これに基づき、めっき浴中の銅イオンが不足した場合は、コンピューターで計算して、銅イオンとして25g/L含有する溶液を用いて、自動的に不足量を補給したところ、所定の銅濃度になった。
【0099】
<実施例;分析法2>
めっき浴を5mL採取し、発色液溶液(50g/Lのヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、25g/Lのジエチレントリアミン)を10mL添加し、更に脱イオン水を15mL加えた後、30%過酸化水素水を5mL、次いで脱イオン水を15mL加えて5分間撹拌後、690nmでの吸光度を測定した。
【0100】
別に作製した検量線と計算式から、めっき浴中の銅濃度を算出した。これに基づき、めっき浴中の銅イオンが不足した場合は、コンピューターで計算して、銅イオンとして25g/L含有する溶液を用いて、自動的に不足量を補給したところ、所定の銅濃度になった。
【0101】
【表31】
【0102】
【表32】
注9 pH:硫酸溶液、苛性ソーダ溶液等でpH調整を行った。
【0103】
【発明の効果】
本発明によれば、めっき浴中の1価の銅イオンを安定に錯体形成して、銅の置換反応及び銅化合物の沈殿を抑制することで、浴の管理を容易にでき、より浴安定性が高く、ひいては錫−鉛合金めっきの代替として、チップ部品、端子部品、プレス部品、水晶発振子、バンプ、コネクター、コネクターピン、リードフレーム、各種フープ材、パッケージのリードピン、ピングリッドアレイ、ボールグリッドアレイ、プリント基板の回路等の電子機器を構成する部品などに対して良好な半田付け性を与え、或いはエッチングレジスト用として有効な錫−銅合金めっき皮膜を形成し得る。
Claims (12)
- 少なくとも水溶性錫塩と、水溶性銅塩と、無機酸及び有機酸並びにそれらの水溶性塩から選ばれる1種又は2種以上を含有する錫−銅合金電気めっき浴において、チオ尿素又はその誘導体1〜200g/Lと、
(A)2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾールのシクロヘキシルアミン塩、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩もしくはアンモニウム塩、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾールのシクロヘキシルアミン塩、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩もしくはアンモニウム塩、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾールのシクロヘキシルアミン塩、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩もしくはアンモニウム塩、3−(2−ベンゾチアジルチオ)プロピオン酸、2−メルカプト安息香酸、2−メルカプトエチルアミン、メルカプトフェノール、メルカプトピリジンの中から選ばれる1種又は2種以上0.001〜20g/Lと、
非イオン界面活性剤とを含有し、pHが10以下であることを特徴とする錫−銅合金電気めっき浴。 - pHが7以下であることを特徴とする請求項1記載の錫−銅合金電気めっき浴。
- 非イオン界面活性剤が、ポリオキシエチレンアルキルエーテル型界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル型界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルアミノエーテル型界面活性剤の中から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1又は2記載の錫−銅合金電気めっき浴。
- 水溶性銅塩が、第1銅塩であることを特徴とする請求項1,2又は3記載の錫−銅合金電気めっき浴。
- 無機酸及び有機酸並びにそれらの水溶性塩として、カルボン酸、ラクトン化合物、縮合リン酸、ホスホン酸又はそれらの水溶性塩から選ばれる1種又は2種以上と、上記以外の無機酸及び有機酸並びにそれらの水溶性塩から選ばれる1種又は2種以上とを含有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の錫−銅合金電気めっき浴。
- (A)成分及び非イオン界面活性剤の内、水に不溶性又は難溶性の成分をめっき浴に溶解させる有機溶媒に、グリコール類を使用することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の錫−銅合金電気めっき浴。
- 光沢剤、陽イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、両性界面活性剤、又はめっき皮膜平滑剤から選ばれる1種又は2種以上を添加してなる請求項1乃至6のいずれか1項記載の錫−銅合金電気めっき浴。
- 光沢剤及びめっき皮膜平滑剤の内、水に不溶性又は難溶性の成分をめっき浴に溶解させる有機溶媒に、グリコールを使用することを特徴とする請求項7項記載の錫−銅合金電気めっき浴。
- めっき皮膜平滑剤として水溶性金属塩を含有する請求項7記載の錫−銅合金電気めっき浴。
- 水溶性金属塩が、水溶性金塩、水溶性銀塩、水溶性亜鉛塩、水溶性ニッケル塩、水溶性ビスマス塩、水溶性コバルト塩、水溶性鉄塩、水溶性パラジウム塩、水溶性アンチモン塩、及び水溶性鉛塩から選ばれる1種又は2種以上である請求項9記載の錫−銅合金電気めっき浴。
- 請求項1乃至10のいずれか1項記載の錫−銅合金電気めっき浴に被めっき物を浸漬し、めっきすることを特徴とする錫−銅合金電気めっき方法。
- 錫−銅合金電気めっき浴中の銅イオンを吸光光度法により間欠的又は連続的に自動分析し、その分析値が管理値以下に減少した場合、その不足分を自動補給して、銅イオン濃度を所定管理値に維持するようにした請求項11記載の錫−銅合金電気めっき方法。
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