JP6179932B2 - めっき液中の金属錯体定量化方法および金属錯体定量化装置 - Google Patents
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Description
めっき液(例えば硫酸銅めっき液)を含むサンプル溶液および水溶性のキレート試薬を混合した吸光度測定用溶液(例えばpH4〜10のサンプル溶液およびバソクプロインジスルホン酸二ナトリウム試薬を混合した吸光度測定用溶液)の吸光度を測定する吸光度測定工程と、
測定された吸光度に基づいたカーブフィッテングにより吸光度曲線を決定する吸光度曲線決定工程と、
を含むことを特徴とする。
手段1に記載しためっき液中の金属錯体定量化方法であって、
前記吸光度曲線は複数の指数関数からなる多項式によって構成されることを特徴とする。
手段2に記載しためっき液中の金属錯体定量化方法であって、
前記複数の指数関数各々を分子量の異なる複数の錯体各々の濃度に対応させることを特徴とする。
手段2または3に記載しためっき液中の金属錯体定量化方法であって、
各指数関数は、その指数部に含まれる時間変数の増加に伴い所定値に収束する時間関数であることを特徴とする。
手段4に記載した金属錯体定量化方法であって、
各指数関数に係る収束速度を規定する定数の変動を、分子量の異なる複数の錯体各々を形成する有機成分の状態変動に対応させることを特徴とする。
手段4または5に記載しためっき液中の金属錯体定量化方法であって、
分子量が異なる複数の錯体の数をn(n≧2)としたときに、前記吸光度曲線に係る多項式Yを以下の式により規定することを特徴とする。
Y=A1×(1−exp(−(t+t0)/T1))…+An×(1−exp(−(t+t0)/Tn))
ここで、tは時間変数、t0は呈色反応開始時間に係る定数、A1…Anは各錯体の濃度に係る定数、T1…Tnは各錯体の呈色反応速度定数の逆数に係る定数である。
手段6に記載しためっき液中の金属錯体定量化方法であって、
前記吸光度測定工程において測定された吸光度の測定値および時間を、前記多項式のYおよびtに当てはめることにより、各定数を算出することを特徴とする。
手段7に記載しためっき液中の金属錯体定量化方法であって、
T1…Tnの変動を、各項に係る錯体各々を形成する有機成分の状態変動に対応させることを特徴とする。
手段7または8に記載しためっき液中の金属錯体定量化方法であって、
前記各定数が算出された吸光度曲線について、収束される吸光度を以下の式により算出することを特徴とする。
Y=A1…+An
手段1〜9から選択される1項に記載しためっき液中の金属錯体定量化方法であって、
決定された吸光度曲線に基づいて、前記吸光度が測定されていない非測定期間における吸光度を推定することを特徴とする。
手段1〜10から選択される1項に記載しためっき液中の金属錯体定量化方法であって、
前記めっき液は銅めっき液であることを特徴とする。
銅めっき液(例えば硫酸銅めっき液)を含むサンプル溶液および水溶性のキレート試薬を混合した吸光度測定用溶液(例えばpH4〜10のサンプル溶液およびバソクプロインジスルホン酸二ナトリウム試薬を混合した吸光度測定用溶液)の吸光度を測定する吸光度測定手段(例えば制御部37)と、
測定された吸光度に基づいたカーブフィッテングにより吸光度曲線を決定する吸光度曲線決定手段(例えばシステム制御部40)と、
を含むことを特徴とする。
手段12に記載しためっき液中の金属錯体定量化装置であって、
前記吸光度曲線は複数の指数関数からなる多項式によって構成されることを特徴とする。
手段13に記載しためっき液中の金属錯体定量化装置であって、
前記複数の指数関数各々を分子量の異なる複数の錯体各々の濃度に対応させることを特徴とする。
手段13または14に記載しためっき液中の金属錯体定量化装置であって、
各指数関数は、その指数部に含まれる時間変数の増加に伴い所定値に収束する時間関数であることを特徴とする。
手段15に記載した金属錯体定量化装置であって、
各指数関数に係る収束速度を規定する定数の変動を、分子量の異なる複数の錯体各々を形成する有機成分の状態変動に対応させることを特徴とする。
手段15または16に記載しためっき液中の金属錯体定量化装置であって、
分子量が異なる複数の錯体の数をn(n≧2)としたときに、前記吸光度曲線に係る多項式Yを以下の式により規定することを特徴とする。
Y=A1×(1−exp(−(t+t0)/T1))…+An×(1−exp(−(t+t0)/Tn))
ここで、tは時間変数、t0は呈色反応開始時間に係る定数、A1…Anは各錯体の濃度に係る定数、T1…Tnは各錯体の呈色反応速度定数の逆数に係る定数である。
手段17に記載しためっき液中の金属錯体定量化装置であって、
前記吸光度測定手段により測定された吸光度の測定値および時間を、前記多項式のYおよびtに当てはめることにより、各定数を算出することを特徴とする。
手段18に記載しためっき液中の金属錯体定量化装置であって、
T1…Tnの変動を、各項に係る錯体各々を形成する有機成分の状態変動に対応させることを特徴とする。
手段18または19に記載しためっき液中の金属錯体定量化装置であって、
前記各定数が算出された吸光度曲線について、収束される吸光度を以下の式により算出することを特徴とする。
Y=A1…+An
手段12〜20から選択される1項に記載しためっき液中の金属錯体定量化装置であって、
決定された吸光度曲線に基づいて、前記吸光度が測定されていない非測定期間における吸光度を推定することを特徴とする。
手段12〜21から選択される1項に記載しためっき液中の金属錯体定量化装置であって、
前記めっき液は銅めっき液であることを特徴とする。
[1:銅めっき液]
以下の例では、銅めっき液として硫酸銅めっき液を用いる。但し、本発明は硫酸銅めっき液に限らず、酸性浴及びアルカリ浴に使用される銅めっき液全般を対象とするものである。例えばシアン化銅めっき液やピロ燐酸銅めっき液等も対象となる。通常、銅めっき液のpHはBCS試薬で測定可能なpH域4〜10から外れている場合が多いが、各種銅めっき液を中和してBCS試薬と混合することで測定が可能となる。また、後述する実施形態に示すように、緩衝液を用いることによりpH調整を容易化することができる。短時間でのpH調整が可能となり、一価銅濃度を継続的にモニタリングする場合等に有用である。
本例では、キレート試薬として水に易溶であるバソクプロインジスルホン酸二ナトリウム(Bathocuproinedisulfonic acid, disodium salt)(以下「BCS」と略記する。)試薬を使用している。BCSはCu(I)と選択的に橙黄色の錯体を形成することより、銅の比色試薬として使用される。バソクプロインをスルホン化して水溶性としたもので、水に易溶であるものを使用する。後述する実験では、図1に示すBCSを使用する。BCSは水溶液中、pH4〜10でCu(I)に対しBCS2分子で1:2の組成の橙黄色のキレートを形成する(λmax=485nm,ε=1.2×104)。重金属イオン類が共存してもCu(I)としか選択的に錯形成しない。一方、水に易溶であるために、吸光度の測定のために、有機溶媒による抽出操作、または溶出操作を必要としない。このことから、後に示す呈色反応による吸光度の時間変化の測定が可能となった。
硫酸銅めっき溶液を還元することにより一価銅標準溶液を調整し、BCS試薬の検量線を作成した。BCS試薬はpH4〜10の領域でほぼ一定の吸光度が得られるが、pH4〜7、好ましくはpH4〜5.5で安定な吸光度を示すので、pHをこの範囲内に調整した。BCS(株式会社同仁化学研究所製、所在地:熊本県)を用いて、モル濃度10−2mol/dm3のBCS水溶液を調整した。試薬特級硫酸銅(II)5水和物を用いてモル濃度10−3mol/dm3の硫酸銅水溶液を調整した。この水溶液を分取し(0〜2.5mL)、還元剤である10%塩酸ヒドロキシルアミン5mLと2%クエン酸5mLを加え、25%アンモニア水でpHを7〜8に調整した。これに60%過酸化水素水を加えてpH4〜5の一価銅標準溶液を調整後、モル濃度10−2mol/dm3のBCS水溶液を5mL添加し、水を加えて全量100mLの吸光度測定用溶液を調整した。
硫酸銅めっき液は酸濃度が極めて高く、BCS試薬による比色測定では、pHを4以上に調整する必要がある。一方、pHが7以上になると、水酸化銅の白色沈殿が生じてしまい、吸光度が不安定になるため、緩衝液を使用する必要がある。緩衝液によって硫酸銅めっき液をpH4〜7程度に調整することが好ましく、pH4〜5.5に調整することが特に好ましい。後述する実験では銅イオンとの相互作用が小さく、比較的単純な酢酸−NaOH系の緩衝液を用いた。
呈色用緩衝液を分光光度計の参照用セルとサンプル用セルにそれぞれ2.5mL移した。サンプル用セルに硫酸銅めっき液50μLを注入して吸光度測定用溶液を調整した。その吸光度測定用溶液の1mL程度をピペットで吸い上げ、排出することで撹拌した。ここでセル中の硫酸銅めっき液は51倍に希釈されたことになる。吸光度測定用溶液調整後20分までの吸光度に関して、波長範囲350〜700nm、スキャンスピード200nm/minで吸収スペクトルを測定した。銅めっき液試料として、実際の硫酸銅電気めっき浴工程で使用されている添加剤成分の異なる2種類の硫酸銅めっき液(以下、A液、B液と称する)を用意した。
銅めっき液中の一価銅の状態分析のために、銅めっき液の新液B−1と稼働液B−2について、プロトン核磁気共鳴(1H−NMR(1H-Nuclear Magnetic Resonance Spectroscopy))及びマトリックス支援レーザー脱離イオン化質量分析(MALDI−MS(Matrix Assisted Laser Desorption/Ionization-Mass Spectrometry)による成分分析を行った。MALDI−MSにはAXIMA−TOF2(株式会社島津製作所製、所在地:京都府)を用い、マトリックスにはカーボンを用いた。試料としては、銅めっき液を中和し、遠心分離後、上澄み液を凍結乾燥したものを使用した。B−1液及びB−2液の1H−NMRによる成分分析によって、銅めっき液中にはポリエチレングリコール(PEG(polyethylene glycol))が多量に存在することが確認された。PEGは通常、硫酸銅めっき液に抑制剤として添加されている。さらに、高分子量まで測定可能なMALDI−MSによる成分分析によって、鎖長の異なるPEGが一価銅に配位した[H(OCH2CH2)nOH+Cu]+をn=4〜43で検出することができた。図6に示すように、[H(OCH2CH2)nOH+Cu]+(n=4〜43)の各質量対電荷比(Mass/Charge)に対応する強度(Intensity)の上方に「○」を表示させた。n=4〜43に対応する各位置に強度の明確なピークがあらわれている。このようにして、めっき液中のCu(I)−PEG錯体[H(OCH2CH2)nOH+Cu]+(n=4〜43)の各々の存在比率を比較することができる。
図9は、硫酸銅電気めっき浴工程で使用されている硫酸銅めっき液の吸光度を長期間モニタリングした結果を示す図である。一価銅の分析について、実際にプリント回路基板の硫酸銅電気めっき浴工程で使用されている硫酸銅めっき液(前述したA液)のモニタリングを実施した。生産ラインに使用されている硫酸銅めっき液についてほぼ1ヶ月の期間、生産ライン稼働中又は稼働直後の一価銅濃度、及び休止期間終了直前(稼働開始直前)の吸光度を測定した。通常、生産ライン稼働中に電解めっき槽に流している電流は、週末等の休暇時等に停止させている。図中のONで示す期間は電流を流している期間(稼働期間)であり、図中のOFFで示す期間は電流を停止している期間(休止期間)である。休止期間においてめっき浴は電気的に休止した状態に保たれている。図中の曲線aは、吸光度の上昇開始から20分後の吸光度を示しており、曲線bは、吸光度の上昇開始から2分後の吸光度を示している。曲線cは前記両吸光度の差、即ち吸光度の上昇開始から2分〜20分迄の18分間に上昇した吸光度を示している。
図10は、めっき液の吸光度(T値)を、数分以内に急激に増大する成分(F値)と、数十分以上かけて緩やかに増大する成分(H値)に分けたモデルを示す図である。図10に示すように、本発明者らは錯体の形成に伴う吸光度(以下T値と称する)の時間変化は、数分以内に急激に増大する成分(以下F値と称する)と、数十分かけて緩やかに増大する成分(以下H値と称する)に分けられると推定している。そして、前者は錯体を形成しない一価銅及び小錯体の一価銅とBCSとの反応、後者は大錯体の一価銅とBCSとの反応に各々対応すると推定した。また、図9に示した実験結果により、吸光度変化が急激な成分(F値)は電解めっき槽の稼働状態に影響され、吸光度変化が緩やかな成分(H値)は電解めっき槽の稼働状態にかかわらずほぼ一定であった。
Cu(I)+2BCS→キレート …式(1)
本例における呈色反応では、BCS試薬濃度がCu(I)濃度の10000倍以上となっているため、呈色反応中におけるBCS試薬濃度は一定と考えることができる。例えば以下の(1)〜(4)に示す典型的な条件を設定する。
(1)緩衝液中のBCS試薬の濃度が0.392[mol/l]
(2)緩衝液2.5mlに銅めっき液50μlを加えて呈色反応を生じさせる
(3)吸光度Aは、最大で0.3程度
(4)モル吸光係数ε=1.26×104
このとき、Cu(I)の濃度をCとすると、A=ε×Cとなる。従って、呈色反応液中でのCu(I)の濃度は、C=2.3×10−5[mol/l]であり、BCS試薬の濃度は、Cu(I)の濃度の17050倍となる。このため、呈色反応中におけるBCS試薬の濃度は、ほぼ一定であるとみなすことができる。
dX/dt=K(C−X) …式(2)
ここで、Kは反応速度定数である。
このときキレート濃度は下記の式(3)によりあらわされる。
X=C(1−exp(−Kt)) …式(3)
XS=CS(1−exp(−KSt)) …式(4)
XL=CL(1−exp(−KLt)) …式(5)
X=XS+XL
=CS(1−exp(−KSt))+CL(1−exp(−KLt)) …式(6)
ここで、吸光度Aとキレート生成量Xとの関係は、モル吸光係数ε=1.26×104とした場合に、式(7)によりあらわされる。
A=εX …式(7)
その結果、吸光度の時間変化は式(8)により表される。
A=εCS(1−exp(−KSt))+εCL(1−exp(−KLt)) …式(8)
A=εCS+εCL …式(9)
この式(9)により収束後の吸光度を算出することが可能であり、吸光度が収束したときの一価銅濃度も算出可能となる。すなわち、吸光度収束前の実測値に基づいて得られた吸光度曲線によって、吸光度収束時の一価銅濃度を推定可能となる。
(一価銅濃度測定装置の構成)
図11は、一価銅濃度測定装置の一例を示す機能ブロック図である。この一価銅濃度測定装置1は、電解めっき槽10から硫酸銅めっき液をサンプリングし、測定セル31に供給するサンプリング部20と、前述した呈色用緩衝液を測定セル31に供給する呈色用緩衝液供給部21と、分光光度計30を有し、分光光度計30の制御部37と接続されるシステム制御部40を含む装置である。本例における一価銅濃度測定装置1は、サンプリングした硫酸銅めっき液の吸光度を測定し、測定した吸光度に基づいて一価銅濃度を測定可能であると共に、測定した吸光度に基づいてカーブフィッティングにより吸光度曲線を決定することが可能である。
例えば、休止期間が明けて硫酸銅電気めっき浴工程を実行する前に、循環路11内を流れる硫酸銅めっき液をサンプリング部20によってサンプリングし、サンプリング部20から所定量の硫酸銅めっき液を測定セル31に供給する。一方、呈色用緩衝液供給部21からは所定量の呈色用緩衝液を測定セル31に供給する。呈色用緩衝液が測定セル31に供給されることで吸光度測定用溶液が調整され、呈色反応が生じる。測定セル31は、上下方向の振動を発生するための撹拌機能付き恒温槽(図示せず)内に設置されている。撹拌による振動で吸光度測定用溶液が撹拌され、恒温槽によって一定温度に保たれている。測定部において吸光度測定用溶液の吸光度の測定が行われる。この吸光度は例えば以下のようにして測定される。
上記のようにして吸光度を測定してエアバブリング等の要否を判断することができるが、最終的な一価銅濃度、即ち吸光度の上昇が収束した時点における一価銅濃度を取得するには、あくまで吸光度の収束を待たなければならないという問題がある。本システムでは、前述したシステム制御部40によって、吸光度の上昇が収束していない期間に測定された吸光度データを用いてカーブフィッティングを行い、吸光度曲線を決定して、収束した吸光度を推定することを可能とするものである。これにより、実測データ(例えば呈色反応開始から20分以内に測定した吸光度)に基づいて非測定期間(例えば呈色反応開始から120分経過以降の)吸光度を推定することを可能とするものである。また、算出された吸光度曲線によって、銅めっき液中の金属錯体を定量化し、さらに呈色反応速度が異なる区分に分類した錯体毎の定量化も可能となる。
Y=A1×(1−exp(−(t+t0)/T1))…+An×(1−exp(−(t+t0)/Tn)) …式(10)
ここで、tは時間変数である。t0は呈色反応開始時間に係る定数である。A1…Anは呈色反応速度により区分される各錯体の濃度(各錯体が呈色反応に寄与する前の初期濃度ともいえる)に係る定数、T1…Tnは各錯体の呈色反応速度定数の逆数に係る定数である。ここでt0は、キレート試薬と銅めっき液を撹拌することにより呈色反応が開始される時間と、吸光度の測定開始時間とのタイムラグを補正するために設けた定数である。
Y=A1+…+An …式(11)
が得られる。これは収束後の吸光度を示す値となるため、収束時の吸光度に対応する一価銅濃度も、以下の式(12)により算出可能となる。
一価銅濃度=(A1+…+An)/ε …式(12)
このように、本実施形態によれば、呈色用緩衝液を混合後、吸光度収束前に得られたデータに基づいて吸光度曲線を決定し、その吸光度曲線に基づいて吸光度の収束値を推定することが可能となる。さらに、検量線を参照し、算出した収束値に対応する一価銅濃度を計算し、当該一価銅濃度を推定値としてディスプレイ等の表示手段に表示する。すなわち、呈色反応開始後から短時間で一価銅濃度を推定することが可能となり、吸光度が収束するまで待機する必要がない。本装置では短時間に複数回の測定が要求されるケースが多いため、その効果は特に大きく、休日明けなどに硫酸銅電気めっき浴工程を早期に再開することが可能である。このようにして吸光度測定用溶液調整後の、吸光度が収束していない早い段階で、当該吸光度測定用溶液の最終的な一価銅濃度を推定することができる。
Y=A1×(1−exp(−(t+t0)/T1))+A2×(1−exp(−(t+t0)/T2)) …式(13)
式(13)について、複数の実測データ(Y、t)の組み合わせをあてはめることで、各定数が算出される。算出された各定数は結果は以下のようになった。なお、R2値=0.99887であり、式(13)により規定した吸光度曲線は実測値と高い相関を示した。
A1=0.11185
T1=9.11625
A2=0.15517
T2=0.31142
t0=0.32628
10…電解めっき槽
14…バブリング装置
20…サンプリング部
21…呈色用緩衝液供給部
30…分光光度計
40…システム制御部
Claims (19)
- 一価銅イオンが含まれるめっき液を含むサンプル溶液およびバソクプロインジスルホン酸二ナトリウム試薬を混合した吸光度測定用溶液の吸光度を測定する吸光度測定工程と、
測定された吸光度に基づいたカーブフィッテングにより時間と吸光度の関係を示す吸光度曲線を決定する吸光度曲線決定工程と、
決定された吸光度曲線に基づいて、前記吸光度が測定されていない非測定期間における吸光度を推定する吸光度推定工程と、
前記非測定期間における吸光度の推定結果に応じて、測定される吸光度の収束を待機することなく、前記めっき液に対してバブリングを行うバブリング工程と、
を含むことを特徴とするめっき液中の金属錯体定量化方法。 - 請求項1に記載しためっき液中の金属錯体定量化方法であって、
前記吸光度曲線は複数の指数関数からなる多項式によって構成されることを特徴とするめっき液中の金属錯体定量化方法。 - 請求項2に記載しためっき液中の金属錯体定量化方法であって、
前記複数の指数関数各々を分子量の異なる複数の錯体各々の濃度に対応させることを特徴とするめっき液中の金属錯体定量化方法。 - 請求項2または3に記載しためっき液中の金属錯体定量化方法であって、
各指数関数は、その指数部に含まれる時間変数の増加に伴い所定値に収束する時間関数であることを特徴とするめっき液中の金属錯体定量化方法。 - 請求項4に記載した金属錯体定量化方法であって、
各指数関数に係る収束速度を規定する定数の変動を、分子量の異なる複数の錯体各々を形成する有機成分の状態変動に対応させることを特徴とする金属錯体定量化方法。 - 請求項4または5に記載しためっき液中の金属錯体定量化方法であって、
分子量が異なる複数の錯体の数をn(n≧2)としたときに、前記吸光度曲線に係る多項式Yを以下の式により規定することを特徴とするめっき液中の金属錯体定量化方法。
Y=A1×(1−exp(−(t+t0)/T1))…+An×(1−exp(−(t+t0)/Tn))
ここで、tは時間変数、t0は呈色反応開始時間に係る定数、A1…Anは各錯体の濃度に係る定数、T1…Tnは各錯体の呈色反応速度定数の逆数に係る定数である。 - 請求項6に記載しためっき液中の金属錯体定量化方法であって、
前記吸光度測定工程において測定された吸光度の測定値および時間を、前記多項式のYおよびtに当てはめることにより、各定数を算出することを特徴とするめっき液中の金属錯体定量化方法。 - 請求項7に記載しためっき液中の金属錯体定量化方法であって、
T1…Tnの変動を、各項に係る錯体各々を形成する有機成分の状態変動に対応させることを特徴とする金属錯体定量化方法。 - 請求項7または8に記載しためっき液中の金属錯体定量化方法であって、
前記各定数が算出された吸光度曲線について、収束される吸光度を以下の式により算出することを特徴とするめっき液中の金属錯体定量化方法。
Y=A1…+An - 一価銅イオンが含まれるめっき液を含むサンプル溶液およびバソクプロインジスルホン酸二ナトリウム試薬を混合した吸光度測定用溶液の吸光度を測定する吸光度測定手段と、
測定された吸光度に基づいたカーブフィッテングにより時間と吸光度の関係を示す吸光度曲線を決定する吸光度曲線決定手段と、
決定された吸光度曲線に基づいて、前記吸光度が測定されていない非測定期間における吸光度を推定する吸光度推定手段と、
前記非測定期間における吸光度の推定結果に応じて、測定される吸光度の収束を待機することなく、前記めっき液に対してバブリングを行うバブリング手段と、
を含むことを特徴とするめっき液中の金属錯体定量化装置。 - 請求項10に記載しためっき液中の金属錯体定量化装置であって、
前記吸光度測定手段、前記吸光度曲線決定手段、前記吸光度推定手段、及び前記バブリング手段と、を制御する共通の制御手段を含むことを特徴とするめっき液中の金属錯体定量化装置。 - 請求項10または11に記載しためっき液中の金属錯体定量化装置であって、
前記吸光度曲線は複数の指数関数からなる多項式によって構成されることを特徴とするめっき液中の金属錯体定量化装置。 - 請求項12に記載しためっき液中の金属錯体定量化装置であって、
前記複数の指数関数各々を分子量の異なる複数の錯体各々の濃度に対応させることを特徴とするめっき液中の金属錯体定量化装置。 - 請求項12または13に記載しためっき液中の金属錯体定量化装置であって、
各指数関数は、その指数部に含まれる時間変数の増加に伴い所定値に収束する時間関数であることを特徴とするめっき液中の金属錯体定量化装置。 - 請求項14に記載した金属錯体定量化装置であって、
各指数関数に係る収束速度を規定する定数の変動を、分子量の異なる複数の錯体各々を形成する有機成分の状態変動に対応させることを特徴とする金属錯体定量化装置。 - 請求項14または15に記載しためっき液中の金属錯体定量化装置であって、
分子量が異なる複数の錯体の数をn(n≧2)としたときに、前記吸光度曲線に係る多項式Yを以下の式により規定することを特徴とするめっき液中の金属錯体定量化装置。
Y=A1×(1−exp(−(t+t0)/T1))…+An×(1−exp(−(t+t0)/Tn))
ここで、tは時間変数、t0は呈色反応開始時間に係る定数、A1…Anは各錯体の濃度に係る定数、T1…Tnは各錯体の呈色反応速度定数の逆数に係る定数である。 - 請求項16に記載しためっき液中の金属錯体定量化装置であって、
前記吸光度測定手段により測定された吸光度の測定値および時間を、前記多項式のYおよびtに当てはめることにより、各定数を算出することを特徴とするめっき液中の金属錯体定量化装置。 - 請求項17に記載しためっき液中の金属錯体定量化装置であって、
T1…Tnの変動を、各項に係る錯体各々を形成する有機成分の状態変動に対応させることを特徴とする金属錯体定量化装置。 - 請求項17または18に記載しためっき液中の金属錯体定量化装置であって、
前記各定数が算出された吸光度曲線について、収束される吸光度を以下の式により算出することを特徴とするめっき液中の金属錯体定量化装置。
Y=A1…+An
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