JP6004469B2 - 金属の表面処理剤及び表面処理方法 - Google Patents
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Description
そこで銀めっき材の腐食による変色を防止し、さらにめっき表面に潤滑性を与える表面処理液およびそれを用いる表面方法として、特許文献2にインヒビターとして特定のベンゾトリアゾール系化合物、メルカプトベンゾチアゾール系化合物、又はトリアジン系化合物と特定の潤滑剤、乳化剤を含有する水溶液中で、被処理金属を陽極として電解する表面処理方法が記載されている。
しかし、これら従来の表面処理剤では、充分な耐変色性もしくは耐食性が得られなかった。
従って、複数の金属が存在する部材のいずれの金属に対しても、1度の処理で充分な耐変色性、耐食性を付与できる表面処理剤が求められていた。
即ち、本発明は以下の通りである。
(2)前記メルカプト基を有する有機化合物が、2−メルカプトベンゾチアゾール、メルカプト基を有するトリアジン系化合物、メルカプト基を有するチアジアゾール系化合物、メルカプト基を有するテトラゾール系化合物、又は炭素数が12〜20のアルキルメルカプタンであることを特徴とする前記(1)記載の金属の表面処理剤。
(3)前記メルカプト基を有する有機化合物が、メルカプト基を有するチアジアゾール系化合物、メルカプト基を有するテトラゾール系化合物、又は炭素数が12〜20のアルキルメルカプタンであることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の金属の表面処理剤。
(4)前記金属の表面処理剤は、1種もしくは2種以上の金属表面を有する部材を表面処理する表面処理剤であることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれか一項に記載の金属の表面処理剤。
(5)前記(1)〜(4)のいずれか一項に記載の金属の表面処理剤を用い、被処理金属を陰極として直流電解することを特徴とする金属の表面処理方法。
本発明の金属表面処理剤は、水溶液であり、メルカプト基を有する有機化合物、ノニオン系界面活性剤を水に溶解し、酸を用いてpHを3以下に調整することにより得られる。
2−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール、2−メルカプト−5−メチル−1,3,4−チアジアゾール、2−メルカプト−5−エチル−1,3,4−チアジアゾール、2−メルカプト−5−フェニル−1,3,4−チアジアゾール、5−メルカプト−3−フェニル−1,2,4−チアジアゾール、2−メルカプト−5−メチルチオ−1,3,4−チアジアゾール、2−メルカプトベンゾチアジアゾール、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、3,5−ジメルカプト−1,2,4−チアジアゾール、3−フェニル−5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール−2−チオン、2−メルカプト−5−メチルチオ−1,3,4−チアジアゾール、2−メチル−5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール、2−ベンジルメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、2−アミノ−5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール、2−メルカプト−4−フェニル−1,3,4−チアジアゾリン−5−チオン、2−チオアセテックアシド−5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ジチオアセテックアシド−5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール、等のチアジアゾール類;
2−メルカプト−1,3,4−チアジア−5−ゾロン、2−メルカプト−4−メチル−1,3,4−チアジア−5−ゾロン、2−メルカプト−4−フェニル−1,3,4−チアジア−5−ゾロン、2−アミノ−4−メルカプト−1,3,4−チアジア−5−ゾロン、等のチアジアゾロン類;
を挙げることができる。
ノニオン系界面活性剤は、表面処理剤中、0.01〜10g/L含有されることが好ましい。ノニオン系界面活性剤を含有することにより、被処理表面の耐食性がよりいっそう向上する。界面活性剤の添加量が0.01g/L未満、あるいは、10g/Lを超えて添加しても耐食性の効果が得られない。界面活性剤の添加量は、好ましくは0.1〜10g/Lである。
理由は明らかではないが、pHを3以下にすることにより、被処理面の耐食性がより一層向上する。pHは0.5以上2.5以下がより好ましい。pHが0.5未満であるとめっきにダメージを与えることが懸念される。
本発明の表面処理剤は、例えば、銀、金、銅、鉄、アルミニウム、亜鉛、ニッケル、スズ及びこれらの合金等の表面処理剤として有効であるので、これらの金属の2種以上を表面として有する部材に用いると、1度の処理でそれらの2種以上の金属表面の耐変色性、耐食性を向上することができる。
通常、金属の表面処理剤はインヒビター(阻害剤)として、アニオン(負イオン)が含まれており、金属を陽極として電解処理することにより、そのアニオンと金属の反応を促進させる。本発明は、金属を陰極として、一定条件で電解処理することが好ましい。
本発明の表面処理剤は、被処理金属を陽極として電界処理するよりも、浸漬処理した方が耐食性が向上し、更に被処理金属を陰極として直流電界することにより、浸漬した場合よりも耐食性が向上する。
被処理金属を陰極として直流電界する際の陽極としては、SUS304板もしくはチタン白金板等を用いることができる。
電流密度: 5mA/dm2以上
電解時間: 5秒以上
電流量 : X(mAs/dm2)=電流密度×電解時間:25<X<500
処理温度: 20〜50℃
が好ましい。
銅に対する評価
脱脂酸洗を行った銅合金板(C194,2.5mm×2mm×0.2mmt)を陰極、チタン白金板を陽極として、表1に示す表面処理液を用いて、同じく表1に示す条件で処理した後、水洗乾燥したものを表面処理基板とした。この表面処理基板を、高温高湿雰囲気(85℃/85%RH)に24時間放置し、変色の程度を目視で以下のように評価した。
評価基準: (良い)変色なし>薄茶色に変色>紫色に変色(悪い)
評価結果を表2に記す。
銀めっきに対する評価
リン青銅基板(C5191, 2.5mm×2mm×0.2mmt)に対し、厚さ約5μmの光沢銀めっきを施した。実施例1〜9、及び比較例1〜4において、銅合金板に変えてこの銀めっき基板を陰極として用いた以外は、実施例1〜9、及び比較例1〜4と同様に処理した後、水洗乾燥したものをそれぞれ実施例10〜18、及び比較例5〜8の表面処理基板とした。この表面処理基板を、0.2%多硫化アンモニウム水溶液に3、10分間浸漬し、変色の程度を目視で以下のように評価した。
◎:全く変色なし
○:僅かに(部分的に)変色がみられる
△:全体的に黄色く変色する。
×:全体的に青もしくは黒く変色する。
評価結果を表3に記す。
金/ニッケル/すずに対する評価
リン青銅条材(C5210,50mm×0.4mm)をコネクタ形状にプレス加工した後、スルファミン酸浴により、全面にニッケルめっきを3μm行ない、次に、リード部にメタンスルホン酸浴で、すずめっきを1μm、接点(先端)部にクエン酸浴で、金めっきを0.05μm行ないコネクタ端子を得た(図1)。実施例1〜9、及び比較例1〜4において、銅合金板に変えてこのコネクタ端子を陰極として用いた以外は、実施例1〜9、及び比較例1〜4と同様に処理した後、水洗乾燥したものをそれぞれ、実施例19〜27、及び比較例9〜12の表面処理基板とした。表面処理を行ったコネクタ端子に対し、塩水噴霧試験(JIS Z 2371準拠)を48時間行い、耐食性の評価を行った。
評価基準:
金:(良い)変色なし>茶褐色の点状変色>緑青色の点状変色(悪い)
ニッケル:(良い)変色なし>わずかに変色>黒く変色(悪い)
すず:(良い)変色なし>(すずとニッケルの境界部が)わずかに変色
>(すずめっき部分全体が)黒く変色(悪い)
評価結果を表4に示す。
Claims (5)
- メルカプト基を有する有機化合物の少なくとも一種、及びノニオン系界面活性剤を含み、pHが3以下であり前記ノニオン系界面活性剤がC1〜C20アルカノール、フェノール、ナフトール、ビスフェノール類、C1〜C25アルキルフェノール、アリールアルキルフェノール、C1〜C25アルキルナフトール、C1〜C25アルコキシルリン酸(塩)、ソルビタンエステル、C1〜C22脂肪族アミドにエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドを2〜300モル付加重合させたものである金属の表面処理剤であって、前記金属の表面処理剤は、被処理金属を陰極として直流電解することにより表面処理を行い、金属表面に前記表面処理剤の被膜を形成する表面処理剤(ただし錫−銅合金電気めっき浴を除く)であることを特徴とする金属の表面処理剤。
- 前記メルカプト基を有する有機化合物が、2−メルカプトベンゾチアゾール、メルカプト基を有するトリアジン系化合物、メルカプト基を有するチアジアゾール系化合物、メルカプト基を有するテトラゾール系化合物、又は炭素数が12〜20のアルキルメルカプタンであることを特徴とする請求項1記載の金属の表面処理剤。
- 前記メルカプト基を有する有機化合物が、メルカプト基を有するチアジアゾール系化合物、メルカプト基を有するテトラゾール系化合物、又は炭素数が12〜20のアルキルメルカプタンであることを特徴とする請求項1又は2に記載の金属の表面処理剤。
- 前記金属の表面処理剤は、1種もしくは2種以上の金属表面を有する部材を表面処理する表面処理剤であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の金属の表面処理剤。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載の金属の表面処理剤を用い、被処理金属を陰極として直流電解することを特徴とする金属の表面処理方法。
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