JP4968865B1 - スズ系めっき構造体およびその製造方法 - Google Patents

スズ系めっき構造体およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】めっき工程を用いつつ、母型を用いないで微細構造体を製造する方法およびその方法により製造された微細構造体を提供する。
【解決手段】水溶性第一スズ含有物質、水溶性銅含有物質、硫酸イオンおよびスルホン酸イオンの少なくとも一方、有機錯化剤、ならびに非イオン性界面活性剤を備える酸性のスズ系めっき液を用いて、めっき温度を60℃以下、電流密度を10A/dm以下、かつ積算電流量を500Asec/dm以上としてめっきを行い、ほぼ薄板状の皮膜部と当該皮膜部の表面から突出し錐形状を有する複数の突起部とを備え、当該突起部について、その底面の円換算直径に対する高さの比率であるアスペクト比が0.5以上、かつ皮膜部上の密度が前記皮膜部の投影面積1mmあたり100個以上であるスズ系めっき構造体を、前記突起部についての母型を用いることなく得る。
【選択図】 図1

Description

本発明は、スズ系めっき構造体およびその製造方法に関する。
本発明において、スズ系めっき構造体とは、スズおよび合金成分ならびに不可避的な不純物からなるめっきにより形成された構造体を意味する。
マイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)、ナノインプリンティングなどに使用される微細な突起を複数有する構造体を製造する方法は多数提案されている。
例えば、特許文献1には、微細開口配列を有するモールドを金属表面に型押しした後に、前記モールドを前記金属表面から除去することにより、前記金属表面に金属ナノ構造体を形成する方法が提案されている。
特許文献2には、表面に微細構造を形成した母型を準備する工程と、前記母型の微細構造を形成した面に導電性ナノ粒子分散液を塗布する工程と、塗布された前記導電性ナノ粒子分散液を乾燥させて前記母型の面に導電層を形成する工程と、前記導電層が形成された前記母型の表面に電解メッキ法により金属メッキを析出させメッキされた母型を得る工程と、前記メッキされた母型から前記母型を除去して、前記導電層と前記金属メッキからなる金型を得る工程と、を含むナノインプリント用金型の製造方法が提案されている。
特許文献3には、表面に微細な凸凹パターンを有する基板の表面に、分子性無電解めっき触媒を付与し、その後に無電解めっきを施すことにより少なくとも前記凸凹パターンが充填された金属層を形成し、さらに、前記金属層を前記基板から剥離することにより前記凸凹パターンが反転転写された表面を有する微細金属構造体を得る方法が提案されている。
特開2010−156005号公報 特開2007−44831号公報 特開2005−189128号公報
これらの微細構造体の製造において、生産性の観点からめっき技術が使用される場合が多いが、その目的は、絶縁物のメタライズ(無電解めっき)または凹凸形状が形成された部材(以下、「母型」ともいう。)への金属充填(電気めっき、電鋳)である。そして、この母型は、レジストワークやイオンビームなどの照射により通常形成される。これらの手法は露光装置や真空装置のような高価な装置を必要とするため、いかに転写技術を応用して量産性を高めようとしても、微細構造体の製造コストを低下させることは困難であった。
本発明は、このような技術背景を鑑み、めっき工程を用いつつ、母型を用いないで微細構造体を製造する方法およびその方法により製造された微細構造体を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために本発明者らが検討した結果、酸性のスズ−銅系のめっき液を用いて、めっき温度、電流密度および積算電流量を制御してめっきを行うことによって、母型を用いることなく、錐形状の突起部を複数有する構造体を製造することができるとの新たな知見を得た。
上記課題を解決するために提供される本発明は次のとおりである。
(1)水溶性第一スズ含有物質、水溶性銅含有物質、硫酸イオンおよびスルホン酸イオンの少なくとも一方、有機錯化剤、ならびに非イオン性界面活性剤を備える強酸性のスズ系めっき液を用いて、めっき温度を60℃以下、電流密度を10A/dm以下、かつ積算電流量を500Asec/dm以上としてめっきを行い、ほぼ薄板状の皮膜部と当該皮膜部の表面から突出し錐形状を有する複数の突起部を備え、当該突起部について、その底面の円換算直径に対する高さの比率であるアスペクト比が0.5以上、かつ皮膜部上の密度が前記皮膜部の投影面積1mmあたり100個以上であるスズ系めっき構造体を、前記突起部についての母型を用いることなく得ることを特徴とするスズ系めっき構造体の製造方法。
(2)前記突起部の底面の円換算直径が3μm以上20μm以下である上記(1)に記載の製造方法。
(3)前記アスペクト比が2以上である上記(1)または(2)に記載の製造方法。
(4)上記(1)から(3)のいずれか一項に記載される製造方法により製造されたスズ系めっき構造体。
上記の発明によれば、特別な母型を用いることなく、錐形状の突起部を複数有する微細構造体をめっきにより得ることが実現される。
実施例1から5の結果を示す図である。 実施例6および7の結果を実施例1の結果とともに示す図である。
以下、本発明について詳しく説明する。
1.スズ系めっき構造体
(1)組成
本発明に係るスズ系めっき構造体は、スズおよび合金成分ならびに不可避的な不純物からなる。
合金成分は銅(Cu)を含む。その他の合金成分は限定されず、Ag,Ni,Pb,FeおよびZnが例示される。合金成分の含有量も本発明に係るめっき構造体を製造できる限り任意である。一例を挙げれば、Cuが3質量%以下、Agが5質量%以下、Niが30質量%以下、Pbが5質量%以下、Feが5質量%以下、およびZnが30質量%以下である。
(2)構造
本発明に係るスズ系めっき構造体は、ほぼ薄板状の皮膜部と当該皮膜部の表面から突出し錐形状を有する複数の突起部とを備える。
皮膜部は、めっきにより製造された直後の構造体において基材に直接的に接触する部分であるから、製造過程において基材に接触していた一方の面(以下、「裏面」という。)は、基材の表面性状に対応した粗さを有する。この裏面の反対の面、すなわちおもて面には、複数の突起部が設けられている。おもて面における突起部が設けられていない部分の表面粗さは、Raで0.05μm以上0.4μm以下程度である。なお、おもて面に突起部が密に配置されている場合には、皮膜部のおもて面単独の表面性状を評価することは不可能となる。
突起部は、突起部の突出方向を法線とする断面の断面積について、底部よりも頂部の方が小さくなる錐形状(本発明においては、錐体の形状のみならず、錐台の形状も含むものとする。)を有し、典型的には先端部が尖っている(すなわち、錐体の形状を有する)。
突起部の底面の円換算直径に対する高さの比率であるアスペクト比は0.5以上である。突起部のアスペクト比が0.5未満の場合には、製造条件にも依存するが、皮膜部のおもて面の凹凸と突出部とを区別することができなくなる場合もある。突起部のアスペクト比の好ましい範囲はめっき構造体の用途によって変動する。したがって、用途に応じて設定される適切な範囲でアスペクト比を有することが好ましい。
突起部の皮膜部上の密度(以下、「分布密度」ともいう。)は、皮膜部の投影面積(すなわち、皮膜部の法線に垂直な平面への投影面積)1mmあたり100個以上である。この分布密度が100個/mm未満の場合には、めっき構造体が突起部を有することに基づいて有する機能が適切に果たされなくなることが懸念される。突起部の分布密度の好ましい範囲はめっき構造体の用途によって変動する。したがって、用途に応じて設定される適切な範囲の分布密度で突起部が設けられていることが好ましい。
突起部の底面の円換算直径の範囲は特に限定されない。この円換算直径の好適範囲もめっき構造体の用途によって変動する。したがって、用途に応じて設定される適切な範囲の円換算直径を有する突起部が設けられていることが好ましい。突起部の底面の円換算直径における適切な範囲の一例を挙げれば、3μm以上20μm以下である。
2.めっき液
本発明に係るめっき構造体は、水溶性第一スズ含有物質、水溶性銅含有物質、硫酸イオンおよびスルホン酸イオンの少なくとも一方、有機錯化剤、および非イオン性界面活性剤を含む酸性のスズ系めっき液を用いることにより、突起部の母型を用いることなくめっき工程によって製造される。
以下、各成分などについて詳しく説明する。
(1)水溶性第一スズ含有物質
本発明に係るめっき液は水溶性第一スズ含有物質を含む。「水溶性第一スズ含有物質」とは、スズの二価の陽イオン(Sn2+)およびこれを含有する水溶性物質からなる群から選ばれる一種または二種以上からなる物質をいう。
水溶性第一スズ含有物質をめっき液に供給する原料物質(本発明において、「第一スズ源」ともいう。)として、メタンスルホン酸第一スズ等のスルホン酸塩、硫酸第一スズ、塩化第一スズ等の無機酸塩、グルコン酸第一スズ、クエン酸第一スズ、乳酸第一スズ等のカルボン酸塩などが例示される。後述するように本発明に係るめっき液は硫酸イオンおよび/またはスルホン酸イオンを含有するため、第一スズ源として硫酸第一スズまたはメタンスルホン酸第一スズなどのスルホン酸第一スズを用いることが好ましい。
本発明に係るめっき液における水溶性第一スズ含有物質のスズ換算含有量は、50g/L以上80g/L以下とすることが好ましい。水溶性第一スズ含有物質の含有量が過度に低い場合にはスズ系めっきを析出させることができなくなる。一方、水溶性第一スズ含有物質の含有量が高い場合には、そのことに直接的に起因する不具合は特にないものの、めっき液の粘度が高くなって、得られためっきにおける突起部のアスペクト比が低くなったり分布密度が高くなったりする傾向を示すようになる。なお、第一スズ源の配合量が過度に高くなると、めっき液中にはめっき液に溶解した状態にある水溶性第一スズ含有物質とめっき液中で固体の状態にある第一スズ源とが含まれることとなり、このとき、水溶性第一スズ含有物質のめっき液中の含有量は第一スズ源の溶解度に依存する。
(2)水溶性銅含有物質
本発明に係るめっき液は一態様において水溶性銅含有物質を含む。「水溶性銅含有物質」とは、銅の一価の陽イオン(Cu)、銅の二価の陽イオン(Cu2+)、およびこれらの少なくとも一方のイオンを含有する水溶性物質からなる群から選ばれる一種または二種以上からなる物質をいう。水溶性銅含有物質は銅の一価の陽イオンまたはこれを含有する水溶性物質からなる群から選ばれる一種または二種以上からなる物質を含むことが好ましい。上記のように、本発明に係るめっき液は水溶性第一スズ含有物質を含有する。この水溶性第一スズ含有物質に含有されるスズの二価の陽イオンは、酸化性物質が共存すると四価の陽イオンになりやすくなってしまう。したがって、水溶性銅含有物質も還元性物質であるであることが好ましい。
水溶性銅含有物質をめっき液に供給する原料物質(本発明において、「銅源」ともいう。)として、塩化第一銅、塩化第二銅、硫酸銅、メタンスルホン酸銅、クエン酸銅、グルコン酸銅などを用いることが好ましい。これらの中でも銅の一価の陽イオンを含有する化合物が好ましい。
本発明に係るめっき液における水溶性銅含有物質の銅換算含有量は、0.4g/L以上3g/L以下とすることが好ましく、0.8g/L以上1.5g/L以下とすることがさらに好ましい。水溶性銅含有物質の含有量が過度に低い場合には析出するめっきにおける銅含有量が著しく減少し、突起部を有するめっき構造体を形成することができなくなってしまう。一方、水溶性銅含有物質の含有量が過度に高い場合には相対的にスズなどの他の元素のめっき中含有量が低下して、突起部を有するめっき構造体を形成することが困難となることが懸念される。
(3)硫酸イオン、スルホン酸イオン
本発明に係るめっき液は硫酸イオンおよびスルホン酸イオンの少なくとも一方を含有する。ここで、「スルホン酸」とは、スルホン酸基(−SOH)を含む有機酸であって、、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、ブタンスルホン酸、ペンタンスルホン酸等のアルキルスルホン酸;イセチオン酸、2−ヒドロキシペンタンスルホン酸等のヒドロキシアルキルスルホン酸;2−スルホ酢酸、2−スルホプロピオン酸、スルホコハク酸、クロロプロパンスルホン酸等のアルキルスルホン酸の水酸基以外の置換体;ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、クレゾールスルホン酸等の芳香族系スルホン酸が例示される。
本発明に係るめっき液におけるこれらの酸イオンの含有量は、酸換算の総量として、50g/L以上150g/L以下とすることが好ましく、70g/L以上120g/L以下とすることがさらに好ましい。これらの酸イオンの含有量が過度に低い場合にはめっき液が不安定になって沈澱が発生しやすくなることが懸念される。
めっき液の安定性の観点から、硫酸イオンおよびスルホン酸イオンの双方を含有することが好ましい。これらの酸イオンの双方を使用する場合における、硫酸イオンとスルホン酸イオンとの比率は特に限定されない。一例を挙げれば、硫酸イオン含有量/スルホン酸イオン含有量(モル比)として1/100以上5/100以下である。
(4)有機錯化剤
本発明に係るめっき液は有機錯化剤を含有する。有機錯化剤の中でもキレート剤が好ましく、そのようなキレート剤として、アミノポリカルボン酸系キレート剤、芳香族または脂肪族カルボン酸系キレート剤、アミノ酸系キレート剤、エーテルカルボン酸系キレート剤、ホスホン酸系キレート剤、リン酸キレート剤、ヒドロキシカルボン酸系キレート剤、高分子電解質(オリゴマー電解質を含む)系キレート剤、ポリアルコール、硫黄化合物系キレート剤が例示される。
これらのキレート剤の中でも硫黄化合物系キレート剤が好ましく、チオ尿素、エチレンチオウレア、ジエチルチオ尿素、ジブチルチオ尿素等のチオ尿素系化合物;ジチオエチレングリコール、1,3−プロパンジチオール、および1,4−ブタンジチオール、ジチオエリトリトール、ジチオトレイトール等のジチオール系化合物;ジメチルスルフィド、ジメチルジスルフィド、テトラヒドロチオフェン等のチオエーテル系化合物;メチルチオアセテート、エチルチオアセテート、プレニルチオアセテート、フルフリルチオアセテート等のチオエステル系化合物などが例示される。
これらの硫黄化合物系キレート剤の中でもチオエーテル系化合物の一種であるチオエタン化合物が特に好ましい。ここで、チオエタン化合物とは、一般式:R−S(CHCHS)−Rで示される化合物である。式中、RおよびRは同じでも異なっていてもよく、それぞれ−CHOH、−COH、−COH、−CHNH、−CNH、−CNHから選ばれ、nは1〜3の整数である。
本発明に係るめっき液における有機錯化剤の含有量は、5g/L以上15g/L以下とすることが好ましく、7g/L以上12g/L以下とすることがさらに好ましい。有機錯化剤の含有量が過度に低いあるいは過度に高い場合には、めっき液が不安定になったり、析出するめっきの組成が所期の範囲から外れて突起部を有するめっき構造体を形成することが困難となったりする。
(5)非イオン性界面活性剤
本発明に係るめっき液は非イオン性界面活性剤を含有する。非イオン界面活性剤としては次のものが例示される:
(i)一般式:R−O−(A)−H(式中、Rはアルキル基またはアルケニル基、Aは−CHCHO−(=エチレンオキシ基)、−CH−CH(CH)O−(=プロピレンオキシ基)、およびそれらの組み合わせ、nは1〜40の整数)で示される、飽和または不飽和アルコールのアルキレンオキサイド付加物;
(ii)一般式:R‘−Ar−O−(A)−H(式中、R’は水素またはアルキルもしくはアルケニル基、Arはフェニル、ナフチル等の芳香族炭化水素基、Aおよびnは上記と同じ)で示される、フェノールもしくはナフトールまたはアルキルもしくはアルケニルフェノールもしくはナフトールのアルキレンオキサイド付加物;
(iii)一般式:R−COO−(A)−H(式中、R、Aおよびnは上記と同じ)で示される、飽和または不飽和脂肪酸のアルキレンオキサイド付加物;および
(iv)一般式:R−N[(A)−H](式中、R、Aおよびnは上記と同じ)で示される、飽和または不飽和脂肪族アミンのアルキレンオキサイド付加物。
上記の非イオン界面活性剤の具体例を例示すると次のとおりである。これらは、1種のみ用いることもできるし、2種以上を組み合わせて用いることもできる:
メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ヘキサノール、2−エチルヘキサノール、アリルアルコール等の飽和または不飽和アルコールのエチレンオキサイド(EO)付加物またはエチレンオキサイド/プロピレンオキサイド(EO/PO)付加物;オクチルフェノール、ノニルフェノール、α−ナフトール、β−ナフトール等のEO付加物またはEO/PO付加物;オレイン酸、ラウリル酸、ステアリン酸などの飽和または不飽和脂肪酸のポリオキシエチレンエステル;ラウリルアミン、ステアリルアミン、ヤシ油アミン等の飽和または不飽和脂肪族アミンのEO付加物またはEO/PO付加物。
本発明に係るめっき液における非イオン性界面活性剤の含有量は、10g/L以上40g/L以下とすることが好ましく、17g/L以上23g/L以下とすることがさらに好ましい。非イオン性界面活性剤の含有量が過度に低いあるいは過度に高い場合には、突起部を有するめっき構造体を形成することが困難となる。
(6)その他の成分
本発明に係るめっき液は、突起部を有するめっき構造体の形成に著しい悪影響を与えない限り、上記の成分に加えて他の成分を含有してもよい。そのような成分として、光沢剤、酸化防止剤、消泡剤等が例示される。
光沢剤として、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、パラアルデヒド等の低級脂肪族アルデヒド、アクリル酸、メタアクリル酸、アクリル酸メチル、メタアクリル酸メチル、アクリルアミド、メタクリルアミド、クロトン酸等のオレフィン化合物、ベンズアルデヒド、o−クロルベンズアルデヒド、シンナムアルデヒド、アニスアルデヒド、1−ナフトアルデヒド等の芳香族アルデヒド、ベンザルアセトン等の芳香族ケトン、o−クロルアニリン等の芳香族アミンや、酒石酸アンチモニルカリウム、酸化ビスマス、硝酸ビスマス等の金属化合物が例示される。光沢剤の含有量は限定されず、一例を挙げれば、0.1g/L以上50g/L以下である。
酸化防止剤として、フェノール、カテコール、レゾルシン、ヒドロキノン、ピロガロール等のヒドロキシフェニル化合物や、L−アスコルビン酸、ソルビトール等が例示される。酸化防止剤の含有量は限定されず、一例を挙げれば、0.5g/L以上10g/L以下である。なお、有機錯化剤が還元性物質である場合には、その錯化剤が酸化防止剤の機能を有しているため、酸化防止剤を含有させなくともよい。
(7)溶媒、pH
本実施形態に係るめっき液の溶媒は水を主成分とする。水以外の溶媒としてアルコール、エーテル、ケトンなど水への溶解度が高い有機溶媒を混在させてもよい。この場合には、めっき液全体の安定性および廃液処理への負荷の緩和の観点から、その比率は全溶媒に対して10体積%以下とすることが好ましい。
本実施形態に係るめっき液は強酸性であり、そのpHは通常1以下である。前述の硫酸イオンおよび/またはスルホン酸イオンをめっき液に含有させるにあたり、硫酸および/またはスルホン酸を全量または一部使用することにより、酸としての濃度を調整することができる。
3.めっき条件
上記のめっき液を用いてめっきを行うにあたり、突起部を備える構造体を得るために、次のめっき条件下でめっきを行う。めっき条件を下記のとおり制御してめっきを行うことにより、突起部を形成するための母型を特に必要とすることなく、得られためっき構造体について、アスペクト比が0.5以上の突起部の分布密度を100個/mmとすることが安定的に実現される。
(1)めっき温度
めっき温度は60℃以下とする。本発明に係る構造体における突起部は、めっき液中の金属イオンを析出させるにあたり、その核成長速度を核生成速度よりも大きくすることによって形成されるところ、めっき温度が過度に高い場合には核成長速度および核生成速度核生成について上記の関係を維持できなくなり、突起部が成長するよりも皮膜部の厚さが増大する方が支配的になってしまう。このため、めっき温度が60℃を超えると、他のめっき条件を制御してもアスペクト比が0.5以上の突起部の密度を100個/mmとすることが特に困難となる。
めっき温度の下限は突起部の成長の観点からは限定されないが、めっき温度が過度に低い場合にはめっき速度が低下するため生産性が著しく低下し、さらにめっき温度が低下すればめっきを行うことが困難になる。したがって、めっき温度は20℃以上とすることが好ましい。
なお、一般的傾向として、めっき温度が高いほど、個々の突起部の体積は増加するが、突起部の分布密度は低下する。この傾向はめっき温度が高いほどめっき領域における金属イオンの拡散速度が大きくなって突起部に到達しやすくなることを一因とする。
(2)電流密度
電流密度は10A/dm以下とする。皮膜部上に突起部が形成されると、その突起部は電界集中によって電流密度が高まるため突起部へのめっきの析出が促進されるが、突起部の面積は有限でありめっき液中の金属イオンの拡散速度にも上限が存在するため、突起部の電流密度が高まって突起部の成長速度が大きくなることには上限が存在する。一方、めっき条件としての電流密度を高めると、皮膜部では核生成に基づくめっきの成長が促進されるため、めっき条件としての電流密度が過度に高まると、突起部の成長よりも皮膜部の成長の方が支配的になってしまう。このため、電流密度が10A/dmを超えると、他のめっき条件を制御してもアスペクト比が0.5以上の突起部の密度を100個/mmとすることが特に困難となる。
電流密度の下限は突起部の成長の観点からは限定されないが、電流密度が過度に低い場合にはめっき速度が低下するため生産性が著しく低下する。したがって、電流密度は1A/dm以上とすることが好ましい。
なお、一般的傾向として、電流密度が高いほど、個々の突起部のアスペクト比は大きくなるが、突起部の分布密度は低下する。この傾向は、電流密度が高いと突起部の電界集中が促進される一方、めっき領域における金属イオンが突起部に到達する前に皮膜部に析出してしまう場合も増えることを一因とする。
(3)積算電流量
積算電流量は500Asec/dm以上とする。積算電流量が過度に少ない場合には、突起部の成長が不十分であるため、他のめっき条件を制御してもアスペクト比が0.5以上の突起部の密度を100個/mmとすることが特に困難となる。
積算電流量の上限は確定的に限定されないが、他のめっき条件を調整することにより突起部の分布密度が高くなっている場合には、積算電流量が過度に多くなると、近位に位置する突起部同士が連結して突起部のアスペクト比が著しく低下したり、突起部としての形状(錐形状)を維持できなくなったりすることが懸念される。したがって、積算電流量の上限は求められるめっき構造体の形状に合わせて適宜設定されるべきものである。
なお、一般的傾向として、積算電流量が大きいほど突起部の分布密度は高まり、個々の突起部の体積は増加する。したがって、めっき温度、電流密度および積算電流量を調整することによって、突起部の形状および分布密度を制御することが実現される。
4.めっき構造体の用途
本発明に係るめっき構造体は生産性に優れ、しかも突起部の形状や分布密度を制御することが可能であるから、様々な用途に使用することができる。
例えば、二次電池の電極に使用することができる。二次電池の電極材料としてスズ系の材料が使用される場合があり、その場合には電極の表面積が大きいことが定格電流を高める観点から好ましい。本発明に係るめっき構造体は、スズ系のめっきからなり、しかも突起部を多数有するため見かけの面積に対する表面積の比率が大きい。したがって、本発明に係るめっき構造体を二次電池の電極として使用すれば、かかる電極を備える電池は高電流対応の電池となりうる。
また、上記のように本発明に係るめっき構造体は見かけの面積に対する表面積の比率が大きいため、半導体装置のような駆動時に発熱する装置に直接的あるいは間接的に接触するように本発明に係るめっき構造体を配置すれば、効率的な放熱部材となる。
あるいは、樹脂などの接合部材により固定させる部品の接合部材との接合面に本発明に係るめっき構造体を設ければ、接合部材中にめっき構造体の突起部が埋設されるアンカー効果によって、その部品の接合部材に対する接合強度を増加させることができる。
以下、本発明の効果を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
[実施例1]
(1)めっき液の調製
いずれもユケン工業(株)製の下記のスズめっき用組成物を用いてめっき液を調整した。
メタスAM−P(アルキルスルホン酸を含む。):100ml/L
メタスSM4(第一スズ源を含む。):150ml/L
メタスCU(銅源を含む。):10ml/L
メタスFCM−22A(非イオン界面活性剤等を含む。):40ml/L
メタスFCM−22B(光沢剤等を含む。):16ml/L
メタスCH(有機錯化剤等を含む。):75ml/L
(2)めっき処理
得られためっき液を用いて、めっき条件を表1に示されるように設定してめっきを行った。なお、めっきの基板はリン脱酸銅C1220であって、公知の方法で洗浄・活性化を行ったものとした。
(3)結果
上記のめっき処理により得られためっき構造体を、集束イオンビーム加工装置(日本電子(株) JEM−9320FIB)にて観察した。その結果を図1および図2に示す。

Claims (4)

  1. 水溶性第一スズ含有物質、水溶性銅含有物質、硫酸イオンおよびスルホン酸イオンの少なくとも一方、有機錯化剤、ならびに非イオン性界面活性剤を含有する強酸性のスズ系めっき液を用いて、
    めっき温度を60℃以下、電流密度を10A/dm以下、かつ積算電流量を500Asec/dm以上としてめっきを行い、
    ほぼ薄板状の皮膜部と当該皮膜部の表面から突出し錐形状を有する複数の突起部とを備え、当該突起部について、その底面の円換算直径に対する高さの比率であるアスペクト比が0.5以上、かつ皮膜部上の密度が前記皮膜部の投影面積1mmあたり100個以上であるスズ系めっき構造体を、前記突起部についての母型を用いることなく得ること
    を特徴とするスズ系めっき構造体の製造方法。
  2. 前記突起部の底面の円換算直径が3μm以上20μm以下である請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記アスペクト比が2以上である請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 請求項1から3のいずれか一項に記載される製造方法により製造されたスズ系めっき構造体。
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