JP2015036449A - 電気高純度スズ又はスズ合金メッキ浴及び当該メッキ浴で形成した突起電極 - Google Patents

電気高純度スズ又はスズ合金メッキ浴及び当該メッキ浴で形成した突起電極 Download PDF

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哲治 西川
清貴 辻
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清貴 辻
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Abstract

【課題】 スズ又は特定のスズ合金メッキで突起電極を形成する際に、ボイドの発生を抑制する。【解決手段】 (A)純度99.99%以上の高純度スズの可溶性塩と、当該第一スズ塩及び銀、銅から選ばれた金属の塩の混合物とのいずれかよりなる可溶性塩と、(B)チアアルカン型、又はオキシアルキレン型の特定の脂肪族スルフィド化合物とを含有する電気高純度スズ又はスズ合金メッキ浴である。特定のスルフィド化合物を添加し、高純度スズの第一スズ塩を用いるため、突起電極を構成するスズ系皮膜中のβ−スズのうち、{431}面群、{411}面群などの特定の結晶面群の配向性指数が所定以上に大きくなり、当該結晶面群が素地表面に平行になるため、β−スズの結晶粒界に空隙の少ない皮膜を形成することができ、ボイドの発生を抑制するものと推定される。【選択図】 なし

Description

本発明は、電気高純度スズ又はスズ合金メッキ浴、並びに当該電気メッキ浴を用いて形成した高純度スズ又はスズ合金の突起電極に関して、突起電極をメッキした後のリフロー工程においてボイドの発生を顕著に低減できるものを提供する。
近年、電子及び電気機器のコンパクト化に伴い、半導体チップの電極と基板とを突起電極を介して一括接合する方式が多く採用されている。
一般に、半導体搭載基板では、スズ又はスズ合金メッキにより突起電極を形成した後、リフロー処理にて突起電極を溶融して球体状にするが、このリフロー工程では、スズ又はスズ合金皮膜中のβ−スズの結晶粒界間に多数の空隙が生じ、その空隙に内包された液体が気化して膨張し、溶融した金属内部から放出されることにより、突起電極表面に多数のボイド(空洞)が発生するという問題がある。
この突起電極におけるボイドの発生は、いわばスズ又はスズ合金皮膜中のβ−スズ結晶の性状に由来することが考えられる。
本出願人は、先に、スズ又はスズ合金メッキを施した金属被覆材料において、メッキ皮膜中のβ−スズ結晶の配向性を制御する技術を提案した。
即ち、特許文献1は、素地金属上に電気スズ又はスズ−鉛合金メッキを施した表面被覆材料であって、表面被覆材料に加える外力方向に対して、当該メッキ皮膜中のβ−スズの結晶格子におけるミラー指数の〈001〉方向が90〜35度の高角度になるようにβ−スズの結晶を優先配向させることにより、メッキ処理したリードや電極などの電子部品に曲げ加工などの後処理を施す場合に、削れ屑の発生量を低く抑制できるものである(請求項1〜2、5、段落6、25)。
特許文献2は、素地金属上に鉛を含まないスズ合金を電気メッキした表面被覆材料であって、素地表面の法線方向に対して、メッキ皮膜中のβ−スズの結晶格子におけるミラー指数の〈001〉方向が0〜40.8度の低角度になるようにβ−スズの結晶を優先配向させることにより、皮膜硬度を高めて耐摩耗性を向上するものである(請求項1、段落1、7、24)。
特許文献3は、素地金属上に鉛を含まないスズ合金を電気メッキした表面被覆材料であって、素地表面の法線方向に対して、メッキ皮膜中のβ−スズの結晶格子におけるミラー指数の〈001〉方向が50.7〜90度の高角度になるようにβ−スズの結晶を優先配向させることにより、素地表面に沿う変形力の向きに滑り易くなってメッキ皮膜の潤滑性を改善するものである(請求項1、段落1、5〜6、23)。
特開平10−072694号公報 特開2001−089894号公報 特開2001−098396号公報
突起電極にボイドが発生すると、その後に接合部でクラックが発生する原因となり、接合の信頼性を著しく低下させることになる。
本発明は、スズ又は特定のスズ合金メッキで突起電極を形成する際に、ボイドの発生を抑制することを技術的課題とする。
本出願人は、先に、特開2001−254194号公報(以下、先行文献1という)で、メッキ皮膜の均一性、平滑性、或いはハンダ濡れ性を改善する目的で、チオビス(ペンタエチレングリコール)、チオビス(オクタエチレングリコール)、チオビス(デカエチレングリコール)、チオビス(ウンデカエチレングリコール)などから選ばれたオキシアルキレン構造を有する脂肪族スルフィド化合物を含有するスズメッキ浴、或いはスズ−鉛合金メッキ浴を提案した(請求項1、段落1、6、17、45参照)。
また、特開2010−265491号公報(以下、先行文献2という)で、メッキ皮膜の均一性、平滑性を向上し、バレルメッキに適用した場合にダミーや被メッキ物同士の凝集を防止する目的で、ジベンゾチアゾリルジスルフィドジスルホン酸、ジベンゾチアゾリルジスルフィドトリスルホン酸、ジベンゾオキサゾリルジスルフィドジスルホン酸などから選ばれたジベンゾアゾールジスルフィドジスルホン酸化合物を含有するスズメッキ浴、或いはスズ−銀合金、スズ−銅合金、スズ−ビスマス合金などのスズ合金メッキ浴を提案した(請求項1、段落1、13、18〜19、22参照)。
本発明者らは、スズ又はスズ合金を材質とする突起電極のボイドを防止する問題については、先ず、前記特許文献1〜3に示したように、スズ又はスズ合金皮膜中のβ−スズの配向性を制御して、皮膜の性状を変化させる観点からアプローチすることが考えられ、さらには、上記先行文献1〜2に示す通り、例えば、スズ又はスズ合金メッキ浴にある種のスルフィド化合物を含有して、得られるメッキ皮膜の均一性や平滑性を改善する観点からアプローチすることも考えられ、これらを総合的に検討することで、当該ボイドの問題の解消が期待できるのではないかと着想した。
そして、この着想に基づいて鋭意研究を重ねた結果、電気スズ又はスズ合金メッキ浴に特定のスルフィド化合物を添加し、且つ、第一スズ塩に高純度スズの可溶性塩を選択すると、突起電極を構成するスズ系皮膜中のβ−スズのうち、{431}面群、{411}面群などの特定の結晶面群の配向性指数が所定以上に大きくなり、当該結晶面群が素地表面に平行になるように配向するため、β−スズの結晶粒界間に空隙の少ない皮膜を形成して、ボイドの発生を有効に抑制できることを見い出した。
即ち、本発明1は、(A)第一スズ塩と、第一スズ塩及び銀、銅から選ばれた金属の塩の混合物とのいずれかよりなる可溶性塩と、
(B)脂肪族スルフィド化合物とを含有する電気スズ又はスズ合金メッキ浴において、
上記(A)の可溶性第一スズ塩は純度99.99%以上の高純度スズの可溶性塩であり、
上記(B)のスルフィド化合物は、次の式(1)、式(2)から選ばれた脂肪族スルフィド化合物の少なくとも一種である
X−R1-S-(CH2CH2S)m-R2−X …(1)
(式(1)中、R1,R2はC2〜C4アルキレンである;XはOH、SO3H、SO3M(Mはアルカリ金属、アンモニア又はアミン)である;mは1〜2の整数である。)
H-(OA)n-S-(OA)n−H …(2)
(式(2)中、Aはエチレン又はプロピレン、但し、エチレンのモル数/プロピレンのモル数≧1である;nは5〜25の整数である。)
ことを特徴とする電気高純度スズ又はスズ合金メッキ浴である。
本発明2は、上記本発明1の高純度スズ又はスズ合金メッキ浴を用いて、半導体ウエハー又は基板上に電気メッキにより形成した高純度スズ又はスズ合金突起電極である。
本発明3は、電気スズ又はスズ合金メッキ浴を用いて半導体ウエハー又は基板上に形成したスズ又はスズ合金を材質とする突起電極において、
上記電気スズ又はスズ合金メッキ浴が上記本発明1の高純度メッキ浴であり、
上記突起電極中の高純度β−スズの結晶面のX線回折パターンに基づいて次式(A)により算出した{431}面群、{411}面群、{321}面群又は{301}面群のうちの少なくとも1つの面群の配向性指数Xhklが6以上である
Xhkl=(Ihkl/I0hkl)/{(1/n)×Σ[Ihkl/I0hkl]}…(A)
(式(A)において、Xhkl は (hkl)面の配向性指数である;IhklはX線回折により得られた(hkl)面の相対的回折強度である;I0hklは 配向のない粉末の(hkl)面の標準的な回折強度である;nは 回折面の数である。)
ことを特徴とする高純度スズ又はスズ合金突起電極である。
本発明4は、上記本発明2又は3において、高純度スズ合金中のスズの相手方の金属の含有率が銀では0.1〜3.5重量%、銅では0.1〜2.0重量%であることを特徴とする高純度スズ合金突起電極である。
本発明5は、上記本発明2〜4のいずれかにおいて、高純度スズ又はスズ合金メッキ皮膜の高さが0.1〜150μmであることを特徴とする高純度スズ又はスズ合金突起電極である。
可溶性第一スズ塩に高純度スズ塩を選択し、特定のスルフィド化合物を含有する電気スズ又はスズ合金メッキ浴を用いて基板の突起電極を形成することで、突起電極を構成する皮膜中のβ−スズの特定の結晶面群を素地表面に対して平行になるように配向できる(つまり、特異な配向性を有する結晶で構成する)ため、β−スズの結晶粒界が整列し、結晶粒界間にほとんど空隙のない突起電極を形成できる。
このため、β−スズの配向性を制御したスズ又はスズ合金メッキ皮膜では、従来の皮膜で形成した突起電極に比して、リフロー処理によるボイドの発生を顕著に抑制でき、突起電極の接合の信頼性を高められる。
本発明は、第一に、特定のスルフィド化合物を添加し、且つ、第一スズ塩に高純度スズの可溶性塩を選択した高純度スズ又はスズ合金の電気メッキ浴であり、第二に、当該高純度スズ又はスズ合金メッキ浴を用いて電気メッキで半導体ウエハー又は基板上に形成した突起電極であり、特に、当該高純度スズ又はスズ合金メッキ浴を用いることにより、突起電極を構成するスズ系皮膜中のβ−スズのうち、{431}面群、{411}面群などの特定の結晶面群の配向性指数を所定値以上に大きくなるように制御した突起電極である。
本発明1の電気スズ又はスズ合金メッキ浴において、可溶性第一スズ塩は高純度スズの可溶性塩であることが必要である。
上記高純度スズとは、純度99.99%以上の純度のスズを意味し、好ましくは99.999%以上、さらに好ましくは99.9999%以上の純度のスズである。
この様な高純度のスズは、放射性同位体の含有量が極めて少ないため、放射性α粒子のカウント数が0.005cph/cm2以下になってソフトエラーの発生抑制に大いに寄与するという利点もある。
上記可溶性スズ塩としては、硫酸第一スズ、酢酸第一スズ、ホウフッ化第一スズ、スルファミン酸第一スズ、ピロリン酸第一スズ、グルコン酸第一スズ、酒石酸第一スズ、酸化第一スズ、メタンスルホン酸第一スズ、2−ヒドロキシエタンスルホン酸第一スズ、2−ヒドロキシプロパンスルホン酸第一スズなどであり、スズ塩を構成するスズがいずれも高純度スズからなる可溶性塩が挙げられる。
高純度スズの可溶性塩は、常法により製造することができる。例えば、電解製造法にて製造する場合、酸水溶液中に陽極と陰極を配置し、99.99%以上の純度のスズを陽極として用い、直流電圧を陽極と陰極に印加して、陽極を酸水溶液中に溶解させることにより製造することができる。
上記高純度スズの可溶性塩は単用又は併用でき、そのメッキ液に対する含有量は金属として0.1〜300g/L、好ましくは5〜150g/Lである。
本発明1のスズ合金は、スズと、銀及び銅から選ばれた金属との合金であり、スズ−銀合金、スズ−銅合金、スズ−銀−銅合金が挙げられる。
スズ合金メッキ浴に含有される可溶性銀塩としては、硫酸銀、亜硫酸銀、炭酸銀、硝酸銀、酸化銀、スルホコハク酸銀、有機スルホン酸の銀塩、クエン酸銀、酒石酸銀、グルコン酸銀、シュウ酸銀などが挙げられる。
可溶性銀塩のメッキ液に対する含有量は、金属として0.005〜30g/L、好ましくは0.05〜5g/Lである。
また、可溶性銅塩としては、硫酸銅、酸化銅、炭酸銅、酢酸銅、ピロリン酸銅、シュウ酸銅、有機スルホン酸の銅塩などが挙げられる。
可溶性銀塩、或いは可溶性銅塩のメッキ液に対する含有量は、共に金属イオン換算で0.005〜30g/L、好ましくは0.05〜5g/Lである。
また、メッキ浴に対する可溶性第一スズ塩と、銀、銅の可溶性金属塩との浴中の総濃度は、金属塩換算で0.1〜300g/L、好ましくは5〜150g/Lである。
尚、スズと相手方の金属(銀、銅)の混合割合は、所望するスズ合金メッキ皮膜の組成比に応じて適宜決定される。
本発明のスズ又はスズ合金メッキ浴には、上記一般式(1)で表される化合物、上記一般式(2)で表される化合物から選ばれた脂肪族スルフィド化合物を単用又は併用することが必要である。
このうち、一般式(1)で表されるチアアルカン型の脂肪族スルフィド化合物としては、3,6−ジチアオクタン−1,8−ジオール、3,6,9−トリチアウンデカン−1,11−ジオール、4,7−ジチアデカン−1,10−ジオール、4,7,10−トリチアトリデカン−1,13−ジオール、4,7−ジチアデカン−1,10−ジスルホン酸、5,8−ジチアドデカン−1,12−ジスルホン酸、3,6−ジチアオクタン−1,8−ジスルホン酸、5,8,11−トリチアペンタデカン−1,15−ジスルホン酸、又はこれらの塩(Na、K、アミン、アンモニウム)などが挙げられる。
この場合、一般式(1)において、R1、R2が共にエチレン、XがOH、付加数mが1の場合には、HO−CH2CH2−S−CH2CH2S−CH2CH2−OHで表わされる3,6−ジチアオクタン−1,8−ジオールを意味する。
1、R2が共にプロピレン、XがOH、付加数mが1の場合には、HO−CH2CH2CH2−S−CH2CH2S−CH2CH2CH2−OHで表わされる4,7−ジチアデカン−1,10−ジオールを意味する。
1、R2が共にプロピレン、XがSO3Na、付加数mが2の場合には、NaO3S−CH2CH2CH2−S−(CH2CH2S)2−CH2CH2CH2−SO3Naで表わされる4,7,10−トリチアトリデカン−1,13−ジスルホン酸ナトリウムを意味する。
上記チアアルカン型のスルフィド化合物のメッキ浴に対する含有量は0.1〜100g/L、好ましくは1〜20g/Lである。スズ合金メッキ浴の場合には、通常、含有する銀及び銅の総量に対して4〜10倍モルで使用する。
一方、一般式(2)で表されるオキシアルキレン型の脂肪族スルフィド化合物としては、チオビス(ペンタエチレングリコール)、チオビス(オクタエチレングリコール)、チオビス(デカエチレングリコール)、チオビス(ウンデカエチレングリコール)、チオビス(ドデカエチレングリコール)、チオビス(トリデカエチレングリコール)、チオビス(テトラデカエチレングリコール)、チオビス(ペンタデカエチレングリコール)、チオビス(エイコサエチレングリコール)、チオビス(トリアコンタエチレングリコール)などが挙げられる。
この一般式(2)では、Aはエチレン、プロピレンであり、オキシエチレン鎖のモル数はオキシプロピレン鎖のモル数に等しいか、オキシプロピレン鎖のモル数より多い。また、オキシアルキレンの付加数nは5〜25の整数であるが、好ましい付加数は10〜20である。
一般式(2)において、Aがエチレン、付加数nが5の場合、H−(OCH2CH25−S−(CH2CH2O)5−Hで表わされるチオビス(ペンタエチレングリコール)を意味する。
また、Aがエチレン、付加数nが12の場合には、H−(OCH2CH212−S−(CH2CH2O)12−Hで表わされるチオビス(ドデカエチレングリコール)を意味する。
上記オキシアルキレン型のスルフィド化合物のメッキ浴に対する含有量は1〜300g/L、好ましくは10〜150g/Lである。
本発明のスズ又はスズメッキ浴には有機酸、無機酸又はその塩を浴のベース成分として含有する。
上記有機酸にはアルカンスルホン酸、アルカノールスルホン酸、芳香族スルホン酸等の有機スルホン酸、或いは脂肪族カルボン酸などが挙げられ、無機酸にはホウフッ化水素酸、ケイフッ化水素酸、スルファミン酸、硫酸、硝酸などが挙げられる。その塩は、アルカリ金属の塩、アンモニウム塩、アミン塩、スルホン酸塩などである。
金属塩の溶解性や排水処理の容易性の観点から有機スルホン酸が好ましい。
上記無機酸、有機酸又はその塩は単用又は併用でき、メッキ浴中での含有量は0.1〜12モル/Lであり、好ましくは0.2〜3.0モル/Lである。
上記アルカンスルホン酸としては、化学式CnH2n+1SO3H(例えば、n=1〜5、好ましくは1〜3)で示されるものが使用でき、具体的には、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1―プロパンスルホン酸、2―プロパンスルホン酸、1―ブタンスルホン酸、2―ブタンスルホン酸、ペンタンスルホン酸などの外、ヘキサンスルホン酸、デカンスルホン酸、ドデカンスルホン酸などが挙げられる。
上記アルカノールスルホン酸としては、化学式CmH2m+1-CH(OH)-CpH2p-SO3H(例えば、m=0〜6、p=1〜5)で示されるものが使用でき、具体的には、2―ヒドロキシエタン―1―スルホン酸、2―ヒドロキシプロパン―1―スルホン酸、2―ヒドロキシブタン―1―スルホン酸、2―ヒドロキシペンタン―1―スルホン酸などの外、1―ヒドロキシプロパン―2―スルホン酸、3―ヒドロキシプロパン―1―スルホン酸、4―ヒドロキシブタン―1―スルホン酸、2―ヒドロキシヘキサン―1―スルホン酸、2―ヒドロキシデカン―1―スルホン酸、2―ヒドロキシドデカン―1―スルホン酸などが挙げられる。
上記芳香族スルホン酸は、基本的にはベンゼンスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸、フェノールスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、アルキルナフタレンスルホン酸などであって、具体的には、1−ナフタレンスルホン酸、2―ナフタレンスルホン酸、トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、p―フェノールスルホン酸、クレゾールスルホン酸、スルホサリチル酸、ニトロベンゼンスルホン酸、スルホ安息香酸、ジフェニルアミン―4―スルホン酸などが挙げられる。
上記脂肪族カルボン酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、クエン酸、酒石酸、グルコン酸、スルホコハク酸、トリフルオロ酢酸などが挙げられる。
本発明のスズ又はスズ合金メッキ浴には、界面活性剤を初め、光沢剤、半光沢剤、平滑剤、酸化防止剤、pH調整剤、錯化剤、導電性塩などの各種添加剤を含有することができる。
上記界面活性剤には通常のノニオン系、アニオン系、両性、或はカチオン系などの各種界面活性剤が挙げられ、メッキ皮膜の外観、緻密性、平滑性、密着性などの改善に寄与する。
上記アニオン系界面活性剤としては、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩などが挙げられる。カチオン系界面活性剤としては、モノ〜トリアルキルアミン塩、ジメチルジアルキルアンモニウム塩、トリメチルアルキルアンモニウム塩などが挙げられる。ノニオン系界面活性剤としては、C1〜C20アルカノール、フェノール、ナフトール、ビスフェノール類、C1〜C25アルキルフェノール、アリールアルキルフェノール、C1〜C25アルキルナフトール、C1〜C25アルコキシルリン酸(塩)、ソルビタンエステル、ポリアルキレングリコール、C1〜C22脂肪族アミドなどにエチレンオキシド(EO)及び/又はプロピレンオキシド(PO)を2〜300モル付加縮合させたものなどが挙げられる。両性界面活性剤としては、カルボキシベタイン、イミダゾリンベタイン、スルホベタイン、アミノカルボン酸などが挙げられる。
上記光沢剤、半光沢剤としては、ベンズアルデヒド、o−クロロベンズアルデヒド、2,4,6−トリクロロベンズアルデヒド、m−クロロベンズアルデヒド、p−ニトロベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、フルフラール、1−ナフトアルデヒド、2−ナフトアルデヒド、2−ヒドロキシ−1−ナフトアルデヒド、3−アセナフトアルデヒド、ベンジリデンアセトン、ピリジデンアセトン、フルフリルデンアセトン、シンナムアルデヒド、アニスアルデヒド、サリチルアルデヒド、クロトンアルデヒド、アクロレイン、グルタルアルデヒド、パラアルデヒド、バニリンなどの各種アルデヒド、トリアジン、イミダゾール、インドール、キノリン、2−ビニルピリジン、アニリン、フェナントロリン、ネオクプロイン、ピコリン酸、チオ尿素類、N―(3―ヒドロキシブチリデン)―p―スルファニル酸、N―ブチリデンスルファニル酸、N―シンナモイリデンスルファニル酸、2,4―ジアミノ―6―(2′―メチルイミダゾリル(1′))エチル―1,3,5―トリアジン、2,4―ジアミノ―6―(2′―エチル―4―メチルイミダゾリル(1′))エチル―1,3,5―トリアジン、2,4―ジアミノ―6―(2′―ウンデシルイミダゾリル(1′))エチル―1,3,5―トリアジン、サリチル酸フェニル、或は、ベンゾチアゾール、2−メルカトプトベンゾチアゾール、2―メチルベンゾチアゾール、2―アミノベンゾチアゾール、2―アミノ―6―メトキシベンゾチアゾール、2―メチル―5―クロロベンゾチアゾール、2―ヒドロキシベンゾチアゾール、2―アミノ―6―メチルベンゾチアゾール、2―クロロベンゾチアゾール、2,5―ジメチルベンゾチアゾール、5―ヒドロキシ―2―メチルベンゾチアゾール等のベンゾチアゾール類などが挙げられる。
上記平滑剤としては、β−ナフトール、β−ナフトール−6−スルホン酸、β−ナフタレンスルホン酸、m−クロロベンズアルデヒド、p−ニトロベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、(o−、p−)メトキシベンズアルデヒド、バニリン、(2,4−、2,6−)ジクロロベンズアルデヒド、(o−、p−)クロロベンズアルデヒド、1−ナフトアルデヒド、2−ナフトアルデヒド、2(4)−ヒドロキシ−1−ナフトアルデヒド、2(4)−クロロ−1−ナフトアルデヒド、2(3)−チオフェンカルボキシアルデヒド、2(3)−フルアルデヒド、3−インドールカルボキシアルデヒド、サリチルアルデヒド、o−フタルアルデヒド、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、パラアルデヒド、ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−バレルアルデヒド、アクロレイン、クロトンアルデヒド、グリオキサール、アルドール、スクシンジアルデヒド、カプロンアルデヒド、イソバレルアルデヒド、アリルアルデヒド、グルタルアルデヒド、1−ベンジリデン−7−ヘプタナール、2,4−ヘキサジエナール、シンナムアルデヒド、ベンジルクロトンアルデヒド、アミン−アルデヒド縮合物、酸化メシチル、イソホロン、ジアセチル、ヘキサンジオン−3,4、アセチルアセトン、3−クロロベンジリデンアセトン、sub.ピリジリデンアセトン、sub.フルフリジンアセトン、sub.テニリデンアセトン、4−(1−ナフチル)−3−ブテン−2−オン、4−(2−フリル)−3−ブテン−2−オン、4−(2−チオフェニル)−3−ブテン−2−オン、クルクミン、ベンジリデンアセチルアセトン、ベンザルアセトン、アセトフェノン、(2,4−、3,4−)ジクロロアセトフェノン、ベンジリデンアセトフェノン、2−シンナミルチオフェン、2−(ω−ベンゾイル)ビニルフラン、ビニルフェニルケトン、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、クロトン酸、プロピレン−1,3−ジカルボン酸、ケイ皮酸、(o−、m−、p−)トルイジン、(o−、p−)アミノアニリン、アニリン、(o−、p−)クロロアニリン、(2,5−、3,4−)クロロメチルアニリン、N−モノメチルアニリン、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、N−フェニル−(α−、β−)ナフチルアミン、メチルベンズトリアゾール、1,2,3−トリアジン、1,2,4−トリアジン、1,3,5−トリアジン、1,2,3−ベンズトリアジン、イミダゾール、2−ビニルピリジン、インドール、キノリン、モノエタノールアミンとo−バニリンの反応物、ポリビニルアルコール、カテコール、ハイドロキノン、レゾルシン、ポリエチレンイミン、エチレンジアミンテトラ酢酸二ナトリウム、ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。
また、ゼラチン、ポリペプトン、N-(3-ヒドロキシブチリデン)-p-スルファニル酸、N-ブチリデンスルファニル酸、N-シンナモイリデンスルファニル酸、2,4-ジアミノ-6-(2′-メチルイミダゾリル(1′))エチル-1,3,5-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-(2′-エチル-4-メチルイミダゾリル(1′))エチル-1,3,5-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-(2′-ウンデシルイミダゾリル(1′))エチル-1,3,5-トリアジン、サリチル酸フェニル、或は、ベンゾチアゾール類も平滑剤として有効である。
上記ベンゾチアゾール類としては、ベンゾチアゾール、2-メチルベンゾチアゾール、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-(メチルメルカプト)ベンゾチアゾール、2-アミノベンゾチアゾール、2-アミノ-6-メトキシベンゾチアゾール、2-メチル-5-クロロベンゾチアゾール、2-ヒドロキシベンゾチアゾール、2-アミノ-6-メチルベンゾチアゾール、2-クロロベンゾチアゾール、2,5-ジメチルベンゾチアゾール、6-ニトロ-2-メルカプトベンゾチアゾール、5-ヒドロキシ-2-メチルベンゾチアゾール、2-ベンゾチアゾールチオ酢酸などが挙げられる。
上記pH調整剤はメッキ浴のpHを調整するためのもので、例えば、中性スズメッキ浴では重要である。具体的には、塩酸、硫酸等の各種の無機酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸等のモノカルボン酸類、ホウ酸類、リン酸類、シュウ酸、コハク酸等のジカルボン酸類、乳酸、酒石酸等のオキシカルボン酸類などの有機酸、或は、アンモニア水、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、有機アミン塩等の各種の塩基などを使用する。
上記酸化防止剤は、可溶性第一スズ塩の第二スズ塩への酸化を防止する目的で含有され、次亜リン酸類、アスコルビン酸又はその塩、ハイドロキノン、カテコール、レゾルシン、フロログルシン、ヒドラジン、クレゾールスルホン酸、フェノールスルホン酸、カテコールスルホン酸、ハイドロキノンスルホン酸、ナフトールスルホン酸、或いはこれらの塩などが挙げられる。
本発明のスズ又はスズ合金メッキ浴が中性メッキ浴の場合、Sn2+を浴中で安定化させて白色沈殿の発生や浴の分解を防止するために補助錯化剤が必要である。
当該補助錯化剤は、オキシカルボン酸、ポリカルボン酸、モノカルボン酸などであり、具体的には、グルコン酸、クエン酸、グルコヘプトン酸、グルコノラクトン、グルコヘプトラクトン、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、アスコルビン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グリコール酸、リンゴ酸、酒石酸、ジグリコール酸、或はこれらの塩などが挙げられる。好ましくは、グルコン酸、クエン酸、グルコヘプトン酸、グルコノラクトン、グルコヘプトラクトン、或はこれらの塩などである。
また、エチレンジアミン、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、イミノジ酢酸(IDA)、イミノジプロピオン酸(IDP)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、トリエチレンテトラミン六酢酸(TTHA)、エチレンジオキシビス(エチルアミン)−N,N,N′,N′−テトラ酢酸、グリシン類、ニトリロトリメチルホスホン酸、或はこれらの塩なども有効である。
また、導電性塩としては、硫酸、塩酸、リン酸、スルファミン酸、スルホン酸のナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩、アミン塩などが挙げられる。
本発明の電気メッキ浴の陰極電流密度は一般に1〜20A/dm2、好ましくは3〜15A/dm2である。
また、浴温は一般に70℃以下、好ましくは20〜40℃、より好ましくは25〜35℃である。
電気メッキに際して撹拌は特に行わなくてもよいが、カソードロッカー、パドル撹拌、噴流による撹拌などを行う方が膜厚又は突起電極の高さが均一になり好ましい。
本発明2は、上記本発明1の高純度スズ又はスズ合金メッキ浴を用いて、半導体ウエハー又は基板上に電気メッキにより形成した突起電極である。
高純度スズ合金メッキ浴で電着皮膜を形成する場合、スズ−銀合金皮膜の電着組成比については、Agの皮膜中の含有率が0.1〜3.5重量%(本発明4参照)、好ましくは0.8〜3.0重量%である。また、スズ−銅合金皮膜の電着組成比については、Cuの皮膜中の含有率が0.1〜2.0重量%(本発明4参照)、好ましくは0.5〜1.5重量%である。
高純度スズ又はスズ合金皮膜の高さは一般に0.1〜150μm(本発明5参照)、好ましくは0.1〜100μm、より好ましくは1〜30μmである。
本発明3は、上記本発明1の高純度メッキ浴を用いることで、得られる電着皮膜中のβ−スズの結晶組織を制御して特定の配向性を具備させた突起電極である。
即ち、電気スズ又はスズ合金メッキ浴を用いて半導体ウエハー又は基板上にスズ又はスズ合金を材質とする突起電極を形成する場合、特定のスルフィド化合物を添加し、且つ、第一スズ塩に高純度スズの可溶性塩を用いた上記本発明1の高純度スズ又はスズ合金メッキ浴を選択すると、突起電極を構成する電着皮膜中のβ−スズのうちの特定の結晶面群が素地表面に対して平行になる(即ち、素地表面に沿う)ように配向する。
X線回折法において、β−スズの結晶面のX線回折パターンに基づいて、上式(A)により算出した特定の結晶面群の少なくとも1つの面群の配向性指数Xhklがある数値以上に大きくなると、この特定の結晶面群が素地表面に平行になるという性質、つまり特定の配向性を具備する。
上記本発明3では、突起電極を構成する電着皮膜中の高純度β−スズのうち、上記特定の結晶面群とは{431}面群、{411}面群、{321}面群又は{301}面群のうちの少なくとも1つの面群をいい、この特定の結晶面群{hkl}の配向性指数Xhklが6以上になると、当該結晶面群は素地表面に平行になるという特定の配向性を具備する。
上記X線回折法によりβ−スズの各結晶面のX線回折パターンが得られると、その回折ピーク高さなどから前記(A)式に基づいて、夫々の(hkl)面の配向性指数Xhklが算出される。この場合、最も大きな配向性指数Xhkl(max)が6以上の結晶面は、素地表面に対して統計的に平行に配向した面となり、優先配向面となる(当該算出式は金属表面技術協会 第76回講演大会 要旨集第200〜201頁(1987年)を参照)。
上式(A)において、h、k、lはβ−スズの結晶格子における特定の面を表すミラー指数である。上式(A)の分子に当たる式は、各(hkl)面の測定された回折強度Iを無配向の場合の同じ面の回折強度I0で除したものである。この場合、標準となる無配向の場合のX線回折パターンは、スズが皮膜を形成せずに粉末状であるときに得られる。その際、β−スズの結晶はランダムに方位付けられて配向性がない状態にある。この無配向のX線回折パターンは、JCPDSカードから知ることができる。
また、上式(A)の分母に当たる式は、各(hkl)面の回折強度を、同じ面の無配向の場合の標準回折強度I0で除した数値の総和を、回折面の数nで除したものである。
従って、上式(A)にて各結晶面を計算した結果、高純度β−スズの結晶面群のうち、{431}面群、{411}面群、{321}面群及び{301}面群のいずれかの配向性指数が6以上であると、リフローによるボイド発生を有効に抑制できる。これは、β−スズがこのような優先配向を示すとき、β−スズの結晶粒界において空隙の少ない皮膜を形成することができ、ボイドの発生を有効に抑制できるものと推定される。
以下、本発明の電気高純度スズ又はスズ合金メッキ浴の実施例、当該実施例の高純度メッキ浴で形成した突起電極について、リフロー処理した場合のボイドの発生数の評価試験例を順次説明する。
上記製造例、実施例、試験例の「部」、「%」は基本的に重量基準である。
尚、本発明は下記の製造例、実施例などに拘束されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意の変形をなし得ることは勿論である。
《電気高純度スズ又はスズ合金メッキ浴の実施例》
実施例1〜11のうち、実施例1〜3、5〜6、9はスズ−銀合金メッキ浴の例、実施例4、7はスズメッキ浴の例、実施例8、10はスズ−銅合金メッキ浴の例、実施例11はスズ−銀−銅合金メッキ浴の例である。
また、実施例1〜3、5〜8はチアアルカン型のスルフィド化合物(1)を使用した例、実施例4、9、11はオキシアルキレン型のスルフィド化合物(2)を使用した例、実施例10はスルフィド化合物(1)と(2)を併用した例である。
一方、比較例1〜10において、比較例1〜2は高純度スズの可溶性塩を含有しないスズ−銀合金メッキ浴の例、比較例3は本発明の特定のスルフィド化合物を含有しないスズ−銀合金メッキ浴の例、比較例4は同じく本発明の特定のスルフィド化合物を含有しないスズメッキ浴の例、比較例5は同じく本発明の特定のスルフィド化合物を含有しないスズ−銅合金メッキ浴の例、比較例6は高純度スズの可溶性塩を含有しないスズ−銅合金メッキ浴の例、比較例7は同じく高純度スズの可溶性塩を含有しないスズメッキ浴の例である。
比較例8〜10は高純度スズの可溶性塩を含有し、且つ、本発明が規定する以外のスルフィド化合物を含有する例であり、比較例8はスズ−銅合金メッキ浴の例、比較例9はスズ−銀合金メッキ浴の例、比較例10はスズメッキ浴の例である。
(1)実施例1
高純度メタンスルホン酸第一スズ(Sn2+として)(純度99.99%スズ) 40g/L
メタンスルホン酸銀(Ag+として) 0.5g/L
メタンスルホン酸(遊離酸として) 150g/L
α−ナフトールポリエトキシレート(EO18モル) 8g/L
トリスチレン化フェノールポリエトキシレート(EO21モル) 5g/L
4,7−ジチアデカン−1,10−ジオール 5g/L
カテコール 0.5g/L
(2)実施例2
高純度メタンスルホン酸第一スズ(Sn2+として)(純度99.999%スズ) 40g/L
メタンスルホン酸銀(Ag+として) 0.5g/L
メタンスルホン酸(遊離酸として) 150g/L
α−ナフトールポリエトキシレート(EO18モル) 8g/L
トリスチレン化フェノールポリエトキシレート(EO21モル) 5g/L
4,7−ジチアデカン−1,10−ジオール 5g/L
カテコール 0.5g/L
(3)実施例3
高純度メタンスルホン酸第一スズ(Sn2+として)(純度99.9999%スズ)40g/L
メタンスルホン酸銀(Ag+として) 0.5g/L
メタンスルホン酸(遊離酸として) 150g/L
α−ナフトールポリエトキシレート(EO18モル) 8g/L
トリスチレン化フェノールポリエトキシレート(EO21モル) 5g/L
4,7−ジチアデカン−1,10−ジオール 5g/L
カテコール 0.5g/L
(4)実施例4
高純度2−プロパノールスルホン酸第一スズ(Sn2+として)(純度99.99%スズ) 40g/L
2−プロパノールスルホン酸(遊離酸として) 150g/L
ビスフェノールCポリエトキシレート(EO15モル) 7g/L
チオビス(デカエチレングリコール) 10g/L
チオビス(ウンデカエチレングリコール) 20g/L
チオビス(ドデカエチレングリコール) 30g/L
チオビス(トリデカエチレングリコール) 30g/L
カテコール 0.5g/L
ネオクプロイン 0.01g/L
(5)実施例5
高純度エタンスルホン酸第一スズ(Sn2+として)(純度99.99%スズ) 60g/L
2−プロパノールスルホン酸銀(Ag+として) 2g/L
メタンスルホン酸(遊離酸として) 150g/L
α−ナフトールポリエトキシレート(EO15モル) 8g/L
ビスフェノールFポリエトキシレート(EO13モル)
−ポリプロポキシレート(PO4モル)共重合体 3g/L
3,6−ジチアオクタン−1,8−ジオール 15g/L
カテコールスルホン酸 0.7g/L
(6)実施例6
高純度硫酸第一スズ(Sn2+として)(純度99.99%スズ) 60g/L
硝酸銀(Ag+として) 1.6g/L
硫酸 110g/L
クミルフェノールポリエトキシレート(EO13モル) 12g/L
セチルジメチルベンジルアンモニウムメタンスルホネート 1g/L
3,6,9−トリチアウンデカン−1,11−ジオール 20g/L
(7)実施例7
高純度ホウフッ化第一スズ(Sn2+として)(純度99.99%スズ) 40g/L
ホウフッ酸 110g/L
ベタイン系両性界面活性剤 1g/L
β−ナフトール 1g/L
5,8−ジチアドデカン−1,12−ジスルホン酸 4.5g/L
ハイドロキノン 1g/L
(8)実施例8
高純度2−ヒドロキシエタンスルホン酸第一スズ(Sn2+として)(純度99.999%スズ) 70g/L
硫酸銅(Cu2+として) 0.8g/L
メタンスルホン酸(遊離酸として) 150g/L
ビスフェノールFポリエトキシレート(EO14モル) 12g/L
2,2′−ジベンゾチアゾリルジスルフィドジスルホン酸 0.5g/L
3,6−ジチアオクタン−1,8−ジオール 12g/L
(9)実施例9
高純度スルファミン酸第一スズ(Sn2+として)(純度99.999%スズ) 55g/L
スルファミン酸銀(Ag+として) 1.8g/L
スルファミン酸(遊離酸として) 150g/L
トリスチレン化フェノールポリエトキシレート(EO20モル)
−ポリプロポキシレート(PO7モル)共重合体 8g/L
ベンゾチアゾール 0.02g/L
2−ナフトール−6−スルホン酸 0.8g/L
チオビス(エイコサエチレングリコール) 75g/L
カテコール 0.8g/L
(10)実施例10
高純度2−ヒドロキシプロパンスルホン酸第一スズ(Sn2+として)(純度99.99%スズ) 70g/L
酢酸銅(Cu2+として) 0.8g/L
エタンスルホン酸(遊離酸として) 150g/L
リノレイルアミンポリエトキシレート(EO15モル)
−ポリプロポキシレート(PO5モル)共重合体 8g/L
5,8,11−トリチアペンタデカン−1,15−ジスルホン酸 15g/L
チオビス(トリアコンタエチレングリコール) 30g/L
(11)実施例11
高純度2−ヒドロキシプロパンスルホン酸第一スズ(Sn2+として)(純度99.99%スズ) 60g/L
2−プロパノールスルホン酸銀(Ag+として) 2g/L
硫酸銅(Cu2+として) 0.5g/L
エタンスルホン酸(遊離酸として) 110g/L
ジスチレン化フェノールポリエトキシレート(EO18モル) 5g/L
ドデシルジメチルベンジルアンモニウムメタンスルホネート 0.5g/L
チオビス(オクタエチレングリコール) 100g/L
ハイドロキノンスルホン酸カリウム 0.8g/L
イミダゾール 0.3g/L
(12)比較例1
メタンスルホン酸第一スズ(Sn2+として)(純度99%スズ) 40g/L
メタンスルホン酸銀(Ag+として) 0.5g/L
メタンスルホン酸(遊離酸として) 150g/L
α−ナフトールポリエトキシレート(EO18モル) 8g/L
トリスチレン化フェノールポリエトキシレート(EO21モル) 5g/L
4,7−ジチアデカン−1,10−ジオール 5g/L
カテコール 0.5g/L
(13)比較例2
メタンスルホン酸第一スズ(Sn2+として)(純度99.9%スズ) 40g/L
メタンスルホン酸銀(Ag+として) 0.5g/L
メタンスルホン酸(遊離酸として) 150g/L
α−ナフトールポリエトキシレート(EO18モル) 8g/L
トリスチレン化フェノールポリエトキシレート(EO21モル) 5g/L
4,7−ジチアデカン−1,10−ジオール 5g/L
カテコール 0.5g/L
(14)比較例3
高純度エタンスルホン酸第一スズ(Sn2+として)(純度99.99%スズ) 60g/L
2−プロパノールスルホン酸銀(Ag+として) 2g/L
メタンスルホン酸(遊離酸として) 150g/L
α−ナフトールポリエトキシレート(EO15モル) 8g/L
ビスフェノールFポリエトキシレート(EO13モル)
−ポリプロポキシレート(PO4モル)共重合体 3g/L
チオ尿素 7g/L
カテコールスルホン酸 0.7g/L
(15)比較例4
高純度2−プロパノールスルホン酸第一スズ(Sn2+として)(純度99.99%スズ) 40g/L
2−プロパノールスルホン酸(遊離酸として) 150g/L
ビスフェノールCポリエトキシレート(EO15モル) 7g/L
カテコール 0.5g/L
ネオクプロイン 0.01g/L
(16)比較例5
高純度2−ヒドロキシエタンスルホン酸第一スズ(Sn2+として)(純度99.999%スズ) 70g/L
硫酸銅(Cu2+として) 0.8g/L
メタンスルホン酸(遊離酸として) 150g/L
ビスフェノールFポリエトキシレート(EO14モル) 12g/L
2,2′−ジベンゾチアゾリルジスルフィドジスルホン酸 0.5g/L
ジメチルチオ尿素 7g/L
(17)比較例6
2−ヒドロキシエタンスルホン酸第一スズ(Sn2+として)(純度99.9%スズ) 70g/L
硫酸銅(Cu2+として) 0.8g/L
メタンスルホン酸(遊離酸として) 150g/L
ビスフェノールFポリエトキシレート(EO14モル) 12g/L
2,2′−ジベンゾチアゾリルジスルフィドジスルホン酸 0.5g/L
3,6−ジチアオクタン−1,8−ジオール 12g/L
(18)比較例7
高純度2−プロパノールスルホン酸第一スズ(Sn2+として)(純度99.9%スズ) 40g/L
2−プロパノールスルホン酸(遊離酸として) 150g/L
ビスフェノールCポリエトキシレート(EO15モル) 7g/L
チオビス(デカエチレングリコール) 10g/L
チオビス(ウンデカエチレングリコール) 20g/L
チオビス(ドデカエチレングリコール) 30g/L
チオビス(トリデカエチレングリコール) 30g/L
カテコール 0.5g/L
ネオクプロイン 0.01g/L
(19)比較例8
高純度2−ヒドロキシエタンスルホン酸第一スズ(Sn2+として)(純度99.999%スズ) 70g/L
硫酸銅(Cu2+として) 0.8g/L
メタンスルホン酸(遊離酸として) 150g/L
ビスフェノールFポリエトキシレート(EO14モル) 12g/L
2,2′−ジベンゾチアゾリルジスルフィドジスルホン酸 0.5g/L
ビス(スルホプロピル)ジスルフィド 20g/L
(20)比較例9
高純度エタンスルホン酸第一スズ(Sn2+として)(純度99.99%スズ) 60g/L
2−プロパノールスルホン酸銀(Ag+として) 2g/L
メタンスルホン酸(遊離酸として) 150g/L
α−ナフトールポリエトキシレート(EO15モル) 8g/L
ビスフェノールFポリエトキシレート(EO13モル)
−ポリプロポキシレート(PO4モル)共重合体 3g/L
2,2′−チオジグリコール酸 14g/L
カテコールスルホン酸 0.7g/L
(21)比較例10
高純度2−プロパノールスルホン酸第一スズ(Sn2+として)(純度99.99%スズ) 40g/L
2−プロパノールスルホン酸(遊離酸として) 150g/L
ビスフェノールCポリエトキシレート(EO15モル) 7g/L
チオジグリコール 90g/L
カテコール 0.5g/L
ネオクプロイン 0.01g/L
そこで、厚さ1μmの銅下地電極に膜を介して厚さ80μmのレジスト膜を形成し、レジスト膜に直径110μmの微小孔を約100万個規則正しく等間隔で感光及びエッチング処理により形成した、直径30cmのSiウエハーを用意した。
上記実施例1〜11並びに比較例1〜10の各電気スズ又はスズ合金メッキ浴をメッキ槽内に収容し、メッキ槽下部からメッキ浴を噴流するとともに、パドル撹拌により次の条件で電気メッキを行って、上記Siウエハー上に無数の突起電極を形成して各試料とした。
[電気メッキ条件]
陰極電流密度:5A/dm2
噴流速度 :20L/分
パドル速度 :60回/分
メッキ浴温 :30℃
メッキ時間 :30分
当該試料において、突起電極を構成するスズ又はスズ合金皮膜の高さは0.5〜50μmであった。突起電極を構成するスズ合金皮膜がスズ−銀合金の場合、皮膜中の銀の含有率は0.8〜3.0重量%であり、同じくスズ−銅合金では、銅の含有率は0.5〜1.5重量%であった。
《突起電極のボイド評価試験例》
上記試料を次の条件でリフロー処理し、突起電極におけるボイドの発生状況を微視観察した。
(a)リフロー処理の条件
[スズ−銀合金メッキ皮膜]
試料を200℃にて1分間予備加熱し後、245℃にて90秒加熱し、リフロー処理した。
[スズ−銅合金メッキ皮膜、スズメッキ皮膜]
試料を200℃にて1分間予備加熱し後、260℃にて90秒加熱し、リフロー処理した。
(b)ボイドの評価基準
上記試料をリフロー処理した後、室温まで冷却し、非破壊検査装置(Micro Focus X-ray System 1000;島津製作所製;分解能5μm)を用いて150倍の拡大画像で1000突起電極を検査し、ボイドの有無を微視観察して、下記の基準によりボイド抑制能の優劣を評価した。
○:ボイドが認められなかった。
△:100以上の突起電極でボイドが認められた。
×:300以上の突起電極でボイドが認められた。
××:500以上の突起電極でボイドが認められた。
《配向性評価試験例》
上記実施例1〜11並びに比較例1〜10の各電気スズ又はスズ合金メッキ浴を用いて平板にメッキしたものを試料として、当該試料のスズ又はスズ合金メッキ皮膜について、β−スズの結晶の配向性をX線回折法で調べた。即ち、β−スズの各結晶面の配向性指数Xhklを前記式(A)に基づいて算出し、最大の配向性指数Xhklを示す結晶面と当該最大の配向性指数Xhkl(max)を調べた。
X線回折条件は次の通りである。
[X線回折条件]
X線:Cu−Kα線(回転対陰極)
管電圧:50kV
管電流:200mA
2θ:20〜100度
発散スリット:1度散乱スリット:1度
受光スリット:0.3mm
サンプリング角度:0.02度
スキャンスピード:2.0度/分
モノクロメータ:使用
下表はその試験結果である。
配向面 最大配向性指数Xhkl(max) ボイド発生度合
実施例1 [431] 28.2 ○
実施例2 [431] 32.7 ○
実施例3 [431] 36.5 ○
実施例4 [301] 11.3 ○
実施例5 [431] 24.4 ○
実施例6 [431] 25.9 ○
実施例7 [431] 24.5 ○
実施例8 [321] 26.9 ○
実施例9 [301] 12.6 ○
実施例10 [431] 26.4 ○
実施例11 [301] 10.8 ○
比較例1 [431] 4.22 ×
比較例2 [431] 5.5 △
比較例3 無配向 2.6 ××
比較例4 無配向 1.8 ××
比較例5 無配向 2.17 ××
比較例6 [321] 5.38 △
比較例7 無配向 3.1 ××
比較例8 無配向 2.2 ××
比較例9 無配向 1.8 ××
比較例10 無配向 2.9 ××
《試験評価》
上表によれば、高純度ではあるが、純度99.9%以下のスズの可溶性塩を用いたスズメッキ浴(比較例7)では、β−スズの結晶面はランダムに方位付けられて無配向の状態になり、結晶面群の最大の配向性指数Xhkl(max)でも3付近の数値しか示さないため、本発明が規定する結晶面群は素地表面に対して高角度となり、β−スズの結晶粒界に空隙の多い皮膜が形成されたものと推定され、500以上の突起電極でボイドが発生した。
同じく、純度99.9%以下のスズの可溶性塩を用いたスズ−銀合金メッキ浴(比較例1〜2)、スズ−銅合金メッキ浴(比較例6)では、本発明が規定する特定の結晶面群の最大の配向性指数Xhkl(max)は4.22〜5.5と上記比較例7の数値より大きいが、本発明が規定する6以上になることはないため、本発明が規定する結晶面である{431}面、{321}面は素地表面に対して低角度となり、平行になることはなく、100以上、或いは300以上の突起電極でボイドが発生した。
これに対して、第一スズ塩に99.99%以上の高純度スズの可溶性塩を選択し、且つ、電気スズ又はスズ合金メッキ浴に特定のスルフィド化合物を添加した実施例1〜11では、本発明が規定する特定の結晶面群の最大の配向性指数Xhkl(max)はいずれも6以上であり、特に、実施例2〜3では30以上の高い数値を示すため、本発明が規定する結晶面である{431}面、{321}面、{301}面は素地表面に平行になり、観察対象とした突起電極全体でボイドの発生は認められなかった。
これにより、突起電極でのボイドの発生を抑制するためには、電気スズ又はスズ合金メッキ浴に用いる第一スズ塩として99.99%以上の高純度スズの可溶性塩を選択することが必要である、という重要な技術的事項が確認できた。
本発明が規定する高純度スズの可溶性塩を含有するが、特定のスルフィド化合物を含有しないスズメッキ浴(比較例4)、スズ−銀合金メッキ浴(比較例3)、スズ−銅合金メッキ浴(比較例5)では、β−スズの結晶面はランダムに方位付けられた無配向状態になり、結晶面群の最大の配向性指数Xhkl(max)でも1.8〜2.6の数値しか示さないため、本発明が規定する結晶面群は素地表面に対して高角度となり、β−スズの結晶粒界に空隙の多い皮膜が形成されたものと推定され、500以上の突起電極でボイドが発生した。
これに対して、特定の高純度スズの可溶性塩を選択し、且つ、電気スズ又はスズ合金メッキ浴にチアアルカン型、或いはオキシアルキレン型の特定のスルフィド化合物を添加した実施例1〜11では、本発明が規定する特定の結晶面群の最大の配向性指数Xhkl(max)はいずれも6以上であり、本発明が規定する{431}面などの結晶面は素地表面に平行になり、観察した突起電極全体でボイドの発生は認められなかった。
これにより、突起電極でのボイドの発生を抑制するためには、99.99%以上の高純度スズの可溶性塩を選択するだけでは足りず、電気スズ又はスズ合金メッキ浴にはスルフィド化合物を含有することが必要である点が確認できた。
一方、スルフィド化合物を含有した電気スズ又はスズ合金メッキ浴であっても、本発明が規定する以外のスルフィド化合物を含有したスズメッキ浴(比較例10)、スズ−銀合金メッキ浴(比較例9)、スズ−銅合金メッキ浴(比較例8)では、やはりβ−スズの結晶面は無配向状態になり、結晶面群の最大の配向性指数Xhkl(max)でも1.8〜2.9の数値しか示さないため、500以上の突起電極でボイドが発生した。
これに対して、電気スズ又はスズ合金メッキ浴にチアアルカン型、或いはオキシアルキレン型の特定のスルフィド化合物を添加した実施例1〜11では、本発明が規定する結晶面群の最大の配向性指数Xhkl(max)はいずれも6以上であるため、本発明が規定する特定の結晶面は素地表面に平行になり、突起電極でのボイドの発生はなかった。
これにより、突起電極でのボイドの発生を抑制するためには、電気スズ又はスズ合金メッキ浴にスルフィド化合物を含有するだけでは充分でなく、本発明が規定する特定のスルフィド化合物を含有することの必要性が裏付けられた。
以下、本発明の実施例1〜11を詳細に検討する。
先ず、実施例1〜3のスズ−銀合金メッキ浴を対比すると、可溶性第一スズ塩のスズの純度は実施例1→実施例2→実施例3と純度は高くなるが、その分、{431}面群の最大配向性指数Xhkl(max)も順次大きくなっている。
実施例4、実施例7のスズメッキ浴を対比すると、含有する特定のスルフィド化合物の種類は、オキシアルキレン型(実施例4)とチアアルカン型(実施例7)で異なり、配向性指数が最大になる結晶面群も{301}面群と{431}面群で異なるが、当該結晶面群の最大配向性指数Xhkl(max)は6以上になり、これらの結晶面群を素地表面に沿わせて配向性を制御することで、ボイドの発生を防止できたことでは同じである。この点は、実施例2と実施例9のスズ−銀合金メッキ浴、或いは、実施例8と実施例10のスズ−銅合金メッキ浴についても同様で、スルフィド化合物の種類、並びに最大配向性指数を示す結晶面群が異なるが、共にボイドの発生を顕著に防止できた。
また、可溶性第一スズ塩に高純度スズ塩を選択し、特定のスルフィド化合物を含有した電気メッキ浴にあっては、スズ浴(実施例4、7)、スズ−銀合金浴(実施例1〜3、5など)、スズ−銅合金浴(実施例8、10など)、或いはスズ−銀−銅合金浴(実施例11)のいずれの浴種についても、顕著なボイド抑制能を示すことが確認できた。

Claims (5)

  1. (A)第一スズ塩と、第一スズ塩及び銀、銅から選ばれた金属の塩の混合物とのいずれかよりなる可溶性塩と、
    (B)脂肪族スルフィド化合物とを含有する電気スズ又はスズ合金メッキ浴において、
    上記(A)の可溶性第一スズ塩は純度99.99%以上の高純度スズの可溶性塩であり、
    上記(B)のスルフィド化合物は、次の式(1)、式(2)から選ばれた脂肪族スルフィド化合物の少なくとも一種である
    X−R1-S-(CH2CH2S)m-R2−X …(1)
    (式(1)中、R1,R2はC2〜C4アルキレンである;XはOH、SO3H、SO3M(Mはアルカリ金属、アンモニア又はアミン)である;mは1〜2の整数である。)
    H-(OA)n-S-(OA)n−H …(2)
    (式(2)中、Aはエチレン又はプロピレン、但し、エチレンのモル数/プロピレンのモル数≧1である;nは5〜25の整数である。)
    ことを特徴とする電気高純度スズ又はスズ合金メッキ浴。
  2. 請求項1に記載の高純度スズ又はスズ合金メッキ浴を用いて、半導体ウエハー又は基板上に電気メッキにより形成した高純度スズ又はスズ合金突起電極。
  3. 電気スズ又はスズ合金メッキ浴を用いて半導体ウエハー又は基板上に形成したスズ又はスズ合金を材質とする突起電極において、
    上記電気スズ又はスズ合金メッキ浴が請求項1に記載の高純度メッキ浴であり、
    上記突起電極中の高純度β−スズの結晶面のX線回折パターンに基づいて次式(A)により算出した{431}面群、{411}面群、{321}面群又は{301}面群のうちの少なくとも1つの面群の配向性指数Xhklが6以上である
    Xhkl=(Ihkl/I0hkl)/{(1/n)×Σ[Ihkl/I0hkl]}…(A)
    (式(A)において、Xhkl は (hkl)面の配向性指数である;IhklはX線回折により得られた(hkl)面の相対的回折強度である;I0hklは 配向のない粉末の(hkl)面の標準的な回折強度である;nは 回折面の数である。)
    ことを特徴とする高純度スズ又はスズ合金突起電極。
  4. 高純度スズ合金中のスズの相手方の金属の含有率が銀では0.1〜3.5重量%、銅では0.1〜2.0重量%であることを特徴とする請求項2又は3に記載の高純度スズ合金突起電極。
  5. 高純度スズ又はスズ合金メッキ皮膜の高さが0.1〜150μmであることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の高純度スズ又はスズ合金突起電極。
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