JP3838842B2 - 沈殿珪酸含有ゴムの製造方法 - Google Patents

沈殿珪酸含有ゴムの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、沈殿珪酸マスターバッチの製造方法に関する。詳しくは、沈殿珪酸が含有されたSBR等のゴムを、簡便に製造するための沈殿珪酸マスターバッチの製造方法を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】
沈殿珪酸は、ゴムの充填剤として従来より広く使われてきた。沈殿珪酸をゴムに配合する場合には、一般的にはバンバリー、オープンロール、ニーダー等の混練機を用いてゴム中に配合する方法が広く行われている。しかし、沈殿珪酸は、その表面にシラノール基を有し、強い自己凝集性を持っているため、容易にゴム中に分散させることが困難である。
【0003】
そのため、種々の混錬方法の改良等が行われているが、未だに好適な解決方法が見出されていないのが現状である。
【0004】
上記したように、沈殿珪酸は、ゴム用充填剤として沈殿珪酸と共に広く用いられているカーボンブラックに比べて、練りずらさ、生産性の低さは際立っている。したがって、沈殿珪酸は、ゴムの補強充填剤として、カーボンブラックを用いる際に比べてどうしてもその補強性、加工性が劣ってくるので、カーボンブラックの補完剤として用いられる場合が多かった。
【0005】
一方で、沈殿珪酸は、近年、燃費性とグリップ性の両立の目的のため、カーボンブラックに代わり、乗用車用タイヤ用充填剤として注目されている。しかしながら、前記したような分散性、生産性の悪さのため、最大の効果を発揮する配合量を添加することができず、配合量を前記の半分程度に押さえた配合しかできないという弊害が指摘されている。
【0006】
また、耐摩耗性の向上、操縦安定性の向上を目的として、比表面積が300m2/g程度の小粒子径の沈殿珪酸を用いることも検討されているが、小粒子径になるにつれて、更に沈殿珪酸の自己凝集性が増し、かえって加工性、耐摩耗性の悪化を招くという問題を抱えている。
【0007】
すなわち、上記した小粒子径の沈殿珪酸を用いた場合には、ゴムに混練するときのムーニー粘度が増して、加工性が悪化したり分散が悪くなり、却って耐摩耗性が悪化するなどの弊害が生じる。そのため、沈殿珪酸自体の物性の設計にも、制限が加えられているのが現状である。
【0008】
上記した問題を解決するため、たとえば、例えば特公昭36−19390号公報に記載されているように、沈殿珪酸又はカーボンブラックをゴム製造時に配合し充填剤が予め配合されているマスターバッチを作るという考えは古くから提案されており、既にカーボンブラックに関しては、上記したマスターバッチが市販されている。
【0009】
上記マスターバッチの製造方法としては、ゴムラテックスと、オイルエマルジョンおよびカーボンブラックとを適当な比率で混合分散させ、両方の分散液を混合した後、共凝固させる。その後、共凝固物を水洗して不純物を除去した後、脱水し、脱水した固形分を取り出して乾燥することにより、カーボンブラック含有マスターバッチを得るという方法が採用されている。
【0010】
しかしながら、上記方法を適用した、沈殿珪酸含有マスターバッチは未だに市販されるに至っていない。この理由は、前記した沈殿珪酸の有する自己凝集性及び親水性に起因している。すなわち、沈殿珪酸の場合、上記方法のように、分散液を混合してから共凝固させても、自己凝集性及び親水性に起因して、ゴムラテックス内に沈殿珪酸が十分取り込まれず、沈殿珪酸とゴムラテックスとが別個に分離沈殿してしまう。結果として、その状態で水洗すると、ほとんどの沈殿珪酸は洗い落とされて、ゴム中には沈殿珪酸はほとんど配合されず、目的とするマスターバッチを得ることができない。
【0011】
また、ゴム材料科学序論(日本バルカー工業株式会社刊:平成7年発行)には、ゴムラテックス中で沈殿珪酸を合成させることによる沈殿珪酸マスターバッチの製造方法が提案されている。
【0012】
しかしながら、上記方法でもゴム中に配合できる沈殿珪酸の量が、最大の効果を発揮する量の半分程度しかないといった問題があり、さらにゴムラテックス中での反応では、沈殿珪酸の比表面積、吸油量といった諸物性を制御することが困難であるため、沈殿珪酸の諸物性が限定されるという欠点を有している。
【0013】
【問題が解決しようとする課題】
したがって、ゴム中に最大の効果を発揮する量を配合しても十分に分散した沈殿珪酸含有ゴムを容易に製造する方法が望まれていた。
【0014】
【問題を解決するための手段】
そこで、本発明者等は、ゴムラテックス中で大量に配合した沈殿珪酸が良好に分散した沈殿珪酸マスターバッチを製造する方法について鋭意研究を重ねた。
【0015】
その結果、平均粒子径が1μm以下の沈殿珪酸を用い、該沈殿珪酸とゴムラテックスとを溶液中で混合分散することにより、混合後、共凝固する際に、分離沈殿せずに共沈殿することが見出し、また、この沈殿物を、水洗・脱水・乾燥操作を施すことにより、ゴム中に沈殿珪酸が良好に分散されている沈殿珪酸マスターバッチが得られることを見出して本発明を完成するに至った。
【0016】
すなわち、本発明は、ゴムラテックスと沈殿珪酸とを溶液状態で混合し、混合後共凝固、水洗、脱水および乾燥する沈殿珪酸マスターバッチの製造方法であって、該沈殿珪酸として、カチオン性樹脂で表面処理された平均粒径が1μm以下である沈殿珪酸を用いることを特徴とする沈殿珪酸マスターバッチの製造方法である。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明において用いられる沈殿珪酸は、平均粒子径が1μm以下であれば、いかなる沈殿珪酸を用いてもよく、中でも平均粒子径が50〜500nmである沈殿珪酸が本発明において好適である。なお、本発明において平均粒子径とは、光散乱回折式の粒度分布計で測定した時の体積基準中位径である。
【0018】
また、本発明において用いられる沈殿珪酸は、その物性及び製造方法について、何ら制限されることはなく、必要とする目的等を勘案して適宜決定すればよい。
【0019】
たとえば、沈殿珪酸の物性としては、ゴム用の充填剤として用いることを勘案すると、比表面積が50〜350m2/gであるものが好適であり、吸油量が100〜300cc/100gであるものが好適である。
【0020】
また、上記沈殿珪酸のpH、不純物量についても、目的に応じて適宜決定すればよい。たとえば、沈殿珪酸の製造中もしくは製造後にアルミニウム、マグネシウム等の金属塩を添加した沈殿珪酸も用いることができ、熟成工程中に金属塩を添加し、その金属塩で表面処理を施した沈殿珪酸も何ら問題なく使用することができる。
【0021】
上記不純物量としては、本発明の効果を勘案すると、沈殿珪酸の3%以下であることが好適である。その範囲内であれば、得られるゴムの特性を勘案して適宜設定してよい。
【0022】
さらに、本発明の効果を阻害しない範囲で、公知の表面処理剤で表面処理を行ってもよい。その中でもゴム中の分散を勘案するとカチオン性樹脂で表面処理することが好適である。
【0023】
上記カチオン性樹脂としては、水に溶解した時に解離してカチオン性を呈するオリゴマーもしくはポリマーであれば、特に制限されることなく用いることができ、中でも、第1〜3級アミンまたは4級アンモニウム塩を有するオリゴマーもしくはポリマーが好適に用いることができる。たとえば、水溶性の天然もしくは合成高分子にアミン基や4級アンモニウム塩基を導入したものを用いてもよいし、アミン基や4級アンモニウム塩基を有するモノマーを単独重合もしくは共重合した水溶性オリゴマーもしくはポリマーを用いてもよい。その中でも4級アンモニウム塩を有するモノマーを単独重合もしくは共重合した水溶性オリゴマーもしくはポリマーを用いることが好適である。
【0024】
カチオン性樹脂で表面処理する場合の量としては、沈殿珪酸100重量部に対して3〜30重量部が好適であり、5〜15重量部がより好適である。すなわち、上記範囲にすることにより、分離沈殿することなく、また、ゴムへの分散性が良好となって多量の配合が可能となる。
【0025】
本発明に用いられる沈殿珪酸の製造方法も、特に限定されるものではなく、一般的には、珪酸ソーダと、硫酸等の酸とを中和反応することにより水溶液中で析出する方法が採用される。また、金属塩を多く含有した沈殿珪酸を製造するため、上記した酸の少なくとも一部もしくは全部の代わりに硫酸アルミニウムを用いて中和反応を行わせてもよい。
【0026】
また、上記中和反応後、濾過、洗浄、乾燥工程を経たものを用いてもよいが、本発明においては、上記乾燥工程を経ないシリカスラリー状態のものを用いることが好適である。すなわち、乾燥工程を経ないことにより、沈殿珪酸の物性設計が、より自由度を増し、乾燥時の乾燥収縮が生じないのでコスト面でも有利になる。
【0027】
本発明において用いられる平均粒子径1μm以下の沈殿珪酸を製造する方法も、特に制限なく、たとえば、上記沈殿珪酸を製造する際に反応条件等を制御して平均粒子径1μm以下の沈殿珪酸を製造する方法、予め目的の平均粒子径より大きい沈殿珪酸を製造し、次いで粉砕することにより平均粒子径1μm以下の沈殿珪酸を製造する方法等が挙げられるが、その中でも、ゴムへの分散性、平均粒子径の制御のしやすさの点から、予め目的の平均粒子径より大きい沈殿珪酸を製造し、次いで粉砕することにより平均粒子径1μm以下の沈殿珪酸を製造する方法が好適である。
【0028】
上記した粉砕する方法としては、特に制限されず公知の方法により粉砕すればよく、たとえば、粉体状、ケーク状またはスラリー状の沈殿珪酸を公知の粉砕装置により粉砕する方法が挙げられるが、その中でも、ゴムへの分散性、操作のしやすさ等を勘案すると、前記した乾燥工程を経ないスラリー状態の沈殿珪酸(以下、シリカスラリーともいう)を用い、ディスパー、ホモジナイザー、コロイドミル等の粉砕装置により粉砕する方法が好適である。
【0029】
上記した粉砕する場合における、沈殿珪酸の当初の平均粒径は、特に限定されないが、10〜30μmであることが好適である。また、粉砕条件も特に制限されず、1μm以下となるように、適宜条件を設定すればよい。たとえば、ホモジナイザーを用いた場合、回転数20000rpmで15分間程度処理を施すことにより、1μm以下の沈殿珪酸を得ることができる。
【0030】
本発明において、更に好適な粉砕方法として、特開平9−142827号および特願平11−366220号公報に記載の方法である、高圧ホモジナイザーを用いる方法、すなわち前記シリカスラリーを、処理圧力300kg/cm2以上の圧力で対向衝突させる方法あるいはオリフィスの入口側と出口側の差圧が300kg/cm2以上である条件下でオリフィスを通過させる方法が挙げられる。
【0031】
上記した高圧ホモジナイザーは、通常、原料スラリーを加圧する高圧発生部と対向衝突部或いはオリフィス部とよりなる。高圧発生部としては、一般にプランジャーポンプと呼ばれている高圧ポンプが好適に採用される。また高圧ポンプには、一連式,二連式,三連式などの各種の形式があり、いずれの形式も特に制限なく採用できる。
【0032】
上記方法において用いられる装置としては、一般に高圧ホモジナイザーとして市販されている装置が限定なく使用できる。具体的に例示すると、例えば、商品名ナノマイザー(ナノマイザー社製)、商品名マイクロフルイダイザー(マイクロディスク社製)、商品名アルティマイザー(スギノマシン社製)等が挙げられる。
【0033】
また、上記した高圧ホモジナイザーを用いた粉砕方法における処理条件、処理回数に関しても、特に制限されるのもではなく、本発明で規定した沈殿珪酸を得ることができるよう適宜調整すればよい。
【0034】
たとえば、シリカスラリーを対向衝突させる場合における処理圧、及び、オリフィスに通過させる場合におけるオリフィス側の入口側と出口側の差圧は、共に300kg/cm2以上、好ましくは800kg/cm2以上、更に好ましくは1200kg/cm2以上が望ましい。
【0035】
また、対向衝突する際のシリカスラリーの衝突速度は、相対速度として50m/秒以上、好ましくは100m/秒以上、更に好ましくは150m/秒以上であることが望ましい。
【0036】
オリフィスを通過する際のシリカスラリーの線速度は、用いるオリフィスの孔径にも依存するために一概には決められないが、上記と同じく50m/秒以上、好ましくは100m/秒以上、更に好ましくは150m/秒以上であることが望ましい。
【0037】
また、前述したカチオン性樹脂等の表面処理剤で沈殿珪酸を処理する順序は、特に制限されず、たとえば、粉末状の1μm以下の沈殿珪酸に、液状もしくは溶媒に溶解させた表面処理剤を噴霧して表面処理する方法;表面処理剤を溶解させた溶媒中に、粉末状の1μm以下の沈殿珪酸を分散させた後、乾燥させて表面処理する方法;固体状の沈殿珪酸と表面処理剤との混合物を粉砕機で粉砕すると同時に表面処理する方法;もしくは溶媒に沈殿珪酸と表面処理剤とを混合し、粉砕すると同時に表面処理する方法、等が挙げられる。
【0038】
その中でも、ゴム中での分散性を勘案すると、溶媒に沈殿珪酸と表面処理剤とを混合し、粉砕すると同時に表面処理する方法が好適である。具体的には、前記シリカスラリーと、表面処理剤、好ましくはカチオン性樹脂とを混合し、表面処理剤混合シリカスラリーを、前記高圧ホモジナイザーにより、粉砕すると同時に表面処理する方法が好適である。
【0039】
本発明において用いられるゴムラテックスとしては、通常用いられる天然ゴムラテックスまたは乳化重合系のゴムラテックスを、何ら制限なく用いることができ、目的とする用途に応じて適宜選択すればよい。たとえば、タイヤ用途に用いる場合においては、タイヤ性能を勘案するとSBR系のゴムラテックスを用いることが好適である。
【0040】
本発明において、ゴムラテックスと沈殿珪酸とを混合する方法としては、溶液状態で混合すれば、特に制限なく公知の方法を用いることができる。一般的には、オイルエマルジョンで分散したゴムラテックスと、沈殿珪酸水分散液、好ましくは前記高圧ホモジナイザーで粉砕した沈殿珪酸水分散液とを混合すればよい。
【0041】
本発明において、ゴムラテックスと沈殿珪酸との配合比は、特に制限されず、従来の方法では達成できなかった高比率でも沈殿珪酸を配合することができる。通常は、後述する沈殿珪酸マスターバッチ中の沈殿珪酸配合量を勘案して、適宜決定すればよい。
【0042】
本発明において、上記したゴムラテックスと沈殿珪酸との混合液を、共凝固、水洗、脱水、乾燥することにより沈殿珪酸マスターバッチを得ることができるが、これらの工程についても特に制限されるものではなく、一般的に用いられている方法を用いればよい。
【0043】
たとえば、共凝固させる方法としては、一般的には、食塩/硫酸凝固法等の塩を添加して塩析効果により凝固させる方法が採用されるが、特にこの方法に限定されるものではなく、元々混合した際に凝固するのであればあえて、塩を添加する必要はない。
【0044】
また、水洗、脱水、乾燥する方法としては、通常、共凝固させることにより、凝固したラテックスのゴム固形分(以下、クラムともいう)と、水分成分(以下、セラムともいう)とに分離するので、上記共凝固した混合液からセラムを分離してクラムを得てから、得られたクラムを水槽等で水洗し、スクイザー等で水分を絞って脱水し、粉砕機等で細かく粉砕してから熱風式乾燥機で乾燥したものブロック状に成形することによりマスターバッチを得る方法が好適に採用される。
【0045】
得られる沈殿珪酸マスターバッチ中の沈殿珪酸量は、特に制限されず、目的に応じて適宜設定すればよい。たとえば、タイヤ用途に用いる場合、好ましくは15〜50%、より好ましくは20〜40%の範囲が好適である。
【0046】
本発明の方法で得られる沈殿珪酸マスターバッチは、通常の混錬方法により、沈殿珪酸が十分に分散したゴムを得ることができる。
【0047】
また、沈殿珪酸マスターバッチを用いて得られたゴムの物性は、用いた沈殿珪酸の性質にも依存するが、従来より行われているゴムと沈殿珪酸とを単に溶融混漣練する方法により得られる沈殿珪酸含有ゴムと比較して、タイヤ摩耗性の指標となるランボーン摩耗が向上し、ウエットグリップ性の指標となる0℃と60℃のtanδの傾きもかなり急なものとなり、ウエットグリップ性も向上する。
【0048】
【実施例】
以下に、本発明を更に詳細に説明するために、実施例及び比較例を掲げるが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、以下の実施例及び比較例における物性は次の方法により測定した。
(1)平均粒子径
光散乱回折式の粒度分布測定装置(コールター製、コールターLS−230)を用いて、体積基準中位径を測定し、この値を平均粒子径として採用した。
【0049】
なお、測定に際しては、水(分散媒)の屈折率1.332及び沈殿珪酸の屈折率1.458をパラメーターとして入力した。
(2)ムーニー粘度
ムーニー粘度計(上島製作所製:VR−103ST)を使用して、100℃で測定。値が小さいほど加工性が良好であることを示す。
(3)硬度
JIS K6301に準じてJIS−A硬度計で測定した。
(4)300%モジュラス
JIS K6301の引っ張り応力試験法により測定。
(5)引張強度
JIS K6301の引っ張り強度試験法により測定。
(6)伸び
JIS K6301の伸び試験法により測定。
(7)発熱
グッドリッチ・フレクソメーターを使用して測定した。
(8)反発弾性
JIS K6301の反発弾性を30℃にて測定。
実施例1
10リットルのステンレス製反応容器を用いて市販の珪酸ナトリウム水溶液(シリカ濃度:28.19%、モル比:3.04)976ml、硫酸ナトリウム水溶液(酸化ナトリウム濃度:10%)692ml及び水4426mlを投入した。この溶液を35℃にした後に中和率を50%にするために、22.34重量/体積%の硫酸を331ml投入した。その後、液温を95℃まで昇温し、そのままの状態で5分間撹拌した。次いで、先の濃度の硫酸を331mlを50分かけて投入した。最終的に反応液のPHを5.2となるまで攪拌し沈殿珪酸スラリーを得た。
【0050】
この時、得られた沈殿珪酸の比表面積は276m2/gであり、吸油量は250cc/100gであった。
【0051】
この沈殿珪酸スラリーを用いて沈殿珪酸濃度が15%になるように、一旦分散機で分散した後、沈殿珪酸の量に対して20phrになるように、カチオン性樹脂としてはジアリルジメチルアンモニウムクロライド−アクリルアミド共重合物(商品名PAS−M−1、日東紡績(株)製)水溶液を加えて混合液を得た。この混合液をミキサーで予備混合した後、高圧ホモジナイザーを用いて処理圧力400kg/cm2で3回処理を行うことにより、粉砕と表面処理を同時に行い、カチオン性樹脂表面処理沈殿珪酸水溶液を得た。得られた沈殿珪酸の平均粒子径は620nmであった。
【0052】
次いで、沈殿珪酸濃度を12%に調整した上記カチオン性樹脂表面処理沈殿珪酸水溶液600ccとSBRゴムラテックス(固形分濃度:20%)1000ccとを混合し、充分に攪拌した後、10%NaCl水溶液200ccを加えて共凝固させた。この共凝固物を、濾過、水洗した後、乾燥して、沈殿珪酸マスターバッチを得た。沈殿珪酸の配合率は、約35%であった。
【0053】
得られた沈殿珪酸マスターバッチを用いて、6インチミキサーで混練して測定した時のゴム物性を表1に示す。
実施例2
1m3のステンレス製反応容器を用いて市販の珪酸ナトリウム溶液(シリカ濃度:27.11%、モル比:3.23)51.1L及び水243Lを投入した。この溶液を35℃にした後に中和率を50%にするために、22.11重量/体積%の硫酸を15.16L投入した。その後、液温を95℃まで昇温し、そのままの状態で5分間撹拌した。次いで、先の濃度の硫酸を14.89Lを45分かけて投入した。最終的に反応液のPHを4.2とまで攪拌し沈殿珪酸スラリーを得た。
【0054】
この時、得られた沈殿珪酸の比表面積は189m2/gであり、吸油量は210cc/100gであった。
【0055】
この沈殿珪酸スラリーを用いて沈殿珪酸濃度が11%になるように一旦分散機で分散した後、沈殿珪酸の量に対して8phrになるように、カチオン樹脂としてはジアリルジメチルアンモニウムクロライド−アクリルアミド共重合物(商品名PAS−M−1、日東紡績(株)製)水溶液を加えて混合液を得た。この混合液をミキサーで予備混合した後、高圧ホモジナイザーを用いて処理圧力800kg/cm2で1回処理を行うことにより、粉砕と表面処理を同時に行い、カチオン樹脂表面処理沈殿珪酸溶液を得た。この時の、平均粒子径は320nmであった。
【0056】
上記したカチオン樹脂表面処理沈殿珪酸溶液を用いて、実施例1と同様の操作をおこない、沈殿珪酸マスターバッチを得た。沈殿珪酸の配合率は、約35%であった。
【0057】
得られた沈殿珪酸マスターバッチを用いて、6インチミキサーで混練して測定した時のゴム物性を表1に示す。
比較例1
実施例1と同様の反応条件で調整した沈殿珪酸スラリーを用いて、カチオン性樹脂を添加せずに分散機で分散した。この時の溶液中の平均粒径は16.3μmであった。
【0058】
上記分散状態の沈殿珪酸を用いて、実施例1と同様の操作をおこなったが、水洗時に流れ出してしまい、ゴム中に沈殿珪酸はほとんど取り込まれなかった。
【0059】
【表1】
Figure 0003838842
【発明の効果】
本発明により得られる沈殿珪酸マスターバッチは、
・混錬時間の短縮による生産コストの削減及び生産性の向上。
・沈殿珪酸混錬時の飛散による汚染の防止。
・沈殿珪酸の分散性の向上によるゴム物性の改良。
・沈殿珪酸設計の自由度の向上
という利点を有している。
【0060】
本発明で得られた沈殿珪酸マスターバッチは、上記したような種々の利点を有しており、このマスターバッチを用いて各種のゴム製品を製造した際には従来にない優れた効果を発揮する。

Claims (1)

  1. ゴムラテックスと沈殿珪酸とを溶液状態で混合し、混合後共凝固、水洗、脱水および乾燥する沈殿珪酸マスターバッチの製造方法であって、該沈殿珪酸として、カチオン性樹脂で表面処理された平均粒径が1μm以下である沈殿珪酸を用いることを特徴とする沈殿珪酸マスターバッチの製造方法。
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