JP6271332B2 - ウェットマスターバッチの製造方法及びその方法により製造されたウェットマスターバッチ - Google Patents

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Description

本発明らは、ウェットマスターバッチの製造方法及びその方法により製造されたウェットマスターバッチに関し、特にカーボンブラックを含有するウェットマスターバッチの製造方法及びその方法により製造されたウェットマスターバッチに関する。
従来からゴム製造の分野において、カーボンブラック等の充填材を含有するゴム組成物を製造する際の加工性や充填材の分散性を向上させるために、ウェットマスターバッチを用いることが知られている。ウェットマスターバッチとは、充填材と、分散溶媒とを予め一定の割合で混合し、機械的な力で充填材を分散溶媒中に分散させた充填材含有スラリー溶液と、ゴムラテックス溶液とを液相で混合し、その後、酸などの凝固剤を加えて凝固させたものを回収して乾燥したものをいう。
ウェットマスターバッチを用いる場合、従来の固相で混合するゴム組成物に比べ、充填材の分散性に優れ、加工性や補強性などのゴム物性に優れるゴム組成物が得られる特徴を有する。ウェットマスターバッチを用いたゴム組成物を原料とすることで、例えば、転がり抵抗が低減され、耐疲労性や耐摩耗性に優れたタイヤなどのゴム製品を製造することが見込める。
従来のウェットマスターバッチの製法では、充填剤スラリーを微細化する工程において、充填剤に対して過度なせん断力及び衝撃力がかかってしまうことがあった。微細化工程で充填剤に対して過度な力が加わった場合には、充填剤のストラクチャーは破壊されてしまい、ゴム補強性が著しく低下してしまう問題があった。そこで、充填剤のストラクチャーが破壊されることを防ぐために、充填剤スラリーの微細化を抑制した場合には、ゴム組成物中での充填剤の分散性が十分でなく、ゴム物性が低下してしまう問題が生じてしまう。
水性顔料インクの分野では、カーボンブラック等の充填剤スラリーの粒子径を微細化する方法として、表面処理カーボンブラックを適用する手法が提案されているが、ゴム補強性等を考慮したものではない。
また、表面処理カーボンブラックにより微細化した充填剤スラリーを用いたウェットマスターバッチについての提案もなされているが、表面官能基とスラリー微細化の関係に対してカーボンコロイダルに最適な領域があることは言及されていない(例えば、特許文献1参照。)。
特開2011−16874号公報
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、ゴム組成物の補強性及びゴム物性を低下させることなく、充填剤表面の官能基量を制御することで充填剤スラリーの微細化をなし、ゴムウェットマスターバッチとゴム組成物中での充填剤分散性を良好にするウェットマスターバッチの製造方法及びその方法により製造されたウェットマスターバッチを提供することを課題とする。
本発明者は、充填剤表面の官能基量とウェットマスターバッチを用いたゴム組成物の物理特性との間に最適な領域があること、及び充填剤表面の官能基量と充填剤スラリーの微細化との間に最適な領域があることを知見した。そこで、ゴム組成物の物理特性と充填剤スラリーの微細化のいずれも満たす充填剤表面の官能基量を特定することにより、上記課題を解決することを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明は、以下の[1]〜[10]を提供するものである。
[1]表面平均酸性官能基量(μeq/m2)が0.15以上3.00未満であるカーボンブラックを分散させて、pH8以上のスラリー溶液を製造する工程と、
該スラリー溶液とゴムラテックス溶液とを液相で混合して混合物を製造する工程と、
該混合物を乾燥する工程
とを含むウェットマスターバッチの製造方法。
[2]前記カーボンブラックのDBP吸油量(ml/100g)が100以下である[1]に記載のウェットマスターバッチの製造方法。
[3]前記スラリー溶液のpHが9以上である[1]又は[2]に記載のウェットマスターバッチの製造方法。
[4]前記カーボンブラックの表面平均酸性官能基量(μeq/m2)が0.20以上2.00以下である[1]〜[3]のいずれかに記載のウェットマスターバッチの製造方法。
[5]気相オゾン処理によって、前記カーボンブラックの表面に酸性官能基を導入する工程を含む[1]〜[4]のいずれかに記載のウェットマスターバッチの製造方法。
[6]前記気相オゾン処理は、0.1%以上16%以下のオゾン雰囲気下で処理する[5]に記載のウェットマスターバッチの製造方法。
[7]前記スラリー溶液を製造する工程は、STSA(m2/g)が120以上である場合、水と塩基を混ぜた塩基性水溶液に前記カーボンブラックを分散させる[1]〜[6]のいずれかに記載のウェットマスターバッチの製造方法。
[8]前記塩基の量が前記スラリー溶液の全量に対して0.06質量%以上0.1質量%以下である[7]に記載のウェットマスターバッチの製造方法。
[9]前記スラリー溶液における1μm以下のスラリー微粒化頻度が65%以上である[7]又は[8]に記載のウェットマスターバッチの製造方法。
[10]上記[1]〜[9]のいずれかに記載のウェットマスターバッチの製造方法により製造されたウェットマスターバッチ。
本発明によれば、ゴム組成物の補強性及びゴム物性を低下させることなく、充填剤表面の官能基量を制御することで充填剤スラリーの微細化をなし、ゴムウェットマスターバッチとゴム組成物中での充填剤分散性を良好にするウェットマスターバッチの製造方法及びその方法により製造されたウェットマスターバッチを提供することができる。
[ウェットマスターバッチ製造方法]
本発明の実施の形態に係るウェットマスターバッチ製造方法は、表面平均酸性官能基量(μeq/m2)が0.15以上3.00未満であるカーボンブラックを分散させて、pH8以上のスラリー溶液を製造する工程と、スラリー溶液とゴムラテックス溶液とを液相で混合して混合物を製造する工程と、混合物を乾燥する工程とを含む。
<スラリー溶液を製造する工程>
スラリー溶液を製造する工程において用いるカーボンブラックは、表面平均酸性官能基量(μeq/m2)が0.15以上3.00未満である。表面平均酸性官能基量が0.15未満であると、スラリー溶液の粒子径分布を微細にできなくなり、表面平均酸性官能基量が3.00以上であると、ポリマー(ゴム)との補強性が低下するので好ましくない。カーボンブラックの表面平均酸性官能基量は、スラリー溶液の粒子径分布の微細化、及び補強性の低下防止の観点から、0.20以上2.00以下であることがより好ましく、0.3以上1.5以下であることがさらに好ましい。カーボンブラックは、表面に酸性官能基を導入することによって、水との親和性を上げることで微細化を達成することができる。
酸性官能基量を定量する手段としては、例えば、Boehmらが提案する方法が挙げられる。
<Boehmらの方法>
カーボンブラック10gと0.01mol/LのC25ONa水溶液50gをフラスコ中で2時間攪拌後、22時間室温で静置する。静置後、さらに30分間攪拌してから濾過し、濾液を回収する。回収した濾液25mLを0.01mol/LのHCl水溶液で中和滴定し、pHが4.0に到達するまでに要するHCl水溶液量(mL)を測定する。該HCl水溶液量と下記式(1)から表面平均酸性官能基量(ミリ当量/kg)を算出する。
酸性官能基量=(25−HCl水溶液量)×2・・・(1)
表面平均酸性官能基量は、上記方法にて測定した酸性官能基量を窒素吸着比表面積で除した値であり、単位面積当たりの当量(μeq/m2)で示される。
(窒素吸着比表面積)
窒素吸着比表面積は、JIS K 6217(1997)に準じて測定する。
カーボンブラックは、コロイダル特性及び表面酸性官能基の効果が影響して微細化しやすくなるという観点から、ジブチルフタレート吸油量(DBP吸油量)(ml/100g)が100以下であることが好ましい。
カーボンブラックは、ゴム補強性の観点から、統計的厚さ比表面積(STSA:Statistical Thickness Surface Area)(m2/g)が30以上300以下であることが好ましい。
STSA(m2/g)が120以上のカーボンブラックでスラリー溶液を製造する場合では、水とカーボンブラックを先に混ぜると再凝集しやすくスラリー微粒化頻度が十分確保できない問題がある。そこで、STSA(m2/g)が120以上である場合、水と塩基を混ぜた塩基性水溶液にカーボンブラックを分散させることが好ましい。水と塩基を混ぜた塩基性水溶液であることによって、STSA(m2/g)が120以上のカーボンブラックであっても、十分なスラリー微粒化頻度が得られる。ここで、十分なスラリー微粒化頻度とは、マスターバッチ中のカーボンブラック分散性が向上し、ゴム物性(耐摩耗指標)が向上する頻度をいい、スラリー溶液における1μm以下のスラリー微粒化頻度が65%以上であることをいう。なお、水とカーボンブラックを先に混ぜて、後から塩基を加えてもスラリー溶液における1μm以下のスラリー微粒化頻度は確保できなかった。
塩基性水溶液に用いる塩基としては、水酸化ナトリウム、アンモニア等が好適に挙げられる。
塩基性水溶液に添加する塩基の量は、スラリー微粒化頻度を確保し、マスターバッチのゴム物性を向上させるという観点から、スラリー溶液の全量に対して0.06質量%以上0.1質量%以下であることが好ましく、0.08質量%以上0.1質量%以下であることがより好ましく、0.08質量%以上0.09質量%以下であることがさらに好ましい。
スラリー溶液を製造する工程において用いるカーボンブラックとしては、カラー用カーボンブラックを使用することができる。更に、カーボンブラックとして、例えば、SAF、HAF、ISAF、FEF、GPFなど種々のグレードのカーボンブラックを単独に又は混合して使用することができる。
酸性官能基を導入したカーボンブラックをスラリー化する段階では、微細化したカーボンブラックを安定して保持するために、水酸化ナトリウム等を添加してpH8以上とし、酸性官能基をイオン化する方法をとる。pH8未満では、酸性官能基を導入したカーボンブラックが凝集してしまうため好ましくない。スラリー溶液のpHは、微細化したカーボンブラックを安定して保持するという観点から、9以上であることが好ましい。
酸性官能基の導入の手法は、特に限定されず、液相酸化処理や気相酸化処理等が挙げられるが、気相オゾン処理により行うことが好ましい。気相オゾン処理は、液相酸化処理よりも低コストであり、カルボキシル基を効率的に導入することができるからである。気相オゾン処理とは、乾燥状態のカーボンブラックにオゾンガスを接触させて酸化することをいう。気相オゾン処理カーボンブラックは、例えば旭カーボン株式会社製SBX45である。
カーボンブラックの酸化処理は、乾燥したカーボンブラックを0.1%以上16%以下のオゾン雰囲気下に晒す処理により行うことが好ましい。オゾン雰囲気下でのカーボンブラックの酸化処理における処理温度は、常温〜100℃であり、処理時間は10秒〜300秒である。このカーボンブラックの酸化処理は、乾燥カーボンブラックをオゾンガスで直接酸化する手法であるので、後処理(水洗・乾燥)が必須ではなく、効率的かつ簡便でコストも抑制できる。
カーボンブラックスラリーは、分散剤の不存在下でカーボンブラックが分散してなるものであることが好ましい。カーボンブラックを安定に分散させるために分散剤を添加してもよいが、例えば、気相オゾン処理カーボンブラックを用いる等により、分散剤を添加しないことが好ましい。分散剤を用いないことで、製造したウェットマスターバッチを材料として製造したゴム製品に破壊強度の低下をもたらす心配が無く、製造コストも低減することができる。ここで、「分散剤」とは、カーボンブラックスラリー中で安定にカーボンブラックを分散させる目的で加える界面活性剤及び樹脂をいい、具体的には、ポリアクリル酸塩、スチレン−アクリル酸共重合体の塩、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体の塩、スチレン−マレイン酸共重合体の塩、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体の塩、β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩、ポリリン酸塩等の陰イオン性高分子や、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール等の非イオン性高分子や、ゼラチン、アルブミン、カゼイン等のタンパク質や、アラビアゴム、トラガントゴム等の水溶性天然ゴム類や、サポニン等のグルコシド類や、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース等のセルロース誘導体や、リグニンスルホン酸塩、セラック等の天然高分子が挙げられる。
カーボンブラックの水分散スラリー溶液の製造には、ローター・ステータータイプのハイシアーミキサー、高圧ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、コロイドミル等が用いられる。例えば、コロイドミルに所定量の充填剤と水を入れ、高速で一定時間攪拌することで、当該スラリー溶液を調製することができる。
水分散スラリー溶液中のカーボンブラックの粒度分布は、体積平均粒子径としての90体積%粒径(D90)が1.0μm以下であることが好ましい。より好ましくは、体積平均粒子径としての90体積%粒径(D90)が0.5μm以下である。粒度が大きすぎるとゴム中のカーボンブラック分散が悪化し、補強性、耐摩耗性が悪化することがある。
他方、粒度を小さくするためにスラリーに過度のせん断力をかけると、カーボンブラックのストラクチャーが破壊され、補強性の低下を引き起こす。かかる観点から、水分散スラリー溶液から乾燥回収した充填剤のDBP吸油量が、スラリーに投入する前のカーボンブラックのDBP吸油量の93%以上であることがより好ましく、96%以上であることがさらに好ましい。
<混合物を製造する工程>
混合物を製造する工程は、カーボンブラック分散スラリー溶液とゴム成分を含むゴムラテックス溶液との混合液を調製した後に、混合物を製造する工程である。
混合物を製造する工程において用いられるゴムラテックス溶液としては、天然ゴムラテックス及び/又は合成ゴムラテックス、あるいは溶液重合による合成ゴムの有機溶媒溶液等を挙げることができる。これらの中で、得られるウェットマスターバッチの性能や製造しやすさなどの観点から、天然ゴムラテックス及び/又は合成ゴムラテックスが好適である。
天然ゴムラテックスとしては、フィールドラテックス、アンモニア処理ラテックス、遠心分離濃縮ラテックス、酵素で処理した脱蛋白ラテックス、上記のものを組み合わせたものなど、いずれも使用することができる。
合成ゴムラテックスとしては、例えばスチレン−ブタジエン重合体ゴム、合成ポリイソピレンゴム、ポリブタジエンゴム、ニトリルゴム、ポリクロロプレンゴム等のラテックスを使用することができる。
スラリー溶液とゴムラテックス溶液との混合方法としては、例えば、ホモミキサー中にスラリー溶液を入れ、攪拌しながら、ゴムラテックス溶液を滴下する方法や、逆にゴムラテックス溶液を攪拌しながら、これにスラリー溶液を滴下する方法がある。また、一定の流量割合をもったスラリー流とラテックス流とを、激しい水力攪拌の条件下で混合する方法を用いることもできる。さらには、スタティックミキサー及び高せん断ミキサー等によってスラリー流とラテックス流とを混合する方法を用いることもできる。
上述の混合を行った後のウェットマスターバッチの凝固方法としては、通常と同様、蟻酸、硫酸等の酸や、塩化ナトリウム等の塩の凝固剤を用いて行われる。また、本発明においては、凝固剤を添加せず、スラリー溶液とゴムラテックス溶液とを混合することによって、凝固がなされる場合もある。
<混合物を乾燥する工程>
混合物を乾燥する工程として、真空乾燥機、エアドライヤー、ドラムドライヤー、バンドドライヤー等の通常の乾燥機を用いることができるが、さらにカーボンブラックの分散性を向上させるためには、機械的せん断力をかけながら乾燥を行なうことが好ましい。これにより、加工性、補強性、ゴム物性に優れたゴムを得ることができる。この乾燥は、一般的な混練機を用いて行なうことができるが、工業的生産性の観点から、連続混練機を用いることが好ましい。さらには、同方向回転、あるいは異方向回転の多軸混練押出機を用いることがより好ましく、特に二軸混練押出機を用いることが好ましい。
このようにして、酸化処理されたカーボンブラックを用いたウェットマスターバッチを効率よく製造することができる。
[ゴム組成物]
本発明の実施の形態に係るゴム組成物は、上述の本発明の方法で得られた酸化処理されたカーボンブラックを用いたウェットマスターバッチを配合することにより得られる。ゴム組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、加硫剤、加硫促進剤、老化防止剤、プロセス油、亜鉛華、スコーチ防止剤、ステアリン酸等の通常ゴム業界で用いられる各種薬品を添加することができる。
また、このゴム組成物において、ゴム成分の全体に対して上記ウェットマスターバッチにおけるゴム成分を30質量%以上含むことが好ましい。上記ウェットマスターバッチに追加して用いられる他のゴム成分としては、通常の天然ゴム及びジエン系合成ゴムが挙げられ、ジエン系合成ゴムとしては、例えば、スチレン−ブタジエン共重合体(SBR)、ポリブタジエン(BR)、ポリイソプレン(IR)、ブチルゴム(IIR)、エチレン−プロピレン共重合体及びこれらの混合物などが挙げられる。
上記加硫剤としては、硫黄等が挙げられ、その使用量は、ゴム成分100質量部に対し、硫黄分として0.1質量部以上10.0質量部以下であることが好ましく、0.5質量部以上5.0質量部以下であることがより好ましい。
本発明で使用できる加硫促進剤は、特に限定されるものではないが、例えば、M(2−メルカプトベンゾチアゾール)、DM(ジベンゾチアジルジスルフィド)、CZ(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド)、NS(N−t−ブチル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド)等のチアゾール系、あるいはDPG(ジフェニルグアニジン)等のグアニジン系の加硫促進剤等を挙げることができ、その使用量は、ゴム成分100質量部に対し、0.1質量部以上5.0質量部以下であることが好ましく、0.2質量部以上3.0質量部以下であることがより好ましい。
本発明で使用できる老化防止剤は、特に限定されるものではないが、例えばアミン系、フェノール系、有機ホスファイト系あるいはチオエーテル系などの老化防止剤を挙げることができる。その使用量は、ゴム成分100質量部に対し、0.1質量部以上5.0質量部以下であることが好ましく、0.5質量部以上3.0質量部以下であることがより好ましい。
本発明のゴム組成物は、タイヤ用途を始め、防振ゴム、ベルト、ホースその他の工業用品等の用途にも用いることができる。特にタイヤ用ゴムとして好適に使用され、例えばトレッドゴム、サイドゴム、プライコーティングゴム、ビードフイラーゴム、ベルトコーティングゴムなどあらゆるタイヤ部材に適用することができる。
次に、本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明は、この例によってなんら限定されるものではない。
実施例1−15、比較例1−9における各種測定は下記の方法により行なった。
(1)カーボンブラックの性状測定(DBP給油量(ml/100g)、STSA(m2/g))
充填材のDBP吸油量は、ISO 6894:1991に準拠して測定した。
STSAは、JIS 6217−7:2013に準拠して測定した。
(2)スラリー溶液中の充填材の粒度分布測定(90体積%粒径(D90))
レーザー回折型粒度分布計(MICROTRAC FRA型)を使用し、水溶媒(屈折率1.33)を用いて測定した。粒子屈折率(Particle Refractive Index)は全ての測定において1.57を用いた。また、充填材の再凝集を防ぐため、分散後直ちに測定を行った。
(3)耐キレツ進展性および耐キレツ進展性は、値が大きいほど補強性が高い。
(4)発熱性(tanδ)
TOYOSEIKI株式会社製スペクトロメーター(動的歪振幅1%、周波数52Hz、測定温度25℃)を使用して、tanδを求め、下記式(2)により算出した。
発熱性指数=(供試試験片のtanδ)/(比較例1試験片のtanδ)・・・(2)
発熱性は、数値が小さいほど低発熱性で優れている。
<実施例1>
(1)スラリー溶液の調製
カーボンブラックの酸化処理として、乾燥したカーボンブラック(旭カーボン株式会社製、「SB700」)を9%のオゾン雰囲気下に晒した。カーボンブラックの酸化処理における処理温度は25℃であり、処理時間は30秒である。酸化処理されたカーボンブラックの表面平均酸性官能基量は1.3(μeq/m2)であり、DBP吸油量は55(ml/100g)であり、STSAは120(m2/g)であった。
酸化処理されたカーボンブラックを水に10質量%の割合で入れ、ハイシアーミキサー(シルバーソン社製「LX800」)にて微分散させてスラリー液を作製した。この時の、スラリー溶液のpHは、10.0とした。ここで得られたスラリー液のカーボンブラックの粒度分布は、D90(90体積%粒径)=0.3μmであった。
(2)ウェットマスターバッチの調製
上記(1)で作製したスラリー溶液10kgと、10質量%に希釈した天然ゴムラテックス10kgとを攪拌しながら混合したのち、これを蟻酸にてpH4.5に調製して凝固させた。この凝固物を濾取し、充分に洗浄してウェット凝固物900gを得た。その後、計量カップに60g(固形分30g)ずつ量り取ったウェット凝固物を1分間隔で、神戸製鋼社製二軸連続混練機「KTX−30」に投入することで、酸化処理されたカーボンブラックを用いたマスターバッチを作製した。このマスターバッチにおいては、天然ゴムラテックス100質量部当りのカーボンブラックの量は60質量部であった。
(3)ゴム組成物の調製
上記(2)で作製したカーボンブラックを配合したウェットマスターバッチ160質量部に対して、老化防止剤(N−フェニル−N'−(1,3-ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン、大内新興化学工業株式会社製「ノクラック6C」)1質量部、亜鉛華(白水化学株式会社製「1号亜鉛華」)3質量部、ステアリン酸(日本油脂株式会社製)1質量部、加硫促進剤(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、大内新興化学工業株式会社製「ノクセラーCZ−G」)1質量部、及び硫黄(軽井沢精錬所株式会社製)2.2質量部を配合し、インターナルミキサーで混練してゴム組成物を得た。得られたゴム組成物について、耐キレツ性と発熱性を評価した。結果を下記の表1に示す。
<実施例2>
実施例2は、カーボンブラック(旭カーボン株式会社製、「SB700」)を酸化処理して、表面平均酸性官能基量を0.2(μeq/m2)としたこと以外は実施例1と同様の操作を行った。実施例2での酸化処理されたカーボンブラックのDBP吸油量は55(ml/100g)であり、STSAは120(m2/g)であった。実施例2のゴム物性評価を表1に示す。
<実施例3>
実施例3は、カーボンブラック(旭カーボン株式会社製、「SBX45」)を酸化処理して、表面平均酸性官能基量を0.6(μeq/m2)としたこと以外は実施例1と同様の操作を行った。実施例3での酸化処理されたカーボンブラックのDBP吸油量は55(ml/100g)であり、STSAは120(m2/g)であった。実施例3のゴム物性評価を表1に示す。
<実施例4>
実施例4は、カーボンブラック(旭カーボン株式会社製、「SB700」)を酸化処理して、表面平均酸性官能基量を2.9(μeq/m2)としたこと以外は実施例1と同様の操作を行った。実施例4での酸化処理されたカーボンブラックのDBP吸油量は55(ml/100g)であり、STSAは120(m2/g)であった。実施例4のゴム物性評価を表1に示す。
<実施例5>
実施例5は、カーボンブラック(旭カーボン株式会社製、「SBX15」)を酸化処理して、表面平均酸性官能基量を1.2(μeq/m2)としたこと以外は実施例1と同様の操作を行った。実施例5での酸化処理されたカーボンブラックのDBP吸油量は96(ml/100g)であり、STSAは115(m2/g)であった。実施例5のゴム物性評価を表1に示す。
<実施例6>
実施例6は、カーボンブラック(旭カーボン株式会社製、「SBX15」)を酸化処理して、表面平均酸性官能基量を0.7(μeq/m2)としたこと以外は実施例1と同様の操作を行った。実施例6での酸化処理されたカーボンブラックのDBP吸油量は96(ml/100g)であり、STSAは115(m2/g)であった。実施例6のゴム物性評価を表1に示す。
<実施例7>
実施例7は、カーボンブラック(旭カーボン株式会社製、「SBX15」)を酸化処理して、表面平均酸性官能基量を2.9(μeq/m2)としたこと以外は実施例1と同様の操作を行った。実施例7での酸化処理されたカーボンブラックのDBP吸油量は96(ml/100g)であり、STSAは115(m2/g)であった。実施例7のゴム物性評価を表1に示す。
<実施例8>
実施例8は、カーボンブラック(旭カーボン株式会社製、「SB910」)を酸化処理して、表面平均酸性官能基量を1.2(μeq/m2)としたこと以外は実施例1と同様の操作を行った。実施例8での酸化処理されたカーボンブラックのDBP吸油量は55(ml/100g)であり、STSAは280(m2/g)であった。実施例8のゴム物性評価を表1に示す。
<実施例9>
実施例9は、カーボンブラック(旭カーボン株式会社製、「SB910」)を酸化処理して、表面平均酸性官能基量を0.3(μeq/m2)としたこと以外は実施例1と同様の操作を行った。実施例9での酸化処理されたカーボンブラックのDBP吸油量は55(ml/100g)であり、STSAは280(m2/g)であった。実施例9のゴム物性評価を表1に示す。
<実施例10>
実施例10は、カーボンブラック(旭カーボン株式会社製、「SB910」)を酸化処理して、表面平均酸性官能基量を2.9(μeq/m2)としたこと以外は実施例1と同様の操作を行った。実施例10での酸化処理されたカーボンブラックのDBP吸油量は55(ml/100g)であり、STSAは280(m2/g)であった。実施例10のゴム物性評価を表1に示す。
<実施例11>
実施例11は、カーボンブラック(旭カーボン株式会社製、「SB970」)を酸化処理して、表面平均酸性官能基量を0.3(μeq/m2)としたこと以外は実施例1と同様の操作を行った。実施例11での酸化処理されたカーボンブラックのDBP吸油量は100(ml/100g)であり、STSAは270(m2/g)であった。実施例11のゴム物性評価を表1に示す。
<実施例12>
実施例12は、カーボンブラック(旭カーボン株式会社製、「SB970」)を酸化処理して、表面平均酸性官能基量を0.8(μeq/m2)としたこと以外は実施例1と同様の操作を行った。実施例12での酸化処理されたカーボンブラックのDBP吸油量は100(ml/100g)であり、STSAは270(m2/g)であった。実施例12のゴム物性評価を表1に示す。
<実施例13>
実施例13は、カーボンブラック(旭カーボン株式会社製、「SB970」)を酸化処理して、表面平均酸性官能基量を2.8(μeq/m2)としたこと以外は実施例1と同様の操作を行った。実施例13での酸化処理されたカーボンブラックのDBP吸油量は100(ml/100g)であり、STSAは270(m2/g)であった。実施例13のゴム物性評価を表1に示す。
<実施例14>
実施例14は、カーボンブラック(旭カーボン株式会社製、「SB320」)を酸化処理して、表面平均酸性官能基量を1.2(μeq/m2)としたこと以外は実施例1と同様の操作を行った。実施例14での酸化処理されたカーボンブラックのDBP吸油量は120(ml/100g)であり、STSAは100(m2/g)であった。実施例14のゴム物性評価を表1に示す。
<実施例15>
実施例15は、カーボンブラック(旭カーボン株式会社製、「SB700」)を酸化処理して、表面平均酸性官能基量を1.2(μeq/m2)としたこと、及びスラリー溶液のpHを8.5としたこと以外は実施例1と同様の操作を行った。実施例15での酸化処理されたカーボンブラックのDBP吸油量は55(ml/100g)であり、STSAは120(m2/g)であった。実施例15のスラリー液のカーボンブラックの粒度分布は、D90(90体積%粒径)=0.7μmであった。実施例15のゴム物性評価を表1に示す。
Figure 0006271332
<比較例1>
比較例1は、カーボンブラック(旭カーボン株式会社製、「SBX15」)を酸化処理して、表面平均酸性官能基量を0.1(μeq/m2)としたこと以外は実施例1と同様の操作を行った。比較例1での酸化処理されたカーボンブラックのDBP吸油量は100(ml/100g)であり、STSAは100(m2/g)であった。比較例1のスラリー液のカーボンブラックの粒度分布は、D90(90体積%粒径)=7.0μmであった。比較例1のゴム物性評価を表2に示す。
<比較例2>
比較例2は、カーボンブラック(旭カーボン株式会社製、「SBX15」)を酸化処理して、表面平均酸性官能基量を3.0(μeq/m2)としたこと以外は実施例1と同様の操作を行った。比較例2での酸化処理されたカーボンブラックのDBP吸油量は100(ml/100g)であり、STSAは100(m2/g)であった。比較例2のスラリー液のカーボンブラックの粒度分布は、D90(90体積%粒径)=0.3μmであった。比較例2のゴム物性評価を表2に示す。
<比較例3>
比較例3は、カーボンブラック(旭カーボン株式会社製、「SBX15」)を酸化処理して、表面平均酸性官能基量を5.0(μeq/m2)としたこと以外は実施例1と同様の操作を行った。比較例3での酸化処理されたカーボンブラックのDBP吸油量は100(ml/100g)であり、STSAは100(m2/g)であった。比較例3のスラリー液のカーボンブラックの粒度分布は、D90(90体積%粒径)=0.2μmであった。比較例3のゴム物性評価を表2に示す。
<比較例4>
比較例4は、カーボンブラック(旭カーボン株式会社製、「SB970」)を酸化処理して、表面平均酸性官能基量を0.1(μeq/m2)としたこと以外は実施例1と同様の操作を行った。比較例4での酸化処理されたカーボンブラックのDBP吸油量は100(ml/100g)であり、STSAは200(m2/g)であった。比較例4のスラリー液のカーボンブラックの粒度分布は、D90(90体積%粒径)=9.0μmであった。比較例4のゴム物性評価を表2に示す。
<比較例5>
比較例5は、カーボンブラック(旭カーボン株式会社製、「SB970」)を酸化処理して、表面平均酸性官能基量を3.0(μeq/m2)としたこと以外は実施例1と同様の操作を行った。比較例5での酸化処理されたカーボンブラックのDBP吸油量は100(ml/100g)であり、STSAは200(m2/g)であった。比較例5のスラリー液のカーボンブラックの粒度分布は、D90(90体積%粒径)=3.0μmであった。比較例5のゴム物性評価を表2に示す。
<比較例6>
比較例6は、カーボンブラック(旭カーボン株式会社製、「SB970」)を酸化処理して、表面平均酸性官能基量を5.0(μeq/m2)としたこと以外は実施例1と同様の操作を行った。比較例6での酸化処理されたカーボンブラックのDBP吸油量は100(ml/100g)であり、STSAは200(m2/g)であった。比較例6のスラリー液のカーボンブラックの粒度分布は、D90(90体積%粒径)=0.3μmであった。比較例6のゴム物性評価を表2に示す。
<比較例7>
比較例7は、カーボンブラック(旭カーボン株式会社製、「SB700」)を酸化処理して、表面平均酸性官能基量を5.0(μeq/m2)としたこと以外は実施例1と同様の操作を行った。比較例7での酸化処理されたカーボンブラックのDBP吸油量は50(ml/100g)であり、STSAは100(m2/g)であった。比較例7のスラリー液のカーボンブラックの粒度分布は、D90(90体積%粒径)=0.3μmであった。比較例7のゴム物性評価を表2に示す。
<比較例8>
比較例8は、カーボンブラック(旭カーボン株式会社製、「SB910」)を酸化処理して、表面平均酸性官能基量を5.0(μeq/m2)としたこと以外は実施例1と同様の操作を行った。比較例8での酸化処理されたカーボンブラックのDBP吸油量は50(ml/100g)であり、STSAは200(m2/g)であった。比較例8のスラリー液のカーボンブラックの粒度分布は、D90(90体積%粒径)=0.3μmであった。比較例8のゴム物性評価を表2に示す。
<比較例9>
比較例9は、カーボンブラック(旭カーボン株式会社製、「SB700」)を酸化処理して、表面平均酸性官能基量を1.2(μeq/m2)としたこと、及びスラリー溶液のpHを7.0としたこと以外は実施例1と同様の操作を行った。比較例9での酸化処理されたカーボンブラックのDBP吸油量は50(ml/100g)であり、STSAは100(m2/g)であった。比較例9のスラリー液のカーボンブラックの粒度分布は、D90(90体積%粒径)=3.0μmであった。比較例9のゴム物性評価を表2に示す。
Figure 0006271332
実施例16−18、比較例10−14における各種測定は下記の方法により行なった。
(1)カーボンブラックの性状測定(STSA(m2/g))
STSAは、JIS 6217−7:2013に準拠して測定した。
(2)1μm以下のスラリー微粒化頻度(%)
レーザー回折・散乱式粒子径・粒度分布測定装置(日機装株式会社製、「マイクロトラックMT300」)を使用し、スラリー溶液の粒径1μm以下の粒子の割合を算出した。
(3)カーボンブラック分散度(ディスパグレーダーX値)
アルファテクノロジー株式会社製「αview SR」を使用して、ゴム切断面の凸部分を分散魂と認識し、分散判定及び分散魂粒径分布を求める方法により、サンプル画像とリファレンス写真の比較によりX値を算出した。
(4)ランボーン耐摩耗指標
耐摩耗試験であるランボーン耐摩耗指数は、スリップ率を60%とし、比較例10を100として指数で示した。数値が大きい程、耐摩耗性が良好である。
<実施例16>
(1)スラリー溶液の調製
カーボンブラックの酸化処理として、乾燥したカーボンブラック(旭カーボン株式会社製、「AX015」)を3%のオゾン雰囲気下に晒した。カーボンブラックの酸化処理における処理温度は25℃であり、処理時間は30秒である。酸化処理されたカーボンブラックSTSAは123(m2/g)であった。
全スラリー量に対する水酸化ナトリウムが0.07質量%となるように、50%水酸化ナトリウム1.05kgを水675Lに入れて、塩基性水溶液を作製した。酸化処理されたカーボンブラックを塩基性水溶液に75kg入れ、ハイシアーミキサー(シルバーソン社製「800LS」)にて微分散させ、カーボンブラック濃度が10質量%のスラリー溶液を作製した。この時の、スラリー溶液のpHは、10.7とした。ここで得られたスラリー溶液の1μm以下のスラリー微粒化頻度は68%であった。
(2)ウェットマスターバッチの調製
上記(1)で作製したスラリー溶液750kgと、固形分濃度30質量%の天然ゴムラテックス500Lとを容積2000Lの凝固槽に投入し、凝固槽の底に設置した攪拌羽根を周速3m/sで回転させて攪拌し、混合・凝固工程を行った。攪拌開始5分後に凝固剤として蟻酸をpH4.5になるまで加えて更に攪拌して凝固させた。このウェット凝固物は、一枚濾布型脱水機(柳河エンジニアリング社製「RF6000型」)で脱水後、2軸押出機(日本精鋼製「TEX65」)にて押出乾燥してウェットマスターバッチを作製した。このマスターバッチにおいては、天然ゴムラテックス100質量部当りのカーボンブラックの量は50質量部であった。
(3)ゴム組成物の調製
上記(2)で作製したカーボンブラックを配合したウェットマスターバッチ160質量部に対して、老化防止剤(N−フェニル−N'−(1,3-ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン、大内新興化学工業株式会社製「ノクラック6C」)1質量部、亜鉛華(白水化学株式会社製「1号亜鉛華」)3質量部、ステアリン酸(日本油脂株式会社製)1質量部、加硫促進剤(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、大内新興化学工業株式会社製「ノクセラーCZ−G」)1質量部、及び硫黄(軽井沢精錬所株式会社製)2.2質量部を配合し、インターナルミキサーで混練してゴム組成物を得た。得られたゴム組成物について、カーボンブラック分散度と耐摩耗性を評価した。結果を下記の表3に示す。
<実施例17>
実施例17は、全スラリー量に対する水酸化ナトリウムが0.1質量%となるようにしたこと以外は実施例16と同様の操作を行った。実施例17でのスラリー溶液の1μm以下のスラリー微粒化頻度は87%であった。実施例17のゴム物性評価を表3に示す。
<実施例18>
実施例18は、カーボンブラックSTSAが130(m2/g)であるものを用いたこと、及び、全スラリー量に対する水酸化ナトリウムが0.1質量%となるようにしたこと以外は実施例16と同様の操作を行った。実施例18でのスラリー溶液の1μm以下のスラリー微粒化頻度は86%であった。実施例18のゴム物性評価を表3に示す。
<比較例10>
比較例10は、カーボンブラックを水に添加した後、ハイシアーミキサーにて混合し、混合開始60分後に水酸化ナトリウムを加えたこと、及び、全スラリー量に対する水酸化ナトリウムが0.1質量%となるようにしたこと以外は実施例16と同様の操作を行った。比較例10でのスラリー溶液の1μm以下のスラリー微粒化頻度は25%であった。比較例10のゴム物性評価を表3に示す。
<比較例11>
比較例11は、カーボンブラックを水に添加した後、ハイシアーミキサーにて混合し、混合開始90分後に水酸化ナトリウムを加えたこと、及び、全スラリー量に対する水酸化ナトリウムが0.1質量%となるようにしたこと以外は実施例16と同様の操作を行った。比較例11でのスラリー溶液の1μm以下のスラリー微粒化頻度は20%であった。比較例11のゴム物性評価を表3に示す。
<比較例12>
比較例12は、全スラリー量に対する水酸化ナトリウムが0.04質量%となるようにしたこと以外は実施例16と同様の操作を行った。比較例12でのスラリー溶液の1μm以下のスラリー微粒化頻度は50%であった。比較例12のゴム物性評価を表3に示す。
<比較例13>
比較例13は、カーボンブラックを水に添加した後、ハイシアーミキサーにて混合し、混合開始60分後に水酸化ナトリウムを加えたこと、カーボンブラックSTSAが130(m2/g)であるものを用いたこと、及び、全スラリー量に対する水酸化ナトリウムが0.1質量%となるようにしたこと以外は実施例16と同様の操作を行った。比較例13でのスラリー溶液の1μm以下のスラリー微粒化頻度は23%であった。比較例13のゴム物性評価を表3に示す。
<比較例14>
比較例14は、カーボンブラックSTSAが130(m2/g)であるものを用いたこと、及び、全スラリー量に対する水酸化ナトリウムが0.04質量%となるようにしたこと以外は実施例16と同様の操作を行った。比較例14でのスラリー溶液の1μm以下のスラリー微粒化頻度は48%であった。比較例14のゴム物性評価を表3に示す。
Figure 0006271332
本発明の酸化処理されたカーボンブラックを用いたウェットマスターバッチの製造方法は、カーボンブラック分散スラリー液として、酸化処理されたカーボンブラック分散スラリー液を用いることで、ゴムの補強性やゴム物性などを低下させることがなく、かつ充填剤スラリーの微細化をなし、充填剤分散性の良好なウェットマスターバッチを効率よく製造することができる。

Claims (9)

  1. 表面平均酸性官能基量(μeq/m)が0.15以上3.00未満であるカーボンブラックを分散させて、pH8以上のスラリー溶液を製造する工程と、
    該スラリー溶液とゴムラテックス溶液とを液相で混合して混合物を製造する工程と、
    該混合物を乾燥する工程
    とを含むウェットマスターバッチの製造方法。
  2. 前記カーボンブラックのDBP吸油量(ml/100g)が100以下である請求項1に記載のウェットマスターバッチの製造方法。
  3. 前記スラリー溶液のpHが9以上である請求項1又は2に記載のウェットマスターバッチの製造方法。
  4. 前記カーボンブラックの表面平均酸性官能基量(μeq/m)が0.20以上2.00以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載のウェットマスターバッチの製造方法。
  5. 気相オゾン処理によって、前記カーボンブラックの表面に酸性官能基を導入する工程を含む請求項1〜4のいずれか1項に記載のウェットマスターバッチの製造方法。
  6. 前記気相オゾン処理は、0.1%以上16%以下のオゾン雰囲気下で処理する請求項5に記載のウェットマスターバッチの製造方法。
  7. 前記スラリー溶液を製造する工程は、STSA(m/g)が120以上である場合、水と塩基を混ぜた塩基性水溶液に前記カーボンブラックを分散させる請求項1〜6のいずれか1項に記載のウェットマスターバッチの製造方法。
  8. 前記塩基の量が前記スラリー溶液の全量に対して0.06質量%以上0.1質量%以下である請求項7に記載のウェットマスターバッチの製造方法。
  9. 前記スラリー溶液における1μm以下のスラリー微粒化頻度が65%以上である請求項7又は8に記載のウェットマスターバッチの製造方法。
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