JP2011016874A - ウエットマスターバッチの製造方法、および該ウエットマスターバッチを用いて得られたゴム組成物 - Google Patents

ウエットマスターバッチの製造方法、および該ウエットマスターバッチを用いて得られたゴム組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】カーボンブラックの分散性に優れたウエットマスターバッチの製造方法、および該ウエットマスターバッチを用いて得られたゴム組成物を提供すること。
【解決手段】カーボンブラック含有スラリー溶液と、ゴムラテックス溶液と、を液相で混合し、乾燥させるウエットマスターバッチの製造方法において、カーボンブラック含有スラリー溶液中のカーボンブラックの粒度分布を、90%体積粒径(D90)で1μm未満とする。必要に応じて、カーボンブラック含有スラリー溶液中に分散剤を含有させてもよい。カーボンブラック含有スラリー溶液中のカーボンブラックは、その表面に存在するカルボキシル基とヒドロキシル基との和が3μeq/m以上であることが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、カーボンブラック含有スラリー溶液と、ゴムラテックス溶液と、を液相で混合し、乾燥させるウエットマスターバッチの製造方法、および該ウエットマスターバッチを用いて得られたゴム組成物に関する。
従来から、ゴム業界においては、カーボンブラックなどの充填材を含有するゴム組成物を製造する際の加工性や充填材の分散性を向上させるために、ウエットマスターバッチを用いることが知られている。これは、充填材と、分散溶媒と、を予め一定の割合で混合し、機械的な力で充填材を分散溶媒中に分散させた充填材含有スラリー溶液と、ゴムラテックス溶液と、を液相で混合し、その後、酸などの凝固剤を加えて凝固させたものを回収して乾燥するものである。ウエットマスターバッチを用いる場合、充填材と、ゴムと、を固相で混合して得られるドライマスターバッチを用いる場合に比べて、充填材の分散性に優れ、加工性や補強性などのゴム物性に優れるゴム組成物が得られる。このようなゴム組成物を原料とすることで、例えば転がり抵抗が低減され、耐疲労性や耐摩耗性に優れたタイヤなどのゴム製品を製造することができる。
上述したウエットマスターバッチの製造方法は、例えば下記特許文献1〜3に記載されている。これらの特許文献に記載の方法では、ウエットマスターバッチを製造する際、原料としてカーボンブラック含有スラリー溶液を使用する。しかしながら、これらの特許文献では、スラリー溶液中のカーボンブラックの粒度分布を小さくするために、過度にせん断力や衝撃力をかけると、カーボンブラックのストラクチャーが破壊され、その補強性が低下する点を危惧する結果、スラリー溶液中のカーボンブラックの粒度分布を適度に大きく設定している。このため、これらの特許文献に記載のウエットマスターバッチでは、カーボンブラックの分散性が十分ではなく、最終的な加硫ゴムのゴム物性の点で、さらなる改良の余地があった。
ところで、空気入りタイヤを含むゴム業界以外の分野、例えば水性顔料インキの分野では、カーボンブラックの粒度分布が小さいカーボンブラック含有スラリー溶液は存在する。例えば、下記特許文献4では、50%体積粒径(以下、「D50」という)で120〜180nm、最大粒径(D99)で350nm以下のカーボンブラックを水性媒体中に分散してなる水性顔料インキが記載されている。しかしながら、インキ業界で使用するカーボンブラックに要求される特性は、紙定着性などであって、ゴム業界で要求される補強性などではない。加えて、インキ業界で使用されるような粒度分布が小さいカーボンブラック含有スラリー溶液を、ゴム業界で使用した例はこれまでなかった。
特開昭36−22729号公報 特表2000−507892号公報 特開2004−99625号公報 特許第3749390号公報
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、カーボンブラックの分散性に優れたウエットマスターバッチの製造方法、および該ウエットマスターバッチを用いて得られたゴム組成物を提供することにある。
本発明者らは、カーボンブラック含有スラリー溶液中のカーボンブラックの粒度分布と、該スラリー溶液を原料として得られる、ウエットマスターバッチを用いて製造されたゴム組成物中のカーボンブラックの分散性と、の関係に着目して鋭意検討を行った。その結果、カーボンブラックの粒度分布が、90%体積粒径(以下、「D90」という)で1μm未満であるカーボンブラック含有スラリー溶液を原料として得られる、ウエットマスターバッチを用いて得られたゴム組成物では、カーボンブラックの分散性に優れ、かつカーボンブラックの補強性が十分に発揮されることが判明した。本発明は、上記の検討の結果なされたものであり、下記の如き構成により上述の目的を達成するものである。
即ち、本発明に係るウエットマスターバッチの製造方法は、カーボンブラック含有スラリー溶液と、ゴムラテックス溶液と、を液相で混合し、乾燥させるウエットマスターバッチの製造方法において、前記カーボンブラック含有スラリー溶液中のカーボンブラックの粒度分布が、90%体積粒径(D90)で1μm未満であることを特徴とする。
上記ウエットマスターバッチの製造方法では、カーボンブラックの粒度分布が、D90で1μm未満であるカーボンブラック含有スラリー溶液を原料として使用することで、カーボンブラックの分散性に優れたウエットマスターバッチを製造することができる。
上記ウエットマスターバッチの製造方法において、前記カーボンブラック含有スラリー溶液が、分散剤を含有するものであることが好ましい。かかる製造方法によれば、カーボンブラックの分散性がより優れたウエットマスターバッチを製造することができる。
上記ウエットマスターバッチの製造方法において、前記カーボンブラック含有スラリー溶液中のカーボンブラックは、その表面に存在するカルボキシル基とヒドロキシル基との和が3μeq/m以上であることが好ましい。かかる製造方法によれば、カーボンブラックの分散性が特に優れたウエットマスターバッチを製造することができる。
また、本発明に係るゴム組成物は、前記いずれかに記載の方法で製造されたウエットマスターバッチを用いて得られたものであることから、同様にカーボンブラックの分散性に優れる。このため、本発明に係るゴム組成物は、未加硫時の粘度が低下し、その加工性が優れるとともに、最終的にゴム組成物を使用して加硫ゴムとした場合、ゴム物性が優れる。
本発明に係るウエットマスターバッチの製造方法は、カーボンブラック含有スラリー溶液と、ゴムラテックス溶液と、を液相で混合する。
ゴムラテックス溶液には、天然ゴムラテックス溶液または合成ゴムラテックス溶液が含まれる。天然ゴムラテックス溶液は、植物の代謝作用による天然の生産物であり、特に分散溶媒が水である、天然ゴム/水系のものが好ましい。合成ゴムラテックス溶液は、例えばスチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴムを乳化重合により製造したものがある。
カーボンブラック含有スラリー溶液は、カーボンブラックと、分散溶媒と、を混合することにより製造することができる。このカーボンブラック含有スラリー溶液中のカーボンブラックの分散度合いは、ウエットマスターバッチ中のカーボンブラックの分散度合いに大きな影響を及ぼす。本発明においては、カーボンブラックの粒度分布が、D90で1μm未満であるカーボンブラック含有スラリー溶液を原料として、ウエットマスターバッチを製造する。その結果、カーボンブラックの分散性に優れたウエットマスターバッチを製造することができる。
カーボンブラックの粒度分布が、D90で1μm未満であるカーボンブラック含有スラリー溶液を調整する方法としては、例えば、酸素またはオゾン、あるいはハロゲン酸、過硫酸、またはその塩類など、通常用いられる酸化剤を使用して酸化処理したカーボンブラックを分散溶媒中に分散させる方法が挙げられる。さらに、かかる酸化処理後のカーボンブラックを、水酸化ナトリウムなどにより処理(金属処理)して、pHで6〜8の中性のカーボンブラックとして、分散溶媒中に分散させた場合、最終的な加硫ゴムにおいてもカーボンブラックの凝集が抑制され、カーボンブラックの分散性を良好に保持できるため好ましい。
カーボンブラックと、分散溶媒と、を混合する方法としては、ハイシアーミキサー、ホモミキサー、ボールミル、ビーズミル、高圧ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、コロイドミルなどの一般的な分散機を使用して分散させる方法が挙げられる。
分散溶媒としては、特に水を使用することが好ましいが、例えば有機溶媒を含有する水であってもよい。
カーボンブラック含有スラリー溶液を調整するためのカーボンブラックとしては、例えばSAF、ISAF、HAF、FEF、GPFなど、通常のゴム工業で使用されるカーボンブラックの他、アセチレンブラックやケッチェンブラックなどの導電性カーボンブラックを使用することができる。しかしながら、本発明においては、カーボンブラックの補強性を考慮した場合、窒素吸着比表面積(NSA)が125m/g以上のものが好ましく、130m/g以上のものがより好ましい。なお、カーボンブラックは、通常のゴム工業において、そのハンドリング性を考慮して造粒された造粒カーボンブラックであってもよく、未造粒カーボンブラックであってもよい。
本発明において、カーボンブラック含有スラリー溶液中の分散溶媒として水を使用する場合、カーボンブラックの表面に存在するカルボキシル基(−COOH)とヒドロキシル基(−OH)との和が、3μeq/m以上であることが好ましい。この場合、最終的なウエットマスターバッチ中のカーボンブラックの分散性が特に優れたものとなる。
なお、カルボキシル基およびヒドロキシル基は、下記の方法により測定した値が用いられる。
カルボキシル基量:
0.976N炭酸水素ナトリウム50ml中にカーボンブラック2〜5gを添加して6時間振盪した後、カーボンブラックを反応液から濾別し、濾液に0.05N塩酸水溶液を加えたのち、pHが7.0になるまで0.05N水酸化ナトリウム水溶液にて中和滴定試験を行ってカルボキシル基を測定する。この測定値をカーボンブラックの窒素吸着比表面積(NSA;m/g)で除した値を、カーボンブラックの単位表面積当たりに形成されたカルボキシル基量(μeq/m)とする。
ヒドロキシル基量:
2、2’−Diphenyl−1−picrylhydrazyl(DPPH)を四塩化炭素中に溶解して濃度5×10−4mol/lの溶液を作成し、該溶液にカーボンブラックを0.1〜0.6g添加し、60℃の恒温槽中で6時間攪拌する。その後、反応液からカーボンブラックを濾別し、濾液を紫外線吸光光度計によりヒドロキシル基を測定する。このようにして測定した値をカーボンブラックの窒素吸着比表面積(NSA;m/g)で除した値を、カーボンブラックの単位表面積当たりに形成されたヒドロキシル基量(μeq/m)とする。
本発明においては、カーボンブラック含有スラリー溶液として、分散剤を含有するものを原料として使用した場合、カーボンブラックの分散性がより優れたウエットマスターバッチを製造することができる。分散剤としては、ゴム業界において公知の界面活性剤を使用することができ、例えば非イオン性界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両イオン系界面活性剤などが挙げられる。これらの中でも、特にアニオン系界面活性剤が好ましい。
カーボンブラック含有スラリー溶液は、カーボンブラックに加えて、シリカ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの各種充填材、老化防止剤、加硫促進剤、酸化亜鉛などを含有させてもよい。この場合は、これらをカーボンブラックとともに分散溶媒と混合してもよく、カーボンブラックとは別工程にて分散溶媒と混合しても良い。
老化防止剤としては、ゴム用として通常用いられる、芳香族アミン系老化防止剤、アミン−ケトン系老化防止剤、モノフェノール系老化防止剤、ビスフェノール系老化防止剤、ポリフェノール系老化防止剤、ジチオカルバミン酸塩系老化防止剤、チオウレア系老化防止剤などの老化防止剤を単独、または適宜混合して使用しても良い。
加硫促進剤としては、ゴム加硫用として通常用いられる、スルフェンアミド系加硫促進剤、チウラム系加硫促進剤、チアゾール系加硫促進剤、チオウレア系加硫促進剤、グアニジン系加硫促進剤、ジチオカルバミン酸塩系加硫促進剤などの加硫促進剤を単独、または適宜混合して使用しても良い。
本発明に係るウエットマスターバッチの製造方法では、カーボンブラック含有スラリー溶液と、ゴムラテックス溶液と、を液相で混合後、乾燥させる。この乾燥方法としては、カーボンブラック含有スラリー溶液と、ゴムラテックス溶液と、を液相で混合して得られたカーボンブラック含有ゴムラテックス溶液中に、凝固剤を含有させて凝固後に乾燥させる凝固乾燥方法であってもよく、凝固させることなく乾燥させる乾固方法であってもよい。
凝固乾燥方法で使用する凝固剤としては、ゴムラテックス溶液の凝固用として通常使用されるギ酸、硫酸などの酸や、塩化ナトリウムなどの塩を使用することができる。
カーボンブラック含有ゴムラテックス溶液の乾燥方法としては、オーブン、真空乾燥機、エアードライヤーなどの各種乾燥装置を使用することができる。
本発明においては、カーボンブラック含有スラリー溶液と、ゴムラテックス溶液と、を液相で混合して得られたカーボンブラック含有ゴムラテックス溶液中に、凝集剤を含有させた後、得られた凝集体を回収し、乾燥させてもよい。凝集剤としては、ゴムラテックス溶液の凝集剤として公知のものを限定なく使用でき、具体的には例えば、カチオン性凝集剤が挙げられる。
上述したウエットマスターバッチの製造方法により製造されたウエットマスターバッチは、粒径が小さく、かつ分散状態が良好なカーボンブラックを含有する。このウエットマスターバッチに、必要に応じてシリカ、シランカップリング剤、酸化亜鉛、ステアリン酸、硫黄、加硫促進剤、加硫促進助剤、加硫遅延剤、有機過酸化物、老化防止剤、ワックスやオイルなどの軟化剤、加工助剤などを含有させることにより、ゴム組成物を製造することができる。上述したとおり、本発明に係るウエットマスターバッチは、粒径が小さく、かつ分散状態が良好なカーボンブラックを含有することから、これを用いて製造されたゴム組成物も、やはり粒径が小さく、かつ分散状態が良好なカーボンブラックを含有する。特に、このゴム組成物を用いて製造されたタイヤ、具体的にはトレッドゴム、サイドゴム、プライもしくはベルトコーティングゴム、またはビードフィラーゴムに本発明に係るゴム組成物を使用したタイヤは、カーボンブラックが良好に分散したゴム部を有することとなるため、転がり抵抗が低減され、耐疲労性などの諸物性に優れる。
以下、本発明の構成と効果を具体的に示す実施例などについて説明する。なお、未加硫ゴムおよび加硫ゴムの各性能評価は、次のようにして行った。
(1)加硫ゴムの破断時の伸び
JIS K6251に準拠して測定した、加硫ゴムの破断時の伸びを指数評価した。比較例1の加硫ゴムの破断時の伸びを100として指数化し、指数が大きいほど加硫ゴムの破断時の伸びが大きく、加硫ゴムの破壊特性が優れていることを示す。
(2)ヒステリシスロス(損失正接tanδ)
UBM社製レオスペクトロメーターE4000を使用し、50Hz、80℃、動的歪2%の状態で測定したtanδを指数評価した。比較例1の加硫ゴムのtanδを100として指数化し、指数が小さいほど加硫ゴムのtanδが低く、そのヒステリシスロスが低減されていることを示す。
使用原料および使用装置は以下のとおりである。
(使用原料)
a)カーボンブラック SAF(「シースト9」、東海カーボン社製)
b)分散溶媒 水
c)ゴムラテックス溶液 天然ゴム濃縮ラテックス(レヂテックス社製、DRC(Dry Rubber Content)=60%)を蒸留水で25重量%に希釈したもの
d)凝固剤 ギ酸(ナカライテスク社製 一級85%)を蒸留水で10重量%に希釈したもの
実施例1
カーボンブラック150gを、過硫酸アンモニウム水溶液3000mlに入れ、温度60℃、回転数300rpmで攪拌混合し、酸化処理した。次いで、濾過により分離したカーボンブラックを純水中に分散させて、水酸化ナトリウム水溶液(濃度0.5N)で中和し、限外濾過膜により精製処理して残存する塩を分離したのち、濾過してカーボンブラックを分離し、水洗乾燥してカーボンブラックを得た。このカーボンブラックを純水中に20重量%濃度で分散させ、カーボンブラック含有スラリー溶液を調整した。調整したカーボンブラック含有スラリー溶液のD50およびD90を、測定時の吸光度を0.01〜0.1に設定し、島津製作所社製「SALD2200」(CBの屈折率:2.0−0.10i)を使用して測定した(結果を表1に示す)。
調整したカーボンブラック含有スラリー溶液と、ゴムラテックス溶液と、をゴム固形分100重量部に対してカーボンブラック固形分が50重量部となるように混合し、これを三洋電機社製の家庭用ミキサーを使用し、回転数11300rpmで2分間混合後、pHが3となるように凝固剤を添加した。混合後、ゴムとカーボンブラックとの凝固物を120℃で2時間、真空乾燥機内に放置して乾燥し、ウエットマスターバッチを製造した。なお、pHの測定には、東亜ディーケーケー社製「HM−20P」を使用した。
得られたウエットマスターバッチと、以下の配合剤と、を混合し、未加硫ゴム組成物を調整した。この未加硫ゴム組成物を、150℃で30分間加硫することにより加硫ゴムを製造した。
各配合剤に併記した重量部数は、ゴム成分100重量部に対する重量部数を意味する。
e)ステアリン酸 (日本油脂社製) 1重量部
f)老化防止剤 「6PPD」(モンサント社製) 1重量部
g)亜鉛華 「亜鉛華1号」(三井金属社製) 3重量部
h)ワックス (日本精鑞社製) 1重量部
i)硫黄 (鶴見化学工業社製) 2重量部
j)加硫促進剤 「CBS」(三新化学社製) 1重量部
得られた加硫ゴムについて、加硫ゴムの破断時の伸びとヒステリシスロス(損失正接tanδ)とを測定した評価結果を表1に示す。
実施例2〜5
分散剤、凝固剤、あるいは凝集剤の使用の有無を、表1に記載の条件に変更した以外は、実施例1と同様の方法により加硫ゴムを製造した。結果を表1に示す。使用した分散剤および凝集剤は以下のとおりである(併記した重量部数は、ゴム成分100重量部に対する重量部数を意味する)。
k)分散剤 アニオン系界面活性剤 「デモールN」(花王社製) 2.5重量部
l)凝集剤 カチオン性凝集剤 「PAA−15C」(日東紡社製) 2.5重量部
なお、実施例5では、凝固剤を使用せず、液状態のカーボンブラック含有ゴムラテックス溶液を、120℃で3時間、真空乾燥機を用いて乾固させることで、ウエットマスターバッチを製造した。
比較例1
カーボンブラック含有スラリー溶液と、ゴムラテックス溶液と、を液相で混合し、乾燥させてウエットマスターバッチを製造するのに代えて、カーボンブラックと、天然ゴム濃縮ラテックスの乾固品と、を固相で混合してドライマスターバッチを製造し、これを用いて実施例1と同様の方法により、加硫ゴムを製造した。結果を表1に示す。
比較例2
酸化処理を行わず、カーボンブラックをそのまま、純水中に5重量%濃度で蒸留水と混合し、PRIMIX社製ロボミックスを使用して分散させ(回転数9000rpm−30分間)、調整したカーボンブラック含有スラリー溶液を使用した以外は、実施例1と同様の方法によりウエットマスターバッチ、および加硫ゴムを製造した。結果を表1に示す。
比較例3
酸化処理に代えて、プラズマ処理(パイレックス社製 プラズマチャンバー(高周波出力:13.56Hz、最高50W)内を0.3Torrに設定し、酸素存在下、5rpmで撹拌しつつ、30分間低温プラズマ処理)したカーボンブラックを、5重量%濃度で蒸留水と混合し、マグネチックスターラーを使用して30分間撹拌することで分散させ、調整したカーボンブラック含有スラリー溶液を使用した以外は、実施例1と同様の方法によりウエットマスターバッチ、および加硫ゴムを製造した。結果を表1に示す。
表1の結果から、実施例1〜5で製造されたウエットマスターバッチを用いた場合、得られるゴム組成物の加硫ゴムの破壊特性が向上し、かつヒステリシスロスが低減されていることから、ゴム物性も優れることがわかる。特に、分散剤、凝固剤および凝集剤を使用しなかった実施例5では、全てにおいてバランスのよい結果が得られた。一方、カーボンブラックの粒度分布が、D90で1μm以上であるカーボンブラック含有スラリー溶液を原料として製造されたものであるため、比較例2および3で製造されたウエットマスターバッチは、カーボンブラックの分散性が悪く、それに伴い、得られるゴム組成物の加硫ゴムのゴム物性も悪化することがわかる。

Claims (4)

  1. カーボンブラック含有スラリー溶液と、ゴムラテックス溶液と、を液相で混合し、乾燥させるウエットマスターバッチの製造方法において、
    前記カーボンブラック含有スラリー溶液中のカーボンブラックの粒度分布が、90%体積粒径(D90)で1μm未満であることを特徴とするウエットマスターバッチの製造方法。
  2. 前記カーボンブラック含有スラリー溶液が、分散剤を含有するものである請求項1に記載のウエットマスターバッチの製造方法。
  3. 前記カーボンブラック含有スラリー溶液中のカーボンブラックは、その表面に存在するカルボキシル基とヒドロキシル基との和が3μeq/m以上である請求項1または2に記載のウエットマスターバッチの製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の方法で製造されたウエットマスターバッチを用いて得られたゴム組成物。
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