JP5350039B2 - ウエットマスターバッチの製造方法、および該ウエットマスターバッチを用いて得られた加硫ゴム - Google Patents

ウエットマスターバッチの製造方法、および該ウエットマスターバッチを用いて得られた加硫ゴム Download PDF

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Description

本発明は、カーボンブラックを含有するスラリー溶液と、ゴムラテックス溶液と、を混合し、凝固乾燥する工程を含むウエットマスターバッチの製造方法、および該ウエットマスターバッチを用いて得られた加硫ゴムに関する。
従来から、ゴム業界においては、カーボンブラックなどの充填材を含有するゴム組成物を製造する際の加工性や充填材の分散性を向上させるために、ウエットマスターバッチを用いることが知られている。これは、充填材と、界面活性剤と、分散溶媒と、を予め一定の割合で混合し、機械的な力で充填材を分散溶媒中に分散させた充填材含有スラリー溶液と、ゴムラテックス溶液と、を液相で混合し、その後、酸などの凝固剤を加えて凝固させたものを回収して乾燥するものである。ウエットマスターバッチを用いる場合、充填材と、ゴムと、を固相で混合して得られるドライマスターバッチを用いる場合に比べて、充填材の分散性に優れ、加工性や補強性などのゴム物性に優れるゴム組成物が得られる。このようなゴム組成物を原料とすることで、例えば転がり抵抗が低減され、耐疲労性や耐摩耗性に優れたタイヤなどのゴム製品を製造することができる。
このようなウエットマスターバッチの製造方法は、例えば下記特許文献1〜3に記載されている。これらの文献では、得られたウエットマスターバッチを原料として、加硫ゴムを製造した場合において、充填材の分散性を評価する指標として、カーボンブラック含有スラリー溶液中のカーボンブラックの粒度分布(カーボンブラックの平均粒度、あるいは90%体積粒径(以下、「D90」という)など)を規定している。
つまり、従来の技術においては、ウエットマスターバッチの原料となるカーボンブラック含有スラリー溶液中におけるカーボンブラックの粒度分布によって、カーボンブラック含有スラリー溶液中におけるカーボンブラックの分散性を評価し、これを指標として特性の優れた加硫ゴムを製造するのが実情であった。加えて、ウエットマスターバッチの製造工程において、カーボンブラック含有スラリー溶液中のカーボンブラックの粒度分布を評価するためには、その都度、該スラリー溶液を希釈したものを作成する必要があり、カーボンブラックの分散性の評価に時間と労力を費やすというのが実情であった。
なお、下記特許文献4および5では、固液分散系スラリーを容器内へ注入し、該容器内底部のスラリー液圧を測定することを特徴とする固液分散系スラリーの特性評価方法について記載している。しかしながら、これらの文献に記載の特性評価方法は、カーボンブラック含有スラリー溶液中におけるカーボンブラックの分散性を具体的に評価するものではなく、ましてやカーボンブラック含有ウエットマスターバッチについて記載するものではない。
特開昭36−22729号公報 特表2000−507892号公報 特開2004−99625号公報 特開2002−168750号公報 特開2004−163170号公報
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、カーボンブラックの分散性に優れたウエットマスターバッチの製造方法、および該ウエットマスターバッチを用いて得られた加硫ゴムを提供することにある。
特性の優れた加硫ゴムを製造するためには、その原料となるウエットマスターバッチ中のカーボンブラックの分散性を向上することは重要であり、さらにはウエットマスターバッチの原料となるカーボンブラック含有スラリー溶液中のカーボンブラックの分散性を向上することが必要不可欠である。上述したとおり、カーボンブラック含有スラリー溶液中のカーボンブラックの分散性を評価する際、その指標として、従来はカーボンブラックの粒度分布を測定して評価することが一般的であった。
しかしながら、本発明者らの鋭意検討の結果、カーボンブラック含有スラリー溶液中のカーボンブラックの分散性を評価する指標として、カーボンブラックの粒度分布を採用した場合、該スラリー溶液を原料として製造されたウエットマスターバッチ中のカーボンブラックの分散性にバラツキがあることが判明した。さらに、カーボンブラックの粒度分布を正確に測定するためには、実際にウエットマスターバッチの原料として使用するカーボンブラック含有スラリー溶液の濃度に比べて、かなり希釈した状態で測定する必要があるが、希釈状態で測定された故に、カーボンブラックの粒度分布は、カーボンブラック含有スラリー溶液中のカーボンブラックの分散性を評価する指標としての信憑性に欠けることが判明した。
ウエットマスターバッチ中のカーボンブラックの分散性が低いと、最終的に製造された加硫ゴムの特性、具体的には例えば、タイヤなどの製品とした場合に、転がり抵抗の上昇や耐疲労性の悪化に繋がる場合がある。そこで、本発明者らは、カーボンブラック含有スラリー溶液中のカーボンブラックの分散性を評価する指標として、カーボンブラック含有スラリー溶液の液圧に着目し、この液圧から、カーボンブラック含有スラリー溶液中のカーボンブラックの分散性が容易に判別できることを見出した。本発明は、上記の検討の結果なされたものであり、下記の如き構成により上述の目的を達成するものである。
即ち、本発明に係るウエットマスターバッチの製造方法は、カーボンブラックを含有するスラリー溶液と、ゴムラテックス溶液と、を混合し、凝固乾燥する工程を含むウエットマスターバッチの製造方法において、前記スラリー溶液は、前記スラリー溶液を所定の容器内へ注入し、前記容器内底部の前記スラリー溶液の液圧を測定し、測定した前記液圧と前記スラリー溶液の組成とに基づき予め計算された、前記カーボンブラックの相対堆積割合に基づいて、前記カーボンブラックの分散状態が調整されたものであることを特徴とする。
本発明に係るウエットマスターバッチの製造方法においては、スラリー溶液を所定の容器内へ注入し、容器内底部のスラリー溶液の液圧を測定し、測定した液圧とスラリー溶液の組成とに基づき予め計算された、カーボンブラックの相対堆積割合を指標として、カーボンブラックの分散状態を調整する方法、所謂「液圧法」により調整されたスラリー溶液を原料として使用する。この「液圧法」により、スラリー溶液中でのカーボンブラックの分散性を容易に判別することができる。判別の結果、カーボンブラックの分散性に優れたスラリー溶液のみを原料として使用し、これとゴムラテックス溶液と、を混合し、凝固乾燥する工程を含むことで、カーボンブラックの分散性に優れたウエットマスターバッチを製造することができる。
ここで、本発明において「カーボンブラックの相対堆積割合(%)」とは、全カーボンブラック質量のうち、容器に質量を預けた割合」を意味するものとする。この「カーボンブラックの相対堆積割合(%)」が0%に近づくほど、カーボンブラックの分散性に優れ、100%に近づくほど、カーボンブラックが容器内で沈降する、つまり分散性が悪いことを示す。
上記ウエットマスターバッチの製造方法において、前記相対堆積割合は、以下の式(1):
(相対堆積割合(%))=(Pmax−P)/(Pmax−Pmin) (1)
(式中、Pは測定した液圧、Pmaxはカーボンブラックが完全に分散した状態での液圧、Pminはカーボンブラックが完全に沈降した状態での液圧)から計算されるものであることが好ましい。かかる構成によれば、上記式(1)に基づき、カーボンブラックの相対堆積割合を簡便かつ正確に計算可能となり、その結果、カーボンブラックの分散性に優れたウエットマスターバッチを確実に製造することができる。
上記ウエットマスターバッチの製造方法において、前記スラリー溶液中の前記カーボンブラックの濃度が、3〜15重量%であることが好ましい。かかる構成によれば、作業性良く、かつ正確にカーボンブラックの相対堆積割合を計算することができる。その結果、カーボンブラックの分散性に優れたウエットマスターバッチをより確実に製造することができる。
さらに本発明は、前記記載の方法で製造されたウエットマスターバッチを用いて得られた加硫ゴムに関する。上述したとおり、本発明に係るウエットマスターバッチは、カーボンブラックの分散性に優れることから、このウエットマスターバッチを用いて製造された加硫ゴムもカーボンブラックの分散性に優れるとともに、優れた分散性に起因して低い発熱性を有する。加えて、この加硫ゴムを使用してタイヤを製造した場合は、転がり抵抗を低減され、耐疲労性や耐摩耗性に優れる。
本発明に係るウエットマスターバッチの製造方法は、カーボンブラックを含有するスラリー溶液と、ゴムラテックス溶液と、を混合し、凝固乾燥する工程を含む。ここで、本発明においては、カーボンブラックを含有するスラリー溶液として、「液圧法」により調整されたスラリー溶液、具体的には、スラリー溶液を所定の容器内へ注入し、容器内底部のスラリー溶液の液圧を測定し、測定した液圧とスラリー溶液の組成とに基づき予め計算された、カーボンブラックの相対堆積割合に基づいて、カーボンブラックの分散状態が調整されたスラリー溶液を使用する。以下に、この「液圧法」について説明する。
カーボンブラックを含有するスラリー溶液を所定の容器内、例えばメスシリンダーなどの円筒状の容器内へ注入した場合において、カーボンブラックが完全に分散しているとき、容器底部でのスラリー溶液の液圧は、スラリー溶液中の全カーボンブラックの質量と分散溶媒の質量との合計になる。具体的には、カーボンブラックが完全に分散しているとき、その液圧「Pmax」は、スラリー溶液の密度と液圧を測定する深さとから計算できる。
他方、カーボンブラックの凝集力が強く、容器内へ注入したスラリー溶液中のカーボンブラックが、注入直後に完全に凝集すると、その凝集体は容器底部に堆積する。この場合、容器底部にかかる液圧は分散溶媒のみとなる(カーボンブラックの質量は容器底部で支えるためスラリー溶液中の質量にならない)。従って容器底部で測定される液圧は、分散溶媒のみとなり、相対的に液圧が低くなる(このときの液圧「Pmax」は、分散溶媒の密度と液圧を測定する深さとから計算できる)。
ここで、上記「液圧法」では、容器底部のスラリー溶液の液圧を測定する。容器底部よりも上方にてスラリー溶液の液圧を測定した場合、測定値の精度が劣る場合がある。また、水平方向における液圧の測定位置は、測定値の精度を良好なものとするため、容器内の底部の略重心位置とすることが好ましい。
上記のとおり、スラリー溶液中でのカーボンブラックの分散状態、つまりスラリー溶液中でのカーボンブラックの相対堆積割合により、カーボンブラックを含有するスラリー溶液を注入した容器内底部の液圧は変化する。液圧とスラリー溶液中でのカーボンブラックの相対堆積割合との関係を予め算出しておき、測定した液圧に基づいて、スラリー溶液中でのカーボンブラックの相対堆積割合を計算することができ、この相対堆積割合に基づいて、スラリー溶液中でのカーボンブラックの分散状態を判別することができる。判別の結果、カーボンブラックの分散性に優れたスラリー溶液のみを原料として使用し、これとゴムラテックス溶液と、を混合し、凝固乾燥する工程を含むことで、カーボンブラックの分散性に優れたウエットマスターバッチを製造することができる。
上記カーボンブラックの相対堆積割合は、以下の式(1):
(相対堆積割合(%))=(Pmax−P)/(Pmax−Pmin) (1)
(式中、Pは測定した液圧、Pmaxはカーボンブラックが完全に分散した状態での液圧、Pminはカーボンブラックが完全に沈降した状態での液圧)から計算することができる。この式(1)によれば、カーボンブラックの相対堆積割合を簡便かつ正確に計算可能となり、その結果、カーボンブラックの分散性に優れたウエットマスターバッチを確実に製造することができる。ここで、スラリー溶液を所定の容器内へ注入後、容器内底部のスラリー溶液の液圧は時間と共に低下し、十分な時間が経過した後に略一定となる。したがって、本発明においては、スラリー溶液の液圧が略一定となった時点での液圧を測定してもよく、液圧の低下が時間と共に一定の規則性を有する場合は、所定時間経過後の測定液圧から、カーボンブラックの相対堆積割合を計算してもよい。
本発明においては、上記式(1)で計算された、カーボンブラックの相対堆積割合が80%以下のスラリー溶液を原料として、ウエットマスターバッチを製造することが好ましく、カーボンブラックの相対堆積割合が75%以下のスラリー溶液を原料として、ウエットマスターバッチを製造することが特に好ましい。スラリー溶液中のカーボンブラックの相対堆積割合が上記範囲内であると、スラリー溶液中のカーボンブラックの分散性が特に優れたものとなることから、このスラリー溶液とゴムラテックス溶液と、を混合し、凝固乾燥する工程を含むことで、カーボンブラックの分散性が特に優れたウエットマスターバッチを製造することができる。
上述したとおり、カーボンブラックの相対堆積割合は、測定開始後、任意の時間で測定可能である。しかしながら、本発明においては、例えばスラリー溶液を所定の容器内へ注入して、5分間経過後の容器内底部の液圧測定値を上記式(1)に代入して、カーボンブラックの相対堆積割合を計算し、この割合が80%以下、より好ましくは75%以下のスラリー溶液を原料として使用することで、カーボンブラックの分散性が特に優れたウエットマスターバッチを製造することができる。
本発明に係るウエットマスターバッチの製造方法では、スラリー溶液中のカーボンブラックの濃度が、3〜15重量%であることが好ましく、5〜10重量%であることがより好ましい。スラリー溶液中のカーボンブラックの濃度が3重量%未満であると、スラリー溶液の密度と分散溶媒のみの密度との密度差が小さくなり、液圧の測定値が安定しない場合がある。一方、スラリー溶液中のカーボンブラックの濃度が15重量%を超えると、スラリー溶液の粘度が上昇し、容器内への注入などの際、作業性が悪くなり、最終的にウエットマスターバッチの生産性に悪影響を及ぼす場合がある。
上述したとおり、本発明に係るウエットマスターバッチの製造方法は、カーボンブラックを含有するスラリー溶液と、ゴムラテックス溶液と、を混合し、凝固乾燥する工程を含む。以下、本発明において使用する原料について具体的に説明する。
カーボンブラックとしては、例えばSAF、ISAF、HAF、FEF、GPFなど、通常のゴム工業で使用されるカーボンブラックの他、アセチレンブラックやケッチェンブラックなどの導電性カーボンブラックを使用することができる。カーボンブラックは、通常のゴム工業において、そのハンドリング性を考慮して造粒された、造粒カーボンブラックであってもよく、未造粒カーボンブラックであってもよい。
分散溶媒としては、特に水を使用することが好ましいが、例えば有機溶媒を含有する水であってもよい。
本発明においては、カーボンブラックを含有するスラリー溶液は、界面活性剤を含有してもよいが、最終的にゴム製品とした場合の物性を考慮した場合、スラリー溶液中の界面活性剤の含有量が、0.5重量%以下であることが好ましく、0.2重量%以下であることがより好ましく、界面活性剤を含有しないものであることが特に好ましい。
界面活性剤としては、カーボンブラックを含有するスラリー溶液中におけるカーボンブラックの分散状態を改善するものであれば、特に限定なく使用することができ、例えば非イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両イオン性界面活性剤などが挙げられる。界面活性剤の混合方法としては特に限定されるものではなく、例えば予め分散溶媒と混合して使用する方法、カーボンブラックを混合する前/後に混合する方法、さらにはカーボンブラックと同時に混合する方法が挙げられる。
本発明においては、カーボンブラック含有スラリー溶液を調整する際、カーボンブラックに加えて、シリカ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの各種充填材、老化防止剤、加硫促進剤、酸化亜鉛などを分散溶媒中に分散させても良い。この場合は、これらをカーボンブラックとともに分散溶媒と混合してもよく、カーボンブラックとは別工程にて分散溶媒と混合しても良い。
ゴムラテックス溶液としては、天然ゴムラテックス溶液または合成ゴムラテックス溶液が含まれる。天然ゴムラテックス溶液としては、植物の代謝作用による天然の生産物であり、特に分散溶媒が水である、天然ゴム/水系のものが好ましい。合成ゴムラテックス溶液としては、例えばスチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴムを乳化重合により製造したものが挙げられる。
凝固させる際、混合溶液に凝固剤を含有させてもよい。凝固剤としては、ゴムラテックス溶液の凝固用として通常使用されるギ酸、硫酸などの酸や、塩化ナトリウムなどの塩を使用することができる。
カーボンブラック含有スラリー溶液と、ゴムラテックス溶液と、を混合する工程としては、これらが十分に混合分散するのであれば、その混合方法は特に限定されるものではない。必要に応じて、混合溶液を撹拌しつつ、加温しながら混合しても良い。
カーボンブラックと、分散溶媒と、を上述した一般的な分散機を用いて混合する際、その混合時間を15〜120分とすることが好ましい。かかる混合時間が、15分未満であると、スラリー溶液中でのカーボンブラックの分散性が不十分な場合があり、120分を超えると、生産性が悪化する。ただし、本発明では、最終的には上述した「液圧法」により、スラリー溶液中でのカーボンブラックの分散性を判別し、最終的にカーボンブラックの分散性に優れたスラリー溶液のみを使用する必要がある。
乾燥工程においては、オーブン、真空乾燥機、エアードライヤーなどの各種乾燥装置を使用することができるが、特にバレルおよび/またはスクリューに温調機能を有する押出機などの混練機にて、機械的せん断力を付与しつつ乾燥を行う方法や、加温した状態で真空乾燥を行う方法が、短時間で確実に乾燥できるため好ましい。
上述した製造方法により製造されたウエットマスターバッチは、カーボンブラックの分散性に優れる。このウエットマスターバッチを用いて製造された加硫ゴムもカーボンブラックの分散性に優れるとともに、優れた分散性に起因して低い発熱性を有する。加えて、この加硫ゴムを使用してタイヤを製造した場合は、転がり抵抗を低減され、耐疲労性や耐摩耗性に優れる。
以下に、この発明の実施例を記載してより具体的に説明する。
使用原料および使用装置は以下のとおりである。
(使用原料)
a)カーボンブラック SAF(「シースト9」、東海カーボン社製)
b)分散溶媒 水
c)ゴムラテックス溶液 天然ゴム濃縮ラテックス(レヂテックス社製、DRC(Dry Rubber Content)=60%)を蒸留水で25重量%に希釈したもの
d)凝固剤 ギ酸(ナカライテスク社製 一級85%)を蒸留水で10重量%に希釈したもの
実施例1〜5、比較例1〜2
分散機(PRIMIX社製ロボミックス)を使用し、ローターとステーターとのクリアランスを0.3mm、ローターの周速を17m/sに設定して、表1に記載の混合時間でカーボンブラックと、水と、を分散させて、カーボンブラックを含有するスラリー溶液を作成した(各実施例および比較例におけるスラリー溶液中のカーボンブラックの濃度を表1に示す)。各スラリー溶液を、所定の容器として、一般的なメスシリンダー(φ56×高さ340mmの500ccメスシリンダー)を備える装置(中央化工機社製「IKABUST JT−P」)の、該容器内に注入し、容器内の底部の略重心位置で、各スラリー溶液の液圧を測定し、上記式(1)に基づき、容器内へ注入して5分間経過後のカーボンブラックの相対堆積割合を計算した。結果を表1に示す。また、参考として、調整したカーボンブラック含有スラリー溶液のD90を、測定時の吸光度を0.01〜0.1に設定し、島津製作所社製「SALD2200」(CBの屈折率:2.0−0.10i)を使用して測定した(結果を表1に示す)。
カーボンブラックの相対堆積割合およびD90の異なる、実施例1〜5、比較例1〜2に係る各スラリー溶液と、ゴムラテックス溶液と、をゴム固形分100重量部に対してカーボンブラック固形分が50重量部となるように混合し、これを三洋電機社製の家庭用ミキサーを使用し、回転数11300rpmで混合後、pHが3となるように凝固剤を添加した。混合後、ゴムとカーボンブラックとの凝固物を120℃で真空乾燥機内に放置して乾燥し、実施例1〜5、比較例1〜2に係るウエットマスターバッチを製造した。なお、pHの測定には、東亜ディーケーケー社製「HM−20P」を使用した。
次に、実施例1〜5、比較例1〜2で製造したウエットマスターバッチと、以下の配合剤と、を混合し、150℃で30分間加硫することにより加硫ゴムを製造した。なお、各配合剤に併記した重量部数は、ゴム成分100重量部に対する配合部数を意味する。
e)ステアリン酸 (日本油脂社製) 1重量部
f)老化防止剤 「6PPD」(モンサント社製) 1重量部
g)亜鉛華 「亜鉛華1号」(三井金属社製) 3重量部
h)ワックス (日本精鑞社製) 1重量部
i)硫黄 (鶴見化学工業社製) 2重量部
製造した加硫ゴム中におけるカーボンブラックの分散性を、ASTM D2663−69(B法:凝集塊カウント法)に準拠して評価した。評価数値は、大きいほど分散性が良好であることを示す。結果を表1に示す。また、製造した加硫ゴムの発熱性を、損失正接tanδにより評価した。なお、tanδは、UBM社製レオスペクトロメーターE4000を使用し、50Hz、80℃、動的歪2%の状態で測定し、その測定値を指標化した。tanδの数値が低いほど、発熱性が低く、良好であることを意味する。結果を表1に示す。
Figure 0005350039
表1の結果から、実施例1〜5に係るウエットマスターバッチの製造方法では、カーボンブラックの分散性に優れたウエットマスターバッチが製造でき、その結果、カーボンブラックの分散性に優れ、かつ発熱性が低い加硫ゴムを製造できることがわかる。ただし、実施例2では、実施例1に比べてカーボンブラックと水との混合時間が長いにもかかわらず、カーボンブラックの相対堆積割合が実施例1に比べて高くなり、これに伴い、カーボンブラックの分散性と、発熱性(tanδ)とが実施例1に比べて劣ることがわかる。また、実施例4では、カーボンブラックの相対堆積割合が実施例1〜3に比べてかなり低くなり、カーボンブラックの分散性が、実施例1〜3に比べて格段に優れることが予想されたが、結果は実施例1および3と同程度の分散性であった。これは、スラリー溶液中のカーボンブラックの濃度を3重量%とした場合、液圧の測定値の安定性にやや欠けるため、カーボンブラックの相対堆積割合の計算値に、若干のバラツキが発生したことが原因と推測される。また、実施例5では、スラリー溶液中のカーボンブラックの濃度を15重量%としているため、スラリー溶液の粘度がやや高く、作業性が若干悪かった。
一方、比較例1では、カーボンブラックの相対堆積割合が実施例1〜5に比べてかなり高くなり、スラリー溶液中のカーボンブラックの分散性が悪いことがわかる。その結果、比較例1のスラリー溶液を原料として製造したウエットマスターバッチを用いて得られた加硫ゴムでは、カーボンブラックの分散性が悪化し、かつ発熱性が高かった。また、比較例2では、スラリー溶液中のカーボンブラックの濃度を20重量%としているため、スラリー溶液の粘度が高すぎる結果、作業性が非常に悪かった。
なお、比較例1で使用したスラリー溶液のD90は、実施例1で使用したスラリー溶液のD90と略同等であるにもかかわらず、比較例1に係る加硫ゴム中のカーボンブラックの分散性は悪く、発熱性も高い。この結果から、カーボンブラックの粒度分布を指標としてスラリー溶液中のカーボンブラックの分散性を評価した場合、該スラリー溶液を原料として製造されたウエットマスターバッチ中、あるいは加硫ゴム中のカーボンブラックの分散性のバラツキが大きいことがわかる。
一方、実施例1〜5の結果から、カーボンブラック含有スラリー溶液中のカーボンブラックの分散性を評価する指標として、カーボンブラックの相対堆積割合を採用した場合、ウエットマスターバッチ中のカーボンブラックの分散性を確実に高めることができることがわかる。

Claims (3)

  1. カーボンブラックを含有するスラリー溶液と、ゴムラテックス溶液と、を混合し、凝固乾燥する工程を含むウエットマスターバッチの製造方法において、
    前記スラリー溶液は、
    前記スラリー溶液を所定の容器内へ注入し、前記容器内底部の前記スラリー溶液の液圧を測定し、測定した前記液圧と前記スラリー溶液の組成とに基づき予め計算された、前記カーボンブラックの相対堆積割合に基づいて、前記カーボンブラックの分散状態が調整されたものであることを特徴とするウエットマスターバッチの製造方法。
  2. 前記相対堆積割合は、以下の式(1):
    (相対堆積割合(%))=(Pmax−P)/(Pmax−Pmin) (1)
    (式中、Pは測定した液圧、Pmaxはカーボンブラックが完全に分散した状態での液圧、Pminはカーボンブラックが完全に沈降した状態での液圧)から計算されるものである請求項1に記載のウエットマスターバッチの製造方法。
  3. 前記スラリー溶液中の前記カーボンブラックの濃度が、3〜15重量%である請求項1または2に記載のウエットマスターバッチの製造方法。
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