JP5594556B2 - マスターバッチの製造方法およびゴム組成物 - Google Patents

マスターバッチの製造方法およびゴム組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP5594556B2
JP5594556B2 JP2007220595A JP2007220595A JP5594556B2 JP 5594556 B2 JP5594556 B2 JP 5594556B2 JP 2007220595 A JP2007220595 A JP 2007220595A JP 2007220595 A JP2007220595 A JP 2007220595A JP 5594556 B2 JP5594556 B2 JP 5594556B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
rubber
silica
water glass
latex
mass
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2007220595A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2009051955A (ja
Inventor
佳彦 小森
洋二 井本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Rubber Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Rubber Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Rubber Industries Ltd filed Critical Sumitomo Rubber Industries Ltd
Priority to JP2007220595A priority Critical patent/JP5594556B2/ja
Publication of JP2009051955A publication Critical patent/JP2009051955A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5594556B2 publication Critical patent/JP5594556B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Description

本発明はゴム製品の成形加工に用いられるゴム組成物に用いられるマスターバッチの製造方法およびそのマスターバッチを用いたゴム組成物に関する。
従来、ゴムとシリカの組成物を製造する場合、固形ゴムと乾燥シリカをゴム練り工程を経て混合していた。天然ゴムでは原料はラテックスであり、凝固、乾燥して固形ゴムを得る。一方、シリカに湿式シリカを使用する場合、水ガラスから微粒子を作成し、濾過工程、乾燥工程を経て乾燥シリカを得る。シリカには通常、粒子径が20〜60nm程度の微粒子シリカを用いる。つまり、ゴム中に、補強剤としてのシリカを配合する方法としては、従来はバンバリーミキサ、オープンロール、ニーダーなどを用いて混練する、いわゆる混練法が採用されている。
この混練法では固形ゴムとシリカを別々にラテックスおよび水ガラスから固形分を分離し、乾燥する工程を経るため製造効率がよくない。しかもシリカは、その表面にシラノール基を有しており、親水性を示すことから、一般に疎水性を示すゴムとの親和性が低い。しかも、シリカは自己凝集性が強いことからゴム中にシリカを均一に分散させることは容易ではない。
一方、ラテックスと水ガラスを液体状態で混合し、複合体を得る手法は既に報告されている。水ガラスをラテックスに混合しているものの、水ガラスから微粒子シリカが生成せず、シリカ成分が不定形な状態で凝集する傾向にある。したがって、ラテックスと水ガラスを単に混合しただけではシリカは微粒子としては存在せず、したがってゴム中にシリカ微粒子が均一に分散したゴム組成物を製造するのは困難である。
なお特許文献1には、アクリロニトリルーブタジエンゴムラテックスと水ガラスを混合した後、このラテックスを酸にて滴下してゴム成分を凝固させることで、ケイ酸が微細な状態で分散したケイ酸ーNBR複合材料を製造する方法が開示されている。
また特許文献2には、エポキシ化天然ゴムと水ガラスとを含む配合ラテックスを、酸または塩により凝固させてゴム組成物を製造する方法が開示されている。この製造方法において、シリカがゴム組成物中に凝集体を形成することなく微細にかつ均一に分散されることが記載されている。
また、特許文献3には、水ガラスとゴムラテックスとの混合物を、酸を用いて共同沈殿させることにより、粗粒状の加硫可能な混合物を製造する方法が提案されている。しかし、一般に水ガラスをゴムラテックスに混合する方法ではシリカ成分が不定形な状態で凝集する傾向は解消できない。
特開2006−2011号公報 特開2007−2177号公報 特開昭47−1090号公報
本発明の目的は、バンバリーミキサーなどを用いる従来の混練法に換えて、ゴムラテックスと水ガラスの混合によりゴム中にシリカ微粒子が均一に分散したマスターバッチの製造方法を提供する。かかるマスターバッチを用いてモジュラス、伸びおよび硬度などの機械的強度に優れたゴム製品を得ることのできるゴム組成物を提供する。
本発明は、ゴムラテックス100質量に対して、水ガラスから製造される100nm以下の粒子径の微粒子シリカを、シリカ成分が5質量部以上で70質量部以下になるように混合した後、少なくとも酸または塩のいずれかを添加して固形分を凝固させて、微粒子シリカとゴムを含むマスターバッチの製造方法である。
前記水ガラスは、pHが9〜11に調整されたものが微粒子シリカの製造に好適に使用される。そして微粒子シリカの粒子径は30nm以下のものが好ましい。そして前記ゴムラテックスは天然ゴムラテックスまたはエポキシ化天然ゴムが好適に使用される。
本発明は、前記製造方法で得られるマスターバッチを用いたゴム組成物に関する。
本発明は従来の混練法に換えてゴムラテックスと微粒子シリカを含む水ガラスの水溶液を混合し、配合ラテックスを製造して、これを凝固してマスターバッチを製造する。そのため微粒子シリカがゴム中に均一に分散し、それを用いた加硫ゴム組成物は、モジュラス、伸びおよび硬度などの機械的強度に優れる。
また本発明のマスターバッチおよび、それを用いたゴム組成物はゴムラテックスと水ガラス水溶液を製造初期段階で混合するため、エネルギー消費量を大幅に減ずることができ、従来のゴム成分とシリカを別々に乾燥した後に混練りする方法に比べて、大幅なコストダウンになる。
本発明は、ゴムラテックス100質量に対して、水ガラスから製造される100nm以下の粒子径の微粒子シリカを、シリカ成分(SiO2)が5質量部以上で70質量部以下になるように混合した後、少なくとも酸または塩のいずれかを添加して固形分を凝集固化させて、微粒子シリカとゴムを含むマスターバッチの製造方法である。
<ゴムラテックス>
本発明において、ゴムラテックスは、天然ゴム(NR)、エポキシ化天然ゴム、スチレンとブタジエンとの共重合体(SBR)、スチレンとイソプレンとブタジエンとの共重合体(SBIR)、α−メチルスチレンとブタジエンとの共重合体(MSBR)、p−メチルスチレンとイソブチレンとの共重合体の臭素化物、アクリロニトリルとブタジエンとの共重合体(NBR)、アクリロニトリルとブタジエンとイソプレンとの共重合体(NBIR)、アクリロニトリルとイソプレンとの共重合体(NIR)、イソプレンゴム(IR)、イソブテンとイソプレンとの共重合体(IIR)、ブタジエンゴム(BR)、クロロプレンゴム(CR)、エチレンとプロピレンとジエンとの共重合体(EPDM)などが挙げられる。特に、天然ゴム(NR)またはエポキシ化天然ゴムが好適に使用される。
前記エポキシ化天然ゴムは、天然ゴムを、例えば、過酸化水素とギ酸とで処理することにより、または、過酢酸で処理することにより、製造することができる。この反応により、天然ゴムの分子中に存在する二重結合がエポキシ化される。エポキシ化の構造は、プロトン核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR)や赤外吸収スペクトル(IR)から明らかにすることができ、また、IRと元素分析の結果から、エポキシ基の含有割合(エポキシ化率)を測定することができる。
エポキシ化率は、好ましくは、3〜70モル%以上であり、より好ましくは、5〜65モル%、さらに好ましくは、7〜60モル%である。本発明においては、エポキシ化率が上記範囲にあるエポキシ化天然ゴムを、2種以上混合して使用してもよい。
エポキシ化天然ゴムのエポキシ化率が、5モル%を下回ったときは、水ガラスから生成されるシリカ成分と相互作用する部位が少なくなって、ゴム組成物に所望の特性を付与することができなくなったり、ゴム組成物から形成されるゴム製品の機械的強度や動的機械特性を向上させる効果が不十分になったりするおそれが生じる。逆に、エポキシ化天然ゴムのエポキシ化率が、70モル%を上回ったときは、ゴム組成物の粘着性が大きくなりすぎて、ゴム弾性が損なわれたり、ガラス転移点が高くなりすぎて、低温での耐久性が低下したりするといったおそれや、混練機などの内壁に付着して機械的なブレンドが困難になるといったおそれが生じる。
但し、エポキシ化天然ゴム以外のゴムが、分子中に、ピリジル基、カルボキシル基、アミノ基、カルバモイル基またはN−ヒドロキシメチルカルバモイル基を有しているゴム(いわゆる、ピリジン変性ゴム、カルボキシ変性ゴム、アミノ変性ゴム、アミド変性ゴム)である場合には、かかる他のゴムのラテックスを、水ガラスとの共存下において酸または塩により凝固させた場合に、練り加工が不可能な微粉末状のゴム組成物が生成する場合があることから、上記他のゴムのラテックスの配合量は、ゴム組成物全体として練り加工が可能な状態を維持することのできる範囲で設定される。
なお、本発明においては、水ガラスと混合する前にゴムラテックスの2種類以上を混合するか、あるいは1種類のゴムラテックスと水ガラスの混合物に、酸または塩により凝固させる前に、前記配合ラテックス中に、他のゴムラテックスを配合することもできる。
<水ガラス>
水ガラスは、通常、下記式で示される組成で表される。
Na2O・nSiO2・mH2
上記係数nは、SiO2/Na2Oの分子比で示される値であって、一般にモル比と呼ばれる(JIS K 1408-1966)に規定の範囲である。この係数nは、特に限定されないが、好ましくは、2.1〜3.1であり、より好ましくは、3.1である。上記係数nが3.1であるときは、水ガラス中のシリカ成分(SiO2換算量)が多くなることから、ゴムとの複合化処理の効率が向上する。
なお、一般に、上記係数nが3.1である水ガラスは、水ガラス3号として市販されている。本発明に使用可能な水ガラスは、これに限定されるものではなく、例えば、JIS K1408に規定の1〜3号水ガラスや、その他各種のグレード品を使用することができる。
水ガラスの配合量は、水ガラスから生成されるシリカ成分についての、ゴム組成物中での含有量(SiO2換算量)が、後述する範囲となるように設定すればよい。
<微粒子シリカの生成>
前記水ガラスの水溶液を調整し、pHが好ましくは9〜11の範囲になるように調整する。pHが9未満の場合、ゲル化しやすく、pHが11を超えると微粒子シリカが溶解する傾向にある。好ましくはpHは9.5〜10.5の範囲に調整される。
さらに水ガラスの水溶液の温度は10℃〜70℃に調整されることが望ましい。温度が10℃未満では、微粒子シリカの生成速度が遅く、温度が70℃を超えると、水溶液の水の蒸発が激しくなり、水溶液中の水ガラスの濃度が不安定となりやすい。水溶液の温度は、好ましくは15℃〜40℃の範囲である。
また水溶液中の水ガラスに含まれるシリカ成分(SiO2)の濃度は、1質量%〜10質量%の範囲が好ましい。濃度が1質量%未満の場合、ゴムラテックスとの複合化のために大量の水ガラスの水溶液が必要となり10質量%を超えると、シリカの凝集が生じやすい。水溶液中のシリカ成分の濃度は、好ましくは1.5〜4質量%の範囲である。ただし、脱塩処理をした水ガラスを使用する場合、シリカの凝集は生じにくいため上記濃度の上限はより高くなる。
反応時間は1時間〜72時間の範囲である。1時間未満では、微粒子シリカの生成が十分ではなく、約72時間で反応は終了する。好ましくは、室温において攪拌条件のもとで6〜24時間行われる。
上記方法で得られる微粒子シリカの粒子径は100nm以下、好ましくは30nm以下である。ここで粒子径の大きさは、水溶液のpH、シリカ成分の濃度、反応温度、反応時間などを調整することで任意に調整することができる。
<微粒子シリカとゴムラテックスの混合>
次に前述の方法で生成した微粒子シリカを含む水溶液をゴムラテックスと混合し配合ラテックスを得る。その後、配合ラテックスが均一な溶液になるまで十分に攪拌する。ここでゴムラテックス中のゴム固形分は10質量%〜70質量%の範囲のものを使用することが好ましい。
一方、微粒子シリカを含む水溶液は、シリカ成分(SiO2換算量)の含有量が、ゴムラテックス100質量部に対して、5〜70質量部、好ましくは、5〜40質量部、より好ましくは、8〜35質量部である。シリカ成分(SiO2換算量)の含有量が、ゴムラテックス100質量部に対して5質量部未満の場合、マスターバッチとして使用する場合に、シリカの配合量が少なくなる。一方、シリカ成分(SiO2換算量)の含有量が、ゴムラテックス100質量部に対して70質量部を超えると、微粒子シリカのゴムラテックス中に均一分散が得られにくくなり、配合ラテックスを凝固した後のゴム組成物中の微粒子シリカの均一分散性が低下する。
<配合ラテックスの凝固>
前記微粒子シリカを含む水溶液をゴムラテックスと均一に混合した配合ラテックスを生成した後、これを凝固しゴム中に微粒子シリカが均一に分散したゴム組成物のマスターバッチを生成する。
配合ラテックスの凝固は、酸凝固、塩凝固、メタノール凝固などがあるが、ゴムラテックスと微粒子シリカを均一分散させて凝固するためには、酸凝固、塩凝固もしくはこれらの併用が好ましい。凝固させるための酸としては、硫酸、塩酸、蟻酸、酢酸などがある。また、配合ラテックスを凝固させるための塩としては、例えば、1価〜3価の金属塩、例えば塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、硝酸カルシウム、塩化カルシウムなどのカルシウム塩などがある。
ゴムラテックスに対して、シリカの配合量が少ない場合は金属塩の種類は問わないが、シリカの配合量が多い場合は1価、2価の金属塩、たとえば、塩化ナトリウム、塩化マグネシウムが好ましい。ここで3価の金属塩を用いた場合は、シリカ同士の凝集力が強すぎて最終的に微分散となりにくい。
<マスターバッチ>
上記配合ラテックスを凝固して得られたゴム組成物は、マスターバッチとして使用される。該マスターバッチはゴム組成物中に微粒子シリカが均一に分散しているので、その他のゴム成分、ゴム配合剤と混合した場合に得られる最終ゴム組成物においても微粒子シリカは均一に分散させることができる。
本発明の特徴は、水ガラスから微粒子シリカを作成し、乾燥させることなく、そのままラテックスと混合することにより、微粒子シリカが分散したゴム複合体を得ることができる。水ガラスを直接配合するのではなく、水ガラスのpHなどを調整して、まず微粒子シリカを作成する。そして微粒子シリカを含む水ガラス水溶液とゴムラテックを混合して得られる配合ラテックスに酸、塩などを添加して凝固させることで球状ゴムの周囲に微粒子シリカが取り囲んだ形態の複合体のマスターバッチが得られる。
前記マスターバッチをゴム練練りすることで、シリカの微分散を一層改善することができる。微粒子シリカは球状形態であり隣接するシリカ粒子同士の結合力は凝集したシリカと比較して弱いため、ゴム練りの外力により容易にバラバラになるためと考えられる。該マスターバッチのゴム練りより得られるゴム組成物は、従来の乾燥シリカをゴムに配合したものと同等の強度が得られる。
従来の乾燥シリカをゴム組成物中に混合すると、シリカ粒子がバラバラに分散するのに対し、本発明のマスターバッチでは、微粒子シリカは、ほぼ葡萄の房の形態で存在する。これはラテックスが球状形態で、その隙間に微粒子シリカが侵入し凝集するためでゴム練り後も、その凝集体が完全にほぐれないためと考えられる。その結果、得られたマスターバッチの微粒子シリカは、さまざまな大きさの葡萄の房の形態で構成される。
<マスターバッチを用いたゴム組成物>
本発明のマスターバッチには、加硫製品の用途や要求される物性などに応じて、公知の添加剤を配合することができる。この添加剤としては、加硫剤、加硫促進剤、加硫促進助剤、充填剤、可塑剤、老化防止剤などがある。
加硫剤は、例えば、硫黄、トリメチルチオ尿素、N,N’−ジエチルチオ尿素などの有機含硫黄化合物などがある。これらを単独または2種以上の混合物として使用することができる。
加硫促進剤は、例えば、住友化学(株)製の商品名「ソクシノールDM」(MBTS)、同社製の「ソクシノールPX」(ZnEPDC)、同社製の「ソクシノールPZ」(ZnMDC)、同社製の「ソクシノールEZ」(ZnEDC)、同社製の「ソクシノールBZ」(ZnBDC)、同社製の「ソクシノールMZ」(ZnMBT)、同社製の「ソクシノールTT」(TMTD)等がある。これらは単独または2種以上の混合物として使用することができる。加硫促進助剤は、例えば亜鉛華などがある。
加硫促進助剤は、例えば、ステアリン酸、オレイン酸、綿実脂肪酸等の脂肪酸、亜鉛華等の金属酸化物などがある。
充填剤としては、例えば、シリカ、カーボンブラック、カオリンクレー、ハードクレー、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、ケイ藻土などが挙げられる。充填剤の配合量は、加硫製品に要求される機械的強度などに応じて決定される。水ガラスを含有させたことに伴う本発明の作用・効果が損なわれることのない範囲であれば、適宜配合することができる。前記シリカは特に限定されず従来よりゴム補強剤として慣用されているもの、例えば、乾式法シリカ、湿式法シリカ(含水ケイ酸)等から適宜選択して用いることができるが湿式法シリカが好適である。
本発明ではシランカップリング剤の配合が好ましい。たとえば、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシ−エトキシ)シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、ビス−(3−(トリエトキシシリル)プロピル)テトラスルフィド、ビス−(3−(トリエトキシシリル)プロピル)ジスルフィド、γ−トリメトキシシリルプロピルジメチルチオカルバミルテトラスルフィド、γ−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアジルテトラスルフィド等がある。シランカップリング剤は、ゴム組成物に含有される微粒子シリカと追加配合されるシリカとの合計量を100部とした場合に、1〜20質量部とすることが好ましい。
可塑剤は、例えば、パラフィン系オイル、エステル系オイル、オレフィン系オイルなどが挙げられる。可塑剤の配合量は、ブリードの発生を防止しつつ、加工製品に要求される硬度などに応じて決定される。水ガラスを含有させたことに伴う本発明の作用、効果が損なわれることのない範囲であれば、適宜配合することができる。
老化防止剤は、例えば、2−メルカプトベンゾイミダゾールなどのイミダゾール類、例えば、フェニル−α−ナフチルアミン、N,N’−ジ−β−ナフチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミンなどのアミン類、例えば、ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、スチレン化フェノールなどのフェノール類などがある。
上記例示の添加剤以外に、マスターバッチを加工して得られる製品の用途などに応じて、例えば、顔料などを配合してもよい。本発明のマスターバッチを用いたゴム組成物を加硫成形するには、未加硫状態のマスターバッチを十分に素練りした後、加硫促進助剤、加硫促進剤などを配合して混練りし、次いで、加硫剤を配合して混練りを行い、所望の形状に成形した後に、加熱、加硫すればよい。なお、合成ゴムや天然ゴムは、上記したように、ラテックス状態で混合してもよいが、固形ゴムの状態で、上記素練り工程で混合することもできる。
以下に本発明を実施例および比較例に基づいて説明するが、本発明は実施例によって限定されるものではない。
実施例1
マスターバッチを、以下の工程にしたがって製造した。
<水ガラス水溶液の調整>
水ガラスとして富士化学(株)製の水ガラス3号(Na2O・nSiO2・mH2O、n=3.2)でシリカ成分(SiO2換算量)含有量28%相当のものを用いた。水ガラス水溶液のシリカ成分含有量(濃度)を2%とし、pH10に調整して25℃で24時間、攪拌を行った。その後シリカを取り出しTEM観察を行ったところ、直径約20nmの微粒子シリカが得られた。そのTEM観察写真を図1に示す。
<配合ラテックスの調整、凝固>
微粒子シリカを含む前記水ガラス水溶液に、NRラテックス(ハイアンモニアタイプ、ゴム成分60%)を混合して、配合ラテックスを調整した。ゴムラテックス分が100gに対してシリカ成分が10gになるように混合した。配合ラテックスが均一になるまで十分に攪拌した後、配合ラテックスを硫酸によりpH7に調整し、塩化アルミニウムを添加して凝固した。得られた固形物を濾過してゴム分を回収し純水で洗浄して乾燥した。
前記固形物を乾燥した後、マスターバッチを得た。このTEM観察写真を図2に示す。図2において、白い部分のゴムラテックスの周辺に黒い部分の水ガラス由来の微粒子シリカが分散している。微粒子シリカは、数μmを超える大きなシリカの凝集体は生成していないことが認められる。
<マスターバッチを用いたゴム組成物>
前記マスターバッチをロールで混練し、表1に示す配合剤(架橋剤、シランカップリング剤など)を添加してゴム組成物を得た。これを150℃で、10分間加硫し、加硫ゴムを作製した。加硫ゴムサンプルのTEM観察写真を図3に示す。図3ではミクロトームでサンプルの切片を切り出して観察した。なお、図2においても同様な観察を行った。
表1で使用した配合剤は以下のとおりである。
(注1)天然ゴム:NRラテックスを凝固させたゴム。
(注2)配合ラテックス:実施例1に基づき作製された配合ラテックスを用いた。
(注3)シリカ:デグサ社製ウルトラジルVN3グラニュータイプを用いた。
(注4)シランカップリング剤:デグサ社製のSi266を用いた。
(注5)ステアリン酸:日本油脂(株)社製のビーズステアリン酸、「椿」を使用した。
(注6)酸化亜鉛:三井金属鉱業社製の酸化亜鉛2種を使用した。
(注7)硫黄:鶴見化学工業社製の200メッシュ5%油入粉末硫黄を用いた。
(注8)加硫促進剤1:大内新興化学工業(株)製の「ノクセラーNS」を用いた。
(注9)加硫促進剤2:、住友化学(株)製の「ソクシノールD」を用いた。
<加硫ゴムシートの評価>
各実施例および比較例で得られた加硫ゴムシート(厚さ2mm)について、下記の物性を評価した。
(1) 機械的強度
JIS K 6251「加硫ゴムの引張試験方法」に準拠して、50%、100%、200%、300%伸び時における引張応力M50(MPa)、M100(MPa)M100(MPa)M300(MPa)破断時強度TB(MPa)および切断時伸びEB(%)を測定した。測定には、加硫ゴムシートをくり抜いて得られた試験片(ダンベル3号形)を使用し、測定条件は、温度23℃、引張速度500mm/分とした。
(2) 硬さ
JIS K 6253「加硫ゴム及び熱可塑性ゴムの硬さ試験方法」に準拠して、加硫ゴムシートのデュロメータ硬さ(タイプA)を測定した。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明のマスターバッチおよび、それを用いたゴム組成物はゴムラテックスと水ガラス水溶液を製造初期段階で混合するため、エネルギー消費量を大幅に減ずることができ、またその加硫ゴム組成物は機械的強度に優れている。
したがって、エネルギー消費の低減化とともに石油外資源製品の要請が高いタイヤ業界において、大幅な需要が期待できる。
実施例1の水ガラス水溶液中の微粒子シリカのTEM写真を示す。 実施例1のマスターバッチのゴム組成物のTEM写真を示す。 実施例1の加硫ゴム組成物のTEM写真を示す。

Claims (4)

  1. ゴムラテックス100質量部に対して、水ガラスから製造される30nm以下の粒子径の微粒子シリカを含み、シリカ成分の濃度が1質量%〜10質量%の範囲である水ガラスの水溶液を、シリカ成分が5質量部以上で70質量部以下になるように混合した後、少なくとも酸または塩のいずれかを添加して固形分を凝固させる、微粒子シリカとゴムを含むマスターバッチの製造方法。
  2. pHが9〜11に調整された水ガラスから微粒子シリカが製造される請求項1記載の製造方法。
  3. ゴムラテックスは、天然ゴムラテックスまたはエポキシ化天然ゴムである請求項1記載の製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法で得られるマスターバッチを用いたゴム組成物。
JP2007220595A 2007-08-28 2007-08-28 マスターバッチの製造方法およびゴム組成物 Active JP5594556B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007220595A JP5594556B2 (ja) 2007-08-28 2007-08-28 マスターバッチの製造方法およびゴム組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007220595A JP5594556B2 (ja) 2007-08-28 2007-08-28 マスターバッチの製造方法およびゴム組成物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009051955A JP2009051955A (ja) 2009-03-12
JP5594556B2 true JP5594556B2 (ja) 2014-09-24

Family

ID=40503314

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007220595A Active JP5594556B2 (ja) 2007-08-28 2007-08-28 マスターバッチの製造方法およびゴム組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5594556B2 (ja)

Families Citing this family (18)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
FI123762B (fi) * 2009-05-07 2013-10-31 Just Jaakon Uunisuunnittelu Toimisto Ajoneuvon rengas ja menetelmä sen valmistamiseksi
JP5391022B2 (ja) * 2009-10-05 2014-01-15 住友ゴム工業株式会社 複合体、ゴム組成物及び空気入りタイヤ
JP5480585B2 (ja) * 2009-10-15 2014-04-23 住友ゴム工業株式会社 複合体、ゴム組成物及び空気入りタイヤ
JP2011256373A (ja) * 2010-05-11 2011-12-22 Sumitomo Rubber Ind Ltd 複合体及びその製造方法
EP2581390B1 (en) 2010-06-10 2015-01-14 Sumitomo Rubber Industries, Ltd. Modified natural rubber, method for producing same, rubber composition, and pneumatic tire
JP5860661B2 (ja) * 2010-10-19 2016-02-16 住友ゴム工業株式会社 シリカの製造方法及びタイヤ用ゴム組成物
ITTO20100959A1 (it) * 2010-12-01 2012-06-02 Bridgestone Corp Metodo per la preparazione di una mescola di gomma con cariche rinforzanti ad elevata area superficiale
JP5670768B2 (ja) * 2011-01-24 2015-02-18 住友ゴム工業株式会社 複合体、その製造方法、ゴム組成物及び空気入りタイヤ
JP5925435B2 (ja) * 2011-06-03 2016-05-25 東洋ゴム工業株式会社 シリカ含有ゴムマスターバッチ及びゴム組成物の製造方法
JP5469151B2 (ja) 2011-11-11 2014-04-09 住友ゴム工業株式会社 アンダートレッド用ゴム組成物及び空気入りタイヤ
JP5616369B2 (ja) 2012-01-24 2014-10-29 住友ゴム工業株式会社 タイヤ用ゴム組成物及び空気入りタイヤ
JP5840971B2 (ja) * 2012-02-15 2016-01-06 住友ゴム工業株式会社 タイヤ用ゴム組成物及び空気入りタイヤ
JP5529909B2 (ja) * 2012-03-08 2014-06-25 住友ゴム工業株式会社 複合体、ゴム組成物及び空気入りタイヤ
CN104540879A (zh) 2012-09-07 2015-04-22 住友橡胶工业株式会社 二氧化硅/丁苯橡胶复合体及其制造方法,橡胶组合物及充气轮胎
JP2014133829A (ja) 2013-01-10 2014-07-24 Sumitomo Rubber Ind Ltd 複合体、その製造方法、ゴム組成物及び空気入りタイヤ
JP5814410B2 (ja) 2014-03-17 2015-11-17 住友ゴム工業株式会社 スタッドレスタイヤ用ゴム組成物及びスタッドレスタイヤ
AU2016294421B2 (en) 2015-07-15 2018-10-18 Cabot Corporation Methods of making an elastomer composite reinforced with silica and products containing same
CN110218375A (zh) * 2018-03-02 2019-09-10 中国石油化工股份有限公司 丁苯橡胶/纳米白炭黑复合材料、硫化胶及其制备方法和应用

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CA1183628A (en) * 1982-09-01 1985-03-05 Erhardt Fischer Silica-polymer mixtures
JP3763334B2 (ja) * 1998-03-31 2006-04-05 日本ゼオン株式会社 ゴム組成物の製造方法およびゴム組成物
JP3838842B2 (ja) * 2000-02-02 2006-10-25 株式会社トクヤマ 沈殿珪酸含有ゴムの製造方法
JP2002241507A (ja) * 2000-12-12 2002-08-28 Jsr Corp ジエン系ゴム・無機化合物複合体及びその製造方法並びにそれを含有するゴム組成物
JP2003138025A (ja) * 2001-11-06 2003-05-14 Tokuyama Corp シリカ充填ゴムの製造方法
JP4842569B2 (ja) * 2005-06-27 2011-12-21 住友ゴム工業株式会社 ゴム組成物
JP4782487B2 (ja) * 2005-06-27 2011-09-28 住友ゴム工業株式会社 ハイブリッドフィラーと、それを用いたゴム組成物および樹脂組成物

Also Published As

Publication number Publication date
JP2009051955A (ja) 2009-03-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5594556B2 (ja) マスターバッチの製造方法およびゴム組成物
JP6526072B2 (ja) 複合体及びその製造方法
JP5570152B2 (ja) タイヤ
JP2011144326A (ja) インナーライナー用ゴム組成物及び空気入りタイヤ
JP4746989B2 (ja) シリカ含有共役ジエン系ゴム組成物及び成形体
JP2006342262A (ja) ウエットマスターバッチゴム組成物及びタイヤ
WO2015190519A1 (ja) タイヤ用変性ゴム、それを用いたタイヤ用ゴム組成物及びタイヤ
JP5851763B2 (ja) 複合体の製造方法、ゴム組成物及び空気入りタイヤ
JP5670768B2 (ja) 複合体、その製造方法、ゴム組成物及び空気入りタイヤ
JP6863527B2 (ja) スタッドレスタイヤ用ゴム組成物およびそれを用いたスタッドレスタイヤ
JP5391022B2 (ja) 複合体、ゴム組成物及び空気入りタイヤ
JP2009029961A (ja) ゴム組成物用マスターバッチおよびその製造方法
JP2017095569A (ja) ウェットマスターバッチの製造方法及びタイヤの製造方法
WO2020121788A1 (ja) ゴム組成物、トレッド用ゴム組成物、及び空気入りタイヤ
JP4782486B2 (ja) ゴム組成物およびその製造方法
JP2015038172A (ja) ゴム組成物の製造方法
JP4842569B2 (ja) ゴム組成物
JP5977079B2 (ja) タイヤ用ゴム組成物及び空気入りタイヤ
JP2006265400A (ja) ゴム組成物の製造法及びそれを用いた空気入りタイヤ
JP2013056984A (ja) ゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤ
JP2004051774A (ja) タイヤ用トレッドゴム組成物及びそれを用いた空気入りタイヤ
JP5700063B2 (ja) タイヤ用ゴム組成物
JP4782488B2 (ja) ハイブリッドフィラーと、それを用いたゴム組成物および樹脂組成物
JP5480585B2 (ja) 複合体、ゴム組成物及び空気入りタイヤ
JP4782487B2 (ja) ハイブリッドフィラーと、それを用いたゴム組成物および樹脂組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100820

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120625

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130205

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130328

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20131210

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140122

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20140708

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140724

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5594556

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250