JP5860661B2 - シリカの製造方法及びタイヤ用ゴム組成物 - Google Patents

シリカの製造方法及びタイヤ用ゴム組成物 Download PDF

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Description

本発明は、シリカの製造方法、及び該製造方法により得られたシリカを含むタイヤ用ゴム組成物に関する。
シリカをゴム組成物の補強剤として使用する場合、シリカとゴム成分とをバンバリーミキサーなどで混練する、いわゆる混練法が採用されている。しかし、シリカは、自己凝集性が強いため、ゴム組成物中にシリカを分散させるためには、混練時に大きなエネルギーが必要となる。特に、水ガラス(ケイ酸ナトリウム水溶液)から調製される粒子径が10〜60nm程度のシリカ(微粒子シリカ)は、補強性が高く、ゴム組成物の物性(破壊強度など)を向上できるという利点を有する一方で、自己凝集性が非常に強く、分散が困難であるという点で改善の余地がある。
特許文献1には、ゴムラテックスと水ガラスをpH調整して得られた微粒子シリカとを混合し、微粒子シリカを均一に分散させたマスターバッチの製造方法が開示されている。しかしながら、コストが高くなるデメリットがあり、従来工法によるシリカの分散性については未だ改善の余地が残されている。
特開2009−51955号公報
本発明は、前記課題を解決し、分散性に優れた微粒子シリカを調製できるシリカの製造方法、及び該製造方法により得られたシリカを含むタイヤ用ゴム組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、分散性に優れた微粒子シリカを調製する方法について検討したところ、シリカ粒子表面のシラノール基に着目した。ケイ酸ナトリウム水溶液中では、シラノール基の縮合反応が起こり、共有結合であるSi−O−Si結合が形成される。本発明者らは、このSi−O−Si結合がシリカの強い自己凝集性の原因であると考えた。
そして、本発明者が更に検討を行った結果、ケイ酸ナトリウム水溶液に水溶性分子を添加することで、シリカの自己凝集性が低下することを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、ケイ酸ナトリウム水溶液を用いたシリカの製造方法であって、水溶性分子を用いたシリカの製造方法に関する。
上記製造方法は、上記ケイ酸ナトリウム水溶液からシード液を調製する工程(I)と、上記ケイ酸ナトリウム水溶液からフィード液を調製する工程(II)と、該シード液及び該フィード液を、上記水溶性分子の存在下で酸とともに混合する工程(III)とを含むことが好ましい。
上記水溶性分子がエチレングリコール及び/又はポリエチレングリコールであることが好ましい。
上記製造方法は、平均粒子径が50nm以下の湿式法シリカが得られることが好ましい。
本発明はまた、上記製造方法により得られたシリカを含むタイヤ用ゴム組成物に関する。
本発明によれば、ケイ酸ナトリウム水溶液を用いたシリカの製造方法であって、水溶性分子を用いたシリカの製造方法であるので、分散性に優れた微粒子シリカを良好に製造できる。したがって、本発明により得られた微粒子シリカをゴム組成物に用いることで、加工性や破壊強度などに優れたタイヤ用ゴム組成物を提供することができる。
実施例1〜3及び比較例1のシリカの光散乱強度の測定結果を示す。
本発明は、ケイ酸ナトリウム水溶液を用いたシリカの製造方法であって、水溶性分子を用いたシリカの製造方法である。水溶性分子を用いることで、シリカの自己凝集性が低下し、平均粒子径がナノオーダーの微粒子シリカであっても、良好な分散性が得られる。これは、生成したシリカ粒子の表面に水溶性分子が吸着し、上述のSi−O−Si結合の形成が抑制されるためであると考えられる。
本発明のシリカの製造方法は、ケイ酸ナトリウム水溶液を用いたシリカの製造方法であって、水溶性分子を用いたシリカの製造方法であれば特に限定されないが、上記ケイ酸ナトリウム水溶液からシード液を調製する工程(I)と、上記ケイ酸ナトリウム水溶液からフィード液を調製する工程(II)と、上記シード液及び上記フィード液を、上記水溶性分子の存在下で酸とともに混合する工程(III)とを含むことが好ましい。これにより、分散性に優れた微粒子シリカを効率良く製造できる。
<工程(I)>
シード液は、シリカ前駆物質(シリカの核)を含む溶液であり、その調製方法としては、例えば、ケイ酸ナトリウム水溶液のpHを調整する方法が挙げられる。なかでも、陽イオン交換樹脂を用いてケイ酸ナトリウム水溶液1のpHを2〜5に調整し、熟成する工程(I−a)、及び該工程(I−a)で得られた熟成液とケイ酸ナトリウム水溶液2とを混合した混合液のpHを、陽イオン交換樹脂を用いて9〜11に調整し、熟成する工程(I−b)又は該工程(I−a)で得られた熟成液と陽イオン交換樹脂を用いてケイ酸ナトリウム水溶液2のpHを9〜11に調整した調整液とを混合し、熟成する工程(I−c)を含む方法が好ましい。このように、pHが異なる2段階の熟成過程を経たシード液を用いることで、得られるシリカの分散性をより改善できる。理由は、上記2段階の熟成過程により、シード液中に均一なシリカの核が形成されるためではないかと考えられる。
<工程(I−a)>
ケイ酸ナトリウム水溶液1は、通常、下記式で示される組成で表される。
NaO・nSiO・mH
上記係数nは、SiO/NaOの分子比で示される値であって、一般にモル比と呼ばれるJIS K 1408−1966に規定の範囲である。この係数nは、特に限定されないが、好ましくは2.1〜3.3であり、より好ましくは3.1〜3.3である。上記係数nが3.1〜3.3であるときは、ナトリウムイオンの含有量が低く、pH調整が容易となる。
なお、一般に、上記係数nが3.1〜3.3であるケイ酸ナトリウム水溶液1は、水ガラス3号として市販されている。本発明に使用可能なケイ酸ナトリウム水溶液1は、これに限定されるものではなく、例えば、JIS K1408に規定の1〜3号水ガラスや、その他各種のグレード品を使用することができる。
工程(I−a)では、予め水ガラスを純水で希釈する方法などにより、ケイ酸ナトリウム水溶液1が作製される。ここで、上記ケイ酸ナトリウム水溶液1中に含まれるシリカ成分(SiO)の濃度は、0.5〜7質量%の範囲が好ましい。0.5質量%未満では、効率が悪く、7質量%を超えると、ゲル化の傾向がある。該シリカ成分の濃度は、より好ましくは0.5〜5質量%、更に好ましくは0.5〜3質量%の範囲である。
工程(I−a)では、ケイ酸ナトリウム水溶液1のpHが2〜5に調整される。この範囲から外れると、熟成中に固化する傾向がある。該pHは2〜4の範囲が好ましく、2.5〜3.5の範囲がより好ましい。
陽イオン交換樹脂によるpH調整方法としては、例えば、ケイ酸ナトリウム水溶液1と陽イオン交換樹脂とを接触させる方法が挙げられる。上記接触させる方法としては、ケイ酸ナトリウム水溶液1中に陽イオン交換樹脂を直接投入して撹拌、接触させるバッチ方式(ケイ酸ナトリウム水溶液1と陽イオン交換樹脂とを混合してpH調整する方法)、陽イオン交換樹脂を充填したカラムにケイ酸ナトリウム水溶液1を通液する方式(陽イオン交換樹脂を充填したカラムにケイ酸ナトリウム水溶液1を通液してpH調整する方法)が挙げられる。バッチ方式では、pH調整後、ろ過により陽イオン交換樹脂を除去できる。カラムを利用した方式は操作が簡便であり、好ましい。また、pH調整において、バッチ方式ではろ過時にシリカのロスが発生するが、カラムを利用した方式では、pH調整段階でのシリカロスを抑制することができる。
陽イオン交換樹脂としては、H型の強酸性陽イオン交換樹脂、弱酸性陽イオン交換樹脂などが使用でき、市販品として、オルガノ(株)製のアンバーライトIR120B、IR124、200CT、IRC76、FPC3500が挙げられる。
工程(I−a)ではpH調整後に熟成し、熟成液が調製されるが、熟成温度は、好ましくは50℃以上、より好ましくは60℃以上、更に好ましくは70℃以上である。該熟成温度は、好ましくは95℃以下、より好ましくは90℃以下、更に好ましくは85℃以下である。また、熟成時間は、0.5〜24時間が好ましく、2〜10時間がより好ましい。熟成温度や熟成時間が下限未満では、熟成が不十分で、シリカの核の発生が十分でないおそれがある。上限を超えると、ゲル化し易くなる傾向がある。
<工程(I−b)、(I−c)>
工程(I−a)に続く工程として、「上記工程(I−a)で得られた熟成液とケイ酸ナトリウム水溶液2とを混合した混合液のpHを、陽イオン交換樹脂を用いて9〜11に調整し、熟成する工程(I−b)」、又は「上記工程(I−a)で得られた熟成液と陽イオン交換樹脂を用いてケイ酸ナトリウム水溶液2のpHを9〜11に調整した調整液とを混合し、熟成する工程(I−c)」が行われる。これにより、シリカ前駆体を含むシード液が調製される。
上記ケイ酸ナトリウム水溶液2としては、上記ケイ酸ナトリウム水溶液1と同様のものを使用できる。
工程(I−b)及び(I−c)において、ケイ酸ナトリウム水溶液2中に含まれるシリカ成分(SiO)の濃度は、2〜30質量%の範囲が好ましい。2質量%未満では、効率が悪く、30質量%を超えると、ゲル化する傾向がある。該シリカ成分の濃度は、より好ましくは2〜10質量%、更に好ましくは3〜8質量%の範囲である。
工程(I−b)で陽イオン交換樹脂を用いて混合液のpHを9〜11に調整する方法、及び工程(I−c)で陽イオン交換樹脂を用いてケイ酸ナトリウム水溶液2のpHを9〜11に調整する方法は、工程(I−a)のpH調整と同様の方法を用いることができる。pHは9.0〜10.0に調整することがより好ましい。このpH調整を上記バッチ式で行う場合においても、ろ過時にシリカロスが発生する。そこで、混合順序について、工程(I−b)から工程(I−c)に変更することにより、シリカロスを低減することができ、シリカ収率が高められる。
なお、工程(I−b)及び(I−c)での混合は公知の方法により行える。
pH調整後に熟成されるが、熟成温度は、好ましくは50℃以上、より好ましくは60℃以上、更に好ましくは70℃以上である。該熟成温度は、好ましくは95℃以下、より好ましくは90℃以下、更に好ましくは85℃以下である。また、熟成時間は、4〜50時間が好ましく、8〜35時間がより好ましい。熟成温度や熟成時間が下限未満では、熟成が不十分で、所望の粒径のシリカが生成しないおそれがある。上限を超えると、ゲル化(固化)する可能性が高くなる。
<工程(II)>
フィード液は、シード液中のシリカ前駆物質を成長させる成分(ケイ酸ナトリウムなど)を含む溶液であり、その調製方法としては、例えば、ケイ酸ナトリウム水溶液の濃度を調整する方法が挙げられる。濃度の調整方法としては特に限定されず、ケイ酸ナトリウム水溶液を希釈する方法など、公知の方法を使用できる。
フィード液の調製に使用するケイ酸ナトリウム水溶液としては、シード液の場合と同様のものを使用できる。
フィード液中に含まれるシリカ成分(SiO)の濃度は、6〜40質量%の範囲が好ましい。6質量%未満では、効率が悪く、40質量%を超えると、ゲル化する傾向がある。該シリカ成分の濃度は、より好ましくは6〜20質量%、更に好ましくは8〜15質量%の範囲である。
<工程(III)>
工程(III)は、シード液及びフィード液を、水溶性分子の存在下で酸とともに混合する工程であればよく、水溶性分子及びシード液の混合液に、フィード液及び酸を滴下して混合する工程であってもよいし(工程(III−a))、シード液に、水溶性分子及びフィード液の混合液と酸とを滴下して混合する工程であってもよいし(工程(III−b))、シード液に、水溶性分子、フィード液及び酸を滴下して混合する工程であってもよい(工程(III−c))。なかでも、反応液中での水溶性分子の濃度減少が起こらず、分散性に優れた微粒子シリカを安定して製造できるという点から、工程(III−b)、工程(III−c)が好ましく、工程(III−c)がより好ましい。
なお、工程(III−a)〜(III−c)での混合は公知の方法により行える。
水溶性分子としては、水への溶解性の高い分子であれば使用できるが、なかでも安価で、毒性が低く、かつ、本発明の効果が良好に得られることから、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコールなどのグリコール類、その重合体(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなど)が好ましく、エチレングリコール、ポリエチレングリコールがより好ましい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリエチレングリコールの重量平均分子量(Mw)は、好ましくは300以上、より好ましくは500以上、また、好ましくは10000以下、より好ましくは1000以下である。該Mwを上記範囲内とすることにより、本発明の効果が良好に得られる。
なお、本発明において、Mwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)を用い、標準ポリスチレンより換算した値である。
水溶性分子の配合量は、本発明の製造方法で使用されるシード液及びフィード液中に含まれるシリカ成分(SiO)の合計量100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上である。5質量部未満であると、Si−O−Si結合の形成を充分に抑制できないおそれがある。水溶性分子の配合量は、好ましくは50質量部以下、より好ましくは30質量部以下である。50質量部を超えると、シリカ微粒子の生成に影響を与え、粒子成長を阻害する可能性がある。
酸としては、反応溶液のpHを調整できるものであれば特に限定されず、一般的なものを使用できる。なかでも、pH調整を効率良く行えるという点から、硫酸を好適に使用できる。
工程(III)では、フィード液及び酸の滴下速度や濃度を調整するなどの方法により、反応溶液のpHを一定の範囲内に制御することが好ましい。これにより、シリカを均一に成長させ、分散性をより向上できる。
工程(III)において、反応溶液のpHは8.0〜12.0に調整することが好ましい。この範囲から外れると、シリカが均一に成長できないおそれがある。pHは8.5〜11.5に調整することがより好ましい。
工程(III)において、反応溶液の温度は、好ましくは70℃以上、より好ましくは80℃以上、また、好ましくは100℃以下、より好ましくは98℃以下である。この範囲から外れると、シリカの均一性が悪化する傾向がある。
工程(III)終了後は、通常の湿式法シリカの製造方法と同様にして、シリカを製造できる。例えば、まず、工程(III)によって得られたシリカ分散液に酸を滴下し、pHを3付近に調整して、反応を終了させる。次いで、必要に応じてろ過、洗浄及び乾燥を行い、平均粒子径がナノオーダーの微粒子シリカが得られる。
上記微粒子シリカの平均粒子径は、好ましくは50nm以下、より好ましくは40nm以下、更に好ましくは30nm以下である。また、該平均粒子径は、好ましくは5nm以上、より好ましくは8nm以上、更に好ましくは10nm以上である。上記範囲内であれば、分散性に優れた微粒子シリカが得られる。
ここで、平均粒子径の大きさは、上記製造方法において、シード液やフィード液のシリカ成分の濃度、上記熟成液や混合液のpH、熟成温度、熟成時間などにより調整できる。
本明細書において、微粒子シリカの平均粒子径の測定方法は、透過型電子顕微鏡(TEM)観察が用いられる。具体的には、微粒子を透過型電子顕微鏡で写真撮影し、微粒子の形状が球形の場合には球の直径を粒子径とし、針状又は棒状の場合には短径を粒子径とし、不定型の場合には中心部からの平均粒径を粒子径とし、微粒子100個の粒径の平均値を平均粒子径とする。
本発明のシリカは、補強剤として本発明のゴム組成物に使用できる。なお、本発明のゴム組成物は、カーボンブラック、シランカップリング剤、亜鉛華、ステアリン酸、老化防止剤、硫黄、加硫促進剤などの、タイヤ工業において一般的に用いられている配合剤を配合していてもよく、これらの配合剤の含有量も適宜設定できる。
本発明のゴム組成物は、前記各成分をオープンロール、バンバリーミキサー、密閉式混練機などのゴム混練装置を用いて混練し、その後加硫する方法などにより製造できる。得られるゴム組成物は、低燃費性、耐摩耗性、破断強度、破断時伸びなど、タイヤの要求性能を備えており、タイヤの各部材(トレッド、サイドウォールなど)に好適に使用できる。
本発明のゴム組成物を用いた空気入りタイヤは通常の方法によって製造できる。すなわち、ゴム組成物を未加硫の段階でトレッド、サイドウォールなどの各タイヤ部材の形状に合わせて押し出し加工し、タイヤ成形機上にて通常の方法にて成形し、他のタイヤ部材とともに貼り合わせ、未加硫タイヤを形成する。この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧して空気入りタイヤを製造できる。
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
以下に、実施例1〜3及び比較例1で用いた各種薬品について説明する。
水ガラス:富士化学(株)製の水ガラス3号(NaO・nSiO・mHO、n=3.2、シリカ成分(SiO換算量)含有量:28質量%)
陽イオン交換樹脂:オルガノ(株)製のアンバーライトIR−120B(H)HG(H型強酸性陽イオン交換樹脂)
エチレングリコール:和光純薬工業(株)製特級
ポリエチレングリコール1:和光純薬工業(株)製(Mw:600)
ポリエチレングリコール2:和光純薬工業(株)製(Mw:6000)
濃硫酸:和光純薬工業(株)製
(実施例1)
水230g及び上記水ガラス13gを混合し、1.5質量%ケイ酸ナトリウム溶液(ケイ酸ナトリウム溶液1)を調製した。1.5質量%ケイ酸ナトリウム溶液に含まれるナトリウムイオンを、陽イオン交換樹脂を用いて取り除き、pH3に調整した後、80℃、3時間の条件で熟成させた(熟成液A)。
次に、室温に戻した熟成液Aを、水150g及び上記水ガラス32gを混合して調製した5質量%ケイ酸ナトリウム水溶液(ケイ酸ナトリウム水溶液2)182gに加えた。この混合液のpHを陽イオン交換樹脂を用いて9.5に調整し、80℃、16時間の条件で熟成させた(シード液)。
水293gと上記水ガラス207gを混合して調製した12%ケイ酸ナトリウム水溶液(フィード液)に水溶性分子であるエチレングリコールを15g加え、混合液Aを調製した。
シリカ前駆物質を含む上記シード液を撹拌機を付属させた2L反応容器に移し、液温を80℃に加熱してから、上記混合液Aと濃硫酸とを同時に滴下し、80℃に維持しながら中和反応を行った。上記混合液Aの滴下速度は10ml/minとし、濃硫酸は、反応溶液のpHが8.5〜10.5となるように流量を調節した。中和反応の途中から反応溶液が白濁し始め、粘度が上昇してきたため、一定の混合状態を維持するために、撹拌速度を120〜210rpmの範囲で調整した。
中和反応を50分間行った時点で上記混合液Aの滴下を止め、反応溶液のpHが3になるまで濃硫酸だけを滴下し続け、ケイ酸スラリーを得た。得られたケイ酸スラリーを減圧ろ過した後、水洗を行い、湿潤ケーキを得た。得られた湿潤ケーキを80℃で乾燥させて実施例1のシリカ75gを得た。
なお、本実施例において、エチレングリコールの配合量は、使用したシード液及びフィード液中のシリカ成分の合計量100質量部に対して、20質量部とした。
(実施例2)
エチレングリコールの代わりにポリエチレングリコール1(Mw=600)を用いた点以外は実施例1と同様の方法により、実施例2のシリカ75gを得た。
なお、本実施例において、ポリエチレングリコール1の配合量は、使用したシード液及びフィード液中のシリカ成分の合計量100質量部に対して、20質量部とした。
(実施例3)
エチレングリコールの代わりにポリエチレングリコール2(Mw=6000)を用いた点以外は実施例1と同様の方法により、実施例3のシリカ75gを得た。
なお、本実施例において、ポリエチレングリコール2の配合量は、使用したシード液及びフィード液中のシリカ成分の合計量100質量部に対して、20質量部とした。
(比較例1)
エチレングリコールを加えなかった点以外は実施例1と同様の方法により、比較例1のシリカ75gを得た。
実施例及び比較例で調製したシリカについて、TEM写真の観察により、それぞれ以下の平均粒子径を有していることを確認した。
実施例1:25nm
実施例2:25nm
実施例3:21nm
比較例1:30nm
また、FT−IR測定により、エチレングリコールやポリエチレングリコールが最終生成物であるシリカに残存していないことを確認した。
上記方法で得られたシリカ(含水ケイ酸)20mg及び水100gを100mLビーカー内で撹拌し、サンプルを調製した。撹拌は、超音波ホモジナイザー(BRANSON社製Sonifier II model450D)用いて行い、撹拌時間は、15s、30s、60s、180sとした。次に、サンプルを孔径5μmのフィルター(ザルトリウス製ミニザルト)に通過させ、得られたろ液成分を光学測定用セルに入れ、光散乱光度計(大塚電子株式会社製ELSZ−2)を用いて光散乱強度を測定した。測定は100回行い、その平均値をとった。測定結果を図1に示す。光散乱強度が高いほど、シリカが良好に分散していることを示す。
試験結果から、エチレングリコールやポリエチレングリコール(水溶性高分子)を添加して得られた実施例のシリカは、光散乱強度が高く、分散性が向上した(シリカの凝集が抑制された)ことがわかった。そのため、ゴム組成物内で良好な分散性が得られ、加工性、破壊強度などの性能の向上が期待できた。
以下に、実施例4〜6及び比較例2で用いた各種薬品について説明する。
スチレンブタジエンゴム(SBR):日本ゼオン(株)製のNipol 1502(スチレン量:23.5質量%)
シリカ1:上記実施例1
シリカ2:上記実施例2
シリカ3:上記実施例3
シリカ4:上記比較例1
シランカップリング剤:EVONIK−DEGUSSA社製のSi69(ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド)
亜鉛華:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華2種
ステアリン酸:日油(株)製の椿
老化防止剤:大内新興化学工業(株)製のノクラック6C(N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン)
硫黄:鶴見化学工業(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤NS:大内新興化学工業(株)製のノクセラ−NS(N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
(実施例4〜6、比較例2)
表1に示す配合に従って、1.7Lバンバリーミキサーを用いて、硫黄及び加硫促進剤以外の薬品を混練りした。次に、ロールを用いて、得られた混練り物に硫黄及び加硫促進剤を添加して練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。得られた未加硫ゴム組成物を150℃で30分間プレス加硫して加硫物を得た。得られた加硫物を下記により評価し、結果を表1に示した。
(転がり抵抗)
粘弾性スペクトロメーターVES((株)岩本製作所製)を用いて、温度50℃、初期歪み10%、動歪み2%、周波数10Hzの条件下で各配合(加硫物)のtanδを測定し、比較例2のゴム試験片(基準試験片)のtanδを100として、下記計算式により指数表示した(転がり抵抗指数)。指数が大きいほど転がり抵抗特性(低燃費性)が優れる。
(転がり抵抗指数)=(基準試験片のtanδ)/(各配合のtanδ)×100
(摩耗試験)
ランボーン摩耗試験機を用いて、温度20℃、スリップ率20%及び試験時間2分間の条件下で各配合(加硫物)のランボーン摩耗量を測定した。更に、測定したランボーン摩耗量から容積損失量を計算し、比較例2のゴム試験片(基準試験片)の摩耗指数を100とし、下記計算式により、各配合の容積損失量を指数表示した。指数が大きいほど、耐摩耗性に優れることを示す。
(摩耗指数)=(基準試験片の容積損失量)/(各配合の容積損失量)×100
(破断強度・破断時伸び)
加硫物を用いて3号ダンベル型ゴム試験片を作製し、JIS K6251「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−引張特性の求め方」に準じて引張試験を行い、破断強度(TB)、破断時伸び(EB)を測定した。比較例2のゴム試験片(基準試験片)のTB指数、EB指数をそれぞれ100とし、下記計算式により、各配合のTB、EBを指数表示した。TB指数が大きいほど補強性(破壊強度)に優れ、EB指数が大きいほど耐クラック性に優れることを示す。
(TB指数)=(各配合のTB)/(基準試験片のTB)×100
(EB指数)=(各配合のEB)/(基準試験片のEB)×100
Figure 0005860661
表1から、シリカ1〜3(実施例1〜3のシリカ)を用いた実施例4〜6は、比較例2と比較して、タイヤに要求される低燃費性、耐摩耗性、破断強度、破断時伸びに優れていた。また、加工性も良好に得られた。これは、実施例1〜3のシリカが、ケイ酸ナトリウム水溶液を用いたシリカの製法であって、水溶性分子を用いたシリカの製法で調製されたものであり、分散が良好になった結果と考えられる。

Claims (3)

  1. ケイ酸ナトリウム水溶液を用いたシリカの製造方法であって、
    前記ケイ酸ナトリウム水溶液からシード液を調製する工程(I)と、
    前記ケイ酸ナトリウム水溶液からフィード液を調製する工程(II)と、
    該シード液及び該フィード液を、水溶性分子の存在下で酸とともに混合する工程(III)とを含み、
    前記水溶性分子がグリコール類及び/又はその重合体であるシリカの製造方法。
  2. 前記水溶性分子がエチレングリコール及び/又はポリエチレングリコールである請求項1記載のシリカの製造方法。
  3. 平均粒子径が50nm以下の湿式法シリカが得られる請求項1又は2記載のシリカの製造方法。
JP2011227056A 2010-10-19 2011-10-14 シリカの製造方法及びタイヤ用ゴム組成物 Active JP5860661B2 (ja)

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