JP2022505630A - 沈降シリカ及びその製造プロセス - Google Patents

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Abstract

タイヤ用途において使用するための大きな粒子サイズを有する沈降シリカ。
【選択図】なし

Description

本発明は、エラストマー組成物中の補強充填剤として使用するための沈降シリカに関する。
ポリマー組成物中の、特にエラストマー組成物中の補強充填剤としての沈降シリカの使用が知られている。そのような使用が大いに望まれており、充填剤は、容易に且つ効率的にエラストマー母材中に混合されて分散されなければならず、また典型的にはカップリング試薬と共にエラストマーと化学結合に入り、エラストマー組成物の高い且つ均質な強化をもたらさなければならない。シリカ充填エラストマー組成物は、タイヤ配合剤において特に有利な用途がある。いわゆる高分散性シリカが充填されたタイヤトレッドは、タイヤ用の従来のカーボンブラックでは得ることができない、転がり抵抗、耐摩耗性、及びグリップに関する特性の折り合いを実現することを可能にした。
典型的には160m/gを超える大きい表面積の沈降シリカが知られている。例えば国際公開第03/016215A1号パンフレットには、大きい表面積及び幅の広い粒子サイズ分布を有する沈降シリカが開示されている。
国際公開第2013/092745A1号パンフレットには、(i)2~5のpHを有する水性ストック液を準備する工程;(ii)反応媒体のpHが2~5に維持されるように、ケイ酸塩と酸を同時に前記ストック液に添加する工程;(iii)7~10の反応媒体のpH値が得られるまで反応媒体へのケイ酸塩の添加を継続する一方で酸の添加を停止する工程;(iv)反応媒体のpHが7~10に維持されるように、ケイ酸塩と酸を同時に反応媒体に添加する工程;並びに(v)6未満の反応媒体のpH値が得られるまで酸の添加を継続する一方でケイ酸塩の添加を停止する工程;を含む沈降シリカの調製方法であって、工程(ii)の少なくとも一部で濃酸が使用される方法が開示されている。国際公開第2013/092745A1号パンフレットには、反応に必要なケイ酸塩の総量に対する工程(ii)の間に反応媒体に添加されるケイ酸塩の量が開示されていない。国際公開第2013/092745A1号パンフレット中で例示されている方法から計算することができる量は、反応に必要なケイ酸塩の総量の50%未満である。
大きい表面積のシリカを使用する利点は、主に、エラストマーとのシリカの結合数を増加させる可能性、したがってその強化レベルを増加させる可能性に存する。そのため、タイヤトレッドゴム組成物において、特にタイヤの転がり抵抗と耐摩耗性の改善のために、160m/g程度の表面積を有するシリカに従来使用されている添加量と比較して、より低い添加量で大きい表面積を有するシリカを使用することが有利であると考えられる。
しかしながら、ゴム組成物中で大きい表面積のシリカを使用してトレッド摩耗特性を改善することのこの実現は、しばしばウェットグリップ性能の低下をもたらすことがある。実際、小さな粒子サイズを有する大きな表面積のシリカの使用は、充填剤ネットワークの増加が見込まれ、その結果、低温でのより低いヒステリシス及びより低いウェットグリップ性能が生じる可能性がある。そのため、トレッド摩耗性能の利点を低下させることなしに、ウェットグリップと転がり抵抗性能の折り合いをつけるのに効果的な、ポリマー組成物における補強充填剤として使用するための沈降シリカが常に必要とされている。
今回、表面積と粒子サイズとの間に特定の関係を有する沈降シリカが、エラストマー組成物の以下の特性の間で優れたバランスを与えることが見出された:低温における高ヒステリシス及び同等の強化指数(引張特性)での高温における低ヒステリシス及びコンパウンドの加工性。
本発明の第1の目的は、
- 160m/g以上のCTAB表面積SCTAB
- 遠心沈降によって測定される
|d50|>25000/|SCTAB|(I)
であるようなメジアン粒子サイズd50
(式中、
|d50|は遠心沈降によって測定されるnm単位で表されるメジアン粒子サイズd50の数値を表し、|SCTAB|はm/g単位で表されるCTAB表面積SCTABの数値を表す);
- 4500ppmを超えないアルミニウム含有量;
によって特徴付けられる沈降シリカである。
本明細書の他の部分において、用語「シリカ」及び「沈降シリカ」は互いに交換可能に使用されて沈降シリカを意味することができる。「粒子」という用語は、本明細書ではシリカの一次粒子の凝集体を指すために使用される。
CTAB表面積SCTABは、所定のpHでシリカ表面上に吸着されたNヘキサデシル-N,N,N-トリメチルアンモニウムブロミドの量を測定することによって求められる外部比表面積の尺度である。
CTAB表面積SCTABは、好ましくは180m/g以上である。CTAB表面積SCTABは、200m/g以上であってもよい。
CTAB表面積は400m/gを超えず、典型的には380m/gを越えない。CTAB表面積SCTABは350m/gより低くなり得る。
エラストマー強化用途では、CTAB表面積SCTABの有利な範囲は、160~400m/g、180~400m/g、180~380m/g、好ましくは180~350m/g、200~350m/g、更には220~330m/gである。
本発明のシリカの重要な特徴は、所定のSCTAB値に対する大きなメジアン粒子サイズ(粒径)d50である。特に、所定のCTAB表面積SCTABでの本発明のシリカのメジアン粒子サイズは、従来技術の沈降シリカで測定された値よりも大きいことが見出された。
本明細書において使用される用語「凝集体」という表現は、シリカの一次粒子の凝集体を意味する。粒子という用語は、機械的作用によって破壊可能なシリカの一次粒子の最小の凝集体を指すために使用される。言い換えると、粒子という用語は分割できない一次粒子の集合体を指す。
本発明のシリカのメジアン粒子サイズd50及びCTAB表面積SCTABは、以下のようなものであることが見出された:
|d50|>25000/|SCTAB|(I)。
式(I)において、|SCTAB|はm/g単位で表されるCTABの表面積SCTABの数値を表す。|SCTAB|は無次元の数である。例として、SCTABの測定値が200m/gである場合、|SCTAB|は200である。
式(I)において、|d50|は遠心沈降によって測定されたnm単位で表されるメジアン粒子サイズd50の数値を表す。例として、遠心沈降によって測定されたd50の値が100nmの場合、|d50|は100である。d50は、その下(及び上)で凝集体の総質量の50%が見られる直径を表す。したがって、d50は、所定の分布のメジアン粒子サイズを表し、これに関連する用語「サイズ」は「直径」を意味しなければならない。|d50|は無次元の数である。
200~400m/gの範囲のCTAB表面積SCTABにおいて、本発明のシリカは、通常60nm超、更には80nm超であるメジアン粒子サイズd50によって特徴付けられる。場合によっては、前記CTAB表面積範囲におけるd50は90nmを超えてもよい。
本発明のシリカのd50値は、典型的には250nmを超えず、より典型的には200nmを超えない。
本発明のシリカは、平均して複数の異なる一次粒子サイズを有する一次粒子の凝集体ではなく、通常、平均して同じサイズ、すなわち例えば電子顕微鏡(TEM)又は小角X線散乱(SAXS)によって測定される単一のメジアンを有する一次粒子の凝集体によって特徴付けられる。すなわち、本発明の沈降シリカは、一次粒子サイズの1つの集団によって特徴付けられる。
本発明の沈降シリカは、幅の広い粒子サイズ分布を更に特徴としている。粒子サイズ分布幅の特性評価をするために、以下に詳述されるディスク遠心式の遠心沈降機よって決定されるパラメーターLdが使用される。Ldは以下のように定義される:
Ld=(d84-d16)/d50
ここで、dnは、全測定質量のn%がそれ未満である直径である。Ldは無次元数である。粒子サイズ分布幅Ldは累積粒子サイズ曲線に基づいて計算される。
粒子サイズ分布幅Ldは少なくとも1.2、典型的に少なくとも1.3、好ましくは少なくとも1.4である。粒子サイズ分布幅Ldは4.0以下、典型的に3.5以下である。
有利には、本発明のシリカの粒子サイズ分布幅Ldは1.2~3.5の範囲、更に1.3~3.2の範囲である。本発明のシリカの粒子サイズ分布幅Ldは1.3~3.0、好ましくは1.4~3.0、より好ましくは1.5~2.8の範囲とすることができる。
本発明の沈降シリカは、4500ppm未満、典型的には4000ppm未満のアルミニウムを含む。アルミニウムの量は、シリカの重量に対するアルミニウム金属の重量による量として定義される。本発明のシリカ中のアルミニウムの含有量は、通常3800ppmを超えず、好ましくは3500ppmを超えない。アルミニウムの含有量は100ppmほどまで低くてもよい。
本発明の沈降シリカは典型的に、比V(d5-d50)/V(d5-d100)を用いて定義される大きな細孔容積分布を特徴とし、ここで、V(d5-d50)はd5~d50の間の直径の細孔によって形成される細孔容積を表し、V(d5-d100)はd5~d100の間の直径の細孔によって形成される細孔容積を表し、dnはここで、全ての細孔の全表面積のn%がその直径より大きい直径の細孔によって形成される細孔直径である。
本発明のシリカは典型的に、0.60以上、好ましくは0.65以上、更に好ましくは0.70以上の比V(d5-d50)/V(d5-d100)を有する。比V(d5-d50)/V(d5-d100)は典型的に、1.20を超えない。
本発明のシリカのBET表面積SBETは特に限定されない。BET表面積SBETは、通常少なくとも160m/g、少なくとも170m/gである。BET表面積SBETは、400m/gほどに、更には450m/gほどに大きくてもよい。
本発明の沈降シリカは、典型的には、少なくとも30m/gの差(SBET-SCTAB)によって特徴付けられる。差の値(SBET-SCTAB)は制限されない。通常、差(SBET-SCTAB)は100m/g未満である。
本発明のシリカは、少なくとも4.0、更には少なくとも4.5NSiOH/nm2の、1nmあたりのシラノールSiOHの数、NSiOH/nm2によって特徴付けられる。
本発明の第2の目的は、第1の目的の沈降シリカを調製するための方法であり、前記方法は、
(i)pH2.0~5.0を有する出発溶液を提供する工程と、
(ii)反応媒体のpHが2.0~5.0の範囲に維持されるようにケイ酸塩と酸とを前記出発溶液に同時に添加する工程と、
(iii)酸及びケイ酸塩の添加を停止し、塩基を前記反応媒体に添加して反応媒体のpHを7.0~10.0の値に上げる工程と、
(iv)反応媒体のpHが7.0~10.0の範囲に維持されるように、ケイ酸塩と酸とを反応媒体に同時に添加する工程と、
(v)反応媒体への酸の添加を継続しながら、ケイ酸塩の添加を停止して反応媒体のpHを5.5未満に到達させて、沈降シリカの懸濁液を得る工程と、
を含み、工程(ii)の間に反応媒体に添加されるケイ酸塩の量は、反応に必要なケイ酸塩の総量の55重量%を超える。
所与の最終量のシリカを得るためのケイ酸塩の総量は、一般共通の知識に従いプロセスの最初に当業者によって決定され得る。
用語「塩基」は、本明細書において使用されて本発明のプロセスの過程で添加され得る1つ又は2つ以上の塩基を意味し、それは、以下に定義されケイ酸塩からなる群を包含する。任意の塩基がプロセス中で使用されることができる。ケイ酸塩の添加において、適した塩基の注目すべき非限定的な例は、例えばアルカリ金属水酸化物及びアンモニアである。
用語「ケイ酸塩」は、本発明のプロセスの過程で添加され得る1種以上のケイ酸塩を指すために本明細書で使用される。ケイ酸塩は典型的に、アルカリ金属ケイ酸塩からなる群から選択される。ケイ酸塩は、有利にはケイ酸ナトリウム及びケイ酸カリウムからなる群から選択される。ケイ酸塩は、メタケイ酸塩又は二ケイ酸塩などの任意の公知の形態であり得る。
ケイ酸ナトリウムが使用される場合、後者は、一般的に、2.0~4.0、特に2.4~3.9、例えば3.1~3.8のSiO/NaO重量比を有する。
ケイ酸塩は、3.9重量%~25.0重量%、例えば5.6重量%~23.0重量%、具体的には5.6重量%~20.7重量%の濃度(SiOに関して表される)を有し得る。
用語「酸」は、本発明のプロセスの過程で添加され得る1つ又は2つ以上の酸を指すために本明細書で使用される。任意の酸がプロセス中で使用されることができる。一般的に、硫酸、硝酸、リン酸又は塩酸などの鉱酸、或いはカルボン酸、例えば酢酸、ギ酸、又は炭酸などの有機酸が使用される。
酸は希釈又は濃縮形態で反応媒体に計量投入され得る。プロセスの異なる段階で、異なる濃度の同じ酸を用いることができる。好ましくは、この酸は硫酸である。
プロセスの好ましい実施形態では、プロセスの全ての段階で硫酸及びケイ酸ナトリウムが用いられる。好ましくは、SiOとして表される同じ濃度を有するケイ酸ナトリウムである、同じケイ酸ナトリウムがプロセスの段階の全てにおいて使用される。
プロセスの工程(i)では、2.0~5.0のpHを有する出発溶液が反応槽内に提供される。出発溶液は水溶液であり、用語「水性」は、溶媒が水であることを示す。
好ましくは、出発溶液は2.5~5.0、特に2.8~4.4、例えば、3.0~4.0のpHを有する。
出発溶液は、上記のpH値を得るように、酸を水に添加することによって得ることができる。
或いは、出発溶液はケイ酸塩を含有している場合がある。このような場合、それは、酸を水とケイ酸塩との混合物に添加して2.0~5.0のpHを得ることにより得ることができる。
工程(i)の出発溶液は、電解質を含んでも又は含まなくてもよい。好ましくは、工程(i)の出発溶液は電解質を含有する。
用語「電解質」は、その一般的に認められている意味にて本明細書で使用され、即ち溶液中にある場合、分解又は解離してイオン又は荷電粒子を形成する任意のイオン性又は分子性物質を特定する。用語「電解質」は、本明細書において使用されて、1つ又は2つ以上の電解質が存在し得ることを示す。アルカリ金属及びアルカリ土類金属の塩などの電解質を挙げることができる。有利には、出発溶液で使用する電解質は、プロセスで使用される出発ケイ酸塩の金属と酸の塩である。注目すべき例は、例えば、ケイ酸ナトリウムと塩酸との反応の場合の塩化ナトリウム又は好ましくは、ケイ酸ナトリウムと硫酸との反応の場合の硫酸ナトリウムである。電解質はアルミニウムを含有しない。
好ましくは、電解質として硫酸ナトリウムが工程(i)で使用される場合、出発溶液中のその濃度は、8~40g/L、特に10~35g/L、例えば、10~30g/Lである。
プロセスの工程(ii)は、出発溶液への酸及びケイ酸塩の同時添加を含む。工程(ii)中に酸及びケイ酸塩を添加する速度は、反応媒体のpHが2.0~5.0の範囲に維持されるように制御される。反応媒体のpHは好ましくは、2.5~5.0、特に2.8~5.0、例えば2.8~4.5の範囲に維持される。
本発明の方法は、工程(ii)の間に添加されるケイ酸塩の量が、反応に必要なケイ酸塩の総量の少なくとも55%、好ましくは少なくとも65%であるという事実によって特徴付けられる。
理論に拘束されるものではないが、工程(ii)中にケイ酸塩の必要な総量の少なくとも55%を反応混合物に添加することは、シリカ凝集体のメジアン粒子サイズd50を増加させる効果を有すると考えられる。
好ましくは、工程(ii)は、上に詳述したように酸及びケイ酸塩の同時添加からなる。
本発明のプロセスの一実施形態において、中間工程(ii’)は工程(i)と工程(ii)との間に実施され得、ここで、反応媒体のpHが2.0~9.5の範囲に維持されるようにケイ酸塩と酸とを出発溶液に添加する。ケイ酸塩と酸の添加は、工程(ii’)の全てについて又は一部だけ同時であり得る。工程(ii’)は典型的に、工程(ii)が開始される前に1~10分間、好ましくは2~8分間延長される。
次に、工程(iii)において、酸及びケイ酸塩の添加が停止され、塩基が反応媒体に添加される。反応媒体のpHが7.0~10.0、好ましくは7.5~9.5の値に達したときに塩基の添加が停止される。
プロセスの第1の実施形態において塩基はケイ酸塩である。このように、工程(iii)において、7.0~10.0、好ましくは7.5~9.5のpHが達せられるまで、反応媒体へのケイ酸塩の添加が継続されながら酸の添加が停止される。
プロセスの第2の実施形態において塩基はケイ酸塩とは異なっており、それは、アルカリ金属水酸化物、好ましくはナトリウム又はカリウム水酸化物からなる群から選択される。ケイ酸ナトリウムがプロセスにおいて使用されるとき、好ましい塩基は水酸化ナトリウムであり得る。
このように、プロセスのこの第2の実施形態において、工程(iii)において、7.0~10.0、好ましくは7.5~9.5のpHが達せられるまで、酸及びケイ酸塩の添加が停止され、ケイ酸塩とは異なっている塩基が反応媒体に添加される。
塩基の添加を停止した後にある、工程(iii)の終了時に、反応媒体の熟成工程を実施することが有利であり得る。この工程は、工程(iii)の終了時に得られたpHで実施することが好ましい。熟成工程は、反応媒体を攪拌しながら実施してもよい。熟成工程は、反応媒体を攪拌しながら、2~45分、具体的には5~25分の時間にわたって実施することが好ましい。熟成工程は、いかなる酸又はケイ酸塩の添加も含まないことが好ましい。
工程(iii)及び任意選択の熟成工程後に、反応媒体のpHが7.0~10.0、好ましくは7.5~9.5の範囲に維持されるように、酸及びケイ酸塩の同時添加が実施される。
酸及びケイ酸塩の同時添加(工程(iv))は典型的に、反応媒体のpH値が前工程、工程(iii)の終了時に到達したpHと等しく維持されるように(±0.2pH単位以内まで)実施される。
本発明のプロセスは、更なる工程を含み得ることに留意されたい。例えば、工程(iii)と工程(iv)との間に、特に、工程(iii)の後の任意選択の熟成工程と工程(iv)との間に、酸を反応媒体に添加することができる。酸のこの添加後の反応媒体のpHは、7.0~9.5、好ましくは7.5~9.5の範囲のままであるのがよい。
工程(v)において、反応媒体において5.5未満、好ましくは3.0~5.5、特に3.0~5.0のpH値を得るために反応媒体への酸の添加を継続しながらケイ酸塩の添加が停止される。反応槽中に沈降シリカの懸濁液が得られる。
工程(v)の終了時、したがって反応媒体への酸の添加を停止した後に、有利に熟成工程を実施することができる。この熟成工程は、工程(v)の終了時に得られた同じpHで及びプロセスの工程(iii)及び(iv)の間に任意選択的に実施され得る熟成工程について上に記載された条件と同じ時間条件下で実施され得る。
反応に必要なケイ酸塩の総量には、出発溶液(工程(i))中に存在し得るケイ酸塩、工程(ii)、工程(ii’)、並びに存在する場合には工程(iv)及び工程(iii)(この工程でpHを上げるために使用される塩基がケイ酸塩である場合)の間に反応媒体に添加されるケイ酸塩が含まれる。
ケイ酸塩と酸の反応全体が実施される反応槽は、通常、適切な攪拌装置及び加熱装置を備えている。
ケイ酸塩と酸との全反応(工程(i)~(v))は一般的に、40~97℃、特に60~95℃、好ましくは80~95℃、より好ましくは85~95℃の温度で実施される。
本発明の一変形形態によれば、ケイ酸塩と酸との全体反応は、通常は40~97℃、具体的には80~95℃、更に85~95℃の定温で実施される。
本発明の別の変形によれば、反応の終了時の温度は、反応の開始時の温度よりも高く:したがって、反応の開始時(例えば工程(i)から工程(iii)の間)の温度は、好ましくは40~85℃に維持され、次いで、温度は、好ましくは80~95℃、更には85~95℃の範囲の値まで上げられ、その値でそれは反応の終わりまで維持される(例えば工程(iv)及び工程(v)の間)。
直前で説明した工程の終了時に沈降シリカの懸濁液が得られ、これは続いて分離される(液体/固体分離)。プロセスは典型的に、懸濁液を濾過し、沈降シリカを乾燥させる更なる工程(vi)を含む。
本発明による調製方法で行われる分離は通常、濾過、必要ならば、これに続く洗浄を含む。この濾過は、任意の好適な方法に従い、例えばベルトフィルター、回転フィルター(例えば真空フィルター)、又は好ましくはフィルタープレスによって実施される。
次に、濾過ケークは液化操作に供され、その間に鉱酸が濾過ケークに添加される。酸は、硫酸、塩酸、リン酸、硝酸からなる群から選択される。酸は好ましくは硫酸である。液化工程の間に濾過ケークに添加される鉱酸の量は、最終生成物である沈降シリカのpHが5.5未満、好ましくは4.5未満であるような量である。pHは更に3.5未満であり得るが、それは一般的に3.0以上である。
用語「液化」は、本明細書では、固体、即ち、濾過ケークが流体様の塊に転化するプロセスを示すことが意図される。液化工程後、濾過ケークは流動性を有する流体様形態であり、沈降シリカは懸濁状態である。
液化工程は、懸濁状態のシリカの粒子サイズ分布の低下をもたらす機械的処理を含み得る。前述の機械的処理は、濾過ケークを、高剪断ミキサー、コロイドタイプミル、又はボールミルに通すことによって実施され得る。
液化工程中に、最終生成物である沈降シリカのpHが8.0未満、好ましくは7.0未満であり、且つ沈降シリカ中のアルミニウムの総量が4500ppmを超えないことを条件として、アルミニウム化合物を濾過ケークに添加することができる。
液化工程後に得られる沈降シリカの懸濁液は、その後、乾燥されるのが好ましい。
乾燥は当該技術分野で既知の手法に従って実施され得る。好ましくは、乾燥は、噴霧によって行われる。この目的のために、任意の種類の適切な噴霧器、特にタービン、ノズル、液体圧力又は二流体噴霧器を使用できる。一般的に、濾過がフィルタープレスを使用して行われる場合、ノズル式噴霧器が使用され、濾過が真空フィルターを使用して行われる場合、タービン式噴霧器が使用される。
乾燥操作がノズル式噴霧器を使用して行われる場合、得ることができる沈降シリカは、通常、実質的に球形のビーズの形態である。この乾燥操作後、任意選択で、回収された生成物に対して粉砕又は微粉化の工程を行うことが可能であり、得ることができる沈降シリカは、一般的に粉末の形態である。
乾燥操作がタービン式噴霧器を用いて行われる場合、得ることができる沈降シリカは、粉末の形態であり得る。
最後に、前述で示されたように乾燥、粉砕又は微粉化された生成物は、集塊化工程に任意選択でかけられ、これは、例えば、直接圧縮、湿式造粒(即ち水、シリカ懸濁液などの結合剤の使用による)、押出し又は好ましくは乾式圧密からなる。
この集塊化工程によって得ることができる沈降シリカは、一般的に顆粒の形態である。
本発明によるか、又は本発明により上に記載された方法によって得る沈降シリカは、多くの用途に使用することができる。
本発明の沈降シリカを例えば、触媒支持体として使用することができる。それは、ビタミン(ビタミンE)又は塩化コリンなど、特に食品において使用される、液体など、活性材料のための吸収剤として使用され得る。それは、粘性化剤、食感改良剤又は固化防止剤として、電池セパレーター構成部品として、又は練り歯磨き、コンクリート、又は紙のための添加剤として使用され得る。
しかしながら、本発明の沈降シリカは、天然又は合成ポリマー及びそのポリマーブレンドの強化に特に有利な用途を見出す。
本発明のシリカを含有するエラストマー組成物は、特に、先行技術の沈降シリカを含有する組成物に対して高レベルのタイヤのハンドリング及び摩耗性能を維持しながら、大幅に転がり抵抗及びウェットグリップ性能を改善することを含む、タイヤトレッド組成物における優れた可能性を有することが見出された。
したがって、本発明の更なる目的は、上に定義された本発明のシリカと少なくとも1つのポリマーとを含む組成物である。組成物中のポリマーに言及する時、「少なくとも1種」という句は、各タイプの1種又は2種以上のポリマーが組成物中に存在することができることを示すために本明細書において用いられる。
「コポリマー」及び「ターポリマー」という表現は、本明細書では、異なる性質のそれぞれ2種及び3種のモノマー単位に由来する繰り返し単位を含むポリマーを指すために使用される。
少なくとも1種のポリマーは、熱硬化性ポリマー及び熱可塑性ポリマーから選択することができる。熱硬化性ポリマーの注目すべき非限定的な例としては、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシアクリレート樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、フェノキシ樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、マレイミド樹脂及びシアネート樹脂などの熱硬化性樹脂が挙げられる。
適切な熱可塑性ポリマーの注目すべき非限定的な例としては、ポリスチレン、(メタ)アクリル酸エステル/スチレンコポリマー、アクリロニトリル/スチレンコポリマー、スチレン/無水マレイン酸コポリマー、ABSなどのスチレン系ポリマー、ポリメチルメタクリレートなどのアクリルポリマー、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート及びポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、ポリアリールエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、熱可塑性ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリ-4-メチルペンテン、エチレン/プロピレンコポリマー、エチレン/α-オレフィンコポリマーなどのポリオレフィン、α-オレフィンと各種モノマーとのコポリマー、例えばエチレン/酢酸ビニルコポリマー、エチレン/(メタ)アクリル酸エステルコポリマー、エチレン/無水マレイン酸コポリマー、エチレン/アクリル酸コポリマー、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン及び脂肪族グリコール/脂肪族ジカルボン酸コポリマーなどの脂肪族ポリエステルが挙げられる。
本発明のシリカは、エラストマー組成物の補強充填剤として有利に用いられ得る。したがって、本発明の好ましい目的は、本発明のシリカと、好ましくは-150℃~+300℃、例えば-150℃~+20℃の少なくとも1つのガラス転移温度を示す1つ以上のエラストマーとを含む組成物である。
好適なエラストマーの注目すべき非限定的な例はジエンエラストマーである。例えば、特に、エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン、スチレン、アクリロニトリル、イソブチレン又は酢酸ビニル、ポリブチルアクリレート或いはこれらの混合物などの少なくとも1つの不飽和を含む脂肪族又は芳香族モノマー由来のエラストマーを使用することができる。また、高分子鎖に沿って及び/又はその1つ以上の末端に位置する化学基によって(例えば、シリカの表面と化学的に反応できる又はできない官能基によって)官能化されたエラストマーである官能化エラストマー及びハロゲン化ポリマーを挙げることができる。ポリアミド、エチレンホモ及びコポリマー、プロピレンホモ及びコポリマーを挙げることができる。
ジエンエラストマーの中では、例えば、ポリブタジエン(BR)、ポリイソプレン(IR)、ブタジエンコポリマー、イソプレンコポリマー、又はこれらの混合物、特にスチレン/ブタジエンコポリマー(SBR、特にESBR(エマルジョン)又はSSBR(溶液))、イソプレン/ブタジエンコポリマー(BIR)、イソプレン/スチレンコポリマー(SIR)、イソプレン/ブタジエン/スチレンコポリマー(SBIR)、エチレン/プロピレン/ジエンターポリマー(EPDM)、アクリロニトリル系コポリマー又はターポリマー、及び更に関連する官能化ポリマー(例えば、シリカと相互作用することができる、ペンダント極性基又は鎖末端における極性基を示す)を挙げることができる。
また、天然ゴム(NR)及びエポキシ化天然ゴム(ENR)を挙げることもできる。
ポリマー組成物は、硫黄で加硫されることができる、或いは特に過酸化物又は他の架橋系(例えば、ジアミン又はフェノール樹脂)で架橋されることができる。
一般的に、ポリマー組成物は、少なくとも1つのカップリング剤及び/又は少なくとも1つの被覆剤を更に含み、これらは更に、とりわけ、酸化防止剤を含み得る。
カップリング剤として、非限定的な例として、「対称」若しくは「非対称」シランポリスルフィドが特に使用されてもよく;より具体的には、ビス((C~C)アルコキシル(C~C)アルキルシリル(C~C)アルキル)ポリスルフィド(特にジスルフィド、トリスルフィド若しくはテトラスルフィド)、例えば、ビス(3-(トリメトキシシリル)プロピル)ポリスルフィド若しくはビス(3-(トリエトキシシリル)プロピル)ポリスルフィドなど、例えばトリエトキシシリルプロピルテトラスルフィドなどが言及されてもよい。また、モノエトキシジメチルシリルプロピルテトラスルフィドを挙げることができる。また、マスクされた又は遊離のチオール官能基を含むシランを挙げることができる。
カップリング剤は、ポリマーに予めグラフトすることができる。それはまた、遊離状態で使用されるか又はシリカの表面にグラフトされ得る。カップリング剤は、適切な「カップリング活性化剤」、即ち、このカップリング剤と混合されて後者の有効性を増加させる化合物と任意選択的に組み合わせることができる。
ポリマー組成物中の本発明のシリカの重量比率は、かなり広い範囲で変わることができる。それは通常、10重量%~200重量%、特に20重量%~150重量%、特に20重量%~80重量%、例えば30重量%~70重量%に相当する。或いはポリマー組成物中の本発明のシリカの重量比率は、ポリマーの量の40重量%~120重量%、例えば60重量%~110重量%であり得る。
本発明のシリカは、有利には、強化無機充填剤の全て及び更にはポリマー組成物の補強充填剤の全てをも構成し得る。
本発明によるシリカは、少なくとも1つの他の補強充填剤、例えば、特に、商用高分散性シリカ、例えば、Zeosil(登録商標)1165MP、Zeosil(登録商標)1115MP又はZeosil(登録商標)1085MP(Solvayから市販されている)などや、別の無機補強充填剤、例えば、アルミナ、実際は更に有機補強充填剤、特にカーボンブラック(例えばシリカの無機層で任意選択的に被覆される)などと任意選択的に組み合わせられ得る。本発明によるシリカはそのとき、好ましくは、補強充填剤の全量の、少なくとも50重量%、実に更には少なくとも80重量%を構成する。
本発明の沈降シリカを含む組成物は、多くの物品の製造のために使用されることができる。本発明のシリカ又は上記のポリマー組成物を含む物品の非限定的な例は、例えば、靴底、床材、ガスバリア、難燃性材料、並びにまたエンジニアリング部品、例えば、ケーブルウェイ用ローラー、家庭用電化製品用シール、液体又はガスパイプ用シール、ブレーキシステムシール、パイプ、被覆、特にケーブル被覆、ケーブル、エンジンサポート、バッテリーセパレーター、コンベヤーベルト、トランスミッションベルト、或いは、ダンパーなどである。有利には、本発明のシリカは、特に、軽車両又は重荷重車両のための、タイヤ、特にタイヤトレッドの製造において使用され得る。
参照により本明細書中に組み込まれる任意の特許、特許出願及び刊行物の開示が、それが用語を不明確とし得る程度まで本出願の記載と対立する場合、本記載が優先するものとする。
本発明をこれから以下の実施例を参照してより詳細に説明するが、その目的は例示にすぎず、本発明の範囲を限定するものではない。
分析方法
本発明の沈降シリカの物理化学的特性を、以下に記載する方法を用いて決定した。
CTAB表面積の測定
CTAB表面積(SCTAB)値を標準NF ISO 5794-1附属書Gから得られる内部仕様に従って求めた。
BET表面積の測定
BET表面積SBETは、標準NF ISO 5794-1、付録E(2010年6月)に詳述されているブルナウアー-エメット-テラー法に従って決定し、以下の調整を行った:試料は、200℃±10℃で事前乾燥され、測定に使用された分圧P/Pは0.05~0.3であった。
分離板形遠心沈降機(CPS)での遠心沈降による粒子サイズ分布及び粒子サイズの測定
CPS Instruments companyによって市販されている、遠心光沈降速度計型「CPSDC24000UHR」を使用する分離板形遠心沈降機での遠心沈降によってd50、d16、d84及びLdの値を測定した。この計測器は、デバイスによって供給されるオペレーティング・ソフトウェア(オペレーティング・ソフトウェアバージョン11g)を備えている。
使用計測器:測定要件のために、以下の材料及び製品を使用した:超音波装置:19mmプローブを備えた1500W発電機型Sonics Vibracell VC1500/VCX1500(コンバーター:CV154+ブースター(品番:BHNVC21)+19mmプローブ(品番:630-0208))。
0.1mgの精度の化学天秤(例えばMettlerAE260);シリンジ:1.0ml及び2.0ml、20gaの針;50mLの背の高い形状のガラスビーカー(SCHOTT DURAN:直径38mm、高さ78mm);2cmの撹拌子を備えたマグネチックスターラー;超音波処理中の氷浴用の容器。
化学物質:脱イオン水;エタノール96%;スクロース99%;ドデカン、全てMerck製;CPS Instrument Inc.製のPVC参照標準;使用される参照標準のピーク最大値は200~600nmの間(例えば237nm)であるべきである。
分離板形遠心沈降機の準備
測定のために、以下のパラメーターを設定した。較正標準パラメーターのために、供給元によって知らされるPVC標準の情報を用いた。
Figure 2022505630000001
装置構成
測定波長を405nmに設定した。以下のランタイムオプションパラメーターを設定した。
Figure 2022505630000002
ソフトウェアの全ての他のオプションを計測器の製造元によって設定されたままにした。
分離板形遠心沈降機の準備
遠心ディスクを24000rpmで30分間回転させる。ショ糖の密度勾配(CASn°57-50-1)は次のように調製する。
50mLビーカー内に、スクロースの24重量%水溶液を調製する。50mLビーカー内に、スクロースの8重量%水溶液を調製する。これらの2つの溶液が別々に均質化されると、2mLシリンジを使用して試料をそれぞれの溶液から取り、それを以下の順に回転ディスク内に注入する。
試料1:1.8mLの24重量%溶液
試料2:1.6mLの24重量%溶液+0.2mLの8重量%溶液
試料3:1.4mLの24重量%溶液+0.4mLの8重量%溶液
試料4:1.2mLの24重量%溶液+0.6mLの8重量%溶液
試料5:1.0mLの24重量%溶液+0.8mLの8重量%溶液
試料6:0.8mLの24重量%溶液+1.0mLの8重量%溶液
試料7:0.6mLの24重量%溶液+1.2mLの8重量%溶液
試料8:0.4mLの24重量%溶液+1.4mLの8重量%溶液
試料9:0.2mLの24重量%溶液+1.6mLの8重量%溶液
試料10:1.8mLの8重量%溶液
ディスクにそれぞれ注入する前に、約0.2mLの空気を補給し、その後に、一切の液体を失わないようにして、数秒間の短い手作業の撹拌を行うことによって2つの溶液をシリンジ内で均質化する。
これらの注入は、その全容積が18mLであり、測定される試料の注入中に現れる場合がある特定の不安定性を除くために有用である密度勾配を作ることを目指す。密度勾配を蒸発から守るために、2mLシリンジを使用して回転ディスク内に1mLのドデカンを添加する。次に、ディスクを任意の最初の測定前に60分間24000rpmで回転させておく。
試料の調製
50mLの背の高い形状のガラスビーカー(SCHOTT DURAN:直径38mm、高さ78mm)内に3.2gのシリカを秤量し、40mLの脱イオン水を添加して、シリカの8重量%懸濁液を得た。ビーカーを氷及び冷水で満たされた結晶皿内に置く前に、懸濁液を電磁攪拌機で撹拌した(最低20秒)。電磁攪拌機を除去し、結晶皿を、ビーカーの底部から1cmに置いた超音波プローブ下に置いた。超音波プローブをその最大振幅の56%に設定し、8分間活性化した。超音波処理の終了時に、試料抽出後まで最低500rpmで撹拌する2cm磁気攪拌棒を有する電磁攪拌機上にビーカーを再び置いた。
超音波プローブは適切な作動条件におく必要がある。以下の検査を行う必要があり、否定的な結果の場合は、新しいプローブを使用する必要がある:プローブの端部の物理的完全性の目視検査(精密なキャリパーで測定した2mm未満の粗さの深さ):市販のシリカZeosil(登録商標)1165MPの測定されたd50は93nm±3nmである必要がある。
分析
それぞれの試料を分析する前に、較正標準を記録した。それぞれの場合、CPS計測器によって提供され、その特性が前もってソフトウェアに入れられるPVC標準0.1mLを注入した。PVC標準のこの最初の注入と同時にソフトウェアで測定を開始することが重要である。注入時に測定を同時に開始することを確実にすることによって、予め超音波処理された試料100μLを注入する前に装置の確認を受けなければならない。
これらの注入は1mLの2つの清浄なシリンジで実施された。
(ソフトウェア中で0.02μmに構成される)比較的小さい直径の全ての粒子を沈降させるために必要な時間の終わりに達せられる、測定の終了時に、それぞれの直径クラスの比が得られた。得られた曲線は凝集体サイズ分布と呼ばれる。
結果:値d50、d16、d84及びLdは、直尺で描かれる分布を基準としている。直径の粒子サイズ分布関数の積分は、「累積」分布、すなわち最小直径と目的の直径との間の粒子の全質量を得ることを可能にする。
d50:母集団の質量で50%がそれ未満及びそれを超える直径である。d50は、シリカ凝集体のメジアンサイズ、すなわち直径と呼ばれる。
d84:それ未満で凝集体の全質量の84%が測定される直径である。
d16:それ未満で凝集体の全質量の16%が測定される直径である。
Ld:等式:Ld=(d84-d16)/d50
に従って計算される。
水銀ポロシメトリーによる細孔の細孔容積及びサイズの測定
細孔容積及び細孔径分布は、Micromeritics AutoPore(登録商標)IV9520ポロシメーターを用いて決定された;それらは、140°に等しい接触角シータ及び485ダイン/cmに等しい表面張力ガンマとのWashburn関係によって計算された。大気圧で2時間の間200℃の炉内で測定する前にそれぞれの試料を乾燥させた。「使用されるステム容積」、すなわちペネトロメーターの充填のために消費される水銀(Hg)容積のパーセンテージが40%~80%であるように、0.001gの精度のタイプ10ペネトロメーター内に置かれるシリカの出発重量を測定の良い再現性のために選択した。次に、ペネトロメーターは50μmのHgまでゆっくりと脱気され、5分間この圧力に維持された。
AutoPore(登録商標)装置は、ソフトウェア・バージョンIV1.09を使用して運転された。生データに修正は加えなかった。測定範囲は3.59kPa(0.52psi)~413685kPa(60000psi)であり、少なくとも100の測定ポイントを使用した(3.59kPa(0.52psi)~193kPa(28psi)の19の測定ポイント並びに10秒の平衡時間、次いで、1.93kPa(0.28psi)~413685kPa(60000psi)の81ポイント並びに20秒の平衡時間)。適切ならば、漸増圧入容積が>0.5mL/gである場合ソフトウェアは更なる測定ポイントを導入した。圧入曲線は、装置のソフトウェアの「滑らかな微分」関数によって滑らかにされた。
細孔径データに対して対数微分圧入(Log Differential Intrusion)(mL/g)は、3.5nm~5μmの細孔直径範囲で分析された。
アルミニウムの含有量の測定
アルミニウムの量は、XRF波長分散型蛍光X線分光法を用いて(WDXRF Panalytical分析装置を用いて)測定された。サンプル分析は、薄いProleneフィルム(4μm Chemplex(登録商標))で覆われたセルに含まれるシリカ粉末を使用して、直径4cmのセルの中でヘリウム下で行った。Al及びSi蛍光は以下のパラメーターを用いて測定された:Al Kα角度2θ=144,9468°(20s)、バックグラウンド信号角度2θ=-1,2030°(4s)、Si Kα角度2θ=109,1152°(10s)、チューブ電力4kW(32kV、125mA)、PE002結晶及び550μmコリメーター、ガスフラックス検出器。
シラノールの数/nmの測定
シラノールの数/nm表面積は、メタノールをシリカの表面上にグラフトすることによって測定される。最初に、1グラムのシリカを、撹拌されるオートクレーブ内で、10mLのメタノール中に懸濁させた。ハーメチック封止され且つ熱絶縁されたオートクレーブを4時間の間200℃に加熱した(40バール)。次に、オートクレーブを冷水槽内で冷却した。グラフト化シリカを沈降によって回収し、残留メタノールを窒素ストリーム中で蒸発させた。グラフト化シリカを12時間の間130℃で真空乾燥させた。炭素含有量は元素分析によって定量された。シラノールの数/nmは以下の式を用いて計算される:
SiOH/nm2=[(%Cg-%Cr)×6.023×1023]/[SBET×1018×12×100]
(式中、%Cgはグラフト化シリカ上に存在する炭素の質量パーセントであり、%Crは原料シリカ上に存在する炭素のパーセント質量である)。
実施例1
928リットルの工業用水を2500リットル反応器内に入れ、90℃に加熱した。撹拌しながら14.7kgの固体硫酸ナトリウムを反応器の中に入れ、次いで硫酸(濃度:96重量%)をpHが4.2の値に到達するまで添加した。
ケイ酸ナトリウム溶液(SiO/NaOの重量比:3.43、密度:1.230kg/L)を、352L/hの流量で、50分かけて、硫酸(濃度:7.7重量%)と同時に反応器の中に入れた。反応媒体のpHを4.2の値に維持するように酸の流量を調整した。反応媒体に添加されたケイ酸塩の量は、総量の79%であった。
50分後、酸の導入を停止し、ケイ酸塩の添加を継続して8.0のpH値に到達させた。その間に温度は94℃に上昇した。その後、577L/hのケイ酸ナトリウムの流量(最初の同時添加と同じケイ酸ナトリウム)で、反応媒体のpHを8.0の値に維持するように調整された硫酸の流量(濃度:7.7重量%)で、7分間にわたって更に同時添加を行った。
この同時添加の後、硫酸(濃度:7.7重量%)を入れることにより反応媒体のpHを4.8の値にして沈降シリカの懸濁液を得た。懸濁液を濾過し、フィルタープレスで洗浄して、20.7重量%の固形分の沈降シリカケークを得た。その後、得られたシリカケークを、1360グラムの硫酸溶液(濃度:7.7重量%)を添加して連続的に激しく撹拌されている反応器の中での液化工程に供した。得られたスラリーをノズル式噴霧乾燥器によって乾燥させ、沈降シリカS1を得た。沈降シリカS1の特性を表1に報告する。
実施例2
927リットルの工業用水を2500リットルの反応器に入れ、90℃まで加熱した。14.7kgの固体硫酸ナトリウムを撹拌しながら反応器に導入し、続いてpHが4.1の値に達するまで硫酸(濃度:96重量%)を添加した。
ケイ酸ナトリウム溶液(SiO/NaO重量比:3.43、密度:1.230kg/L)を、352L/hの流量で、50分かけて、硫酸(濃度:7.7重量%)と同時に反応器の中に入れた。反応媒体のpHを4.1の値に維持するように酸の流量を調整した。反応媒体に添加されたケイ酸塩の量は、総量の78%であった。
50分後、酸の導入を停止し、8.0のpH値に到達するまでケイ酸塩の添加を継続した。その間に温度は94℃に上昇した。その後、577L/hのケイ酸ナトリウムの流量(最初の同時添加と同じケイ酸ナトリウム)で、及び反応媒体のpHを8.0の値に維持するように調整された硫酸の流量(濃度:7.7重量%)で、7分間にわたって更に同時添加を行った。
この2回目の同時添加の後、硫酸(濃度:7.7重量%)を入れることにより反応媒体のpHを4.7の値にして沈降シリカの懸濁液を得た。懸濁液を濾過し、フィルタープレスで洗浄して、19.5重量%の固形分の沈降シリカケークを得た。その後、得られたシリカケークを、1751グラムのアルミン酸ナトリウム溶液(Al含有量22.5重量%)をケークに添加して連続的に激しく撹拌されている反応器の中での液化工程に供した。得られたスラリーをノズル式噴霧乾燥器によって乾燥させ、沈降シリカS2を得た。沈降シリカS2の特性を表1に報告する。
比較例1
960リットルの水を2500リットル反応器内に入れ、90℃に加熱した。15kgの固体硫酸ナトリウムを撹拌下で反応器内に入れた。その後、硫酸(濃度:96重量%)を、pHが3.7の値に到達するまで添加した。
ケイ酸ナトリウム溶液(SiO/NaO重量比:3.41、密度:1.231kg/L)を、370L/hの流量で、25分かけて硫酸(濃度:7.7重量%)と同時に反応器の中に入れた。反応媒体のpHを3.7の値に維持するように酸の流量を調整した。反応媒体に添加されたケイ酸塩の量は、反応に必要なケイ酸塩の総量の50%未満であった。
90℃での25分の同時添加の後、酸の導入を停止し、反応媒体のpHを8.0に到達させた。その間に温度は94℃に上昇した。その後、600L/hのケイ酸ナトリウムの流量(最初の同時添加と同じケイ酸ナトリウム)で、反応媒体のpHを8.0の値に維持するように調整された硫酸の流量(濃度:7.7重量%)で、18分間にわたって更に同時添加を行った。
この同時添加の後、硫酸(濃度:7.7重量%)を入れることにより反応媒体のpHを4.5にして沈降シリカの懸濁液を得た。懸濁液を濾過し、フィルタープレスで洗浄して、19.2重量%の固形分の沈降シリカケークを得た。シリカケークを、硫酸(濃度:7.7重量%)とアルミン酸ナトリウム溶液(Al/SiO比:0.30重量%)のケークに同時に添加して、連続的に激しく撹拌されている反応器の中で液化工程に供した。
液化されたケークをその後、ノズルアトマイザーを用いて噴霧乾燥させて、シリカCS1を得た。シリカCS1の特性を表1に示す。
Figure 2022505630000003
実施例3~5-比較例2
対照組成物CE2はシリカCS1を含む。本発明による組成物E3~E5は、シリカS1及びS2を含む。
組成物は、表2に示されている以下のレシピに従って調製した(成分は、エラストマー100部あたりの重量部(phr)で表される)。
Figure 2022505630000004
ゴム組成物の調製:ゴム組成物を調製するためのプロセスを3つの連続的段階において実施した。第1と第2の混合段階(非製造段階、NP1及びNP2)は、高温での熱機械的作業と、それに続く110℃未満の温度での第3の機械的作業段階(生産段階、P3)とから構成される。後者は加硫系の導入を可能する。第1段階と第2段階は、それぞれ0.62と0.60の充填比でBrabenderのインターナルミキサー(正味チャンバー容量:380mL)により行った。ローターの初期温度と速度は、約140~170℃の混合降下温度に達するようにそれぞれの回で固定した。第1の混合段階の継続時間は2~10分であった。混合物を冷却した後(100℃未満の温度)、第2の混合段階が加硫系(硫黄及び促進剤)の導入を可能にした。これを50℃に予熱されたオープン二本ロールミルで実施した。この段階の継続時間は、2~6分であった。次に、最終ゴム組成物を2~3mmの厚さを有するシートにカレンダー加工した。未硬化コンパウンドのレオロジー特性の評価を最初に実施して加工性の指標をモニタした。加硫特性を決定した後、未硬化コンパウンドを最適加硫(t98)において加硫し、機械的及び動的特性を測定した。
未硬化組成物の粘度
NF ISO289標準に従ってMV2000レオメーターを使用してムーニー粘度を100℃で測定した。1分間予熱した後、トルクの値を4分で読み取った(ML(1+4)-100℃)。補完的に、DIN 53529標準に従ってD-MDR3000レオメーターを使用して、100℃の温度及び1Hzの周波数で0.9~50%の歪掃引測定を実施した。これら2つの方法で得られた結果を表3に示す。
Figure 2022505630000005
表3で見られるように、本発明による未硬化の組成物は、同等のCTAB値において、対称のCE2からのシリカCS1に対してより低い(改善された)ペイン効果ΔG’(0.9~50%)及びより低い(改善された)ムーニー粘度ML(1+4)を示す。未硬化の組成物E4は、シリカS2のより大きいCTAB表面積のためわずかに大きいムーニー粘度値を有するものの、未硬化コンパウンドの同等の加工性を反映する同等のペイン効果値ΔG’(0.9~50%)を示す。本発明のシリカを含む未加硫ゴム混合物の加工性は、等しいCTAB表面積を有する先行技術からの大きい表面積のシリカを含む組成物によって示されるものと同等であると結論付けることができる。
硬化した組成物の機械的特性
硬化した組成物のショアA硬度測定(170℃での加硫時間t98)を、ASTMD2240規格に従って行った。値は3秒後に測定した。
一軸引張試験は、INSTRON5564で500mm/分の速度でH2試験体を使用してNF ISO37標準に従って実施された。弾性率M100及びM300(それぞれ100%及び300%の歪で得られた)並びに引張強さはMpa単位で表され、破断点伸びは%単位で表される。300%歪で得られた弾性率と100%歪で得られた弾性率との間の比として定義される強化指数(RI)を計算した。測定された特性を表4にまとめる。
Figure 2022505630000006
表4の結果は、シリカCS1と同じ添加量でのシリカS1及びS2の使用により、組成物CE2よりも低いショアA硬度、高い弾性率M300、及び高い強化指数RIを有するコンパウンドが得られることを示している。
組成物CE2と同じショアA硬度に到達させるためにS1(組成物E5)の添加量を増加させると、本発明のシリカの改善された強化の潜在能力に関して同じ結果が得られた。
硬化組成物の動的特性
動的特性は、ASTM D5992に従って粘度分析計(Metravib DMA+1000)で測定された。
ひずみ掃引条件下での硬化コンパウンドの動的応答
平行六面体の試験体(断面8mm、高さ7mm)は、前進サイクルについて0.1%~50%及び戻りサイクルについて50%~0.1%の範囲の、サイクル往復に従って40℃の温度及び10Hzの周波数で交互二面剪断で正弦波変形に供された。最大誘電損率(tan δmax)、剪断貯蔵弾性率(G’0.1%、G*12%)及びペイン効果(G’0.1%~G’50%)の値は、戻りサイクルの間に記録された。これらの結果を表5に示す。
Figure 2022505630000007
本発明のE3及びE4による組成物は、組成物CE2と比較したtanδ maxのより低い値及びペイン効果(G’0,1%~G’50%)に基づいて、高温(40℃)で劇的に改善されたヒステリシス特性を示す。組成物E5におけるより高いシリカS1の添加量にもかかわらず、tanδ max値は、先行技術の組成物CE2よりも大幅に低く保たれる。これらの指標は、組成物E3~E5が、タイヤのトレッド組成物、特にタイヤのハンドリング(ステアリング)性能を低下させることなく転がり抵抗を改善する優れた可能性を有していることを裏付ける(G*12%)。
温度掃引条件下の硬化コンパウンドの動的応答
加硫ゴム組成物の動的応答は、10Hzの周波数で、1%の交互の二面剪断正弦波変形の下、-45℃から+45℃までの温度掃引(+5℃/分の温度上昇速度)で平行六面体の試験体(断面積8mm2及び高さ7mm)を求めることによって測定される。その後、最大損失係数(tanδ max)が観察される。結果を表6にまとめる。
Figure 2022505630000008
本発明のE3及びE4による組成物は、組成物CE2と比較して十分に最大損失係数(tanδ max)が増加することにより、低温で劇的に改善されたヒステリシス特性を示す。組成物E5におけるより大きいシリカS1の添加量にもかかわらず、tanδ max値は、先行技術の組成物CE2よりも改善されている。
上で記載した特性の調査は、本発明のシリカS1及びS2を含有する組成物が、特に同等レベルのタイヤハンドリングで、並びに摩耗性能及び加工性の挙動の性能を低下させることなしに、転がり抵抗及びウェットグリップを大幅に改善する点で、タイヤトレッド組成物において優れた可能性を有することを実証している。

Claims (14)

  1. - 160m/g以上のCTAB表面積SCTAB
    - 遠心沈降によって測定される
    |d50|>25000/|SCTAB|(I)
    であるメジアン粒子サイズd50
    (式中、
    |d50|は遠心沈降によって測定されるnm単位で表されるメジアン粒子サイズd50の数値を表し、|SCTAB|はm/g単位で表されるCTAB表面積SCTABの数値を表す);及び
    - 4500ppmを超えないアルミニウム含有量;
    によって特徴付けられる沈降シリカ。
  2. 前記CTAB表面積SCTABが180~400m/gの範囲である、請求項1に記載の沈降シリカ。
  3. 遠心沈降によって測定される粒子サイズ分布幅Ldが1.2~3.5である、請求項1又は2に記載の沈降シリカ。
  4. BET表面積SBETが170m/g以上である、請求項1~3のいずれか一項に記載の沈降シリカ。
  5. 前記BET表面積SBETと前記CTAB表面積SCTABとの間の差が少なくとも30m/gである、請求項1~4のいずれか一項に記載の沈降シリカ。
  6. - 200~350m/gのCTAB表面積SCTABと、
    - 遠心沈降によって測定される、1.5~2.8の範囲の凝集体サイズ分布幅Ld;
    - 遠心沈降によって測定される
    |d50|>25000/|SCTAB|(I)
    であるメジアン粒子サイズd50、及び
    - 4500ppmを超えないアルミニウム含有量;
    によって特徴付けられる、請求項1~5のいずれか一項に記載の沈降シリカ。
  7. 前記アルミニウム含有量が3500ppm未満である、請求項1~6のいずれか一項に記載の沈降シリカ。
  8. 200~400m/gの範囲のCTAB表面積SCTABにおいて、前記メジアン粒子サイズd50が60nmよりも大きいことを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の沈降シリカ。
  9. (i)pH2.0~5.0を有する出発溶液を提供する工程と、
    (ii)反応媒体のpHが2.0~5.0の範囲に維持されるようにケイ酸塩と酸とを前記出発溶液に同時に添加する工程と、
    (iii)酸及びケイ酸塩の添加を停止し、塩基を反応媒体に添加して前記反応媒体のpHを7.0~10.0の値に上げる工程と、
    (iv)反応媒体のpHが7.0~10.0の範囲に維持されるように、ケイ酸塩と酸とを反応媒体に同時に添加する工程と、
    (v)反応媒体への酸の添加を継続しながら、ケイ酸塩の添加を停止して反応媒体のpHを5.5未満に到達させて、沈降シリカの懸濁液を得る工程と、
    を含み、工程(ii)の間に反応媒体に添加されるケイ酸塩の量が、反応に必要なケイ酸塩の総量の55%を超える、請求項1~8のいずれか一項に記載の沈降シリカの製造方法。
  10. 工程(iii)において、反応媒体へのケイ酸塩の添加を継続しながら酸の添加を停止して、前記反応媒体のpHを7.00~10.00の範囲の値まで上げる、請求項9に記載の方法。
  11. 請求項1~8のいずれか一項に記載の沈降シリカと、少なくとも1種のポリマーとを含む組成物。
  12. 前記ポリマーがエラストマーであり、好ましくはジエンエラストマーからなる群から選択される、請求項11に記載の組成物。
  13. 請求項1~8のいずれか一項に記載の沈降シリカ又は請求項11に記載の組成物を含む物品。
  14. タイヤ又はタイヤ構成部品の形態の請求項13に記載の物品。
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