JP5480585B2 - 複合体、ゴム組成物及び空気入りタイヤ - Google Patents

複合体、ゴム組成物及び空気入りタイヤ Download PDF

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Description

本発明は、複合体及びその製造方法、並びに該複合体を含むゴム組成物及びそれを用いた空気入りタイヤに関する。
タイヤのグリップ性能を確保するためにスチレンブタジエンゴムが汎用されているが、環境問題や石油資源が有限であるという理由から、エポキシ化天然ゴムの使用が検討されている。また、タイヤの低燃費化のために充填剤としてシリカを配合し、良好な低発熱性を得ることも検討されている。
このため、エポキシ化天然ゴムとシリカの併用が検討されているが、スチレンブタジエンゴムとカーボンブラックを含む配合に比べて耐摩耗性が充分でなく、低転がり抵抗、グリップ性能、耐摩耗性をバランス良く改善することが望まれている。一般に、フィラー(充填剤)が凝集すると、単位体積あたりのフィラー個数が減少するため、フィラーの補強効率が悪化するとともに、凝集塊が破壊の起点になるため、耐摩耗性が悪化する傾向がある。従って、フィラーは細かく分散している状態が望ましく、エポキシ化天然ゴムとシリカを含むゴム組成物でもシリカの分散性を更に向上できれば、種々の性能を改善できると期待される。
シリカを含むゴム組成物の製造には、固形ゴムと乾燥シリカ(粒径20〜60nm程度)をバンバリーミキサー、オープンロール、ニーダーなどで混練する混練法が広く用いられている。しかし、シリカは、表面にシラノール基を有し、親水性を示すため、一般に疎水性を示すゴムとの親和性が低く、更に自己凝集性が強いため、ゴム中に均一に分散させることは容易ではない。特にシリカの粒径が20nm未満になると、シリカ粒子の表面積が大きくなり、更に凝集し易くなる傾向がある。
特許文献1には、エポキシ化天然ゴムと水ガラスを含む配合ラテックスを凝固させて得られ、シリカを均一に分散させたゴム組成物が開示されているが、このゴム組成物は混練法ではシリカが微粒子になりにくく、微粒子シリカを均一に分散することは困難である。特許文献2には、ゴムラテックスに水ガラスから製造される微粒子シリカを液体状態で混合し、複合体を製造する方法が開示されているが、ここでは、実質的に通常の天然ゴムラテックスを用いた製法が開示されているにすぎない。また、通常の天然ゴムラテックスでは、特にシリカの粒子径が20nm以下の場合、微細かつ均一に分散した状態を得ることは困難である。
特開2007−2177号公報 特開2009−51955号公報
本発明は、前記課題を解決し、ゴム成分中においてシリカが微細に分散した複合体、及びその製造方法を提供することを目的とする。また、該複合体を配合することで優れた補強性が発揮され、低発熱性、グリップ性能、耐摩耗性などの性能がバランス良く改善されたゴム組成物、及びそれを用いた空気入りタイヤを提供することを目的とする。
本発明は、極性基含有変性天然ゴムラテックスと、水ガラスから製造される平均粒子径100nm以下の微粒子シリカ分散液とを混合した配合ラテックスから得られる複合体に関する。
上記複合体において、上記極性基含有変性天然ゴムラテックスは、エポキシ化天然ゴムラテックスが好ましい。また、上記微粒子シリカ分散液は、イオン交換樹脂を用いて水ガラス水溶液のpHを9〜11に調整して製造されるものであり、かつ該分散液中のシリカの平均粒子径が15nm以下であることが好ましい。
本発明は、上記極性基含有変性天然ゴムラテックスと、上記水ガラスから製造される平均粒子径100nm以下の微粒子シリカ分散液とを混合して配合ラテックスを調製する工程(I)、及び上記工程(I)で得られた配合ラテックスを凝固させる工程(II)を含む上記複合体の製造方法に関する。
本発明は、上記複合体を含むゴム組成物に関する。
上記ゴム組成物は、更に脂肪酸塩を含むことが好ましい。
本発明はまた、上記ゴム組成物を用いて作製した空気入りタイヤに関する。
本発明によれば、極性基含有変性天然ゴムラテックスと、水ガラスから製造される平均粒子径100nm以下の微粒子シリカ分散液とを混合した配合ラテックスから製造されるので、ゴム成分中にシリカを微細に分散させた複合体を提供できる。そのため、該複合体を用いたゴム組成物及び空気入りタイヤにおいて、優れた補強性が発揮されることから、低発熱性、グリップ性能、耐摩耗性などの性能がバランス良く改善できる。
また、従来の技術では、10nm以下のシリカ微粒子をゴム中に微分散することは困難であったが、本発明では、このようなシリカ微粒子のゴムへの微分散が可能となった。更に、タイヤ業界では石油外資源由来の材料を使用したタイヤが望まれており、天然ゴム系/シリカ複合体は今後、需要が増すことが予想されるところ、本発明では、超微粒子シリカが均一に分散した複合体が得られ、シリカとゴムとの接触面積が大きく、補強性が改善されることが期待される。また、ゴムラテックスと水ガラス由来の微粒子シリカ分散液を製造初期段階で混合することは、従来のゴムとシリカを別々に乾燥させて両成分をゴム練りで混合する工程に比べて、大幅なコストダウンも期待できる。
シリカ粉末をシリカ源とした複合体の写真(比較例7、写真の左部分)、及び水ガラスから調製した微粒子シリカ分散液をシリカ源とした複合体の写真(実施例9、写真の右部分) 図1の実施例9のTEM写真(ミクロドームで試料の切片を切り出した。黒い部分がシリカで白い部分がゴム) 天然ゴムラテックスを用いた複合体のTEM写真(比較例8)
<複合体>
本発明の複合体は、極性基含有変性天然ゴムラテックスと、水ガラスから製造される特定以下の平均粒子径を有する微粒子シリカを含む分散液とを混合した配合ラテックスから得られるものである。つまり、先ず水ガラスから平均粒子径100nm以下の微粒子シリカの分散液を調製した上で、その分散液と極性基含有変性天然ゴムラテックスを液体状態で混合して作製された配合ラテックス(混合液)から製造される。このようにして調製された配合ラテックスを用いているので、極性基含有変性天然ゴム中にシリカが微細に分散した複合体を製造できる。
本発明の複合体は、例えば、極性基含有変性天然ゴムラテックスと、水ガラスから製造される平均粒子径100nm以下の微粒子シリカ分散液とを混合して配合ラテックスを調製する工程(I)、及び上記工程(I)で得られた配合ラテックスを凝固させる工程(II)を含む製法により得られる。
(工程(I))
工程(I)で使用される極性基含有変性天然ゴムラテックスにおいて、極性基としては、例えば、アミノ基、イミノ基、ニトリル基、アンモニウム基、イミド基、アミド基、ヒドラゾ基、アゾ基、ジアゾ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、カルボニル基、エポキシ基、オキシカルボニル基、スルフィド基、ジスルフィド基、スルホニル基、スルフィニル基、チオカルボニル基、含窒素複素環基、含酸素複素環基、アルコキシシリル基などが挙げられる。極性基を有することでシリカとゴムとの相互作用が強くなるため、シリカをゴムマトリックス中に微細に分散できる。これらの極性基は、単独で有していてもよく、2種以上有していてもよい。なかでも、エポキシ基、即ち、エポキシ化天然ゴム(ENR)ラテックスを使用することが好ましい。
ENRラテックスにおいて、ENRは、天然ゴムを、例えば、過酸化水素とギ酸とで処理することにより、又は、過酢酸で処理することにより、製造することができる。この反応により、天然ゴムの分子中に存在する二重結合がエポキシ化される。エポキシ化の構造は、プロトン核磁気共鳴スペクトル(H−NMR)や赤外吸収スペクトル(IR)から明らかにすることができ、また、IRと元素分析の結果から、エポキシ基の含有割合(エポキシ化率)を測定することができる。
ENRのエポキシ化率は、好ましくは1モル%以上、より好ましくは3モル%以上、更に好ましくは5モル%以上である。また、ENRのエポキシ化率は、好ましくは70モル%以下、より好ましくは60モル%以下、更に好ましくは50モル%以下である。1モル%未満であると、水ガラスから生成されるケイ酸成分と相互作用する部位が少なくなって、ゴム組成物に所望の特性を付与できなくなったり、ゴム組成物の機械的強度や動的機械特性を向上させる効果が不十分になるおそれがある。一方、70モル%を超えると、ガラス転移点が高くなりすぎて、低温での耐久性が低下したり、燃費性能が悪化するおそれがある。本発明においては、エポキシ化率が上記範囲にあるENRを2種以上混合して使用してもよい。
工程(I)では、水ガラスから製造される平均粒子径100nm以下の微粒子シリカ分散液が使用される。即ち、シリカは、原料の水ガラスをそのまま用いるのではなく、球状微粒子として成長させて使用される。この成長の際、熟成時間を長めにとり、真球状にすることがより好ましい。真球状になると、シリカ粒子同士の接点が最小限となり、凝集力が小さくなり、分散しやすいシリカになりやすい。
上記微粒子シリカ分散液としては、水ガラス水溶液のpHを9〜11に調整して製造されるものが好ましい。
水ガラスは、通常、下記式で示される組成で表される。
NaO・nSiO・mH
上記係数nは、SiO/NaOの分子比で示される値であって、一般にモル比と呼ばれるJIS K 1408−1966に規定の範囲である。この係数nは、特に限定されないが、好ましくは2.1〜3.3であり、より好ましくは3.1〜3.3である。上記係数nが3.1〜3.3であるときは、水ガラス中のシリカ成分(SiO換算量)が多くなることから、ゴムとの複合化処理の効率が向上する。
なお、一般に、上記係数nが3.1〜3.3である水ガラスは、水ガラス3号として市販されている。本発明に使用可能な水ガラスは、これに限定されるものではなく、例えば、JIS K1408に規定の1〜3号水ガラスや、その他各種のグレード品を使用することができる。
水ガラスの水溶液を作製し、該水溶液のpHを9〜11の範囲に調整することにより、平均粒子径100nm以下の微粒子シリカが分散した微粒子シリカ分散液を調製できる。pHが9未満の場合、ゲル化しやすく、pHが11を超えると微粒子シリカが溶解する傾向にある。より好ましくは、pHは9.5〜10.5の範囲に調整される。pHを9〜11の範囲に調整する手法は特に限定されず、酸又はアルカリの添加、イオン交換樹脂の使用など、従来公知の方法で実施できるが、なかでも、微粒子シリカがより分散した分散液が得られるという点から、イオン交換樹脂の使用が好ましい。
イオン交換樹脂によるpH調整方法としては、例えば、水ガラスの水溶液と陽イオン交換樹脂とを接触させる方法が挙げられる。具体的には、所定濃度に希釈した水ガラスの水溶液を、陽イオン交換樹脂に接触させて脱アルカリし、必要に応じてOH型強塩基性アニオン交換樹脂に接触させて脱アニオンすること、などによって行うことができる。上記接触させる方法としては、水ガラスの水溶液中に陽イオン交換樹脂を直接投入して攪拌、接触させるバッチ方式、陽イオン交換樹脂を充填したカラムに水ガラスの水溶液を通液する方式が挙げられる。陽イオン交換樹脂は、H型の強酸性陽イオン交換樹脂、弱酸性陽イオン交換樹脂などが使用でき、市販品として、オルガノ(株)製のアンバーライトIR120B、IR124、200CT、IRC76、FPC3500が挙げられる。上記の方法により、水ガラス中のナトリウムイオンなどを除去できるため、より微粒化した状態のシリカ粒子を生成させることができる。
上記pHの調整時において、水ガラスの水溶液の温度は10〜90℃に調整されることが望ましい。温度が10℃未満では、微粒子シリカの生成速度が遅く、温度が90℃を超えると、水溶液の水の蒸発が生じ、水溶液中の水ガラスの濃度が不安定になりやすい。上記水溶液の温度は適宜調整すればよく、好ましい範囲として、例えば、15〜40℃、60〜80℃が挙げられる。
また水ガラス水溶液中に含まれるシリカ成分(SiO)の濃度は、1〜30質量%の範囲が好ましい。濃度が1質量%未満の場合、ゴムラテックスとの複合化のために大量の水ガラスの水溶液が必要となり、30質量%を超えると、シリカの凝集が生じやすい。該シリカ成分の濃度は、より好ましくは1.5〜20質量%、更に好ましくは2〜8質量%の範囲である。ただし、脱塩処理をした水ガラスを使用する場合、シリカの凝集は生じにくいため、上限は特に限定されない。
反応時間は、1〜72時間の範囲が好ましい。1時間未満では、微粒子シリカの生成が十分ではなく、72時間を超えても、反応は既に終了し、それ以上の変化がない傾向にある。室温で反応させる場合は、攪拌条件下で6〜24時間行われることが好適である。また、できる限り真球状に近づけるためには、高温、長時間での熟成がよく、60〜80℃で24時間以上が好適である。
微粒子シリカ分散液中に含まれるシリカの平均粒子径は100nm以下、好ましくは30nm以下、より好ましくは20nm以下、更に好ましくは15nm以下、特に好ましくは10nm以下である。ここで、平均粒子径の大きさは、水溶液のpH、シリカ成分の濃度、反応温度、反応時間などを調整することで任意に調整することができる。本発明では、極性基含有変性天然ゴムラテックス及び球状シリカ微粒子の分散液を使用することにより、超微粒子シリカであってもシリカが微分散した複合体を得ることができる。
なお、本明細書において、微粒子シリカの平均粒子径の測定方法は、透過型電子顕微鏡(TEM)観察が用いられる。具体的には、微粒子を透過型電子顕微鏡で写真撮影し、微粒子の形状が球形の場合には球の直径を粒子径とし、針状又は棒状の場合には短径を粒子径とし、不定型の場合には中心部からの平均粒径を粒子径とし、微粒子100個の粒径の平均値を平均粒子径とする。
工程(I)では、極性基含有変性天然ゴムラテックスと、上記製法などにより得られた微粒子シリカ分散液とを公知の方法により混合し、その後、配合ラテックスが均一な溶液になるまで十分に攪拌することで、配合ラテックス(混合液)を調製する。なお、極性基含有変性天然ゴムラテックスは、ゴム固形分が10〜70質量%のものを使用することが好ましい。
また、上記混合工程では、極性基含有変性天然ゴム100質量部(固形分)に対して、シリカが5〜150質量部(SiO換算)となるように微粒子シリカ分散液を混合することが好ましい。5質量部未満であると、マスターバッチとして使用する場合に、シリカの配合量が少なくなるおそれがある。150質量部を超えると、ゴムラテックス中でのシリカの均一分散が得られにくくなり、配合ラテックスを凝固した後のゴム組成物中のシリカの均一分散性が低下する傾向がある。より好ましくは5〜120質量部、更に好ましくは10〜100質量部である。
(工程(II))
工程(II)では、上記工程(I)で得られた配合ラテックスを凝固させ、ゴム中に微粒子シリカが均一に分散した複合体を生成する。配合ラテックスの凝固は、酸凝固、塩凝固、メタノール凝固などがあるが、ゴムラテックスとシリカを均一分散させて凝固するためには、酸凝固、塩凝固又はこれらの併用が好ましい。凝固させるための酸としては、硫酸、塩酸、蟻酸、酢酸などが挙げられる。また、塩としては、例えば、1価〜3価の金属塩(塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、硝酸カルシウム、塩化カルシウムなどのカルシウム塩など)が挙げられる。ゴムラテックスに対して、シリカの配合量が少ない場合は金属塩の種類は問わないが、シリカの配合量が多い場合は1価、2価の金属塩、例えば、塩化ナトリウム、塩化マグネシウムが好ましい。ここで3価の金属塩を用いた場合は、シリカ同士の凝集力が強すぎて最終的に微分散となりにくい。
なかでも、配合ラテックスの凝固は、酸又は塩の添加により配合ラテックスのpHを5〜9(好ましくは6〜8、より好ましくは6.5〜7.5)に調整して固形分を凝固させることで実施されることが好ましい。これにより、シリカが微分散した複合体を好適に製造できる。
凝固させた配合ラテックスは、通常、公知の方法(オーブンなど)で乾燥される。乾燥後、2軸ロール、バンバリーなどでゴム練りを行うと、シリカがゴムマトリックスに均一に分散した複合体を得ることができる。
なお、本発明の複合体は、本発明の効果を阻害しない範囲で他の成分を含んでもよい。
ゴムラテックスとして天然ゴムラテックスを用いるとシリカを微分散することが困難であるが、極性基含有変性天然ゴムラテックスを用いた場合にシリカを均一に微分散できる理由は、以下のように推察される。
極性基含有変性天然ゴムラテックスではなく、通常の天然ゴムラテックスを用いると、ゴム練り後においても、シリカは均一に分散せず、シリカの形態は葡萄の房のような状態になる。一般にラテックス中のゴム成分は球状形態であり、このラテックス中のゴム成分の中までシリカは進入できない。このため、ラテックスとシリカを共存させ、一緒に固形化すると、ラテックス由来のゴム成分とシリカ成分が別々に凝集する傾向があり、シリカ同士の凝集力が強い場合は、ゴム練りによってその凝集体を完全にほぐれさせることは困難である。一方、極性基含有変性天然ゴムラテックスを用いた場合は、ゴム成分とシリカ成分の相互作用が強いため、別々の凝集構造が形成されにくくなると推察される。更に、その後のゴム練りのせん断力によって、シリカ粒子の分散が促進され、シリカがゴム中に均一に分散すると推察される。
<ゴム組成物>
本発明のゴム組成物は、上記複合体を含有する。これにより、優れた補強性が発揮される。上記複合体は、マスターバッチとして使用できる。該複合体はゴム中にシリカが均一に分散しているので、その他のゴム成分、ゴム配合剤と混合した場合に得られる本発明のゴム組成物においてもシリカを均一に分散させることができる。
上記ゴム組成物に含まれる複合体は、シリカ含有量(SiO換算)が、該複合体中の極性基含有変性天然ゴム100質量部(固形分)に対して、好ましくは10質量部以上、より好ましくは20質量部以上、更に好ましくは30質量部以上である。10質量部未満であると、十分な補強性が得られないおそれがある。該シリカ含有量は、好ましくは120質量部以下、より好ましくは100質量部以下、更に好ましくは80質量部以下である。120質量部を超えると、十分な低燃費性能や耐摩耗性が得られないおそれがある。
本発明のゴム組成物は、極性基含有変性天然ゴム以外の他のゴム成分を含んでもよい。他のゴム成分としては、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)等が挙げられる。
本発明のゴム組成物は、特に、極性基含有変性天然ゴムラテックスとしてENRラテックスを使用する場合、脂肪酸塩を含むことが好ましい。これにより、耐摩耗性などの性能を向上でき、耐熱性も高められる。脂肪酸塩としては、飽和脂肪酸の金属塩、不飽和脂肪酸の金属塩などが挙げられ、これらの脂肪酸塩は単独で用いても良く2種類以上をブレンドしても構わない。前記脂肪酸塩の炭素数は6以上が好ましく、8以上がより好ましい。脂肪酸塩の炭素数が6未満では、脂肪酸塩を添加することによる改善効果が確認できない傾向がある。上記条件を満たす脂肪酸として、具体的にステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸などの飽和脂肪酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸などの不飽和脂肪酸などが挙げられる。なかでも、耐摩耗性、耐老化性、耐熱特性に優れる理由から、飽和脂肪酸が好ましく、ステアリン酸がより好ましい。また、前記脂肪酸塩を構成する金属としては、カルシウム、マグネシウム、バリウムなどのアルカリ土類金属、アルミニウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ土類金属以外の典型金属、亜鉛などの遷移金属が挙げられる。なかでも、自然界に多く存在しており環境負荷が小さいという理由からアルカリ土類金属が好ましく、カルシウムがより好ましい。
本発明のゴム組成物において、脂肪酸塩の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは2質量部以上、より好ましくは3質量部以上である。2質量部未満では、脂肪酸塩を含有することによる改善効果が得られないおそれがある。また、該脂肪酸塩の含有量は、好ましくは15質量部以下、より好ましくは10質量部以下、更に好ましくは8質量部以下である。15質量部を超えると、ゴムの耐摩耗性能が低下するおそれがある。
本発明のゴム組成物には、上記の材料以外にも、タイヤ工業において一般的に用いられているカーボンブラック、シリカ、シランカップリング剤、酸化亜鉛、ステアリン酸、老化防止剤、硫黄、加硫促進剤等の各種材料が適宜配合されていてもよい。
シリカは複合化したもの以外に一般的なシリカを混錬時に添加しても構わない。シリカとしては、乾式法又は湿式法により製造されたシリカが挙げられるが、シリカの製造方法には特に制限はない。
シリカの窒素吸着比表面積(NSA)は30m/g以上が好ましく、50m/g以上がより好ましく、100m/g以上が更に好ましい。30m/g未満では、補強効果が小さい傾向がある。また、シリカのNSAは500m/g以下が好ましく、400m/g以下がより好ましく、250m/g以下が更に好ましい。シリカのNSAが500m/gを超えると、分散性が低下し、ゴム組成物の発熱性が増大する傾向がある。なお、シリカのBET法による窒素吸着比表面積は、ASTM−D−4820−93に準拠した方法により測定することができる。
本発明のゴム組成物では、シランカップリング剤を併用することが好ましい。これにより、補強性を更に向上できる。
シランカップリング剤としては特に制限はなく、従来、タイヤ工業においてシリカと併用されているものが使用でき、例えば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4−トリエトキシシリルブチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4−トリメトキシシリルブチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(4−トリエトキシシリルブチル)トリスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(4−トリメトキシシリルブチル)トリスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4−トリエトキシシリルブチル)ジスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4−トリメトキシシリルブチル)ジスルフィドなどのスルフィド系、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどのメルカプト系、ビニルトリエトキシシランなどのビニル系、3−アミノプロピルトリエトキシシランなどのアミノ系、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシランなどのグリシドキシ系、3−ニトロプロピルトリメトキシシランなどのニトロ系、3−クロロプロピルトリメトキシシランなどのクロロ系等が挙げられる。
上記ゴム組成物において、シランカップリング剤の含有量は、複合体及びそれ以外に含まれるシリカの合計量100質量部に対して4質量部以上が好ましく、6質量部以上がより好ましい。4質量部未満では、シリカと充分に反応せず、補強性が向上しない傾向がある。また、該シランカップリング剤の含有量は、20質量部以下が好ましく、15質量部以下がより好ましい。20質量部を超えると、シランカップリング剤の配合によるゴム強度及び耐摩耗性の改善効果がみられず、コストが増大してしまう傾向がある。
本発明のゴム組成物の製造方法としては、公知の方法を用いることができ、例えば、前記各成分をオープンロール、バンバリーミキサー、密閉式混練機などのゴム混練装置を用いて混練し、その後加硫する方法等により製造できる。
上記ゴム組成物は、タイヤの各部材に適用できるが、なかでも、トレッド、サイドウォールに好適に用いることができる。
<空気入りタイヤ>
本発明のゴム組成物は、空気入りタイヤに好適に適用される。シリカが微分散した複合体を使用しているため、優れた補強性が発揮され、低発熱性、グリップ性能、耐摩耗性などの性能をバランス良く改善できる。
本発明の空気入りタイヤは、上記ゴム組成物を用いて通常の方法によって製造される。すなわち、必要に応じて各種添加剤を配合したゴム組成物を、未加硫の段階でタイヤの各部材の形状に合わせて押し出し加工し、タイヤ成型機上にて通常の方法にて成形することにより未加硫タイヤを形成した後、加硫機中で加熱加圧してタイヤを製造することができる。
また、本発明の空気入りタイヤは、乗用車、トラック・バス、及び地球環境保全に対応した低公害車両(エコカー)に好適に使用できる。
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
以下、実施例及び比較例で使用した各種薬品について、まとめて説明する。
天然ゴムラテックス:ハイアンモニアタイプ(ゴム固形分濃度60質量%)
界面活性剤:ポリオキシエチレン脂肪酸アルコール(アルコールの炭素数C12〜C18、曇点70〜80℃)
氷酢酸:濃度98質量%試薬1級
過酸化水素水:濃度30質量%
水ガラス:富士化学(株)製の水ガラス3号(NaO・nSiO・mHO、n=3.2、シリカ成分(SiO換算量)含有量:28質量%)
複合体:下記実施例及び比較例で作製
ENR25:クンプーランガスリー社(Kumpulan Gathrie Berhad)(マレーシア)製のエポキシ化天然ゴム(エポキシ化率25%モル)
ENR50:クンプーランガスリー社(Kumpulan Gathrie Berhad)(マレーシア)製のエポキシ化天然ゴム(エポキシ化率50%モル)
シリカ(1):EVONIK−DEGUSSA製のUttrasilVN3(NSA:175m/g)
シリカ(2):Rhodia製のPremium200MP(NSA:200m/g)
シランカップリング剤EVONIK−DEGUSSA製のSi69(ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド)
オイル:日清オイリオ(株)製の植物油(大豆油)
ステアリン酸カルシウム:日油(株)製
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華1号
ステアリン酸:日油(株)製の椿
老化防止剤:大内新興化学工業(株)製のノクラック6C(N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン)
硫黄:鶴見化学工業(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤NS:大内新興化学工業(株)製のノクセラ−NS(N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
加硫促進剤D:大内新興化学工業(株)製のノクセラーD(N,N’−ジフェニルグアニジン)
実施例及び比較例で得られた加硫物の評価方法は、以下のとおりである。
<転がり抵抗>
粘弾性スペクトロメーターVES((株)岩本製作所製)を用いて、温度50℃、初期歪み10%、動歪み2%、周波数10Hzの条件下で各配合(加硫物)の損失正接(tanδ)を測定し、比較例1、4又は7の損失正接tanδを100として、下記計算式により指数表示した(転がり抵抗指数)。指数が大きいほど転がり抵抗特性が優れる。
(転がり抵抗指数)=(比較例1のtanδ)/(実施例1〜4及び比較例2〜3のtanδ)×100
(転がり抵抗指数)=(比較例4のtanδ)/(実施例5〜8及び比較例5〜6のtanδ)×100
(転がり抵抗指数)=(比較例7のtanδ)/(実施例9〜11及び比較例8のtanδ)×100
<摩耗試験>
ランボーン摩耗試験機を用いて、温度20℃、スリップ率20%及び試験時間2分間の条件下でランボーン摩耗量を測定した。更に、測定したランボーン摩耗量から容積損失量を計算し、比較例1、4又は7のランボーン摩耗指数を100とし、下記計算式により、各配合(加硫物)の容積損失量を指数表示した。なお、ランボーン摩耗指数が大きいほど、耐摩耗性に優れることを示す。
(ランボーン摩耗指数)=(比較例1の容積損失量)/(実施例1〜4及び比較例2〜3の容積損失量)×100
(ランボーン摩耗指数)=(比較例4の容積損失量)/(実施例5〜8及び比較例5〜6の容積損失量)×100
(ランボーン摩耗指数)=(比較例7の容積損失量)/(実施例9〜11及び比較例8の容積損失量)×100
<グリップ性能>
(株)岩本製作所製の粘弾性スペクトロメーターを用いて、温度0℃、初期歪み10%、動歪み0.5%、周波数10Hzの条件下で、各配合(加硫物)の損失正接(tanδ)を測定し、比較例1、4又は7のグリップ指標指数を100として、下記計算式により指数表示した。グリップ指標指数が大きいほど、グリップ性能に優れることを示す。
(グリップ指標指数)=(実施例1〜4及び比較例2〜3のtanδ)/(比較例1のtanδ)×100
(グリップ指標指数)=(実施例5〜8及び比較例5〜6のtanδ)/(比較例4のtanδ)×100
(グリップ指標指数)=(実施例9〜11及び比較例8のtanδ)/(比較例7のtanδ)×100
実施例1〜8及び比較例1〜6
(エポキシ化天然ゴムラテックスの作製)
300mlの三角フラスコに氷酢酸と30質量%過酸化水素水を表1に示す配合で加え、攪拌後、恒温槽で40℃に保ったまま24時間静置し、過酢酸溶液を作製した。1Lガラス容器に天然ゴムラテックス150g、蒸留水350g、15質量%の界面活性剤水溶液16gを加え10℃に冷却し、攪拌しながら作製した過酢酸溶液を10分間かけて滴下した。滴下終了後ラテックス溶液を24時間攪拌してエポキシ化天然ゴムラテックス(1)〜(3)を得た。H−NMRの結果、各々表1に示すようなエポキシ化率であった。
(微粒子シリカ分散液の調製)
水ガラスを用いて、シリカ成分含有量(濃度)が2質量%の水ガラス水溶液を作製し、pH10に調整して25℃で10〜24時間、攪拌を行い、微粒子シリカ分散液(1)及び(2)を得た。なお、pHは、硫酸により調整した。
TEM写真の観察により、平均粒子径10nm程度のシリカ(微粒子シリカ分散液(1))と平均粒子径20nm程度のシリカ(微粒子シリカ分散液(2))が得られていることを確認した。
(配合ラテックスの調製、凝固、複合体の調製)
表2に示すように、微粒子シリカ分散液にエポキシ化天然ゴムラテックスを混合して、配合ラテックスを調製した。各々ゴムラテックス分100g(固形分)に対してシリカ成分50gになるように混合した。配合ラテックスが均一になるまで十分に攪拌した後、配合ラテックスを硫酸によりpH7に調整して凝固させた。得られた固形物をろ過してゴム分を回収し純水で洗浄して乾燥し、複合体(A)〜(D)を得た。
また、表3に示すように、微粒子シリカ分散液にエポキシ化天然ゴムラテックスを混合し、ゴムラテックス分100g(固形分)に対してシリカ成分75gになるように混合した以外は、上記と同様にして、複合体(E)〜(H)を得た。
(ゴム試験片の作製)
表4〜5に示す配合に従って、1.7Lバンバリーを用いて、硫黄及び加硫促進剤以外の薬品を混練りした。次に、ロールを用いて、得られた混練り物に硫黄及び加硫促進剤を添加して練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。
得られた未加硫ゴム組成物を150℃で30分間プレス加硫して加硫物を得た。得られた各加硫物を評価し、結果を表4〜5に示した。
なお、使用した複合体(A)〜(H)のシリカ含有量は、ENR100質量部に対して、(A)〜(D)が50質量部、(E)〜(H)が75質量部であった(仕込み量と同じ)。
表4から、複合体(A)〜(D)(シリカ50質量部を微分散)を用いた実施例1〜4では、低転がり抵抗、耐摩耗性、グリップ性能がバランス良く改善された。一方、ENR25又はENR50とシリカを混練によって混合した比較例1〜3では、性能がかなり劣っていた。また、表5から、複合体(E)〜(H)(シリカ75質量部を微分散)を用いた場合も同様の傾向が見られた。
実施例9〜11
(微粒子シリカ分散液の調製)
水ガラスを用いて、シリカ成分含有量(濃度)が2質量%の水ガラス水溶液を作製し、pH10に調整して80℃で24時間、攪拌を行い、微粒子シリカ分散液(3)を得た。
なお、pHは、H型強酸性陽イオン交換樹脂(オルガノ(株)製のIR120B)を用いて調整した。
TEM写真の観察により、平均粒子径10nm程度のシリカが得られていることを確認した。
(配合ラテックスの調製、凝固、複合体の調製)
微粒子シリカ分散液(3)に、上記で得られたエポキシ化天然ゴムラテックス(2)を混合して、配合ラテックスを調製した。ゴムラテックス分100gに対してシリカ成分100gになるように混合して攪拌を1時間行った。その後、配合ラテックスに硫酸を添加し、pH7に調整することで凝固させた。得られた固形物をろ過してゴム分を回収し純水で洗浄して乾燥した。得られた乾燥物を2軸ロールを用いて5分間ゴム練りを行い、複合体(I)を得た。
得られた複合体(I)の写真を図1(右部分)に示した。透明感のある複合体であり、シリカが均一に微分散していることが明らかとなった。なお、熱重量分析により無機成分を測定したところ、仕込み比(ゴム分:シリカ分)では1:1であるが、1:0.58となり、シリカ含有量は37質量%となっていた。シリカ成分の減少は、シリカが微粒子のため、ろ過操作中に、一部がろ紙を通過したからと考えられた。
更に、得られた複合体(I)のTEM写真を図2に示した。数μmを超える大きなシリカの凝集体は生成せず、10nm以下の粒径のシリカが大きな凝集塊を形成せずにゴム中に均一に分散している様子が観察された。
以上より、本発明により、平均粒子径10nm以下の微粒子シリカをゴム中に均一に分散できることが明らかとなった。
比較例7
シリカとしてシリカ(1)(VN3)を用いた。そして、微粒子シリカ分散液(3)に代えて、シリカ(1)を水に分散させたシリカ分散液を使用した以外は、実施例9と同様にして、複合体(a)を得た。なお、熱重量分析により無機成分を測定したところ、ゴム分:シリカ分=1:0.57であり、シリカ含有量が36質量であった。
得られた複合体(a)の写真を図1(左部分)に示した。得られたゴムシートに透明感はなく、シリカが凝集してしまっていることが明らかとなった。
比較例8
エポキシ化天然ゴムラテックス(2)に代えて天然ゴムラテックスを用いた以外は、実施例9と同様にして、複合体(b)を得た。なお、熱重量分析により無機成分を測定したところ、シリカ含有量は30質量であった。
得られた複合体(b)の写真を図3に示した。得られたゴムシートに透明感はなく、シリカが凝集してしまっていることが明らかとなった。
(ゴム試験片の作製)
実施例9及び比較例7〜8について、得られた複合体(I)、(a)、(b)を用いて表6に示す配合に従う以外は、上記と同様にして加硫物を得、評価を行った。結果を表6に示した。
表6から、陽イオン交換樹脂でpH調整を行って得られた複合体(I)を用いた実施例9〜11でも、低転がり抵抗、耐摩耗性、グリップ性能がバランス良く改善された。一方、ENRラテックスとシリカを混合した比較例7、天然ゴムラテックスを用いた比較例8では、かなり性能が劣っていた。

Claims (7)

  1. 極性基含有変性天然ゴムラテックスと、水ガラスから製造される平均粒子径100nm以下の微粒子シリカ分散液とを混合した配合ラテックスから得られる複合体。
  2. 極性基含有変性天然ゴムラテックスは、エポキシ化天然ゴムラテックスである請求項1記載の複合体。
  3. 微粒子シリカ分散液は、イオン交換樹脂を用いて水ガラス水溶液のpHを9〜11に調整して製造されるものであり、かつ該分散液中のシリカの平均粒子径が15nm以下である請求項1又は2記載の複合体。
  4. 極性基含有変性天然ゴムラテックスと、水ガラスから製造される平均粒子径100nm以下の微粒子シリカ分散液とを混合して配合ラテックスを調製する工程(I)、及び前記工程(I)で得られた配合ラテックスを凝固させる工程(II)を含む請求項1〜3のいずれかに記載の複合体の製造方法。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載の複合体を含むゴム組成物。
  6. 更に脂肪酸塩を含む請求項5記載のゴム組成物。
  7. 請求項5又は6記載のゴム組成物を用いて作製した空気入りタイヤ。
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