JP5519306B2 - ゴム/シリカ複合体の製造方法及びゴム/シリカ複合体 - Google Patents

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Description

本発明は、ゴム/シリカ複合体の製造方法、及びそれにより得られるゴム/シリカ複合体に関する。
従来、ゴムとシリカの組成物を製造する場合、固形ゴムと乾燥シリカをゴム練り工程を経て混合していた。例えば、天然ゴムでは原料はラテックスであり、凝固、乾燥して固形ゴムが得られる。一方、シリカに湿式シリカを使用する場合、水ガラスから微粒子を作成し、濾過工程、乾燥工程を経て乾燥シリカが得られ、通常、粒子径20〜60nm程度の微粒子シリカが使用される。そして、ゴム中に補強剤としてシリカを配合する方法としては、固形ゴムと乾燥シリカをバンバリーミキサー、オープンロール、ニーダーなどを用いて混練する、いわゆる混練法が採用されている。
この混練法では、固形ゴムとシリカが別々にラテックス及び水ガラスから固形分を分離し、乾燥する工程を経て得られるため製造効率がよくない。またシリカは、その表面にシラノール基を有しており、親水性を示すことから、一般に疎水性を示すゴムとの親和性が低い。しかも、シリカは自己凝集性が強いことからゴム中にシリカを均一に分散させることは容易ではない。
特許文献1には、ゴムラテックスと水ガラス水溶液をpH調整して得られた微粒子シリカとを混合し、微粒子シリカを均一に分散させたマスターバッチの製造方法が開示されている。しかしながら、シリカ凝集塊が残ることがあり、シリカの分散性については未だ改善の余地が残されている。
特開2009−51955号公報
本発明は、前記課題を解決し、微粒子シリカを均一に分散させたゴム/シリカ複合体の製造方法、及びこれにより得られたゴム/シリカ複合体(マスターバッチ)を提供することを目的とする。
本発明は、イオン交換樹脂を用いて水ガラス水溶液1のpHを2〜5に調整し、熟成する工程(I)、該工程(I)で得られた熟成液と水ガラス水溶液2とを混合した混合液のpHを、イオン交換樹脂を用いて9〜11に調整し、熟成する工程(II−a)又は該工程(I)で得られた熟成液とイオン交換樹脂を用いて水ガラス水溶液2のpHを9〜11に調整した調整液とを混合し、熟成する工程(II−b)、及び該工程(II−a)又は(II−b)で得られた微粒子シリカ分散液とゴムラテックスとを混合して配合ラテックスを調製し、得られた配合ラテックスを凝固させる工程(III)を含むゴム/シリカ複合体の製造方法に関する。
上記工程(I)は、水ガラス水溶液1とイオン交換樹脂とを混合して該水ガラス水溶液1のpHを2〜5に調整し、熟成すること、又はイオン交換樹脂を充填したカラムに水ガラス水溶液1を通液して該水ガラス水溶液1のpHを2〜5に調整し、熟成することにより行われることが好ましい。
本発明はまた、上記製造方法により得られるゴム/シリカ複合体に関する。
本発明によれば、2段階の熟成工程(工程(I)と工程(II−a)又は(II−b))により微粒子シリカ分散液を調製する製造方法であるので、微粒子シリカがゴム中に均一に分散したゴム/シリカ複合体を良好に製造できる。また、特に工程(II−b)を採用した製法の場合、シリカの収率をより向上できる。
比較例の試料(マスターバッチ)のTEM写真を示す。 実施例1の試料(マスターバッチ)のTEM写真を示す。 実施例2の試料(マスターバッチ)のTEM写真を示す。
本発明のゴム/シリカ複合体の製造方法は、イオン交換樹脂を用いて水ガラス水溶液1のpHを2〜5に調整し、熟成する工程(I)、該工程(I)で得られた熟成液と水ガラス水溶液2とを混合した混合液のpHを、イオン交換樹脂を用いて9〜11に調整し、熟成する工程(II−a)又は該工程(I)で得られた熟成液とイオン交換樹脂を用いて水ガラス水溶液2のpHを9〜11に調整した調整液とを混合し、熟成する工程(II−b)、及び該工程(II−a)又は(II−b)で得られた微粒子シリカ分散液とゴムラテックスとを混合して配合ラテックスを調製し、得られた配合ラテックスを凝固させる工程(III)を含む。
最終的にシリカとゴムを複合化する際に、シリカの一次粒径が小さすぎると、表面積が大きくなり、シリカ同士が凝集しやすい傾向があるので、均質なゴム/シリカ複合体を得るためには、適度なシリカ粒径とする方が望ましいと考えられる。本発明では、1段階の熟成工程よりも、2段階の熟成工程(工程(I)と工程(II−a)又は(II−b))を行うことで、適度な大きさのシリカが安定に得られることを見出すとともに、このシリカをゴム用フィラーとして使用すると非常に高い分散性が得られることを見出した。
適度な大きさのシリカに成長する過程のメカニズムは明確ではないが、以下のように推察される。
水ガラス水溶液をイオン交換樹脂を用いてpH2〜5に調整し、熟成することで、非常に小さなシリカの核が発生する。ここに新たな水ガラス水溶液を添加し、熟成することで、核の周囲に添加した材料が付着して核が成長し、適度な粒径を持つ微粒子シリカが形成されると推察される。
<工程(I)>
水ガラス水溶液1において、水ガラスは、通常、下記式で示される組成で表される。
NaO・nSiO・mH
上記係数nは、SiO/NaOの分子比で示される値であって、一般にモル比と呼ばれるJIS K 1408−1966に規定の範囲である。この係数nは、特に限定されないが、好ましくは2.1〜3.3であり、より好ましくは3.1〜3.3である。上記係数nが3.1〜3.3であるときは、水ガラス中のシリカ成分(SiO換算量)が多くなることから、ゴムとの複合化処理の効率が向上する。
なお、一般に、上記係数nが3.1〜3.3である水ガラスは、水ガラス3号として市販されている。本発明に使用可能な水ガラスは、これに限定されるものではなく、例えば、JIS K1408に規定の1〜3号水ガラスや、その他各種のグレード品を使用することができる。
工程(I)では、予め水ガラスを純水で希釈する方法などにより、水ガラス水溶液1が作製される。ここで、上記水ガラス水溶液1中に含まれるシリカ成分(SiO)の濃度は、0.5〜7質量%の範囲が好ましい。0.5質量%未満では、効率が悪く、7質量%を超えると、ゲル化の傾向がある。該シリカ成分の濃度は、より好ましくは0.5〜5質量%、更に好ましくは0.5〜3質量%の範囲である。
工程(I)では、イオン交換樹脂を用いて上記水ガラス水溶液1のpHを所定範囲に調整し、熟成する。pH調整に硫酸などの酸を用いた場合は、熟成により、過度なシリカのネットワークが形成され、ゲル化(固化)する傾向がある。一方、イオン交換樹脂を利用すると、水ガラス水溶液中のナトリウムイオンが除去され、過度なシリカネットワークの形成が抑制されるため、望ましい。また、安定にpH調整が可能である。
イオン交換樹脂によるpH調整方法としては、例えば、水ガラスの水溶液と陽イオン交換樹脂とを接触させる方法が挙げられる。具体的には、所定濃度に希釈した水ガラスの水溶液を、陽イオン交換樹脂に接触させて脱アルカリし、必要に応じてOH型強塩基性アニオン交換樹脂に接触させて脱アニオンすること、などによって行うことができる。上記接触させる方法としては、水ガラスの水溶液中に陽イオン交換樹脂を直接投入して攪拌、接触させるバッチ方式(水ガラス水溶液1とイオン交換樹脂とを混合してpH調整する方法)、陽イオン交換樹脂を充填したカラムに水ガラスの水溶液を通液する方式(イオン交換樹脂を充填したカラムに水ガラス水溶液1を通液してpH調整する方法)が挙げられる。バッチ方式では、pH調整後、ろ過によりイオン交換樹脂を除去できる。カラムを利用した方式が操作が簡便であり、好ましい。また、pH調整において、バッチ方式ではろ過時にシリカのロスが発生するが、カラムを利用した方式では、pH調整段階でのシリカロスを抑制することができる。
陽イオン交換樹脂としては、H型の強酸性陽イオン交換樹脂、弱酸性陽イオン交換樹脂などが使用でき、市販品として、オルガノ(株)製のアンバーライトIR120B、IR124、200CT、IRC76、FPC3500が挙げられる。上記の方法により、水ガラス中のナトリウムイオンなどが除去されるとともに、シリカの核が生成されると推察される。
工程(I)では、水ガラス水溶液1のpHが2〜5に調整される。この範囲から外れると、熟成中に固化する傾向がある。該pHは2〜4の範囲が好ましく、2.5〜3.5の範囲がより好ましい。
工程(I)ではpH調整後に熟成し、熟成液が調製されるが、熟成温度は、好ましくは50℃以上、より好ましくは60℃以上、更に好ましくは70℃以上である。該熟成温度は、好ましくは95℃以下、より好ましくは90℃以下、更に好ましくは85℃以下である。また、熟成時間は、0.5〜24時間が好ましく、2〜10時間がより好ましい。熟成温度や熟成時間が下限未満では、熟成が不十分で、核の発生が十分でないおそれがある。上限を超えると、ゲル化する傾向が高くなる。
<工程(II−a)、工程(II−b)>
工程(I)に続く工程として、「上記工程(I)で得られた熟成液と水ガラス水溶液2とを混合した混合液のpHを、イオン交換樹脂を用いて9〜11に調整し、熟成する工程(II−a)」、又は「上記工程(I)で得られた熟成液と、イオン交換樹脂を用いて水ガラス水溶液2のpHを9〜11に調整した調整液とを混合し、熟成する工程(II−b)」が行われる。これにより、微粒子シリカ分散液が調製される。
上記水ガラス水溶液2としては、上記水ガラス水溶液1と同様のものを使用できる。
工程(II−a)及び(II−b)において、水ガラス水溶液2中に含まれるシリカ成分(SiO)の濃度は、2〜30質量%の範囲が好ましい。2質量%未満では、効率が悪く、30質量%を超えると、ゲル化する傾向がある。該シリカ成分の濃度は、より好ましくは2〜10質量%、更に好ましくは3〜8質量%の範囲である。
工程(II−a)でイオン交換樹脂を用いて混合液のpHを9〜11に調整する方法、及び工程(II−b)で水ガラス水溶液2のpHを9〜11に調整する方法は、工程(I)のpH調整と同様の方法を用いることができる。pHは9.0〜10.0に調整することがより好ましい。このpH調整を上記バッチ式で行う場合においてもろ過時にシリカロスが発生する。そこで、混合順序について、工程(II−a)から工程(II−b)に変更することにより、シリカロスを低減することができ、シリカ収率が高められる。なお、工程(II−a)及び(II−b)での混合は公知の方法により行える。
pH調整後に熟成されるが、熟成温度は、好ましくは50℃以上、より好ましくは60℃以上、更に好ましくは70℃以上である。該熟成温度は、好ましくは95℃以下、より好ましくは90℃以下、更に好ましくは85℃以下である。また、熟成時間は、4〜50時間が好ましく、8〜35時間がより好ましい。熟成温度や熟成時間が下限未満では、熟成が不十分で、所望の粒径のシリカが生成しないおそれがある。上限を超えると、ゲル化(固化)する可能性が高くなる。
上記により、微粒子シリカが分散した微粒子シリカ分散液を調製できる。
微粒子シリカ分散液中に含まれるシリカの平均粒子径は、好ましくは50nm以下、より好ましくは30nm以下、更に好ましくは15nm以下である。また、該平均粒子径は、好ましくは5nm以上、より好ましくは6nm以上、更に好ましくは7nm以上である。ここで、平均粒子径の大きさは、水ガラス水溶液や上記混合液、調整液のpH、シリカ成分の濃度、熟成温度、熟成時間などにより調整できる。上記範囲内であると、シリカが微分散した複合体を得ることができる。
なお、本明細書において、微粒子シリカの平均粒子径の測定方法は、透過型電子顕微鏡(TEM)観察が用いられる。具体的には、微粒子を透過型電子顕微鏡で写真撮影し、微粒子の形状が球形の場合には球の直径を粒子径とし、針状又は棒状の場合には短径を粒子径とし、不定型の場合には中心部からの平均粒径を粒子径とし、微粒子100個の粒径の平均値を平均粒子径とする。
<工程(III)>
工程(III)では、先ず、ゴムラテックスと上記により得られた微粒子シリカ分散液とを公知の方法により混合し、その後、配合ラテックスが均一な溶液になるまで十分に攪拌することで、配合ラテックスを調製する。
ゴムラテックスとしては、天然ゴム(NR)、エポキシ化天然ゴム(ENR)、スチレンとブタジエンとの共重合体(SBR)、スチレンとイソプレンとブタジエンとの共重合体(SBIR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、クロロプレンゴム(CR)などのゴムラテックスが挙げられる。特に、NRラテックス、ENRラテックスが好適に使用される。
なお、ゴムラテックスは、ゴム固形分が10〜70質量%のものを使用することが好ましい。
また、上記混合工程では、ゴム100質量部(固形分)に対して、シリカが5〜150質量部(SiO換算)となるように微粒子シリカ分散液を混合することが好ましい。5質量部未満であると、マスターバッチとして使用する場合に、シリカの配合量が少なくなるおそれがある。150質量部を超えると、ゴムラテックス中でのシリカの均一分散が得られにくくなり、配合ラテックスを凝固した後の複合体中のシリカの均一分散性が低下する傾向がある。より好ましくは5〜120質量部、更に好ましくは10〜100質量部である。
工程(III)では、更に得られた配合ラテックスを凝固させ、ゴム中に微粒子シリカが均一に分散した複合体を作製する。配合ラテックスの凝固は、酸凝固、塩凝固、メタノール凝固などがあるが、ゴムラテックスとシリカを均一分散させて凝固するためには、酸凝固、塩凝固又はこれらの併用が好ましい。凝固させるための酸としては、硫酸、塩酸、蟻酸、酢酸などが挙げられる。また、塩としては、例えば、1価〜3価の金属塩(塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、硝酸カルシウム、塩化カルシウムなどのカルシウム塩など)が挙げられる。ゴムラテックスに対して、シリカの配合量が少ない場合は金属塩の種類は問わないが、シリカの配合量が多い場合は1価、2価の金属塩、例えば、塩化ナトリウム、塩化マグネシウムが好ましい。ここで3価の金属塩を用いた場合は、シリカ同士の凝集力が強すぎて最終的に微分散となりにくい。
なかでも、配合ラテックスの凝固は、酸又は塩の添加により配合ラテックスのpHを5〜9(好ましくは6〜8、より好ましくは6.5〜7.5)に調整して固形分を凝固させることで実施されることが好ましい。これにより、シリカが微分散した複合体を好適に製造できる。
凝固させた配合ラテックスは、通常、公知の方法(オーブンなど)で乾燥される。乾燥後、2軸ロール、バンバリーなどでゴム練りを行うと、シリカがゴムマトリックスに均一に分散した複合体を得ることができる。
なお、上記ゴム/シリカ複合体は、本発明の効果を阻害しない範囲で他の成分を含んでもよい。
本発明で得られたゴム/シリカ複合体は、マスターバッチとして使用できる。また、他のゴム配合剤などとともに混合して得られるゴム組成物も好適に使用でき、該複合体を含むことにより優れた補強性が発揮される。ゴム配合剤としては、タイヤ工業において一般的に用いられているカーボンブラック、シリカ、シランカップリング剤、酸化亜鉛、ステアリン酸、老化防止剤、硫黄、加硫促進剤等が挙げられる。上記ゴム組成物は、前記各成分をオープンロール、バンバリーミキサー、密閉式混練機などのゴム混練装置を用いて混練し、その後加硫する方法等により製造できる。上記ゴム組成物は、タイヤの各部材(トレッド、サイドウォールなど)に好適に使用できる。
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
以下に、実施例で用いた各種薬品について説明する。
天然ゴムラテックス:ハイアンモニアタイプ(ゴム固形分濃度60質量%)
界面活性剤:ポリオキシエチレン脂肪酸アルコール(アルコールの炭素数C12〜C18、曇点70〜80℃)
氷酢酸:濃度98質量%試薬1級
過酸化水素水:濃度30質量%
水ガラス:富士化学(株)製の水ガラス3号(NaO・nSiO・mHO、n=3.2、シリカ成分(SiO換算量)含有量:28質量%)
イオン交換樹脂:アンバーライトIR−120B(H)HG(オルガノ社製、H型強酸性陽イオン交換樹脂)
(エポキシ化天然ゴムラテックスの作製)
300mlの三角フラスコに氷酢酸57gと30質量%過酸化水素水64gを加え、攪拌後、恒温糟で40℃に保ったまま24時間静置し、過酢酸溶液を作成した。1Lガラス容器に天然ゴムラテックス150g、蒸留水350g、15質量%の界面活性剤水溶液16gを加え10℃に冷却し、攬拌しながら作製した過酢酸溶液を10分間かけて滴下した。滴下終了後ラテックス溶液を24時間攪拌してエポキシ化天然ゴムラテックス(ENRラテックス)を得た。H−NMRの結果、エポキシ化率は25モル%であった。
(比較例)
水ガラスを純水で希釈してシリカ成分含有量(シリカ濃度)5質量%の水ガラス水溶液134gを作製し、更に1質量%硫酸を添加してpH9.5に調整して80℃で24時間、攪拌を行った。
得られたシリカ分散液に、ENRラテックス30g(固形分33%)を加え、1質量%硫酸を添加してpH7に調整し、ろ紙#2を用いて自然ろ過後、40℃のオーブンで乾燥した。得られた試料のシリカ含有量を熱重量分析から求めたところ、ゴム成分100質量部に対して54質量部であった。
(実施例1)
シリカ成分含有量1.5質量%の水ガラス水溶液を553g作製し、次いでイオン交換樹脂を75g添加してpH3.0に調整した。イオン交換樹脂をろ過により除去し、これを80℃で5時間熟成した。熟成後、シリカ濃度29質量%の水ガラス水溶液29gを加え、混合した後、イオン交換樹脂24gを添加し、pH9.5に調整した。ろ過により、イオン交換樹脂を除去し、80℃で24時間熟成した。
得られたシリカ分散液に、ENRラテックス60g(固形分33質量%)を加え、1質量%硫酸を添加してpH7に調整し、ろ紙#2を用いて自然ろ過後、40℃のオーブンで乾燥した。得られた試料のシリカ含有量を熟重量分析から求めたところ、ゴム成分100質量部に対して69質量部であった。
(実施例2)
シリカ成分含有量1.5質量%の水ガラス水溶液を300g作製し、イオン交換樹脂を100g詰めたカラムに45分かけて通水した。得られた調整液はpH3.2となった。これを80℃で5時間熟成した(熟成液A)。一方、シリカ濃度6質量%の水ガラス水溶液46.3gにイオン交換樹脂9.8gを添加し、pH9.5に調整した。ろ過によりイオン交換樹脂を除去し、これを熟成液Aの一部108gに添加し、撹拌、混合した後に、80℃で24時間熟成した。
得られたシリカ分散液に、ENRラテックス30g(固形分33質量%)を加え、1質量%硫酸を添加してpH7に調整し、ろ紙#2を用いて自然ろ過後、40℃のオーブンで乾燥した。得られた試料のシリカ含有量を熱重量分析から求めたところ、ゴム成分100質量部に対して42.8質量部であった。
実施例及び比較例で調製したシリカ分散液について、TEM写真の観察により、それぞれ以下の平均粒子径を有していることを確認した。
比較例 :5.5nm
実施例1:8.5nm
実施例2:8.5nm
また実施例及び比較例で得られた試料を、ミクロトームを用いて、厚さ100nm程度の薄片を切り出し、透過型電子顕微鏡((株)日立製作所製のH−7100)を用いて観察した。
また、熱重量分析からシリカロス(シリカ減少割合(%))を求め、表1に示した。
TEM写真から、実施例1、2では、シリカが大きな凝集構造を有することなく、ゴム中に微分散している様子が観察された。また、上記工程(I)でバッチ式でイオン交換し、上記工程(II−a)を採用した実施例1に比べて、上記工程(I)でカラムを用いてイオン交換し、上記工程(II−b)を採用した実施例2では、シリカロスは3質量%に低減された。
一方、比較例では、TEM写真で黒いドットのようなものが観察され、シリカが凝集している部分があった。また、シリカロスも20質量%と大きかった。

Claims (3)

  1. イオン交換樹脂を用いて水ガラス水溶液1のpHを2〜5に調整し、熟成する工程(I)、
    該工程(I)で得られた熟成液と水ガラス水溶液2とを混合した混合液のpHを、イオン交換樹脂を用いて9〜11に調整し、熟成する工程(II−a)又は該工程(I)で得られた熟成液とイオン交換樹脂を用いて水ガラス水溶液2のpHを9〜11に調整した調整液とを混合し、熟成する工程(II−b)、及び
    該工程(II−a)又は(II−b)で得られた微粒子シリカ分散液とゴムラテックスとを混合して配合ラテックスを調製し、得られた配合ラテックスを凝固させる工程(III)
    を含むゴム/シリカ複合体の製造方法。
  2. 前記工程(I)は、水ガラス水溶液1とイオン交換樹脂とを混合して該水ガラス水溶液1のpHを2〜5に調整し、熟成すること、又はイオン交換樹脂を充填したカラムに水ガラス水溶液1を通液して該水ガラス水溶液1のpHを2〜5に調整し、熟成することにより行われる請求項1記載のゴム/シリカ複合体の製造方法。
  3. 請求項1又は2記載の製造方法により得られるゴム/シリカ複合体。
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