JP5519306B2 - ゴム/シリカ複合体の製造方法及びゴム/シリカ複合体 - Google Patents
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Description
本発明はまた、上記製造方法により得られるゴム/シリカ複合体に関する。
水ガラス水溶液をイオン交換樹脂を用いてpH2〜5に調整し、熟成することで、非常に小さなシリカの核が発生する。ここに新たな水ガラス水溶液を添加し、熟成することで、核の周囲に添加した材料が付着して核が成長し、適度な粒径を持つ微粒子シリカが形成されると推察される。
水ガラス水溶液1において、水ガラスは、通常、下記式で示される組成で表される。
Na2O・nSiO2・mH2O
上記係数nは、SiO2/Na2Oの分子比で示される値であって、一般にモル比と呼ばれるJIS K 1408−1966に規定の範囲である。この係数nは、特に限定されないが、好ましくは2.1〜3.3であり、より好ましくは3.1〜3.3である。上記係数nが3.1〜3.3であるときは、水ガラス中のシリカ成分(SiO2換算量)が多くなることから、ゴムとの複合化処理の効率が向上する。
工程(I)に続く工程として、「上記工程(I)で得られた熟成液と水ガラス水溶液2とを混合した混合液のpHを、イオン交換樹脂を用いて9〜11に調整し、熟成する工程(II−a)」、又は「上記工程(I)で得られた熟成液と、イオン交換樹脂を用いて水ガラス水溶液2のpHを9〜11に調整した調整液とを混合し、熟成する工程(II−b)」が行われる。これにより、微粒子シリカ分散液が調製される。
工程(II−a)及び(II−b)において、水ガラス水溶液2中に含まれるシリカ成分(SiO2)の濃度は、2〜30質量%の範囲が好ましい。2質量%未満では、効率が悪く、30質量%を超えると、ゲル化する傾向がある。該シリカ成分の濃度は、より好ましくは2〜10質量%、更に好ましくは3〜8質量%の範囲である。
微粒子シリカ分散液中に含まれるシリカの平均粒子径は、好ましくは50nm以下、より好ましくは30nm以下、更に好ましくは15nm以下である。また、該平均粒子径は、好ましくは5nm以上、より好ましくは6nm以上、更に好ましくは7nm以上である。ここで、平均粒子径の大きさは、水ガラス水溶液や上記混合液、調整液のpH、シリカ成分の濃度、熟成温度、熟成時間などにより調整できる。上記範囲内であると、シリカが微分散した複合体を得ることができる。
工程(III)では、先ず、ゴムラテックスと上記により得られた微粒子シリカ分散液とを公知の方法により混合し、その後、配合ラテックスが均一な溶液になるまで十分に攪拌することで、配合ラテックスを調製する。
なお、ゴムラテックスは、ゴム固形分が10〜70質量%のものを使用することが好ましい。
なお、上記ゴム/シリカ複合体は、本発明の効果を阻害しない範囲で他の成分を含んでもよい。
以下に、実施例で用いた各種薬品について説明する。
天然ゴムラテックス:ハイアンモニアタイプ(ゴム固形分濃度60質量%)
界面活性剤:ポリオキシエチレン脂肪酸アルコール(アルコールの炭素数C12〜C18、曇点70〜80℃)
氷酢酸:濃度98質量%試薬1級
過酸化水素水:濃度30質量%
水ガラス:富士化学(株)製の水ガラス3号(Na2O・nSiO2・mH2O、n=3.2、シリカ成分(SiO2換算量)含有量:28質量%)
イオン交換樹脂:アンバーライトIR−120B(H)HG(オルガノ社製、H型強酸性陽イオン交換樹脂)
300mlの三角フラスコに氷酢酸57gと30質量%過酸化水素水64gを加え、攪拌後、恒温糟で40℃に保ったまま24時間静置し、過酢酸溶液を作成した。1Lガラス容器に天然ゴムラテックス150g、蒸留水350g、15質量%の界面活性剤水溶液16gを加え10℃に冷却し、攬拌しながら作製した過酢酸溶液を10分間かけて滴下した。滴下終了後ラテックス溶液を24時間攪拌してエポキシ化天然ゴムラテックス(ENRラテックス)を得た。1H−NMRの結果、エポキシ化率は25モル%であった。
水ガラスを純水で希釈してシリカ成分含有量(シリカ濃度)5質量%の水ガラス水溶液134gを作製し、更に1質量%硫酸を添加してpH9.5に調整して80℃で24時間、攪拌を行った。
得られたシリカ分散液に、ENRラテックス30g(固形分33%)を加え、1質量%硫酸を添加してpH7に調整し、ろ紙#2を用いて自然ろ過後、40℃のオーブンで乾燥した。得られた試料のシリカ含有量を熱重量分析から求めたところ、ゴム成分100質量部に対して54質量部であった。
シリカ成分含有量1.5質量%の水ガラス水溶液を553g作製し、次いでイオン交換樹脂を75g添加してpH3.0に調整した。イオン交換樹脂をろ過により除去し、これを80℃で5時間熟成した。熟成後、シリカ濃度29質量%の水ガラス水溶液29gを加え、混合した後、イオン交換樹脂24gを添加し、pH9.5に調整した。ろ過により、イオン交換樹脂を除去し、80℃で24時間熟成した。
得られたシリカ分散液に、ENRラテックス60g(固形分33質量%)を加え、1質量%硫酸を添加してpH7に調整し、ろ紙#2を用いて自然ろ過後、40℃のオーブンで乾燥した。得られた試料のシリカ含有量を熟重量分析から求めたところ、ゴム成分100質量部に対して69質量部であった。
シリカ成分含有量1.5質量%の水ガラス水溶液を300g作製し、イオン交換樹脂を100g詰めたカラムに45分かけて通水した。得られた調整液はpH3.2となった。これを80℃で5時間熟成した(熟成液A)。一方、シリカ濃度6質量%の水ガラス水溶液46.3gにイオン交換樹脂9.8gを添加し、pH9.5に調整した。ろ過によりイオン交換樹脂を除去し、これを熟成液Aの一部108gに添加し、撹拌、混合した後に、80℃で24時間熟成した。
得られたシリカ分散液に、ENRラテックス30g(固形分33質量%)を加え、1質量%硫酸を添加してpH7に調整し、ろ紙#2を用いて自然ろ過後、40℃のオーブンで乾燥した。得られた試料のシリカ含有量を熱重量分析から求めたところ、ゴム成分100質量部に対して42.8質量部であった。
比較例 :5.5nm
実施例1:8.5nm
実施例2:8.5nm
また、熱重量分析からシリカロス(シリカ減少割合(%))を求め、表1に示した。
一方、比較例では、TEM写真で黒いドットのようなものが観察され、シリカが凝集している部分があった。また、シリカロスも20質量%と大きかった。
Claims (3)
- イオン交換樹脂を用いて水ガラス水溶液1のpHを2〜5に調整し、熟成する工程(I)、
該工程(I)で得られた熟成液と水ガラス水溶液2とを混合した混合液のpHを、イオン交換樹脂を用いて9〜11に調整し、熟成する工程(II−a)又は該工程(I)で得られた熟成液とイオン交換樹脂を用いて水ガラス水溶液2のpHを9〜11に調整した調整液とを混合し、熟成する工程(II−b)、及び
該工程(II−a)又は(II−b)で得られた微粒子シリカ分散液とゴムラテックスとを混合して配合ラテックスを調製し、得られた配合ラテックスを凝固させる工程(III)
を含むゴム/シリカ複合体の製造方法。 - 前記工程(I)は、水ガラス水溶液1とイオン交換樹脂とを混合して該水ガラス水溶液1のpHを2〜5に調整し、熟成すること、又はイオン交換樹脂を充填したカラムに水ガラス水溶液1を通液して該水ガラス水溶液1のpHを2〜5に調整し、熟成することにより行われる請求項1記載のゴム/シリカ複合体の製造方法。
- 請求項1又は2記載の製造方法により得られるゴム/シリカ複合体。
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