JP5391022B2 - 複合体、ゴム組成物及び空気入りタイヤ - Google Patents

複合体、ゴム組成物及び空気入りタイヤ Download PDF

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Description

本発明は、複合体及びその製造方法、並びに該複合体を含むゴム組成物及びそれを用いた空気入りタイヤに関する。
特許文献1には、スチレンブタジエンゴムと変性ブタジエンゴムの混合物によってグリップ性能と転がり抵抗特性を両立したゴム組成物が開示されている。これは変性スチレンブタジエンゴムのガラス転移点を利用してグリップ性能を向上したものである。また、特許文献2には、変性スチレンブタジエンゴムに水ガラスを混合することが開示されている。
ここで、得られる複合体をフィラーとして有効に機能させるには、ゴム練りにより、複合体を容易にゴム中に微分散させることが重要となる。なぜなら、特に、多量の複合体を添加した場合、微分散していない部分は破壊の起点となり、耐摩耗性能の悪化を招くからである。
しかしながら、上記特許文献2の変性スチレンブタジエンゴムラテックスと水ガラスを混合する手法では、性質にばらつきが大きく、フィラーとして用いた場合、変性スチレンブタジエン同士が凝集してしまい、ゴム練りによるゴムへの微分散が困難であった。
特開2007−146088号公報 特開2007−291178号公報
本発明は、前記課題を解決し、ゴム成分中で微細に分散させることができ、ゴム組成物や空気入りタイヤにおいて、優れたグリップ性能、補強性が発揮される複合体及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、スチレンブタジエンラテックスと平均粒子径100nm以下の微粒子シリカの分散液とを混合した配合ラテックスに酸又はアルカリを添加してpH5〜9に調整した後、乾燥することにより得られる複合体に関する。
上記複合体において、上記スチレンブタジエンラテックスが分子中にアミノ基又はカルボキシル基を有する変性スチレンブタジエンラテックスであることが好ましい。また、上記微粒子シリカの分散液が水ガラスを原料としてpHを9〜11に調整して得られるものであることが好ましい。
本発明は、スチレンブタジエンラテックスと平均粒子径100nm以下の微粒子シリカの分散液とを混合して配合ラテックスを調製する工程(I)、及び前記工程(I)で得られた配合ラテックスに酸又はアルカリを添加してpH5〜9に調整した後、乾燥する工程(II)を含む上記複合体の製造方法に関する。
本発明は、上記複合体を含むゴム組成物に関する。
本発明はまた、上記ゴム組成物を用いて作製した空気入りタイヤに関する。
本発明によれば、スチレンブタジエンラテックスと平均粒子径100nm以下の微粒子シリカの分散液とを混合した配合ラテックスに酸又はアルカリを添加してpH5〜9に調整し、更に乾燥して得られた複合体であるので、該複合体をゴム組成物のフィラーとして使用した場合、ゴム中に複合体を微細に分散させることができる。そのため、該ゴム組成物を用いたタイヤにおいて、優れた補強性が発揮されるとともに、良好なグリップ性能も得ることができる。
実施例1で調製した微粒子シリカの分散液から取り出したシリカ粒子のTEM写真 実施例1で調製した複合体(フィラー)のTEM写真(右図は拡大図) 実施例1及び比較例1で得られた加硫物のtanδの温度による変化を示すグラフ
<複合体>
本発明の複合体は、特定以下の平均粒子径を有する微粒子シリカを含む分散液とスチレンブタジエン(SB)ラテックスとを混合した配合ラテックスに、酸又はアルカリを添加して特定範囲のpHに調整して得られるものである。つまり、先ず平均粒子径100nm以下の微粒子シリカの分散液を調製した上で、その分散液とSBラテックスを混合して配合ラテックス(混合液)を作製し、次いで、該配合ラテックスのpHを5〜9に調整して得られる。このような製法を用いているので、球状スチレンブタジエンポリマーの周囲(表面)を微粒子シリカが取り囲んだ(被覆した)形態の複合体粒子を得ることができる。
このような形態の複合体粒子をフィラーとしてゴムに分散させた場合、得られるゴム組成物は、スチレンブタジエンポリマー由来の機能性とシリカ由来の補強性を兼ね備えた性質を示す。また、複合化した効果として、ゴム組成物中で良好な分散性が得られるので、摩耗特性の悪化が防止され、優れた耐摩耗性も得られる。
ここで、スチレンブタジエンポリマー由来の機能とは、グリップ性能向上剤としての働きである。例えば、ウェットグリップ性能であれば0℃付近、レース用グリップ性能であれば100℃付近のガラス転移点を有するスチレンブタジエンポリマーを用いると、対応する温度のtanδを向上させることが可能となり、グリップ性能向上剤としての機能が期待できる。また、シリカ由来の補強性については、シリカは微粒子であり、モジュラスの増加に寄与する。
複合化した効果として、非常に分散しやすい複合体フィラーが得られる理由は、スチレンブタジエンラテックス表面に付着した微粒子シリカによりスチレンブタジエンラテックス同士の凝集が抑制されるとともに、pH制御により微粒子シリカの表面活性が抑制され、シリカ同士の凝集力も抑制されるためであると考えられる。そして、その結果、複合体粒子同士の凝集力が抑制されると考えられる。
本発明の複合体は、例えば、SBラテックスと平均粒子径100nm以下の微粒子シリカの分散液とを混合して配合ラテックスを調製する工程(I)、及び上記工程(I)で得られた配合ラテックスに酸又はアルカリを添加してpH5〜9に調整した後、乾燥する工程(II)を含む製法により得られる。
(工程(I))
工程(I)で使用されるSBラテックスとしては、非変性SBラテックス、変性SBラテックスが挙げられる。SBラテックスにおいて、スチレンブタジエンポリマー(SB)としては、乳化重合スチレンブタジエンポリマー、溶液重合スチレンブタジエンポリマーが挙げられる。また、変性SBラテックスにおける変性スチレンブタジエンポリマーとしては、例えば、分子中に、アミノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、N−ヒドロキシカルバモイル基、ピリジル基、エポキシ基などの置換基を有しているSBが挙げられる。これらの置換基は、単独で有していてもよく、2種以上有していてもよい。
スチレンブタジエンポリマー(SB)の結合スチレン量は、特に限定されないが、上述の技術的課題を解決する上で、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上であり、また、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下である。
なお、「結合スチレン量」は、SBのスチレン単位の含有割合を示し、H−NMR測定により算出される。
なかでも、微粒子シリカが変性SBに付着しやすく、両成分がナノレベルで均質混合された複合体が容易に得られる点から、分子中にアミノ基を有しているSB(アミノ変性SB)、分子中にカルボキシル基を有しているSB(カルボキシル化SB;以下、「XSB」という)、分子中にアミノ基及びカルボキシル基を有しているSB(アミノ基及びカルボキシル基両変性SB;以下、「アミノ変性XSB」という)が挙げられ、より好ましくは、XSB、アミノ変性XSBである。
変性SBにおいて、アミノ基やカルボキシル基の含有量(変性SBのゴム分子全体に対するアミノ基(−NH)やカルボキシル基(−COOH)の質量割合)は、特に限定されないが、複合体の生成効率やタイヤのグリップ性能の向上効果などの観点より、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは2質量%以上、更に好ましくは2〜20質量%である。
変性SBのガラス転移温度(Tg)は、好ましくは0℃以上、より好ましくは30℃以上である。また、該Tgは、好ましくは100℃以下、より好ましくは90℃以下である。0℃未満であると、マトリックスのゴムとTgが近くなり、変性スチレンブタジエンポリマーのTgの特徴が出にくくなるおそれがある。また、100℃を超えると、硬くなるため、加工性に問題が生じるおそれがある。なお、TgはDSC測定により得ることができる。
工程(I)で使用される特定以下の平均粒子径を有する微粒子シリカの分散液としては、水ガラスを原料として、pHを9〜11に調整して得られるものが好ましい。水ガラスから微粒子シリカを作製することなく、水ガラスとSBラテックスを単に混合しただけでは、シリカは微粒子ではなく、不定形として存在している。そのため、ゴム中に微粒子シリカが均一に分散したゴム組成物を製造するのは困難である。また、水ガラスから微粒子シリカを作製したとしても、シリカ表面のシラノール基の働きによる強い凝集力のため、複合体は凝集する傾向にあり、微分散が困難である。これに対し、水ガラスを原料としてpHを9〜11に調整して作製した微粒子シリカ分散液と、SBラテックスとを混合した後、更に酸又はアルカリを添加してpH5〜9に調整して作製すると、複合体微粒子同士の凝集力が抑制されるため、ゴム中への微分散が容易な複合体を調製できる。
水ガラスは、通常、下記式で示される組成で表される。
NaO・nSiO・mH
上記係数nは、SiO/NaOの分子比で示される値であって、一般にモル比と呼ばれるJIS K 1408−1966に規定の範囲である。この係数nは、特に限定されないが、好ましくは2.1〜3.3であり、より好ましくは3.1〜3.3である。上記係数nが3.1〜3.3であるときは、水ガラス中のシリカ成分(SiO換算量)が多くなることから、複合化処理の効率が向上する。
なお、一般に、上記係数nが3.1〜3.3である水ガラスは、水ガラス3号として市販されている。本発明に使用可能な水ガラスは、これに限定されるものではなく、例えば、JIS K1408に規定の1〜3号水ガラスや、その他各種のグレード品を使用することができる。
水ガラスの水溶液を作製し、該水溶液のpHを9〜11の範囲に調整することにより、平均粒子径100nm以下の微粒子シリカが分散した微粒子シリカの分散液を調製できる。pHが9未満の場合、ゲル化しやすく、pHが11を超えると微粒子シリカが溶解する傾向にある。より好ましくは、pHは9.5〜10.5の範囲に調整される。pHを9〜11の範囲に調整する手法は特に限定されず、酸又はアルカリの添加など、従来公知の方法で実施できる。
更に水ガラスの水溶液の温度は10〜70℃に調整されることが望ましい。温度が10℃未満では、微粒子シリカの生成速度が遅く、温度が70℃を超えると、水溶液の水の蒸発が生じ、水溶液中の水ガラスの濃度が不安定になりやすい。水溶液の温度は、より好ましくは15〜60℃の範囲である。
また水ガラス水溶液中に含まれるシリカ成分(SiO)の濃度は、1〜10質量%の範囲が好ましい。濃度が1質量%未満の場合、ラテックスとの複合化のために大量の水ガラスの水溶液が必要となり、10質量%を超えると、シリカの凝集が生じやすい。該シリカ成分の濃度は、より好ましくは1.5〜4質量%の範囲である。ただし、脱塩処理をした水ガラスを使用する場合、シリカの凝集は生じにくいため、上限は特に限定されない。
反応時間は、1〜72時間の範囲が好ましい。1時間未満では、微粒子シリカの生成が十分ではなく、72時間を超えても、反応は既に終了し、それ以上の変化がない傾向にある。より好ましくは、室温において攪拌条件下で6〜24時間行われる。また、室温よりも高温であれば、更に短時間でもよい。
上記方法で得られる微粒子シリカの平均粒子径は100nm以下、好ましくは30nm以下である。ここで平均粒子径の大きさは、水溶液のpH、シリカ成分の濃度、反応温度、反応時間などを調整することで任意に調整することができる。
なお、本明細書において、微粒子シリカの平均粒子径の測定方法は、透過型電子顕微鏡(TEM)観察が用いられる。具体的には、微粒子を透過型電子顕微鏡で写真撮影し、微粒子の形状が球形の場合には球の直径を粒子径とし、針状又は棒状の場合には短径を粒子径とし、不定型の場合には中心部からの平均粒径を粒子径とし、微粒子100個の粒径の平均値を平均粒子径とする。
工程(I)では、SBラテックスと、上記製法などにより得られた微粒子シリカの分散液とを公知の方法により混合し、配合ラテックス(混合液)を調製する。
この混合工程では、SB100質量部(固形分)に対して、シリカが3〜50質量部(SiO換算)となるように分散液を混合することが好ましい。3質量部未満であると、シリカの量が少なく、スチレンブタジエンポリマーの凝集が起こりやすくなる。50質量部を超えると、シリカ同士の凝集の傾向が強くなる。より好ましくは、5〜20質量部である。
(工程(II))
工程(II)では、工程(I)で得られた配合ラテックスに、酸又はアルカリを添加することによって配合ラテックスのpHを5〜9(好ましくは6〜8、より好ましくは6.5〜7.5)に調整した後に、乾燥工程が行われる。
工程(II)のpH調整に用いられる酸としては、硫酸、塩酸、硝酸などの無機酸、蟻酸、酢酸などの有機酸が挙げられ、なかでも、無機酸が好ましく、硫酸、塩酸、硝酸がより好ましい。アルカリとしては、水酸化ナトリウム、アンモニア水などが挙げられる。通常の条件下では、SBラテックスが中性に近く、水ガラスが高pHであり、複合液は高pHになるため、酸を用いてpH調整が行われる。pH調整により、得られる複合体粒子同士の凝集力を抑制できる。
pH調整した配合ラテックスの乾燥工程は、公知の方法(オーブンなど)で行われる。乾燥工程で水分を除去することにより、スチレンブタジエンポリマー及び微粒子シリカが混合された複合体粒子の粉末が得られる。乾燥後、スチレンブタジエンポリマーの周囲を微粒子シリカが取り囲んだ形態の複合体粒子となる。以上の方法で得られた複合体粒子は、フィラーとしてゴム練りすることにより、ゴム中に微分散させることができる。
工程(II)においてpHを5〜9に調整せずに、乾燥して得られる複合体粒子は、ゴム練りによってゴムに混合した場合、微分散することが困難である。また、微粒子シリカを付着させずに、SBラテックスのみを乾燥させた単体粒子も同様に、微分散が困難である。従って、微粒子シリカの付着とpH制御の両方が微分散には重要である。
<ゴム組成物>
本発明のゴム組成物に使用できるゴム成分としては、特に限定されず、例えば、天然ゴム(NR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム(X−IIR)、イソモノオレフィンとp−アルキルスチレンとの共重合体のハロゲン化物などが挙げられる。なかでも、グリップ性能向上の点から、SBRが好ましい。SBRとしては、乳化重合SBR(E−SBR)、溶液重合SBR(S−SBR)が挙げられる。
ゴム組成物において、ゴム成分としてのSBRの含有量は、ゴム成分100質量%中、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上であり、100質量%であってもよい。80質量%未満であると、グリップが悪化する傾向がある。
なお、上記SBRの含有量は、ゴム成分としてのSBR量であり、上記複合体に含まれるSB量は含まない。
本発明のゴム組成物は、上記複合体を含有する。該複合体はゴム組成物中でフィラー(充填剤)として機能させることができる。
複合体の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは10質量部以上、より好ましくは20質量部以上である。10質量部未満であると、補強性が充分に得られないおそれがある。また、該複合体の含有量は、好ましくは100質量部以下、より好ましくは80質量部以下、更に好ましくは60質量部以下である。100質量部を超えると、破壊特性が悪化する傾向がある。
本発明では、上記複合体とともにシランカップリング剤を併用することが好ましい。これにより、補強性を更に向上できる。
シランカップリング剤としては特に制限はなく、従来、タイヤ工業においてシリカと併用されているものが使用でき、例えば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4−トリエトキシシリルブチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4−トリメトキシシリルブチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(4−トリエトキシシリルブチル)トリスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(4−トリメトキシシリルブチル)トリスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4−トリエトキシシリルブチル)ジスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4−トリメトキシシリルブチル)ジスルフィドなどのスルフィド系、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどのメルカプト系、ビニルトリエトキシシランなどのビニル系、3−アミノプロピルトリエトキシシランなどのアミノ系、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシランなどのグリシドキシ系、3−ニトロプロピルトリメトキシシランなどのニトロ系、3−クロロプロピルトリメトキシシランなどのクロロ系等が挙げられる。なかでも、加工性、コストの面から、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィドが好ましい。
シランカップリング剤の含有量は、複合体中に含まれるシリカ100質量部に対して3質量部以上が好ましく、5質量部以上がより好ましい。3質量部未満では、シリカと充分に反応せず、補強性が向上しない傾向がある。また、該シランカップリング剤の含有量は、25質量部以下が好ましく、20質量部以下がより好ましい。25質量部を超えると、シランカップリング剤の配合によるゴム強度及び耐摩耗性の改善効果がみられず、コストが増大してしまう傾向がある。
上記ゴム組成物には、他のフィラーとして、カーボンブラックを配合してもよい。これにより、ゴムの強度を向上させることができる。カーボンブラックとしては、例えば、HAF、ISAF、SAF、GPF、FEFなどを用いることができる。
カーボンブラックのチッ素吸着比表面積(NSA)は30m/g以上が好ましく、50m/g以上がより好ましい。NSAが30m/g未満では、ゴムの補強性が低下する傾向がある。また、カーボンブラックのNSAは500m/g以下が好ましく、300m/g以下がより好ましい。NSAが500m/gを超えると、凝集力が強くなり、分散が困難になる傾向がある。
カーボンブラックのチッ素吸着比表面積は、JIS K6217、7項のA法によって求められる。
カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは10質量部以上、より好ましくは20質量部以上、更に好ましくは30質量部以上である。10質量部未満では、充分な補強性が得られない傾向がある。また、該カーボンブラックの含有量は、好ましくは200質量部以下、より好ましくは180質量部以下、更に好ましくは150質量部以下である。200質量部を超えると、硬くなりすぎて、摩耗性能が悪化する傾向がある。
本発明のゴム組成物には、前記の成分以外にも、通常ゴム工業で使用される添加剤、例えば、酸化亜鉛、ステアリン酸、各種老化防止剤、ワックス、硫黄などの加硫剤、加硫促進剤などを適宜配合することができる。
本発明のゴム組成物の製造方法としては、公知の方法を用いることができ、例えば、前記各成分をオープンロール、バンバリーミキサー、密閉式混練機などのゴム混練装置を用いて混練し、その後加硫する方法等により製造できる。
上記ゴム組成物は、タイヤの各部材に適用できるが、なかでも、トレッドに好適に用いることができる。
<空気入りタイヤ>
本発明のゴム組成物は、空気入りタイヤに好適に適用されるものであり、グリップ性能、引き裂き強度、モジュラス、破断強度、破断時伸び、破壊強度に優れ、耐摩耗性も良好である。
本発明の空気入りタイヤは、上記ゴム組成物を用いて通常の方法によって製造される。すなわち、必要に応じて各種添加剤を配合したゴム組成物を、未加硫の段階でタイヤの各部材の形状に合わせて押し出し加工し、タイヤ成型機上にて通常の方法にて成形することにより未加硫タイヤを形成した後、加硫機中で加熱加圧してタイヤを製造することができる。
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
以下、実施例及び比較例で使用した各種薬品について、まとめて説明する。
水ガラス:富士化学(株)製の水ガラス3号(NaO・nSiO・mHO、n=3.2、シリカ成分(SiO換算量)含有量:28質量%)
変性スチレンブタジエンラテックス:(日本ゼオン(株)製「VR004」、Tg:85℃、カルボキシル化SB)
SBR:Nipol NS422(日本ゼオン(株)製、結合スチレン量:25質量%)
複合体フィラー:下記実施例で作製
複合体フィラー(pH制御なし):下記実施例で作製
シランカップリング剤:デグサ(株)製のビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド
カーボンブラック:キャボットジャパン(株)製のショウブラックN110とオイル62%を含有したN110を併用(NSA:144m/g)
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の酸化亜鉛2種
ステアリン酸:日油(株)社製の「椿」
硫黄:鶴見化学工業(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤:大内新興化学工業(株)製のノクセラーCZ
実施例1〜2
<微粒子シリカの分散液の調製>
水ガラスを用いて、シリカ成分含有量(濃度)が2質量%の水ガラス水溶液を作製し、pH10に調整して25℃で24時間、攪拌を行い、微粒子シリカの分散液を得た。その後シリカを取り出しTEM観察を行ったところ、平均粒子径20nm程度の微粒子シリカが生成していた。そのTEM観察写真を図1に示す。
<配合ラテックスの調製、凝固>
得られた微粒子シリカの分散液に変性スチレンブタジエンラテックスを混合して配合ラテックスを調製した。SB分が100gに対してシリカ成分が10gになるように混合した。配合ラテックスが均一になるまで十分に攪拌した後、配合ラテックスを硫酸によりpH7に調整し、凝固させた。得られた固形物を濾過して回収し、更に純水で洗浄し、100℃のオーブンで乾燥した。
前記固形物を乾燥した後、乾燥物(複合体フィラー)を得た。このTEM観察写真を図2に示す。図2において、直径200〜300nmの球状スチレンブタジエン粒子の周囲に水ガラス由来のシリカが付着している様子が観察され、数μmを超える大きなシリカの凝集体は生成していないことが認められた。
<複合体フィラーを用いたゴム組成物>
表1の配合に従って薬品を配合し、混練りすることによりゴム組成物を得た。次いで、得られたゴム組成物を、170℃で20分間プレス加硫することにより、加硫物を得た。
比較例1
上記で調製した複合体フィラーを配合しなかった以外は同様にし、表1の配合に従って加硫物を得た。
比較例2
上記で調製した複合体フィラーに代えて、配合ラテックスを硫酸によりpH7に調整する工程を行わずに調製した複合体フィラー(pH制御なし)を使用した以外は同様にし、表1の配合に従って加硫物を得た。
比較例3
シリカ成分を加えずに変性スチレンブタジエンラテックスのみをpH7に調整し、オーブンで乾燥したものを固形物として得た。これをフィラーとして用いた以外は同様にし、表1の配合に従って加硫物を得た。
得られた加硫物を使用して、下記の評価を行った。膨潤度、デュロメータ硬さ、引き裂き強さ、M100、M300、TB、EB、TB×EBの試験結果を表1、粘弾性特性を図3に示す。
<物性評価>
(膨潤度(SWELL))
各実施例及び比較例の加硫物をトルエンで抽出し、抽出前後の体積変化率(膨潤度、SWELL)を測定した。
(デュロメータ硬さ)
各実施例及び比較例の加硫物について、JIS K 6253−1997「加硫ゴム及び熱可塑性ゴムの硬さ試験」に準じて、デュロメータ硬さ(タイプA)を測定した。
(引き裂き試験)
各実施例及び比較例の加硫物について、JIS−K6252の「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−引き裂き強さの求め方」に準じて、切り込み無しのアングル形試験片を使用して、引き裂き強さ(N/mm)を測定した。
(粘弾性特性)
各実施例及び各比較例で得られた加硫物のグリップ性能を評価するため、上記加硫物について、粘弾性スペクロトメーター(型式「VES」、(株)岩本製作所製)を用いて、温度−100〜+150℃の範囲で、初期歪み10%、動的歪み2%の条件下で、損失係数(tanδ)の温度変化を測定した。
(引張試験)
JIS K 6251「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−引張特性の求め方」に準じて、各実施例及び比較例の加硫物について、100%、300%伸び時における引張応力M100(MPa)、M300(MPa)、破断時強度TB(MPa)、破断時伸びEB(%)を測定した。測定には、上記加硫物を切り取って得られた試験片(ダンベル3号)を用いた。なお、測定条件は、試験温度23℃、引張速度500mm/分とした。
また、TB、EBからTB×EBを算出した。数値が大きいほど破壊強度が良好であることを示す。
実施例1(複合体フィラーを添加)では、図3からtanδのピークの盛り上がりがあり、グリップ向上剤として使用できることが明らかとなった。表1より、複合体フィラーを添加していない比較例1に比べて、破壊強度の低下もみられなかった。実施例2(実施例1に更にシランカップリング剤を添加)では、M100、M300、引裂き強度が向上し、補強性に向上がみられた。これはシリカの補強性がシランカップリング剤により効果的に促進されたと考えられる。
比較例1(複合体フィラーの添加なし)では、図3において、tanδのピークの盛り上がりがなく、グリップ向上に寄与できない。比較例2(複合体フィラー(pH制御なし)を添加)では、表1より破壊強度の大幅な減少がみられた。比較例3では、破壊強度が強く、シリカの複合化が重要であることを示している。

Claims (7)

  1. 分子中にアミノ基又はカルボキシル基を有する変性スチレンブタジエンラテックスと平均粒子径100nm以下の微粒子シリカの分散液とを混合した配合ラテックスに酸又はアルカリを添加してpH5〜9に調整した後、乾燥することにより得られる複合体。
  2. 前記変性スチレンブタジエンは、アミノ基又はカルボキシル基の含有量が0.5質量%以上、ガラス転移温度が0〜100℃である請求項1記載の複合体。
  3. 微粒子シリカの分散液が水ガラスを原料としてpHを9〜11に調整して得られるものである請求項1又は2記載の複合体。
  4. スチレンブタジエンラテックスと平均粒子径100nm以下の微粒子シリカの分散液とを混合して配合ラテックスを調製する工程(I)、及び前記工程(I)で得られた配合ラテックスに酸又はアルカリを添加してpH5〜9に調整した後、乾燥する工程(II)を含む請求項1〜3のいずれかに記載の複合体の製造方法。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載の複合体を含むゴム組成物。
  6. 更に、カーボンブラックを含む請求項5記載のゴム組成物。
  7. 請求項5又は6記載のゴム組成物を用いて作製した空気入りタイヤ。
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