JP2017095569A - ウェットマスターバッチの製造方法及びタイヤの製造方法 - Google Patents

ウェットマスターバッチの製造方法及びタイヤの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、タイヤの製造において、耐摩耗性、耐疲労性及び発熱性が向上したタイヤの材料として使用されるウェットマスターバッチの製造方法及びその方法を用いたタイヤの製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明のウェットマスターバッチの製造方法は、スラリーに配合され分散されるカーボンブラックの表面平均酸性官能基量(μeq/m)が0.15以上3.00未満であり、前記カーボンブラックを分散させたスラリーとゴム成分を含有するラテックスとの混合液の凝固時に、混合液に、炭素数が12〜32の不飽和炭化水素化合物を含有させる前記ウェットマスターバッチの製造方法である。
【選択図】なし

Description

本発明は、ウェットマスターバッチの製造方法及びそれを用いたタイヤの製造方法に関する。より詳細には、特定のカーボンブラック及び/又はシリカを分散させたスラリーとゴム成分を含有するラテックスとの混合液の凝固時に、特定の不飽和炭化水素化合物を含有させるウェットマスターバッチの製造方法及びそれを用いたタイヤの製造方法に関する。
ウェットマスターバッチは、ゴム組成物中、充填剤を高度に分散させるために用いられる。
一方、補強性充填剤であるカーボンブラック及びシリカは、タイヤの耐久性向上のため、従来用いられてきた。
カーボンブラックは、炭素原子が集合した粒子であるが、カーボンブラックの製造方法によっては、カーボンブラックは、その粒子表面に、水酸基、カルボキシル基等の官能基を有する。
また、シリカにも、粒子表面にシラノール基等の酸性官能基が存在する。
カーボンブラック及びシリカの粒子は、ゴム成分の高分子との間で相互作用を生じるが、その相互作用は、タイヤの補強効果を生じる主要な要因となる。
充填剤粒子がゴム成分の高分子中に高度に分散されていることにより、低ロス性(tanδ)を改良され、また、タイヤの発熱性を改良する。
従って、各種手法により充填剤粒子をゴム成分の高分子中に、高度に分散させることが試みられてきた。
ウェットマスターバッチの製造において、充填剤のスラリー中への分散を向上するため、水中に溶解する界面活性剤を用いることは従来なされてきた。
しかし、界面活性剤の添加は、充填剤とゴム成分の高分子との間の相互作用を阻害し、タイヤの補強効果を低下させてしまう。
特許文献1には、老化防止剤を含有するウェットマスターバッチを製造する方法であって、特定充填材と老化防止剤を共に予め分散溶液と混合し、高せん断ミキサーを用いて溶液中に分散させることによりスラリーを調製した後、該スラリーとゴム溶液とを混合し、凝固することを特徴とするウェットマスターバッチの製造方法が記載されている。
特許文献1では、スラリー調製時にオレイン酸を添加し、ハイシアーミキサーで攪拌しているが、カーボンブラックの表面平均酸性官能基量には限定の無いものである。
同文献では比較例2において、老化防止剤を充填剤と共にスラリーに混合しているが、カーボンブラックの表面平均酸性官能基量を好適なものとすることにより、カーボンブラックの水中への分散を向上することについては記載がない。また、老化防止剤やそれを溶解した有機溶媒がスラリー中に混合されるため、同文献に記載の発明においてオレイン酸がカーボンブラック表面に吸着されることが困難である。
特開2006−213842(比較例2)
本発明は、上記従来技術の課題等について、これを解消しようとするものである。即ち、充填剤粒子をゴム成分の高分子中に高度に分散させ、カーボンブラック粒子と、ゴム成分の高分子との間に相互作用を生じることにより、良好な加工性、耐摩耗性及び低ロス性が高度に両立され得るウェットマスターバッチの製造方法及びタイヤの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記従来技術の課題等に鑑み、鋭意検討した結果、その表面に官能基を有するカーボンブラックを分散させたスラリーと、ゴム成分を含有するラテックスの混合液の凝固時に、炭素数が12〜32の不飽和炭化水素化合物を含有させるウェットマスターバッチの製造方法により、かかるウェットマスターバッチを材料として用いて製造したタイヤの耐摩耗性、耐疲労性及び発熱性が向上することを見出した。
即ち、本発明は、次の(1)〜(12)に存する。
(1) ウェットマスターバッチの製造方法であって、
スラリーに配合され分散されるカーボンブラックの表面平均酸性官能基量(μeq/m)が0.15以上3.00未満であり、
前記カーボンブラック及び/又はシリカを分散させたスラリーとゴム成分を含有するラテックスとの混合液の凝固時に、
混合液に、炭素数が12〜32の不飽和炭化水素化合物を含有させることを特徴とするウェットマスターバッチの製造方法。
(2) 混合液に、炭素数が12〜32の不飽和炭化水素化合物を、充填剤重量に対して0.25〜6.95重量%含有させる上記(1)に記載のウェットマスターバッチの製造方法。
(3) スラリーのpHが、8.0以上、凝固時の混合液のpHが、7.0未満である上記(1)又は(2)に記載のウェットマスターバッチの製造方法。
(4) 混合液が有機溶媒及び界面活性剤を実質的に含まない上記(1)〜(3)のいずれか1つに記載のウェットマスターバッチの製造方法。
(5) 凝固後ウェットマスターバッチを110℃以上で5分以上加熱する、上記(1)〜(4)のいずれか1つに記載のウェットマスターバッチの製造方法。
(6) 凝固後ウェットマスターバッチを加熱するまで配合剤を加えず、110℃以上で5分以上加熱した後に配合剤を加える、上記(5)に記載のウェットマスターバッチの製造方法。
(7) 不飽和炭化水素化合物が、2以上のそれぞれ互いに共役していない2重結合を有する不飽和炭化水素化合物である、上記(1)〜(6)のいずれか1つに記載のウェットマスターバッチの製造方法。
(8) 不飽和炭化水素化合物が、テルペン類である、上記(7)に記載のウェットマスターバッチの製造方法。
(9) 不飽和炭化水素化合物が、スクアレンである、上記(8)に記載のウェットマスターバッチの製造方法。
(10) 不飽和炭化水素化合物が、任意に1以上のカルボキシル基を有する、上記(1)〜(6)のいずれか1つに記載のウェットマスターバッチの製造方法。
(11) 不飽和炭化水素化合物が、リノール酸及び/又はオレイン酸である、上記(10)に記載のウェットマスターバッチの製造方法。
(12) 上記(1)〜(11)に記載の製造方法により得られたウェットマスターバッチを材料として用いるタイヤの製造方法。
本発明の製造方法によれば、充填剤のゴム成分中への分散を向上し、また、充填剤とゴム成分マトリックスとの相互作用を向上することにより、耐摩耗性、耐疲労性及び発熱性に優れたタイヤを製造することができるウェットマスターバッチが提供される。
以下に、本発明に係る実施形態を詳しく説明する。
本発明のウェットマスターバッチの製造方法は、スラリーに配合され分散されるカーボンブラックの、下記に説明する表面平均酸性官能基量(μeq/m)が0.15以上3.00未満であり、前記カーボンブラックを分散させたスラリーとゴム成分を含有するラテックスとの混合液の凝固時に、混合液に、炭素数が12〜32の不飽和炭化水素化合物を含有させる前記ウェットマスターバッチの製造方法である。
本発明のウェットマスターバッチの製造方法において、ウェットマスターバッチは、混合液の凝固後、水分を除去することによって得られる。
本発明のウェットマスターバッチの製造方法は、例えば、カーボンブラック及び/又はシリカを撹拌により分散させスラリーを製造する工程、ゴム成分を含有するラテックスを製造する工程、前記スラリーと前記ラテックスを混合し混合液を得る混合工程、前記混合液を凝固し凝固物を得る凝固工程、前記凝固物を脱水してウェットマスターバッチとする脱水工程及びウェットマスターバッチを乾燥する乾燥工程を含む。
本発明のウェットマスターバッチの製造方法において、ゴム成分は、ウェットマスターバッチ製造時のラテックス中のゴム成分としてゴム組成物に配合される他、ウェットマスターバッチに、別の固相のゴムを混練することによりゴム組成物に加えられてもよい。
本発明のウェットマスターバッチの製造方法において、スラリーのpHは、その表面に酸性官能基を有するカーボンブラック及びシリカのスラリー中における分散の観点から、好ましくは8.0以上、より好ましくは9.0以上である。
本発明のウェットマスターバッチの製造方法において、凝固時の混合液のpHは、酸性が好ましく、好ましくは7.0未満であり、より好ましくは、5.0以下である。
本発明のウェットマスターバッチの製造方法において、充填剤表面への前記不飽和炭化水素化合物の吸着を阻害しないために、スラリーとラテックスとの混合液は、有機溶媒及び分散剤としての水溶性の界面活性剤を実質的に含まないことが好ましい。
本発明のウェットマスターバッチの製造方法において、前記不飽和炭化水素化合物により充填剤表面で形成された層を固定化するため、凝固後、ウェットマスターバッチを110℃以上で5分以上加熱することが好ましい。前記加熱は、脱水工程、乾燥工程において行われても、これらの工程とは別に行われても良い。
本発明のウェットマスターバッチの製造方法において、凝固後ウェットマスターバッチに加熱するまで配合剤を加えず、110℃以上で5分以上加熱した後に配合剤を加えることが好ましい。加熱する前に配合剤を加えると、配合剤が、充填剤表面への前記不飽和炭化水素化合物の吸着を阻害し、本発明の効果を低下させる。
〔不飽和炭化水素化合物〕
本発明のウェットマスターバッチの製造方法において、スラリーとラテックスを混合した混合液には、炭素数が12〜32の不飽和炭化水素化合物が加えられている。
前記不飽和炭化水素化合物は、室温において油状であるものが好ましい。前記不飽和炭化水素化合物が固体又は粉末状である場合、水中に油滴として分散することができず、充填剤表面に吸着することが困難になる。
前記不飽和炭化水素化合物は、スラリーに加えられても、ラテックスに加えられても、スラリーとラテックスとの混合液に加えられても良いが、スラリー中の充填剤に撹拌時に吸着することができるため、スラリーに加えられることが好ましい。
前記不飽和炭化水素化合物は、混合液中、充填剤重量に対して好ましくは0.25〜6.95重量%、より好ましくは0.4〜5.5重量%、更に好ましくは、1.8〜5.2重量%含有される。
前記不飽和炭化水素化合物は、加熱時にラジカル反応によりゴム高分子と反応生じるという観点から、好ましくは、2以上のそれぞれ互いに共役していない2重結合を有する不飽和炭化水素化合物であり、より好ましくは、テルペン類であり、更に好ましくは、水に難溶性の適度な融点を有する油状成分であり、撹拌時に油滴として水に好適に分散し、ゴム高分子との親和性及び反応性が高いという観点から、スクアレンである。
また、前記不飽和炭化水素化合物は、カルボキシル基を有する不飽和炭化水素化合物を用いることができ、好ましくは、リノール酸又はオレイン酸である。
〔充填剤〕
本発明のウェットマスターバッチの製造方法において、充填剤としてカーボンブラック及び/又はシリカを用いることができる。本発明の目的を逸脱しない範囲において、他の充填剤が加えられても良い。
〔カーボンブラック〕
本発明で用いるカーボンブラックは、例えば、HAF、ISAF、SAF等のグレードを1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。
本発明で用いるカーボンブラックは、各種製造方法により得られたままのものでも、酸化剤等の各種化学物質により、粒子表面を改質又は化学的に修飾されたものでもよい。
本発明で用いるカーボンブラックの配合量は、前記ゴム成分100質量部に対し、10質量部〜130質量部であることが望ましい。前記カーボンブラックの配合量は、より好ましくは、30〜90部、更に好ましくは、45〜75質量部である。また、発熱性を抑制する観点から、カーボンブラックの配合量は、130質量部以下が好ましい。
また、本発明で用いるカーボンブラックは、製造方法には特に制限はない。更に、本発明で用いるカーボンブラックは、触媒反応等の各種反応による変成や、物理的処理により、粒子径、表面積、カーボンブラックの粒子表面の官能基、ストラクチャー又は各種性質を変化させたものであってもよい。
〔シリカ〕
本発明のゴム組成物には、ウェットマスターバッチ調整時又はウェットマスターバッチ調整後に混練することによりシリカが配合されてもよい。
本発明のゴム組成物に用いることができるシリカは、特に制限はない。市販のゴム組成物に使用されているものが使用でき、中でも湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)、コロイダルシリカ等を使用することができる。
〔充填剤スラリー〕
充填剤スラリーの調製には、ローター・ステータータイプのハイシアーミキサー、高圧ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、コロイドミル等が用いられる。例えば、コロイドミルに所定量の充填剤と水を入れ、高速で一定時間攪拌することで、当該スラリーを調製することができる。
本発明における充填剤スラリーは、分散剤の不存在下で充填剤が分散してなるものである。ここで、分散剤とは、充填剤スラリー中で安定に充填剤を分散させる目的で加える界面活性剤及び樹脂をいう。
充填剤を安定に分散させるために分散剤を添加すると、本発明において用いる不飽和炭化水素化合物が充填剤粒子表面に吸着せず、天然ゴム高分子と充填剤との親和性を高める効果を生じない。例えば、カーボンブラックの場合、気相オゾン処理カーボンブラックを用いる等により、分散剤を添加せずにカーボンブラックを分散させることができる。分散剤を用いないことで、本発明において用いる不飽和炭化水素化合物の充填剤粒子表面への吸着を阻害せず、調製したウェットマスターバッチを材料として製造したゴム製品に破壊強度の低下をもたらす心配が無く、製造コストも低減することができる。
本発明のウェットマスターバッチの製造方法においては、油状の本発明に用いる不飽和炭化水素化合物がカーボンブラック及び/又はシリカ表面に付着し、天然ゴム高分子とカーボンとの親和性が向上する。従って、ゴム成分のバウンドラバーが有効に形成され、ゴム成分中の充填剤の分散性が向上し、耐摩耗性が向上する。
本発明に用いる不飽和炭化水素化合物が吸着することにより充填剤表面に生じた層は、加熱することにより固定化し、バウンドラバーを更に有効なものにする。
本発明の製造方法において、スラリーとゴム成分を含有するラテックスとを混合し混合液を得る混合工程においては、公知の方法を用いることができ、強く撹拌することができる方法であれば、特に限定されない。本発明の混合工程においては、予め、水中にカーボンブラック及び/又はシリカが分散したスラリーを調製しておくことが必要であるが、このスラリーの製造方法は公知の方法を用いることができ、強く撹拌することができる方法であれば、特に限定されない。より好ましくは、高度に分散させるため、ハイシアーミキサーを用いる。
本発明の製造方法に用いるハイシアーミキサーは、回転するローターと固定されたステーター部とからなる。前記ハイシアーミキサーにおいては、高速で回転するローターと、固定されたステーター部が狭いクリアランスで配置されており、ローターの回転により高いせん断力が生み出される。ここで、高いせん断力とは、せん断速度が2000/s以上を指し、4000/s以上であるのが好ましい。前記ハイシアーミキサーとしては、市販品を利用することができ、例えば、特殊機化工業社製ホモミキサー、独国PUC社製コロイドミル、独国キャビトロン社及び英国シルバーソン社製ハイシアーミキサー等を好適に用いることができる。
前記、水中にカーボンブラック及び/又はシリカが分散したスラリーを調製する工程で高せん断ミキサーを用いた場合、製造されるウェットマスターバッチは、全体としての均一性が向上する。
スラリーを調製するために用いるカーボンブラックは、各種工業用用途、例えばタイヤ用やインク用に用いられるものの示す範囲内であれば特に制限はない。前記カーボンブラックは、表面平均酸性官能基量が、0.15〜3.00(μeq/m)のものを用いる。
表面平均酸性官能基量は、下記の方法にて測定した酸性官能基量を窒素吸着比表面積で除した値であり、単位面積当たりの当量(μeq/m)で示される。
表面平均酸性官能基量が0.1(μeq/m)未満であると、スラリーの粒度分布を微細な粒子の範囲において得ることができなくなる。カーボンブラックの表面平均酸性官能基量は、スラリーの粒度分布の微細化、及び補強性の低下防止の観点から、0.30〜2.5であることがより好ましく、0.3〜1.5以下であることがさらに好ましい。カーボンブラックは、表面に酸性官能基を導入することによって、水との親和性が向上し、スラリーの粒度分布が、微細な粒子の範囲のものとなる。
酸性官能基を有するカーボンブラックをスラリー化する段階では、微細化したカーボンブラックを安定して保持するために、水酸化ナトリウム等の塩基を添加してpH8以上とし、酸性官能基をイオン化してもよい。pH8未満では、酸性官能基を有するカーボンブラックが凝集してしまうため好ましくない。スラリーのpHは、微細化したカーボンブラックを安定して保持するという観点から、9以上であることが好ましい。
前記塩基としては、水酸化ナトリウム、アンモニア等が好適に挙げられる。
〔酸性官能基量の定量〕
酸性官能基量を定量する手段としては、例えば、Boehmらが提案する下記の方法が挙げられる。
<Boehmらの方法>
カーボンブラック10gと0.01mol/LのCONa水溶液50gをフラスコ中で2時間攪拌後、22時間室温で静置する。静置後、さらに30分間攪拌してから濾過し、濾液を回収する。回収した濾液25mLを0.01mol/LのHCl水溶液で中和滴定し、pHが4.0に到達するまでに要するHCl水溶液量(mL)を測定する。該HCl水溶液量と下記式(I)から表面平均酸性官能基量(ミリ当量/kg)を算出する。
酸性官能基量=(25−HCl水溶液量)×2 ・・・(I)
〔窒素吸着比表面積(NSA)〕
窒素吸着比表面積は、JIS K 6217(1997)に準じて測定する。
カーボンブラックの酸化処理は、乾燥したカーボンブラックを0.1%以上16%以下のオゾン雰囲気下に晒す処理により行うことが好ましい。オゾン雰囲気下でのカーボンブラックの酸化処理における処理温度は、常温〜100℃であり、処理時間は10秒〜300秒である。このカーボンブラックの酸化処理は、乾燥カーボンブラックをオゾンガスで直接酸化する手法であるので、後処理(水洗・乾燥)が必須ではなく、効率的かつ簡便でコストも抑制できる。
カーボンブラックは、コロイダル特性及び表面酸性官能基の効果が影響して微細化しやすくなるという観点から、ジブチルフタレート吸油量(DBP吸油量)(ml/100g)が100以下であることが好ましい。
〔カーボンブラックのオゾン処理〕
カーボンブラックの酸化処理は、乾燥したカーボンブラックを0.1%以上16%以下のオゾン雰囲気下に晒す処理により行うことが好ましい。オゾン雰囲気下でのカーボンブラックの酸化処理における処理温度は、常温〜100℃であり、処理時間は10秒〜300秒である。このカーボンブラックの酸化処理は、乾燥カーボンブラックをオゾンガスで直接酸化する手法であるので、後処理(水洗・乾燥)が必須ではなく、効率的かつ簡便でコストも抑制できる。
〔ゴム成分〕
本発明において、ゴム成分は、ウェットマスターバッチ中のゴム成分としてゴム組成物に配合される他、ウェットマスターバッチとは別に固相のゴムとしてとしてゴム組成物に配合されてもよい。
本発明のウェットマスターバッチの製造方法に用いるゴム成分には、特に制限はない。
前記ゴム成分は、天然ゴム(NR)であっても、合成ゴム(SR)であってもよく、その混合物であってもよい。
前記ゴム成分に、ウェットマスターバッチ中のゴム成分又はウェットマスターバッチとは別に固相のゴムとしてゴム組成物に配合されるゴム成分に、粘度の低いゴム成分を用いることにより、ゴム組成物の粘度を低下させることができる。
ここで、天然ゴム(NR)としては、タイヤ用として一般に用いられているRSS、TSR#10、TSR#20などの他、恒粘度剤含有天然ゴム、高純度化天然ゴム、酵素処理天然ゴム、けん化処理天然ゴム等が挙げられる。恒粘度剤としては、例えば、硫酸ヒドロキシルアミン、セミカルバジド(NHNHCONH)、又はその塩、ヒドロキシルアミン、ヒドラジド化合物(例えば、プロピオン酸ヒドラジド)などを用いることができる。高純度化天然ゴムは、例えば天然ゴムラテックスを遠心分離にかけ、タンパク質等の非ゴム成分が除去された天然ゴムである。酵素処理天然ゴムは、プロテアーゼ、リパーゼ、ホスフォリパーゼ等の酵素により酵素処理された天然ゴムである。けん化処理天然ゴムは、アルカリ(例えば、NaOH)等でけん化処理された天然ゴムである。
また、合成ゴムとしては、例えば、ポリイソプレンゴム(IR)、ポリブタジエンゴム(BR)、スチレン-ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ブチルゴム(IIR)、エチレン-プロピレン共重合体等が挙げられる。これらの合成ゴムは、変性ポリマーであってもよく、また、合成ゴム(未変性ポリマー)に変性ポリマーをブレンドして用いてもよい。
これらのゴム成分は、一種単独で用いても、二種以上をブレンドして用いてもよい。
〔ゴム成分を含むラテックス〕
ゴム成分を含むラテックスを調製する工程においては、カーボンブラックを分散したスラリーとゴム成分を含むラテックスとの混合液を調製する。
混合液を調製する工程において用いられるゴム成分を含むラテックスとしては、天然ゴムラテックス及び/又は合成ゴムラテックス、あるいは溶液重合による合成ゴムの有機溶媒溶液等を挙げることができる。これらの中で、得られるウェットマスターバッチの性能や製造しやすさなどの観点から、天然ゴムラテックス及び/又は合成ゴムラテックスが好適である。
天然ゴムラテックスとしては、フィールドラテックス、アンモニア処理ラテックス、遠心分離濃縮ラテックス、酵素で処理した脱蛋白ラテックス、上記のものを組み合わせたものなど、いずれも使用することができる。
天然ゴムラテックス中のゴム成分の濃度は、5〜60質量%が好ましく、10〜40質量%が更に好ましい。
合成ゴムラテックスとしては、例えばスチレン−ブタジエン重合体ゴム、合成ポリイソプレンゴム、ポリブタジエンゴム、ニトリルゴム、ポリクロロプレンゴム等のラテックスを使用することができる。
〔ウェットマスターバッチ〕
本発明に用いられるウェットマスターバッチは、カーボンブラックを分散したスラリーと、ゴム成分を含むラテックスとを混合した混合液を、凝固、脱水及び乾燥し水分を除去することにより得られる。
〔スラリーとゴム成分を含むラテックスとの混合方法〕
スラリーとゴム成分を含むラテックスとの混合方法としては、例えば、ホモミキサー中にスラリーを入れ、攪拌しながら、ゴム成分を含むラテックスを滴下する方法や、逆にゴム成分を含むラテックスを攪拌しながら、これにスラリーを滴下する方法がある。また、一定の流量割合をもったスラリー流とゴム成分を含むラテックス流とを、激しい水力攪拌の条件下で混合する方法等を用いることもできる。スタティックミキサー、高せん断ミキサー等による混合方法でも可能である。
上述の混合を行った後のウェットマスターバッチの凝固方法としては、通常と同様、蟻酸、硫酸等の酸や、塩化ナトリウム等の塩の凝固剤を用いて行われる。また、本発明においては、凝固剤を添加せず、スラリーとゴム成分を含むラテックスとを混合することによって、凝固がなされる場合もある。
本発明のウェットマスターバッチの製造方法により得られたウェットマスターバッチを材料として用いたゴム組成物が、何故、耐摩耗性、耐疲労性及び発熱性について、性能が向上するかは以下のように推察される。
即ち、ラテックス及びスラリーを混合し、激しく撹拌すると、充填剤であるカーボンブラック又はシリカの表面に本発明において用いる不飽和炭化水素化合物が、充填剤表面に吸着する。
前記不飽和炭化水素化合物の吸着により、混合液中での充填剤とゴム成分との親和性が向上し、充填剤表面に形成されるバウンドラバーとしてのゴム成分の層がより有効なものになる。
任意に加熱されることにより、充填剤表面のゴム成分の層は固定化し、更に有効なものになる。また、加熱されることにより、充填剤表面で層を形成している不飽和炭化水素化合物は、ラジカル反応によりゴム成分と反応し、共有結合を形成する。
以上の結果、充填剤のゴム成分への分散が向上し、耐摩耗性が向上する。
〔脱水及び乾燥〕
凝固物を乾燥する工程として、真空乾燥機、エアドライヤー、ドラムドライヤー、バンドドライヤー等の通常の乾燥機を用いることができるが、さらにカーボンブラックの分散性を向上させるためには、機械的せん断力をかけながら乾燥を行なうことが好ましい。これにより、加工性、補強性、ゴム物性に優れたゴムを得ることができる。この乾燥は、一般的な混練機を用いて行なうことができるが、工業的生産性の観点から、連続混練機を用いることが好ましい。さらには、同方向回転、あるいは異方向回転の多軸混練押出機を用いることがより好ましく、特に二軸混練押出機を用いることが好ましい。
このようにして、カーボンブラックを用いたウェットマスターバッチを効率よく調製することができる。
〔タイヤ用ゴム組成物〕
本発明の製造方法により得られるウェットマスターバッチを材料として、タイヤ用ゴム組成物が得られる。
前記タイヤ用ゴム組成物には、ゴム成分、カーボンブラック及び/又はシリカの他に、ゴム工業界で通常使用される、充填剤、例えば、上述のとおりのシリカ等、及び、配合剤、例えば、プロセス油、スコーチ防止剤、老化防止剤、軟化剤、ステアリン酸、亜鉛華、加硫促進剤、加硫促進助剤、加硫剤等を、本発明の目的を阻害しない範囲内で適宜選択して配合することができる。これら配合剤としては、市販品を好適に使用することができる。
本発明のウェットマスターバッチの製造方法において加熱を行う場合、上記配合剤は、ウェットマスターバッチを凝固し、加熱した後に加える。ウェットマスターバッチを加熱する前に配合剤を加えると、不飽和炭化水素化合物の充填への吸着が、配合剤の低分子量化合物により阻害され、不飽和炭化水素化合物の固定化の効果が低下してしまうためである。
また、本発明の製造方法により得られるウェットマスターバッチを材料とするタイヤ用ゴム組成物は、上記ゴム成分、カーボンブラック、シランカップリング剤と、必要に応じて適宜選択した各種配合剤とを配合して得られる混合物を、混練及び加硫して得られるものであり、例えば、前記混合物をロール、インターナルミキサー等の混練り機を用いて混練り、熱入れ、押出等することにより得られ、成形加工後、加硫を行い、タイヤトレッド、アンダートレッド、カーカス、サイドウォール、ビード部分等のタイヤのタイヤ部材の用途に好適に用いることができる。
本発明の製造方法により得られるウェットマスターバッチを材料とするタイヤ用ゴム組成物における、ゴム成分100質量部に対する亜鉛華の配合量は、加硫特性と弾性率の観点から、好ましくは1.5質量部以上、より好ましくは2.2質量部以上であり、耐破壊強度の観点から、好ましくは12.0質量部以下、より好ましくは10.0質量部以下である。
〔シランカップリング剤〕
本発明の製造方法で得られたウェットマスターバッチを材料とするタイヤ用ゴム組成物に配合することができるシランカップリング剤は、特に制限はない。ウェットマスターバッチにシリカを配合する場合、シランカップリング剤は、ゴム成分中シリカを分散させ、ゴム組成物を補強する観点からも用いることが好ましい。
用いることができるシランカップリング剤は、特に制限なく、例えば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシラン、3−ニトロプロピルトリメトキシラン、3−ニトロプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、2−クロロエチルトリメトキシシラン、2−クロロエチルトリエトキシシラン、3−トリメトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリエトキシシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、ビス(3−ジエトキシメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、3−メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、3−ニトロプロピルジメトキシメチルシラン、3−クロロプロピルジメトキシメチルシラン、ジメトキシメチルシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、ジメトキシメチルシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィドなどの少なくとも1種が挙げられる。
シランカップリング剤の配合量は、カーボンブラックの配合量によって変動するものであるが、カーボンブラック100質量部に対し、補強性の観点から、1質量部以上が好ましく、4質量部以上が更に好ましく、一方、発熱性を維持する観点から、20質量部以下が好ましく、12質量部以下が更に好ましい。また、シランカップリング剤の配合量は、シリカ100質量部に対し、1〜20質量部が好ましく、発熱性の観点から、4〜12質量部がより好ましい。
本発明の製造方法により得られるウェットマスターバッチを材料とするタイヤ用ゴム組成物には、ゴム成分が、ウェットマスターバッチとして配合される他、ウェットマスターバッチ配合時にゴム成分単体でとして配合されてもよいが、ゴム組成物において、ゴム成分の全体に対して上記ウェットマスターバッチにおけるゴム成分を30質量%以上、より好ましくは、40%以上、より更に好ましくは、45%以上含有することが好ましい。上記ウェットマスターバッチに追加して用いる他のゴム成分としては、通常の天然ゴム及びジエン系合成ゴムが挙げられ、ジエン系合成ゴムとしては、例えば、スチレン−ブタジエン共重合体(SBR)、ポリブタジエン(BR)、ポリイソプレン(IR)、ブチルゴム(IIR)、エチレン−プロピレン共重合体及びこれらの混合物などが挙げられる。
上記加硫剤としては、硫黄等が挙げられ、その使用量は、ゴム成分100質量部に対し、硫黄分として0.1質量部以上10.0質量部以下であることが好ましく、0.5質量部以上5.0質量部以下であることがより好ましい。
本発明で使用できる加硫促進剤は、特に限定されるものではないが、例えば、M(2−メルカプトベンゾチアゾール)、DM(ジベンゾチアジルジスルフィド)、CZ(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド)、NS(N−t−ブチル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド)等のチアゾール系、あるいはDPG(ジフェニルグアニジン)等のグアニジン系の加硫促進剤等を挙げることができ、その使用量は、ゴム成分100質量部に対し、0.1質量部以上5.0質量部以下であることが好ましく、0.2質量部以上3.0質量部以下であることがより好ましい。
本発明で使用できる老化防止剤は、特に限定されるものではないが、例えばアミン系、フェノール系、有機ホスファイト系あるいはチオエーテル系などの老化防止剤を挙げることができる。その使用量は、ゴム成分100質量部に対し、0.1質量部以上5.0質量部以下であることが好ましく、0.5質量部以上3.0質量部以下であることがより好ましい。
〔タイヤの製造方法〕
本発明のウェットマスターバッチの製造方法を用いて製造されたウェットマスターバッチを材料として、タイヤ用ゴム組成物が製造される。
タイヤ用ゴム組成物の製造方法における、ゴム組成物に配合する各成分の混合及び混練の方法は、特に限定されるものではない。また、本発明によれば、当該技術分野で一般的に用いられる装置を用いて、混合、混練及び加硫を行うことができる。
上記タイヤ用ゴム組成物を用いて通常の方法によってタイヤを製造することができる。例えば、上記のように各種配合剤を配合した本発明の製造方法により得られるウェットマスターバッチを材料とするタイヤ用ゴム組成物は、未加硫の段階でタイヤ部材として、例えば、トレッド用部材に押出し加工され、タイヤ成形機上で通常の方法により貼り付け成形され、生タイヤが成形される。
その後、生タイヤを加硫してタイヤを得ることができる。
〔タイヤ〕
本発明の製造方法により得られるウェットマスターバッチを材料とするタイヤ用ゴム組成物から製造されるタイヤは、車両用のものであれば特に制限はない。
前記タイヤは、空気入りタイヤに限られず、内部が充填されたタイヤであってもよく、タイヤの部品についても、車両に用いられる形状、構造、大きさ及び厚さ等の条件を有するものである。
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記実施例に何ら限定されるものではない。
表1〜2の実施例1〜9、比較例1〜5の組成によるゴム組成物は、以下の実施例1に関し示す調製方法を用い、適宜組成を変更することにより調製された。
〔実施例1〕
(1)スラリーの調製
カーボンブラック(旭カーボン製 旭#78:下記(4)の方法によりオゾン処理済み)を塩基性水溶液に10質量%の割合で入れ、ハイシアーミキサー(シルバーソン社製「BX」)にて微分散させてスラリーを調製した。この時のスラリーのpHは、10.0とした。ハイシアーミキサーによるスラリーの調製時に、不飽和炭化水素化合物(実施例1ではスクアレン)を混合し、スラリー中に分散させた。
また、スラリーの酸性官能基量をBoehmらの方法に従い測定した。窒素吸着比表面積(m/g)は、JIS K 6217(1997)に準じて測定した。
表面平均酸性官能基量(μeq/m)は、上記方法にて測定した酸性官能基量を窒素吸着比表面積で除することにより求めた。
(2)ウェットマスターバッチの調製
上記(1)で作製したスラリー10kgと、10質量%に希釈した天然ゴムラテックス10kgとを攪拌しながら混合したのち、これを蟻酸にてpH4.5に調整して凝固させた。この凝固物をろ取し、充分に洗浄してウェット凝固物900gを得た。その後、計量カップに60g(固形分30g)ずつ量り取ったウェット凝固物を1分間隔で、神戸製鋼社製二軸連続混練機「KTX−30」に投入することで、カーボンブラックを用いたマスターバッチを作製した。このマスターバッチにおいては、天然ゴムラテックス100質量部当りのカーボンブラックの量は50質量部であった。
(3)ゴム組成物の調製
上記(2)で作製したカーボンブラックを配合したウェットマスターバッチ160質量部に対して、シランカップリング剤(ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド)2.4質量部、老化防止剤(2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合物、大内新興化学工業株式会社製「ノクラック225」)1質量部、老化防止剤(N−フェニル−N'−(1,3-ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン、大内新興化学工業株式会社製「ノクラック6C」)1質量部、亜鉛華(白水化学株式会社製「1号亜鉛華」)2.5質量部、ステアリン酸(日本油脂株式会社製)2質量部、加硫促進剤(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、三新化学工業製「サンセラーCM」)1質量部、及び硫黄(軽井沢精錬所株式会社製)1.5質量部を配合し、インターナルミキサーで混練してゴム組成物を得た。
得られたゴム組成物について、耐摩耗性、耐疲労性及び低発熱性を評価した。
(4)カーボンブラックのオゾン処理
カーボンブラックの酸化処理は、乾燥したカーボンブラックを昇温したオゾン雰囲気に、一定時間晒す処理により行った。このカーボンブラックの酸化処理は、乾燥カーボンブラックをオゾンガスで直接酸化する手法であるので、後処理(水洗・乾燥)が必須ではなく、効率的かつ簡便でコストも抑制できる。
〔耐摩耗性の測定方法〕
実施例及び比較例の各ゴム組成物を用いて作成したタイヤにおいて、ランボーン型摩耗試験機を用い、スリップ率が25%の摩耗量で表し、また、測定温度は室温とした。下記の通りそれぞれの実施例に対応する比較例の値を100として指数表示した。指数が大きいほど、耐摩耗性は良好である。
〔耐疲労性の測定方法〕
表1及び表2に示したマスターバッチを用い、下記の〔加硫ゴム作成方法〕に示した、配合・条件で作成した加硫ゴムに対し、繰り返し疲労試験装置を用い、サンプル形状がダンベル型のゴムサンプルについて、100%定歪、初期歪なし、300rpmの条件で繰り返し疲労試験を50万回行い、疲労前後の破断強度の変化率を評価し、表1では比較例1、表2では比較例4を100としてそれぞれ指数表示した。破断強度の測定は、JIS K 6251に準拠して測定した。
〔加硫ゴム作成方法〕
ノンプロ練り(加硫薬品以外の混練)
配合: マスターバッチ ゴム分として100重量部を含有する重量部、ステアリン酸 2.0重量部、亜鉛華 3.0重量部、Antigene6C(老化防止剤) 1.0重量部
装置: 東洋精機製 プラストミル
回転数: 70rpm
設定温度: 110℃
練り条件: マスターバッチ投入後30秒 →上記、薬品投入後 3分
プロ練り(加硫薬品の混練)
配合: ノンプロゴム ゴム分として100重量部を含有する重量部、NOCCELER D(加硫促進剤) 0.6重量部、NOCCELER DM(加硫促進剤) 1.0重量部、硫黄 2.0重量部
装置: 東洋精機製 プラストミル
回転数: 70rpm
設定温度: 80℃
練り条件: ノンプロゴム投入後30秒 →上記、加硫薬品投入後 1分
加硫
145℃で30分
〔低ロス性(tanδ)の測定方法〕
実施例及び比較例の各ゴム組成物を用いて作成したタイヤにおいて、粘弾性測定装置(レオメトリックス社製)を使用し、温度50℃、歪み5%、周波数15Hzでtanδを測定し、下記の通りそれぞれの実施例に対応する比較例の値を100として指数表示した。この値が小さい程、低発熱性が良好であることを示す。
〔スラリー微粒径比率〕
レーザー回折型粒度分布計(MICROTRAC MT−3000型)を使用して測定し、付属の解析プログラムにより、粒子径1μm以下の微粒子の比率を算出した。
表1〜2は、実施例1〜9及び比較例1〜5のウェットマスターバッチの成分と、その部数を記載したものである。また、表1〜2は、それぞれのウェットマスターバッチから得られたゴム組成物について、耐摩耗性、耐疲労性及び発熱性を評価した値を記載している。
実施例及び比較例の耐摩耗性、耐疲労性及び発熱性については、比較例1を100として実施例1〜8及び比較例1〜3を、比較例4を100として実施例9及び比較例4〜5を、それぞれ指数表示した。
表面平均酸性官能基量の異なる複数の種類のカーボンブラックと本発明における不飽和炭化水素化合物とを用いた実施例のゴム組成物は、それぞれの実施例に用いたものと同じウェットマスターバッチに対して本発明における不飽和炭化水素化合物を配合しなかった以外は同様の処理を行った比較例のゴム組成物と比較して、耐摩耗性、耐疲労性及び発熱性についての性能に向上が見られた。
Figure 2017095569
Figure 2017095569
*1 比較例4を100とする。
本発明のウェットマスターバッチの製造方法は、タイヤ用ゴム組成物の製造方法として好適に用いることができ、本発明のタイヤの製造方法は、タイヤの製造に好適に用いることができる。

Claims (12)

  1. ウェットマスターバッチの製造方法であって、
    スラリーに配合され分散されるカーボンブラックの表面平均酸性官能基量(μeq/m)が0.15以上3.00未満であり、
    前記カーボンブラック及び/又はシリカを分散させたスラリーとゴム成分を含有するラテックスとの混合液の凝固時に、
    混合液に、炭素数が12〜32の不飽和炭化水素化合物を含有させることを特徴とするウェットマスターバッチの製造方法。
  2. 混合液に、炭素数が12〜32の不飽和炭化水素化合物を、充填剤重量に対して0.25〜6.95重量含有させる請求項1に記載のウェットマスターバッチの製造方法。
  3. スラリーのpHが、8.0以上、凝固時の混合液のpHが、7.0未満である請求項1又は2に記載のウェットマスターバッチの製造方法。
  4. 混合液が有機溶媒及び界面活性剤を実質的に含まない請求項1〜3のいずれか1項に記載のウェットマスターバッチの製造方法。
  5. 凝固後ウェットマスターバッチを110℃以上で5分以上加熱する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のウェットマスターバッチの製造方法。
  6. 凝固後ウェットマスターバッチを加熱するまで配合剤を加えず、110℃以上で5分以上加熱した後に配合剤を加える、請求項5に記載のウェットマスターバッチの製造方法。
  7. 不飽和炭化水素化合物が、2以上のそれぞれ互いに共役していない2重結合を有する不飽和炭化水素化合物である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のウェットマスターバッチの製造方法。
  8. 不飽和炭化水素化合物が、テルペン類である、請求項7に記載のウェットマスターバッチの製造方法。
  9. 不飽和炭化水素化合物が、スクアレンである、請求項8に記載のウェットマスターバッチの製造方法。
  10. 不飽和炭化水素化合物が、任意に1以上のカルボキシル基を有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載のウェットマスターバッチの製造方法。
  11. 不飽和炭化水素化合物が、リノール酸及び/又はオレイン酸である、請求項10に記載のウェットマスターバッチの製造方法。
  12. 請求項1〜11に記載の製造方法により得られたウェットマスターバッチを材料として用いるタイヤの製造方法。
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