JP4785370B2 - 変性天然ゴムマスターバッチ及びその製造方法、並びにゴム組成物及びタイヤ - Google Patents
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Description
(変性天然ゴムラテックスの調製)
フィールドラテックスをラテックスセパレーター[斎藤遠心工業製]を用いて回転数7500rpmで遠心分離して、乾燥ゴム濃度60%の濃縮ラテックスを得た。この濃縮ラテックス1000gを、撹拌機及び温調ジャケットを備えたステンレス製反応容器に投入し、予め10mLの水と90mgの乳化剤[エマルゲン1108,花王株式会社製]をN,N-ジエチルアミノエチルメタクリレート 3.0gに加えて乳化したものを990mLの水と共に添加し、これらを窒素置換しながら常温で30分間撹拌した。次に、重合開始剤としてtert-ブチルハイドロパーオキサイド 1.2gとテトラエチレンペンタミン 1.2gとを加え、40℃で30分間反応させることにより、変性天然ゴムラテックスAを得た。
ローター径50mmのコロイドミルに脱イオン水1425g及びカーボンブラック(N110)75gを投入し、ローター・ステーター間隙1mm、回転数1500rpmで10分間撹拌し、得られたスラリーに、更にアニオン系界面活性剤[花王デモール N]を0.05%加え、圧力式ホモジナイザーを用いて圧力500kPaの条件下で3回循環させて、カーボンブラックスラリー溶液を調製した。なお、使用したカーボンブラックの24M4DBP吸油量をISO 6894に準拠して測定したところ、水中に分散させる前の24M4DBP吸油量が98mL/100gで、スラリー溶液から乾燥回収した後の24M4DBP吸油量が96mL/100g(保持率:98.0%)であった。また、スラリー溶液中のカーボンブラックの粒度分布を、分散後直ちにレーザー回折型粒度分布計[MICROTRAC FRA型]を使用し、水の屈折率1.33、粒子屈折率1.57として測定したところ、体積平均粒子径(mv)が15.1μmで且つ90体積%粒径(D90)が19.5μmであった。
ホモミキサー中に、上記変性天然ゴムラテックスAとカーボンブラック含有スラリー溶液とを、ゴム成分100質量部に対してカーボンブラックが50質量部になるように添加し、撹拌しながら、ギ酸をpH=4.7になるまで加え、凝固させた。次に、凝固物を回収及び水洗し、水分が約40%になるまで脱水を行い、更に、神戸製鋼製二軸混練押出機[同方向回転スクリュー径=30mm, L/D=35, ベントホール3ヶ所]を用い、バレル温度120℃、回転数100rpmで乾燥し、変性天然ゴムマスターバッチAを得た。
上記のようにして調製した変性天然ゴムラテックスAにギ酸を加えpHを4.7に調整し、変性天然ゴムラテックスAを凝固させた。このようにして得られた固形物をクレーパーで5回処理し、シュレッダーに通してクラム化した後、熱風式乾燥機により110℃で210分間乾燥して変性天然ゴムaを得た。このようにして得られた変性天然ゴムaの質量から、単量体として加えたN,N-ジエチルアミノエチルメタクリレートの転化率が100%であることが確認された。また、該変性天然ゴムaを石油エーテルで抽出し、更にアセトンとメタノールの2:1混合溶媒で抽出することによりホモポリマーの分離を試みたが、抽出物を分析したところホモポリマーは検出されず、添加した単量体の100%が天然ゴム分子に導入されていることが確認された。従って、上記変性天然ゴムaにおける単量体のグラフト量は、天然ゴムラテックス中のゴム成分に対して0.5質量%である。
単量体としてN,N-ジエチルアミノエチルメタクリレート 3.0gの代わりに、4-ビニルピリジン 1.7gを加える以外は、上記製造例1と同様にして変性天然ゴムラテックスB及び該ラテックスBを用いた変性天然ゴムマスターバッチBを得た。また、同様に変性天然ゴムラテックスBから変性天然ゴムbを得、分析したところ、添加した単量体の100%が天然ゴム分子に導入されていることが確認された。従って、上記変性天然ゴムbにおける単量体のグラフト量は、天然ゴムラテックス中のゴム成分に対して0.28質量%である。
単量体としてN,N-ジエチルアミノエチルメタクリレート 3.0gの代わりに、アクリロニトリル 1.7gを加える以外は、上記製造例1と同様にして変性天然ゴムラテックスC及び該ラテックスCを用いた変性天然ゴムマスターバッチCを得た。また、同様に変性天然ゴムラテックスCから変性天然ゴムcを得、分析したところ、添加した単量体の100%が天然ゴム分子に導入されていることが確認された。従って、上記変性天然ゴムcにおける単量体のグラフト量は、天然ゴムラテックス中のゴム成分に対して0.28質量%である。
上記変性反応工程を経ず、水で希釈するのみで上記ラテックスとゴム分濃度を等しくし、天然ゴムラテックスDを調製した。また、該天然ゴムラテックスDを用い、上記製造例1と同様にして天然ゴムマスターバッチDを得た。
上記ゴムマスターバッチ150質量部に対して、アロマチックオイル5質量部、ステアリン酸2質量部、老化防止剤6C[N-(1,3-ジメチルブチル)-N'-フェニル-p-フェニレンジアミン]1質量部、亜鉛華3質量部、加硫促進剤CZ[N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド]0.8質量部及び硫黄1質量部を配合し、プラストミルで混練してゴム組成物を得た。
ドライ練りにて、上記変性天然ゴムa 100質量部に対して、カーボンブラック(N110)50質量部、アロマチックオイル5質量部、ステアリン酸2質量部、老化防止剤6C 1質量部、亜鉛華3質量部、加硫促進剤CZ 0.8質量部及び硫黄1質量部を配合し、プラストミルで混練してゴム組成物を得た。
上記のようにして得たゴム組成物に対して、下記の方法でムーニー粘度、引張強さ(Tb)、tanδ及び耐摩耗性を測定・評価した。結果を表1に示す。
JIS K6300-1994に準拠して、130℃にてゴム組成物のムーニー粘度ML1+4(130℃)を測定した。
上記ゴム組成物を145℃で33分間加硫して得た加硫ゴムに対し、JIS K6301-1995に準拠して引張試験を行い、引張強さ(Tb)を測定した。引張強さが大きい程、耐破壊性が良好であることを示す。
上記ゴム組成物を145℃で33分間加硫して得た加硫ゴムに対し、粘弾性測定装置[レオメトリックス社製]を用い、温度50℃、歪み5%、周波数15Hzで損失正接(tanδ)を測定した。tanδが小さい程、低ロス性に優れることを示す。
上記ゴム組成物を145℃で33分間加硫して得た加硫ゴムに対し、ランボーン型摩耗試験機を用い、室温におけるスリップ率60%での摩耗量を測定し、比較例1の摩耗量の逆数を100として指数表示した。指数値が大きい程、摩耗量が少なく、耐摩耗性に優れることを示す。
Claims (10)
- 天然ゴムラテックスに極性基含有単量体を添加し、該極性基含有単量体を天然ゴムラテックス中の天然ゴム分子にグラフト重合させてなる、前記極性基含有単量体のグラフト量が前記天然ゴムラテックス中のゴム成分に対して0.01〜3.0質量%である変性天然ゴムラテックスと、カーボンブラックを予め水中に分散させてなるスラリー溶液とを混合する工程を含むことを特徴とする変性天然ゴムマスターバッチの製造方法。
- 前記スラリー溶液中のカーボンブラックは、体積平均粒子径(mv)が25μm以下で且つ90体積%粒径(D90)が30μm以下であり、該スラリー溶液から乾燥回収したカーボンブラックの24M4DBP吸油量が、水中に分散させる前の24M4DBP吸油量の93%以上を保持していることを特徴とする請求項1に記載の変性天然ゴムマスターバッチの製造方法。
- 前記極性基含有単量体の極性基がアミノ基、イミノ基、ニトリル基、アンモニウム基、イミド基、アミド基、ヒドラゾ基、アゾ基、ジアゾ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、カルボニル基、エポキシ基、オキシカルボニル基、スルフィド基、ジスルフィド基、スルホニル基、スルフィニル基、チオカルボニル基、含窒素複素環基、含酸素複素環基及びスズ含有基からなる群から選ばれる少なくとも一つであることを特徴とする請求項1に記載の変性天然ゴムマスターバッチの製造方法。
- 前記変性天然ゴムラテックス及び/又は前記スラリー溶液が更に界面活性剤を含むことを特徴とする請求項1に記載の変性天然ゴムマスターバッチの製造方法。
- 更に、前記変性天然ゴムラテックスと前記スラリー溶液との混合液を凝固させる工程と、得られた凝固物を機械的なせん断力をかけながら乾燥させる工程とを含むことを特徴とする請求項1に記載の変性天然ゴムマスターバッチの製造方法。
- 前記乾燥を連続混練機を用いて行うことを特徴とする請求項5に記載の変性天然ゴムマスターバッチの製造方法。
- 前記連続混練機が二軸混練押出機であることを特徴とする請求項6に記載の変性天然ゴムマスターバッチの製造方法。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の方法で製造された変性天然ゴムマスターバッチ。
- 請求項8に記載の変性天然ゴムマスターバッチを用いたゴム組成物。
- 請求項9に記載のゴム組成物をタイヤ部材のいずれかに用いたことを特徴とするタイヤ。
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