JP4733993B2 - 変性天然ゴムマスターバッチ及びその製造方法、並びにゴム組成物及びタイヤ - Google Patents

変性天然ゴムマスターバッチ及びその製造方法、並びにゴム組成物及びタイヤ Download PDF

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本発明は、変性天然ゴムマスターバッチ及びその製造方法、並びに該変性天然ゴムマスターバッチを用いたゴム組成物及びタイヤに関し、特にゴム組成物の低ロス性、耐摩耗性及び耐破壊性を大幅に向上させることが可能な、変性天然ゴムと充填剤とを含む変性天然ゴムマスターバッチに関するものである。
昨今、自動車の低燃費化に対する要求が強くなりつつあり、転がり抵抗の小さいタイヤが求められている。そのため、タイヤのトレッド等に使用するゴム組成物として、tanδが低く(以下、低ロス性とする)、低発熱性に優れたゴム組成物が求められている。また、トレッド用のゴム組成物においては、低ロス性に加え、耐摩耗性及び破壊特性に優れることが求められる。これに対して、ゴム成分に各種充填剤を配合したゴム組成物の低ロス性、耐摩耗性及び破壊特性を改良するには、ゴム組成物中の充填剤とゴム成分との親和性を向上させることが有効である。
例えば、ゴム組成物中の充填剤とゴム成分との親和性を向上させ、充填剤による補強効果を向上させるために、末端変性により充填剤との親和性を向上させた合成ゴムや、官能基含有単量体を共重合させて充填剤との親和性を向上させた合成ゴム等が開発されている。
一方、天然ゴムは、その優れた物理特性を生かして多量に使用されているものの、天然ゴム自体を改良して充填剤との親和性を向上させ、充填剤による補強効果を大幅に向上させる技術はない。
例えば、天然ゴムをエポキシ化する技術が提案されているが、該技術では天然ゴムと充填剤との親和性を十分に向上させることができないため、充填剤による補強効果を十分に向上させることができない。また、天然ゴムラテックスにビニル系単量体を添加してグラフト重合する技術(特許文献1〜6参照)が知られており、該技術で得られたグラフト化天然ゴムは、接着剤用途等で実用化されている。しかしながら、該グラフト化天然ゴムは、天然ゴム自身の特性を変えるために単量体として多量(20〜50質量%)のビニル化合物がグラフト化されているため、充填剤と配合すると、大幅な粘度上昇を招き、加工性が低下する。また、多量のビニル化合物が天然ゴム分子鎖に導入されているため、天然ゴム本来の優れた物理特性(粘弾性、引張試験等における応力−歪曲線)が損なわれてしまう。
一方、天然ゴムに対する充填剤の分散性を改良する技術として、天然ゴムラテックスと、充填剤を予め水中に分散させたスラリー溶液とを混合して天然ゴムマスターバッチを作製する方法が知られているが、該天然ゴムマスターバッチを用いたゴム組成物は、補強性の面で充分でなく、耐摩耗性及び破壊特性の点で依然として改良の余地がある。
特開平5−287121号公報 特開平6−329702号公報 特開平9−25468号公報 特開2000−319339号公報 特開2002−138266号公報 特開2002−348559号公報
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の問題を解決し、ゴム組成物の低ロス性、耐摩耗性及び破壊特性を大幅に向上させることが可能なゴムマスターバッチと、該マスターバッチの製造方法を提供することにある。また、本発明の他の目的は、かかるマスターバッチを用いた、ゴム成分と充填剤との親和性、補強性が高く、低ロス性、耐摩耗性及び破壊特性に優れたゴム組成物と、該ゴム組成物を用いたタイヤを提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、天然ゴムラテックスと充填剤のスラリー溶液とを混合し、凝固させ、得られた凝固物に極性基含有化合物を加えて機械的せん断力をかけながら乾燥することで、ゴム組成物の低ロス性、耐摩耗性及び破壊特性が大幅に向上させることが可能な変性天然ゴムマスターバッチが得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明の変性天然ゴムマスターバッチの製造方法は、
(i)天然ゴムラテックスと、充填剤を予め水中に分散させてなるスラリー溶液とを混合する工程;
(ii)前記(i)工程で得られた混合液を凝固させる工程;並びに、
(iii)前記(ii)工程で得られた凝固物に極性基含有化合物を加え、機械的なせん断力をかけながら乾燥して、凝固物中の天然ゴム分子に極性基含有化合物をグラフト重合又は付加させる工程
を含むことを特徴とする。
本発明の変性天然ゴムマスターバッチの製造方法において、前記スラリー溶液中の充填剤は、体積平均粒子径(mv)が25μm以下で且つ90体積%粒径(D90)が30μm以下であり、該スラリー溶液から乾燥回収した充填剤の24M4DBP吸油量が、水中に分散させる前の24M4DBP吸油量の93%以上を保持していることが好ましい。
本発明の変性天然ゴムマスターバッチの製造方法の好適例においては、前記充填剤が、カーボンブラック、シリカ及び下記一般式(I):
nM・xSiOy・zH2O ・・・ (I)
[式中、Mは、アルミニウム、マグネシウム、チタン、カルシウム及びジルコニウムからなる群から選ばれる金属、これらの金属の酸化物又は水酸化物、及びそれらの水和物、またはこれらの金属の炭酸塩から選ばれる少なくとも一種であり;n、x、y及びzは、それぞれ1〜5の整数、0〜10の整数、2〜5の整数、及び0〜10の整数である]で表される無機化合物からなる群から選択される少なくとも一種である。
本発明の変性天然ゴムマスターバッチの製造方法の他の好適例においては、前記極性基含有化合物の極性基が、アミノ基、イミノ基、ニトリル基、アンモニウム基、イミド基、アミド基、ヒドラゾ基、アゾ基、ジアゾ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、カルボニル基、エポキシ基、オキシカルボニル基、スルフィド基、ジスルフィド基、スルホニル基、スルフィニル基、チオカルボニル基、含窒素複素環基、含酸素複素環基、スズ含有基及びアルコキシシリル基からなる群から選ばれる少なくとも一つである。
本発明の変性天然ゴムマスターバッチの製造方法の他の好適例においては、前記極性基含有化合物のグラフト量又は付加量が、前記凝固物中のゴム成分に対して0.01〜5.0質量%である。
本発明の変性天然ゴムマスターバッチの製造方法の他の好適例においては、前記天然ゴムラテックス及び/又は前記スラリー溶液が更に界面活性剤を含む。
本発明の変性天然ゴムマスターバッチの製造方法の他の好適例においては、前記乾燥を連続混練機を用いて行う。ここで、該連続混練機としては、二軸混練押出機が好ましい。
また、本発明の変性天然ゴムマスターバッチは、上記の方法で製造されたものであることを特徴とし、本発明のゴム組成物は、該変性天然ゴムマスターバッチを用いたことを特徴とし、本発明のタイヤは、該ゴム組成物をタイヤ部材のいずれかに用いたことを特徴とする。
本発明によれば、天然ゴムラテックスと充填剤のスラリー溶液とを混合し、凝固させ、凝固物に極性基含有化合物を加え、機械的せん断力をかけながら乾燥して、凝固物中の天然ゴム分子を変性することで、ゴム成分に対し充填剤が高度に分散した変性天然ゴムマスターバッチを提供することができる。また、該変性天然ゴムマスターバッチを用いることで、低ロス性、耐摩耗性及び破壊特性に優れたゴム組成物及び該ゴム組成物を用いたタイヤを提供することができる。
以下に、本発明を詳細に説明する。本発明の変性天然ゴムマスターバッチの製造方法は、(i)天然ゴムラテックスと、充填剤を予め水中に分散させてなるスラリー溶液とを混合する工程;(ii)前記(i)工程で得られた混合液を凝固させる工程;並びに、(iii)前記(ii)工程で得られた凝固物に極性基含有化合物を加え、機械的なせん断力をかけながら乾燥して、前記凝固物中の天然ゴムラテックスに由来する天然ゴム分子に極性基含有化合物をグラフト重合又は付加させる工程を含むことを特徴とし、また、本発明の変性天然ゴムマスターバッチは、該方法で製造されたものであることを特徴とする。
本発明の変性天然ゴムマスターバッチの製造方法では、天然ゴムラテックスと充填剤含有スラリー溶液とを混合し、凝固させた後、凝固物に極性基含有化合物を加え、機械的なせん断力をかけながら乾燥することで、凝固物中の天然ゴム分子に極性基含有化合物をグラフト重合又は付加させる。ここで、本発明の変性天然ゴムマスターバッチにおいては、充填剤がゴム成分とマスターバッチ化されているため、充填剤のゴム成分への分散性が改良されている。また、上記極性基含有化合物の極性基は、充填剤に対する親和性に優れるため、上記凝固物中の天然ゴム分子に極性基含有化合物をグラフト重合又は付加させてなる変性天然ゴムは、未変性の天然ゴムに比べて充填剤に対する親和性が高い。そして、本発明の変性天然ゴムマスターバッチにおいては、ゴム成分と充填剤とをマスターバッチ化する効果と、上記凝固物中の天然ゴム分子を極性基含有化合物で変性する効果との相乗効果により、ゴム成分に対する充填剤の分散性が大幅に向上しており、均一性が非常に高い。そのため、本発明の変性天然ゴムマスターバッチは、充填剤の補強効果が十分に発揮されて耐摩耗性及び耐破壊性に著しく優れると共に、低発熱性(低ロス性)も大幅に向上している。また、本発明の変性天然ゴムマスターバッチを用いることで、ゴム組成物の耐破壊性、耐摩耗性及び低ロス性を大幅に向上させることができ、更に、該ゴム組成物をタイヤ、特にタイヤのトレッドに用いることで、転がり抵抗を大幅に低減しつつ、耐破壊性及び耐摩耗性を著しく改善することができる。
本発明の変性天然ゴムマスターバッチに用いる天然ゴムラテックスとしては、特に限定されず、例えば、フィールドラテックス、アンモニア処理ラテックス、遠心分離濃縮ラテックス、界面活性剤や酵素で処理した脱タンパク質ラテックス、及びこれらを組み合せたもの等を用いることができる。
本発明の変性天然ゴムマスターバッチに用いるスラリー溶液は、充填剤を予め水中に分散させてなる。ここで、スラリー溶液の製造は、公知の方法で行うことができ、例えば、ローター・ステータータイプのハイシアーミキサー、高圧ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、コロイドミル等の混合機を用いることができる。例えば、コロイドミルに水を入れ、撹拌しながら充填剤をゆっとり滴下し、その後、ホモジナイザーにて界面活性剤と共に、一定圧力、一定温度で循環させることで、当該スラリー溶液を調製することができる。この場合の圧力は、通常10〜1000kPaの範囲であり、好ましくは200〜800kPaの範囲である。また、充填剤と水を一定の割合で混合し、細長い導管の一端からこれらの混合液を導入し、激しい水力撹拌の条件下で、均質な組成を有するスラリーの連続した流れを生成させることもできる。なお、上記スラリー溶液中の充填剤の濃度は、スラリー溶液の0.5〜30質量%の範囲が好ましく、1〜15質量%の範囲が更に好ましい。
上記スラリー溶液において、スラリー溶液中の充填剤は、体積平均粒子径(mv)が25μm以下で且つ90体積%粒径(D90)が30μm以下であることが好ましく、体積平均粒子径(mv)が20μm以下で且つ90体積%粒径(D90)が25μm以下であることが更に好ましく、スラリー溶液から乾燥回収した充填剤の24M4DBP吸油量は、水中に分散させる前の24M4DBP吸油量の93%以上を保持していることが好ましく、96%以上保持していることが更に好ましい。ここで、24M4DBP吸油量は、ISO 6894に準拠して測定される値であり、体積平均粒子径及び90体積%粒径は、レーザー回折型粒度分布計を用い、水の屈折率1.33、充填剤の屈折率1.57として測定した値である。スラリー溶液中の充填剤の粒径(体積平均粒子径及び90体積%粒径)が大きすぎると、天然ゴムラテックス及びスラリー溶液の混合液中での充填剤の分散性が悪化し、補強性及び耐摩耗性が悪化することがある。また、粒径を小さくするためにスラリー溶液に過度のせん断力をかけると、充填剤のストラクチャーが破壊され、補強性の低下を引き起こすため、スラリー溶液から乾燥回収した充填剤の24M4DBP吸油量が、水中に分散させる前の24M4DBP吸油量の93%以上を保持していることが好ましい。
上記天然ゴムラテックス及び/又は上記スラリー溶液は、天然ゴムラテックスの安定性を向上させる観点から、更に界面活性剤を含むことが好ましい。ここで、界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系、両性界面活性剤が挙げられ、これらの中でも、アニオン系及びノニオン系界面活性剤が好ましい。界面活性剤の添加量は、天然ゴムラテックス又はスラリー溶液に対して、通常0.01〜2質量%であり、0.02〜1質量%の範囲が好ましい。
本発明で用いる充填剤としては、カーボンブラック及び無機充填剤が挙げられ、ここで、無機充填剤としては、シリカ及び上記一般式(I)で表される無機化合物が挙げられる。これら充填剤は、一種単独で用いてもよし、二種以上を混合して用いてもよい。
上記カーボンブラックとしては、GPF,FEF,SRF,HAF,ISAF,SAFグレードのもの等が挙げられ、また、上記シリカとしては、湿式シリカ、乾式シリカ及びコロイダルシリカ等が挙げられる。更に、上記式(I)の無機化合物としては、γ-アルミナ、α-アルミナ等のアルミナ(Al23);ベーマイト、ダイアスポア等のアルミナ一水和物(Al23・H2O);ギブサイト、バイヤライト等の水酸化アルミニウム[Al(OH)3];炭酸アルミニウム[Al2(CO3)3]、水酸化マグネシウム[Mg(OH)2]、酸化マグネシウム(MgO)、炭酸マグネシウム(MgCO3)、タルク(3MgO・4SiO2・H2O)、アタパルジャイト(5MgO・8SiO2・9H2O)、チタン白(TiO2)、チタン黒(TiO2n-1)、酸化カルシウム(CaO)、水酸化カルシウム[Ca(OH)2]、酸化アルミニウムマグネシウム(MgO・Al23)、クレー(Al23・2SiO2)、カオリン(Al23・2SiO2・2H2O)、パイロフィライト(Al23・4SiO2・H2O)、ベントナイト(Al23・4SiO2・2H2O)、ケイ酸アルミニウム(Al2SiO5、Al4・3SiO4・5H2O等)、ケイ酸マグネシウム(Mg2SiO4、MgSiO3等)、ケイ酸カルシウム(Ca2SiO4等)、ケイ酸アルミニウムカルシウム(Al23・CaO・2SiO2等)、ケイ酸マグネシウムカルシウム(CaMgSiO4)、炭酸カルシウム(CaCO3)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、水酸化ジルコニウム[ZrO(OH)2・nH2O]、炭酸ジルコニウム[Zr(CO3)2]、各種ゼオライトのように電荷を補正する水素、アルカリ金属又はアルカリ土類金属を含む結晶性アルミノケイ酸塩等を挙げることができる。なお、式(I)中、Mは、アルミニウム金属、アルミニウムの酸化物又は水酸化物、及びそれらの水和物、またはアルミニウムの炭酸塩から選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。
上記天然ゴムラテックスと上記スラリー溶液との混合方法としては、例えば、ブレンダーミル中にスラリー溶液を入れ、撹拌しながら、上記天然ゴムラテックスを滴下する方法や、逆に上記天然ゴムラテックスを撹拌しながら、これに上記スラリー溶液を滴下する方法が挙げられる。また、一定の流量比の天然ゴムラテックス流とスラリー流とを激しい水力撹拌条件下で混合する方法等でもよい。ここで、上記天然ゴムラテックス中の天然ゴムと上記スラリー溶液中の充填剤との配合割合は、天然ゴムラテックス中のゴム成分100質量部に対してスラリー溶液中の充填剤が5〜100質量部の割合になるよう配合されることが好ましく、10〜70質量部の割合になるように配合されることが更に好ましい。充填剤の配合量が5質量部未満では、充分な補強性が得られない場合があり、100質量部を超えると、加工性が悪化する場合がある。
本発明の変性天然ゴムマスターバッチの製造方法では、上記天然ゴムラテックスと上記スラリー溶液とを混合した後、得られた混合液を凝固させる。ここで、該混合液の凝固は、通常、ギ酸、硫酸等の酸や、塩化ナトリウム等の塩等の凝固剤を用いて行われる。但し、凝固剤を添加せずとも、天然ゴムラテックスとスラリー溶液とを混合することによって、凝固がなされる場合もあり、この場合は、凝固剤を用いなくてもよい。
本発明の変性天然ゴムマスターバッチの製造方法では、最終工程として、上記凝固で得られた凝固物に極性基含有化合物を加え、機械的なせん断力をかけながら乾燥して、凝固物中の天然ゴム分子に極性基含有化合物をグラフト重合又は付加させ、加工性、補強性及び低ロス性に優れた変性天然ゴムマスターバッチを得る。機械的なせん断力をかけながらの乾燥は、一般的な混練機を用いて行うことができるが、工業的生産性の観点から、スクリュー型連続混練機を用いることが好ましく、同方向回転又は異方向回転の二軸混練押出機を用いることが更に好ましい。上記スクリュー型連続混練機としては、市販品を利用することができ、例えば、神戸製鋼製二軸混練押出機等を用いることができる。なお、乾燥前の凝固物中の水分は10%以上であることが好ましい。乾燥前の凝固物中の水分が10%未満であると、乾燥工程での充填剤の分散性の改良幅が小さくなることがある。
本発明において、極性基含有化合物を上記凝固物中の天然ゴム分子にグラフト重合させる場合、該極性基含有化合物は、分子内に炭素−炭素二重結合を有することが好ましく、極性基含有ビニル系単量体であることが好ましい。一方、極性基含有化合物を上記凝固物中の天然ゴム分子に付加反応させる場合、該極性基含有化合物は、分子内にメルカプト基を有することが好ましく、極性基含有メルカプト化合物であることが好ましい。
ここで、極性基含有化合物を凝固物中の天然ゴム分子にグラフト重合させる場合は、機械的せん断力を与えられる装置内に凝固物及び極性基含有化合物(好ましくは、極性基含有ビニル系単量体)と共に重合開始剤を投入し、機械的せん断力を与えながら乾燥することで、凝固物中の天然ゴム分子に極性基含有化合物をグラフト重合により導入することができる。また、極性基含有化合物を凝固物中の天然ゴム分子に付加反応させる場合は、機械的せん断力を与えられる装置内に凝固物及び極性基含有化合物(好ましくは、極性基含有メルカプト化合物)を投入し、必要に応じて有機過酸化物等を更に投入して、機械的せん断力を与えながら乾燥することで、凝固物中の天然ゴム分子の主鎖の二重結合に極性基含有化合物を付加反応させることができる。
上記凝固物中の天然ゴムラテックスに由来する天然ゴム分子にグラフト重合させるのに好適な極性基含有ビニル系単量体の極性基の具体例としては、アミノ基、イミノ基、ニトリル基、アンモニウム基、イミド基、アミド基、ヒドラゾ基、アゾ基、ジアゾ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、カルボニル基、エポキシ基、オキシカルボニル基、スルフィド基、ジスルフィド基、スルホニル基、スルフィニル基、チオカルボニル基、含窒素複素環基、含酸素複素環基、スズ含有基及びアルコキシシリル基等を好適に挙げることができる。これら極性基含有ビニル系単量体は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合せて用いてもよい。
上記アミノ基を含有するビニル系単量体としては、1分子中に第1級、第2級及び第3級アミノ基から選ばれる少なくとも1つのアミノ基を含有する重合性単量体が挙げられる。該アミノ基を有する重合性単量体の中でも、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート等の第3級アミノ基含有ビニル系単量体が特に好ましい。これらアミノ基含有ビニル系単量体は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合せて用いてもよい。
ここで、第1級アミノ基含有ビニル系単量体としては、アクリルアミド、メタクリルアミド、4-ビニルアニリン、アミノメチル(メタ)アクリレート、アミノエチル(メタ)アクリレート、アミノプロピル(メタ)アクリレート、アミノブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、第2級アミノ基含有ビニル系単量体としては、(1)アニリノスチレン、β-フェニル-p-アニリノスチレン、β-シアノ-p-アニリノスチレン、β-シアノ-β-メチル-p-アニリノスチレン、β-クロロ-p-アニリノスチレン、β-カルボキシ-p-アニリノスチレン、β-メトキシカルボニル-p-アニリノスチレン、β-(2-ヒドロキシエトキシ)カルボニル-p-アニリノスチレン、β-ホルミル-p-アニリノスチレン、β-ホルミル-β-メチル-p-アニリノスチレン、α-カルボキシ-β-カルボキシ-β-フェニル-p-アニリノスチレン等のアニリノスチレン類、(2)1-アニリノフェニル-1,3-ブタジエン、1-アニリノフェニル-3-メチル-1,3-ブタジエン、1-アニリノフェニル-3-クロロ-1,3-ブタジエン、3-アニリノフェニル-2-メチル-1,3-ブタジエン、1-アニリノフェニル-2-クロロ-1,3-ブタジエン、2-アニリノフェニル-1,3-ブタジエン、2-アニリノフェニル-3-メチル-1,3-ブタジエン、2-アニリノフェニル-3-クロロ-1,3-ブタジエン等のアニリノフェニルブタジエン類、(3)N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、N-(4-アニリノフェニル)メタクリルアミド等のN-モノ置換(メタ)アクリルアミド類等が挙げられる。
更に、第3級アミノ基含有ビニル系単量体としては、N,N-ジ置換アミノアルキル(メタ)アクリレート及びN,N-ジ置換アミノアルキル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
上記N,N-ジ置換アミノアルキル(メタ)アクリレートとしては、N,N-ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノブチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノブチル(メタ)アクリレート、N-メチル-N-エチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジブチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N-ジブチルアミノブチル(メタ)アクリレート、N,N-ジヘキシルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジオクチルアミノエチル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルフォリン等のアクリル酸又はメタクリル酸のエステル等が挙げられる。これらの中でも、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジオクチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N-メチル-N-エチルアミノエチル(メタ)アクリレート等が特に好ましい。
また、上記N,N-ジ置換アミノアルキル(メタ)アクリルアミドとしては、N,N-ジメチルアミノメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノブチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチルアミノブチル(メタ)アクリルアミド、N-メチル-N-エチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジブチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジブチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジブチルアミノブチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジヘキシルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジヘキシルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジオクチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のアクリルアミド化合物又はメタクリルアミド化合物等が挙げられる。これらの中でも、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジオクチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等が特に好ましい。
上記ニトリル基を含有するビニル系単量体としては、(メタ)アクリロニトリル、シアン化ビニリデン等が挙げられる。これらニトリル基含有ビニル系単量体は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合せて用いてもよい。
上記ヒドロキシル基を含有するビニル系単量体としては、1分子中に少なくとも1つの第1級、第2級及び第3級ヒドロキシル基を有する重合性単量体が挙げられる。かかる単量体としては、ヒドロキシル基含有不飽和カルボン酸系単量体、ヒドロキシル基含有ビニルエーテル系単量体、ヒドロキシル基含有ビニルケトン系単量体等が挙げられる。ここで、ヒドロキシル基含有ビニル系単量体の具体例としては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール(アルキレングリコール単位数は、例えば、2〜23である)のモノ(メタ)アクリレート類;N-ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-(2-ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N,N-ビス(2-ヒドロキシメチル)(メタ)アクリルアミド等のヒドロキシル基含有不飽和アミド類;o-ヒドロキシスチレン、m-ヒドロキシスチレン、p-ヒドロキシスチレン、o-ヒドロキシ-α-メチルスチレン、m-ヒドロキシ-α-メチルスチレン、p-ヒドロキシ-α-メチルスチレン、p-ビニルベンジルアルコール等のヒドロキシル基含有ビニル芳香族化合物類等が挙げられる。これらの中でも、ヒドロキシル基含有不飽和カルボン酸系単量体、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類、ヒドロキシル基含有ビニル芳香族化合物が好ましく、ヒドロキシル基含有不飽和カルボン酸系単量体が特に好ましい。ここで、ヒドロキシル基含有不飽和カルボン酸系単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸等のエステル、アミド、無水物等の誘導体が挙げられ、これらの中でも、アクリル酸、メタクリル酸等のエステルが特に好ましい。これらヒドロキシル基含有ビニル系単量体は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合せて用いてもよい。
上記カルボキシル基を含有するビニル系単量体としては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、テトラコン酸、桂皮酸等の不飽和カルボン酸類;フタル酸、コハク酸、アジピン酸等の非重合性多価カルボン酸と、(メタ)アリルアルコール、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有不飽和化合物とのモノエステルのような遊離カルボキシル基含有エステル類及びその塩等が挙げられる。これらの中でも、不飽和カルボン酸類が特に好ましい。これらカルボキシル基含有ビニル系単量体は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合せて用いてもよい。
上記エポキシ基を含有するビニル系単量体としては、(メタ)アリルグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4-オキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらエポキシ基含有ビニル系単量体は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合せて用いてもよい。
上記含窒素複素環基を含有するビニル系単量体において、該含窒素複素環としては、ピロール、ヒスチジン、イミダゾール、トリアゾリジン、トリアゾール、トリアジン、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、インドール、キノリン、プリン、フェナジン、プテリジン、メラミン等が挙げられる。なお、該含窒素複素環は、他のヘテロ原子を環中に含んでいてもよい。ここで、含窒素複素環基としてピリジル基を含有するビニル系単量体としては、2-ビニルピリジン、3-ビニルピリジン、4-ビニルピリジン、5-メチル-2-ビニルピリジン、5-エチル-2-ビニルピリジン等が挙げられ、これらの中でも、2-ビニルピリジン、4-ビニルピリジン等が特に好ましい。これら含窒素複素環基含有ビニル系単量体は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合せて用いてもよい。
上記スズ含有基を有するビニル系単量体としては、アリルトリ-n-ブチルスズ、アリルトリメチルスズ、アリルトリフェニルスズ、アリルトリ-n-オクチルスズ、(メタ)アクリルオキシ-n-ブチルスズ、(メタ)アクリルオキシトリメチルスズ、(メタ)アクリルオキシトリフェニルスズ、(メタ)アクリルオキシ-n-オクチルスズ、ビニルトリ-n-ブチルスズ、ビニルトリメチルスズ、ビニルトリフェニルスズ、ビニルトリ-n-オクチルスズ等のスズ含有単量体を挙げることができる。これらスズ含有ビニル系単量体は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合せて用いてもよい。
上記アルコキシシリル基を含有するビニル系単量体としては、(メタ)アクリロキシメチルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルメチルジメトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルジメチルメトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルトリエトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルメチルジエトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルジメチルエトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルトリプロポキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルメチルジプロポキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルジメチルプロポキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルジメチルエトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルトリプロポキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジプロポキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルジメチルプロポキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジフェノキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルジメチルフェノキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジベンジロキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルジメチルベンジロキシシラン、トリメトキシビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、6-トリメトキシシリル-1,2-ヘキセン、p-トリメトキシシリルスチレン等が挙げられる。これらアルコキシシリル基含有ビニル系単量体は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合せて用いてもよい。
上記極性基含有化合物を凝固物中の天然ゴム分子にグラフト重合させるために用いる重合開始剤としては、特に制限はなく、種々の乳化重合用の重合開始剤を用いることができ、その添加方法についても特に制限はない。一般に用いられる重合開始剤の例としては、過酸化ベンゾイル、過酸化水素、クメンハイドロパーオキサイド、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、ジ-tert-ブチルパーオキサイド、2,2-アゾビスイソブチロニトリル、2,2-アゾビス(2-ジアミノプロパン)ヒドロクロライド、2,2-アゾビス(2-ジアミノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等が挙げられる。なお、重合温度を低下させるためには、レドックス系の重合開始剤を用いることが好ましい。かかるレドックス系重合開始剤において、過酸化物と組み合せる還元剤としては、例えば、テトラエチレンペンタミン、メルカプタン類、酸性亜硫酸ナトリウム、還元性金属イオン、アスコルビン酸等が挙げられる。レドックス系重合開始剤における過酸化物と還元剤との好ましい組み合せとしては、tert-ブチルハイドロパーオキサイドとテトラエチレンペンタミンとの組み合せ等が挙げられる。
本発明の変性天然ゴムマスターバッチを用いて、ゴム組成物の加工性を低下させることなく低ロス性及び耐摩耗性を向上させるには、各天然ゴム分子に上記極性基含有化合物が少量且つ均一に導入されることが重要であるため、上記重合開始剤の添加量は、上記極性基含有化合物に対し1〜100mol%の範囲が好ましく、10〜100mol%の範囲が更に好ましい。
一方、上記凝固物中の天然ゴムラテックスに由来する天然ゴム分子に付加反応させるのに好適な極性基含有メルカプト化合物の極性基の具体例としては、アミノ基、イミノ基、ニトリル基、アンモニウム基、イミド基、アミド基、ヒドラゾ基、アゾ基、ジアゾ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、カルボニル基、エポキシ基、オキシカルボニル基、スルフィド基、ジスルフィド基、スルホニル基、スルフィニル基、チオカルボニル基、含窒素複素環基、含酸素複素環基、スズ含有基及びアルコキシシリル基等を好適に挙げることができる。これら極性基含有メルカプト化合物は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合せて用いてもよい。
上記アミノ基を含有するメルカプト化合物としては、1分子中に第1級、第2級及び第3級アミノ基から選ばれる少なくとも1つのアミノ基を有するメルカプト化合物が挙げられる。該アミノ基を有するメルカプト化合物の中でも、第3級アミノ基含有メルカプト化合物が特に好ましい。ここで、第1級アミノ基含有メルカプト化合物としては、4-メルカプトアニリン、2-メルカプトエチルアミン、2-メルカプトプロピルアミン、3-メルカプトプロピルアミン、2-メルカプトブチルアミン、3-メルカプトブチルアミン、4-メルカプトブチルアミン等が挙げられる。また、第2級アミノ基含有メルカプト化合物としては、N-メチルアミノエタンチオール、N-エチルアミノエタンチオール、N-メチルアミノプロパンチオール、N-エチルアミノプロパンチオール、N-メチルアミノブタンチオール、N-エチルアミノブタンチオール等が挙げられる。更に、第3級アミノ基含有メルカプト化合物としては、N,N-ジメチルアミノエタンチオール、N,N-ジエチルアミノエタンチオール、N,N-ジメチルアミノプロパンチオール、N,N-ジエチルアミノプロパンチオール、N,N-ジメチルアミノブタンチオール、N,N-ジエチルアミノブタンチオール等のN,N-ジ置換アミノアルキルメルカプタン等が挙げられる。これらアミノ基含有メルカプト化合物の中でも、2-メルカプトエチルアミン及びN,N-ジメチルアミノエタンチオール等が好ましい。これらアミノ基含有メルカプト化合物は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合せて用いてもよい。
上記ニトリル基を有するメルカプト化合物としては、2-メルカプトプロパンニトリル、3-メルカプトプロパンニトリル、2-メルカプトブタンニトリル、3-メルカプトブタンニトリル、4-メルカプトブタンニトリル等が挙げられ、これらニトリル基含有メルカプト化合物は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合せて用いてもよい。
上記ヒドロキシル基を含有するメルカプト化合物としては、1分子中に少なくとも1つの第1級、第2級又は第3級ヒドロキシル基を有するメルカプト化合物が挙げられる。該ヒドロキシル基含有メルカプト化合物の具体例としては、2-メルカプトエタノール、3-メルカプト-1-プロパノール、3-メルカプト-2-プロパノール、4-メルカプト-1-ブタノール、4-メルカプト-2-ブタノール、3-メルカプト-1-ブタノール、3-メルカプト-2-ブタノール、3-メルカプト-1-ヘキサノール、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール、2-メルカプトベンジルアルコール、2-メルカプトフェノール、4-メルカプトフェノール等が挙げられ、これらの中でも、2-メルカプトエタノール等が好ましい。これらヒドロキシル基含有メルカプト化合物は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合せて用いてもよい。
上記カルボキシル基を含有するメルカプト化合物としては、メルカプト酢酸、メルカプトプロピオン酸、チオサリチル酸、メルカプトマロン酸、メルカプトコハク酸、メルカプト安息香酸等が挙げられ、これらの中でも、メルカプト酢酸等が好ましい。これらカルボキシル基含有メルカプト化合物は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合せて用いてもよい。
上記含窒素複素環基を含有するメルカプト化合物において、該含窒素複素環としては、ピロール、ヒスチジン、イミダゾール、トリアゾリジン、トリアゾール、トリアジン、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、インドール、キノリン、プリン、フェナジン、プテリジン、メラミン等が挙げられる。なお、該含窒素複素環は、他のヘテロ原子を環中に含んでいてもよい。ここで、含窒素複素環基としてピリジル基を含有するメルカプト化合物としては、2-メルカプトピリジン、3-メルカプトピリジン、4-メルカプトピリジン、5-メチル-2-メルカプトピリジン、5-エチル-2-メルカプトピリジン等が挙げられ、また、他の含窒素複素環基を含有するメルカプト化合物としては、2-メルカプトピリミジン、2-メルカプト-5-メチルベンズイミダゾール、2-メルカプト-1-メチルイミダゾール、2-メルカプトベンズイミダゾール、2-メルカプトイミダゾール等が挙げられ、これらの中でも、2-メルカプトピリジン、4-メルカプトピリジン等が好ましい。これら含窒素複素環基含有メルカプト化合物は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合せて用いてもよい。
上記スズ含有基を有するメルカプト化合物としては、2-メルカプトエチルトリ-n-ブチルスズ、2-メルカプトエチルトリメチルスズ、2-メルカプトエチルトリフェニルスズ、3-メルカプトプロピルトリ-n-ブチルスズ、3-メルカプトプロピルトリメチルスズ、3-メルカプトプロピルトリフェニルスズ等のスズ含有メルカプト化合物を挙げることができる。これらスズ含有メルカプト化合物は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合せて用いてもよい。
上記アルコキシシリル基を含有するメルカプト化合物としては、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルジメチルメトキシシラン、2-メルカプトエチルトリメトキシシラン、2-メルカプトエチルトリエトキシシラン、メルカプトメチルメチルジエトキシシラン、メルカプトメチルトリメトキシシラン等が挙げられ、これらの中でも、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が好ましい。これらアルコキシシリル基含有メルカプト化合物は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合せて用いてもよい。
上述した凝固物と極性基含有化合物とを機械的せん断力を与えられる装置内に仕込み、装置内で機械的せん断力を与えながら乾燥することで、凝固物中の天然ゴム分子に上記極性基含有化合物をグラフト共重合又は付加反応させ、天然ゴムを変性することができる。なお、この際、天然ゴムの変性反応を加温して行ってもよく、好ましくは30〜160℃、より好ましくは50〜130℃の温度で行うことで、十分な反応効率で天然ゴムを変性することができる。
本発明の変性天然ゴムマスターバッチにおいて、上記極性基含有化合物のグラフト量又は付加量は、上記凝固物中の天然ゴムラテックスに由来するゴム成分に対して0.01〜5.0質量%の範囲が好ましく、0.02〜3.0質量%の範囲が更に好ましく、0.03〜2.0質量%の範囲がより一層好ましい。極性基含有化合物のグラフト量又は付加量が0.01質量%未満では、ゴム組成物の低ロス性及び耐摩耗性を十分に改良できないことがある。また、極性基含有化合物のグラフト量又は付加量が5.0質量%を超えると、粘弾性、S−S特性(引張試験機における応力−歪曲線)等の天然ゴム本来の物理特性を大きく変えてしまい、天然ゴム本来の優れた物理特性が損なわれると共に、ゴム組成物の加工性が大幅に悪化するおそれがある。
本発明の変性天然ゴムマスターバッチには、上記天然ゴムラテックス、スラリー溶液、極性基含有化合物、界面活性剤の他に、加硫剤、老化防止剤、着色剤、分散剤等の添加剤を用いることができる。
本発明のゴム組成物は、上記変性天然ゴムマスターバッチを用いたことを特徴とし、上述のように上記変性天然ゴムマスターバッチは、均一性に優れるため、本発明のゴム組成物は、均一性に優れ、低ロス性、耐摩耗性及び破壊特性に優れる。なお、本発明のゴム組成物には、上記変性天然ゴムマスターバッチの他に、更に、加硫剤、加硫促進剤、老化防止剤、スコーチ防止剤、亜鉛華、ステアリン酸、シランカップリング剤等のゴム工業で通常使用される配合剤を、本発明の目的を害しない範囲内で適宜選択して配合することができる。これら配合剤としては、市販品を好適に使用することができる。本発明のゴム組成物は、変性天然ゴムマスターバッチに、必要に応じて適宜選択した各種配合剤を混練り、熱入れ、押出等することにより製造することができる。
また、本発明のタイヤは、上記ゴム組成物をタイヤ部材のいずれかに用いたことを特徴とする。ここで、本発明のタイヤにおいては、上記ゴム組成物をトレッドゴムに用いることが特に好ましく、上記ゴム組成物をトレッドに用いたタイヤは、耐破壊特性及び耐摩耗性が高く、転がり抵抗が低く、低燃費性に優れる。なお、本発明のタイヤに充填する気体としては、通常の或いは酸素分圧を変えた空気、又は窒素等の不活性ガスが挙げられる。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
(カーボンブラックスラリー溶液の調製)
ローター径50mmのコロイドミルに脱イオン水1425g及びカーボンブラック(N110)75gを投入し、ローター・ステーター間隙1mm、回転数1500rpmで10分間撹拌し、得られたスラリーに、更にアニオン系界面活性剤[花王デモール N]を0.05%加え、圧力式ホモジナイザーを用いて圧力500kPaの条件下で3回循環させて、カーボンブラックスラリー溶液を調製した。なお、使用したカーボンブラックの24M4DBP吸油量をISO 6894に準拠して測定したところ、水中に分散させる前の24M4DBP吸油量が98mL/100gで、スラリー溶液から乾燥回収した後の24M4DBP吸油量が96mL/100g(保持率:98.0%)であった。また、スラリー溶液中のカーボンブラックの粒度分布を、分散後直ちにレーザー回折型粒度分布計[MICROTRAC FRA型]を使用し、水の屈折率1.33、粒子屈折率1.57として測定したところ、体積平均粒子径(mv)が15.1μmで且つ90体積%粒径(D90)が19.5μmであった。
(凝固工程1)
ホモミキサー中に、天然ゴムのフィールドラテックスを脱イオン水で希釈し、ゴム分20%に調整した天然ゴムラテックスと、上記カーボンブラックスラリー溶液とを、ゴム成分100質量部に対してカーボンブラックが50質量部になるように添加し、撹拌しながら、ギ酸をpH=4.7になるまで加え、凝固させた。次に、得られた凝固物1を回収及び水洗し、水分が約40%になるまで脱水を行った。なお、凝固物1中のカーボンブラック量は、天然ゴム100質量部に対して50質量部であった。
<製造例1>
上記凝固物1の乾燥物含有量を求めた後、乾燥物量換算で900gの凝固物1と、N,N-ジエチルアミノエチルメタクリレート 3.0gと、tert-ブチルハイドロパーオキサイド(t-BHPO)1.2gとを混練機内で室温にて30rpmで2分間練り込み、均一に分散させた。次に、得られた混合物にテトラエチレンペンタミン(TEPA)1.2gを均一に加えながら、神戸製鋼製二軸混練押出機[同方向回転スクリュー径=30mm, L/D=35, ベントホール3ヶ所]を用い、バレル温度120℃、回転数100rpmで機械的せん断力を加えながら押し出すことにより、乾燥した変性天然ゴムマスターバッチAを得た。
得られた変性天然ゴムマスターバッチAの質量から、単量体として加えたN,N-ジエチルアミノエチルメタクリレートの転化率は、76%であった。また、該変性天然ゴムマスターバッチAを石油エーテルで抽出し、更にアセトンとメタノールの2:1混合溶媒で抽出することによりホモポリマーの分離を試みたところ、ホモポリマーが仕込みモノマー量の8%検出された。従って、上記変性天然ゴムマスターバッチAにおけるN,N-ジエチルアミノエチルメタクリレートのグラフト量は、凝固物中の天然ゴムに対して0.35質量%である。
<製造例2〜5>
N,N-ジエチルアミノエチルメタクリレート 3.0gの代わりに、製造例2では2-ヒドロキシエチルメタクリレート 2.1gを加え、製造例3では2-ビニルピリジン 1.7gを加え、製造例4ではアクリロニトリル 1.7gを加え、製造例5ではメタクリルアミド 2.8gを加え、それ以外は、上記製造例1と同様にして変性天然ゴムマスターバッチB〜Eを得た。また、変性天然ゴムマスターバッチAと同様にして、変性天然ゴムマスターバッチB〜Eにおける単量体として加えた極性基含有化合物のグラフト量を分析して、表1に示す結果を得た。
<製造例6〜7>
tert-ブチルハイドロパーオキサイド(t-BHPO)及びテトラエチレンペンタミン(TEPA)を添加せずに、N,N-ジエチルアミノエチルメタクリレート 3.0gの代わりに、製造例6ではN,N-ジメチルアミノエタンチオール 1.7gを加え、製造例7では4-メルカプトピリジン 1.8gを加え、それ以外は、上記製造例1と同様にして変性天然ゴムマスターバッチF、Gを得た。また、得られた変性天然ゴムマスターバッチF、Gにおける単量体として加えた極性基含有化合物の付加量を熱分解ガスクロマトグラフ−質量分析装置を用いて分析して、表1に示す結果を得た。
<製造例8>
N,N-ジエチルアミノエチルメタクリレートを加えない以外は、上記製造例1と同様にして天然ゴムマスターバッチHを得た。
(シリカスラリー溶液の調製)
ローター径50mmのコロイドミルに脱イオン水1425g及び湿式シリカ[日本シリカ工業(株)製, ニップシールLP]75gを投入し、ローター・ステーター間隙0.3mm、回転数7000rpmで10分間撹拌し、シリカスラリーを調製した。なお、使用したシリカの24M4DBP吸油量をISO 6894に準拠して測定したところ、水中に分散させる前の24M4DBP吸油量が150mL/100gで、スラリー溶液から乾燥回収した後の24M4DBP吸油量が144mL/100g(保持率:96.0%)であった。また、スラリー溶液中のシリカの粒度分布を、分散後直ちにレーザー回折型粒度分布計[MICROTRAC FRA型]を使用し、水の屈折率1.33、粒子屈折率1.57として測定したところ、体積平均粒子径(mv)が13.2μmで且つ90体積%粒径(D90)が24.0μmであった。
(凝固工程2)
ホモミキサー中に、天然ゴムのフィールドラテックスを脱イオン水で希釈し、ゴム分20%に調整した天然ゴムラテックスと、上記シリカスラリー溶液とを、ゴム成分100質量部に対してシリカが50質量部になるように添加し、撹拌しながら、ギ酸をpH=4.7になるまで加え、凝固させた。次に、得られた凝固物2を回収及び水洗し、水分が約40%になるまで脱水を行った。なお、凝固物2中のシリカ量は、天然ゴム100質量部に対して50質量部であった。
<製造例9>
上記凝固物2の乾燥物含有量を求めた後、乾燥物量換算で900gの凝固物2と、N,N-ジエチルアミノエチルメタクリレート 3.0gと、tert-ブチルハイドロパーオキサイド(t-BHPO)1.2gとを混練機内で室温にて30rpmで2分間練り込み、均一に分散させた。次に、得られた混合物にテトラエチレンペンタミン(TEPA)1.2gを均一に加えながら、神戸製鋼製二軸混練押出機[同方向回転スクリュー径=30mm, L/D=35, ベントホール3ヶ所]を用い、バレル温度120℃、回転数100rpmで機械的せん断力を加えながら押し出すことにより、乾燥した変性天然ゴムマスターバッチIを得た。また、変性天然ゴムマスターバッチAと同様にして、変性天然ゴムマスターバッチIにおける単量体として加えた極性基含有化合物のグラフト量を分析して、表1に示す結果を得た。
<製造例10〜15>
N,N-ジエチルアミノエチルメタクリレート 3.0gの代わりに、製造例10では2-ヒドロキシエチルメタクリレート 2.1gを加え、製造例11では2-ビニルピリジン 1.7gを加え、製造例12ではメタクリル酸 1.4gを加え、製造例13ではアクリロニトリル 1.7gを加え、製造例14ではグリシジルメタクリレート 2.3gを加え、製造例15ではメタクリルアミド 2.8gを加え、それ以外は、上記製造例9と同様にして変性天然ゴムマスターバッチJ〜Oを得た。また、変性天然ゴムマスターバッチAと同様にして、変性天然ゴムマスターバッチJ〜Oにおける単量体として加えた極性基含有化合物のグラフト量を分析して、表1に示す結果を得た。
<製造例16〜20>
tert-ブチルハイドロパーオキサイド(t-BHPO)及びテトラエチレンペンタミン(TEPA)を添加せずに、N,N-ジエチルアミノエチルメタクリレート 3.0gの代わりに、製造例16ではN,N-ジメチルアミノエタンチオール 1.7gを加え、製造例17では4-メルカプトピリジン 1.8gを加え、製造例18ではメルカプトエタノール 1.3gを加え、製造例19ではメルカプト酢酸 1.5gを加え、製造例20では3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン 3.3gを加え、それ以外は、上記製造例9と同様にして変性天然ゴムマスターバッチP〜Tを得た。また、得られた変性天然ゴムマスターバッチP〜Tにおける単量体として加えた極性基含有化合物の付加量を熱分解ガスクロマトグラフ−質量分析装置を用いて分析して、表1に示す結果を得た。
<製造例21>
N,N-ジエチルアミノエチルメタクリレートを加えない以外は、上記製造例9と同様にして天然ゴムマスターバッチUを得た。
Figure 0004733993
次に、プラストミルで混練して表2に示す配合処方のゴム組成物を調製し、該ゴム組成物に対して、下記の方法でムーニー粘度、引張強さ(Tb)、tanδ及び耐摩耗性を測定・評価した。配合1に従うゴム組成物の結果を表3に、配合2に従うゴム組成物の結果を表4に示す。
(1)ムーニー粘度
JIS K6300-1994に準拠して、130℃にてゴム組成物のムーニー粘度ML1+4(130℃)を測定した。
(2)引張強さ
上記ゴム組成物を145℃で33分間加硫して得た加硫ゴムに対し、JIS K6301-1995に準拠して引張試験を行い、引張強さ(Tb)を測定した。引張強さが大きい程、耐破壊性が良好であることを示す。
(3)tanδ
上記ゴム組成物を145℃で33分間加硫して得た加硫ゴムに対し、粘弾性測定装置[レオメトリックス社製]を用い、温度50℃、歪み5%、周波数15Hzで損失正接(tanδ)を測定した。tanδが小さい程、低ロス性に優れることを示す。
(4)耐摩耗性
上記ゴム組成物を145℃で33分間加硫して得た加硫ゴムに対し、ランボーン型摩耗試験機を用い、室温におけるスリップ率60%での摩耗量を測定し、表3においては比較例1の摩耗量の逆数を100とし、表4においては比較例2の摩耗量の逆数を100としてそれぞれ指数表示した。指数値が大きい程、摩耗量が少なく、耐摩耗性に優れることを示す。
Figure 0004733993
*1 使用したマスターバッチの種類を表3及び表4中に示す.
*2 デグサ製, 「Si69」, ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド.
*3 N-(1,3-ジメチルブチル)-N'-フェニル-p-フェニレンジアミン.
*4 N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド.
*5 N-t-ブチル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド.
Figure 0004733993
Figure 0004733993
表3及び表4のそれぞれにおける実施例と比較例の比較から、凝固物に極性基含有化合物を加え、機械的なせん断力をかけながら乾燥して、凝固物中の天然ゴム分子に極性基含有化合物をグラフト重合又は付加させた変性天然ゴムマスターバッチを用いることで、ゴム組成物の破壊特性、低ロス性及び耐摩耗性を大幅に改善できることが分る。

Claims (11)

  1. (i)天然ゴムラテックスと、充填剤を予め水中に分散させてなるスラリー溶液とを混合する工程;
    (ii)前記(i)工程で得られた混合液を凝固させる工程;並びに、
    (iii)前記(ii)工程で得られた凝固物に極性基含有化合物を加え、機械的なせん断力をかけながら乾燥して、凝固物中の天然ゴム分子に極性基含有化合物をグラフト重合又は付加させる工程
    を含むことを特徴とする変性天然ゴムマスターバッチの製造方法。
  2. 前記スラリー溶液中の充填剤は、体積平均粒子径(mv)が25μm以下で且つ90体積%粒径(D90)が30μm以下であり、該スラリー溶液から乾燥回収した充填剤の24M4DBP吸油量が、水中に分散させる前の24M4DBP吸油量の93%以上を保持していることを特徴とする請求項1に記載の変性天然ゴムマスターバッチの製造方法。
  3. 前記充填剤が、カーボンブラック、シリカ及び下記一般式(I):
    nM・xSiOy・zH2O ・・・ (I)
    [式中、Mは、アルミニウム、マグネシウム、チタン、カルシウム及びジルコニウムからなる群から選ばれる金属、これらの金属の酸化物又は水酸化物、及びそれらの水和物、またはこれらの金属の炭酸塩から選ばれる少なくとも一種であり;n、x、y及びzは、それぞれ1〜5の整数、0〜10の整数、2〜5の整数、及び0〜10の整数である]で表される無機化合物からなる群から選択される少なくとも一種であることを特徴とする請求項1又は2に記載の変性天然ゴムマスターバッチの製造方法。
  4. 前記極性基含有化合物の極性基が、アミノ基、イミノ基、ニトリル基、アンモニウム基、イミド基、アミド基、ヒドラゾ基、アゾ基、ジアゾ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、カルボニル基、エポキシ基、オキシカルボニル基、スルフィド基、ジスルフィド基、スルホニル基、スルフィニル基、チオカルボニル基、含窒素複素環基、含酸素複素環基、スズ含有基及びアルコキシシリル基からなる群から選ばれる少なくとも一つであることを特徴とする請求項1に記載の変性天然ゴムマスターバッチの製造方法。
  5. 前記極性基含有化合物のグラフト量又は付加量が、前記凝固物中のゴム成分に対して0.01〜5.0質量%であることを特徴とする請求項1に記載の変性天然ゴムマスターバッチの製造方法。
  6. 前記天然ゴムラテックス及び/又は前記スラリー溶液が更に界面活性剤を含むことを特徴とする請求項1に記載の変性天然ゴムマスターバッチの製造方法。
  7. 前記乾燥を連続混練機を用いて行うことを特徴とする請求項1に記載の変性天然ゴムマスターバッチの製造方法。
  8. 前記連続混練機が二軸混練押出機であることを特徴とする請求項7に記載の変性天然ゴムマスターバッチの製造方法。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の方法で製造された変性天然ゴムマスターバッチ。
  10. 請求項9に記載の変性天然ゴムマスターバッチを用いたゴム組成物。
  11. 請求項10に記載のゴム組成物をタイヤ部材のいずれかに用いたことを特徴とするタイヤ。
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