JP2007204533A - 変性天然ゴム及びその製造方法、並びにそれを用いたゴム組成物及びタイヤ - Google Patents

変性天然ゴム及びその製造方法、並びにそれを用いたゴム組成物及びタイヤ Download PDF

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Abstract

【課題】加工性に優れた変性天然ゴム及びその製造方法、並びに、該変性天然ゴムを用いたゴム組成物及びタイヤを提供する。
【解決手段】天然ゴムラテックスに極性基含有単量体を加え、該極性基含有単量体を天然ゴムラテックス中の天然ゴム分子にグラフト重合させ、更に凝固及び乾燥する工程Aと、該工程Aの生成物に恒粘度剤を添加する工程Bとを含むことを特徴とする変性天然ゴムの製造方法と、該方法で製造された変性天然ゴムと、該変性天然ゴムを用いたゴム組成物と、該ゴム組成物をタイヤ部材のいずれかに用いたタイヤである。
【選択図】なし

Description

本発明は、変性天然ゴム及びその製造方法、並びに該変性天然ゴムを用いたゴム組成物及びタイヤに関し、特に加工性に優れた変性天然ゴム及びゴム組成物に関するものである。
昨今、自動車の低燃費化に対する要求が強くなりつつあり、転がり抵抗の小さいタイヤが求められている。そのため、タイヤのトレッド等に使用するゴム組成物として、tanδが低く(以下、低ロス性とする)、低発熱性に優れたゴム組成物が求められている。また、トレッド用のゴム組成物においては、低ロス性に加え、耐摩耗性及び破壊特性に優れることが求められる。これに対して、ゴム組成物の低ロス性、耐摩耗性及び破壊特性を改良するには、ゴム組成物中のカーボンブラックやシリカ等の充填剤とゴム成分との親和性を向上させることが有効である。
例えば、ゴム組成物中の充填剤とゴム成分との親和性を向上させ、充填剤による補強効果を向上させるために、末端変性により充填剤との親和性を向上させた合成ゴムや、官能基含有単量体を共重合させて充填剤との親和性を向上させた合成ゴム等が開発されている。
一方、天然ゴムに関しては、例えば、天然ゴムラテックスにビニル系単量体を添加してグラフト重合する技術(特許文献1〜6参照)が知られており、該技術で得られたグラフト化天然ゴムは、接着剤用途等で実用化されている。しかしながら、該グラフト化天然ゴムは、天然ゴム自身の特性を変えるために単量体として多量(20〜50質量%)のビニル化合物をグラフト化しているため、充填剤と配合すると、大幅な粘度上昇を招き、加工性が低下してしまう。また、多量のビニル化合物が天然ゴム分子鎖に導入されているため、天然ゴム本来の優れた物理特性(粘弾性、引張試験等における応力−歪曲線)が損なわれてしまう。そのため、該技術で得られたグラフト化天然ゴムを用いても、充填剤との親和性を向上させ、補強効果を向上させることはできない。
これに対して、天然ゴムラテックスに極性基含有単量体を添加し、該極性基含有単量体を天然ゴムラテックス中の天然ゴム分子にグラフト重合させ、更に凝固及び乾燥してなる変性天然ゴムをゴム成分として使用することで、ゴム成分と充填剤との親和性を向上させてゴム組成物の補強性を改善し、ゴム組成物の低ロス性、耐摩耗性及び破壊特性を向上させる技術が開示されている(特許文献7参照)。
特開平5−287121号公報 特開平6−329702号公報 特開平9−25468号公報 特開2000−319339号公報 特開2002−138266号公報 特開2002−348559号公報 国際公開第2004/106397号パンフレット
しかしながら、本発明者が検討したところ、国際公開第2004/106397号に開示の変性天然ゴムは、保管時にタンパク質等の非ゴム成分と変性天然ゴム中の極性基とが反応してしまい、従来の天然ゴムよりも保管時の粘度上昇が早く、加工性が悪いことが分った。
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の問題を解決し、加工性に優れた変性天然ゴムと、該変性天然ゴムの製造方法を提供することにある。また、本発明の他の目的は、かかる変性天然ゴムを用いた加工性に優れたゴム組成物と、該ゴム組成物を用いたタイヤを提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、天然ゴムラテックスに極性基含有単量体を加え、該極性基含有単量体を天然ゴムラテックス中の天然ゴム分子にグラフト重合させた後、凝固及び乾燥し、更に、恒粘度剤を添加して製造した変性天然ゴムが保管時の粘度上昇が小さく、加工性に優れることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明の変性天然ゴムの製造方法は、天然ゴムラテックスに極性基含有単量体を加え、該極性基含有単量体を天然ゴムラテックス中の天然ゴム分子にグラフト重合させ、凝固及び乾燥する工程Aと、該工程Aの生成物に恒粘度剤を添加する工程Bとを含むことを特徴とする。
本発明の変性天然ゴムの製造方法の好適例においては、前記工程Bを混練機を用いて行う。
本発明の変性天然ゴムの製造方法の他の好適例においては、前記極性基含有単量体の極性基が、アミノ基、イミノ基、ニトリル基、アンモニウム基、イミド基、アミド基、ヒドラゾ基、アゾ基、ジアゾ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、カルボニル基、エポキシ基、オキシカルボニル基、スルフィド基、ジスルフィド基、スルホニル基、スルフィニル基、チオカルボニル基、含窒素複素環基、含酸素複素環基及びアルコキシシリル基からなる群から選ばれる少なくとも一つである。
本発明の変性天然ゴムの製造方法の他の好適例においては、前記極性基含有単量体のグラフト量が、前記天然ゴムラテックス中のゴム成分に対して0.01〜5.0質量%である。
本発明の変性天然ゴムの製造方法の他の好適例においては、前記恒粘度剤がヒドラジド化合物である。ここで、該ヒドラジド化合物としては、下記一般式(I):
R−CONHNH2 ・・・ (I)
[式中、Rは、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数3〜30のシクロアルキル基又は炭素数6〜30のアリール基を示す]で表される化合物が好ましい。また、上記ヒドラジド化合物として、具体的には、アセトヒドラジド、プロピオン酸ヒドラジド、酪酸ヒドラジド、ラウリン酸ヒドラジド、パルミチン酸ヒドラジド、ステアリン酸ヒドラジド、シクロプロパンカルボン酸ヒドラジド、シクロヘキサンカルボン酸ヒドラジド、シクロヘプタンカルボン酸ヒドラジド、安息香酸ヒドラジド、o-トルイル酸ヒドラジド、m-トルイル酸ヒドラジド、p-トルイル酸ヒドラジド、p-メトキシ安息香酸ヒドラジド、3,5-ジメチル安息香酸ヒドラジド、及び1-ナフトエ酸ヒドラジドが好ましい。
また、本発明の変性天然ゴムは、上記の方法で製造されたことを特徴とし、本発明のゴム組成物は、該変性天然ゴムを用いたことを特徴とし、本発明のタイヤは、該ゴム組成物をタイヤ部材のいずれかに用いたことを特徴とする。
本発明の変性天然ゴムの製造方法によれば、保管時の粘度上昇が小さく、加工性に優れた変性天然ゴムを製造することができる。また、かかる変性天然ゴムを用いた、優れた加工性を有するゴム組成物、並びに該ゴム組成物を用いたタイヤを提供することができる。
以下に、本発明を詳細に説明する。本発明の変性天然ゴムの製造方法は、天然ゴムラテックスに極性基含有単量体を加え、該極性基含有単量体を天然ゴムラテックス中の天然ゴム分子にグラフト重合させ、凝固及び乾燥する工程Aと、該工程Aの生成物に恒粘度剤を添加する工程Bとを含むことを特徴とし、本発明の変性天然ゴムは、かかる方法で製造されたことを特徴とし、本発明のゴム組成物は、上記変性天然ゴムを用いたことを特徴とし、本発明のタイヤは、上記ゴム組成物をタイヤ部材のいずれかに用いたことを特徴とする。
上述のように、本発明者は、天然ゴム分子に極性基含有単量体をグラフト重合させてなる変性天然ゴムは、保管時にタンパク質等の非ゴム成分や、乾燥時に生成した主鎖中の官能基と、変性天然ゴム中の極性基とが反応するため、従来の天然ゴムよりも保管時の粘度上昇が早く、加工性が悪いことを発見したが、これに対して、更に恒粘度剤を添加することにより、保管時の粘度上昇を抑制して、加工性に優れた変性天然ゴムを得ることが可能となる。また、該変性天然ゴムを用いることで、ゴム組成物の混練時等の作業性を向上させることが可能となる。
本発明の変性天然ゴムの製造方法においては、工程Aで、天然ゴムラテックスに極性基含有単量体を加え、該極性基含有単量体を天然ゴムラテックス中の天然ゴム分子にグラフト重合させ、更に凝固及び乾燥を行う。ここで、本発明の変性天然ゴムの原料として用いる天然ゴムラテックスとしては、特に限定されず、例えば、フィールドラテックス、アンモニア処理ラテックス、遠心分離濃縮ラテックス、界面活性剤や酵素で処理した脱タンパク質ラテックス、及びこれらを組み合せたもの等を用いることができる。
上記天然ゴムラテックスに添加される極性基含有単量体は、分子内に少なくとも一つの極性基を有し、天然ゴム分子とグラフト重合できる限り特に制限されるものでない。ここで、該極性基含有単量体は、天然ゴム分子とグラフト重合するために、分子内に炭素−炭素二重結合を有することが好ましく、極性基含有ビニル系単量体であることが好ましい。上記極性基の具体例としては、アミノ基、イミノ基、ニトリル基、アンモニウム基、イミド基、アミド基、ヒドラゾ基、アゾ基、ジアゾ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、カルボニル基、エポキシ基、オキシカルボニル基、スルフィド基、ジスルフィド基、スルホニル基、スルフィニル基、チオカルボニル基、含窒素複素環基、含酸素複素環基、及びアルコキシシリル基等を好適に挙げることができる。これら極性基を含有する単量体は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合せて用いてもよい。
上記アミノ基を含有する単量体としては、1分子中に第1級、第2級及び第3級アミノ基から選ばれる少なくとも1つのアミノ基を含有する重合性単量体が挙げられる。該アミノ基を有する重合性単量体の中でも、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート等の第3級アミノ基含有単量体が特に好ましい。これらアミノ基含有単量体は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合せて用いてもよい。
ここで、第1級アミノ基含有単量体としては、アクリルアミド、メタクリルアミド、4-ビニルアニリン、アミノメチル(メタ)アクリレート、アミノエチル(メタ)アクリレート、アミノプロピル(メタ)アクリレート、アミノブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、第2級アミノ基含有単量体としては、(1)アニリノスチレン、β-フェニル-p-アニリノスチレン、β-シアノ-p-アニリノスチレン、β-シアノ-β-メチル-p-アニリノスチレン、β-クロロ-p-アニリノスチレン、β-カルボキシ-p-アニリノスチレン、β-メトキシカルボニル-p-アニリノスチレン、β-(2-ヒドロキシエトキシ)カルボニル-p-アニリノスチレン、β-ホルミル-p-アニリノスチレン、β-ホルミル-β-メチル-p-アニリノスチレン、α-カルボキシ-β-カルボキシ-β-フェニル-p-アニリノスチレン等のアニリノスチレン類、(2)1-アニリノフェニル-1,3-ブタジエン、1-アニリノフェニル-3-メチル-1,3-ブタジエン、1-アニリノフェニル-3-クロロ-1,3-ブタジエン、3-アニリノフェニル-2-メチル-1,3-ブタジエン、1-アニリノフェニル-2-クロロ-1,3-ブタジエン、2-アニリノフェニル-1,3-ブタジエン、2-アニリノフェニル-3-メチル-1,3-ブタジエン、2-アニリノフェニル-3-クロロ-1,3-ブタジエン等のアニリノフェニルブタジエン類、(3)N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、N-(4-アニリノフェニル)メタクリルアミド等のN-モノ置換(メタ)アクリルアミド類等が挙げられる。
更に、第3級アミノ基含有単量体としては、N,N-ジ置換アミノアルキル(メタ)アクリレート及びN,N-ジ置換アミノアルキル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
上記N,N-ジ置換アミノアルキル(メタ)アクリレートとしては、N,N-ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノブチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノブチル(メタ)アクリレート、N-メチル-N-エチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジブチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N-ジブチルアミノブチル(メタ)アクリレート、N,N-ジヘキシルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジオクチルアミノエチル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルフォリン等のアクリル酸又はメタクリル酸のエステル等が挙げられる。これらの中でも、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジオクチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N-メチル-N-エチルアミノエチル(メタ)アクリレート等が特に好ましい。
また、上記N,N-ジ置換アミノアルキル(メタ)アクリルアミドとしては、N,N-ジメチルアミノメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノブチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチルアミノブチル(メタ)アクリルアミド、N-メチル-N-エチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジブチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジブチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジブチルアミノブチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジヘキシルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジヘキシルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジオクチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のアクリルアミド化合物又はメタクリルアミド化合物等が挙げられる。これらの中でも、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジオクチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等が特に好ましい。
上記ニトリル基を含有する単量体としては、(メタ)アクリロニトリル、シアン化ビニリデン等が挙げられる。これらニトリル基含有単量体は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合せて用いてもよい。
上記ヒドロキシル基を含有する単量体としては、1分子中に少なくとも1つの第1級、第2級及び第3級ヒドロキシル基を有する重合性単量体が挙げられる。かかる単量体としては、ヒドロキシル基含有不飽和カルボン酸系単量体、ヒドロキシル基含有ビニルエーテル系単量体、ヒドロキシル基含有ビニルケトン系単量体等が挙げられる。ここで、ヒドロキシル基含有単量体の具体例としては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール(アルキレングリコール単位数は、例えば、2〜23である)のモノ(メタ)アクリレート類;N-ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-(2-ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N,N-ビス(2-ヒドロキシメチル)(メタ)アクリルアミド等のヒドロキシル基含有不飽和アミド類;o-ヒドロキシスチレン、m-ヒドロキシスチレン、p-ヒドロキシスチレン、o-ヒドロキシ-α-メチルスチレン、m-ヒドロキシ-α-メチルスチレン、p-ヒドロキシ-α-メチルスチレン、p-ビニルベンジルアルコール等のヒドロキシル基含有ビニル芳香族化合物類等が挙げられる。これらの中でも、ヒドロキシル基含有不飽和カルボン酸系単量体、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類、ヒドロキシル基含有ビニル芳香族化合物が好ましく、ヒドロキシル基含有不飽和カルボン酸系単量体が特に好ましい。ここで、ヒドロキシル基含有不飽和カルボン酸系単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸等のエステル、アミド、無水物等の誘導体が挙げられ、これらの中でも、アクリル酸、メタクリル酸等のエステルが特に好ましい。これらヒドロキシル基含有単量体は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合せて用いてもよい。
上記カルボキシル基を含有する単量体としては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、テトラコン酸、桂皮酸等の不飽和カルボン酸類;フタル酸、コハク酸、アジピン酸等の非重合性多価カルボン酸と、(メタ)アリルアルコール、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有不飽和化合物とのモノエステルのような遊離カルボキシル基含有エステル類及びその塩等が挙げられる。これらの中でも、不飽和カルボン酸類が特に好ましい。これらカルボキシル基含有単量体は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合せて用いてもよい。
上記エポキシ基を含有する単量体としては、(メタ)アリルグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4-オキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらエポキシ基含有単量体は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合せて用いてもよい。
上記含窒素複素環基を含有する単量体において、該含窒素複素環としては、ピロール、ヒスチジン、イミダゾール、トリアゾリジン、トリアゾール、トリアジン、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、インドール、キノリン、プリン、フェナジン、プテリジン、メラミン等が挙げられる。なお、該含窒素複素環は、他のヘテロ原子を環中に含んでいてもよい。ここで、含窒素複素環基としてピリジル基を含有する単量体としては、2-ビニルピリジン、3-ビニルピリジン、4-ビニルピリジン、5-メチル-2-ビニルピリジン、5-エチル-2-ビニルピリジン等のピリジル基含有ビニル化合物等が挙げられ、これらの中でも、2-ビニルピリジン、4-ビニルピリジン等が特に好ましい。これら含窒素複素環基含有単量体は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合せて用いてもよい。
上記アルコキシシリル基を含有する単量体としては、(メタ)アクリロキシメチルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルメチルジメトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルジメチルメトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルトリエトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルメチルジエトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルジメチルエトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルトリプロポキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルメチルジプロポキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルジメチルプロポキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルジメチルエトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルトリプロポキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジプロポキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルジメチルプロポキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジフェノキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルジメチルフェノキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジベンジロキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルジメチルベンジロキシシラン、トリメトキシビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、6-トリメトキシシリル-1,2-ヘキセン、p-トリメトキシシリルスチレン等が挙げられる。これらアルコキシシリル基含有単量体は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合せて用いてもよい。
本発明においては、上記極性基含有単量体の天然ゴム分子へのグラフト重合を、乳化重合で行う。ここで、該乳化重合においては、一般的に、天然ゴムラテックスに水及び必要に応じて乳化剤を加えた溶液中に、上記極性基含有単量体を加え、更に重合開始剤を加えて、所定の温度で撹拌して極性基含有単量体を重合させることが好ましい。なお、上記極性基含有単量体の天然ゴムラテックスへの添加においては、予め天然ゴムラテックス中に乳化剤を加えてもよいし、極性基含有単量体を乳化剤で乳化した後に天然ゴムラテックス中に加えてもよい。なお、天然ゴムラテックス及び/又は極性基含有単量体の乳化に使用できる乳化剤としては、特に限定されず、ポリオキシエチレンラウリルエーテル等のノニオン系の界面活性剤が挙げられる。
上記重合開始剤としては、特に制限はなく、種々の乳化重合用の重合開始剤を用いることができ、その添加方法についても特に制限はない。一般に用いられる重合開始剤の例としては、過酸化ベンゾイル、過酸化水素、クメンハイドロパーオキサイド、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、ジ-tert-ブチルパーオキサイド、2,2-アゾビスイソブチロニトリル、2,2-アゾビス(2-ジアミノプロパン)ヒドロクロライド、2,2-アゾビス(2-ジアミノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等が挙げられる。なお、重合温度を低下させるためには、レドックス系の重合開始剤を用いることが好ましい。かかるレドックス系重合開始剤において、過酸化物と組み合せる還元剤としては、例えば、テトラエチレンペンタミン、メルカプタン類、酸性亜硫酸ナトリウム、還元性金属イオン、アスコルビン酸等が挙げられる。レドックス系重合開始剤における過酸化物と還元剤との好ましい組み合せとしては、tert-ブチルハイドロパーオキサイドとテトラエチレンペンタミンとの組み合せ等が挙げられる。
上記変性天然ゴムにカーボンブラックやシリカ等の充填剤を配合して、ゴム組成物の加工性を低下させることなく低ロス性及び耐摩耗性を向上させるには、各天然ゴム分子に上記極性基含有単量体が少量且つ均一に導入されることが重要であるため、上記重合開始剤の添加量は、上記極性基含有単量体に対し1〜100mol%の範囲が好ましく、10〜100mol%の範囲が更に好ましい。
上述した各成分を反応容器に仕込み、30〜80℃で10分〜7時間反応させることで、天然ゴム分子に上記極性基含有単量体がグラフト共重合した変性天然ゴムラテックスが得られる。また、該変性天然ゴムラテックスを凝固させ、洗浄後、真空乾燥機、エアドライヤー、ドラムドライヤー等の乾燥機を用いて乾燥することで変性天然ゴム(恒粘度剤が添加される前の変性天然ゴム)が得られる。ここで、変性天然ゴムラテックスを凝固するのに用いる凝固剤としては、特に限定されるものではないが、ギ酸、硫酸等の酸や、塩化ナトリウム等の塩が挙げられる。
上記変性天然ゴムにおいて、上記極性基含有単量体のグラフト量は、天然ゴムラテックス中のゴム成分に対して0.01〜5.0質量%の範囲が好ましく、0.01〜1.0質量%の範囲が更に好ましい。極性基含有単量体のグラフト量が0.01質量%未満では、ゴム組成物の低ロス性及び耐摩耗性等を十分に改良できないことがある。また、極性基含有単量体のグラフト量が5.0質量%を超えると、粘弾性、S−S特性(引張試験機における応力−歪曲線)等の天然ゴム本来の物理特性を大きく変えてしまい、天然ゴム本来の優れた物理特性が損なわれると共に、ゴム組成物の加工性が大幅に悪化するおそれがある。
本発明の変性天然ゴムの製造方法においては、次に工程Bで、上述した工程Aの生成物(即ち、恒粘度剤が添加される前の変性天然ゴム)に恒粘度剤を添加する。ここで、恒粘度剤とは、恒粘度効果(粘度の変動を抑制する作用)を有する添加剤である。該恒粘度剤としては、硫酸ヒドロキシルアミン(NH2OH・H2SO4)、セミカルバジド(NH2NHCONH2)、ヒドロキシルアミン、ジメドン(1,1-ジメチルシクロヘキサン-3,5-ジオン)、ヒドラジド化合物等を挙げることができるが、恒粘度効果の高さの観点から、ヒドラジド化合物が好ましい。また、該ヒドラジド化合物の中でも、上記一般式(I)で表されるヒドラジド化合物が好ましい。
上記一般式(I)において、Rは、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数3〜30のシクロアルキル基又は炭素数6〜30のアリール基を示す。ここで、アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ウンデシル基、ペンタデシル基、ヘプタデシル基等が挙げられ、シクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等が挙げられ、アリール基としては、フェニル基、o-トリル基、m-トリル基、p-トリル基、3,5-ジメチルフェニル基、1-ナフチル基等が挙げられる。
また、上記一般式(I)で表されるヒドラジド化合物の中でも、アセトヒドラジド、プロピオン酸ヒドラジド、酪酸ヒドラジド(ブタン酸ヒドラジド)、ラウリン酸ヒドラジド、パルミチン酸ヒドラジド、ステアリン酸ヒドラジド、シクロプロパンカルボン酸ヒドラジド、シクロヘキサンカルボン酸ヒドラジド、シクロヘプタンカルボン酸ヒドラジド、安息香酸ヒドラジド、o-トルイル酸ヒドラジド(o-メチル安息香酸ヒドラジド)、m-トルイル酸ヒドラジド(m-メチル安息香酸ヒドラジド)、p-トルイル酸ヒドラジド(p-メチル安息香酸ヒドラジド)、p-メトキシ安息香酸ヒドラジド、3,5-ジメチル安息香酸ヒドラジド、及び1-ナフトエ酸ヒドラジドが特に好ましい。これら恒粘度剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
上記工程Bにおいて、恒粘度剤は、工程Aの生成物への分散性を向上させる観点から、溶媒で希釈して添加されることが好ましい。ここで、恒粘度剤の希釈に使用する溶媒としては、水が好ましい。なお、使用する恒粘度剤が水性の場合は、水溶液として、また、使用する恒粘度剤が油性の場合は、エマルジョンとして、工程Aの生成物に投入することができる。該恒粘度剤エマルジョンは、乳化剤と、必要に応じて親和剤とを用い、通常の方法で得ることができる。上記恒粘度剤水溶液の濃度は、20〜80質量%の範囲が好ましく、また、上記恒粘度剤エマルジョンの濃度は、3〜50質量%の範囲が好ましい。恒粘度剤溶液における恒粘度剤の濃度が低過ぎると、所望量の恒粘度剤を添加するのに要する恒粘度剤溶液の量が多くなり過ぎ、一方、恒粘度剤の濃度が高過ぎると、恒粘度剤溶液の安定性が低下し、また、恒粘度剤の分散性が低下するなどの不具合が生じることがある。
上記恒粘度剤溶液の添加量は、恒粘度剤水溶液の場合、天然ゴム全量に対して0.002〜150質量%の範囲が好ましく、0.003〜120質量%の範囲が更に好ましく、また、恒粘度剤エマルジョンの場合、天然ゴム全量に対して0.003〜1000質量%の範囲が好ましく、0.005〜600質量%の範囲が更に好ましい。また、恒粘度剤の添加量は、工程Aの生成物100質量部に対して、0.002〜30質量部の範囲が好ましい。
上記工程Bは、ミキサー、押出機、混練機等を用いて、工程Aの生成物に恒粘度剤溶液を添加して実施することができるが、恒粘度剤の分散性を向上させる観点から、混練機を用いて混合することが好ましい。
本発明のゴム組成物は、上記変性天然ゴムを用いたことを特徴とし、更に充填剤を含有することが好ましい。ここで、充填剤の配合量は、特に限定されるものではないが、上記変性天然ゴム100質量部に対して5〜100質量部の範囲が好ましく、10〜70質量部の範囲が更に好ましい。充填剤の配合量が5質量部未満では、充分な補強性が得られない場合があり、100質量部を超えると、加工性が悪化する場合がある。
本発明のゴム組成物に用いる充填剤としては、カーボンブラック及び無機充填剤が挙げられ、ここで、無機充填剤としては、シリカ及び下記式(II):
nM・xSiOy・zH2O ・・・ (II)
[式中、Mは、アルミニウム、マグネシウム、チタン、カルシウム及びジルコニウムからなる群から選ばれる金属、これらの金属の酸化物又は水酸化物、及びそれらの水和物、またはこれらの金属の炭酸塩から選ばれる少なくとも一種であり;n、x、y及びzは、それぞれ1〜5の整数、0〜10の整数、2〜5の整数、及び0〜10の整数である]で表される無機化合物が挙げられる。これら充填剤は、一種単独で用いてもよし、二種以上を混合して用いてもよい。
上記カーボンブラックとしては、GPF,FEF,SRF,HAF,ISAF,SAFグレードのもの等が挙げられ、また、上記シリカとしては、湿式シリカ、乾式シリカ及びコロイダルシリカ等が挙げられる。更に、上記式(II)の無機化合物としては、γ-アルミナ、α-アルミナ等のアルミナ(Al23);ベーマイト、ダイアスポア等のアルミナ一水和物(Al23・H2O);ギブサイト、バイヤライト等の水酸化アルミニウム[Al(OH)3];炭酸アルミニウム[Al2(CO3)3]、水酸化マグネシウム[Mg(OH)2]、酸化マグネシウム(MgO)、炭酸マグネシウム(MgCO3)、タルク(3MgO・4SiO2・H2O)、アタパルジャイト(5MgO・8SiO2・9H2O)、チタン白(TiO2)、チタン黒(TiO2n-1)、酸化カルシウム(CaO)、水酸化カルシウム[Ca(OH)2]、酸化アルミニウムマグネシウム(MgO・Al23)、クレー(Al23・2SiO2)、カオリン(Al23・2SiO2・2H2O)、パイロフィライト(Al23・4SiO2・H2O)、ベントナイト(Al23・4SiO2・2H2O)、ケイ酸アルミニウム(Al2SiO5、Al4・3SiO4・5H2O等)、ケイ酸マグネシウム(Mg2SiO4、MgSiO3等)、ケイ酸カルシウム(Ca2SiO4等)、ケイ酸アルミニウムカルシウム(Al23・CaO・2SiO2等)、ケイ酸マグネシウムカルシウム(CaMgSiO4)、炭酸カルシウム(CaCO3)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、水酸化ジルコニウム[ZrO(OH)2・nH2O]、炭酸ジルコニウム[Zr(CO3)2]、各種ゼオライトのように電荷を補正する水素、アルカリ金属又はアルカリ土類金属を含む結晶性アルミノケイ酸塩等を挙げることができる。
本発明のゴム組成物には、上記変性天然ゴム、充填剤の他に、ゴム工業界で通常使用される配合剤、例えば、老化防止剤、軟化剤、シランカップリング剤、ステアリン酸、亜鉛華、加硫促進剤、加硫剤等を、本発明の目的を害しない範囲内で適宜選択して配合することができる。これら配合剤としては、市販品を好適に使用することができる。本発明のゴム組成物は、変性天然ゴムに、必要に応じて適宜選択した各種配合剤を配合して、混練り、熱入れ、押出等することにより製造することができる。
本発明のタイヤは、上記ゴム組成物をタイヤ部材のいずれかに用いたことを特徴とし、ここで、タイヤ部材としては、トレッドが好ましい。上記ゴム組成物をトレッドに用いたタイヤは、低燃費性及び耐摩耗性に特に優れる。なお、本発明のタイヤは、上述のゴム組成物をタイヤ部材のいずれかに用いる以外特に制限は無く、常法に従って製造することができる。また、該タイヤに充填する気体としては、通常の或いは酸素分圧を調整した空気の他、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスを用いることができる。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
<製造例1>
(天然ゴムラテックスの変性反応工程)
フィールドラテックスをラテックスセパレーター[斎藤遠心工業製]を用いて回転数7500rpmで遠心分離して、乾燥ゴム濃度60%の濃縮ラテックスを得た。この濃縮ラテックス1000gを、撹拌機及び温調ジャケットを備えたステンレス製反応容器に投入し、予め10mLの水と90mgの乳化剤[エマルゲン1108,花王株式会社製]をN,N-ジエチルアミノエチルメタクリレート 3.0gに加えて乳化したものを990mLの水と共に添加し、これらを窒素置換しながら常温で30分間撹拌した。次に、重合開始剤としてtert-ブチルハイドロパーオキサイド 1.2gとテトラエチレンペンタミン 1.2gとを加え、40℃で30分間反応させることにより、変性天然ゴムラテックスを得た。
(凝固及び乾燥工程)
次に、上記変性天然ゴムラテックスにギ酸を加えpHを4.7に調整し、変性天然ゴムラテックスを凝固させた。このようにして得られた固形物をクレーパーで5回処理し、シュレッダーに通してクラム化した後、熱風式乾燥機により110℃で210分間乾燥して変性天然ゴムAを得た。このようにして得られた変性天然ゴムAの質量から、単量体として加えたN,N-ジエチルアミノエチルメタクリレートの転化率が100%であることが確認された。また、該変性天然ゴムAを石油エーテルで抽出し、更にアセトンとメタノールの2:1混合溶媒で抽出することによりホモポリマーの分離を試みたが、抽出物を分析したところホモポリマーは検出されず、添加した単量体の100%が天然ゴム分子に導入されていることが確認された。
<製造例2>
極性基含有単量体としてN,N-ジエチルアミノエチルメタクリレート 3.0gの代わりに2-ヒドロキシエチルメタクリレート 2.1gを加える以外は、上記製造例1と同様にして変性天然ゴムBを得た。また、変性天然ゴムAと同様にして、変性天然ゴムBを分析したところ、添加した極性基含有単量体の100%が天然ゴム分子に導入されていることが確認された。
<製造例3>
極性基含有単量体としてN,N-ジエチルアミノエチルメタクリレート 3.0gの代わりに4-ビニルピリジン 1.7gを加える以外は、上記製造例1と同様にして変性天然ゴムCを得た。また、変性天然ゴムAと同様にして、変性天然ゴムCを分析したところ、添加した極性基含有単量体の100%が天然ゴム分子に導入されていることが確認された。
<製造例4〜6>
上記乾燥後の変性天然ゴムAを30℃にして、プリブレーカーに投入した後、プロピオン酸ヒドラジド水溶液(濃度:30質量%)をゴム成分に対して有効成分で0.5質量%投入し、1分間混練りして、変性天然ゴムDを得た。また、同様にして、変性天然ゴムBから変性天然ゴムEを得、変性天然ゴムCから変性天然ゴムFを得た。
<製造例7〜9>
上記乾燥後の変性天然ゴムAを30℃にして、プリブレーカーに投入した後、ラウリン酸ヒドラジドエマルジョン液(フェノールスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物とプロピレングリコールとの1:1混合物を溶媒とし、濃度が10質量%)をゴム成分に対して有効成分で0.5質量%投入し、1分間混練りして、変性天然ゴムGを得た。また、同様にして、変性天然ゴムBから変性天然ゴムHを得、変性天然ゴムCから変性天然ゴムIを得た。
上記のようにして得られた変性天然ゴムに対して、JIS K 6300−1994に準拠して100℃におけるムーニー粘度:ML1+4(ORI)と、該変性天然ゴムを60℃のオーブン中に7日間保管した後(熱処理後)の100℃におけるムーニー粘度:ML1+4(AGED)とを測定し、下記式:
恒粘度効果=ML1+4(AGED)−ML1+4(ORI)
から恒粘度効果を評価した。以上の結果を表1に示す。
Figure 2007204533
表1中の変性天然ゴムAと変性天然ゴムD,G、変性天然ゴムBと変性天然ゴムE,H、並びに変性天然ゴムCと変性天然ゴムF,Iとの比較から、天然ゴムラテックスに極性基含有単量体を添加し、該極性基含有単量体を天然ゴムラテックス中の天然ゴム分子にグラフト重合させ、凝固及び乾燥した後、更に、恒粘度剤を添加することで、変性天然ゴムの保管時の粘度上昇が抑制されることが分る。
次に、上記のようにして得られた変性天然ゴムを30℃で3ヶ月保管した後、プラストミルで混練して表2に示す配合処方のゴム組成物を調製し、得られたゴム組成物に対して、JIS K6300-1994に準拠して、130℃にてムーニー粘度ML1+4(130℃)を測定した。結果を表3に示す。
Figure 2007204533
*1 使用した変性天然ゴムの種類を表3中に示す.
*2 日本シリカ工業製, 「ニプシルAQ」.
*3 デグッサ製, 「Si69」, ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド.
*4 N-(1,3-ジメチルブチル)-N'-フェニル-p-フェニレンジアミン.
*5 N,N'-ジシクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド.
*6 ジフェニルグアニジン.
*7 ジベンゾチアジルジスルフィド.
*8 N-t-ブチル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド.
Figure 2007204533
表3中の実施例1及び2と比較例1、実施例3及び4と比較例2、並びに実施例5及び6と比較例3との比較から、天然ゴムラテックスに極性基含有単量体を添加し、該極性基含有単量体を天然ゴムラテックス中の天然ゴム分子にグラフト重合させ、凝固及び乾燥した後、更に、恒粘度剤を添加してなる変性天然ゴムをゴム成分として使用することで、ゴム組成物のムーニー粘度が低下して、ゴム組成物の加工性が向上することが分る。

Claims (10)

  1. 天然ゴムラテックスに極性基含有単量体を加え、該極性基含有単量体を天然ゴムラテックス中の天然ゴム分子にグラフト重合させ、更に凝固及び乾燥する工程Aと、該工程Aの生成物に恒粘度剤を添加する工程Bとを含むことを特徴とする変性天然ゴムの製造方法。
  2. 前記工程Bを混練機を用いて行うことを特徴とする請求項1に記載の変性天然ゴムの製造方法。
  3. 前記極性基含有単量体の極性基が、アミノ基、イミノ基、ニトリル基、アンモニウム基、イミド基、アミド基、ヒドラゾ基、アゾ基、ジアゾ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、カルボニル基、エポキシ基、オキシカルボニル基、スルフィド基、ジスルフィド基、スルホニル基、スルフィニル基、チオカルボニル基、含窒素複素環基、含酸素複素環基及びアルコキシシリル基からなる群から選ばれる少なくとも一つであることを特徴とする請求項1に記載の変性天然ゴムの製造方法。
  4. 前記極性基含有単量体のグラフト量が、前記天然ゴムラテックス中のゴム成分に対して0.01〜5.0質量%であることを特徴とする請求項1に記載の変性天然ゴムの製造方法。
  5. 前記恒粘度剤がヒドラジド化合物であることを特徴とする請求項1に記載の変性天然ゴムの製造方法。
  6. 前記ヒドラジド化合物が下記一般式(I):
    R−CONHNH2 ・・・ (I)
    [式中、Rは、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数3〜30のシクロアルキル基又は炭素数6〜30のアリール基を示す]で表されることを特徴とする請求項5に記載の変性天然ゴムの製造方法。
  7. 前記ヒドラジド化合物が、アセトヒドラジド、プロピオン酸ヒドラジド、酪酸ヒドラジド、ラウリン酸ヒドラジド、パルミチン酸ヒドラジド、ステアリン酸ヒドラジド、シクロプロパンカルボン酸ヒドラジド、シクロヘキサンカルボン酸ヒドラジド、シクロヘプタンカルボン酸ヒドラジド、安息香酸ヒドラジド、o-トルイル酸ヒドラジド、m-トルイル酸ヒドラジド、p-トルイル酸ヒドラジド、p-メトキシ安息香酸ヒドラジド、3,5-ジメチル安息香酸ヒドラジド、及び1-ナフトエ酸ヒドラジドからなる群から選択される少なくとも一種であることを特徴とする請求項5に記載の変性天然ゴムの製造方法。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の方法で製造された変性天然ゴム。
  9. 請求項8に記載の変性天然ゴムを用いたゴム組成物。
  10. 請求項9に記載のゴム組成物をタイヤ部材のいずれかに用いたことを特徴とするタイヤ。
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