JP5244365B2 - 変性天然ゴム及びその製造方法、並びにそれを用いたゴム組成物及びタイヤ - Google Patents

変性天然ゴム及びその製造方法、並びにそれを用いたゴム組成物及びタイヤ Download PDF

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本発明は、変性天然ゴム及びその製造方法、並びに該変性天然ゴムを用いたゴム組成物及びタイヤに関し、特に保存時の粘度上昇が抑制され、加工性に優れた変性天然ゴム及びゴム組成物に関するものである。
昨今、自動車の低燃費化に対する要求が強くなりつつあり、転がり抵抗の小さいタイヤが求められている。そのため、タイヤのトレッド等に使用するゴム組成物として、tanδが低く(以下、低ロス性とする)、低発熱性に優れたゴム組成物が求められている。また、トレッド用のゴム組成物においては、低ロス性に加え、耐摩耗性及び破壊特性に優れることが求められる。これに対して、ゴム組成物の低ロス性、耐摩耗性及び破壊特性を改良するには、ゴム組成物中のカーボンブラックやシリカ等の充填剤とゴム成分との親和性を向上させることが有効である。
例えば、ゴム組成物中の充填剤とゴム成分との親和性を向上させ、充填剤による補強効果を向上させるために、末端変性により充填剤との親和性を向上させた合成ゴムや、官能基含有単量体を共重合させて充填剤との親和性を向上させた合成ゴム等が開発されている。
一方、天然ゴムに関しては、例えば、天然ゴムラテックスにビニル系単量体を添加してグラフト重合する技術(特許文献1〜6参照)が知られており、該技術で得られたグラフト化天然ゴムは、接着剤用途等で実用化されている。しかしながら、該グラフト化天然ゴムは、天然ゴム自身の特性を変えるために単量体として多量(20〜50質量%)のビニル化合物をグラフト化しているため、充填剤と配合すると、大幅な粘度上昇を招き、加工性が低下してしまう。また、多量のビニル化合物が天然ゴム分子鎖に導入されているため、天然ゴム本来の優れた物理特性(粘弾性、引張試験等における応力−歪曲線)が損なわれてしまう。そのため、該技術で得られたグラフト化天然ゴムを用いても、充填剤との親和性を向上させ、補強効果を向上させることはできない。
これに対して、国際公開第2004/106397号(特許文献7)には、天然ゴムラテックスに極性基含有単量体を添加し、該極性基含有単量体を天然ゴムラテックス中の天然ゴム分子にグラフト重合させ、更に凝固及び乾燥してなる変性天然ゴムをゴム成分として使用することで、ゴム成分と充填剤との親和性を向上させてゴム組成物の補強性を改善し、ゴム組成物の低ロス性、耐摩耗性及び破壊特性を向上させる技術が開示されている。
特開平5−287121号公報 特開平6−329702号公報 特開平9−25468号公報 特開2000−319339号公報 特開2002−138266号公報 特開2002−348559号公報 国際公開第2004/106397号パンフレット
しかしながら、上述した極性基含有単量体が天然ゴム分子にグラフト重合された変性天然ゴムは、保管時、該変性天然ゴム中の官能基間や、また該変性天然ゴム中の官能基とタンパク質等の非ゴム成分との結合により、従来の天然ゴムより粘度上昇が大きく、加工性が低下するおそれがある。
そこで、本発明の目的は、従来より保存時の粘度上昇が抑制され、加工性に優れた変性天然ゴムと該変性天然ゴムの製造方法を提供することにある。また、本発明の他の目的は、かかる変性天然ゴムを用いた加工性に優れたゴム組成物と、該ゴム組成物を用いたタイヤを提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、天然ゴムラテックスに極性基含有単量体を添加し、該極性基含有単量体を該天然ゴムラテックス中の天然ゴム分子にグラフト重合させた後、老化防止剤を添加し、更に凝固及び乾燥することによって得られた変性天然ゴムが、保管時の粘度上昇が小さく、加工性に優れることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の天然ゴムは、天然ゴムラテックスに極性基含有単量体を添加し、該極性基含有単量体を該天然ゴムラテックス中の天然ゴム分子にグラフト重合させた後、老化防止剤を添加し、更に凝固及び乾燥してなり、前記極性基含有単量体のグラフト量が天然ゴムラテックスのゴム成分に対し0.01〜5.0質量%であることを特徴とする。
本発明の変性天然ゴムの好適例においては、前記老化防止剤をエマルジョンとして添加することを特徴とする。
本発明の変性天然ゴムの他の好適例においては、前記変性天然ゴムラテックスの極性基がアミノ基、イミノ基、ニトリル基、アンモニウム基、イミド基、アミド基、ヒドラゾ基、アゾ基、ジアゾ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、カルボニル基、エポキシ基、オキシカルボニル基、スルフィド基、ジスルフィド基、スルフォニル基、スルフィニル基、チオカルボニル基、含窒素複素環基、含酸素複素環基、スズ含有基及びアルコキシシリル基からなる群から選ばれる少なくとも一つであることを特徴とする。
本発明の変性天然ゴムの他の好適例においては、前記老化防止剤がアミン系老化防止剤、フェノール系老化防止剤、有機ホスファイト系老化防止剤及びチオエーテル系老化防止剤からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする。
本発明の変性天然ゴムは、タイヤ用として好適である。
また、本発明の変性天然ゴムの製造方法は、天然ゴムラテックスに極性基含有単量体を添加し、該極性基含有単量体を該天然ゴムラテックス中の天然ゴム分子に、前記極性基含有単量体のグラフト量が天然ゴムラテックスのゴム成分に対し0.01〜5.0質量%でグラフト重合させた後、老化防止剤を添加し、更に凝固及び乾燥することを特徴とする。
本発明の変性天然ゴムの製造方法により提供される変性天然ゴムは、タイヤ用として好適である。
また、本発明のゴム組成物は、上記変性天然ゴムを用いたことを特徴とし、本発明のタイヤは、該ゴム組成物をタイヤ部材のいずれかに用いたことを特徴とする。
本発明によれば、保管時の粘度上昇が小さく、加工性に優れた変性天然ゴムを提供することができるという有利な効果を奏する。また、かかる変性天然ゴムを用いた、優れた加工性を有するゴム組成物、並びに該ゴム組成物を用いたタイヤを提供することができる。
以下に、本発明を詳細に説明する。本発明の変性天然ゴムは、天然ゴムラテックスに極性基含有単量体を添加し、該極性基含有単量体を該天然ゴムラテックス中の天然ゴム分子にグラフト重合させた後、老化防止剤を添加し、更に凝固及び乾燥してなることを特徴とする。本発明の変性天然ゴムにおいては、極性基含有単量体を該天然ゴムラテックス中の天然ゴム分子にグラフト重合させた後に、老化防止剤を添加することによって、得られた変性天然ゴムの保存時の粘度上昇を抑制することができ、加工性を向上させることができる。また、該変性天然ゴムをゴム組成物に用いることで、ゴム組成物の混練時等の作業性を向上させることが可能となる。
本発明の変性天然ゴムの原料として用いる天然ゴムラテックスとしては、フィールドラテックス、アンモニア処理ラテックス、遠心分離濃縮ラテックス、界面活性剤や酵素で処理した脱蛋白ラテックス、前記のものを組み合わせたものなど、いずれも使用することができる。
上記天然ゴムラテックスに添加される極性基含有単量体としては、分子内に少なくとも一つの極性基を有する単量体であれば特に制限されない。極性基の具体例としては、アミノ基、イミノ基、ニトリル基、アンモニウム基、イミド基、アミド基、ヒドラゾ基、アゾ基、ジアゾ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、カルボニル基、エポキシ基、オキシカルボニル基、含窒素複素環基、含酸素複素環基、含酸素複素環基、スズ含有基及びアルコキシシリル基などを好適に挙げることができる。これらの極性基含有単量体は一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合せて用いてもよい。
上記アミノ基含有単量体としては、1分子中に第1級、第2級及び第3級アミノ基から遵ばれる少なくとも1つのアミノ基を有する重合性単量体が上げられる。これらの中でも、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート類等の第3級アミノ基含有単量体が特に好ましい。これらのアミノ基含有単量体は一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
第1級アミノ基含有単量体としては、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、4−ビニルアニリン、アミノメチル(メタ)アクリレート、アミノエチル(メタ)アクリレート、アミノプロピル(メタ)アクリレート、アミノブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、第2級アミノ基含有単量体としては、例えば、(1)ア二リノスチレン、β−フェニル−p−アニリノスチレン、β−シアノ−p−アニリノスチレン、β−シアノ−β−メチル−p−アニリノスチレン、β−クロロ−p−アニリノスチレン、β−カルボキシ−p−アニリノスチレン、β−メトキシカルボニル−p−アニリノスチレン、β−(2−ヒドロキシエトキシ)カルボニル−p−アニリノスチレン、β−ホルミル−p−アニリノスチレン、β−ホルミル−β−メチル−p−アニリノスチレン、α−カルボキシ−β−カルボキシ−β−フェニル−p−ア二リノスチレン等のアニリノスチレン類、(2)1−アニリノフェニル1,3−ブタジエン、1−アニリノフェニル−3−メチル−1,3−ブタジエン、1−アニリノフェニル−3−クロロ−1,3−ブタジエン、3−ア二リノフェニル−2−メチル−1,3−ブタジエン、1−アニリノフェニル−2−クロロ−1,3−ブタジエン、2−アニリノフェニル−1,3−ブタジエン、2−ア二リノフェニル−3−メチル−1,3−ブタジエン、2−アニリノフェニル−3−タロロ−1,3−ブタジエン等のアニリノフェニルブタジエン類、(3)N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−(4−アニリノフェニル)メタアクリルアミド等のN−モノ置換(メタ)アクリルアミド類等が挙げられる。
第3級アミノ基含有単量体としては、例えば、N,N−ジ置換アミノアルキルアクリレート、N,N−ジ置換アミノアルキルアクリルアミド及びピリジン基を有するビニル化合物等が挙げられる。
上記のN,N−ジ置換アミノアルキルアクリレートとしては、例えば、N,N−ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノブチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノブチル(メタ)アクリレート、N−メチル−N−エチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジブチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジブチルアミノブチル(メタ)アタリレート、N,N−ジへキシルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジオクチルアミノエチル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルフォリン等のアクリル酸又はメタアクリル酸のエステル等が挙げられる。これらの中でも、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アタリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジプロピルアミノエチル(メタ)アタリレート、N,N−ジオクチルアミノエチル(メタ)アクリレート,N−メチル−N−エチルアミノエチル(メタ)アクリレート等が好ましい。
上記のN,N−ジ置換アミノアルキルアクリルアミドとしては、例えば、N,N−ジメチルアミノメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノブチル(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−エチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジブチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジブチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジブチルアミノブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジへキシルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジへキシルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジオクチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のアクリルアミド化合物又はメタアクリルアミド化合物等が挙げられる。これらの中でも、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジオクチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等が好ましい。
また、アミノ基の代わりに含窒素複素環基であってもよく、その含窒素複素環としては、例えば、ピロール、ヒスチジン、イミダゾール、トリアゾリジン、トリアゾール、トリアジン、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、インドール、キノリン、プリン、フェナジン、プテリジン、メラミン等が挙げられる。なお、該含窒素複素環は、他のへテロ原子を環中に含んでいてもよい。ここで、含窒素複素環基としてピリジル基を含有する単量体としては、例えば2−ビニルピリジン、3−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、5−メチル−2−ビニルピリジン、5−エチル−2−ビニルピリジン等が挙げられる。これらの中でも、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン等が好ましい。これら含窒素複素環基含有単量体は一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合せて用いてもよい。
上記ニトリル基を有する単量体としては、(メタ)アクリロニトリル、シアン化ビニリデン等が挙げられ、これらのニトリル基を有する単量体は一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合せて用いてもよい。
上記ヒドロキシル基含有ビニル系単量体としては、1分子中に少なくとも1個の第1級、第2級又は第3級ヒドロキシル基を含有する重合性単量体が挙げられる。このようなヒドロキシル基含有ビニル系単量体としては、例えば、ヒドロキシル基含有不飽和カルボン酸系単量体、ヒドロキシル基含有ビニルエーテル系単量体、ヒドロキシル基含有ビニルケトン系単量体等が挙げられ、これらの中でも、ヒドロキシル基含有不飽和カルボン酸系単量体が好適である。ヒドロキシル基含有不飽和カルボン酸系単量体としては、例えば、アクリル酸、メタアクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸等のエステル、アミド、無水物等の誘導体が挙げられ、好ましくはアクリル酸、メタアクリル酸等のエステル化合物である。ヒドロキシル基を含有する単量体の具体例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロビル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール(アルキレングリコール単位数は、例えば、2〜23)のモノ(メタ)アクリレート類;N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド等のヒドロキシル基含有不飽和アミド類;o−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン、o−ヒドロキシ−α−メチルスチレン、m−ヒドロキシ−α−メチルスチレン、p−ヒドロキシ−α−メチルスチレン、p−ビニルベンジルアルコール等のヒドロキシル基含有ビニル芳香化合物類等が挙げられる。これらの中でも、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類、ヒドロキシル基含有ビニル芳香族化合物類が好ましい。これらのヒドロキシル基を有する単量体は一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合せて用いてもよい。
上記カルボキシル基を有する単量体としては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、テトラコン酸、桂皮酸等の不飽和カルボン酸類;フタル酸、コハク酸、アジピン酸等の非重合性多価カルボン酸と、(メタ)アリルアルコール、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有不飽和化合物とのモノエステル等の遊離カルボキシル基含有エステル類及びその塩等が挙げられる。これらの中でも、不飽和カルボン酸類が好ましい。これらカルボキシル基含有単量体は一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合せて用いてもよい。
上記エポキシ基を有する単量体としては、(メタ)アリルグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−オキシシクロへキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらのエポキシ基を有する単量体は一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合せて用いてもよい。
上記スズ含有単量体としては、アリルトリ−n−ブチルスズ、アリルトリメチルスズ、アリルトリフェニルスズ、アリルトリ−n−オクチルスズ、(メタ)アクリルオキシ−n−ブチルスズ、(メタ)アクリルオキシトリメチルスズ、(メタ)アクリルオキシトリフェニルスズ、(メタ)アクリルオキシ−n−オクチルスズ、ビニルトリ−n−ブチルスズ、ビニルトリメチルスズ、ビニルトリフェニルスズ、ビニルトリ−n−オクチルスズ等を挙げることができる。これらスズ含有単量体は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組合せて用いてもよい。
上記アルコキシシリル基を含有する単量体としては、(メタ)アクリロキシメチルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルメチルジメトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルジメチルメトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルトリエトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルメチルジエトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルジメチルエトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルトリプロポキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルメチルジプロポキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルジメチルプロポキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルジメチルエトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルトリプロポキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジプロポキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルジメチルプロポキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジフェノキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルジメチルフェノキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジベンジロキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルジメチルベンジロキシシラン、トリメトキシビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、6-トリメトキシシリル-1,2-ヘキセン、p-トリメトキシシリルスチレン等が挙げられる。これらアルコキシシリル基含有単量体は一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合せて用いてもよい。
本発明においては、上記極性基含有単量体の天然ゴム分子へのグラフト重合を、乳化重合で行う。ここで、該乳化重合においては、一般的に、天然ゴムラテックスに水及び必要に応じて乳化剤を加えた溶液中に、上記極性基含有単量体を加え、更に重合開始剤を加えて、所定の温度で撹拌して極性基含有単量体を重合させることが好ましい。なお、上記極性基含有単量体の天然ゴムラテックスへの添加においては、予め天然ゴムラテックス中に乳化剤を加えてもよいし、極性基含有単量体を乳化剤で乳化した後に天然ゴムラテックス中に加えてもよい。なお、天然ゴムラテックス及び/又は極性基含有単量体の乳化に使用できる乳化剤としては、特に限定されず、ポリオキシエチレンラウリルエーテル等のノニオン系の界面活性剤が挙げられる。
上記重合開始剤としては、特に限定されず、種々の乳化重合用の開始剤を用いることができ、その添加方法についても特に限定されない。一般に用いられる重合開始剤の例としては過酸化ベンゾイル、過酸化水素、クメンハイドロパーオキサイド、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、2,2−アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス(2−ジアミノプロパン)ヒドロクロライド、2,2−アゾビス(2−ジアミノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等が挙げられる。なお、重合温度を低下させるためにはレドックス系の重合開始剤を用いるのが好ましく、かかるレドックス系の重合開始剤において、過酸化物と組み合わせる還元剤としては、例えば、テトラエチレンペンタミン、メルカプタン類、酸性亜硫酸ナトリウム、還元性金属イオン、アスコルビン酸等が挙げられる。レドックス系重合開始剤における過酸化物と還元剤との好ましい組み合わせとしては、tert−ブチルハイドロパーオキサイドとテトラエチレンペンタミンとの組み合わせ等が挙げられる。
上記変性天然ゴムにカーボンブラックやシリカ等の充填剤を配合して、ゴム組成物の加工性を低下させることなく低ロス性や耐摩耗性を向上させるには、各天然ゴム分子に上記極性基含有単量体が少量かつ均一に導入されることが重要であるため、上記重合開始剤の添加量は、極性基含有単量体100モルに対して1〜100モル%が好ましく、10〜100モル%がより好ましい。
上述した各成分を反応容器に仕込み、30〜80℃で10分〜7時間反応させることで、天然ゴムラテックス中の天然ゴム分子に上記極性基含有単量体がグラフト重合した変性天然ゴムラテックスが得られる。
上記変性天然ゴムラテックス及び変性天然ゴムにおいて、上記極性基含有単量体のグラフト量は、天然ゴムラテックス中のゴム成分に対して0.01〜5.0質量%の範囲が好ましく、0.01〜1.0質量%の範囲が更に好ましい。極性基含有単量体のグラフト量が0.01質量%未満では、ゴム組成物の低ロス性及び耐摩耗性を十分に改良できないことがある。また、極性基含有単量体のグラフト量が5.0質量%を超えると、粘弾性、S−S特性(引張試験機における応力−歪曲線)等の天然ゴム本来の物理特性を大きく変えてしまい、天然ゴム本来の優れた物理特性が損なわれると共に、ゴム組成物の加工性が大幅に悪化するおそれがある。
本発明においては、上記のようにして得られた変性天然ゴムラテックスに老化防止剤を添加することを要する。老化防止剤の上記変性天然ゴムラテックスへの添加にあたっては、合成ゴムで通常行われているように、変性天然ゴムラテックスに老化防止剤を混合する手法がとられる。この場合、老化防止剤をそのまま混合すると変性天然ゴムラテックスが沈殿したり、不均一に老化防止剤が取り込まれたりする恐れがあるため、老化防止剤に界面活性剤を加えエマルジョンとして上記変性天然ゴムラテックスへの添加に用いるのが好ましい。なお、老化防止剤の添加量は、天然ゴムラテックスのゴム成分100質量部に対し0.005質量部〜5質量部であるのが好ましく、0.01質量部〜3質量部であるのがより好ましい。0.005質量部未満では物性改良効果が充分でなく、また5質量部を越えると天然ゴムラテックス内での老化防止剤の均一性が保てなくなる場合がある。
上記老化防止剤としては、例えばアミン系、フェノール系、有機ホスファイト系又はチオール系などの老化防止剤が挙げられる。アミン系老化防止剤としては、例えば、N−(1,3−ジメチル−ブチル)−N′−フェニル−P−フェニレンジアミン、N−フェニル−N′−イソプロピル−P−フェニレンジアミン、アルキル化ジフェニルアミン、4,4′(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、N−フェニル−N′−(3メタクリロイロキシ−2−ヒドロキシプロピル−P−フェニレンジアミン、N−(1−メチルヘブチル)−N′−フェニル−P−フェニレンジアミン、フェニル−α−ナフチルアミン、オクチル化ジフェニルアミンとその誘導体、N,N′−ジフェニル−P−フェニレンジアミン、N,N′−ジアリル−P−フェニレンジアミン、N,N′−ジ−β−ナフチル−P−フェニレンジアミン等が挙げられる。
フェノール系老化防止剤としては、フェノール系老化防止剤としては、例えばスチレン化フェノール、ミックスドブチルオクチルフェノール、2,6−ジ第三ブチル−P−クレゾール、2,6−ジフェニル−4−オクトキシフェノール、ステアリル−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシベンジル)チオグリコレート、ステアリル−3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ第三ブチルフェニル)プロピオネート、ジステアリル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート、トリエチレングリコールビス[β−(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−[β−(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、2,2−メチレンビス(4−メチル−6−第三ブチルフェノール)、2,2′−メチレンビス(4−エチル−6−第三ブチルフェノール)、2,2′−メチリデンビス(4,6−ジ第三ブチルフェノール)、2,2′−エチリデンビス(4−第二ブチル−6−第三ブチルフェノール)、ビス[3,5−ビス(4−ヒドロキシ−3−第三ブチルフェニル)ブチリックアシド]グリコールエステル、4,4′−ブチリデンビス(6−第三ブチル−m−クレゾール)、4,4′−チオビス(6−第三ブチル−m−クレゾール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第三ブチルフェニル)ブタン、ビス[2−第三ブチル−4−メチル−6−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェニル]テレフタレート、2−第三ブチル−4−メチル−5−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェニルアクリレート、1,3,5−トリス(2,6−ジメチル−3−ヒドロキシ−4−第三ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,6−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、1,3,5−トリス[β−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル]イソシアヌレート、テトラキス[メチレン−β−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン等が挙げられる。
有機ホスファイト系老化防止剤としては例えば、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(モノ、ジ混合ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ホスファイト、オクチルジフェニルホスファイト、テトラ(C12-15混合アルキル)ビスフェノールAジホスファイト、テトラ(トリデシル)−4,4′−ブチリデンビス(3−メチル−6−第三ブチルフェノール)ジホスファイト、ヘキサ(トリデシル)−1,1,3−トリス(2−メチル−5−第三ブチル−4−ヒドロキシフェニルブタントリホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、フェニル・ビスフェノールAペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ第三ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト等が挙げられる。
チオエーテル系老化防止剤としては、ジラウリル−、ジミリスチル−、ジステアリル−チオジプロピオネート等のジアルキルチオジプロピオネート類、ペンタエリスリトールテトラ(ドデシルチオプロピオネート)あるいは4,4′−チオビス(6−第三ブチル−m−クレゾール)ビス(C12-15アルキルチオプロピオネート)等のアルキル(C=8〜18)チオプロピオン酸の1価ないし6価のアルコールあるいはフェノール類のエステルが挙げられる。
本発明においては、上記老化防止剤を添加した変性天然ゴムラテックスを凝固させ、洗浄後、真空乾燥機、エアドライヤー、ドラムドライヤー等の乾燥機を用いて乾燥することで変性天然ゴムが得られる。ここで、かかる変性天然ゴムラテックスを凝固するのに用いる凝固剤としては、特に限定されるものではないが、ギ酸、硫酸等の酸や、塩化ナトリウム等の塩が挙げられる。
本発明のゴム組成物は、上記変性天然ゴムを用いたことを特徴とし、更に充填剤を含有することが好ましい。ここで、充填剤の配合量は、特に限定されるものではないが、上記変性天然ゴム100質量部に対して5〜100質量部の範囲が好ましく、10〜70質量部の範囲が更に好ましい。充填剤の配合量が5質量部未満では、充分な補強性が得られない場合があり、100質量部を超えると、加工性が悪化する場合がある。
本発明のゴム組成物に用いる充填剤としては、カーボンブラック及び無機充填剤が挙げられ、ここで、無機充填剤としては、シリカ及び下記式(I):
nM・xSiOy・zH2O ・・・ (I)
[式中、Mは、アルミニウム、マグネシウム、チタン、カルシウム及びジルコニウムからなる群から選ばれる金属、これらの金属の酸化物又は水酸化物、及びそれらの水和物、またはこれらの金属の炭酸塩から選ばれる少なくとも一種であり;n、x、y及びzは、それぞれ1〜5の整数、0〜10の整数、2〜5の整数、及び0〜10の整数である]で表される無機化合物が挙げられる。これら充填剤は、一種単独で用いてもよし、二種以上を混合して用いてもよい。
上記カーボンブラックとしては、GPF、FEF、SRF、HAF、ISAF、SAFグレードのもの等が挙げられ、また、上記シリカとしては、湿式シリカ、乾式シリカ及びコロイダルシリカ等が挙げられる。更に、上記式(I)の無機化合物としては、γ-アルミナ、α-アルミナ等のアルミナ(Al23);ベーマイト、ダイアスポア等のアルミナ一水和物(Al23・H2O);ギブサイト、バイヤライト等の水酸化アルミニウム[Al(OH)3];炭酸アルミニウム[Al2(CO3)3]、水酸化マグネシウム[Mg(OH)2]、酸化マグネシウム(MgO)、炭酸マグネシウム(MgCO3)、タルク(3MgO・4SiO2・H2O)、アタパルジャイト(5MgO・8SiO2・9H2O)、チタン白(TiO2)、チタン黒(TiO2n-1)、酸化カルシウム(CaO)、水酸化カルシウム[Ca(OH)2]、酸化アルミニウムマグネシウム(MgO・Al23)、クレー(Al23・2SiO2)、カオリン(Al23・2SiO2・2H2O)、パイロフィライト(Al23・4SiO2・H2O)、ベントナイト(Al23・4SiO2・2H2O)、ケイ酸アルミニウム(Al2SiO5、Al4・3SiO4・5H2O等)、ケイ酸マグネシウム(Mg2SiO4、MgSiO3等)、ケイ酸カルシウム(Ca2SiO4等)、ケイ酸アルミニウムカルシウム(Al23・CaO・2SiO2等)、ケイ酸マグネシウムカルシウム(CaMgSiO4)、炭酸カルシウム(CaCO3)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、水酸化ジルコニウム[ZrO(OH)2・nH2O]、炭酸ジルコニウム[Zr(CO3)2]、各種ゼオライトのように電荷を補正する水素、アルカリ金属又はアルカリ土類金属を含む結晶性アルミノケイ酸塩等を挙げることができる。
本発明のゴム組成物には、上記変性天然ゴム、充填剤の他に、ゴム工業界で通常使用される配合剤、例えば、軟化剤、シランカップリング剤、ステアリン酸、亜鉛華、加硫促進剤、加硫剤等を、本発明の目的を害しない範囲内で適宜選択して配合することができる。これら配合剤としては、市販品を好適に使用することができる。本発明のゴム組成物は、変性天然ゴムに、必要に応じて適宜選択した各種配合剤を配合して、混練り、熱入れ、押出等することにより製造することができる。
本発明のタイヤは、上記ゴム組成物を用いたことを特徴とし、上記ゴム組成物をトレッドに用いることが好ましい。上記ゴム組成物をトレッドに用いたタイヤは、低燃費性、破壊特性及び耐摩耗性に優れる。なお、本発明のタイヤは、上述のゴム組成物をタイヤ部材のいずれかに用いる以外特に制限は無く、常法に従って製造することができる。また、該タイヤに充填する気体としては、通常の或いは酸素分圧を調整した空気の他、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスを用いることができる。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
<製造例1>
(天然ゴムラテックスの変性反応工程)
フィールドラテックスをラテックスセパレーター(斎藤遠心工業製)を用いて回転数7500rpmで遠心分離して乾燥ゴム濃度60%の濃縮ラテックスを得た。このラテックス1000gを、攪拌機、温調ジャケットを備えたステンレス製反応容器に投入し、予め10mlの水と90mgの乳化剤「エマルゲン1108」(花王株式会社製)をN,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート3.0gに加えて乳化したものを990mlの水とともに添加し、これらを窒素置換しながら30分間攪拌した。ついで、重合開始剤としてtert−ブチルハイドロパーオキサイド1.2gとテトラエチレンペンタミン1.2gとを加え、40℃で30分間反応させることで、変性天然ゴムラテックスを得た。
(老化防止剤の調整と添加工程)
老化防止剤6C(N−(1,3−ジメチルブチル)−N−フェニル−p−フェニレンジアミン)0.6gをベンゼン4mlに溶解した液Iと、水8ml、水酸化カリウム0.03g、オレイン酸0.3gを混合した液IIとを、激しく攪拌、混合して濃度5%のエマルジョン液を作成した。このエマルジョン液を変性天然ゴムラテックスに添加した。
(凝固・乾燥工程)
次にギ酸を添加してpHを4.7に調整することにより、変性天然ゴムラテックスを凝固させた。この固形物をクレーパーで5回処理し、シュレッダーを通じてクラム化した後、熱風式乾燥機により110℃で、210分乾燥することで変性天然ゴムAを得た。得られた天然ゴムAの重量から、極性基含有単量体としてのN,N−ジエチルアミノエチルメタクリレートの転化率は100%であることが確認された。また、該変性天然ゴムAを石油エーテルで抽出し、さらにアセトンとメタノールの2:1混合溶媒で抽出することによりホモポリマーの分離を行ったところ、抽出物の分析からホモポリマーは検出されず、添加した単量体の100%が天然ゴム分子に導入されていることが確認された。
<製造例2、3>
N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート3.0gの代わりに製造例2では2−ヒドロキシエチルメタクリレートを2.1g、製造例3では4−ピニルピリジンを1.7g用いた以外は製造例1と同様にして、変性天然ゴムB、Cをそれぞれ得た。製造例1と同様な方法により、変性天然ゴムB及びCを分析したところ、添加した単量体の100%が天然ゴム分子に導入されていることが確認された。
<製造例4〜6>
老化防止剤6Cを添加する代わりに2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール0.6gを用いた以外は製造例1〜3と同様にして、変性天然ゴムD、E、Fをそれぞれ得た。
<製造例7〜9>
老化防止剤の添加を行わずに変性天然ゴムラテックスを凝固乾燥したこと以外は製造例1〜3と同様にして、変性天然ゴムG、H、Iをそれぞれ得た。
Figure 0005244365
次いで、これらの変性天然ゴムを作成後、室温で60日間保管し、その後表2に示す配合処方のゴム組成物を調整し、該ゴム組成物の加工性を下記の方法でムーニー粘度を測定することによって評価した。配合1に従うゴム組成物の結果を表3に、配合2に従うゴム組成物の結果を表4に示す。
(1)ムーニー粘度
JIS K6300−1:2001に準拠して、130℃にてゴム組成物のムーニー粘度ML1+4(130℃)を測定した。ムーニー粘度が小さい程、加工性に優れることを示す。
Figure 0005244365
*1 使用した変性天然ゴムの種類を表3及び4に示す.
*2 東ソー・シリカ(株)製, 商標:ニプシルAQ.
*3 デグッサ社製, 商標Si69, ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド.
*4 N-(1,3-ジメチルブチル)-N'-フェニル-p-フェニレンジアミン.
*5 N,N'-ジシクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド.
*6 ジフェニルグアニジン.
*7 ジベンゾチアジルジスルフィド.
*8 N-t-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド.
Figure 0005244365
Figure 0005244365
表3中の実施例1〜6と比較例1〜3、並びに表4中の実施例7〜12と比較例4〜6との比較から、変性天然ゴムを製造する際に、極性基含有単量体を天然ゴムラテックス中の天然ゴム分子にグラフト重合させた後、老化防止剤を添加することによって、得られた変性天然ゴムをゴム成分として使用したゴム組成物のムーニー粘度が低下して、ゴム組成物の加工性が向上することが分かる。

Claims (9)

  1. 天然ゴムラテックスに極性基含有単量体を添加し、該極性基含有単量体を該天然ゴムラテックス中の天然ゴム分子にグラフト重合させた後、老化防止剤を添加し、更に凝固及び乾燥してなり、
    前記極性基含有単量体のグラフト量が天然ゴムラテックスのゴム成分に対し0.01〜5.0質量%である変性天然ゴム。
  2. 前記老化防止剤をエマルジョンとして添加することを特徴とする請求項1記載の変性天然ゴム。
  3. 前記変性天然ゴムラテックスの極性基がアミノ基、イミノ基、ニトリル基、アンモニウム基、イミド基、アミド基、ヒドラゾ基、アゾ基、ジアゾ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、カルボニル基、エポキシ基、オキシカルボニル基、スルフィド基、ジスルフィド基、スルフォニル基、スルフィニル基、チオカルボニル基、含窒素複素環基、含酸素複素環基、スズ含有基及びアルコキシシリル基からなる群から選ばれる少なくとも一つであることを特徴とする請求項1記載の変性天然ゴム。
  4. 前記老化防止剤がアミン系老化防止剤、フェノール系老化防止剤、有機ホスファイト系老化防止剤及びチオエーテル系老化防止剤からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1記載の変性天然ゴム。
  5. タイヤ用であることを特徴とする請求項1記載の変性天然ゴム。
  6. 天然ゴムラテックスに極性基含有単量体を添加し、該極性基含有単量体を該天然ゴムラテックス中の天然ゴム分子に、前記極性基含有単量体のグラフト量が天然ゴムラテックスのゴム成分に対し0.01〜5.0質量%でグラフト重合させた後、老化防止剤を添加し、更に凝固及び乾燥することを特徴とする変性天然ゴムの製造方法。
  7. 前記変性天然ゴムが、タイヤ用であることを特徴とする請求項6記載の変性天然ゴムの製造方法。
  8. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の変性天然ゴムを用いたことを特徴とするゴム組成物。
  9. 請求項記載のゴム組成物をタイヤ部材のいずれかに用いたことを特徴とするタイヤ。
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