JP3834002B2 - 電子写真感光体及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真方式によるプリンター、複写機、ファクシミリ等の画像出力装置に使用される電子写真感光体に関する。さらに詳しくは、小径にあって高い耐摩耗性を有し、表面に傷がつきにくく、クラックも発生せず、帯電性が良好で、光照射時の残留電位が小さく、繰り返し使用によっても帯電電位及び残留電位の変動が少なく、また画像ボケ等の異常画像を発生しにくく、高画質安定性と耐摩耗性を両立させた寿命の長い電子写真用感光体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子写真方式を用いた情報処理システム機の発展には目覚ましいものがある。特に、情報をデジタル信号に変換して光によって情報記録を行うレーザープリンターやデジタル複写機は、そのプリント品質、信頼性において向上が著しい。さらに、それらは高速化技術との融合によりフルカラー印刷が可能なレーザープリンターあるいはデジタル複写機へと応用されてきている。そのような背景から、要求される感光体の機能としては、高画質化と高耐久化を両立させることが特に重要な課題となっている。
【0003】
これらの電子写真方式のレーザープリンターやデジタル複写機等に使用される感光体としては、有機系の感光材料を用いたものが、コスト、生産性及び無公害性等の理由から一般に広く応用されている。有機系の電子写真感光体には、ポリビニルカルバゾール(PVK)に代表される光導電性樹脂、PVK−TNF(2,4,7−トリニトロフルオレノン)に代表される電荷移動錯体型、フタロシアニン−バインダーに代表される顔料分散型、そして電荷発生物質と電荷輸送物質とを組み合わせて用いる機能分離型の感光体などが知られている。
【0004】
機能分離型の感光体における静電潜像形成のメカニズムは、感光体を帯電した後光照射すると、光は電荷輸送層を通過し、電荷発生層中の電荷発生物質により吸収され電荷を生成する。それによって発生した電荷が電荷発生層及び電荷輸送層の界面で電荷輸送層に注入され、さらに電界によって電荷輸送層中を移動し、感光体の表面電荷を中和することにより静電潜像を形成するものである。
【0005】
しかし、有機系の感光体は、繰り返し使用によって膜削れが発生しやすく、感光層の膜削れが進むと、感光体の帯電電位の低下や光感度の劣化、感光体表面のキズなどによる地汚れ、画像濃度低下などの画質劣化が促進される傾向が強く、従来から感光体の耐摩耗性が大きな課題として挙げられていた。さらに、近年では電子写真装置の高速化あるいは装置の小型化に伴う感光体の小径化によって、感光体の高耐久化がより一層重要な課題となっている。また、感光体表面に異物が付着することで膜の結晶化やクラックが生じることがある。特に感光体に直接人が触れた場合、感光体表面に皮脂が付着し、それが引き金となってクラックを生じる場合がある。クラックは画像欠陥となり感光体寿命を縮める要因となっていた。
【0006】
感光体の高耐久化を実現する方法としては、感光体の最表面に保護層を設け、その保護層に潤滑性を付与したり、フィラーを含有させたり、硬化させたりする方法が知られている。
例えば特開平07−295248号公報、特開平07−301936号公報、特開平08−082940号公報等には、表面層にフッ素変性シリコンオイルを含有させることにより表面性を改善し、感光体表面の耐摩耗性を向上させる提案がある。しかし、このようなオイル成分を感光層に添加して摩擦係数を下げる方法は、表面に移行した成分が直ぐに除去されてしまう為に耐摩耗性の効果を持続することができていない。
【0007】
一方、無機フィラーや架橋樹脂粒子を感光体表面層に添加し、耐摩耗性を向上させる試みがある。これらの場合、耐摩耗性は向上するものの、帯電電位や残留電位への影響が大きく、特に繰り返し使用時の電位変動が大きいという欠点を有する。
【0008】
また、熱硬化性樹脂を用いる検討も種々行われている。特に、電荷輸送性を有する骨格を3次元架橋膜中に共架橋させた樹脂を使用するものが電子写真特性と耐摩耗性を両立させ得るとして注目されている。
例えば、電荷輸送剤に加水分解性基を有するケイ素を直接導入した有機ケイ素変性正孔輸送性化合物を電子写真感光体に用いるもの(特開平9−190004号公報…特許文献1)、シラノール基と縮合反応しうる水酸基やアミノ基やチオール基を有する電荷輸送性化合物をシロキサン3次元架橋膜中に導入した膜を用いるもの(特開2000−171990号公報…特許文献2)、連鎖重合性基を分子内に2個以上有する電荷輸送材料とアクリル化合物との3次元架橋膜を用いるもの(特開2000−206715号公報)等が知られている。
【0009】
しかしながら、特開平9−190004号公報に記載のものの場合、使用される有機ケイ素変性正孔輸送性化合物の合成が困難で精製もしにくいことから膜強度の低下を引き起こしたり、電子写真特性の低下を引き起こしたりする問題がある。また、特開2000−171990号公報に記載のものの場合、反応性基を有する電荷輸送性化合物の使用に相溶性の点で制限があったり、共重合した架橋膜の強度が十分でないという問題がある。さらに特開2000−206715号公報に記載のものの場合、残留連鎖重合性基が耐ガス性に悪影響したり、機械的強度が十分でないという問題がある。
【0010】
【特許文献1】
特開平9−190004号公報
【特許文献2】
特開2000−171990号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、従来の電子写真感光体の有する前記問題点を解決し、特に高い耐摩耗性を有し、表面に傷がつきにくく、クラックも発生せず、帯電性が良好で、光照射時の残留電位が小さく、繰り返し使用によっても帯電電位及び残留電位の変動が少なく、また画像ボケ等の異常画像を発生しにくく、高画質安定性と耐摩耗性を両立させた寿命の長い電子写真用感光体及びその製造方法を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、下記(1)〜(19)の電子写真感光体及びその製造方法が提供される。
(1)シラノール基の縮合反応により形成される架橋体中に電荷輸送性基がエポキシ基とシラノール基との反応により結合された組成物を含有する層を有することを特徴とする電子写真感光体。
(2)導電性支持体上に少なくとも感光層を設けてなる電子写真感光体において、該電子写真感光体の最表面層が主としてエポキシ基含有アミン化合物及びアルコキシシラン化合物の反応物からなることを特徴とする電子写真感光体。
(3)導電性支持体上に少なくとも感光層を設けてなる電子写真感光体において、該電子写真感光体の最表面層が主としてエポキシ基含有アミン化合物及びシラノール化合物の反応物からなることを特徴とする電子写真感光体。
(4)前記シラノール化合物が、アルコキシシラン化合物の加水分解により生成された化合物であることを特徴とする前記(3)に記載の電子写真感光体。
(5)導電性支持体上に少なくとも感光層を設けてなる電子写真感光体において、該電子写真感光体の最表面層が、少なくともエポキシ基含有アミン化合物とアルコキシシラン化合物の混合物からなる塗工液を塗布した後、反応させた反応物からなることを特徴とする電子写真感光体。
(6)導電性支持体上に少なくとも感光層を設けてなる電子写真感光体において、該電子写真感光体の最表面層が、少なくともアルコキシシラン化合物の加水分解により生成されたシラノール化合物とエポキシ基含有アミン化合物の混合物からなる塗工液を塗布した後、反応させた反応物からなることを特徴とする電子写真感光体。
(7)前記塗工液を塗布後、100℃以上で加熱硬化させたことを特徴とする前記(5)又は(6)に記載の電子写真感光体。
(8)前記エポキシ基含有アミン化合物が下記一般式(1)で表される化合物であることを特徴とする前記(2)〜(7)のいずれかに記載の電子写真感光体。
【化9】
(式中、R1は水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基を表す。Ar1は少なくとも1個の3級アミノ基を有するアリール基、少なくとも1個の3級アミノ基を有する複素環基を表す。Ar2、Ar3は置換もしくは無置換のアリレン基を表す。但し、Ar2とAr3は同一でも異なっていてもよい。nは0〜100の整数を表す。)
(9)前記エポキシ基含有アミン化合物が下記一般式(2)で表される化合物であることを特徴とする前記(2)〜(8)のいずれかに記載の電子写真感光体。
【化10】
(式中、R4〜R25は水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基を表し、それぞれ同一でも異なっていてもよい。nは0〜100の整数を表す。)
(10)前記アルコキシシラン化合物が下記一般式(3)で表される化合物であることを特徴とする前記(2)、(4)〜(9)のいずれかに記載の電子写真感光体。
【化11】
(R)n−Si−(X)4−n (3)
(式中、Rはケイ素原子に炭素原子が直接結合した形の有機基を表し、Xは加水分解性基を表し、少なくとも1個はアルコキシ基であり、nは0〜3の整数を表す。)
(11)前記シラノール化合物が下記一般式(4)で表される化合物であることを特徴とする前記(3)、(4)、(6)〜(9)のいずれかに記載の電子写真感光体。
【化12】
(R)n−Si−(Y)4−n (4)
(式中、Rはケイ素原子に炭素原子が直接結合した形の有機基を表し、nは0〜3の整数を表し、nが3の場合Yは水酸基を表し、nが0〜2の場合Yは一つが水酸基で残りが水酸基又は加水分解性基を表す。)
(12)前記アルコキシシラン化合物及び/又はシラノール化合物が2種以上の混合物からなることを特徴とする前記(2)〜(11)のいずれかに記載の電子写真感光体。
(13)前記アルコキシシラン化合物及び/又はシラノール化合物が少なくとも1個の芳香族基を有する化合物であることを特徴とする前記(2)〜(12)のいずれかに記載の電子写真感光体。
(14)下記の成分A、B、Cを含み、且つ成分A、Bの混合割合が、固形分重量比で、(成分B)/(成分A+成分B)=0.1〜0.7、である硬化被覆組成物を表面に有する電子写真感光体。
A:分子中にケイ素原子に結合した水酸基を有するシラン化合物
B:下記一般式(1)で表されるエポキシ化合物
【化13】
(式中、R1は水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基を表す。Ar1は少なくとも1個の3級アミノ基を有するアリール基、少なくとも1個の3級アミノ基を有する複素環基を表す。Ar2、Ar3は置換もしくは無置換のアリレン基を表す。但し、Ar2とAr3は同一でも異なっていてもよい。nは0〜100の整数を表す。)
C:一般式、AlXnY3−nで示されるアルミニウムキレート化合物
(式中、Xは低級アルコキシル基、YはM1COCH2COM2、及びM3COCH2COOM4からなる群から選ばれた化合物から生じる配位子、M1、M2、M3およびM4は低級アルキル基、nは0、1または2である。)
(15)下記の成分A、B、C、Dを含み、且つ成分A、B、Dの混合割合が、固形分重量比で、(成分B)/(成分A+成分B+成分D)=0.1〜0.6、(成分D)/(成分A+成分B+成分D)=0.01〜0.3、である硬化被覆組成物を表面に有する電子写真感光体。
A:分子中にケイ素原子に結合した水酸基を有するシラン化合物
B:下記一般式(1)で表されるエポキシ化合物
【化14】
(式中、R1は水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基を表す。Ar1は少なくとも1個の3級アミノ基を有するアリール基、少なくとも1個の3級アミノ基を有する複素環基を表す。Ar2、Ar3は置換もしくは無置換のアリレン基を表す。但し、Ar2とAr3は同一でも異なっていてもよい。nは0〜100の整数を表す。)
C:一般式、AlXnY3−nで示されるアルミニウムキレート化合物
(式中、Xは低級アルコキシル基、YはM1COCH2COM2、及びM3COCH2COOM4からなる群から選ばれた化合物から生じる配位子、M1、M2、M3およびM4は低級アルキル基、nは0、1または2である。)
D:平均粒子径1〜100nmの微粒子状シリカ
(16)前記硬化被覆組成物の膜厚が1〜15μmであることを特徴とする前記(14)又は(15)に記載の電子写真感光体。
【0013】
(17)下記の成分A、B、Cを含み、且つ成分A、Bの混合割合が、固形分重量比で、(成分B)/(成分A+成分B)=0.1〜0.7、である組成物を溶媒に溶解または分散させた塗工液を作製し、この塗工液を感光体表面に塗工した後、80〜150℃にて加熱硬化させることを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
A:分子中にケイ素原子に結合した水酸基を有するシラン化合物
B:下記一般式(1)で表されるエポキシ化合物
【化15】
(式中、R1は水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基を表す。Ar1は少なくとも1個の3級アミノ基を有するアリール基、少なくとも1個の3級アミノ基を有する複素環基を表す。Ar2、Ar3は置換もしくは無置換のアリレン基を表す。但し、Ar2とAr3は同一でも異なっていてもよい。nは0〜100の整数を表す。)
C:一般式、AlXnY3−nで示されるアルミニウムキレート化合物
(式中、Xは低級アルコキシル基、YはM1COCH2COM2、及びM3COCH2COOM4からなる群から選ばれた化合物から生じる配位子、M1、M2、M3およびM4は低級アルキル基、nは0、1または2である。)
(18)下記の成分A、B、C、Dを含み、且つ成分A、B、Dの混合割合が、固形分重量比で、(成分B)/(成分A+成分B+成分D)=0.1〜0.6、(成分D)/(成分A+成分B+成分D)=0.01〜0.3、である組成物を溶媒に溶解または分散させた塗工液を作製し、この塗工液を感光体表面に塗工した後、80〜150℃にて加熱硬化させることを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
A:分子中にケイ素原子に結合した水酸基を有するシラン化合物
B:下記一般式(1)で表されるエポキシ化合物
【化16】
(式中、R1は水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基を表す。Ar1は少なくとも1個の3級アミノ基を有するアリール基、少なくとも1個の3級アミノ基を有する複素環基を表す。Ar2、Ar3は置換もしくは無置換のアリレン基を表す。但し、Ar2とAr3は同一でも異なっていてもよい。nは0〜100の整数を表す。)
C:一般式、AlXnY3−nで示されるアルミニウムキレート化合物
(式中、Xは低級アルコキシル基、YはM1COCH2COM2、及びM3COCH2COOM4からなる群から選ばれた化合物から生じる配位子、M1、M2、M3およびM4は低級アルキル基、nは0、1または2である。)
D:平均粒子径1〜100nmの微粒子状シリカ
(19)前記溶媒が、少なくともベンジルアルコール、シクロヘキサノン、酢酸2−メトキシエチル、テトラヒドロフラン、アセチルアセトンから選ばれる1種以上の溶媒を含有していることを特徴とする前記(17)又は(18)に記載の電子写真感光体の製造方法。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明で使用されるシラノール基の縮合反応により形成される架橋体とは、一分子中にケイ素原子に結合した水酸基を一個以上有するシラン化合物またはそれらの混合物であって、少なくとも一分子中にケイ素原子に結合した水酸基を三個以上有するシラン化合物の存在下にシラノール基の縮合反応をさせて3次元的に架橋硬化させた組成物を言う。そして、電荷輸送性基がエポキシ基とシラノール基との反応により結合されているとは、上記シラン化合物中に、エポキシ基を有し、且つ電荷輸送性基も有する化合物を混合し、シラノール基とエポキシ基の付加反応によって化学結合した状態を指す。ここで、エポキシ基を有し、且つ電荷輸送性基も有する化合物の好ましい態様としては、下記エポキシ基含有アミン化合物を挙げることが出来る。また、一分子中にケイ素原子に結合した水酸基を一個以上有するシラン化合物の好ましい態様としては前記一般式(3)で表されるアルコキシシラン化合物の加水分解物、前記一般式(4)で表されるシラノール化合物を挙げることが出来る。
【0015】
本発明に使用されるエポキシ基含有アミン化合物としては、通常電子写真感光体の電荷輸送物質として使用されるオキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、トリフェニルアミン等のトリアリールアミン誘導体、フェニルヒドラゾン誘導体、α−フェニルスチルベン誘導体、スチルベン誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、N−フェニルカルバゾール誘導体等の電荷輸送性化合物の骨格を有し、その置換基としてエポキシ基を1個以上、好ましくは2個以上有する化合物が挙げられる。十分な電荷輸送能を発揮させるためにはこれらのエポキシ基含有アミン化合物を反応物組成中20重量%以上含有させることが望ましいが、エポキシ基が少ないと反応物の架橋密度が低下し、十分な耐摩耗性が得られない。エポキシ基を2個以上有する場合は、十分な架橋密度が得られ高い耐摩耗性が得られる。
【0016】
それらの中で、優れた電荷輸送特性を有する化合物として下記一般式(1)、さらに好ましくは一般式(2)で表されるエポキシ基含有アミン化合物が好適に使用される。
尚、これら一般式(1)及び(2)で表されるエポキシ基含有アミン化合物は新規化合物であり、対応するジヒドロキシ化合物とグリシジル化剤とを反応させることにより製造することができる。
【0017】
【化17】
(式中、R1は水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基を表す。Ar1は少なくとも1個の3級アミノ基を有するアリール基、少なくとも1個の3級アミノ基を有する複素環基を表す。Ar2、Ar3は置換もしくは無置換のアリレン基を表す。但し、Ar2とAr3は同一でも異なっていてもよい。nは0〜100の整数を表す。)
【0018】
【化18】
(式中、R4〜R25は水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基を表し、それぞれ同一でも異なっていてもよい。nは0〜100の整数を表す。)
【0019】
前記一般式(1)及び(2)で表されるエポキシ基含有アミン化合物において、R1、R4〜R25の置換もしくは無置換のアルキル基とは、炭素数1〜5の直鎖又は分岐鎖のアルキル基であり、ハロゲン原子やフェニル基で置換されていてもよく、該フェニル基は、さらにハロゲン原子や炭素数1〜5のアルキル基などで置換されていてもよい。具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、t−ブチル基、s−ブチル基、n−ブチル基、i−ブチル基、n−ペンチル基、トリフルオロメチル基、ベンジル基、4−クロロベンジル基、4−メチルベンジル基等が挙げられる。
【0020】
また、R1の置換もしくは無置換のアリール基として、フェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、ピレニル基、フルオレニル基、9,9−ジメチル−2−フルオレニル基、アズレニル基、アントリル基、トリフェニレニル基、クリセニル基等が挙げられ、これらのアリール基にはハロゲン原子や前述のアルキル基、フェニル基等が置換していてもよい。また、下記一般式(5)で表される基も挙げることができる。
【化19】
〔式中、Xは−O−、−S−、−SO−、−SO2−、−CO−及び下記の2価基を表す。
【化20】
【化21】
(ここで、R26、R27は水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基を表し、aは1〜12の整数、bは1〜3の整数を表す。)〕
尚、前記一般式(5)中のR26、R27の置換もしくは無置換のアルキル基、及び置換もしくは無置換のアリール基は前記R1、R4〜R25と、その定義及び具体例は同様である。
【0021】
また前記一般式(1)で表されるエポキシ基含有アミン化合物において、Ar1の少なくとも1個の3級アミノ基を有するアリール基の該アリール基としては、前記R1の説明において挙げたものと同様のものを挙げることができる。
さらに該3級アミノ基としては、前記R16〜R25で表される基を有するフェニルが2個結合した窒素原子を有する基が挙げられる。
【0022】
また前記一般式(1)で表されるエポキシ基含有アミン化合物にいおいて、Ar2、Ar3の置換もしくは無置換のアリレン基としては、前記Ar1の説明(即ちR1の説明)において挙げたアリール基から誘導される2価の基が挙げられる。
さらに該アリレン基の置換基としては、前記R4〜R11の説明において挙げたものと同様のものを挙げることができる。
【0023】
またAr1が少なくとも1個の3級アミノ基を有する置換もしくは無置換の複素環基の該複素環基としては、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、ジオキサゾール、インドール、イソインドール、ベンズイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンズイソキサジン、カルバゾール、フェノキサジン等が挙げられ、これらの複素環基は前述のR1で定義された置換もしくは無置換のアルキル基、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアリール基で置換されていても良い。
さらに該3級アミノ基としては、前記Ar1の説明において挙げたものと同様のものが挙げられる。
【0024】
さらにまた、前記各基におけるハロゲン原子の具体例として、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を挙げることができる。
【0025】
本発明で使用されるアルコキシシラン化合物としては、下記一般式(3)で表される化合物を挙げることができる。
【化22】
(R)n−Si−(X)4−n (3)
(式中、Rはケイ素原子に炭素原子が直接結合した形の有機基を表し、Xは加水分解性基を表し、少なくとも1個はアルコキシ基であり、nは0〜3の整数を表す。)
【0026】
前記一般式(3)において、Rで表されるケイ素原子に炭素原子が直接結合した形の有機基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル等のアルキル基、フェニル、トリル、ナフチル、ビフェニル等のアリール基、、γ−クロロプロピル、1,1,1−トリフルオロプロピル、ノナフルオロヘキシル、パーフルオロオクチルエチル等の含ハロゲン基、その他ニトロ基、シアノ置換アルキル基を挙げることができる。またXの加水分解性基としてはメトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ等のアルコキシ基、ハロゲン基、アシルオキシ基が挙げられる。特に炭素数6以下のアルコキシ基が好ましい。
一般式(3)で表される化合物は、1種単独でも良いし、2種以上を組み合わせて使用しても良い。
【0027】
本発明で使用されるシラノール化合物としては、下記一般式(4)で表される化合物を挙げることができる。
【化23】
(R)n−Si−(Y)4−n (4)
(式中、Rはケイ素原子に炭素原子が直接結合した形の有機基を表し、nは0〜3の整数を表し、nが3の場合Yは水酸基を表し、nが0〜2の場合Yは一つが水酸基で残りが水酸基又は加水分解性基を表す。)
【0028】
前記一般式(4)において、Rで表されるケイ素原子に炭素原子が直接結合した形の有機基としては、前記一般式(3)の説明において挙げたものと同様のものが挙げられ、またYの加水分解性基としては、前記一般式(3)のXの説明において挙げたものと同様のものが挙げられる。
【0029】
又一般式(3)及び一般式(4)で表される有機ケイ素化合物の具体的化合物で、nが2以上の場合、複数のRは同一でも異なっていても良い。同様に、nが2以下の場合、複数のX及びYは同一でも異なっていても良い。又、一般式(3)及び/又は一般式(4)で表される有機ケイ素化合物を2種以上を用いるとき、R及びX及びYはそれぞれの化合物間で同一でも良く、異なっていても良い。
【0030】
エポキシ基含有アミン化合物との相溶性を上げて均一な透明膜を得るためには、Rに少なくとも1個の芳香族基を有するアルコキシシラン化合物及び/又はシラノール化合物を用いることが好ましく、芳香族基を有しないアルコキシシラン化合物及び/又はシラノール化合物との混合で使用することがさらに好ましい。
【0031】
また、前記一般式(3)及び一般式(4)において、加水分解性基及び/又は水酸基の数が2以上(n=2以下)の場合にシラン化合物が縮合してオルガノポリシロキサン樹脂が得られるが、該数が3(n=1)の場合に3次元に架橋可能な架橋性オルガノポリシロキサン樹脂が得られるため、n=1の3官能シランモノマーを原料として含むことが好ましい。そして3官能シランモノマーに他の2官能シランモノマー(n=2)成分や4官能シランモノマー(n=0)成分を適宜加えることにより、樹脂の性質(安定性、塗膜強度等)を調整することができる。
【0032】
本発明におけるエポキシ基含有アミン化合物とアルコキシシラン化合物との反応物とは、該アルコキシシラン化合物のアルコキシ基又はアルコキシ基が加水分解して生成したシラノール基同士の縮合反応、及びエポキシ基含有アミン化合物のエポキシ基と前記シラノール基との付加反応、エポキシ基がシラノール基と開環付加反応した後に生成したヒドロキシ基と前記シラノール基の縮合反応により一体となって3次元架橋反応結合した樹脂物を言う。
【0033】
また、本発明におけるエポキシ基含有アミン化合物とシラノール化合物との反応物とは、該シラノール化合物のシラノール基及び/又はアルコキシ基がさらに加水分解して生成したシラノール基による縮合反応、及びエポキシ基含有アミン化合物のエポキシ基と前記シラノール基との付加反応、エポキシ基がシラノール基と開環付加反応した後に生成したヒドロキシ基と前記シラノール基の縮合反応により一体となって3次元架橋反応結合した樹脂物を言う。
【0034】
また、本発明の電子写真感光体用塗布液は、前記一般式(3)及び/又は一般式(4)で表される化合物等のケイ素含有モノマーを加水分解するのに必要な水を添加し、酸性条件下〜塩基性条件下で加水分解して用いてもよい。
【0035】
加水分解は、純水もしくは塩酸または硫酸または酢酸等の酸性水溶液で行うことができ、アルコキシシラン単独あるいは溶媒で希釈して行う。また、複数のアルコキシシラン体を使用する場合は、別々に加水分解して混合することも、混合したアルコキシシラン体を共加水分解することも、一方のアルコキシシラン体を加水分解した後に他のアルコキシシラン体を加え加水分解を継続する逐次加水分解法を適用することもできる。
【0036】
前記電子写真感光体用塗布液に用いられる溶媒は、ケトン系、エステル系、エーテル系あるいは芳香族系溶媒から選ばれる1種以上の溶媒とアルコール系溶媒との混合溶媒が好ましい。
ケトン系溶媒としてはメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトン、シクロヘキサノン等が、エステル系溶媒としては酢酸エチル、酢酸t−ブチル等が、エーテル系溶媒としてはメチルセルソルブ、エチルセルソルブ、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン等が、芳香族系溶媒としてはトルエン、キシレン等が挙げられる。また、アルコール系溶媒としてはメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、t−ブタノール等が挙げられる。
【0037】
このように種々の溶媒が使用可能であるが、各組成物の溶解性と架橋硬化時の均一膜性を達成するためには、溶解性を考慮すると共に沸点の比較的高い溶媒を混合することが好ましい。
好ましい溶媒としては、ブタノール、ベンジルアルコール、シクロヘキサノン、酢酸−2−メトキシエチル、テトラヒドロフラン、アセチルアセトンを挙げることができ、これらの内、ベンジルアルコール、シクロヘキサノンは沸点が比較的高い溶媒として好ましく使用される。これらの溶媒を使用しないときは、均一な塗工液の作製および均一硬化膜の作製が困難になる。
これらの内、エポキシ基含有アミン化合物、アルコキシシラン化合物及びシラノール化合物を溶解させるものが使用される。
【0038】
前記電子写真感光体用塗布液中の固形分濃度は前記アルコキシシラン化合物、シラノール化合物、エポキシ基含有アミン化合物の構造や塗布方法等により最適なものが選ばれるが、通常2〜50重量%が好ましい。
【0039】
また前記電子写真感光体用塗布液には架橋反応を促進する触媒として有機カルボン酸、亜硝酸、亜硫酸、アルミン酸、炭酸及びチオシアン酸の各アルカリ金属塩、有機アミン塩(水酸化テトラメチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウムアセテート)、スズ有機酸塩(スタンナスオクトエート、ジブチルチンジアセテート、ジブチルチンジラウレート、ジブチルチンメルカプチド、ジブチルチンチオカルボキシレート、ジブチルチンマリエート等)、アルミニウム、亜鉛のオクテン酸、ナフテン酸塩、アセチルアセトン錯化合物等を使用しても良い。
触媒の量としては前記アルコキシシラン化合物、シラノール化合物100重量部に対し0.1〜10重量部を用いることが好ましい。
【0040】
該触媒としては、特に、一般式、AlXnY3−nで示されるアルミニウムキレート化合物が好ましい。
(ここでXは低級アルコキシル基、YはM1COCH2COM2、及びM3COCH2COOM4からなる群から選ばれた化合物から生じる配位子、M1、M2、M3およびM4は低級アルキル基、nは0、1または2である。)
このアルミニウムキレート化合物を使用することにより、未加熱時は架橋がほとんど進行せず、加熱時に速やかに架橋が進行するため、塗工液のポットライフが長く、製造時の塗工条件管理が容易になる。
該アルミニウムキレート化合物において、触媒活性、溶解性、安定性の観点から具体的な化合物として以下の例が挙げられる。
アルミニウムアセチルアセトナート、アルミニウムエチルアセトアセテートビスアセチルアセトナート、アルミニウムビスアセトアセテートアセチルアセトナート、アルミニウムジ−n−ブトキシドモノエチルアセトアセテート、アルミニウムジ−i−プロポキシドモノメチルアセトアセテートおよびこれらの混合物。
【0041】
さらに、前記電子写真感光体用塗布液は、さらにコロイダルシリカ、コロイダルアルミナ等の金属酸化物のコロイドを加えて作製しても良い。コロイダルシリカは水性またはアルコール性のゾルで、粒径が100nm以下のものが好ましく、50nm以下のものが特に好ましい。
成分Dの平均粒子径1〜100nmの微粒子状シリカも上記コロイダルシリカとして使用される。
コロイダルシリカを加えることで、成膜性が向上し、熱硬化時の亀裂の発生も無くなる。また、硬度が上がり、耐傷性が高まる。
コロイダルシリカの添加量はとくに制限は無いが乾燥後の前記硬化性樹脂層中に1〜30重量%含有させることが好ましい。
【0042】
また、前記電子写真感光体用塗布液には、この他、電子写真用の素材として公知の様々な素材、例えばヒンダードアミン、ヒンダードフェノールなどの酸化防止剤、シリコンオイルなどの平滑剤、アミン化合物などの正孔輸送剤、キノン類などの電子輸送剤を添加してもよい。
【0043】
塗膜の乾燥温度としては使用する溶媒種、触媒の有無によって異なるが、およそ60〜160℃の範囲で10分〜5時間の加熱が好ましく、さらに80〜150℃の範囲で20分〜3時間で加熱硬化させるのが好ましく、より好ましくは100〜150℃の範囲で30分〜2時間の加熱が好ましい。80℃未満の場合、架橋反応が十分に進行しない場合があり、150℃を越える場合は、感光体中の材料劣化により電子写真特性が悪化する傾向がある。
【0044】
本発明の最表面層を適用させる感光体の層構成には特に限定は無い。しかしながら好ましい態様は従来公知の感光体上に保護層として本発明の最表面層を設けた構成である。
その場合の保護層の膜厚は、通常0.1〜15μm、好ましくは1〜15μm、より好ましくは1〜5μmである。1μmより薄い場合は、十分な耐摩耗性が得られず、15μmを超える場合は、保護層に亀裂や離脱が発生しやすくなる。
【0045】
以上のように本発明で使用される組成物及び組成物の製造法について説明したが、より好ましい組成物構成について説明する。
一つは、下記A、B、Cの成分を含み、且つ成分A、Bの混合割合が、固形分重量比で、(成分B)/(成分A+成分B)=0.1〜0.7、である硬化被覆組成物である。
A:分子中にケイ素原子に結合した水酸基を有するシラン化合物
B:下記一般式(1)で表されるエポキシ化合物
【化24】
(式中、R1は水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基を表す。Ar1は少なくとも1個の3級アミノ基を有するアリール基、少なくとも1個の3級アミノ基を有する複素環基を表す。Ar2、Ar3は置換もしくは無置換のアリレン基を表す。但し、Ar2とAr3は同一でも異なっていてもよい。nは0〜100の整数を表す。)
C:一般式、AlXnY3−nで示されるアルミニウムキレート化合物
(式中、Xは低級アルコキシル基、YはM1COCH2COM2、及びM3COCH2COOM4からなる群から選ばれた化合物から生じる配位子、M1、M2、M3およびM4は低級アルキル基、nは0、1または2である。)
【0046】
成分Aの分子中にケイ素原子に結合した水酸基を有するシラン化合物とは前記アルコキシシラン化合物の加水分解物である。
成分Bは、前記エポキシ基含有アミン化合物が好ましい構造体である。
この成分Aと成分Bの混合割合は成分Bの固形分重量比(成分B)/(成分A+成分B)で0.1〜0.7である。0.1よりも小さい場合は、電荷輸送性が殆ど得られなくなり、感光体の残留電位の上昇や感度低下等の特性劣化をもたらす。逆に、0.7を超える場合はシラノール縮合架橋部の減少により膜強度が大幅に下がり、感光体の耐久性持続が図れない。
成分Cのアルミニウムキレート化合物は前記と同様の物が使用されるが、成分A及び成分Bの総量100重量部に対して約0.01〜30重量部が添加される。これより少ない場合は、硬化が不完全になり、多すぎると膜が脆くなる。
【0047】
もう一つの好ましい例は、下記の成分A、B、C、Dを含み、且つ成分A、B、Dの混合割合が、固形分重量比で、(成分B)/(成分A+成分B+成分D)=0.1〜0.6、(成分D)/(成分A+成分B+成分D)=0.01〜0.3、である組成物である。
A、B、Cの各成分は上記と同様である。
成分Dは、平均粒子系1〜100nmの微粒子状シリカである。
成分A、B、Dの混合割合(固形分重量比)は、成分Bが0.1から0.6であり、成分Dが0.01から0.3である。成分Bが0.1よりも小さい場合は、電荷輸送性が殆ど得られなくなり、感光体の残留電位の上昇や感度低下等の特性劣化をもたらす。逆に、0.6を超える場合はシラノール縮合架橋部の減少により膜強度が大幅に下がり、感光体の耐久性持続が図れない。
また、成分Dが0.01より小さい場合は、成膜性の向上、塗膜硬度の向上が望めなく、逆に、0.3を超えるとクラッキングのような塗膜欠陥を生じたり、解像度が低下したりする問題を生じる。
成分Cのアルミニウムキレート化合物は前記と同様の物が使用されるが、成分A及び成分B及び成分Dの総量100重量部に対して約0.01〜30重量部を添加することが好ましい。これより少ない場合は、硬化が不完全になり、多すぎると膜が脆くなる。
【0048】
本発明の最表面層を適用させる感光体の層構成には特に限定は無い。しかしながら好ましい態様は従来公知の感光体上に保護層として本発明の最表面層を設けた構成である。
代表的な構成としてはアルミニウムのような導電性支持体上に下引き層、電荷発生層、電荷輸送層、保護層を順次形成したものである。
【0049】
本発明の電子写真感光体の感光層に用いられる電荷発生物質としては公知のどのようなものでの使用できる。
例えば、A型、B型及びY型のチタニルフタロシアニン、X型及びτ型の無金属フタロシアニン、銅フタロシアニン等の金属フタロシアニン類、ナフタロシアニン類、またこれら2種のフタロシアニンの混晶、アゾ化合物、ピリリウム化合物、ペリレン系化合物、シアニン系化合物、スクアリウム化合物、多環キノン化合物等が挙げられる。これら電荷発生物質は単独で又は適当なバインダー樹脂中に分散して層形成が行われる。
【0050】
また本発明の電子写真感光体の感光層に用いられる電荷輸送物質としては公知のどのようなものでも使用できる。
例えば正孔輸送物質の代表的なものとして、オキサゾール、オキサジアゾール、チアゾール、チアジアゾール、イミダゾール等に代表される含窒素複素環核、及びその縮合環核を有する化合物、ポリアリールアルカン型の化合物、ヒドラゾン系化合物、ピラゾリン系化合物、トリアリールアミン系化合物、スチリル系化合物、ポリス(ビス)スチリル系化合物、スチリルトリフェニルアミン系化合物、β−フェニルスチリルトリフェニルアミン系化合物、ブタジエン系化合物、ヘキサトリエン化合物、カルバゾール系化合物、縮合多環系化合物等が挙げられ、電子輸送物質の代表的なものとしては、ベンゾキノン、ナフトキノン、アントラキノン、チオピラノン、フルオレノン、インデノン、インダンジオン系化合物等が挙げられる。これら電荷輸送物質は通常、適当なバインダー樹脂中に溶解して層形成が行われる。
【0051】
電荷発生物質、電荷輸送物質の分散、溶解の使用される溶媒としては、トルエン、キシレン等の炭化水素類;メチレンクロライド、1,2−ジクロルエタン等のハロゲン化炭化水素;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;メタノール、エタノール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ等のアルコール類及びこの誘導体;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン等のエーテル類;ピリジンやジエチルアミン等のアミン類;N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類;その他脂肪酸及びフェノール類;二硫化炭素や燐酸トリエチル等の硫黄、燐化合物等の1種又は2種以上を用いることができる。
【0052】
本発明の電子写真感光体の感光層の中で表面層以外の感光層には、ポリスチレン、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂ならびにこれらの樹脂の繰り返し単位のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂が使用できる。また、これらの絶縁性樹脂の他、ポリ−N−ビニルカルバゾール等の高分子有機半導体が使用できる。
【0053】
本発明の電子写真感光体の感光層におけるバインダー樹脂と電荷発生物質との割合は、バインダー樹脂100重量部に対し電荷発生物質50〜600重量部が好ましい。またバインダー樹脂と電荷輸送物質との割合は、バインダー樹脂100重量部に対し電荷輸送物質10〜100重量部が好ましい。
【0054】
本発明の電子写真感光体の感光層の膜厚は、電荷発生層は0.1〜10μm、電荷輸送層は5〜30μmが好ましい。また感光層が単層構成の場合は5〜40μmが好ましい。
【0055】
本発明の電子写真感光体において感光層を支持する導電性支持体としては、アルミニウム、ニッケルなどの金属板・金属ドラム、又はアルミニウム、酸化錫、酸化インジウムなどを蒸着したプラスチックフィルム、又は導電性物質を塗布した紙・プラスチックフィルム・ドラムを使用することができる。
【0056】
本発明の電子写真感光体の下引き層に用いられる材料としては、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ならびにこれらの樹脂の繰り返し単位のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂が挙げられる。またシランカップリング剤、チタンカップリング剤等の有機金属化合物を熱硬化させた硬化性金属樹脂化合物が挙げられる。
下引き層の膜厚は、0.01〜15μmが好ましい。
【0057】
また本発明の電子写真感光体には、その他、感色性補正の染料や感光層に酸化防止剤等の添加剤を添加しても良い。
【0058】
本発明の電子写真感光体を製造するための塗布加工方法としては、各層形成用の塗布液をディップ塗布、スプレー塗布、円形量規制型塗布等が用いることできる。特に感光層の保護層側の塗布加工は下層の膜を極力溶解させないため、また均一塗布加工を達成するためにスプレー塗布、円形量規制型塗布(円形スライドホッパーがその代表例である)を用いるのが好ましい。なお前記スプレー塗布については特開平3−90250号公報、特開平3−269238号公報にその記載があり、前記円形量規制型塗布については特開昭58−189061号公報に詳細が記載されている。
【0059】
【実施例】
以下、本発明について実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明が実施例により制約を受けるものではない。なお、部はすべて重量部である。
【0060】
合成例
<エポキシ基含有アミン化合物の合成>
かき混ぜ装置、温度計、滴下漏斗およびエピクロルヒドリンと水との共沸混合物を凝縮分離して下層のエピクロルヒドリン層を戻すための装置をつけた反応容器に、4−〔2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ビニル〕フェニル−ビス(4−メチルフェニル)アミン19.34g(40.0mmol)とエピクロルヒドリン37.01g(400.0mmol)を入れ、窒素気流下、110℃で加熱攪拌した。これに反応系内の温度が100℃〜120℃を維持するように、20wt%水酸化ナトリウム水溶液19.20g(96.0mmol)を3時間かけて滴下した。反応中に留去された水とエピクロルヒドリンはエピクロルヒドリンのみ反応容器に戻し、水酸化ナトリウム水溶液の滴下終了後、110℃でさらに1時間反応させた。これを室温まで放冷し、過剰のエピクロルヒドリンを減圧回収した後、トルエンを加えて有機層を水洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下でトルエン溶媒を留去して、黄色の粗生成物20.75g(収率87.1%)、融点111.0〜116.0℃を得た。これをシリカゲルでカラムクロマト精製(溶離液:トルエン/酢酸エチル=20/1vol.)した後、酢酸エチルとエタノールから再結晶を行って淡黄色針状結晶15.85g(収率66.5%)を得た。融点は128.0〜129.0℃であった。
赤外線吸収スペクトル(NaCl液膜法)を図1に示す。
元素分析結果を以下に示す。
【0061】
実施例1
アルミニウムシリンダー上に下記組成の下引き層塗工液、電荷発生層塗工液、および電荷輸送層塗工液を、浸漬塗工によって順次塗布、乾燥し、3.5μmの下引き層、0.2μmの電荷発生層、26μmの電荷輸送層を形成した。
<下引き層塗工液>
二酸化チタン粉末: 400部
メラミン樹脂: 40部
アルキッド樹脂: 60部
2−ブタノン: 500部
<電荷発生層塗工液>
下記構造式で表されるビスアゾ顔料: 12部
【化25】
ポリビニルブチラール: 5部
2−ブタノン: 200部
シクロヘキサノン: 400部
<電荷輸送層塗工液>
ポリカーボネート(Zポリカ、帝人化成製): 10部
下記構造式で表される電荷輸送物質: 10部
【化26】
テトラヒドロフラン: 100部
1%シリコーンオイル(KF50−100CS、
信越化学工業製)テトラヒドロフラン溶液: 1部
次いで、電荷輸送層上にさらに、下記組成の保護層塗工液をスプレー塗工法によって約3μmの保護層を形成し、その後、120℃で2時間加熱乾燥し、実施例1の電子写真感光体を作製した。
<保護層塗工液>
合成例により得られた
下記構造式で表されるエポキシ基含有アミノ化合物: 4.2部
【化27】
メチルトリメトキシシラン: 5部
フェニルトリエトキシシラン: 5部
1%酢酸水溶液: 5.57部
テトラヒドロフラン: 30.7部
n−ブタノール: 3.67部
【0062】
実施例2
実施例1において保護層塗工を以下のように行うこと以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
予め下記組成の処方液を作製し、60℃で2時間撹拌し、アルコキシシランをシラノール化した。
<保護層塗工液の予備処方液>
メチルトリメトキシシラン: 5部
フェニルトリエトキシシラン: 5部
1%酢酸水溶液: 5.57部
テトラヒドロフラン: 30.7部
n−ブタノール: 3.67部
その後、実施例1で使用したエポキシ基含有アミノ化合物4.2部を添加し、塗工液を作製した。この塗工液を用いて実施例1と同様にして保護層を形成し、実施例2の電子写真感光体を作製した。
【0063】
実施例3
実施例1において保護層塗工を以下のように行うこと以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
メチルトリメトキシシラン21部及びフェニルトリエトキシシラン21部中に氷冷下で1%酢酸水溶液8.16部を25分かけて滴下し、その後5℃で30分撹拌し、さらに室温24℃で2時間撹拌し、加水分解させた。
その後、下記組成の塗工液を作製した。
<保護層塗工液>
上記加水分解液: 3部
実施例1で使用したエポキシ基含有アミノ化合物: 0.98部
酢酸−2−メトキシエチル: 2.62部
シクロヘキサノン: 2.42部
テトラヒドロフラン: 0.98部
アセチルアセトン: 0.12部
アルミニウムアセチルアセトナート: 0.12部
この塗工液を用いてリング塗工法を用いる他は実施例1と同様にして3μmの保護層を有する実施例3の電子写真感光体を作製した。
【0064】
実施例4
実施例1において保護層塗工を以下のように行うこと以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
メチルトリメトキシシラン21部及びフェニルトリエトキシシラン21部中に氷冷下で1%酢酸水溶液8.16部を25分かけて滴下し、その後5℃で30分撹拌し、さらに室温24℃で2時間撹拌し、加水分解させた。
その後、下記組成の塗工液を作製した。
<保護層塗工液>
上記加水分解液: 2.17部
実施例1で使用したエポキシ基含有アミノ化合物: 0.98部
n−プロピルセロソルブ中に分散された
コロイダルシリカ(平均粒径20nm): 2.32部
酢酸−2−メトキシエチル: 1.9部
シクロヘキサノン: 1.63部
テトラヒドロフラン: 0.98部
アセチルアセトン: 0.09部
アルミニウムアセチルアセトナート: 0.09部
この塗工液を用いてリング塗工法を用い、塗工後のセッティング時間を30分、硬化時間を130℃、1時間とした他は実施例1と同様にして2μmの保護層を有する実施例4の電子写真感光体を作製した。
【0065】
比較例1
実施例1においてエポキシ基含有アミノ化合物の代わりに下記構造式で表されるヒドロキシ基含有アミン化合物を使用する以外は実施例1と他は同様にして比較例1の電子写真感光体を作製した。
【化28】
【0066】
比較例2
実施例1において保護層を設けない以外は実施例1と同様にして比較例2の電子写真感光体を作製した。
【0067】
得られた電子写真感光体をリコー製imagioMF2200(655nmLD光源使用改造機)にセットし、1万枚の通紙ランニングを行った後の摩耗量(膜厚変化)測定と感光体表面の顕微鏡観察と、機内電位の暗部電位(VD)、明部電位(VL)の電位変動測定を行った。また、テストチャートの出力画像から目視による画質評価を行った。表面観察では、微細な線状傷のみの場合○、一部粒状のへこみを生じる場合△、粒状のへこみが全面に出たり、膜の脱落が見られる場合×とした。画質では、目立った画質低下のない場合○、一部、地汚れ、白抜け、解像度低下等の異常画像を生じる場合△、全面に渡って濃度低下や異常画像の発生する場合×とした。その結果を下記に示す。また、感光体の表面に指紋を付着させ、48時間放置後のクラック発生の有無を調べた。クラックの発生しない場合○、一部発生する場合△、全面に発生する場合×とした。結果を下記表1に示す。
【0068】
【表1】
【0069】
以上のように本発明の電子写真感光体は耐摩耗性が高く、電子写真特性も保護層を設けないものと同等の特性を有し、繰り返し使用時の電位変動が小さく、耐クラック性も良く、高画質安定性と耐摩耗性を両立させた寿命の長い電子写真用感光体を提供しうることがわかる。
【0070】
【発明の効果】
従来、ポリオルガノシロキサン架橋膜に電荷輸送能を付与するため、縮合反応のみで架橋させており、反応時に膜の収縮が大きくなり、膜中の内部応力が増加し、内部欠陥が発生したり、膜の微少な剥がれが生じたりして、機械的に十分な強度が得られなかった。また、多官能な電荷輸送性化合物の合成が容易ではなく、これらを反応させた膜の架橋密度が低下し、十分硬い膜の作製が困難であった。
本発明では、電子写真感光体において、エポキシ基とシラノール基との開環を伴う付加反応によって電荷輸送性基を導入するため膜の収縮が小さくなり歪みの少ない膜が得られると共に、エポキシ基の開環によって生じたヒドロキシ基も架橋反応に寄与でき、少ない官能基数で多官能体と同じ働きができるため、架橋密度も高く、硬くて傷のつきにくい膜の作製が可能になる。
また、本発明では、上記付加反応の原材料にエポキシ基含有アミン化合物を用い、しかも該エポキシ基含有アミン化合物としてホール移動度の高い前記一般式(1)及び(2)で表される化合物を用いた場合、電荷輸送性化合物を架橋膜中に導入可能としたため、電荷移動に優れ、優れた電子写真特性を示し、高耐久な電子写真感光体の提供が可能になる。
また、該電荷輸送性化合物の電荷輸送性基が前述のように二重に架橋されているため、遊離体が発生しにくく、クラック等にも強い電子写真感光体となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】合成例で得られたエポキシ基含有アミン化合物の赤外線吸収スペクトル図(NaCl液膜法)。
Claims (19)
- シラノール基の縮合反応により形成される架橋体中に電荷輸送性基がエポキシ基とシラノール基との反応により結合された組成物を含有する層を有することを特徴とする電子写真感光体。
- 導電性支持体上に少なくとも感光層を設けてなる電子写真感光体において、該電子写真感光体の最表面層が主としてエポキシ基含有アミン化合物及びアルコキシシラン化合物の反応物からなることを特徴とする電子写真感光体。
- 導電性支持体上に少なくとも感光層を設けてなる電子写真感光体において、該電子写真感光体の最表面層が主としてエポキシ基含有アミン化合物及びシラノール化合物の反応物からなることを特徴とする電子写真感光体。
- 前記シラノール化合物が、アルコキシシラン化合物の加水分解により生成された化合物であることを特徴とする請求項3に記載の電子写真感光体。
- 導電性支持体上に少なくとも感光層を設けてなる電子写真感光体において、該電子写真感光体の最表面層が、少なくともエポキシ基含有アミン化合物とアルコキシシラン化合物の混合物からなる塗工液を塗布した後、反応させた反応物からなることを特徴とする電子写真感光体。
- 導電性支持体上に少なくとも感光層を設けてなる電子写真感光体において、該電子写真感光体の最表面層が、少なくともアルコキシシラン化合物の加水分解により生成されたシラノール化合物とエポキシ基含有アミン化合物の混合物からなる塗工液を塗布した後、反応させた反応物からなることを特徴とする電子写真感光体。
- 前記塗工液を塗布後、100℃以上で加熱硬化させたことを特徴とする請求項5又は6に記載の電子写真感光体。
- 前記アルコキシシラン化合物が下記一般式(3)で表される化合物であることを特徴とする請求項2、4〜9のいずれかに記載の電子写真感光体。
【化3】
(R)n−Si−(X)4−n (3)
(式中、Rはケイ素原子に炭素原子が直接結合した形の有機基を表し、Xは加水分解性基を表し、少なくとも1個はアルコキシ基であり、nは0〜3の整数を表す。) - 前記シラノール化合物が下記一般式(4)で表される化合物であることを特徴とする請求項3、4、6〜9のいずれかに記載の電子写真感光体。
【化4】
(R)n−Si−(Y)4−n (4)
(式中、Rはケイ素原子に炭素原子が直接結合した形の有機基を表し、nは0〜3の整数を表し、nが3の場合Yは水酸基を表し、nが0〜2の場合Yは一つが水酸基で残りが水酸基又は加水分解性基を表す。) - 前記アルコキシシラン化合物及び/又はシラノール化合物が2種以上の混合物からなることを特徴とする請求項2〜11のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 前記アルコキシシラン化合物及び/又はシラノール化合物が少なくとも1個の芳香族基を有する化合物であることを特徴とする請求項2〜12のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 下記の成分A、B、Cを含み、且つ成分A、Bの混合割合が、固形分重量比で、(成分B)/(成分A+成分B)=0.1〜0.7、である硬化被覆組成物を表面に有する電子写真感光体。
A:分子中にケイ素原子に結合した水酸基を有するシラン化合物
B:下記一般式(1)表されるエポキシ化合物
C:一般式、AlXnY3−nで示されるアルミニウムキレート化合物
(式中、Xは低級アルコキシル基、YはM1COCH2COM2、及びM3COCH2COOM4からなる群から選ばれた化合物から生じる配位子、M1、M2、M3およびM4は低級アルキル基、nは0、1または2である。) - 下記の成分A、B、C、Dを含み、且つ成分A、B、Dの混合割合が、固形分重量比で、(成分B)/(成分A+成分B+成分D)=0.1〜0.6、(成分D)/(成分A+成分B+成分D)=0.01〜0.3、である硬化被覆組成物を表面に有する電子写真感光体。
A:分子中にケイ素原子に結合した水酸基を有するシラン化合物
B:下記一般式(1)で表されるエポキシ化合物
C:一般式、AlXnY3−nで示されるアルミニウムキレート化合物
(式中、Xは低級アルコキシル基、YはM1COCH2COM2、及びM3COCH2COOM4からなる群から選ばれた化合物から生じる配位子、M1、M2、M3およびM4は低級アルキル基、nは0、1または2である。)
D:平均粒子径1〜100nmの微粒子状シリカ - 前記硬化被覆組成物の膜厚が1〜15μmであることを特徴とする請求項14又は15に記載の電子写真感光体。
- 下記の成分A、B、Cを含み、且つ成分A、Bの混合割合が、固形分重量比で、(成分B)/(成分A+成分B)=0.1〜0.7、である組成物を溶媒に溶解または分散させた塗工液を作製し、この塗工液を感光体表面に塗工した後、80〜150℃にて加熱硬化させることを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
A:分子中にケイ素原子に結合した水酸基を有するシラン化合物
B:下記一般式(1)で表されるエポキシ化合物
C:一般式、AlXnY3−nで示されるアルミニウムキレート化合物
(式中、Xは低級アルコキシル基、YはM1COCH2COM2、及びM3COCH2COOM4からなる群から選ばれた化合物から生じる配位子、M1、M2、M3およびM4は低級アルキル基、nは0、1または2である。) - 下記の成分A、B、C、Dを含み、且つ成分A、B、Dの混合割合が、固形分重量比で、(成分B)/(成分A+成分B+成分D)=0.1〜0.6、(成分D)/(成分A+成分B+成分D)=0.01〜0.3、である組成物を溶媒に溶解または分散させた塗工液を作製し、この塗工液を感光体表面に塗工した後、80〜150℃にて加熱硬化させることを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
A:分子中にケイ素原子に結合した水酸基を有するシラン化合物
B:下記一般式(1)で表されるエポキシ化合物
C:一般式、AlXnY3−nで示されるアルミニウムキレート化合物
(式中、Xは低級アルコキシル基、YはM1COCH2COM2、及びM3COCH2COOM4からなる群から選ばれた化合物から生じる配位子、M1、M2、M3およびM4は低級アルキル基、nは0、1または2である。)
D:平均粒子径1〜100nmの微粒子状シリカ - 前記溶媒が、少なくともベンジルアルコール、シクロヘキサノン、酢酸2−メトキシエチル、テトラヒドロフラン、アセチルアセトンから選ばれる1種以上の溶媒を含有していることを特徴とする請求項17又は18に記載の電子写真感光体の製造方法。
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