JP3833142B2 - 電子写真感光体、プロセスカートリッジおよび電子写真装置 - Google Patents
電子写真感光体、プロセスカートリッジおよび電子写真装置 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は電子写真感光体、電子写真感光体を備えたプロセスカートリッジおよび電子写真感光体に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子写真技術の発展は著しく、複写機、プリンター、ファクシミリなどの分野で数多く使用されている。
【0003】
電子写真法は、米国特許第2297691号明細書に示されるように、画像露光の間に受けた照射量に応じて電気抵抗が変化し、かつ、暗所では絶縁性の物質(光導電性材料)を支持体上にコーティングして得られる電子写真感光体を用いる。
【0004】
この光導電性材料を用いた電子写真感光体に要求される基本的な特性としては、
(1)暗所で適当な電位に帯電できること
(2)暗所において電荷の逸散が少ないこと
(3)光照射によって速やかに電荷を逸散せしめうること
などが挙げられる。
【0005】
電子写真感光体としては、セレン、酸化亜鉛、硫化カドミウムなどの無機光導電性物質を主成分とする感光層を有する無機電子写真感光体が広く用いられてきた。
【0006】
しかし、無機電子写真感光体は、上記(1)〜(3)の条件はある程度満足するが、熱安定性、耐湿性、耐久性、生産性などにおいて必ずしも満足しうるものではない。例えば、セレンは、結晶化すると電子写真感光体としての特性が劣化してしまうし、硫化カドミウムは、耐湿性や耐久性、酸化亜鉛では平滑性、硬度や耐摩耗性に問題がある。さらに、セレンおよび硫化カドミウムは毒性の問題を有している。
【0007】
そこで、無機電子写真感光体の持つ欠点を克服する目的で、近年、様々な有機光導電性物質を主成分とする感光層を有する電子写真感光体の開発が盛んに行われ、数多く実用化されている。
【0008】
特に、電荷を発生する電荷発生物質と、その電荷を輸送する電荷輸送物質とに機能を分担させた機能分離型電子写真感光体が開発の主流となっている。これは、機能分離型の電子写真感光体が高感度化に有利であり、かつ、電荷発生物質と電荷輸送物質の各々の材料選択範囲が広く、任意の特性を有する電子写真感光体を比較的容易に作製できるという利点を有していからである。
【0009】
機能分離型電子写真感光体の中でも、アゾ顔料やフタロシアニン顔料を電荷発生物質として使用した電荷発生層と、トリフェニルアミン化合物やスチルベン化合物やヒドラゾン化合物などの電荷輸送性物質を使用した電荷輸送層を積層した電子写真感光体が主に開発されている。
【0010】
しかし、このような感光層を直接支持体上に直接形成した場合、
(1)支持体上の傷や、凸凹、ゴミ、不純物および腐食の表面欠陥などが原因で画像上に白抜けや、黒点などの画像欠陥などを生じる
(2)支持体と感光層間の接着性が悪く剥がれる
(3)帯電性が悪化する
(4)繰り返し使用時の電位安定性に欠ける
など数多くの問題が生じてしまう。
【0011】
そこで、これらの問題を改善するために、支持体と感光層との間に様々な中間層を設けることが提案され実用化されている。
【0012】
そういった中間層としては、例えば、酸化錫や酸化チタンなどの無機フィラーを樹脂中に分散した中間層(例えば、特公昭63−19869号公報)や、ポリアミド樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリエチルセルロース樹脂などの熱可塑性樹脂、または、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂などの熱硬化性樹脂などのイオン導電性高分子樹脂を使用した中間層(例えば、特開昭46−47344号公報、特開昭52−25638号公報、特開昭52−100240号公報、特開昭55−143564号公報、特開昭55−143564号公報、特開昭52−20386号公報、特開昭60−225856号公報、特開昭55−103556号公報など)や、金属アルコキシドや金属キレートなどの有機金属化合物を含有した中間層(特開平5−72789号公報、特公平3−66663号公報など)が挙げられる。
【0013】
しかし、上記中間層は、ある程度の特性は満足するが、いまだいくつかの問題を抱えているのが現状である。
【0014】
例えば、絶縁性有機高分子樹脂が薄膜状に設けられた中間層は、樹脂が絶縁性であるために電子写真感光体の感度の低下、残留電位の上昇などの問題が生じ、さらに膜厚を厚くすることができない。
【0015】
それを改善するために開発された無機の導電性フィラーを用いた中間層や、イオン伝導性高分子樹脂を使用した中間層は抵抗で導電性をコントロールしているため環境依存性があったり、導電率が十分でなかったりして電子写真感光体の感度および残留電位の悪化をもたらす。
【0016】
さらには、無機フィラーを使用する場合には分散液の調製や、ポットライフに問題を抱えている。
【0017】
また、金属アルコキシドや金属キレートなどの有機金属化合物を含有した中間層では特に湿度などの環境の影響を受け易く、また、塗液状態での化学的安定性に問題があり分散液の調製や、ポットライフにも問題を抱えている。
【0018】
中間層の要求される特性上、電子輸送性の中間層が好ましく、上記問題点を克服するためにそれらの中間層が数多く提案されている。
【0019】
例えば、アゾ顔料含有した中間層(特開平8−30506、特開平9−22135号公報など)や、電子輸送性化合物を含有した中間層(特開平5−27469号公報、特開昭59−1708846、特開平11−119458号公報、特開2001−83726号公報など)や、アモルファスシリコンを用いた中間層(特開平5−61231号公報など)などが挙げられる。
【0020】
しかし、これらの中間層を設けた場合でも、改善される部分はあるものの、その効果が小さく十分でなかったり、あるいは新たに違う問題を生じたりと、いまだ総ての面で十分満足する電子写真感光体がほとんど得られていないのが現状である。
【0021】
例えば、アゾ顔料を使用した中間層では、不均一系のため電荷発生物質での電荷のトラップが生じ空電荷が発生しやすく耐久後の暗減衰が大きくなり、特に低温/低湿での耐久時のカブリが発生してしまう。
【0022】
また、アモルファスシリコンを使用した中間層では塗膜欠陥に問題を抱えておりかつ製造コストが高い。
【0023】
さらには抵抗で制御を行っているため、環境での依存性が大きいという問題も抱えている。
【0024】
仮に、かなりのレベルで諸特性を満足する電子写真感光体が得られたとしても、それに使用する中間層の材料や、中間層の膜厚や、それに使用される電子写真感光体の各種感光材料の種類や、その電子写真感光体を使用するプロセスなどがかなり限定され、極めて汎用性に乏しくなってしまうのが現状である。
【0025】
一方、電子写真感光体を利用した複写機やプリンターなどは、従来から高感度や高寿命化(高耐久化)の要求以外に、ピクトリアルな高精度、高精細な極めて高画質化への要求が近年強くなりつつあり、今後極めて重要な技術課題の1つとなっている。その高画質化の要求に対して種々の技術研究が活発に行われている。
【0026】
電子写真感光体以外からのアプローチとしては、例えば、現像条件や転写条件の最適化、レーザースポット径の小径化、短波長レーザー化、トナーの小径化や球形化などが挙げられる。
【0027】
電子写真感光体からのアプローチとしては、電子写真感光体の薄膜化により電子写真感光体の静電容量を増加し、潜像のコントラストをより鮮明にする方法や、短波長のレーザー(特に380〜500nm)対応の電子写真感光体などが挙げられる。
【0028】
特に、電子写真感光体の薄膜化は高画質化には極めて効果があるが、薄膜になることにより電子写真感光体にかかる電界強度が増大し、支持体からの電荷注入の影響が受け易くなり、初期のカブリや耐久でのカブリなどの局所的帯電不良や耐久での電位変動などに大きな問題を抱えている。
【0029】
さらに、ピクトリアルな高精度、高精細な極めて高画質を目的とし場合、いかなる環境条件下でも上記のカブリや耐久での電位変動などは、これまで以上に要求レベルが高く、いまだそれらの要求を十分満足する電子写真感光体が得られていないのが現状である。
【0030】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、薄膜(感光層が16μm以下)の電子写真感光体においても、下記の要求される特性
(1)いかなる環境下でも初期は勿論耐久時も含め局所的帯電不良によるカブリが生じない
(2)いかなる環境下でも繰り返し使用時の電位が安定に維持され、温度や湿度の使用環境によらず安定した画像特性を示す
(3)高感度でかつ製造容易である
を十分満足した電子写真感光体を供給することである。
【0031】
また、本発明の目的は、上記電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置を提供することである。
【0032】
【課題を解決するための手段】
本発明は、支持体、該支持体上に形成された中間層および該中間層上に形成された膜厚が16μm以下の感光層を有する電子写真感光体において、
該中間層の膜厚が、0.7μm以上2μm以下であり、
該中間層が、最高被占軌道(HOMO)のエネルギー準位が6.0eV以上の電子輸送性有機化合物を電子線の照射により高分子化させたものを含有し、
該感光層が、電荷発生物質として平均粒径が0.07μm以上0.15μm以下のフタロシアニン顔料を含有する
ことを特徴とする電子写真感光体である。
【0033】
また、本発明は、上記電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置である。
【0034】
【発明の実施の形態】
まず、本発明の電子写真感光体の中間層に使用される電子輸送性有機化合物について説明する。
【0035】
上記電子輸送性有機化合物とは、ある電界がかかっている中で電子の受け渡しを行える化合物である。
【0036】
上述のとおり、本発明の電子写真感光体の中間層に使用される電子輸送性有機化合物の最高被占軌道(HOMO)のエネルギー準位は、支持体からの電荷の注入性の観点から、6.0eV以上であることが必要であるが、6.2eV以上であることがより好ましい。
【0037】
これは、通常、電子写真感光体に使用される支持体のアルミニウムなどの金属と、通常の電子輸送性有機化合物は、エネルギー的にかなりの障壁があり、正孔が支持体から電子輸送性有機化合物に注入しづらいのであるが、本発明の電子写真感光体のように感光層が薄膜の電子写真感光体では、高電界のため、ある一定以上のエネルギー差がないと注入が生じてしまう。
【0038】
一方、本発明の電子輸送性化合物は、電子輸送をホッピング機構で行うため、π共役系の広がった化合物であることがある程度要求され、おのずとその化合物の光学的吸収端は少なくとも280nm以上になる。さらに、次で述べるように電子受容の指標である還元電位の好ましい範囲の上限値と合わせて考えると、最高被占軌道(HOMO)のエネルギー準位は8.7eV以下であることが好ましい。
【0039】
また、本発明の電子写真感光体の中間層に使用される電子輸送性有機化合物の電子受容性の指標である還元電位(最低空軌道(LUMO)に対応する。)は、参照電極(飽和カルメロ電極(SCE))に対して、−1.3V以上であることが好ましい。さらには、電荷発生物質とのエネルギー的マッチングの観点から、−1.0V以上であることがより好ましく、−0.6V以上であることがより一層好ましい。また、さらには、酸素との反応性の観点から、−0.2V以下であることがより好ましく、−0.3V以下であることがより一層好ましい。
【0040】
電子輸送性有機化合物の具体例を表1に示す。
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
【0043】
電子輸送性有機化合物の還元電位(Ered)および最高被占軌道(HOMO)のエネルギー準位の測定方法および算出方法を以下に示す。
【0044】
なお、上述のとおり、還元電位(Ered)は、最低空軌道(LUMO)に対応する。
【0045】
(還元電位測定法)
飽和カロメル電極(SCE)を参照電極とし、電解液に0.1[N](n−Bu)4N+ClO4−/CH2Cl2溶液を用い、ポテンシャルスイーパーによって作用電極(白金)に印加する電位をスイープし、得られた電流−電位曲線を測定し、還元電位を測定した。
【0046】
詳しくは、サンプルを0.1[N](n−Bu)4N+ClO4−/CH2Cl2溶液に5〜10[mmol%]程度の濃度になるように溶解する。このサンプル溶液を窒素バブリング後、作用電極によって電圧を加え、電圧を0[V]→−1.5[V]→0[V]と連続的に電位を変化させたときの電流変化を測定し、電流−電位曲線を得る。
【0047】
この電流−電位曲線において、0[V]→−1.5[V]にスイープさせたとき、0[V]側に最も近い位置で電流値がピークを示したピークトップ位置の電位をEred1[V]とし、−1.5[V]→0[V]にスイープさせたとき、0[V]側に最も近い位置で電流値がピークを示したピークトップ位置の電位をEred2[V]とし、(Ered1+Ered2)/2[V]を、還元電位(Ered)[V]とした。
【0048】
(最高被占軌道(HOMO)のエネルギー算出法)
電子輸送性有機化合物の最高被占軌道に対応するエネルギー準位の算出は以下のように行った。
【0049】
まず、数種類の正孔輸送性化合物の大気下光電子分光法、具体的には低エネルギー電子計数方式による理研計器(株)製の表面分析装置AC−1を用いて仕事関数Wf[eV]を直接測定した。さらに、仕事関数を測定した数種類の正孔輸送性化合物の酸化電位を以下の方法によって測定した。
【0050】
飽和カロメル電極(SCE)を参照電極とし、電解液に0.1[N](n−Bu)4N+ClO4−/CH2Cl2溶液を用い、ポテンシャルスイーパーによって作用電極(白金)に印加する電位をスイープし得られた電流−電位曲線を測定し、酸化電位を測定した。
【0051】
詳しくは、サンプルを0.1[N](n−Bu)4N+ClO4−/CH2Cl2溶液に5〜10mmol%程度の濃度になるように溶解する。そしてこのサンプル溶液に作用電極によって電圧を加え、電圧を0[V]→+1.5[V]→0[V]と連続的に電位を変化させた時の電流変化を測定し、電流−電位曲線を得る。
【0052】
この電流−電位曲線において、0[V]→+1.5[V]にスイープさせたとき、0[V]側に最も近い位置で電流値がピークを示したピークトップ位置の電位をEox1[V]とし、+1.5[V]→0[V]にスイープさせたとき、0[V]側に最も近い位置で電流値がピークを示したピークトップ位置の電位をEox2[V]とし、(Eox1+Eox2)/2[V]を酸化電位(Eox)[V]とした。
【0053】
上記得られた仕事関数と酸化電位との間には一次相関が認められ、それより参照電極である飽和カロメル電極(SCE)のエネルギーは4.53[eV]と算出された。
【0054】
光学吸収係数αと光エネルギーhν、および、遷移エネルギーE0(eV)の間には次式が成り立つと考えられているから、
α・hν=B(hν−E0)2(ただし、Bは定数)
電子輸送性有機化合物の(α・hν)1/2対hνのプロットをとり、直線区間を外挿してαが0となるhνの値が遷移エネルギーE0となり、電子輸送性有機化合物の最高被占軌道(HOMO)のエネルギーは以下の式によって算出される。
【0055】
最高被占軌道(HOMO)のエネルギー=Ered+4.53+E0[eV]
なお、重合性基を有する電子輸送性化合物を塗布後硬化した中間層の場合、その電子輸送性化合物のEredおよびHOMOの値は硬化前の重合性基を有する電子輸送性化合物のモノマーあるいはオリゴマーを上記の方法で測定した。
【0056】
以下、本発明の電子写真感光体の構成について説明する。
【0057】
上述のとおり、本発明の電子写真感光体は、支持体上に中間層を有し、さらにその上に膜厚が16μm以下の感光層を有するものである。
【0058】
本発明の電子写真感光体に使用される支持体としては、例えば、次のようなものが挙げられる。
(1)アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス、銅などの金属や合金を板形状またはドラム形状にしたもの
(2)ガラス、樹脂、紙などの非支持体や、上記(1)の支持体上にアルミニウム、パラジウム、ロジウム、金、白金などの金属を蒸着もしくはラミネ−トすることにより薄膜形成したもの
(3)ガラス、樹脂、紙などの非支持体や、上記(1)の支持体上に導電性高分子、酸化スズ、酸化インジウムなどの導電性化合物の層を蒸着あるいは塗布することにより形成したもの
本発明において用いられる中間層は、支持体上に、上記電子輸送性化合物を適当な結着樹脂と混合して膜を形成したり、ポリマー化された電子輸送性化合物ならば、単独で形成したり、必要に応じて適当な結着樹脂とともに膜を形成したりしてもよい。
【0059】
また、重合性官能基を有した電子輸送性化合物の場合は、それ単独で重合硬化して膜を形成しても、必要に応じて他の重合性モノマーやオリゴマーあるいは適当な結着樹脂を混ぜて重合硬化して膜を形成してもよい。
【0060】
なお、電子輸送性有機化合物は必要に応じて2種以上混合しても構わない。
【0061】
上記結着樹脂としては、広範囲な結着樹脂から選択でき、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ジアリールフタレート樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、シリコン樹脂、ポリスルホン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂あるいはアクリル樹脂などの熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0062】
これらの樹脂は、単独またはコポリマーとして1種または2種以上混合して用いてもよい。
【0063】
なお、中間層上に感光層を塗布する工程において、中間層から感光層に電子輸送性有機化合物がマイグレートすると、特性の悪化を引き起こす傾向にあるため、電子輸送性有機化合物と結着樹脂として硬化性樹脂を用いて重合硬化した膜や、高分子化された電子輸送性化合物を含有する膜を中間層に用いる方が好ましい。
【0064】
さらに、中間層における電子輸送性化合物の含有量は、電子の流れをよりスムーズに行うため、40質量%以上であることが好ましく、さらには60質量%以上であることがより好ましい。
【0065】
また、電子輸送性有機化合物を含有する中間層は、印加電界5×104V/cm時に、1×10−7cm2/V・s以上のドリフト移動度を有していることが好ましい。
【0066】
中間層の膜厚は薄すぎると、局所的な帯電不良に対する効果が不十分であったり、また、厚すぎると、残留電位の上昇や感度低下を起こしたりする。さらに、様々な環境下における繰り返し使用時の電位変動の安定性などを考慮すると、中間層の膜厚は、0.3μm以上3μm以下が必要であり、0.7μm以上2μm以下が好ましい。
【0067】
また、環境依存性を小さくするためには、中間層の体積抵抗率が1×1012Ω・cm以上であることが好ましい。
【0068】
体積抵抗率は、ポリエチレンテレフタレート(PET)上に180μmのギヤップを持つ櫛形電極を金蒸着により作製し、その上に中間層調合液により1μmの膜を作製し、横河ヒューレットパッカード(株)製PAメータ4140Bを用いて測定した。
【0069】
また、必要に応じて、中間層に各種の粒子を分散させ含有することができる。例えば、干渉縞発生防止などの目的のため、有機フィラー、無機フィラーなどの絶縁性粒子を分散させてもよい。
【0070】
上記中間層の上には感光層が設けられる。
【0071】
本発明の電子写真感光体の感光層の膜厚は、上述のとおり、16μm以下であるが、潜像コントラストをさらに鮮明にして高画質化に対応するという観点から、13μm以下であることが好ましく、さらには10μm以下であることがより好ましい。ただし、帯電性や感度の低下等の問題を考えると7μm以上であることが好ましい。
【0072】
感光層は、電荷発生物質と電荷輸送物質とを単一の層に含有する単層型、電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とを有する積層型のどちらでも構わない。積層型感光層の場合、電荷輸送層は2層以上あってもよい。
【0073】
感度、耐久特性などの観点から、積層型の感光層を有する積層型電子写真感光体が好ましい。
【0074】
本発明の電子写真感光体の感光層に使用される電荷発生物質としては、例えば、次のような物質が挙げられる。これらの電荷発生物質は単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
(1)モノアゾ、ビスアゾ、トリスアゾなどのアゾ顔料
(2)金属フタロシアニン、非金属フタロシアニンなどのフタロシアニン系顔料
(3)インジゴ、チオインジゴなどのインジゴ系顔料
(4)ペリレン酸無水物、ペリレン酸イミドなどのペリレン系顔料
(5)アンスラキノン、ピレンキノンなどの多環キノン系顔料
(6)スクワリリウム色素
(7)ピリリウム塩、チアピリリウム塩類
(8)トリフェニルメタン系色素
(9)セレン、非晶質のシリコンなどの無機物質
なお、上記電荷発生物質の中でも、フタロシアニン顔料が好ましく、その中でも、オキシチタニウムフタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニンまたはヒドロキシガリウムフタロシアニンを採用した場合が、本発明で特に大きな効果が得られるためより好ましい。
【0075】
積層型感光層の場合、電荷発生層は、上記電荷発生物質を適当な結着樹脂に分散し、これを中間層上に塗工することにより形成することができる。
【0076】
結着樹脂としては、広範囲な結着樹脂から選択でき、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ブチラール樹脂、ポリスツレン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ジアリールフタレート樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェノール樹脂、シリコン樹脂、ポリスルホン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体などの樹脂が挙げられる。
【0077】
これらの樹脂は単独またはコポリマーとして1種または2種以上混合して用いてもよい。
【0078】
電荷発生層中に含有する結着樹脂は、電荷発生層全質量に対して、80質量%以下であることが好ましく、さらには40質量%以下であることがより好ましい。
【0079】
また、電荷発生層の膜厚は、5μm以下であることが好ましく、さらには0.01μm以上2μm以下の範囲の薄膜であることがより好ましい。
【0080】
また、電荷発生層には、種々の増感剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤または公知の電荷発生物質を必要に応じて添加することもできる。
【0081】
また、電荷発生物質の平均粒径は、0.03μm以上0.25μm以下であることが好ましい。
【0082】
0.03μm未満であると、過分散状態の微粒子が原因となり、数としては少ないが、かなり大きな凝集物が生じ、これによる画像欠陥が生じ、かつ、電荷発生物質の分散塗工液の安定性に大きな問題が生じてしまうことがある。
【0083】
一方、0.25μmを超えると、高温/高湿下での暗減衰が大きく、かつ、電荷発生物質の粒子内で生じる空電荷の生成が多くなるために、低温/低湿下での繰り返し使用時のカブリが生じることがある。
【0084】
特に、電荷発生物質として好適なフタロシアニン顔料を採用した場合は、そのフタロシアニン顔料の平均粒径は0.07μm以上0.15μm以下であることがより好ましい。
【0085】
本発明においての電荷発生物質の平均粒径は、感光体の電荷発生物質が含有されている層の任意の5点を走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて以下のように測定した。
【0086】
SEM写真で得られた電荷発生物質粒子の最も長い部分(長軸)を粒径とし、SEM写真で得られた電荷発生物質全部を計測し、全サンプル中最も大きい方から10%および最も小さい方から10%のサンプルを除いたサンプルの全個数平均を本発明の電荷発生物質の平均粒径とした。
【0087】
本発明の電子写真感光体の感光層に使用される電荷輸送物質としては、各種トリアリールアミン系化合物、各種ヒドラゾン系化合物、各種スチルベン系化合物、各種ピラゾリン系化合物、各種オキサゾール系化合物、各種チアゾール系化合物、各種トリアリールメタン系化合物などの低分子化合物などの他に、特開平9−272735号公報や特開平9−62019号公報などに開示されている電荷輸送性樹脂などが挙げられる。
【0088】
電荷輸送層の形成に使用される結着樹脂としては、前記電荷発生層の形成において使用される結着樹脂が挙げられ、さらに、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセンなどの光導電性高分子が挙げられる。
【0089】
なお、本発明の電子写真感光体の感光層が積層型である場合、電荷輸送層の膜厚は電荷発生層の膜厚との合計で16μm以下となることが必要であるが、帯電性の問題の観点から、電荷輸送層の膜厚は、7μm以上であることが好ましい。
【0090】
さらに、電荷輸送層中に酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤または公知の電荷輸送物質を必要に応じて添加することもできる。
【0091】
このような電荷輸送層の形成は、適当な有機溶媒を用い、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ローラコーティング法、マイヤーバーコーティング法、ブレードコーティング法などのコーティング法を用いて行うことができる。
【0092】
さらに、耐久性の問題で必要に応じて感光層上に保護層を設けてもよい。
【0093】
図1に本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを有する電子写真装置の概略構成を示す。
【0094】
図において、1は本発明の電子写真感光体であり、軸2を中心に矢印方向に所定の周速度で回転駆動される。電子写真感光体1は、回転過程において、一次帯電手段3によりその周面に正または負の所定電位の均一帯電を受け、次いでスリット露光やレーザービーム走査露光などの露光手段(不図示)からの露光光4を受ける。こうして電子写真感光体1の周面に静電潜像が順次形成されていく。
【0095】
形成された静電潜像は、次いで現像手段5によりトナー現像され、現像されたトナー現像像は、不図示の給紙部から電子写真感光体1と転写手段6との間に電子写真感光体1の回転と同期取り出されて給紙された転写材7に、転写手段6により順次転写されていく。像転写を受けた転写材7は、電子写真感光体面から分離されて像定着手段8へ導入されて像定着をうけることにより複写物(コピー)として装置外へプリントアウトされる。
【0096】
また、像転写後の電子写真感光体1の表面を、クリーニング手段9によって転写残りトナーの除去し清浄面化してもよい。
【0097】
一次帯電手段3や転写手段6は帯電ローラーなどの接触手段、コロナ帯電器などの非接触手段のいずれでも良い。
【0098】
また、前露光手段(不図示)からの前露光光10により除電処理した後に、繰り返し画像形成に使用してもよい。なお、一次帯電手段3が帯電ローラーなどを用いた接触帯電手段である場合は、前露光は必ずしも必要ではない。
【0099】
本発明においては、上述の電子写真感光体1、一次帯電手段3、現像手段5およびクリーニング手段9などの構成要素のうち、複数のものをプロセスカートリッジとして一体に結合して構成しこのプロセスカートリッジを複写機やレーザービームプリンターなどの電子写真装置本体に対して着脱可能に構成してもよい。例えば、一次帯電手段3、現像手段5およびクリーニング手段9の少なくとも一つを電子写真感光体1とともに一体に支持してカートリッジ化して、装置本体のレール12などの案内手段を用いて装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジ11とすることができる。
【0100】
また、露光光4は、電子写真装置が複写機やプリンターである場合には、原稿からの反射光や透過光、あるいはセンサーで原稿を読みとり、信号化し、この信号にしたがって行われるレーザービームの走査、LEDアレイの駆動および液晶シャッターアレイの駆動などにより照射される光である。
【0101】
本発明の電子写真感光体は電子写真複写機に利用するのみならず、レーザービームプリンター、CRTプリンター、LEDプリンター、液晶プリンターおよびレーザー製版などの電子写真応用分野にも広く用いることができる。
【0102】
本発明の電子写真感光体は、プロセススピードが180mm/s以上の電子写真装置に用いたときに、上記本発明の効果をより一層顕著に奏する。
【0103】
【実施例】
以下に本発明を実施例に沿って説明するが、本発明はその要旨を超えない限りこれらに限定されるものではない。
【0104】
「部」は、「質量部」を意味する。
【0105】
(電子写真感光体No.1)
電子輸送性有機化合物(例示化合物No.10)10部、ポリカーボネートZ型樹脂(重量平均分子量80000)10部をジオキサン100部に溶解し、中間層用塗料を調整した。
【0106】
この塗料を直径30mmのアルミニウムシリンダー上に浸漬コーティング法によって塗布し、120℃で60分間乾燥して、1.0μmの中間層を形成した。
【0107】
CuKαのX線回折におけるブラック角2θ±0.2°の9.0°、14.2°、23.9°および27.2°に強いピークを有するオキシチタニウムフタロシアニン顔料を1.2部、ポリビニルブチラール(商品名エスレックBX−1、積水化学(株)製)1.0部およびシクロヘキサノン35部、直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミル装置で5時間分散して、その後にテトラヒドロフラン60部を加えて、電荷発生層用塗料を調製した。
【0108】
この塗料を上記中間層の上に浸漬塗布方法で塗布して、105℃で10分間乾燥し、膜厚0.2μmの電荷発生層を形成した。
【0109】
この電荷発生層を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、電荷発生物質の平均粒径は0.1μmであった。
【0110】
次に、電荷輸送化合物として下記式で示される構造を有する化合物(A)を4.5部
【外1】
【0111】
およびポリカーボネートZ型樹脂(重量平均分子量25000)5.5部をモノクロロベンゼン40部に溶解し、電荷輸送層用塗料を調製した。この塗料を前記の電荷発生層の上に浸漬塗布方法で塗布して110℃で60分間乾燥し、膜厚13μmの電荷輸送層を形成し、電子写真感光体を得た。
【0112】
(電子写真感光体No.2〜No.7)
電荷発生層用塗料の調整で使用するガラスビーズの径や量を変更、分散時間の変更などをして、電荷発生物質の粒径を、それぞれ、表3に示すように変更した以外は、電子写真感光体No.1と同様に電子写真感光体を作製した。
【0113】
(電子写真感光体No.8〜No.10)
電子写真感光体No.1の中間層の膜厚を、それぞれ、0.5、2.0または3.0μmに変更した以外は、電子写真感光体No.1と同様に電子写真感光体を作製した。
【0114】
(電子写真感光体No.13〜No.17)
電子写真感光体No.1で使用した電子輸送性有機化合物(例示化合物No.10)を、それぞれ、No.1、4、5、7、9に変更し、かつ、中間層の膜厚を2.0μmに変更した以外は、電子写真感光体No.1と同様に電子写真感光体を作製した。
【0115】
(電子写真感光体No.18)
電子写真感光体No.14の電荷発生物質の粒径を、表3に示すように変更した以外は、電子写真感光体No.14と同様に電子写真感光体を作製した。
【0116】
(電子写真感光体No.19)
電子輸送性有機化合物(例示化合物No.13)60部をトルエン60部に溶解し、中間層用塗料を調整した。
【0117】
この塗料を直径30mmのアルミニウムシリンダー上に浸漬コーティング法によって塗布し80℃で5分間乾燥後、加速電圧150kV、照射線量10Mradの条件で電子線を照射し硬化させ、膜厚1.0μmの中間層を形成した。
【0118】
それ以外は電子写真感光体No.1と同様に電子写真感光体を作製した。
【0119】
なお、中間層中の電子輸送性有機化合物の含有量は、以下のように概算した。
【0120】
重合前のモノマー(例示化合物No.13)の分子量490、下記重合性基以外の部位(B)
【外2】
【0121】
の分子量348を電子輸送性有機化合物とみなし、(348/490)×100=71%として算出した。
【0122】
(電子写真感光体No.20〜No.22)
電子写真感光体No.19の電荷発生物質の粒径を、それぞれ、表3に示すように変更した以外は、電子写真感光体No.19と同様に電子写真感光体を作製した。
【0123】
(電子写真感光体No.23)
電子写真感光体No.19の中間層の膜厚を、2.5μmに変更した以外は、電子写真感光体No.17と同様に電子写真感光体を作製した。
【0124】
(電子写真感光体No.24)
電子写真感光体No.1で使用したポリカーボネートZ型樹脂(重量平均分子量80000)を、群栄化学工業(株)製のフェノール樹脂(PL−4852)に変更し、アルミシリンダー上に浸漬コーティング法によって塗布し、160℃で60分間乾燥して、1.0μmの中間層を形成した。
【0125】
それ以外は電子写真感光体No.1と同様に電子写真感光体を作製した。
【0126】
(電子写真感光体No.25)
電子輸送性有機化合物(例示化合物No.12)10部を、ビニルブチラール樹脂(積水化学(株)製、エレックスBM−S)10部をシクロヘキサノン200部に溶解し中間層用塗料を調整した。
【0127】
この塗料を直径30mmのアルミニウムシリンダー上に浸漬コーティング法によって塗布し、170℃で10分間乾燥して、1.0μmの中間層を形成した。
【0128】
それ以外は電子写真感光体No.1と同様に電子写真感光体を作製した。
【0129】
(参考例1〜10、参考例13〜18、実施例19、参考例20〜25)
上記電子写真感光体を、ヒューレットパッカード社製 Laser Jet 9000n(プロセススピード:235.5mm/s)改造機(帯電のDC成分および光量を変化できるように改造)に装着し、常温常湿(23℃/50%)、低温低湿(15℃/10%)および高温高湿(32℃/80%)条件下で、帯電のDC成分と光量を変化させ評価した。
【0130】
なお、電位は現像器の位置にプローブを装着し測定した。
【0131】
初期の電子写真感光体特性〔暗減衰Vdd(暗部電位Vd=650Vに設定後ドラムの回転を止め15秒後の電位の変化量)、光減衰感度(Vd=−650V設定で−170Vに光減衰させるために必要な光量)、残留電位Vsl(1.5μJ/cm2の光量を照射した時の電位)〕と初期画像の画像欠陥の有無を目視により評価した。
【0132】
さらに、常温常湿および低温低湿下で、それぞれ1000枚の通紙耐久を行い、耐久前後の前記電子写真感光体特性を測定し、各々の変化値ΔVdd、ΔVl(初期にVlが−170Vとなる光量と同量の光量を耐久後に照射した時のVlの変化量)およびΔVslと、耐久画像の画像欠陥の有無を目視により評価した。
【0133】
画像評価は次のとおりである。
◎:微小黒点が目視では全く観察されない
○:微小黒点が極微量(1〜5箇所)認められる
△:部分的に微小黒点が目視で数箇所(6箇所以上)認められる
×:全面に微小黒点が目視で観察される
この中で、△および×は、本発明の効果が十分に得られていないと判断した。
【0134】
また、電子写真感光体の中間層の体積抵抗率は、総て、3環境いずれにおいても、1×1012Ωcm以上であった。
【0135】
【表3】
【0136】
【表4】
【0137】
(比較電子写真感光体No.1、No.2)
電子写真感光体No.1の中間層の膜厚を、それぞれ、0.2μm、4.0μmに変更した以外は、電子写真感光体No.1と同様に電子写真感光体を作製した。
【0138】
(比較電子写真感光体No.3、No.4)
電子写真感光体No.1で使用した電子輸送性有機化合物(例示化合物No.10)を、それぞれ、下記式(H−1)および(H−2)で示される構造を有する電子輸送性有機化合物に変更した以外は、電子写真感光体No.1と同様に電子写真感光体を作製した。
【0139】
【外3】
【0140】
【外4】
【0141】
(比較電子写真感光体No.5)
電子写真感光体No.19で使用した電子輸送性有機化合物(例示化合物No.13)を、下記式(H−3)で示される構造を有する電子輸送性有機化合物に変更した以外は、電子写真感光体No.19と同様に電子写真感光体を作製した。
【0142】
【外5】
【0143】
(比較電子写真感光体No.6)
電子写真感光体No.24で使用した電子輸送性有機化合物(例示化合物No.10)を、下記式(H−2)で示される構造を有する電子輸送性有機化合物
【外6】
【0144】
に変更した以外は、電子写真感光体No.24と同様に電子写真感光体を作製した。
【0145】
(比較電子写真感光体No.7)
中間層を設けず、直接アルミニウムシリンダー上に感光層を作製した以外は、電子写真感光体No.1と同様に電子写真感光体を作製した。
【0146】
(比較電子写真感光体No.8)
アルコール可溶性共重合ナイロン(アミランCM−8000:東レ(株)製)5部をメタノール95部中に溶解し、中間層用塗料を調整した。
【0147】
この塗料を直径30mmのアルミニウムシリンダー上に浸漬コーティング法によって塗布し、120℃で60分間乾燥して、0.7μmの中間層を形成した。
【0148】
それ以外は電子写真感光体No.1と同様に電子写真感光体を作製した。
【0149】
(比較電子写真感光体No.9)
下記式で示される構造を有するアゾ化合物10部を150部の4−メトキシ−4−メチルペンタノン−2に加え、サンドグラインドミルにて粉砕分散処理を行った。
【0150】
【外7】
【0151】
ここで得られた顔料分散液を、ポリビニルブチラール(積水化学工業(株)製、商品名エスレックBH−3)の4%ジメトキシエタン溶液100部およびフェノキシ樹脂(ユニオンカーバイト社製、商品名PKHH)の4%ジメトキシエタン溶液100部の混合液に加え、最終的に固形分濃度4.0%の中間層用塗料を調整した。
【0152】
この塗料を直径30mmのアルミニウムシリンダー上に浸漬コーティング法によって塗布し、120℃で60分間乾燥して、1.0μmの中間層を形成した。
【0153】
それ以外は電子写真感光体No.1と同様に電子写真感光体を作製した。
【0154】
(比較電子写真感光体No.10)
ジルコニウムテトラ−n−ブチレート1部、イソプロピルアルコール10部からなる中間層用塗料を調整した。
【0155】
この塗料を直径30mmのアルミニウムシリンダー上に浸漬コーティング法によって塗布し、40℃で120分間乾燥して、1.0μmの中間層を形成した。
【0156】
それ以外は電子写真感光体No.1と同様に電子写真感光体を作製した。
【0157】
(比較電子写真感光体No.11)
アルキッド樹脂(ベッコゾール1307−60−EL大日本インキ化学工業社製)30部、メラミン樹脂(スーパーベッカミンG−821−60大日本インキ化学工業社製)20部に、酸化チタン粉末(タンベークCREL石原産業社製)90部を加え、さらにメチルエチルケトン150部を加えボールミルで24時間分散して中間層用塗料を調整した。
【0158】
この塗料を直径30mmのアルミニウムシリンダー上に浸漬コーティング法によって塗布し、130℃で20分間乾燥して、2.0μmの中間層を形成した。
【0159】
それ以外は電子写真感光体No.1と同様に電子写真感光体を作製した。
【0160】
(比較電子写真感光体No.12)
電子写真感光体No.1の電荷輸送層の膜厚を20μmとした以外は電子写真感光体No.1と同様に電子写真感光体を作製した。
【0161】
(比較電子写真感光体No.13)
比較電子写真感光体No.4の電荷輸送層の膜厚を、20μmとした以外は、電子写真感光体No.1と同様に電子写真感光体を作製した。
【0162】
(比較電子写真感光体No.14)
電子写真感光体No.8の電荷輸送層の膜厚を、20μmとした以外は、電子写真感光体No.1と同様に電子写真感光体を作製した。
【0163】
(比較電子写真感光体No.15)
電子写真感光体No.8の電荷輸送層の膜厚を、20μmとした以外は、電子写真感光体No.9と同様に電子写真感光体を作製した。
【0164】
(比較例1〜15)
上記比較電子写真感光体を、参考例1と同様な評価を行った。その結果を表6に示す。
【0165】
【表5】
【0166】
【表6】
【0167】
(電子写真感光体No.26)
電子輸送性有機化合物(例示化合物No.10)10部、ポリカーボネートZ型樹脂(重量平均分子量80000)10部を、ジオキサン100部に溶解し中間層用塗料を調整した。この塗料を直径30mmのアルミニウムシリンダー上に浸漬コーティング法によって塗布し、120℃で60分間乾燥して、1.5μmの中間層を形成した。
【0168】
CuKαのX線回折におけるブラック角2θ±0.2°の7.4°および28.2°に強いピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料1.2部、ポリビニルブチラール樹脂(商品名エスレックBX−1、積水化学(株)製)2部をシクロヘキサノン80部に添加し、ガラスビーズとともにサンドミルで10時間分散し、これに80部の酢酸エチルを加えて電荷発生層用塗料を調製した。
【0169】
この塗料を上記中間層の上に浸漬塗布方法で塗布して、105℃で10分間乾燥し、膜厚0.2μmの電荷発生層を形成した。
【0170】
この電荷発生層を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ電荷発生物質の平均粒径は0.13μmであった。
【0171】
次に、電荷輸送化合物として下記式で示される構造を有する化合物(A)3.5部、
【外8】
【0172】
下記式で示される構造を有する化合物(C)1.0部
【外9】
【0173】
およびポリカーボネートZ型樹脂(重量平均分子量30000)6.0部を、モノクロロベンゼン50部に溶解し、電荷輸送層用塗料を調製した。
【0174】
この塗料を上記電荷発生層の上に浸漬塗布方法で塗布して、110℃で60分間乾燥し、膜厚11μmの電荷輸送層を形成し、電子写真感光体を得た。
【0175】
(電子写真感光体No.27〜No.29)
電子写真感光体No.26の電子輸送性有機化合物(例示化合物No.10)を、それぞれ、No.1、5、11に変更した以外は、電子写真感光体No.26と同様に電子写真感光体を作製した。
【0176】
(電子写真感光体No.30)
電子写真感光体No.29のポリカーボネートZ型樹脂(重量平均分子量80000)を、日本化薬(株)製のトリメチロールプロパントリアクリレート(カヤラッドTMPTA)に変更し、アルミシリンダー上に浸漬コーティング法によって塗布し、80℃で5分間乾燥後、加速電圧150kV、照射線量10Mradの条件で電子線を照射し硬化させ、膜厚1.5μmの中間層を形成した。
【0177】
それ以外は電子写真感光体No.29と同様に電子写真感光体を作製した。
【0178】
(電子写真感光体No.31)
電子写真感光体No.26の電子輸送性有機化合物(例示化合物No.10)をNo.8に変更し、さらに、電荷発生物質の粒径を表7に示すように変更した以外は、電子写真感光体No.26と同様に電子写真感光体を作製した。
【0179】
(電子写真感光体No.32〜No.35)
電子写真感光体No.31の電荷発生物質の粒径を、表7に示すように変更した以外は、電子写真感光体No.31と同様に電子写真感光体を作製した。
【0180】
(電子写真感光体No.36〜No.38)
電子写真感光体No.32の中間層の膜厚を、それぞれ、0.4μm、1.0μm、2.5μmに変更した以外は、電子写真感光体No.32と同様に電子写真感光体を作製した。
【0181】
(電子写真感光体No.39)
電子輸送性有機化合物(例示化合物No.13)60部を、トルエン60部に溶解し、中間層用塗料を調整した。
【0182】
この塗料を直径30mmのアルミニウムシリンダー上に浸漬コーティング法によって塗布し、80℃で5分間乾燥後、加速電圧150kV、照射線量10Mradの条件で電子線を照射し硬化させ、膜厚1.5μmの中間層を形成した。
【0183】
それ以外は電子写真感光体No.26と同様に電子写真感光体を作製した。
【0184】
(電子写真感光体No.40)
電子写真感光体No.39の電荷発生物質の粒径を、表7に示すように変更した以外は、電子写真感光体No.39と同様に電子写真感光体を作製した。
【0185】
(電子写真感光体No.41)
電子輸送性有機化合物(例示化合物No.10)10部、ポリカーボネートZ型樹脂(重量平均分子量80000)10部を、ジオキサン100部に溶解し、中間層用塗料を調整した。
【0186】
この塗料を直径30mmのアルミニウムシリンダー上に浸漬コーティング法によって塗布し、120℃で60分間乾燥して、1.5μmの中間層を形成した。
【0187】
下記式(P−1)で示される構造を有するアゾ顔料3部と、ポリビニルブチラール樹脂(商品名エスレックBX−1、積水化学(株)製)2部を、シクロヘキサノン80部に添加し、ガラスビーズとともにサンドミルで15時間分散し、これに80部のテトラヒドロフランを加え、電荷発生層用塗料を調製した。
【0188】
この塗料を上記中間層の上に浸漬塗布方法で塗布して、100℃で10分間乾燥し、膜厚0.25μmの電荷発生層を形成した。
【0189】
この電荷発生層を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、電荷発生物質の平均粒径は0.04μmであった。
【0190】
次に、電荷輸送化合物として下記式(D)で示される化合物を4.0部
【外10】
【0191】
およびポリカーボネートZ型樹脂(重量平均分子量25000)5.0部を、モノクロロベンゼン40部に溶解し、電荷輸送層用塗料を調製した。
【0192】
この塗料を上記電荷発生層の上に浸漬塗布方法で塗布して、140℃で60分間乾燥し、膜厚11μmの電荷輸送層を形成して、電子写真感光体を得た。
【0193】
(電子写真感光体No.42)
電子写真感光体No.41の電子輸送性有機化合物(例示化合物No.10)を、No.5に変更した以外は、電子写真感光体No.41と同様に電子写真感光体を作製した。
【0194】
(電子写真感光体No.43)
電子輸送性有機化合物(例示化合物No.13)60部をトルエン60部に溶解し、中間層用塗料を調整した。
【0195】
この塗料を直径30mmのアルミニウムシリンダー上に浸漬コーティング法によって塗布し、80℃で5分間乾燥後、加速電圧150kV、照射線量10Mradの条件で電子線を照射し硬化させ、膜厚1.5μmの中間層を形成した。
【0196】
それ以外は電子写真感光体No.41と同様に電子写真感光体を作製した。
【0197】
(電子写真感光体No.44〜No.47)
電子写真感光体No.43の電荷発生物質の粒径を、表7に示すように変更した以外は、電子写真感光体No.43と同様に電子写真感光体を作製した。
【0198】
(参考例26〜29、実施例30、参考例31〜38、実施例39、参考例40〜47)
電子写真感光体No.26〜47を、参考例1と同様な方法で評価した。その結果を表8に示す。
【0199】
また、電子写真感光体の中間層の体積抵抗率は、総て、3環境いずれにおいても、1×1012Ωcm以上であった。
【0200】
【表7】
【0201】
【表8】
【0202】
(比較電子写真感光体No.16)
中間層を設けず、直接アルミニウムシリンダー上に感光層を作製した以外は、電子写真感光体No.26と同様に電子写真感光体を作製した。
【0203】
(比較電子写真感光体No.17)
アルコール可溶性共重合ナイロン(アミランCM−8000:東レ(株)製)5部をメタノール95部中に溶解し、中間層用塗料を調整した。
【0204】
この塗料を直径30mmのアルミニウムシリンダー上に浸漬コーティング法によって塗布し、120℃で60分間乾燥して、1.0μmの中間層を形成した。
【0205】
それ以外は電子写真感光体No.26と同様に電子写真感光体を作製した。
【0206】
(比較電子写真感光体No.18)
下記式で示される構造を有するアゾ化合物10部を150部の4−メトキシ−4−メチルペンタノン−2に加え、サンドグラインドミルにて粉砕分散処理を行った。
【0207】
【外11】
【0208】
ここで得られた顔料分散液を、ポリビニルブチラール(エレックスBH−3:積水化学工業(株)製)の4%ジメトキシエタン溶液100部およびフェノキシ樹脂(ユニオンカーバイト社製、商品名PKHH)の4%ジメトキシエタン溶液100部の混合液に加え、最終的に固形分濃度4.0%の中間層用塗料を調整した。
【0209】
この塗料を直径30mmのアルミニウムシリンダー上に浸漬コーティング法によって塗布し、120℃で60分間乾燥して、1.5μmの中間層を形成した。
【0210】
それ以外は電子写真感光体No.26と同様に電子写真感光体を作製した。
【0211】
(比較電子写真感光体No.19〜No.20)
電子写真感光体No.26の電子輸送性有機化合物(例示化合物No.10)を下記式(H−1)および(H−2)で示される構造を有する電子輸送性有機化合物に変更した以外は、電子写真感光体No.26と同様に電子写真感光体を作製した。
【0212】
(比較電子写真感光体No.21)
中間層を設けず、直接アルミニウムシリンダー上に感光層を作製した以外は、電子写真感光体No.41と同様に電子写真感光体を作製した。
【0213】
(比較電子写真感光体No.22)
アルコール可溶性共重合ナイロン(アミランCM−8000:東レ(株)製)5部をメタノール95部中に溶解し、中間層用塗料を調整した。
【0214】
この塗料を直径30mmのアルミニウムシリンダー上に浸漬コーティング法によって塗布し、120℃で60分間乾燥して、1.5μmの中間層を形成した。
【0215】
それ以外は電子写真感光体No.41と同様に電子写真感光体を作製した。
【0216】
(比較電子写真感光体No.23)
電子写真感光体No.41の電子輸送性有機化合物(例示化合物No.10)を下記式(H−2)で示される構造を有する電子輸送性有機化合物に変更した以外は、電子写真感光体No.41と同様に電子写真感光体を作製した。
【0217】
(比較電子写真感光体No.24)
ジルコニウムテトラ−n−ブチレート1部、イソプロピルアルコール10部からなる中間層用塗料を調整した。
【0218】
この塗料を直径30mmのアルミニウムシリンダー上に浸漬コーティング法によって塗布し、40℃で120分間乾燥して、1.5μmの中間層を形成した。
【0219】
それ以外は電子写真感光体No.1と同様に電子写真感光体を作製した。
【0220】
(比較例16〜24)
比較電子写真感光体No.16〜24を、参考例1と同様な方法で評価した。その結果を表10に示す。
【0221】
また、電子写真感光体の中間層の体積抵抗率は、総て、3環境いずれにおいても、1×1012Ωcm以上であった。
【0222】
【表9】
【0223】
【表10】
【0224】
(電子写真感光体No.48)
電子輸送性有機化合物(例示化合物No.8)10部、ポリアリレート樹脂(重量平均分子量50000)10部を、クロロベンゼン100部に溶解し、中間層用塗料を調整した。
【0225】
この塗料を直径30mmのアルミニウムシリンダー上に浸漬コーティング法によって塗布し、120℃で60分間乾燥して、1.5μmの中間層を形成した。
【0226】
CuKαのX線回折におけるブラック角2θ±0.2°の7.4°、16.6°、25.5°および28.2°に強いピークを有するクロロガリウムフタロシアニン1.2部、ポリビニルブチラール樹脂(エレックスBX−1:積水化学(株)製)3部をシクロヘキサノン80部に添加し、ガラスビーズとともにサンドミルで15時間分散し、これに80部の酢酸エチルを加えて電荷発生層用塗料を調製した。
【0227】
この塗料を上記中間層の上に浸漬塗布方法で塗布して、105℃で10分間乾燥し、膜厚0.2μmの電荷発生層を形成した。
【0228】
この電荷発生層を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、電荷発生物質の平均粒径は0.08μmであった。
【0229】
次に、電荷輸送化合物として、下記式(A)で示される構造を有する化合物4.5部、
【外12】
【0230】
下記式(C)で示される構造を有する化合物、1.0部
【外13】
【0231】
およびポリカーボネートZ型樹脂(重量平均分子量25000)6.0部を、モノクロロベンゼン45部に溶解し、電荷輸送層用塗料を調製した。
【0232】
この塗料を前記の電荷発生層の上に浸漬塗布方法で塗布して110℃で60分間乾燥し、膜厚12μmの電荷輸送層を形成し、電子写真感光体を得た。
【0233】
(電子写真感光体No.49)
電子写真感光体No.48の電荷発生層を、下記のように変更した以外は、電子写真感光体No.48と同様に電子写真感光体を作製した。
【0234】
下記式(P−2)で示される構造を有するアゾ顔料2.2部、
【外14】
【0235】
ポリビニルブチラール樹脂(エレックスBX−1:積水化学(株)製)2部を、シクロヘキサノン80部に添加し、ガラスビーズとともにサンドミルで5時間分散し、これに80部のテトラヒドロフランを加え、電荷発生層用塗料を調製した。
【0236】
この塗料を上記中間層の上に浸漬塗布方法で塗布して、100℃で10分間乾燥し、膜厚0.2μmの電荷発生層を形成した。
【0237】
この電荷発生層を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、電荷発生物質の平均粒径は0.05μmであった。
【0238】
(電子写真感光体No.50)
電子写真感光体No.48の電荷発生層を、下記のように変更した以外は、電子写真感光体No.48と同様に電子写真感光体を作製した。
【0239】
下記式(P−3)で示される構造を有するアゾ顔料3.5部、
【外15】
【0240】
ポリビニルブチラール樹脂(エレックスBL―S:積水化学(株)製)2部を、シクロヘキサノン80部に添加し、ガラスビーズとともにサンドミルで15時間分散し、これに40部のテトラヒドロフランおよび40部の酢酸エチルを加え、電荷発生層用塗料を調製した。
【0241】
この塗料を上記中間層の上に浸漬塗布方法で塗布して、100℃で10分間乾燥し、膜厚0.2μmの電荷発生層を形成した。
【0242】
この電荷発生層を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、電荷発生物質の平均粒径は0.05μmであった。
【0243】
(電子写真感光体No.51)
電子写真感光体No.48の電荷発生層を、下記のように変更した以外は、電子写真感光体No.48と同様に電子写真感光体を作製した。
【0244】
無金属フタロシアニン顔料3部とポリビニルブチラール樹脂(エレックスBL−S)2部をシクロヘキサノン80部に添加し、ガラスビーズとともにサンドミルで5時間分散し、これに80部のテトラヒドロフランを加え、電荷発生層用塗料を調製した。
【0245】
この塗料を上記中間層の上に浸漬塗布方法で塗布して、100℃で10分間乾燥し、膜厚0.2μmの電荷発生層を形成した。
【0246】
この電荷発生層を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、電荷発生物質の平均粒径は0.09μmであった。
【0247】
(比較電子写真感光体No.25〜No.28)
電子写真感光体No.48〜51の中間層を、それぞれ、下記のように変更した以外は、電子写真感光体No.48と同様に電子写真感光体を作製した。
【0248】
アルコール可溶性共重合ナイロン(アミランCM−8000:東レ(株)製)5部をメタノール95部中に溶解し、中間層用塗料を調整した。この塗料を直径30mmのアルミニウムシリンダー上に浸漬コーティング法によって塗布し、120℃で60分間乾燥して、1.5μmの中間層を形成した。
【0249】
(比較電子写真感光体No.29〜No.32)
電子写真感光体No.48〜51の中間層を、それぞれ下記のように変更した以外は、電子写真感光体No.48と同様に電子写真感光体を作製した。
【0250】
電子写真感光体No.48で使用した電子輸送性有機化合物(例示化合物No.8)を、下記式(H−2)で示される構造を有する電子輸送性有機化合物に変更した以外は、電子写真感光体No.48と同様に中間層を作製した。
【0251】
(参考例48〜51、比較例25〜32)
電子写真感光体No.48〜No.51および比較電子写真感光体No.26〜No.33をキヤノン製複写機GP−40(プロセススピード:210mm/s)の改造機(帯電のDC成分および光量を変化できるように改造)に装着し、常温常湿(23℃/50%)、低温低湿(15℃/10%)および高温高湿(32℃/80%)条件下で、帯電をコロナ帯電器に改造し、光量を変化させ評価した。
【0252】
なお、電位は現像器の位置に電位プローブを装着し測定した。
【0253】
初期の電子写真感光体特性〔暗減衰Vdd(暗部電位Vd=−700Vに設定後ドラムの回転を止め15秒後の電位の変化量)、光減衰感度(Vd=−700V設定で−200Vに光減衰させるために必要な光量)、残留電位Vsl(1.5μJ/cm2の光量を照射した時の電位)〕と初期画像の画像欠陥の有無を目視により評価した。
【0254】
さらに、常温常湿および低温低湿下でそれぞれ1000枚の通紙耐久を行い、耐久後の前記電子写真感光体特性を測定し、各々の変化値ΔVdd、ΔVl(初期にVlが−200Vとなる光量と同量の光量を耐久後に照射したときのVlの変化量)およびΔVslと耐久画像の画像欠陥の有無を目視により評価した画像評価は次のとおりである。
◎:微小黒点が目視では全く観察されない
○:微小黒点が極微量(1〜5箇所)認められる
△:部分的に微小黒点が目視で数箇所(6箇所以上)認められる
×:全面に微小黒点が目視で観察される
その結果を表11および12に示す
【0255】
【表11】
【0256】
【表12】
【0257】
【発明の効果】
高画質化に対して極めて効果のある薄膜(16μm以下)の感光層を有する電子写真感光体において、いかなる温度や湿度の使用環境下でも、初期はもちろん耐久時も含め、局所的帯電不良によるカブリが生じず、かつ、繰り返し使用時の電位が安定に維持され、極めて安定した画像特性を示す電子写真感光体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを有する電子写真装置の概略構成の例を示す図である。
【符号の説明】
1 本発明の電子写真感光体
2 軸
3 一次帯電手段
4 露光光
5 現像手段
6 転写手段
7 転写材
8 像定着手段
9 クリーニング手段
10 前露光光
11 プロセスカートリッジ
12 レール
Claims (11)
- 支持体、該支持体上に形成された中間層および該中間層上に形成された膜厚が16μm以下の感光層を有する電子写真感光体において、
該中間層の膜厚が、0.7μm以上2μm以下であり、
該中間層が、最高被占軌道(HOMO)のエネルギー準位が6.0eV以上の電子輸送性有機化合物を電子線の照射により高分子化させたものを含有し、
該感光層が、電荷発生物質として平均粒径が0.07μm以上0.15μm以下のフタロシアニン顔料を含有する
ことを特徴とする電子写真感光体。 - 前記電子輸送性有機化合物の最高被占軌道(HOMO)のエネルギー準位が、6.2eV以上である請求項1に記載の電子写真感光体。
- 前記電子輸送性有機化合物の還元電位が、参照電極SCE(飽和カルメロ電極)に対して−1.0V以上−0.2V以下である請求項1または2に記載の電子写真感光体。
- 前記中間層における電子輸送性化合物の含有率が、前記中間層全質量に対し40質量%以上である請求項1〜3のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 前記中間層における電子輸送性化合物の含有率が、前記中間層全質量に対し60質量%以上である請求項1〜4のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 前記中間層の体積抵抗率が、1×1012Ω・cm以上である請求項1〜5のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 前記感光層が、前記電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とを有する積層型感光層である請求項1〜6のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の電子写真感光体と、帯電手段、現像手段およびクリーニング手段からなる群より選ばれた少なくとも1つの手段とを一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
- 前記電子写真装置のプロセススピードが180mm/s以上である請求項8に記載のプロセスカートリッジ。
- 請求項1〜7に記載の電子写真感光体、帯電手段、露光手段、現像手段および転写手段を有することを特徴とする電子写真装置。
- プロセススピードが180mm/s以上である請求項10に記載の電子写真装置。
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