JP3719647B2 - 帯電ローラ、帯電装置、担持体ユニット、画像形成装置及び帯電ローラの製造方法 - Google Patents

帯電ローラ、帯電装置、担持体ユニット、画像形成装置及び帯電ローラの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、帯電ローラ、帯電装置、担持体ユニット、画像形成装置及び帯電ローラの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、電子複写機、プリンタ、ファクシミリ或いはこれらの少なくとも2つの機能を備えた複合機などとして構成される画像形成装置において、被帯電体の一例である像担持体の表面に静電潜像を形成するに先立ち、帯電ローラを有する帯電装置によって像担持体の表面を帯電させることは従来より周知である。その際、芯軸の外周面に弾性部材を固定し、その弾性部材の外周面にスペーサ部材を設けた帯電ローラを用いた帯電装置も公知である(特開平3−240076号公報及び特開平4−360167号公報参照)。
【0003】
この形式の帯電装置の帯電ローラは、例えば、芯軸の外周面に弾性部材を固定し、その固定した弾性部材の外周面を研磨工具で研磨することにより製造される。図9は、この研磨時の様子を示す斜視図である。この図に例示するように、芯軸3の外周面に固定された弾性部材4と、その外周面に圧接する円筒状の砥石60より成る研磨工具とを回転させながら、砥石60を矢印F1,F2で示すように弾性部材4の長手方向に移動させて弾性部材4の外周面を全長に亘って研磨する。このときの弾性部材4に対する切削量は、例えば0.5mm程度である。このように弾性部材4を仕上げ加工した後、図12に示すようにその弾性部材4の長手方向各端部の外周面に、スペーサ部材1を固定する。
【0004】
上述のようにして完成した帯電ローラ20のスペーサ部材1を、図12に示す如く像担持体2の表面に圧接させ、両スペーサ部材1の間の弾性部材部分を、像担持体2の表面に対してギャップGをあけて対置させ、帯電ローラ20に電圧を印加して、像担持体表面を帯電する。次いで、その帯電面を露光して静電潜像を形成し、その潜像を現像装置によってトナー像として可視像化する。
【0005】
上述の帯電ローラ20を有する帯電装置によると、オゾンの発生を抑えることができると共に、帯電ローラ20の弾性部材4に含まれている物質が像担持体表面に付着して帯電むらが発生する不具合を防止でき、トナー像の画質を高めることができる。
【0006】
ところで、上述の帯電ローラ20の弾性部材4と像担持体2の表面との間のギャップGは、これが大きくなりすぎると、帯電後の像担持体表面の電位が所望する値から大きく外れてしまい、像担持体表面に形成されたトナー像の画質が劣化し、異常画像が発生するおそれがある。かかる観点から、本発明者は、仕上げ加工後の帯電ローラの形態を精査したところ、次のような問題のあることが明らかとなった。
【0007】
前述のように、帯電ローラ20の弾性部材4は砥石60によって仕上げ加工されるが、この加工時に砥石60の周面は弾性部材4の外周面に圧接する。このため、砥石60が圧接した弾性部材部分は、その半径方向に圧縮変形する。その際、砥石60が弾性部材4の長手方向各端部領域Eに圧接した時と、当該砥石60が弾性部材4の長手方向中間部領域Iに圧接した時とを比較した場合、前者の方が、砥石60と弾性部材4との単位面積当りの圧接力が小さくなる。これは、弾性部材4の長手方向各端面はフリー状態にあるため、弾性部材4の長手方向各端部領域Eの方が、その長手方向中間部領域Iよりも半径方向に圧縮変形しやすい状態にあるためと考えられる。
【0008】
上述した理由により、研磨後の弾性部材4の外径は、その長手方向に沿って均一とならず、図13に誇張して示すように、その長手方向各端部領域Eの外径D1が、弾性部材の長手方向中間部領域Iにおける外径D2よりも大きくなる。このようにして弾性部材4の長手方向各端部領域Eに隆起部61が形成される。隆起部61の外径D1は、弾性部材4の長手方向末端部REで最大となり、その長手方向中心CLの側に向けて漸次小さくなっている。そして、その最大外径D3と、弾性部材4の長手方向中間部領域Iの外径D2との差は、帯電ローラ20の形態や、弾性部材4の材質などによって異なるが、例えば40乃至60μm程度である。しかもその値は、温湿度などの環境条件によって大きくばらつく。
【0009】
従来は、上述した事実を考慮することなく、隆起部61のできた弾性部材4の長手方向各端部にスペーサ部材1を取り付けていたのであるが、隆起部61の最大外径D3の値は大きくばらつくので、一定の厚さのスペーサ部材1を用いても、弾性部材4と像担持体2との間のギャップGが、各帯電ローラによって大きくばらついてしまい、そのギャップGの値が所望する値から大きく外れてしまうおそれを免れなかった。
【0010】
また、帯電ローラ20には電圧が印加されるが、その際、隆起部61の最大外径部は、像担持体2の表面に向けて突出しているので、その先端62と像担持体表面との間で放電が発生しやすくなる。かかる放電が発生すれば、ここに多量の電流が流れるので、両スペーサ部材間の像担持体表面に帯電不良が発生し、これによりトナー像の画質が劣化する不具合を免れない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述した新規な認識に基づきなされたものであり、その第1の目的は、弾性部材に形成された隆起部に起因して、帯電ローラと被帯電体の表面との間のギャップの値が、所望する値から大きく外れてしまう不具合を阻止できる帯電ローラ、帯電装置、担持体ユニット、画像形成装置及び帯電ローラの製造方法をそれぞれ提供することにある。
【0012】
また、本発明の第2の目的は、弾性部材に形成された隆起部に基因して、帯電ローラと被帯電体の表面の間に放電が生じる不具合を阻止できる帯電ローラ、帯電装置、担持体ユニット、画像形成装置及び帯電ローラの製造方法をそれぞれ提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記第1の目的を達成するため、芯軸と、該芯軸の外周面に固定された弾性部材と、該弾性部材に設けられたスペーサ部材とを有する帯電ローラにおいて、帯電ローラの製造時に、芯軸に固定された弾性部材の外周面を研磨した際、該弾性部材の長手方向各端部領域に生じた隆起部の、当該長手方向における幅をWmmとしたとき、各スペーサ部材の帯電ローラ長手方向外縁を、弾性部材の長手方向各末端部よりも、W/9mm以上の距離だけ、その長手方向中心側に位置をずらして配置したことを特徴とする帯電ローラを提案する(請求項1)。
【0015】
さらに、本発明は、上記第1の目的を達成するため、芯軸と、該芯軸の外周面に固定された弾性部材と、該弾性部材に設けられたスペーサ部材とを有する帯電ローラにおいて、帯電ローラの製造時に、芯軸に固定された弾性部材の外周面を研磨した際、該弾性部材の長手方向各端部領域に生じた隆起部の、最大外径部を含む少なくとも一部がカットされ、そのカット面と、当該カット面よりも弾性部材長手方向中心側に寄った弾性部材部分とに亘って前記スペーサ部材をそれぞれ設けたことを特徴とする帯電ローラを提案する(請求項2)。
【0017】
さらに、本発明は、上記第1の目的を達成するため、請求項1又は2に記載の帯電ローラのスペーサ部材を被帯電体に圧接させて両スペーサ部材の間の弾性部材部分と被帯電体の表面とをギャップをあけて対向配置させ、帯電ローラに電圧を印加して被帯電体の表面を帯電することを特徴とする帯電装置を提案する(請求項3)。
【0018】
さらに、本発明は、上記第1の目的を達成するため、請求項3に記載の帯電装置と、像担持体より成る被帯電体を一体的に組み付けたことを特徴とする担持体ユニットを提案する(請求項4)。
【0019】
また、本発明は、上記第1の目的を達成するため、請求項3に記載の帯電装置を有することを特徴とする画像形成装置を提案する(請求項5)。
【0021】
また、本発明は、上記第2の目的を達成するため、芯軸と、該芯軸の外周面に固定された弾性部材と、該弾性部材に設けられたスペーサ部材とを有する帯電ローラの製造方法において、弾性部材を芯軸に固定し、その固定した弾性部材と、該弾性部材の外周面に圧接する研磨工具の少なくとも一方を回転させながら、弾性部材と研磨工具を相対的に当該弾性部材の長手方向に移動させて、弾性部材の外周面を研磨すると共に、研磨工具が弾性部材の長手方向各端部領域を研磨する時は、その長手方向中間部領域を研磨する時よりも、当該研磨工具と弾性部材との相対移動速さを低速にすることを特徴とする帯電ローラの製造方法を提案する(請求項6)。
【0022】
さらに、本発明は、上記第2の目的を達成するため、芯軸と、該芯軸の外周面に固定された弾性部材と、該弾性部材に設けられたスペーサ部材とを有する帯電ローラの製造方法において、弾性部材の長手方向各端部領域が固定される芯軸部分の外径が、弾性部材の長手方向中間部領域が固定される芯軸部分の外径よりも大きくなるように形成された芯軸を用い、当該芯軸に弾性部材を固定した後、その弾性部材と、該弾性部材の外周面に圧接する研磨工具の少なくとも一方を回転させながら、弾性部材と研磨工具を相対的に当該弾性部材の長手方向に移動させて、弾性部材の外周面を研磨することを特徴とする帯電ローラの製造方法を提案する(請求項7)。
【0023】
また、本発明は、上記第2の目的を達成するため、芯軸と、該芯軸の外周面に固定された弾性部材と、該弾性部材に設けられたスペーサ部材とを有する帯電ローラの製造方法において、弾性部材の長手方向各端部領域の厚さが、弾性部材の長手方向中間領域の厚さよりも小さくなるように、弾性部材を芯軸の外周面に成形して固定し、その固定した弾性部材と、該弾性部材の外周面に圧接する研磨工具の少なくとも一方を回転させながら、弾性部材と研磨工具を相対的に当該弾性部材の長手方向に移動させて、弾性部材の外周面を研磨することを特徴とする帯電ローラの製造方法を提案する(請求項8)。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態例を図面に従って詳細に説明する。
【0025】
図1は画像形成装置の一例を示す断面図である。ここに示した画像形成装置は、ドラム状の感光体として構成された像担持体2と、帯電ローラ20を有する帯電装置と、クリーニング装置27とが、ユニットケース43に一体的に組み付けられて成る担持体ユニット41を有していると共に、現像装置22を有する現像ユニット42を具備している。像担持体2と帯電ローラ20は、ユニットケース43に回転自在に組み付けられている。
【0026】
像担持体2に対向して転写ベルト8が設けられ、この転写ベルト8は、図示していない複数の支持ローラに巻き掛けられて矢印A方向に走行駆動される。かかる転写ベルト8の表面に像担持体の表面が当接し、しかも転写ベルト8を挟んで、像担持体2にほぼ対向する位置に転写装置の一例である転写ブラシ9が配置されている。
【0027】
画像形成動作時、像担持体2は図示していない駆動装置によって矢印B方向に回転駆動され、このとき後述するように帯電ローラ20は、そのスペーサ部材1が像担持体2の表面に当接して像担持体2の回転に従って矢印C方向に従動回転する。帯電ローラ20を駆動装置によって回転駆動することもできる。
【0028】
像担持体2と帯電ローラ20が上述のように回転するとき、帯電ローラ2には、所定極性の電圧が印加され、これによって像担持体2の表面が所定の極性(図示した例ではマイナス極性)に帯電される。このように、像担持体2は、帯電装置によって表面を帯電される被帯電体の一例を構成している。
【0029】
画像形成装置本体内には、露光手段の一例であるレーザ書き込みユニット(図示せず)が配置され、このユニットから出射する光変調されたレーザビームLによって、帯電後の像担持体2の表面が露光され、これによって像担持体表面に静電潜像が形成される。この例では、レーザビームLが照射されて像担持体の表面電位の絶対値が低下した部分が静電潜像となり、レーザビームの当てられない像担持体の表面部分が地肌部となる。
【0030】
上記静電潜像は、現像装置22によってトナー像として可視像化される。この現像装置22は、現像ケース23と、この現像ケース23に回転自在に支持されて反時計方向に回転駆動される現像ローラ24と、同じく現像ケース23に回転自在に支持された撹拌ローラ25とを有し、現像ケース23には、必要に応じて外添剤が添加されたトナーとキャリアとを有する粉体状の二成分系現像剤Dが収容されている。キャリアを有さない一成分系現像剤や液状の現像剤を用いることもできる。
【0031】
上記現像剤Dは、撹拌ローラ25により撹拌されて、そのトナーとキャリアが互いに逆極性にそれぞれ摩擦帯電される。かかる現像剤Dが、トナーの帯電極性と同極性のバイアス電圧を印加された現像ローラ24上に担持されて搬送され、規制ブレード26により量を規制された現像剤が現像ローラ24と像担持体2との間の現像領域に運ばれ、ここで、その現像剤中のトナーが像担持体表面に形成された静電潜像に静電的に移行して静電潜像がトナー像として可視像化される。現像ケース23内に収容された二成分系現像剤Dのトナー濃度低下がトナー濃度センサ35により検知されたとき、図示していないトナー補給口を通して現像ケース23内の二成分系現像剤Dにトナーが補給される。
【0032】
一方、図示していない給紙部から、例えば転写紙より成るシート状の転写材Pが給送され、その転写材Pは、矢印A方向に駆動される転写ベルト8上に担持されて搬送され、像担持体2と転写ベルト8との間の転写部を通過する。このとき、転写ブラシ9には、像担持体表面のトナーの帯電極性と逆極性の電圧が印加され、これによって像担持体上のトナー像が転写材P上に転写される。トナー像が転写された転写材Pは、引き続き図示していない定着装置を通り、このとき熱と圧力の作用によって、トナー像が転写材P上に定着される。定着装置を通過した転写材Pは、画像形成装置本体外の排紙トレイ(図示せず)上に排出される。
【0033】
トナー像を転写したあとの像担持体表面に残存する転写残トナーは、クリーニング装置27により除去される。このクリーニング装置27は、ユニットケース43の一部により構成されたクリーニングケース28と、そのクリーニングケース28に回転自在に支持されて矢印方向に回転駆動されるクリーニングブラシ29と、基端部がクリーニングケース28に固定されたクリーニングブレード30とを有し、そのクリーニングブラシ29とクリーニングブレード30が像担持体2の表面に当接して、その表面の転写残トナーを掻き取り除去する。
【0034】
担持体ユニット41は、そのユニットケース43の舌部52が、画像形成装置本体の機枠に固定されたガイド部材45に摺動自在に嵌合している。これにより、担持体ユニット41を、画像形成装置本体の手前側(図1の紙面に対して垂直な手前側方向)に引き出し、又はこれとは逆の奥側に押し込んで、担持体ユニット41を所定の位置にセットすることができる。
【0035】
同様に現像ユニット42も、その現像ケース23の係合部53が、画像形成装置本体の機枠に固定されたガイド部材45Aに摺動自在に嵌合し、これによって現像ユニット42を画像形成装置本体の手前側に引き出し、又は奥側に押し込んでセットすることができる。
【0036】
図2は帯電ローラ20を含む帯電装置の詳細を示す図である。ここに示した帯電ローラ20は、例えば金属などの導体より成る円柱状(又は円筒状)の芯軸3と、その芯軸3の外周面に同心状に固定された円筒状の弾性部材4と、弾性部材4の外周面に設けられた少なくとも2つのスペーサ部材1とを有し、図示した例では2つのスペーサ部材1が設けられている。弾性部材4は、例えば、体積抵抗率が1×10乃至1×10Ω・cm程度のゴム又はその他の弾性部材により構成され、その厚さは例えば1.5mm程度である。これに対し、芯軸3の外径は、例えば9mmに設定される。
【0037】
本例のスペーサ部材1は、可撓性を有する絶縁性の樹脂、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)製のフィルムより成るフィルム基材と、その一方の面に設けられた粘着剤とから構成されている。このフィルム基材が弾性部材4の外周面に1周分巻き付けられ、粘着剤によってそのフィルム基材が弾性部材4の外周面に固定されている。かかるスペーサ部材1の幅は例えば8mm、フィルム基材の厚さは例えば25μm、粘着剤の厚さは例えば35μmである。
【0038】
芯軸3の長手方向各端部は、軸受5に回転自在に支持され、その各軸受5は、ユニットケース43の各側板43Aに形成された開口6に、像担持体2に対して接近又は離隔自在に嵌合し、圧縮ばね7によって像担持体2の側に向けて加圧されている。このようにして、帯電ローラ20のスペーサ部材1が、被帯電体の一例である像担持体2に圧接し、両スペーサ部材1の間の弾性部材部分と被帯電体の表面とが、ギャップGをあけて対向配置される。そして、帯電ローラ20の芯軸3には、電源10によって、前述の如く電圧が印加され、これにより被帯電体の表面が帯電される。その際、交流電圧に直流電圧を重畳した電圧を帯電ローラ20に印加することが好ましい。例えば、2KVのピーク間電圧の交流電圧に、−700Vの直流電圧を重畳した電圧が帯電ローラ20に印加される。
【0039】
また、図1に示した例では、帯電ローラ20を有する帯電装置と、像担持体2より成る被帯電体とが一体的に組み付けられて担持体ユニット41が構成されていて、このユニット41と現像ユニット42とが別々のユニットとして構成されているが、これらのユニット41,42を一体化して、1つの担持体ユニットとすることもできる。
【0040】
また、帯電ローラ20と像担持体2との間のギャップGが大きすぎると、像担持体表面の帯電不良が発生し、これによって像担持体表面に形成されたトナー像が異常画像となって現われるおそれがある。このため、このギャップGが、所定の値以下に維持されるように構成され、図示した例では50μm以下の大きさに維持される。前述のように、厚さ25μmのフィルム基材と、35μm厚さの粘着剤より成るスペーサ部材1を用いた場合、そのスペーサ部材1を像担持体2の表面に圧接させたとき、その粘着剤と、スペーサ部材1の固定された弾性部材部分とが圧縮変形し、この状態でギャップGが50μm以下の大きさとなる。
【0041】
帯電ローラ20はその外層が弾性部材4により構成されているので、この帯電ローラ20と像担持体21の表面との間に、ギャップGよりも大きな異物、例えば60μm以上の径を有するキャリアが送り込まれたとき、弾性部材4が弾性変形して、そのキャリアがギャップGを通過することができる。これにより、像担持体表面に傷が付けられる不具合を防止することができる。
【0042】
仮に、帯電ローラの外層を剛体により構成したとすると、キャリアがギャップGに送り込まれた時、その外層が実質的に弾性変形することはないため、キャリアがギャップGに挟み込まれ、これによって像担持体表面に傷が付けられるおそれがあるが、外層を弾性部材4として構成することにより、かかる不具合を防止することができるのである。
【0043】
以上説明した構成は、後述する各具体例にも共通する基本構成をなすものである。
【0044】
ここで先に説明した如く、帯電ローラ20の製造時に、芯軸3に固定された弾性部材4の外周面を研磨した際、図3にも誇張して示すように、弾性部材4の長手方向各端部領域Eに、その半径方向に突出した隆起部61がその全周に亘って生じる。従来の帯電ローラ20においては、この隆起部61によって、帯電ローラ20と像担持体2の表面との間のギャップGが所定の大きさ、例えば50μmよりも大きくなってしまうおそれがあった。
【0045】
そこで、図3に示した例では、弾性部材長手方向における上記隆起部61の幅をWmmとしたとき、弾性部材4の長手方向各末端部REから、その長手方向中心CLの側に、少なくともW/9mm寄った位置にスペーサ部材1がそれぞれ設けられている。各スペーサ部材1の帯電ローラ長手方向外縁を、弾性部材4の長手方向各末端部REよりも、W/9mm以上の距離Sだけ、その長手方向中心CLの側に位置をずらして配置するのである。隆起部61の幅Wmmが例えば10mmであるとし、その最大外径D3と、弾性部材4の長手方向中間部領域Iの外径D2との差が例えば50μmであるとしたとき、スペーサ部材1を弾性部材4の長手方向末端部REから、10/9mm以上、弾性部材4の長手方向中心CLの側に位置をずらして配置すればよい。
【0046】
前述のように、隆起部61の最大外径D3は、各帯電ローラによって大きくばらつくのであるが、隆起部61の外径D1は、弾性部材4の長手方向中心CLに向けて漸次小さくなっているので、各スペーサ部材1を、外径が最大となる弾性部材4の長手方向末端部REよりも、長手方向中心CLの側に上述の如く位置をずらして配置することにより、そのスペーサ部材1が固定された弾性部材部分の外径が大きくばらつくことはない。
【0047】
また、図4に示す例では、各スペーサ部材1が、隆起部61の形成されていない弾性部材の長手方向中間部領域Iに固定されているが、この部分での弾性部材4の外径のばらつきは実質的になくなる。
【0048】
上述の如く配置したスペーサ部材1を像担持体2の表面に圧接させることにより、両スペーサ部材1の間の弾性部材部分と、像担持体表面との間のギャップGを、常に、例えば50μm以下に維持することができ、これによって像担持体表面に帯電不良が発生することを阻止でき、像担持体2に形成されたトナー像の画質を高めることができる。
【0049】
また、図3及び図4に示すように、像担持体2が、例えばアルミニウムなどの導体より成るベース部材63と、その表面にコートされた感光層64を有していて、その長手方向端部においてベース部材63が露出している場合、隆起部61の先端62と、露出したベース部材63の部分との間で放電が発生するおそれがあるので、弾性部材4の長手方向末端部REと、感光層64の端部64Eとの間の距離LEを、所定の大きさ、例えば2mm以上に設定し、上述の放電が発生することを阻止することが好ましい。
【0050】
さらに、図5及び図6に示すように、隆起部61の最大外径部を含む少なくとも一部を、その全周に亘って、例えば砥石、又は図示していないカッターなどによってカットすることが好ましい。図5は、隆起部61の一部をカットし、図6は隆起部61の全体をカットして、隆起部61の外径を小さくした例を示しており、これらの図には、カット前の隆起部61を鎖線で示してある。このように隆起部61の少なくとも一部を、その全周に亘ってカットすれば、像担持体2の側へ向けて大きく突出する隆起部61の先端62がなくなるので、弾性部材4の長手方向末端部REと、像担持体2のベース部材63が露出した部分との間の放電はもとより、弾性部材の長手方向末端部REと、感光層64の形成された像担持体部分との間の放電の発生も阻止される。これにより、両スペーサ部材1の間の像担持体表面の帯電不良の発生を防止することができる。
【0051】
その際、図6に示すように、隆起部61をその全周に亘ってカットしたカット面65と、そのカット面65よりも弾性部材長手方向中心CLの側に寄った弾性部材部分とに亘って、スペーサ部材1をそれぞれ設け、或いは図5に示すように、当該カット面65よりも弾性部材長手方向中心CLの側に寄った弾性部材部分にスペーサ部材1をそれぞれ設けることにより、図3及び図4に示した例の場合と同様に、隆起部61によってギャップGの大きさが所定の大きさよりも大きくなる不具合を阻止でき、スペーサ部材1の間の像担持体表面の帯電不良を防止することができる。
【0052】
また、図6に示した例のように、カット面65とそのカット面65よりも長手方向中心CLの側に寄った弾性部材部分とに亘ってスペーサ部材1を固定すると、図3の場合と同じく、スペーサ部材1を、弾性部材4の長手方向末端部REに近い領域に配置できるので、図5のようにカット面65を避けた位置にスペーサ部材1を設けた場合に比べ、両スペーサ部材1の間の間隔L1を大きくとることができる。
【0053】
これに対し、図6に示したように、カット面65とこれに隣接する弾性部材部分とが、180°よりも小なる角度αをなしていると、その両者に跨って固定されたスペーサ部材1は曲り折った状態となるので、帯電ローラ20が回転してカット面65に固定されたスペーサ部材1の部分が像担持体表面に圧接する状態と、その圧接が解除された状態とが繰返されると、カット面65に固定されたスペーサ部材の部分がそのカット面から剥離するおそれがある。図5に示したようにカット面65以外の弾性部材部分にスペーサ部材1を固定することにより、これが剥離する不具合を防止することができる。このように、図5及び図6に示した構成には、有利な点と不利な点がそれぞれ存在する。
【0054】
次に、芯軸3と、その芯軸3の外周面に固定された弾性部材4と、その弾性部材4に設けられたスペーサ部材1とを有する帯電ローラ20の製造方法の一例を説明する。
【0055】
先ず、図7に示すように成形用の複数のキャビティ66A,66Bを有する同一形状の上型67Aと下型67Bを用意する。そして、その下型67Bの各キャビティ66Bに芯軸3をセットしてから、上型67Aと下型67Bを合せ、両型の各キャビティにより区画された各空間に、溶融したゴム材料を注入する。次いでこれを冷却した後、上型67Aと下型67Bを図8に示すように離間すると、弾性部材4が各芯軸3に固定された状態で成形される。これを下型67Bから外した後、図9を参照して先に説明したように、その弾性部材4を研磨する。その際、弾性部材4と、研磨工具の一例である砥石60の一方だけを回転させるようにしてもよく、また砥石60を矢印F1,F2方向に移動させずに、弾性部材4だけをその長手方向F1,F2に移動させ、或いは砥石60と弾性部材を共に移動させるようにしてもよい。要は、弾性部材4を芯軸3に固定し、その固定した弾性部材4と、該弾性部材4の外周面に圧接する研磨工具の少なくとも一方を回転させながら、弾性部材4と研磨工具を相対的に当該弾性部材4の長手方向に移動させて、弾性部材4の外周面を研磨するのである。弾性部材4を研磨した後、スペーサ部材1を弾性部材4の外周面に固定する。
【0056】
上述の製造方法自体は、従来の方法と変りはないが、この方法だけであると、先にも説明したように、弾性部材4の長手方向各端部領域Eに隆起部61が形成される。これに対し、次の製造方法を採用すると、隆起部61をなくし、或いはその隆起部の外径を従来よりも小さくすることができ、隆起部61に基因する前述の不具合を阻止し、ないしはこれを軽減することが可能となる。
【0057】
前述のように、砥石60と、芯軸3に固定された弾性部材4が、その弾性部材4の長手方向F1,F2に相対的に移動しながら、弾性部材4の外周面が研磨されるが、その際、砥石60より成る研磨工具が弾性部材4の長手方向各端部領域Eを研磨する時には、その弾性部材4の長手方向中間部領域Iを研磨する時よりも、その研磨工具と弾性部材4との圧接力が大きくなるように研磨工具と弾性部材4との加圧力を調整する。このようにすれば、砥石60が弾性部材4の長手方向各端部領域Eを研削する量が、従来よりも増え、これによって従来は必ず発生していた隆起部をなくし、或いはその隆起部の外径を従来よりも小さくすることができる。
【0058】
上述した構成に代え、又はこの構成と共に、砥石60より成る研磨工具が弾性部材4の長手方向各端部領域Eを研磨する時は、その長手方向中間部領域Iを研磨する時よりも、当該研磨工具と弾性部材4との相対移動速さを低速にする構成を採用することもできる。この構成によっても、弾性部材4の長手方向各端部領域Eの研削量が従来よりも増大するので、隆起部をなくし、又はその隆起部の外径を従来よりも小さくすることができる。
【0059】
さらに、図10に誇張して示すように、弾性部材4の長手方向各端部領域Eが固定される芯軸部分の外径d1が、弾性部材4の長手方向中間部領域Iが固定される芯軸部分の外径d2よりも大きくなるように形成された芯軸3を用い、その芯軸3に前述の如くして弾性部材4を固定した後、先に説明したように、弾性部材4と、該弾性部材4の外周面に圧接する研磨工具の少なくとも一方を回転させながら、弾性部材4と研磨工具を相対的に当該弾性部材の長手方向に移動させて、弾性部材の外周面を研磨しても、弾性部材4の長手方向各端部領域Eの研削量が従来よりも増大するので、隆起部をなくし、又はその隆起部の外径を従来よりも小さくすることができる。この構成も、上述した製造方法と併用することができる。
【0060】
さらに、図7に示した上型67Aと下型67Bの各キャビティ66A,66Bの長手方向各端部領域の幅W1を、その長手方向中間部領域の幅W2よりもわずかに狭く設定してもよい。かかる型67A,67Bにより成形された弾性部材は、図11に誇張して示すように、その長手方向各端部領域Eの厚さT1が、弾性部材4の長手方向中間部領域Iの厚さT2よりも小さくなる。このように厚さT1,T2が異なるように、弾性部材4を芯軸3の外周面に成形して当該弾性部材4を芯軸3に固定した後、その固定した弾性部材4と、該弾性部材4の外周面に圧接する研磨工具の少なくとも一方を回転させながら、弾性部材4と研磨工具を相対的に当該弾性部材の長手方向に移動させて、弾性部材の外周面を研磨するのである。このようにすれば、成形後の弾性部材4の長手方向各端部領域Eの厚さT1が、中間部領域Iの厚さT2よりも小さくなっているので、研磨後の弾性部材4に、従来は必ず発生していた隆起部が全く発生しないか、又はその隆起部の外径を従来よりも小さくすることができる。この構成も、前述の製造方法と併用することができる。
【0061】
上述の各帯電ローラの製造方法によると、隆起部をなくし、或いはその外径を従来よりも小さくできるので、隆起部に基づく従来の不具合を除去し、ないしはこれを効果的に低減でき、しかもスペーサ部材1を弾性部材の長手方向各末端部REないしはこれに近い部分に固定できるので、両スペーサ部材1の間の弾性部材部分の長さを大きく確保できる。
【0062】
以上、被帯電体の一例として像担持体2を挙げたが、本発明に係る帯電ローラは、他の被帯電体を帯電するときにも採用することができる。例えば、図1に示した転写ベルト8上に担持された転写材Pを帯電ローラ120によって帯電し、その転写材Pを転写ベルト8上に静電的に保持させることが従来より行われているが、かかる帯電ローラ120にも、前述した各構成を支障なく採用することができる。
【0063】
【発明の効果】
請求項1及び2に係る発明によれば、帯電ローラの製造時に弾性部材に生じる隆起部に基因する不具合をなくし、又はその影響を少なくすることができる。
【0064】
特に、請求項2に係る発明によれば、スペーサ部材間の間隔を大きくとることができる。
【0066】
請求項3に係る発明によれば、上記各効果を奏する帯電装置を供することができる。
【0067】
請求項4に係る発明によれば、上記各効果を奏する担持体ユニットを供することができる。
【0068】
請求項5に係る発明によれば、上記各効果を奏する画像形成装置を供することができる。
【0069】
請求項6乃至8に係る発明によれば、従来、弾性部材の研磨時に生じていた隆起部をなくし、又はその外径を従来より小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】画像形成装置の一例を示す断面図である。
【図2】帯電ローラの一部を破断した状態で、その帯電ローラの詳細を示す図である。
【図3】帯電ローラの弾性部材に形成された隆起部を誇張して示す説明図である。
【図4】スペーサ部材の固定位置を図3の場合と異ならせた例を示す説明図である。
【図5】隆起部の一部をカットした帯電ローラを示す説明図である。
【図6】隆起部の全体をカットした帯電ローラを示す説明図である。
【図7】弾性部材を成形する成形型の斜視図である。
【図8】成形型によって弾性部材を成形した後の様子を示す斜視図である。
【図9】弾性部材を研磨する方法を示す斜視図であって、従来の弾性部材を研磨するときの説明にも供した図である。
【図10】外径を異ならせた芯軸を示す断面図である。
【図11】厚さを異ならせた弾性部材を示す断面図である。
【図12】従来の帯電ローラの一例を示す図である。
【図13】従来の帯電ローラの弾性部材に形成された隆起部を誇張して示す図である。
【符号の説明】
1 スペーサ部材
2 像担持体
3 芯軸
4 弾性部材
20 帯電ローラ
41 担持体ユニット
61 隆起部
65 カット面
120 帯電ローラ
CL 長手方向中心
d1 外径
d2 外径
E 長手方向端部領域
G ギャップ
I 長手方向中間部領域
S 距離
T1 厚さ
T2 厚さ
W 幅

Claims (8)

  1. 芯軸と、該芯軸の外周面に固定された弾性部材と、該弾性部材に設けられたスペーサ部材とを有する帯電ローラにおいて、
    帯電ローラの製造時に、芯軸に固定された弾性部材の外周面を研磨した際、該弾性部材の長手方向各端部領域に生じた隆起部の、当該長手方向における幅をWmmとしたとき、各スペーサ部材の帯電ローラ長手方向外縁を、弾性部材の長手方向各末端部よりも、W/9mm以上の距離だけ、その長手方向中心側に位置をずらして配置したことを特徴とする帯電ローラ。
  2. 芯軸と、該芯軸の外周面に固定された弾性部材と、該弾性部材に設けられたスペーサ部材とを有する帯電ローラにおいて、
    帯電ローラの製造時に、芯軸に固定された弾性部材の外周面を研磨した際、該弾性部材の長手方向各端部領域に生じた隆起部の、最大外径部を含む少なくとも一部がカットされ、そのカット面と、当該カット面よりも弾性部材長手方向中心側に寄った弾性部材部分とに亘って前記スペーサ部材をそれぞれ設けたことを特徴とする帯電ローラ。
  3. 請求項1又は2に記載の帯電ローラのスペーサ部材を被帯電体に圧接させて両スペーサ部材の間の弾性部材部分と被帯電体の表面とをギャップをあけて対向配置させ、帯電ローラに電圧を印加して被帯電体の表面を帯電することを特徴とする帯電装置。
  4. 請求項3に記載の帯電装置と、像担持体より成る被帯電体を一体的に組み付けたことを特徴とする担持体ユニット。
  5. 請求項3に記載の帯電装置を有することを特徴とする画像形成装置。
  6. 芯軸と、該芯軸の外周面に固定された弾性部材と、該弾性部材に設けられたスペーサ部材とを有する帯電ローラの製造方法において、
    弾性部材を芯軸に固定し、その固定した弾性部材と、該弾性部材の外周面に圧接する研磨工具の少なくとも一方を回転させながら、弾性部材と研磨工具を相対的に当該弾性部材の長手方向に移動させて、弾性部材の外周面を研磨すると共に、研磨工具が弾性部材の長手方向各端部領域を研磨する時は、その長手方向中間部領域を研磨する時よりも、当該研磨工具と弾性部材との相対移動速さを低速にすることを特徴とする帯電ローラの製造方法。
  7. 芯軸と、該芯軸の外周面に固定された弾性部材と、該弾性部材に設けられたスペーサ部材とを有する帯電ローラの製造方法において、
    弾性部材の長手方向各端部領域が固定される芯軸部分の外径が、弾性部材の長手方向中間部領域が固定される芯軸部分の外径よりも大きくなるように形成された芯軸を用い、当該芯軸に弾性部材を固定した後、その弾性部材と、該弾性部材の外周面に圧接する研磨工具の少なくとも一方を回転させながら、弾性部材と研磨工具を相対的に当該弾性部材の長手方向に移動させて、弾性部材の外周面を研磨することを特徴とする帯電ローラの製造方法。
  8. 芯軸と、該芯軸の外周面に固定された弾性部材と、該弾性部材に設けられたスペーサ部材とを有する帯電ローラの製造方法において、
    弾性部材の長手方向各端部領域の厚さが、弾性部材の長手方向中間領域の厚さよりも小さくなるように、弾性部材を芯軸の外周面に成形して固定し、その固定した弾性部材と、該弾性部材の外周面に圧接する研磨工具の少なくとも一方を回転させながら、弾性部材と研磨工具を相対的に当該弾性部材の長手方向に移動させて、弾性部材の外周面を研磨することを特徴とする帯電ローラの製造方法。
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