JP3687480B2 - 多孔質ポリイミドフィルムおよびその製造法 - Google Patents

多孔質ポリイミドフィルムおよびその製造法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、両表面に緻密層を有し中央部が多孔質層である多孔質ポリイミドフィルムの製造法および該製造法によって得られる多孔質ポリイミドフィルムに関し、特に、電子分野で有用な低誘電率の絶縁材料として好適な多孔質ポリイミドフィルムの製造法および該製造法によって得られる多孔質ポリイミドフィルムに関する。この発明により両層の断面形状が略等しい、すなわち部分的に薄い層がなくほぼ均一でかつ片側の層の厚さと反対側の厚さとが等しいか、異なってもそれらの厚さの比が2倍以内である多孔質ポリイミドフィルムが得られる。
【0002】
【従来の技術】
従来より耐熱性、耐薬品性、機械的強度に優れたポリイミド多孔質膜として、高性能のガス分離用途のものが知られている。このガス分離用ポリイミド多孔質膜は、例えば、特開昭49−45152号公報に記載されているように、芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンとの重合反応によって得られたポリアミック酸の溶液を液状の薄膜に流延し、該薄膜を非溶媒中でイミド化しながら析出する、芳香族ポリイミドガス分離膜の製造方法によって得られる。
【0003】
また、テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンとの重縮合反応で得られたポリアミック酸の溶液を調製し、そのポリアミック酸の溶液で液状の薄膜を形成し、その薄膜を非溶媒中で析出し、最後にそのポリアミック酸の半透膜を製造する方法によって得られる。さらに、ポリアミック酸の溶液で薄膜を形成しながら一部イミド化を進めて、その薄膜を非溶媒中で析出し、最後にそのポリアミック酸−イミドの半透膜を加熱してイミド化を完結させてポリイミドの半透膜を製造する方法が知られている。また、ポリアミック酸の液状の薄膜を、イミド化剤含有非溶媒中で、イミド化しながら析出し、得られたイミド膜を加熱する方法が知られている。そして、溶媒中に溶解したポリアミック酸をフィルム状に流延した後、非溶媒と接触させてポリアミック酸の相分離析出を誘起する方法が知られている。
【0004】
これらの製造法によるポリイミド多孔質膜は、非溶媒と接触する一方の面に緻密層が他方の面に多孔質層が形成され、片面に形成された緻密層はガスの分離能を発現する。
しかし、このようなポリイミド多孔質膜は、上記片面の多孔質層が多孔構造のために塗布タイプの接着剤が使用される低誘電率フィルムとして適しているとはいえなかった。
【0005】
一方、低誘電率ポリマ−フィルムとして、特開平9−100363号公報には低誘電率発砲樹脂フィルムとラミネ−トとからなる低誘電率プラスチック絶縁フィルムが開示されている。そして、具体例として発砲体の両面を多孔質でないフィルムで張り付けたものが記載されている。つまり、表面層は発砲のない平坦なフィルムが好適であるとされる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記の製造法では低誘電率発砲樹脂フィルムと多孔質でないフィルムとの積層という2種類の基材と接着剤が必要であり、接着剤によってはかえって低誘電率プラスチック絶縁フィルムの耐熱性が低下したり、また2種類の基材を積層するという工程が必要であった。
本発明の目的は、フィルム中央部に多孔質層を有し且つ両表面に緻密層を有する多孔質ポリイミドフィルムおよびその好適な製造法を提供することである。
【0007】
【問題点を解決するための手段】
本発明は、ポリイミド前駆体が良溶媒と沸点が100℃以下の環状エ−テル類からなる貧溶媒との混合溶媒に溶解しているポリイミド前駆体溶液を、支持基材上に流延して溶液フィルムとし、溶液フィルムを前記貧溶媒からなる凝固浴に浸漬してフィルム状物を析出させ、フィルム状物を凝固浴から取り出し、加熱処理してイミド化して、フィルム両面に厚さが各側で10nm以上で片側の層の厚さと反対側の厚さとの比が2倍以内である緻密層を有し、フィルム中央部が平均孔径0.01〜5μmの微細孔を有する多孔質層からなり、全体の厚さが5〜150μmでフィルム両側の緻密層の厚さの和がフィルム全体の厚さの50%以下で、多孔質フィルム全体で平均した空孔率が30〜85%である多孔質ポリイミドフィルムの製造法に関する。また、本発明は、上記の製造法によって得られる多孔質ポリイミドフィルムに関する。また、本発明は、絶縁材料と金属層とを必須の構成材料として含む金属層−絶縁材料積層体において、絶縁材料として使用される上記の多孔質ポリイミドフィルムに関する。
【0009】
この発明の多孔質ポリイミドフィルムは、好適には200℃以上の耐熱性を有し、膜厚(全体厚)が5〜150μm、好ましくは5〜100μm、緻密層の厚さが各側で10nm以上、好ましくは1〜20μmであり、空孔率が30〜85%、特に40〜70%、多孔質層の平均孔径が0.01〜5μm、特に0.05〜1μm程度であり、さらに緻密層厚みの合計がフィルム全体の厚みの約50%以下である。フィルム全体の厚みが5μmより小さければフィルムの機械的強度が劣り、150μmより大きいと可撓性が劣る。また、緻密層が各側で10nmより小さいと、表面緻密層部分に欠陥が生じやすくなるため好ましくない。また緻密層の厚みの合計がフィルム全体の厚みの約50%以上であると多孔質層の部分が少なすぎて、多孔質フィルムの効果、例えば低誘電率の効果などが減少するので好ましくない。
この発明の多孔質ポリイミドフィルムによれば、フィルム両面に層の断面形状が略等しい緻密層を有しているので、通常のポリイミドフィルムと同様の取り扱いが可能でしかも低誘電率を示し絶縁材料として好適である。
【0010】
この発明の多孔質ポリイミドフィルムは、好適にはポリイミド前駆体が良溶媒と沸点が100℃以下の環状エ−テル類からなる貧溶媒との混合溶媒に溶解しているポリイミド前駆体溶液を、支持基材上に流延して溶液フィルムとし、溶液フィルムを凝固浴に浸漬してフィルム状物を析出させ、フィルム状物を凝固浴から取り出し、加熱処理してイミド化することによって製造することができる。
【0011】
本発明におけるポリイミド前駆体とは、テトラカルボン酸成分とジアミン成分の好ましくは芳香族化合物に属するモノマ−を重合して得られたポリアミック酸或いはその部分的にイミド化したものであり、加熱処理して熱イミド化することで閉環してポリイミド樹脂とすることができる。ポリイミド樹脂とは、後述のイミド化率が約90%以上の耐熱性ポリマ−である。
【0012】
前記のテトラカルボン酸成分とジアミン成分とを、有機溶媒中に大略等モル溶解、重合して、好適には対数粘度(30℃、濃度;0.5g/100mL NMP)が0.3以上、特に0.5〜7であるポリアミック酸であるポリイミド前駆体が製造される。また、重合を約80℃以上の温度で行った場合には、部分的に閉環してイミド化したポリイミド前駆体が製造される。
【0013】
前記のポリイミド前駆体を製造するための有機溶媒としては、パラクロロフェノ−ル、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ピリジン、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、フェノ−ル、クレゾ−ルなどが挙げられる。
【0014】
前記のテトラカルボン酸成分としては、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(以下、s−BPDAと略記することもある)、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(以下、a−BPDAと略記することもある)などのビフェニルテトラカルボン酸二無水物が好ましいが、2,3,3’,4’−又は3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、あるいは2,3,3’,4’−又は3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸の塩またはそれらのエステル化誘導体であってもよい。ビフェニルテトラカルボン酸成分は、上記の各ビフェニルテトラカルボン酸類の混合物であってもよい。
【0015】
また、上記のテトラカルボン酸成分は、前述のビフェニルテトラカルボン酸類のほかに、テトラカルボン酸として、ピロメリット酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エ−テル、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)チオエ−テル、あるいはそれらの酸二無水物、塩またはエステル化誘導体などの芳香族テトラカルボン酸類であってもよく、これらが、ブタンテトラカルボン酸、ヘキサンテトラカルボン酸などの脂肪族テトラカルボン酸や脂環族テトラカルボン酸あるいはそれらの酸無二水物を全テトラカルボン酸成分中10モル%以下、特に5モル%以下の割合で含有するものであってもよい。
【0016】
前記のジアミンとしては、例えば、次式
2N−R(R1m−A−(R2nR’−NH2
(ただし、前記の式において、RおよびR’は直接結合あるいは二価の芳香族環あるいは複素環で、R1およびR2は、水素、低級アルキル、低級アルコキシなどの置換基で、Aは、直接結合、O、S、CO、SO2、SO、CH2、C(CH32などの二価の基であり、mおよびnは1〜4の整数である。)で示される芳香族ジアミン化合物が好ましい。
【0017】
前記式で示される芳香族ジアミンの具体的な化合物としては、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(以下、DADEと略記することもある)、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルエ−テル、3,3’−ジエトキシ−4,4’−ジアミノジフェニルエ−テル、パラ−フェニレンジアミン(PPD)などが挙げられる。また上記各化合物の混合物であってもよい。
あるいは、複素環ジアミンとしては、ジアミノピリジンであってもよく、具体的には、2,6−ジアミノピリジン、3,6−ジアミノピリジン、2,5−ジアミノピリジン、3,4−ジアミノピリジンなどが挙げられる。
【0018】
本発明においては、ポリイミド前駆体が良溶媒と沸点が100℃以下の環状エ−テル類からなる貧溶媒との混合溶媒に溶解しているポリイミド前駆体溶液を使用することが必要である。
本発明におけるポリイミド前駆体溶液は、ポリイミド前駆体の良溶媒と沸点が100℃以下の環状エ−テル類からなる貧溶媒との混合溶媒中でテトラカルボン酸成分と芳香族ジアミン成分とを重合させるか、あるいはポリイミド前駆体の良溶媒の溶液に前記の環状エ−テル系貧溶媒を加えることによって得ることができる
。そして、前記ポリイミド前駆体溶液は、テトラカルボン酸成分と芳香族ジアミン成分とを有機溶媒中に大略等モル溶解、重合して得られた重合溶液をそのままあるいは濃縮するか溶媒を加えるかしてポリイミド前駆体の濃度を調節して使用することができる。
前記のポリイミド前駆体溶液は、ポリイミド前駆体0.3〜60重量%、特に1〜30重量%および良溶媒99.7〜40重量%、特に99〜70重量%からなる溶液が好適である。また、貧溶媒を含むポリイミド前駆体溶液は、10〜10000ポイズ、特に40〜3000ポイズの溶液粘度であるものが好ましい。
【0019】
前記のポリイミド前駆体の良溶媒としては、パラクロロフェノ−ル、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ピリジン、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素などが挙げられる。
【0020】
前記のポリイミド前駆体の貧溶媒としては、ポリイミド前駆体の貧溶媒でありかつポリイミド前駆体の良溶媒と相溶する揮発性溶媒であることが必要であり、沸点が100℃以下の環状エ−テ−ル類、例えばオキセタン(沸点48℃)、テトラヒドロフラン(沸点66℃)、テトラヒドロピラン(沸点88℃)などが挙げられる。特に、テトラヒドロフラン(THF)、テトラヒドロピラン(THP)が好ましい。
【0021】
本発明においては、前記のポリイミド前駆体の良溶媒と沸点が100℃以下の環状エ−テル類からなる貧溶媒との混合溶媒に溶解しているポリイミド前駆体溶液を支持基板上に流延して溶液フィルムとし、溶液フィルムを凝固浴に浸漬してフィルム状物を析出させ、フィルム状物を凝固浴から取り出し、加熱処理してイミド化する。
前記のフィルム状物は、好適にはポリイミド前駆体の混合溶媒溶液、好ましくは良溶媒と貧溶媒との合計量中の貧溶媒の割合が10〜60重量%、特に10〜50重量%、その中でも特に30〜50重量%となるように貧溶媒を含ませて混合溶媒溶液とし、この混合溶媒溶液を支持基板上に流延して溶液フィルムとし、次いで該溶液フィルムを貧溶媒の凝固浴に浸漬して貧溶媒を含んだフィルム状物を析出させ、該フィルム状物を上記凝固浴から取出すことによって得られる。加える貧溶媒の割合が10重量%少ないと貧溶媒の添加効果が少なく、60重量%より多いと均一な溶液が得にくいので好ましくない。前記の良溶媒および貧溶媒は各々1種類でもよく2種類以上を使用してもよい。
【0022】
前記の方法において、ポリイミド前駆体溶液からなるド−プを支持基板上に流延する方法としては、スプレ−法あるいはドクタ−ブレ−ド法を用いてコ−ティングする方法や、Tダイから押出す方法など、好適にはガラス等の基板上或いは可動式のベルトである基板上に流延する方法が挙げられる。
前記の流延用のド−プ溶液には、界面活性剤、難燃剤、着色剤、或いはガラス繊維、ケイ素系繊維、無機粉末等の補強材が含まれても良い。これらの添加剤及び補強材は上記ポリイミド前駆体の良溶媒溶液に添加しておいてもよく、あるいは流延用のド−プ溶液に添加してもよい。
【0023】
本発明においては、前記のようにして支持基板上に流延して溶液フィルムとし、溶液フィルムを貧溶媒からなる凝固浴に好ましくは室温〜50℃で1〜60分間程度浸漬してフィルム状物を析出させ、厚さ7〜200μm程度のフィルム状物を凝固浴から取り出し、加熱処理してイミド化することにより、フィルム中央部が多孔質層でフィルムの両表面部分が緻密層によって覆われている多孔質ポリイミドフィルムが形成される。
前記フィルム状物は、支持基板から剥離した後、ピン、チャックあるいはピンチロ−ルなどを用いて熱収縮が生じないように固定される。このフィルムの加熱処理によるイミド化は、大気中、好適には280〜500℃で5〜90分程度行うことが好ましい。
また、イミド化は熱イミド化で行うことができる。
【0024】
このようにして得られる多孔質ポリイミドフィルムは、200℃以上の耐熱性を有し、好適には膜厚(全体厚)が5〜150μm、好ましくは5〜100μmで緻密層の厚さが各側で10nm以上、好ましくは1〜20μmであり、さらに緻密層厚みの合計がフィルム全体の厚みの約50%以下であり、空孔率が30〜85%、特に40〜70%、多孔質層の平均孔径が0.01〜5μm、特に0.05〜1μm程度である。フィルム全体の厚みが5μmより小さければフィルムの機械的強度が劣り、150μmより大きいと可撓性が劣る。また、緻密層が各側で10nmより小さいと、表面緻密層部分に欠陥が生じやすくなるため好ましくない。また緻密層の厚みの合計がフィルム全体の厚みの約50%以上であると多孔質層の部分が少なすぎて、多孔質フィルムの効果、例えば低誘電率の効果などが減少するので好ましくない。
【0025】
本発明の多孔質ポリイミドフィルムは低誘電率フィルムである。
本発明の多孔質ポリイミドフィルムの誘電率は、空孔率にもよるが、25℃、103Hzの条件で、バルクのポリイミドフィルムの誘電率が3.2〜3.4であるのに対し、1.3〜2.8である。
【0026】
本発明によって得られる多孔質ポリイミドフィルムは、1層あるいは2層以上組み合わせて用いてもよい。2層以上を組み合わせることにより、用途によっては補強用として、あるいは厚物に用いることができる。また、他の材料、他のポリマ−、繊維、無機物と組み合わせて用いてもよい。
【0027】
本発明の多孔質ポリイミドフィルムは、実装に際しては単独あるいは多孔質ポリイミドフィルムの複数層を積層し、さらには新たに緻密なポリイミドフィルムを該多孔質ポリイミドフィルムに積層して用いることも可能である。また、例えばポリイミドフィルム、シリコン基板やガラス基板やカ−ボン基板やアルミニウム基板などの有機、無機あるいは金属の基板に任意の耐熱性接着剤を使用して多孔質ポリイミドフィルムの有する低誘電率や他の特性を損なうことなく積層して積層体を得ることができる。
【0028】
さらに、本発明の多孔質ポリイミドフィルムの片面に耐熱性接着剤を介してシリコン基板などの無機、有機あるいは金属の基板が、他の面に直接あるいは耐熱性接着剤を介して回路用の導電性金属層が設けられた積層体としてもよい。この場合、回路用の導電性金属層としては銅、ニッケル、クロム、アルミニウムなどのそれ自体公知の金属を蒸着法(真空蒸着あるいはスパッタ)−メッキ(無電解メッキ、電気メッキ)の各種組み合わせによって容易に回路用の導電性金属層を形成することができる。
【0029】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
以下の各例において、多孔質フィルムについて以下の物性を測定し評価した。
【0030】
▲1▼空孔率
所定の大きさに切取った多孔質フィルムの膜厚及び重量を測定し、目付重量から空孔率を次の式によって求めた。式中のSは多孔質フィルムの面積、dは膜厚、Wは測定した重量、Dはポリイミドの密度を意味し、ポリイミドの密度は1.34g/m3とした。
空孔率(%)=100−100×(W/D)/(S×d)
【0031】
▲2▼緻密層の厚さ、割合
多孔質フィルムの断面を切り取り、走査型顕微鏡で緻密層厚、フィルム全体厚を測定し、緻密層の割合を求めた。
▲3▼熱収縮率
所定の長さに目盛りを記した試料を、無拘束状態で105℃に設定したオ−ブン中で8時間静置し、取出した後の寸法を測定した。熱収縮率は次式に従う。次式のL1はオ−ンから取出した後のフィルム寸法を意味し、L0は初期のフィルム寸法を意味する。
熱収縮率(%)=[1−(L1/L0)]×100
▲4▼誘電率
周波数1000Hzで、JIS−C−6481に準じて測定した。
【0032】
実施例1
テトラカルボン酸成分としてs−BPDAを、ジアミン成分としてDADEを用い、s−BPDAに対するDADEのモル比が0.994で且つ該モノマ−成分の合計重量が18重量%になるように、THFとDMAcとの重量比率が1:1である混合溶媒に溶解し、40℃で6時間重合を行ってポリイミド前駆体溶液を得た。
【0033】
前記のポリイミド前駆体溶液をガラス板上に厚みが約80μmになるように流延し、貧溶媒のTHF凝固浴に浸漬させた後、乾燥の初期にガラサ板から剥離したポリイミド前駆体ゲルをピンテンタ−に固定した状態で、大気中にて300℃、40分間熱処理を行って、多孔質ポリイミドフィルムを得た。
得られた多孔質ポリイミドフィルムは、膜断面の走査型顕微鏡観察によって、両表面層はほぼ同一形状の緻密層で中央部に膜断面方向に貫通孔を有したものであることが確認された。この多孔質ポリイミドフィルムの測定結果を以下に示す。
【0034】
評価結果
膜厚 50μm
空孔率 44%
表面の形態 緻密層
緻密層厚み 4.0μm(基板側)、5.0μm(凝固液側)
中央部の形態 多孔層
熱収縮率 0.3%
誘電率 2.4
【0035】
実施例2
溶媒として、DMAcとTHFとの重量比率が1:0.5である混合溶媒としたポリイミド前駆体溶液から、実施例1と同様にして、多孔質ポリイミドフィルムを得た。
得られた多孔質ポリイミドフィルムは、膜断面の走査型顕微鏡観察による構造が実施例1で得られたものと同等であった。測定結果を以下に示す。
【0036】
評価結果
膜厚 50μm
空孔率 51%
表面の形態 緻密層
緻密層厚み 8.0μm(基板側)、10μm(凝固液側)
中央部の形態 多孔層
熱収縮率 0.3%
誘電率 2.8
【0037】
比較例1
溶媒として良溶媒であるNMPのみとしたポリイミド前駆体溶液をガラス基板上に流延し、THF凝固浴に浸漬させた後、実施例1と同様にして、多孔質ポリイミドフィルムを得た。
得られた多孔質ポリイミドフィルムの測定結果を以下に示す。
【0038】
評価結果
膜厚 30μm
空孔率 67%
表面の形態 不均一
中央部の形態 不均一
熱収縮率 0.3%
誘電率 3.0
【0039】
実施例3
各実施例で得られた多孔質ポリイミドフィルムとポリイミドシロキサン−エポキシ樹脂系接着剤(宇部興産社製、溶液タイプ)と電解銅箔(厚み:18μm)とを使用し、多孔質ポリイミドフィルムの両面に電解銅箔を熱圧着して、両面銅張基板を得た。
この両面銅張基板は、接着強度、耐熱性、電気特性が良好な特性を示した。
【0040】
【発明の効果】
本発明によると、耐熱性および耐薬品性に優れるポリイミドからなり、両表面層が緻密層で中央部に膜断面方向に貫通孔を有した多孔質ポリイミドフィルムを得ることが可能であり、電気機器の低誘電率フィルムとして使用することができる。

Claims (3)

  1. ポリイミド前駆体が良溶媒と沸点が100℃以下の環状エ−テル類からなる貧溶媒との混合溶媒に溶解しているポリイミド前駆体溶液を、支持基材上に流延して溶液フィルムとし、溶液フィルムを前記貧溶媒からなる凝固浴に浸漬してフィルム状物を析出させ、フィルム状物を凝固浴から取り出し、加熱処理してイミド化して、フィルム両面に厚さが各側で10nm以上で片側の層の厚さと反対側の厚さとの比が2倍以内である緻密層を有し、フィルム中央部が平均孔径0.01〜5μmの微細孔を有する多孔質層からなり、全体の厚さが5〜150μmでフィルム両側の緻密層の厚さの和がフィルム全体の厚さの50%以下で、多孔質フィルム全体で平均した空孔率が30〜85%である多孔質ポリイミドフィルムの製造法。
  2. 請求項1に記載の製造法によって得られる多孔質ポリイミドフィルム。
  3. 絶縁材料と金属層とを必須の構成材料として含む金属層−絶縁材料積層体において、絶縁材料として使用される請求項記載の多孔質ポリイミドフィルム。
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