JPH0749487B2 - 芳香族ポリイミドフィルムの製造法 - Google Patents

芳香族ポリイミドフィルムの製造法

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JPH0749487B2
JPH0749487B2 JP61163285A JP16328586A JPH0749487B2 JP H0749487 B2 JPH0749487 B2 JP H0749487B2 JP 61163285 A JP61163285 A JP 61163285A JP 16328586 A JP16328586 A JP 16328586A JP H0749487 B2 JPH0749487 B2 JP H0749487B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [発明の分野] 本発明は、極めて薄い芳香族ポリイミドフィルムの製造
法に関するものである。
[発明の背景] 膜厚が1μm以下であるような有機高分子重合体薄膜
(以下、超薄膜ともいう)は、選択性透過膜あるいは電
子材料の分野として利用され、また利用が検討されてい
る。
選択性透過膜の性能目標は、その主要用途である逆浸
透、除外濾過、透析、気体分離のいずれであるかを問わ
ず、高い選択性を維持したまま透過性を向上する点であ
るが、透過速度は膜厚に反比例するので、材料が同じで
あれば厚さをできるだけ薄くすることが重要となる。従
って、選択性を実質的に低下させることなく、かつ実用
面で支障の無い機械的強度などの物性が維持される限
り、選択性透過膜は可能な限り薄いことが望ましい。
また、有機高分子重合体の超薄膜は電子材料用の絶縁部
材、絶縁性支持体などとしても有用である。たとえば、
コンデンサーの容量は導体箔間の誘電層の厚さに反比例
するので、小型化、大容量化、膜厚の減少は必須であ
る。また、回路の作成に使うレジスト材料も、形成され
るパターンの精度を高めるために、レジスト層の厚さを
下げる必要があり、また回路の絶縁保護にも表面薄膜の
形成が必要となる。さらに、有機高分子重合体の超薄膜
の用途は、バイオセンサー、光集積回路、バイオチップ
などの各分野にわたっている。
近年、選択性透過膜あるいは電子材料の分野に利用され
る有機高分子重合体の超薄膜として、高度な耐熱性が要
求されるようになっている。すなわち、選択性透過膜あ
るいは電子材料は高温度の環境において使用されたり、
あるいは作動中に高温度となることが多く、このため従
来利用されている有機高分子重合体からなる超薄膜より
も耐熱性が顕著に改善された有機高分子重合体超薄膜が
求められている。
機械的特性と耐熱性の両者に優れた有機高分子重合体と
しては、既に芳香族ポリイミドが知られており、各種の
用途に使用され、また利用が検討されている。
芳香族ポリイミドのフィルムを製造するための通常の製
膜法としては、溶融押出し法、キャスティング法等が知
られている。しかしながら、これらの方法では膜厚が数
ミクロン程度までのフィルムは製造できても、膜厚が1
μm以下といった超薄膜で、均質かつ一定の強度を有す
るものを製造することは実際に不可能である。すなわ
ち、上記の方法で超薄膜の芳香族ポリイミドフィルムを
製造したとしても、それらは極めて不均質なものとなる
か、あるいはピンホールなどの欠陥部分が相当数存在す
るようになるため、充分な引張強度を持ったフィルムと
はならず、このため芳香族ポリイミドフィルムとして実
用において用いることができない。
本発明者は、充分な機械的強度を有する超薄膜芳香族ポ
リイミドフィルムの製造を目的として研究を行ない、そ
の過程において、有機高分子重合体の単分子膜の製造法
としては一般的な、有機高分子重合体溶液を水面上で拡
がらせて超薄膜とする技術の利用可能性について検討を
行なった。その結果、上記の一般的な単分子膜の製造技
術は、通常の溶媒には溶解し難く、わずかにフェノール
系溶媒などのような特殊の溶媒にのみ溶解するとされて
いる芳香族ポリイミドに、そのまま適用することが困難
であることを先ず見出した。すなわち、芳香族ポリイミ
ドのフェノール系溶媒溶液を水面に滴下しても、その溶
液は水面上を殆ど拡がることがないため均質な超薄膜を
得ることができない。
このため、本発明者はさらに研究を行なった結果、特定
の混合溶媒系を利用することによって芳香族ポリイミド
の溶液を調製することができ、かつこの芳香族ポリイミ
ド溶液は水面に供給された場合に均質かつ超薄膜状に水
面上に拡がる特性を有することを見出した。そして、こ
の溶液を用いることによって超薄膜状に水面上に形成さ
れた芳香族ポリイミド薄膜を乾燥することにより均質な
超薄膜状芳香族ポリイミドフィルムを得ることができる
ことを見出し、本発明に到達した。
[発明の目的] 本発明は、種々の工業的用途において実用的な価値を有
する芳香族ポリイミドの超薄膜の製造法を提供すること
を主な目的とする。
[発明の構成] 本発明は、膜厚が0.001〜1μmの範囲にあり、引張強
度が1kg/mm2以上であり、かつ無機粒子を含まないこと
を特徴とする芳香族ポリイミドフィルムの製造法からな
るもので、LB膜の一種である。
上記の超薄膜状芳香族ポリイミドフィルムは、LB製膜法
を利用した、芳香族ポリイミドをフェノール系化合物と
ハロゲン化炭化水素からなる混合溶媒に溶解してなり、
無機粒子を含まない芳香族ポリイミド溶液を水面上に供
給して該水面上に芳香族ポリイミド薄膜を形成させ、次
いで、該芳香族ポリイミド薄膜を乾燥することからなる
方法により容易に製造することができる。
以下、本発明の方法について、さらに詳しく説明する。
本発明の方法で使用する芳香族ポリイミドについては特
に限定はないが、その主成分が下記一般式(I): (ただし、Rは芳香族テトラカルボン酸成分の芳香族残
基であり、そしてR′は芳香族ジアミン成分の芳香族残
基である) で示される反復単位を有するような芳香族ポリイミドで
あることが望ましい。
上記一般式(I)で表わされる芳香族ポリイミドは既に
知られており、公知の重合方法で得ることができる。例
えば、3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸類、
2,3,3′,4′−ビフェニルテトラカルボン酸類などのビ
フェニルテトラカルボン酸類を主成分として(特に70モ
ル%以上の割合で)含有する芳香族テトラカルボン酸成
分と、4,4′−ジアミノフェニルエーテル、3,5−ジアミ
ノ安息香酸、および0−ジアニシン(DAN)、0−トリ
ジン(TOD)などのベンゼン環にアルコキシ基または低
級アルキル基を有するジアミノビフェニル化合物及び、
または4,4′−ジアミノジフェニルメタン(DADM)、3,
3′−ジアミノジフェニルメタンなどのジアミノジフェ
ニルメタン化合物とからなり、それらの各芳香族ジアミ
ンが前記の一般式(I)で示される反復単位の含有割合
と同じ割合となっている芳香族ジアミン成分とを、酸成
分とジアミン成分とが大略等モルとなるように使用し
て、極性溶媒(たとえばフェノール系溶媒)中で120〜4
00℃、特に150〜300℃の反応温度で一段で重合反応およ
びイミド化反応(イミド環化反応)させることによって
製造することができる。
前記の一般式(1)を構成することになる芳香族残基R
に係る芳香族テトラカルボン酸成分としては、例えば、
3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸、2,3,3′,
4′−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3′,4,4′−ベン
ゾフェノンテトラカルボン酸、2,2−ビス(3,4−ジカル
ボキシフェニル)プロパン等を挙げることができるが、
溶解性を損なわない量用いるのであれば、ビス(3,4−
ジカルボキシフェニル)メタン、ビス(3,4−ジカルボ
キシフェニル)スルホン、ビス(3,4−ジカルボキシフ
ェニル)エーテル、ビス(3,4−ジカルボキシフェニ
ル)チオエーテル、ピロメリット酸、あるいはそれらの
酸無水物、塩またはエステル化誘導体を併用することが
できる。さらに、芳香族テトラカルボン酸のほかにブタ
ンテトラカルボン酸などの脂肪族テトラカルボン酸、あ
るいはそれらの酸無水物、塩またはエステル誘導体など
のテトラカルボン酸類を、全カルボン酸成分に対して10
モル%以下、特に5モル%以下の割合で含有していても
よい。なお、芳香族テトラカルボン酸類は前記の各ビフ
ェニルテトラカルボン酸の混合物であってもよい。
前記の一般式(I)の芳香族残基R′にもたらす芳香族
ジアミン成分としては、例えば、4,4′−ジアミノジフ
ェニルエーテル、3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノジ
フェニルエーテル、3,3′−ジメトキシ−4,4′−ジアミ
ノジフェニルエーテル、3,3′−ジアミノジフェニルエ
ーテル、3,4′−ジアミノジフェニルエーテルなどのジ
フェニルエーテル系ジアミン、4,4′−ジアミノジフェ
ニルチオエーテル、3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノ
ジフェニルチオエーテル、3,3′−ジメチル−4,4′−ジ
アミノジフェニルチオエーテル、3,3′−ジアミノジフ
ェニルチオエーテルなどのジフェニルチオエーテル系ジ
アミン、4,4′−ジアミノベンゾフェノン、3,3′−ジメ
チル−4,4′−ジアミノベンゾフェノン、3,3′−ジアミ
ノベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系ジアミン、4,
4′−ジアミノジフェニルメタン、3,3′−ジメトキシ−
4,4′−ジアミノジフェニルメタン、3,3′−ジアミノジ
フェニルメタンなどのジフェニルメタン系ジアミン、2,
2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス
(3−アミノフェニル)プロパンなどのビスフェニルプ
ロパン系ジアミン、4,4′−ジアミノジフェニルスルホ
ン、3,3′−ジアミノジフェニルスルホンなどのジフェ
ニルスルホン系ジアミン、ベンチジン、3,3−ジメトキ
シベンチジン、3,3′−ジメチルベンチジン、3,3′−ジ
アミノビフェニルなどのビフェニル系ジアミン、または
o−、m−、p−フェニレンジアミンなどを挙げること
ができる。
また、本発明に使用される芳香族ポリイミドの製造方法
としては、例えば、前記のようなビフェニルテトラカル
ボン酸成分と芳香族ジアミン成分とを、アセトアミド、
ホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジ
メチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N N
−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミ
ド、N−メチルカプロラクタムなどのアミド系溶媒、ジ
メチルスルホキシド、ジエチルスルホキシドなどのアル
キルスルホキシド系溶媒、テトラメチル尿素、テトラエ
チル尿素などのアルキル尿素系溶媒、ジオキサン、トリ
オキサンなどの環状エーテル系溶媒グリコール、ジグラ
イムなどの有機極性溶媒中に大略等モル溶解し、約80℃
以下、特に0〜60℃の温度で重合して対数粘度(測定条
件:30℃、濃度0.5g/100ml、N−メチル−2−ピロリド
ン)が約0.3以上、特に0.5〜7程度であるポリアミック
酸を製造し、そのポリアミック酸の有機極性溶媒溶液
(重合反応液をそのまま使用してもよい)に、トリメチ
ルアミン、トリエチルアミン、ピリジンなどの第3級ア
ミン化合物、無水酢酸、塩化チオニル、カルボジイミド
などのイミド化促進剤を添加し、5〜150℃でイミド化
するか、あるいはイミド化促進剤を添加することなく、
前記ポリアミック酸溶液を100〜400℃、好ましくは120
〜300℃に加熱して、ポリマーのイミド化率が90%以上
になるようにイミド化して、粉末状の芳香族ポリイミド
を沈殿させて単離する方法を利用して得ることができ
る。
さらに、芳香族ポリイミドの製造法として、前記と同様
にして製造された対数粘度が約0.5以上のポリアミック
酸の溶液にアセトンまたはアルコールを多量に添加し
て、ポリアミック酸の粉末を沈殿させるか、あるいはポ
リアミック酸の溶液から溶媒を蒸発して除去しながら、
必要であれば沈殿剤などを添加してポリアミック酸の粉
末を沈殿させ、濾過などで単離し、そのポリアミック酸
の粉末を150〜400℃の高温に加熱してポリマーのイミド
化率が90%以上になるまでイミド化して、ポリイミド粉
末の製造する方法を挙げることができる。
本発明に使用される芳香族ポリイミドは、測定温度を30
℃とし、試料のポリマー濃度0.5g/100ml溶媒(パラクロ
ルフェノール4容量とオルソクロルフェノール1容量と
の混合溶媒とする測定条件)で測定した対数粘度が約0.
3〜7.0、特に0.4〜5.0、さらに好ましくは0.5〜4.0程度
である広範囲のものを使用することができる。
本発明の超薄膜状の芳香族ポリイミドは、前述のよう
に、フェノール系化合物とハロゲン化炭化水素からなる
混合溶媒に溶解してなり、無機粒子を含まない芳香族ポ
リイミド溶液を水面上に供給して該水面上に芳香族ポリ
イミド薄膜を形成させ、次いで、該芳香族ポリイミド薄
膜を乾燥する方法を利用して製造することができる。
上記の芳香族ポリイミド溶液を得るために利用されるフ
ェノール系化合物としては、融点が約100℃以下、特に
好ましくは約80℃以下であり、しかもその沸点が常圧で
約300℃以下、特に好ましくは約280℃以下であるフェノ
ール系化合物が好ましく、例えばフェノール、o−、m
−、p−クレゾール、3,5−キシレノール、あるいはそ
の一価フェノールのベンゼン環の水素をハロゲンで置換
したハロゲン化フェノールなどを好適に挙げることがで
きる。
上記のハロゲン化フェノールとしては、一般式(II): (ただし、R2は水素または炭素数1〜3のアルキル基で
あり、Xはハロゲン原子である)で示され、しかもその
融点が約100℃以下であり、その沸点が常圧で約300℃以
下であるハロゲン化フェノールが、ビフェニルテトラカ
ルボン酸系の芳香族ポリイミドを均一に良く溶解するの
で最適である。
上記のハロゲン化フェノール化合物としては、例えば3
−クロルフェノール、4−クロルフェノール(パラクロ
ルフェノール、PCPと略記されることもある)、3−ブ
ロムフェノール、4−ブロムフェノール、2−クロル−
4−ヒドロキシトルエン、2−クロル−5−ヒドロキシ
トルエン、3−クロル−6−ヒドロキシトルエン、4−
クロル−2−ヒドロキシトルエン、2−ブロム−4−ヒ
ドロキシトルエン、2−ブロム−5−ヒドロキシトルエ
ン、3−ブロム−6−ヒドロキシトルエン、4−ブロム
−2−ヒドロキシトルエンなどを挙げることができる。
芳香族ポリイミド溶液を得るために利用されるハロゲン
化炭化水素としては、例えば、1,2−ジクロルエタン、
1,2−ジクロルプロパン、1,1−ジクロロエタン、1,1,2
−トリクロルエタン、1,2−ジクロルエチレン、1,1,1,2
−テトラクロルエタン、1,1,1−トリクロルエタン、1,
1,2,2−テトラクロルエタン、クロルベンゼン、o−ジ
クロルベンゼン、エチレンクロルブロミド、1,2,4−ト
リクロルベンゼン、α−クロルナフタリン、テトラブロ
ムエタン、臭化エチレン、1,2−ジブロムベンゼンを挙
げることができる。
混合溶媒中の重合体(芳香族ポリイミド)含有量は、通
常0.1〜10重量%であり、0.2〜8重量%が好ましい。重
合体含有量が0.1重量%より少ない場合は水面上にて重
合体溶液が網目状に広がり、均一な薄膜を形成すること
が困難となりやすい。また、10重量%より多い場合には
水面上にて重合体が固化しやすくなり、自生的に充分拡
がらず超薄膜化が困難となる傾向がある。
本発明に使用されるハロゲン化炭化水素類は、芳香族ポ
リイミド溶液に対して、10〜90重量%、好ましくは20〜
80重量%、さらに好ましくは30〜60重量%の範囲であ
る。ハロゲン化炭化水素類の含有量が上記範囲より少な
い場合は充分な拡散効果が得られにくく、一方、多い場
合には一般に該溶媒はポリマーに対して貧溶媒として働
くことが多いため、溶液の安定性が損なわれる場合があ
る。
本発明においては上記濃度範囲に調製されたポリマー溶
液を水(水混和性有機溶媒が含まれていてもよい)の表
面上に供給(たとえば、間欠的に水面上に滴下)する
と、液滴はただちに水面に拡がり、円形の超薄膜が形成
される。形成された超薄膜は、リング状仮支持体、濾水
機能を有する仮支持体(多孔質膜、ガラスフィルターな
ど)などの仮支持体を用いて抄いあげられ、乾燥され、
目的の芳香族ポリイミドフィルムとされる。この際に、
超薄膜を積層されるように、仮支持体上に超薄膜を繰り
返し抄いあげてゆけば、多層構成の芳香族ポリイミドフ
ィルムを得ることができる。なお、抄いあげた超薄膜の
乾燥は通常の環境条件下に放置する方法によっても可能
であるが、そのような乾燥操作の代りに、あるいはその
後に、室温〜200℃、特に50〜180℃、の範囲の温度で0.
1〜数時間加熱する処理を施すことが、高い強度を有す
る芳香族ポリイミドフィルムを得るためには好ましい。
仮支持体を用いて抄いあげた薄膜(単層体又は積層体)
は、仮支持体に付けたままの状態で乾燥(所望により加
熱)し芳香族ポリイミドフィルムにした後で仮支持体か
ら取り外すことが取り扱い上便利である。
また、超薄膜を前述の多孔質膜を利用して抄い上げた場
合には、超薄膜(好ましくは積層膜)と多孔質膜とを分
離せずに、そのまま乾燥(所望により、加熱)すれば、
気体分離層として機能するポリイミド均質層が片面に備
えられた気体分離膜を得ることができる。
なお超薄膜の製造に際して、細管を通してポリマー溶液
を水面上に連続的に供給し、自生的に拡がった芳香族ポ
リイミドフィルムを、反対側から該超薄膜を順次取り出
す方法を利用すれば、連続的に超薄膜を製造することも
できる。
水面上に供給する芳香族ポリイミド溶液(以下ポリマー
溶液ともいう)の温度には、該ポリマー溶液中に芳香族
ポリイミドが溶解状態で存在している限り、特に制限は
ない。たとえば、4−クロルフェノールと1,1,2,2−テ
トラクロルエタンよりなる混合溶媒を使用する場合、ポ
リマー溶液の温度は10〜140℃の温度範囲であり、好ま
しくは20〜100℃の温度範囲である。この温度範囲より
低い温度では、重合体が固化しやすく、水面上に滴下し
た場合、充分自生的に拡がらない。
水面上に形成される芳香族ポリイミド薄膜の厚みは、た
とえば水の温度、得られる膜の拡がり、溶媒の蒸発速度
によって大きく影響される。ポリマ溶液膜の拡がりの過
程においては溶媒が残存していることが必要であり、溶
媒の蒸発が早すぎると、膜の拡がりは小さい。そのため
水温は、ポリマー溶液の表面張力および界面張力の値
と、溶媒の蒸発速度のバランスを取って決められるべき
であるが、一般に水温の低いほど膜の拡がりは大きい傾
向がある。従って使用する水の温度は、0〜80℃、好ま
しくは1〜50℃、さらに好ましくは3〜30℃である。
上記の方法により、膜厚が0.001〜1μmの範囲にあ
り、かつ引張強度が1kg/mm2以上である芳香族ポリイミ
ドフィルムを製造することができる。製造された芳香族
ポリイミドフィルムは、その製造操作の容易さ、および
実用性能を考慮すると、その膜厚は0.005〜1μmの範
囲にあることが望ましい。引張強度は2kg/mm2以上であ
ることが望ましく、更に5kg/mm2以上であることが特に
望ましい。
次に本発明の実施例と比較例とを記載する。
[実施例1] 3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物40
ミリモル、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル4ミリ
モル、o−トリジンスルホン36ミリモルおよびパラクロ
ルフェノール189gを、撹拌機と窒素ガス導入管とが付設
されたセパラブルフラスコに入れて、窒素ガスを流通さ
せながら、反応液を常温から180℃まで昇温させて、重
合およびイミド環化を一段で行なって粘稠なポリイミド
溶液(ポリマー濃度:10重量%、ポリマーのイミド化率:
95%以上)を得た。
得られたポリイミド溶液1gを1,1,2,2−テトラクロルエ
タン3.5gと混合し、この混合溶液を25℃に保持した水面
上に一滴供給した。滴下された液滴はすぐに水面上に拡
がり、円形状の超薄膜が得られた。この薄膜をリング状
のポリテトラフルオロエチレン製仮支持体にて抄い上げ
仮支持体に超薄膜を張らせた。同様の操作により繰り返
し水面上に円形状の超薄膜を形成させ、これを順次、超
薄膜が張っているリング状のポリテトラフルオロエチレ
ン製仮支持体で抄い上げて超薄膜の積層体(10枚重ね)
を得た。
次に、この超薄膜の積層体を仮支持体に張ったままエタ
ノール中に一旦浸漬させたのち、空気中にて乾燥させ、
次いで150℃で1時間加熱した後、仮支持体から取り外
して芳香族ポリイミドフィルムの積層体を得た。
この芳香族ポリイミドフィルムの膜厚を渦電流式膜厚計
(エレック・ファイン・インスツルメント社製)で、そ
して引張強度と5%初期弾性率をTOM/5型引張り試験機
(新興通信工業(株)製)でそれぞれ測定した。
その結果、膜厚は一枚当り0.15μm、引張強度は9.3kg/
mm2、そして5%初期弾性率は140kg/mm2であることがわ
かった。
[実施例2] 実施例1で重縮合したポリイミド粉末を用いて、ポリイ
ミド5.0重量%、PCP45重量%、フェノール25.0重量%、
1,1,2,2−テトラクロルニタン25.0重量%のポリマー溶
液を調製した。
このポリマー溶液を用いて実施例1と同様にして水面上
にて薄膜を形成し、リング状仮支持体を用いて超薄膜の
積層体を形成し、これを加熱乾燥したところ、膜厚(一
枚当り)が0.08μmで、膜面積が500cm2の均質な芳香族
ポリイミドフィルムが得られた。
このフィルムの引張強度は10.0kg/mm2であった。
[実施例3] 実施例1で重縮合したポリイミド粉末を用いて、ポリイ
ミド2.5重量%、PCP22.5重量%、1,1,1−トリクロルエ
タン75.0重量%のポリマー溶液を調製した。
このポリマー溶液を用いて実施例1と同様にして水面上
にて薄膜を形成し、リング状仮支持体を用いて超薄膜の
積層体を形成し、リング状仮支持体を用いて超薄膜の積
層体を形成し、これを加熱乾燥したところ、膜厚が(一
枚当り)が0.12μmで、膜面積が約150cm2の均質な芳香
族ポリイミドフィルムが得られた。
このフィルムの引張強度は16.0kg/mm2であった。
[実施例4] 実施例1で重縮合したポリイミド粉末を用いて、ポリイ
ミド3,3重量%、PCP30.0重量%、0−ジクロルベンゼン
66.7重量%のポリマー溶液を調製した。
このポリマー溶液を用いて実施例1と同様にして水面上
にて薄膜を形成し、リング状仮支持体を用いて超薄膜の
積層体を形成し、これを加熱乾燥したところ、膜厚(一
枚当り)が0.10μmで、膜面積が約200cm2の均質な芳香
族ポリイミドフィルムが得られた。
このフィルムの引張強度は12.4kg/mm2であった。
[実施例5] 実施例1で重縮合したポリイミド粉末を用いて、ポリイ
ミド2.5重量%、PCP22.5%、テトラブロムエタン75.0重
量%のポリマー溶液を調製した。
このポリマー溶液を用いて実施例1と同様にして水面上
にて薄膜を形成し、リング状仮支持体を用いて超薄膜の
積層体を形成し、これを加熱乾燥したところ、膜厚(一
枚当り)が0.15μmで、膜面積が約100cm2の均質な芳香
族ポリイミドフィルムが得られた。
このフィルムの引張強度は14.0kg/mm2であった。
[比較例1] 実施例1で重縮合したポリイミド粉末を用いてポリイミ
ド3.3重量%、PCP96.7重量%の溶液を調製し、前述と同
様に水面に滴下したところ液滴は拡がらず、レンズ状に
残り、薄膜は形成されなかった。
[実施例6] 3,3′,4,4−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物40ミ
リモル、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル40ミリモ
ルおよびパラクロルフェノール165gを、撹拌機と窒素ガ
ス導入管とが付設されたセパラブルフラスコに入れて、
窒素ガスを流通させながら、反応液を常温から180℃ま
で約50分間で昇温し、さらにその反応液を180℃に8時
間保持して、重合およびイミド環化を一段で行なって粘
稠なポリイミド溶液を得た。
このポリイミド溶液は、ポリマー濃度が10重量%であ
り、ポリマーのイミド化率が95%以上であり、さらにポ
リマーの対数粘度(50℃、0.5g/100mlパラクロルフェノ
ール)が2.2であった。
前記のようにして得られたポリイミド溶液をエタノール
中に滴下し粉末状にした。これを濾別し、さらにエタノ
ール溶液で洗浄して100℃で乾燥してポリイミド粉末を
得た。
このポリイミド粉末を用い、ポリイミド2.2重量%、パ
ラクロルフェノール20.0重量%、1,1,2,2−テトラクロ
ルエタン77.8重量%からなる溶液を調製した。このポリ
マー溶液を25℃に保持した水面上に一滴供給した。滴下
された液滴はすぐに水面上に拡がり、円形状の超薄膜が
得られた。この薄膜をポリイミド製の多孔質膜(P・CO
2:3.0×10-3cm3/cm2・秒・cmHg)を用いて取り出したの
ち150℃にて1時間乾燥させたところ、膜厚が0.3μm
で、膜面積が約400cm2の均質な芳香族ポリイミドフィル
ムが得られた。
前記のようにして製造した芳香族ポリイミド超薄膜につ
いて、気体透過テストを行なった。すなわち、上記芳香
族ポリイミド超薄膜の積層体に対する二酸化炭素の透過
度(P・CO2)とメタンの透過度(P・CH4)をそれぞれ
50℃で測定したところ下記の結果が得られた。
P・CO2:1.5×10-5cm3/cm2・秒・cmHg P・CO2/P・CH4:45 すなわち、得られた芳香族ポリイミドフィルムは、選択
性気体透過膜として優れた性能を有することが確認され
た。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】芳香族ポリイミドをフェノール系化合物と
    ハロゲン化炭化水素からなる混合溶媒に溶解してなり、
    無機粒子を含まない芳香族ポリイミド溶液を水面上に供
    給して該水面上に芳香族ポリイミド薄膜を形成させ、次
    いで、該芳香族ポリイミド薄膜を乾燥することを特徴と
    する、膜厚が0.001〜1μmの範囲にあり、引張強度が1
    kg/mm2以上であり、かつ無機粒子を含まない芳香族ポリ
    イミドフィルムの製造法。
  2. 【請求項2】該芳香族ポリイミド溶液中におけるハロゲ
    ン化炭化水素の含有量が10〜90重量%の範囲にある特許
    請求の範囲第1項記載の芳香族ポリイミドフィルムの製
    造法。
  3. 【請求項3】該芳香族ポリイミド溶液中における芳香族
    ポリイミドの含有量が0.1〜10重量%の範囲にある特許
    請求の範囲第1項記載の芳香族ポリイミドフィルムの製
    造法。
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