JP2001145826A - 多孔質膜の製造方法および多孔質膜 - Google Patents
多孔質膜の製造方法および多孔質膜Info
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Abstract
孔を有し且つ表面に緻密層が実質的に存在しないポリイ
ミド前駆体多孔質膜およびポリイミド多孔質膜の製造方
法を提供することである。 【解決手段】 ポリイミド前駆体0.3〜60重量%お
よびポリイミド前駆体の良溶媒60〜95重量%と非溶
媒5〜40重量%とからなる混合溶媒40〜99.7重
量%からなる溶液をフィルム状に流延し、次いで凝固溶
媒に接触させるポリイミド前駆体多孔質膜の製造方法を
提供する。
Description
法および多孔質膜に関し、特に、膜断面方向に関通孔を
有し且つ表面に緻密層が存在しないポリイミド多孔質膜
の製造方法およびポリイミド多孔質膜に関する。
に優れたポリイミド多孔質膜として、高性能のガス分離
用途のものが知られている。このガス分離用ポリイミド
多孔質膜は、例えば、特開昭49−45152号公報に
記載されているように、芳香族テトラカルボン酸二無水
物と芳香族ジアミンとの重合反応によって得られたポリ
アミック酸の溶液を液状の薄膜に流延し、該薄膜を非溶
媒中でイミド化しながら析出する、芳香族ポリイミドガ
ス分離膜の製造方法によって得られる。また、テトラカ
ルボン酸二無水物と芳香族ジアミンとの重縮合反応で得
られたポリアミック酸の溶液を調製し、そのポリアミッ
ク酸の溶液で液状の薄膜を形成し、その薄膜を非溶媒中
で析出し、最後にそのポリアミック酸の半透膜を製造す
る方法よって得られる。さらに、ポリアミック酸の溶液
で薄膜を形成しながら一部イミド化を進めて、その薄膜
を非溶媒中で析出し、最後にそのポリアミック酸−イミ
ドの半透膜を加熱してイミド化を完結させてポリイミド
の半透膜を製造する方法が知られている。また、ポリア
ミック酸の液状の薄膜を、イミド化剤含有非溶媒中で、
イミド化しながら析出し、得られたイミド膜を加熱する
方法が知られている。そして、溶媒中に溶解したポリア
ミック酸をフィルム状に流延した後、非溶媒と接触させ
てポリアミック酸の相分離析出を誘起する方法が知られ
ている。
媒と接触する少なくとも一方の面に緻密層が形成され、
且つフィルム内部に数μm〜数10μmの孔が存在した
不均一構造を有する多孔質膜となる。フィルム表面に形
成された上記緻密層はガスの分離能を発現するが、この
ようなガス分離膜は、上記緻密層の存在及び独立気泡主
体の孔構造のために高い透気性、透液性の実現が要求さ
れる例えば電池セパレ−タなどの用途に際しては大きな
障壁となる。
方向に貫通孔を有し且つ表面に緻密層の存在しない多孔
質膜を得ることで、電池セパレ−タ用多孔質フィルムを
製造する方法がこの出願人によって平成11年3月に出
願されている。この貫通孔を有するポリイミド多孔膜で
は、ポリイミド前駆体溶液を基板上に流延し、溶媒置換
速度調整材を介して凝固溶媒に接触させることによっ
て、上記貫通孔を有したポリイミド前駆体の多孔体を析
出させている。
は溶媒置換速度調整材が必要であり、更に上記置換速度
調整材を流延後の溶液表面に積層させる工程と、ポリイ
ミド前駆体の多孔体析出後に上記置換速度調整材を上記
ポリイミド前駆体多孔質膜から剥離除去する複雑な工程
が必要であった。本発明の目的は、簡単な操作で膜断面
に貫通孔を有し且つ表面に緻密層が実質的に存在しない
ポリイミド前駆体多孔質膜およびポリイミド多孔質膜の
製造方法を提供することである。また、本発明の他の目
的は、簡単な操作で得られる貫通孔を有するポリイミド
前駆体多孔質膜およびポリイミド多孔質膜、さらにこれ
らの多孔質膜を構成要素として含む単層または複層の多
孔質膜を提供することである。
駆体0.3〜60重量%およびポリイミド前駆体の良溶
媒60〜95重量%と非溶媒5〜40重量%とからなる
混合溶媒40〜99.7重量%からなる溶液をフィルム
状に流延し、次いで凝固溶媒に接触させて引張強さが1
0kgf/cm2以上のポリイミド前駆体多孔質膜の製
造方法に関する。また、本発明は、上記のポリイミド前
駆体多孔質膜を熱処理するポリイミド多孔質膜の製造方
法に関する。また、本発明は、上記の製造方法によって
得られるポリイミド前駆体多孔質膜を構成要素として含
む単層または複層の多孔質膜に関する。さらに、本発明
は、上記の製造方法によって得られるポリイミド多孔質
膜を構成要素として含む単層または複層の多孔質膜に関
する。
記する。 1)混合溶媒に用いるポリイミド前駆体の良溶媒及び非
溶媒の溶解度パラメ−タ−の差が5MPa1/2以下であ
る上記のポリイミド前駆体多孔質膜の製造方法。 2)混合溶媒に用いるポリイミド前駆体の良溶媒及び凝
固溶媒の溶解度パラメ−タ−の差が5MPa1/2以下で
ある上記のポリイミド前駆体多孔質膜の製造方法。 3)ポリイミド前駆体の非溶媒あるいは凝固溶媒の沸点
が150℃より高い場合には、熱処理の前に非溶媒を除
去した後にポリイミド前駆体多孔質膜を熱処理する上記
のポリイミド多孔質膜の製造方法。 4)ポリイミド前駆体の非溶媒あるいは凝固溶媒の沸点
が150℃より高い場合には、沸点が150℃以下であ
ってポリイミド前駆体の非溶媒と置換した後にポリイミ
ド前駆体多孔質膜を熱処理する上記のポリイミド多孔質
膜の製造方法。 5)ポリイミド前駆体多孔質膜の熱処理を化学イミド化
剤の存在下に行う上記のポリイミド多孔質膜の製造方
法。
3〜60重量%およびポリイミド前駆体の良溶媒60〜
95重量%と非溶媒5〜40重量%とからなる混合溶媒
40〜99.7重量%からなる溶液をド−プ液として使
用することが必要であり、多孔質膜の引張強さは10k
gf/cm2以上であることが必要である。また、本発
明においては、前記のド−プ液をフィルム状に流延す
る。
ボン酸成分とジアミン成分の好ましくは芳香族化合物に
属するモノマ−を重合して得られたポリアミック酸或い
はその部分的にイミド化したものであり、熱処理或いは
化学処理することで閉環してポリイミド樹脂とすること
ができる。ポリイミド樹脂とは、後述のイミド化率が約
50%以上の耐熱性ポリマ−である。
分とを、有機溶媒中に大略等モル溶解、重合して、ポリ
アミック酸であるポリイミド前駆体が製造される。ま
た、重合を約80℃以上の温度で行った場合に、部分的
に閉環してイミド化したポリイミド前駆体が製造され
る。このポリイミド前駆体は、溶液粘度が10〜100
00ポイズ、特に40〜3000ポイズであるものが好
ましい。溶液粘度が10ポイズより小さいと多孔質膜を
作製した際のフィルム強度が低下するので適当でなく、
10000ポイズより大きいとフィルム状に流延するこ
とが困難となるので、上記範囲が好適である。前記のポ
リイミド前駆体を製造するための有機溶媒としては、パ
ラクロロフェノ−ル、N−メチル−2−ピロリドン(N
MP)、ピリジン、N,N−ジメチルアセトアミド(D
MAc)、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルス
ルホキシド、テトラメチル尿素、フェノ−ル、クレゾ−
ルなどが挙げられる。
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無
水物(以下、s−BPDAと略記することもある)、
2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無
水物(以下、a−BPDAと略記することもある)など
のビフェニルテトラカルボン酸二無水物が好ましいが、
2,3,3’,4’−又は3,3’,4,4’−ビフェ
ニルテトラカルボン酸、あるいは2,3,3’,4’−
又は3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸
の塩またはそれらのエステル化誘導体であってもよい。
ビフェニルテトラカルボン酸成分は、上記の各ビフェニ
ルテトラカルボン酸類の混合物であってもよい。
述のビフェニルテトラカルボン酸類のほかに、テトラカ
ルボン酸として、ピロメリット酸、3,3’,4,4’
−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、2,2−ビス
(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン、ビス
(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン、ビス
(3,4−ジカルボキシフェニル)エ−テル、ビス
(3,4−ジカルボキシフェニル)チオエ−テル、ブタ
ンテトラカルボン酸、あるいはそれらの酸無水物、塩ま
たはエステル化誘導体などのテトラカルボン酸類であっ
てもよく、これらが全テトラカルボン酸成分中10モル
%以下、特に5モル%以下の割合で含有するものが好ま
しい。
次式 H2N−Bz(R1)m−[A−(R2)nBz]l−NH2 (ただし、前記一般式において、Bzはベンゼン環で、
R1またはR2は、水素、低級アルキル、低級アルコキシ
などの置換基で、Aは、独立に直接結合、O、S、C
O、SO2、SO、CH2、C(CH3)2などの二価の基
であり、lは0または1〜2の整数、mまたはnは1〜
4の整数である。)で示される芳香族ジアミン化合物が
好ましい。
な化合物としては、4,4’−ジアミノジフェニルエー
テル(以下、DADEと略記することもある)、3,
3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルエ−テ
ル、3,3’−ジエトキシ−4,4’−ジアミノジフェ
ニルエ−テルパラ−フェニレンジアミン(PPD)など
が挙げられる。また上記各化合物の混合物であってもよ
い。あるいは、芳香族ジアミン成分としては、ジアミノ
ピリジンであってもよく、具体的には、2,6−ジアミ
ノピリジン、3,6−ジアミノピリジン、2,5−ジア
ミノピリジン、3,4−ジアミノピリジンなどが挙げら
れる。
体、好適には対数粘度(30℃、濃度;0.5g/10
0mL NMP)が0.3以上、特に0.5〜7である
ポリイミド前駆体を重合溶液から分離して良溶媒と非溶
媒との混合溶媒に加えるか、あるいは重合溶液に直接あ
るいは重合溶液を濃縮した後に非溶媒を加えて、ポリイ
ミド前駆体0.3〜60重量%および良溶媒60〜95
重量%と非溶媒5〜40重量%とからなる混合溶媒40
〜99.7重量%からなる溶液を調整する。
は、パラクロロフェノ−ル、N−メチル−2−ピロリド
ン(NMP)、ピリジン、N,N−ジメチルアセトアミ
ド(DMAc)、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメ
チルスルホキシド、テトラメチル尿素、フェノ−ル、ク
レゾ−ルなどが挙げられる。
は、エタノ−ル、1−ブタノ−ル、1−ペンタノ−ル、
1−ヘキサノ−ルなどのアルコ−ル類、メチルエチルケ
トン(以下、MEKと略記することもある)、アセトン
などが挙げられる。特に、非溶媒として、次式に従って
求められる非溶媒の溶解度パラメ−タ−とポリイミド前
駆体の良溶媒の溶解度パラメ−タ−との差が5MPa
1/2以下であるものが好適である。非溶媒と良溶媒との
溶解度パラメ−タ差が5MPa1/2より大きくなると、
緻密層が形成されやすくなる。
り、Hは凝固溶液に接触させるときの温度(K)、Hは
該溶媒1モルを上記温度Tにて等温気化させるのに必要
なエンタルピ−(J/mol)、Rはガス定数(J/K
・mol)、Vは該溶媒のモル体積(cm3/mol)
をそれぞれ表わす。]
(J.Brandrup.E.H.Immergut,E.A.Grulke,Polymer Handb
ook,4th ed.,John Wiley&Sons,New York,1999)などに
より容易に知ることができる。例えば、NMP:23.
1MPa1/2、DMAc:22.1MPa1/2、シクロヘ
キサン:16.8MPa1/2、テトラヒドロフラン:1
8.6MPa1/2、MEK:19.0MPa1/2、アセト
ン:20.3MPa1/2、1−ヘプタノ−ル:21.7
MPa1/2、1−ヘキサノ−ル:21.9MPa1/2、1
−ペンタノ−ル:22.3MPa1/2、1−ブタノ−
ル:22.3MPa1/2、1−プロパノ−ル:24.3
MPa1/2、エタノ−ル:26.0MPa1/2、メタノ−
ル:29.7MPa1/2、エチレングリコ−ル:32.
9MPa1/2、水:47.9MPa1/2である。
ラメ−タ差が0.2〜4.5MPa 1/2の範囲であるこ
とが好ましい。溶解度パラメ−タ差が0.2MPa1/2
より小さくなると凝固溶媒に接触させたときに溶媒置換
に要する時間が長くなるため好ましくなく、溶解度パラ
メ−タ−差が4.5MPa1/2より大きくなると膜表面
の開口部分が不均一に閉塞しやすくなるため好ましくな
い。
れたポリイミド前駆体0.3〜60重量%、好ましくは
1%〜30重量%および良溶媒60〜95重量%と非溶
媒5〜40重量%とからなる混合溶媒40〜99.7重
量%からなる溶液を流延する。前記ポリイミド前駆体の
割合が0.3重量%より少ないと多孔質膜を作製した際
のフィルム強度が低下するので適当でなく、60重量%
より多いとポリイミド前駆体が均一な溶液になりにくい
のでこの範囲が適当である。また、混合溶媒中の非溶媒
の割合が5重量%より少ないと非溶媒添加の効果が失わ
れて緻密層が形成されやすくなるので適当ではなく、4
0重量%より多くなると均一な溶液を調整することが困
難になるので適当ではない。
剤、難燃剤、着色剤、或いはガラス繊維、ケイ素系繊維
等の補強材が含まれても良い。これらの添加剤及び補強
材は上記ポリイミド前駆体重合溶液に添加してもよく、
あるいは流延用のド−プ溶液に添加してもよい。
得る方法としては特に制限はないが、該ポリイミド前駆
体溶液を基台となるガラス等の基板上或いは可動式のベ
ルト上に流延する方法、該ポリイミド前駆体溶液をT型
ダイスから押出す方法などの手法を用いることができ
る。
体溶液膜は、凝固溶媒と接触させることでポリイミド前
駆体の析出、多孔質化を行う。ポリイミド前駆体の凝固
溶媒としては、ポリイミド前駆体溶液に用いたポリイミ
ド前駆体の非溶媒が好適であるが、エタノ−ル、メタノ
−ル等のアルコ−ル類、アセトン、水等のポリイミド前
駆体の非溶媒またはこれら非溶媒99.9〜50重量%
と前記ポリイミド前駆体の溶媒0.1〜50重量%との
の混合溶媒を用いることもできる。
ポリイミド前駆体フィルは引張強さが10kgf/cm
2以上であり良好な作業性を有している。多孔質化され
たポリイミド前駆体フィルの引張強さが10kgf/c
m2より小さいと後段の工程において膜の破損が生じや
すくなるため適当ではない。このポリイミド前駆体フィ
ルは、ついで熱処理して溶媒除去とともにイミド化され
る。イミド化は熱イミド化でもあるいは化学イミド化で
も行うことができる。熱処理を施す場合、ポリイミド前
駆体溶液あるいは凝固溶媒に用いたポリイミド前駆体の
非溶媒の沸点が約150℃より高いときは、熱処理の前
に上記非溶媒をポリイミド前駆体膜から除去することが
好ましい。前記の非溶媒を除去する方法としては真空乾
燥などによる溶媒の比較的低温での蒸発によって行うこ
とが好ましい。あるいは、前記の非溶媒の除去を、約1
50℃以下に沸点を有するポリイミド前駆体の非溶媒と
置換することなどによって好適に行うことができる。
リイミド前駆体多孔質膜(フィルム)をピン、チャック
或いはピンチロ−ル等を用いて熱収縮が生じないように
固定し、大気中あるいは不活性雰囲気下にて、温度範囲
280〜500℃で、5〜60分間程度行われる。
化学イミド化は、脂肪族酸無水物、芳香族酸無水物を脱
水剤として用い、トリエチルアミン等の第三級アミンを
触媒として行われる。また、特開平4−339835の
ように、イミダ−ル、ベンズイミダゾ−ル、もしくはそ
れらの置換誘導体を用いても良い。
駆体溶液流延物を析出、多孔質化し、得られた前駆体多
孔質膜を複層化し、最後に熱処理してイミド化処理を行
うことで複層ポリイミド多孔質膜を製造することができ
る。
ド膜は、引張強さが30kgf/cm2以上であり、前
記製造条件の選択によっても多少異なるが、好適には空
孔率が15〜80%、さらに好適には平均孔径(A側、
B側いずれも)が0.01〜5μm、特に0.05〜1
μmで、最大孔径10μm以下であり、透気度が30秒
/100cc〜2000秒/100ccである。
いは複層いずれの構成であってもよく膜全体の膜厚が5
〜100μm、透気度30秒/100cc〜2000秒
/100ccで、ポリイミド多孔質層の耐熱温度が20
0℃以上、105℃で8時間熱処理した際の熱収縮率は
±1%以下であるものが好ましい。
る多孔質ポリイミド膜(フィルム)が表面に緻密層の存
在しない貫通孔を有する多孔質膜、特に多孔質ポリイミ
ド膜を含んだ基板を構成することができる。これによっ
て、比誘電率が小さい低誘電率ポリイミド絶縁フィルム
あるいは基板を得ることができる。さらに、本発明によ
れば、電子機器基板材料として、低誘電率で耐熱温度2
00℃以上のものを簡便に得ることができる。この構成
では、ポリイミド材料中に、固体部分に比較して誘電率
の非常に小さい気体を有する空間部分が存在するため
に、フィルムあるいは基板の誘電率はポリイミドのバル
クの誘電率より低くなる。
面積が広くなる程多量の熱量を放出することができる。
特に、本発明によって得られる多孔質ポリイミド膜(フ
ィルム)は、微細な屈曲した非直線性連続孔を有する内
部構造を持つことにより表面積が通常の緻密な膜と比較
して数倍以上になることから、放熱特性が著しく向上す
る。
膜は、導体部と接触した状態においても、一方の表面と
他方の表面が直線的な孔構造を持たないために、コロナ
放電などの現象が生じにくく、絶縁破壊等による絶縁劣
化を起こしにくい特性を持つ。
膜は、実装に際しては単独あるいは多孔質ポリイミド膜
の複数層を積層し、さらには新たに緻密なポリイミドフ
ィルムを該多孔質ポリイミド膜(フィルム)に積層して
用いることが可能である。また例えばポリイミドフィル
ム、シリコン基板やガラス基板やカ−ボン基板などやア
ルミニウム基板などの有機、無機あるいは金属の基板に
直接あるいは膜状の耐熱性接着剤を介して多孔質ポリイ
ミド膜を積層することもできる。
イミド膜の片面あるいは両面に、熱可塑性ポリイミドや
ポリイミドシロキサン−エポキシ樹脂などの耐熱性でフ
ィルム状の接着剤層を積層し、さらにその上に芳香族ポ
リイミド、芳香族ポリエステル、ポリエチレン、ポリプ
ロピレン、ポリブテン−1などの樹脂フィルムからなる
保護フィルムを設けて、積層体を得ることができる。こ
の積層体によって埃の付着を防止して運搬が容易にな
り、使用時に保護フィルムを引き剥がして、電解銅箔、
圧延銅箔、圧延アルミニウム箔などそれ自体公知の電子
回路用の導電性金属箔を積層して回路基板を容易に得る
ことができる。
イミド膜の片面あるいは両面に耐熱性でフィルム状の接
着剤層を積層し、次いでその上に電子回路用の導電性金
属箔を積層して積層体を得ることができる。あるいは、
前記の電子回路用の導電性金属箔の片面に多孔質化した
ポリイミド前駆体多孔質フィルムを重ね合わせた後、加
熱乾燥してイミド化を完了させることによって積層体を
得ることができる。
イミド膜の片面とポリイミドフィルム、シリコン基板、
ガラス基板やカ−ボン基板などの無機基板あるいはアル
ミニウム基板などの金属基板との片面とを、耐熱性でフ
ィルム状の接着剤層で挟んで重ねて、加熱圧着し、次い
でこの積層体の多孔質絶縁材料である多孔質ポリイミド
フィルムの他の面と導電性金属箔とを耐熱性でフィルム
状の接着剤層耐熱性の接着剤層で挟んで重ねて、加熱圧
着して積層基板である積層体を得ることができる。さら
に、本発明によって得られる多孔質ポリイミド膜の片面
に耐熱性接着剤を介してシリコン基板などの無機、有機
あるいは金属の基板が、他の面に直接あるいは耐熱性接
着剤を介して緻密なポリイミド層、そしてその上にさら
に回路用の導電性金属層が設けられた積層体としてもよ
い。この場合、回路用の導電性金属層としては金属箔を
使用してもよく、あるいは銅、ニッケル、クロム、アル
ミニウムなどのそれ自体公知の金属を蒸着法(真空蒸着
あるいはスパッタ)−メッキ(無電解メッキ、電気メッ
キ)の各種組み合わせによって回路用の導電性金属層を
形成してもよい。なお、本発明によって得られる多孔質
ポリイミド膜は、環境によっては連続孔によって含まれ
る水分を真空および/または加熱乾燥して除去した後に
使用してもよい。
るが、本発明はこれらに限定されない。以下の各例にお
いて、多孔質膜(フィルム)について以下の物性を測定
し評価した。
試験機(東洋ボ−ルドウイン社製)を使用し、引張速度
10mm/分で測定した。 透気度 JIS P8117に準じて測定した。測定装置として
B型ガ−レ−デンソメ−タ−(東洋精機社製)を使用し
た。試料片を直径28.6mm、面積645mm2の円
孔に締付ける。内筒重量567gにより、筒内の空気を
試験円孔部から筒外へ通過させる。空気100ccが通
過する時間を測定し、透気度(ガ−レ−値)とした。
を測定し、目付重量から空孔率を次の式によって求め
た。式中のSは多孔質フィルムの面積、dは膜厚、Wは
測定した重量、Dはポリイミドの密度を意味し、ポリイ
ミドの密度は1.34g/m3とした。 空孔率(%)=100−100×(W/D)/(S×
d)
の50点以上の開孔部について孔面積を測定し、該孔面
積の平均値から次式に従って孔形状が真円であるとした
際の平均直径を計算より求めた。次式のSは孔面積の平
均値を意味する。 平均孔径=2×(S/π)1/2 平均孔径は凝固溶媒と直接接触させた側(A側)と流延
した基板に接触した側(B側)の各々の面で測定した。
−に固定し、先端形状が0.5R、直径1mmφのニー
ドルを2mm/secの速度で下降させ突刺し、貫通荷
重を測定した。
5℃に設定したオ−ブン中で8時間静置し、取出した後
の寸法を測定した。熱収縮率は次式に従う。次式のL1
はオーブンから取出した後のフィルム寸法を意味し、L
0は初期のフィルム寸法を意味する。 熱収縮率(%)=[1−(L1/L0)]×100
成分としてDADEを用い、s−BPDAに対するDA
DEのモル比が0.994で且つ該モノマ−成分の合計
重量が18重量%になるようにNMPに溶解し、40℃
で6時間重合を行ってポリイミド前駆体溶液を得た。
加し、前記ポリイミド前駆体が約14重量%、NMPが
57重量%、MEKが29重量%であるド−プ溶液を調
製した。このド−プ溶液の両溶媒の溶解度パラメ−タ−
は、NMPが23.1MPa 1/2で、MEKが19.0
1MPa1/2であり、溶解度パラメ−タ−差が4.1M
Pa1/2である。
150μmになるように流延し、引き続いて室温のアセ
トン中に15分間浸漬し、溶媒置換を行ってポリイミド
前駆体の析出、多孔質化を行った。析出したポリイミド
前駆体多孔質フィルムを水中に15分間浸漬した後、ガ
ラス板から剥離し、ピンテンタ−に固定した状態で、大
気中にて300℃で20分間熱処理を行って、ポリイミ
ド多孔質膜を得た。なお、ピンテンタ−に固定したポリ
イミド前駆体多孔質フィルムは十分な強度を有してお
り、異常は見られなかった。
走査型顕微鏡観察によって、膜断面方向に貫通孔(連続
微細孔)を有し緻密層の存在しないものであることが確
認された。また上記多孔質膜の表面を走査型電子顕微鏡
観察すると、表面に微小開口部が均一に分布した構造を
有していた。多孔質膜の膜厚、透気度、空孔率、平均孔
径、熱収縮率、突刺強度の測定結果を以下に示す。な
お、A側、B側とも10μm以上の孔径のものはないこ
とが確認された。
ポリイミド前駆体が約14重量%、NMPが57重量
%、1−ブタノ−ルが29重量%であるド−プ溶液を調
製し、ド−プ溶液をガラス板上に厚みが約150μmと
なるように流延し、引き続いて室温に保った1−ブタノ
−ル浴中に15分間浸漬して溶媒置換を行った他は実施
例1と同様にして、膜断面方向に貫通孔(連続微細孔)
を有し緻密層が存在せず表面に微小開口部が均一に分布
した構造を有する多孔質ポリイミド膜を得た。なお、こ
のド−プ溶液の両溶媒の溶解度パラメ−タ−は、NMP
が23.1MPa1/2で、1−ブタノ−ルが23.3M
Pa1/2であり、溶解度パラメ−タ−差が0.2MPa
1/2である。得られたポリイミド前駆体多孔質膜とポリ
イミド多孔質膜の引張強度およびポリイミド多孔質膜の
突刺強度は実施例1と同等であった。得られたポリイミ
ド多孔質膜の膜厚、透気度、空孔率、平均孔径、熱収縮
率の測定結果を以下に示す。なお、A側、B側とも10
μm以上の孔径のものはないことが確認された。
記ポリイミド前駆体が約14重量%、NMPが57重量
%、1−ペンタノ−ルが29重量%であるド−プ溶液を
調製し、ド−プ溶液をガラス板上に厚みが約150μm
となるように流延し、引き続いて室温に保った1−ペン
タノ−ル浴中に15分間浸漬して溶媒置換を行った他は
実施例1と同様にして、膜断面方向に貫通孔(連続微細
孔)を有し緻密層が存在せず表面に微小開口部が均一に
分布した構造を有する多孔質ポリイミド膜を得た。な
お、このド−プ溶液の両溶媒の溶解度パラメ−タ−は、
NMPが23.1MPa1/2で、1−ペンタノ−ルが2
2.3MPa1/2であり、溶解度パラメ−タ−差が0.
8MPa1/2である。得られたポリイミド前駆体多孔質
膜とポリイミド多孔質膜の引張強度およびポリイミド多
孔質膜の突刺強度は実施例1と同等であった。得られた
ポリイミド多孔質膜の膜厚、透気度、空孔率、平均孔
径、熱収縮率の測定結果を以下に示す。なお、A側、B
側とも10μm以上の孔径のものはないことが確認され
た。
記ポリイミド前駆体が約14重量%、NMPが57重量
%、1−ヘキサノ−ルが29重量%であるド−プ溶液を
調製し、ド−プ溶液をガラス板上に厚みが約150μm
となるように流延し、引き続いて室温に保った1−ヘキ
サノ−ル浴中に15分間浸漬して溶媒置換を行った他は
実施例1と同様にして、膜断面方向に貫通孔(連続微細
孔)を有し緻密層が存在せず表面に微小開口部が均一に
分布した構造を有する多孔質ポリイミド膜を得た。な
お、このド−プ溶液の両溶媒の溶解度パラメ−タ−は、
NMPが23.1MPa1/2で、1−ヘキサノ−ルが2
1.9MPa1/2であり、溶解度パラメ−タ−差が1.
2MPa1/2である。得られたポリイミド前駆体多孔質
膜とポリイミド多孔質膜の引張強度およびポリイミド多
孔質膜の突刺強度は実施例1と同等であった。得られた
ポリイミド多孔質膜の膜厚、透気度、空孔率、平均孔
径、熱収縮率の測定結果を以下に示す。なお、A側、B
側とも10μm以上の孔径のものはないことが確認され
た。
約150μmとなるように流延した他は実施例1と同様
にして、多孔質ポリイミド膜を得た。この多孔質ポリイ
ミド膜の表面及び断面を電子顕微鏡観察すると、緻密層
が形成されていた。この膜の透気度は2000秒/10
0ccより大であった。
機械的強度に優れるポリイミドを用いた膜断面方向に貫
通孔を有し且つ表面に緻密層の存在しない多孔質膜を製
造することが可能となった。
Claims (9)
- 【請求項1】 ポリイミド前駆体0.3〜60重量%お
よびポリイミド前駆体の良溶媒60〜95重量%と非溶
媒5〜40重量%とからなる混合溶媒40〜99.7重
量%からなる溶液をフィルム状に流延し、次いで凝固溶
媒に接触させて引張強さが10kgf/cm2以上のポ
リイミド前駆体多孔質膜の製造方法。 - 【請求項2】 混合溶媒に用いるポリイミド前駆体の良
溶媒及び非溶媒の溶解度パラメ−タ−の差が5MPa
1/2以下である請求項1記載のポリイミド前駆体多孔質膜
の製造方法。 - 【請求項3】 混合溶媒に用いるポリイミド前駆体の良
溶媒及び凝固溶媒の溶解度パラメ−タ−の差が5MPa
1/2以下である請求項1記載のポリイミド前駆体多孔質膜
の製造方法。 - 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載のポリイ
ミド前駆体多孔質膜を熱処理するポリイミド多孔質膜の
製造方法。 - 【請求項5】 ポリイミド前駆体の非溶媒あるいは凝固
溶媒の沸点が150℃より高い場合には、熱処理の前に
非溶媒を除去した後にポリイミド前駆体多孔質膜を熱処
理する請求項4に記載のポリイミド多孔質膜の製造方
法。 - 【請求項6】 ポリイミド前駆体の非溶媒あるいは凝固
溶媒の沸点が150℃より高い場合には、沸点が150
℃以下であってポリイミド前駆体の非溶媒と置換した後
にポリイミド前駆体多孔質膜を熱処理する請求項4に記
載のポリイミド多孔質膜の製造方法。 - 【請求項7】 ポリイミド前駆体多孔質膜の熱処理を化
学イミド化剤の存在下に行う請求項4〜6のいずれかに
記載のポリイミド多孔質膜の製造方法。 - 【請求項8】 請求項1〜3のいずれかに記載の製造方
法によって得られるポリイミド前駆体多孔質膜を構成要
素として含む単層または複層の多孔質膜。 - 【請求項9】 請求項4〜7のいずれかに記載のポリイ
ミド多孔質膜を構成要素として含む単層または複層の多
孔質膜。
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