JP2007092078A - ポリイミド多孔質膜の製造方法 - Google Patents

ポリイミド多孔質膜の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2007092078A
JP2007092078A JP2006318090A JP2006318090A JP2007092078A JP 2007092078 A JP2007092078 A JP 2007092078A JP 2006318090 A JP2006318090 A JP 2006318090A JP 2006318090 A JP2006318090 A JP 2006318090A JP 2007092078 A JP2007092078 A JP 2007092078A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polyimide
porous membrane
porous
polyimide precursor
solvent
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2006318090A
Other languages
English (en)
Inventor
Nobuo Oya
修生 大矢
Shigeru Yao
滋 八尾
Yuichi Fujii
有一 藤井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ube Corp
Original Assignee
Ube Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ube Industries Ltd filed Critical Ube Industries Ltd
Priority to JP2006318090A priority Critical patent/JP2007092078A/ja
Publication of JP2007092078A publication Critical patent/JP2007092078A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Manufacture Of Porous Articles, And Recovery And Treatment Of Waste Products (AREA)

Abstract

【課題】透過性の高いポリイミド多孔質膜およびその製造方法を提供する。
【解決手段】 膜の内部においてポリイミド相と空間相とが網目構造を有して微細な連続孔を形成しており、膜の両表面では多孔質構造を有する、ガ−レ−数が200秒/100ml以下であるポリイミド多孔質膜、及び極限粘度数数が2.2以上のポリイミドまたはポリイミド前駆体の有機溶媒溶液を溶媒置換誘起の粘弾性相分離によりポリマ−成分を析出し、多孔質化することを特徴とする請求項1あるいは5に記載のポリイミド多孔質膜の製造方法。
【選択図】なし

Description

この発明は、ポリイミド多孔質膜及びその製造方法に関する。
この明細書において、微細な連続孔とは、任意の表面から細孔が通路状に他の表面まで連続している、いわゆる開放孔をいい、細孔が屈曲しながらある面から反対面に通じているものをいう。
また、この明細書において、実質的に独立孔を有さずとは、ポリイミド多孔質膜の任意の断面の断面電子顕微鏡写真において、独立孔が全孔(連続孔と独立孔との合計)の30%以下の割合であることを意味する。
この明細書において、ガ−レ−数とは透気抵抗度を示し、秒/100mlで表示され、JIS−P8117で測定されるものである。
従来、物質分離用の膜としては、ガス状分子を分離するための数十Åの目開きを有する有するガス分離膜から、固体粒子を分離するフィルタ−まで多数ある。公知のフィルタ−は、目開き(濾過孔径)が大きく、微小な粒子の捕集効率が低く、微粒子の捕集が困難であった。また、気体から粉塵捕集・分離用のバグフィルタ−は、目開きは、特に細かいもので、せいぜい10μm程度である。耐熱性のバグフィルタ−は、多くはガラス繊維、アラミド繊維、炭素繊維などの耐熱性繊維からなる。
例えば、特許文献1には、強度、耐久性を備えたポリイミド繊維からなるフィルタ−エレメントが開示されている。また、特許文献2には、水処理、精密濾過に好適なポリオレフィン微多孔膜の製造方法が開示されている。
しかし、ポリオレフィン多孔膜は、温度200℃以上の耐熱性用途には、フィルタ−として、耐熱性の点で不適当である。一方、耐熱性樹脂繊維からなるフィルタ−エレメントは、厚くて、重量的に重いという欠点がある。
そこで、この発明者らにより特許文献3に記載されているように、フィルム断面に貫通孔を有し且つ表面に緻密層の存在しないポリイミド多孔質膜およびその製造法が提案された。この製造法は、ポリイミド前駆体溶液を基板上に流延し、溶媒置換速度調整材を介して凝固溶媒に接触させることによって、上記貫通孔を有するポリイミド前駆体の多孔質膜を析出させている。
また、特許文献4に記載されているように、ポリイミド前駆体に良溶媒と非溶媒の混合液をド−プとして用いることを特徴とするポリイミド多孔質膜の製造方法が提案された。
前記の方法によれば、微細な連続孔を有するポリイミド多孔質膜が得られる。
しかし、透過性を高くするために空孔率を大きくすると独立孔の割合が多くなり却って透過性が低くなり、より透過性の高いものが求められている。
つまり、電池セパレ−タ−や精密フィルタ−に用いるとき透気性能の点から、上記の改良が求められている。
特開平10−5521号公報 特開平10−298340号公報 特開平11−310658号公報 特開2001−145826号公報
この発明の目的は、より透過性の高いポリイミド多孔質膜およびその製造方法を提供することである。
この発明は、膜の内部においてポリイミド相と空間相とが網目構造を有して微細な連続孔を形成しており、膜の両表面では多孔質構造を有する、ガ−レ−数が200秒/100ml以下であるポリイミド多孔質膜に関する。
また、この発明は、実質的に独立孔を有さず連続孔からなり、空孔率が25〜55%であるポリイミド多孔質膜に関する。
さらに、この発明は、極限粘度数数が2.2以上のポリイミドまたはポリイミド前駆体の有機溶媒溶液を溶媒置換誘起の粘弾性相分離によりポリマ−成分を析出し、多孔質化する上記のポリイミド多孔質膜の製造方法に関する。
この発明のポリイミド多孔質膜は、耐熱性が高く、微細な連続孔を有しているため、透過性が良好で圧力損失が小さい。
この発明によれば、均質で耐熱性が高く、微細な連続孔を有しているため、透過性が良好で圧力損失が小さいポリイミド多孔質膜を容易に得ることができる。
この発明の好適な実施の形態を以下に説明する。
1)ガ−レ−数が30〜200秒/100ml、特に50〜120秒/100mlである上記のポリイミド多孔質膜。
2)電池セパレ−タ−用である上記のポリイミド多孔質膜。
3)単層または複層の上記のポリイミド多孔質膜。
4)ポリイミドまたはポリイミド前駆体の有機溶媒溶液が、ポリイミドまたはポリイミド前駆体の濃度が12重量%以下でかつ溶液粘度が400ポイズ以上である上記のポリイミド多孔質膜の製造方法。
5)溶媒置換誘起が、溶媒置換速度調整材を用いて凝固溶媒とポリイミドまたはポリイミド前駆体の有機溶媒溶液との直接接触を避けて行う上記のポリイミド多孔質膜の製造方法。
この発明のポリイミド多孔質膜は、ガ−レ−数が200秒/100ml以下であり、好適には30〜200秒/100ml、特に50〜120秒/100mlである。ポリイミド多孔質膜のガ−レ−数が200/秒より大きいと目的を達成することができない。
この発明のポリイミド多孔質膜は、好適には表面の孔の平均孔径が0.01〜2μmであり、特に0.03〜1μmである。
また、この発明のポリイミド多孔質膜は、好適には最大孔径が5μm以下である。
さらに、この発明のポリイミド多孔質膜は、好適には膜厚が5〜100μmである。膜厚が5μmより薄いと、機械的強度が弱いものになってしまう。また、膜厚100μmを越えると、連続孔の割合が減少し、通過量が少なくなる。
また、この発明のポリイミド多孔質膜は、耐熱温度が200℃以上である。ここで言う耐熱性とは、たとえばDSCで評価したガラス転移温度(Tg)のことを言う。耐熱温度が200℃より低くなると、形状が熱によって、収縮したり、伸びたり、変形することがある。
この発明のポリイミド多孔質膜は、1層もしくは2層以上を積層し、あるいはポリイミド多孔質膜と他の不織布あるいは多孔膜、織物を積層することによってフィルタ−として使用することができる。1層または2層以上のポリイミド多孔膜を組み合わせると、さらに、フィルタ−として、幅広い性能が期待できる。2層以上組み合わせて使用すると、捕集率がさらに増加する。また、他のフィルタ−エレメントである不織布、織物を積層して単層または複層構造のフィルタ−を得ることができる。組み合わせる不織布、織物としては、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、有機耐熱性繊維などの不織布、織物などが耐熱性で好ましい。また、他の多孔質の炭素板、黒鉛粉末、窒化珪素、窒化アルミなど無機物の焼結膜、板状のものも多孔膜であれば好適に使用することができる。
特に、ポリイミド多孔質膜を有するフィルタ−からなるバグフィルタ−は、0.5μm以上の微粒子が捕捉される。
この発明のポリイミド多孔質は、好適には次の方法によって製造することができる。極限粘度数数が2.2以上、特に3〜4.5のポリイミドまたはポリイミド前駆体、好適にはポリイミド前駆体の溶液、好適にはポリイミド前駆体溶液の流延物を溶媒置換速度調整材を介して凝固溶媒と接触させてポリイミド前駆体の析出、多孔質化を行い、次いで多孔質化されたポリイミド前駆体フィルムを熱イミド化あるいは化学イミド化してポリイミド多孔質を製造する。前記の極限粘度数数が2.2未満では目的とするガ−レ−数が200秒/100ml以下のポリイミド多孔質を得ることが困難である。
以下、この発明のポリイミド多孔質の製造方法に関し、好適例であるポリイミド前駆体を使用する場合について述べるが、ポリイミドについても同様に行うことできる。
前記のポリイミド前駆体とは、テトラカルボン酸成分とジアミン成分、好ましくは芳香族モノマ−を重合して得られたポリアミック酸或いはその部分的にイミド化したものであり、熱イミド化あるいは化学イミド化することで閉環してポリイミド樹脂とすることができるものである。ポリイミドとは、イミド化率(IR測定法)が約70%以上、好適には約90%以上の耐熱性ポリマ−である。
前記のポリイミド前駆体の溶媒として用いる有機溶媒は、パラクロロフェノ−ル、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ピリジン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、フェノ−ル、クレゾ−ルなどが挙げられる。
前記のテトラカルボン酸成分とジアミン成分は、上記の有機溶媒中に大略等モル溶解し重合して、極限粘度数数(30℃、NMP/水混合溶媒、ウベロ−デ粘度計)が2.2以上、特に3〜4.5であるポリイミド前駆体が製造される。また、重合を約80℃以上の温度で行った場合に、部分的に閉環してイミド化したポリイミド前駆体が製造される。
前記の2.2以上の極限粘度数ポリイミド前駆体は、市販のジアミンおよびテトラカルボン酸二無水物を使用しても達成することができず、ジアミンを昇華精製しテトラカルボン酸二無水物の水分吸着を防止したものをそれぞれ使用することが好ましい。
前記のジアミンとしては、例えば、一般式(1)
2N−R(R1)m−A−(R2)nR’−NH2 (1)
(ただし、前記一般式において、RおよびR’は直接結合あるいは二価の芳香族環、R1およびR2は、水素、低級アルキル、低級アルコキシ、ハロゲン原子などの置換基であり、Aは、直接結合、O、S、CO、SO2、SO、CH2、C(CH32などの二価の基であり、mおよびnは1〜4の整数である。)で示されるジアミン化合物、特に芳香族ジアミン化合物が好ましい。
前記芳香族ジアミンの具体的な化合物としては、4,4’−ジアミノジフェニルエ−テル(以下、DADEと略記することもある)、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルエ−テル、3,3’−ジエトキシ−4,4’−ジアミノジフェニルエ−テル、パラフェニレンジアミン(以下p−PDAと略記することもある)などが挙げられる。
また、前記のジアミン成分としては、ジアミノピリジンであってもよく、具体的には、2,6−ジアミノピリジン、3,6−ジアミノピリジン、2,5−ジアミノピリジン、3,4−ジアミノピリジンなどが挙げられる。ジアミン成分は上記の各ジアミンを2種以上組み合わせて使用してもよい。
前記のテトラカルボン酸成分としては、好適にはビフェニルテトラカルボン酸成分が挙げられ、例えば3,3’,4,4’− ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(以下、s−BPDAと略記することもある)、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(以下、a−BPDAと略記することもある)が好ましく、上記の各ビフェニルテトラカルボン酸二無水物の混合物であってもよい。
また、上記のテトラカルボン酸成分は、ピロメリット酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン,ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エ−テル、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)チオエ−テルあるいはそれらの酸二無水物であってもよい。
前記のポリイミド前駆体は、前記有機溶媒に12重量%以下、特に1%〜12重量%の割合で溶解してポリイミド前駆体溶液に調製することが好ましい(有機溶媒を加えてもよくあるいは重合溶液をそのまま用いても良い)。ポリイミド前駆体の割合が12重量%より大きいと多孔質フィルムのイオン透過性が低下するため、上記範囲の割合が好適である。また、調製されたポリイミド前駆体溶液の溶液粘度は400ポイズ以上、特に400〜10000ポイズが好ましい。
ポリイミド前駆体溶液にはその他、繊維、粉末、織物などの充填材を配合してもよい。たとえば、炭素繊維、ガラス繊維、窒化珪素繊維、金属繊維、黒鉛粉末、窒化珪素、窒化硼素、石英、炭素繊維布などを配合してもよい。これらの添加剤及び補強材は上記ポリイミド前駆体溶液に、この発明のポリイミド多孔質膜を阻害しない範囲で、適宜配合することができる。
ポリイミド前駆体溶液は、フィルム状に流延して流延物とした後、少なくとも片面に溶媒置換速度調整材を配した積層フィルムとされる。ポリイミド前駆体溶液の流延積層フィルムを得る方法としては特に制限はないが、該ポリイミド前駆体溶液を基台となるガラス等の板上或いは可動式のベルト上に流延した後、流延物表面を溶媒置換速度調整材で覆う方法、該ポリイミド前駆体溶液をスプレ−法あるいはドクタ−ブレ−ド法を用いて溶媒置換速度調整材上に薄くコ−ティングする方法、該ポリイミド前駆体溶液をTダイから押出して溶媒置換速度調整材間に挟み込み、両面に溶媒置換速度調整材を配した3層積層フィルムを得る方法などの手法を用いることができる。
溶媒置換速度調整材としては、前記多層フィルムを凝固溶媒と接触させてポリイミド前駆体を析出させる際に、ポリイミド前駆体の溶媒及び凝固溶媒が適切な速度で透過する事が出来る程度の透過性を有するものが好ましい。特に、透気度が50〜1000秒/100ml、特に250〜800秒/100mlであるものが好ましい。溶媒置換速度調整材の膜厚は5〜500μm、好ましくは10〜100μmであり、フィルム断面方向に貫通した0.01〜5μm、好ましくは0.03〜1μmの孔が十分な密度で分散しているものが好適である。溶媒置換速度調整材の膜厚が上記範囲より小さいと溶媒置換速度が速すぎる為に析出したポリイミド前駆体表面に緻密層が形成されるだけでなく凝固溶媒と接触させる際にシワが発生する場合があるので適当でなく、上記範囲より大きいと溶媒置換速度が遅くなる為にポリイミド前駆体内部に形成される孔構造が不均一となる。
溶媒置換速度調整材としては、具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、セルロ−スなどを材料とした不織布或いは多孔膜などが用いられ、特にポリオレフィン製の微多孔質膜を用いた際に、製造されたポリイミド多孔質フィルム表面の平滑性に優れるので好適である。
複層化されたポリイミド前駆体流延物は、溶媒置換速度調整材を介して凝固溶媒と接触させることでポリイミド前駆体の析出、多孔質化を行う。ポリイミド前駆体の凝固溶媒としては、エタノ−ル、メタノ−ル等のアルコ−ル類、アセトン、水等のポリイミド前駆体の非溶媒またはこれら非溶媒99.9〜40重量%と前記ポリイミド前駆体の溶媒0.1〜60重量%とのの混合溶媒を用いることができる。非溶媒及び溶媒の組合わせには特に制限はないが、凝固溶媒に非溶媒と溶媒からなる混合溶媒を用いた場合に析出したポリイミド前駆体の多孔質構造が均一となるので好適である。特に、凝固溶媒として、ポリイミド前駆体の溶媒0.1〜50重量%と非溶媒99.9〜50重量%とからなる混合溶媒を用いることが好ましい。
多孔質化されたポリイミド前駆体フィルムは、ついで熱イミド化処理或いは化学イミド化処理が施される。ポリイミド前駆体フィルムの熱イミド化は、溶媒置換速度調整材を取除いたポリイミド前駆体多孔質フィルムをピン、チャック或いはピンチロ−ル等を用いて熱収縮が生じないように固定し、大気中にて280〜500℃で5〜60分間行われる。
ポリイミド前駆体多孔質フィルムの化学イミド化処理は、脂肪族酸無水物、芳香族酸無水物を脱水剤として用い、トリエチルアミン等の第三級アミンを触媒として行われる。また、特開平4−339835のように、イミダ−ル、ベンズイミダゾ−ル、もしくはそれらの置換誘導体を用いても良い。
ポリイミド前駆体多孔質フィルムの化学イミド化処理は、ポリイミド多孔質膜を複層構成で製造する場合に好適に用いられる。複層ポリイミド多孔質膜は、例えば溶媒置換速度調整材として用いるポリオレフィン微多孔膜表面をポリイミド多孔質膜層との界面接着性を改良するためにプラズマ、電子線或いは化学処理した後、ポリイミド前駆体溶液流延物と複層化し、凝固溶媒との接触によってポリイミド前駆体溶液流延物を析出、多孔質化し、得られた前駆体多孔質フィルムを複層化する。最後に化学イミド化処理を行うことで複層ポリイミド多孔質フィルムを製造することができる。複層ポリイミド多孔質フィルムの化学イミド化処理は、積層する溶媒置換速度調整材の融点或いは耐熱温度以下の温度範囲で行われることが好ましい。
また、該ポリイミド多孔質膜は単層あるいは複層いずれの構成であってもよくフィルム全体の膜厚が5〜100μm、耐熱温度が200℃以上、特に105℃で8時間熱処理した際の熱収縮率は±1%以下であるものが好ましい。
ポリイミド前駆体多孔質フィルムの化学処理は、脂肪族酸無水物、芳香族酸無水物を脱水剤として用い、トリエチルアミン等の第三級アミンを触媒として行われる。また、特開平4−339835のように、イミダ−ル、ベンズイミダゾ−ル、もしくはそれらの置換誘導体を用いても良い。
熱処理或は化学処理したポリイミド多孔質フィルムのイミド化率は、80%以上、好ましくは95%以上である。イミド化率が80%より小さいと、フィルタ−を高温で使用する際に、イミド化による脱水が起こる、またはフィルタ−が変形してしまうので不都合である。
このようにして製造されるポリイミド多孔質フィルムは、前記製造条件の選択によっても多少異なるが、空孔率25〜55%、平均孔径0.01〜2μm、最大孔径5μm以下であり、特に膜厚みが5〜100μmである。
以下、実施例によりこの発明を具体的に説明するが、この発明はこれらの実施例に限定されるものではない。参考例、実施例、比較例における試験・評価方法または判定基準は次に示すとおりである。
ポリイミド多孔質膜(フィルム)の評価
ポリイミド多孔質フィルムの膜厚、空孔率、平均孔径の測定は以下に従って行った。
ガ−レ−値:JIS−P8117によって測定。
空孔率:所定の大きさに切取った多孔質フィルムの膜厚及び重量を測定し、目付重量から空孔率を次の式(1)によって求めた。式(1)のSは多孔質フィルムの面積、dは膜厚、wは測定した重量、Dはポリイミドの密度を意味し、ポリイミドの密度は1.34g/cm3とした。
空孔率=S×d×D/w×100
平均孔径:多孔質フィルム表面の走査型電子顕微鏡写真より、50点以上の開孔部について孔面積を測定し、該孔面積の平均値から式(2)に従って孔形状が真円であるとした際の平均直径を計算より求めた。式(2)のSaは孔面積の平均値を意味する。
平均孔径=2×(Sa/π)1/2
参考例1〜4
テトラカルボン酸成分として乾燥したs−BPDAを、ジアミン成分として市販あるいは昇華精製したDADEを用い、NMP中、s−BPDAに対するDADEのモルを比0.994〜1.000の間で調整して重合を行うことで、極限粘度数および濃度の異なるポリアミック酸溶液を得た。
実施例1
得られたポリイミド前駆体溶液(ポリイミド前駆体濃度:10重量%、溶液粘度:2620ポイズ、極限粘度数:3.25)を、研磨したステンレス板上に厚みが均一になるように流延し、溶媒置換速度調整材として透気度550秒/100mlのポリオレフィン製微多孔膜(宇部興産社製、UP3025)でシワの生じないように表面を覆った。該積層物をメタノ−ル中に7分間浸漬し、ポリイミド前駆体の析出、多孔質化を行った。この多孔質フィルムを水中に15分間浸漬した後、ピンテンタ−に固定した状態で、大気中にて320℃、10分間熱処理を行った。
得られたポリイミド多孔質膜は、ガ−レ−値が108秒/100ml、空孔率が38%で、膜厚みが28μmで、平均孔径が0.15μmであった。
比較例1
得られたポリイミド前駆体溶液(ポリイミド前駆体濃度:10重量%、溶液粘度:124ポイズ、極限粘度数:1.91)を使用した他は実施例1と同様に実施して、ポリイミド多孔質膜を得た。
得られたポリイミド多孔質膜は、ガ−レ−値が298秒/100ml、空孔率が64%で、膜厚みが36μmで、平均孔径が0.40μmであった。
実施例2
得られたポリイミド前駆体溶液(ポリイミド前駆体濃度:9.5重量%、溶液粘度:1076ポイズ、極限粘度数:3.40)を使用した他は実施例1と同様に実施して、ポリイミド多孔質膜を得た。
得られたポリイミド多孔質膜は、ガ−レ−値が103秒/100ml、空孔率が38%で、膜厚みが28μmで、平均孔径が0.13μmであった。
また、実施例1および実施例2で得られたポリイミド多孔質膜の断面電子顕微鏡写真から、独立孔の割合は20%以下であった。
比較例2
得られたポリイミド前駆体溶液(ポリイミド前駆体濃度:11重量%、溶液粘度:250ポイズ、極限粘度数:1.85)を使用した他は実施例1と同様に実施して、ポリイミド多孔質膜を得た。
得られたポリイミド多孔質膜は、ガ−レ−値が1240秒/100ml、空孔率が56%で、膜厚みが50μmで、平均孔径が0.15μmであった。
参考例5
テトラカルボン酸成分として乾燥したs−BPDAを、ジアミン成分として昇華精製したPPDを用い、NMP中、s−BPDAに対するDADEのモルを比0.999で調整して重合を行うことで、極限粘度数3.32および濃度9.5重量%のポリアミック酸溶液を得た。
実施例3
参考例5で得られたポリイミド前駆体溶液を使用し、メタノ−ルの変わりにメタノ−ル/イソプロピルアルコ−ル(体積比1/1)の混合溶媒を使用した他は実施例1と同様に実施して、ポリイミド多孔質膜を得た。
得られたポリイミド多孔質膜は、ガ−レ−値が197秒/100ml、空孔率が48%で、膜厚みが23μmで、平均孔径が0.20μmであった。
また、実施例1〜3で得られたポリイミド多孔質膜は比較例1、比較例2で得られたポリイミド多孔質膜に比べて引張強度の大きいものであった。
実施例4
実施例3で得られたポリイミド多孔質膜をアルゴンガスの雰囲気中で、通気性の炭素シ−トに挟み込み、昇温速度10℃/分で、1400℃まで昇温して多孔質炭素膜を得た。この多孔質炭素膜は、空孔が炭化前の空孔より概ね70%小さくなっており、走査型電子顕微鏡写真の結果よりポリイミドが有していた微細な連続孔を保持していることが確認された。
続いて、熱間等方圧装置(HIP)により、アルゴンガス中、昇温速度5℃/分、圧力150MPaで、温度3000℃まで昇温し、120分保持した。
降温後、得られた黒鉛膜は、光沢のある多孔質膜を呈していた。この多孔質黒鉛膜は、黒鉛化前の空孔より少し小さくなっており、走査型電子顕微鏡写真の結果より微細な連続孔を有していることが確認された。
図1は、この発明の範囲内の一例のポリイミド多孔質膜の断面電子顕微鏡写真である。 図2は、この発明の範囲外の一例のポリイミド多孔質膜の断面電子顕微鏡写真である。

Claims (8)

  1. 膜の内部においてポリイミド相と空間相とが網目構造を有して微細な連続孔を形成しており、膜の両表面では多孔質構造を有する、ガ−レ−数が200秒/100ml以下であるポリイミド多孔質膜。
  2. ガ−レ−数が30〜200秒/100ml、特に50〜120秒/100ml/秒である請求項1に記載のポリイミド多孔質膜。
  3. 電池セパレ−タ−用である請求項1に記載のポリイミド多孔質膜。
  4. 単層または複層の請求項1に記載のポリイミド多孔質膜。
  5. 実質的に独立孔を有さず連続孔からなり、空孔率が25〜55%であるポリイミド多孔質膜。
  6. 極限粘度数数が2.2以上のポリイミドまたはポリイミド前駆体の有機溶媒溶液を溶媒置換誘起の粘弾性相分離によりポリマ−成分を析出し、多孔質化することを特徴とする請求項1あるいは5に記載のポリイミド多孔質膜の製造方法。
  7. ポリイミドまたはポリイミド前駆体の有機溶媒溶液が、ポリイミドまたはポリイミド前駆体の濃度が12重量%以下でかつ溶液粘度が400ポイズ以上である請求項6に記載のポリイミド多孔質膜の製造方法。
  8. 溶媒置換誘起が、溶媒置換速度調整材を用いて凝固溶媒とポリイミドまたはポリイミド前駆体の有機溶媒溶液との直接接触を避けて行う請求項6に記載のポリイミド多孔質膜の製造方法。
JP2006318090A 2006-11-27 2006-11-27 ポリイミド多孔質膜の製造方法 Pending JP2007092078A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006318090A JP2007092078A (ja) 2006-11-27 2006-11-27 ポリイミド多孔質膜の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006318090A JP2007092078A (ja) 2006-11-27 2006-11-27 ポリイミド多孔質膜の製造方法

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001336239A Division JP4302342B2 (ja) 2001-07-23 2001-11-01 ポリイミド多孔質膜及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2007092078A true JP2007092078A (ja) 2007-04-12

Family

ID=37978133

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006318090A Pending JP2007092078A (ja) 2006-11-27 2006-11-27 ポリイミド多孔質膜の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2007092078A (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2010150794A1 (en) * 2009-06-23 2010-12-29 Canon Kabushiki Kaisha Method of producing porous polymer film and porous polymer film produced by the method
JP2011004097A (ja) * 2009-06-17 2011-01-06 Ube Industries Ltd 撥水性通気カバー、撥水性通気カバー付きトランスデューサー
JP2011001434A (ja) * 2009-06-17 2011-01-06 Ube Industries Ltd ポリイミド多孔質体の製造方法、及びポリイミド多孔質体
WO2014175011A1 (ja) * 2013-04-22 2014-10-30 東京応化工業株式会社 多孔質ポリイミド膜の製造方法、多孔質ポリイミド膜、及びそれを用いたセパレータ
JP2014231570A (ja) * 2013-05-29 2014-12-11 宇部興産株式会社 ポリマー多孔質膜の製造方法及びポリマー多孔質膜
WO2016125832A1 (ja) * 2015-02-06 2016-08-11 東京応化工業株式会社 ポリイミド及び/又はポリアミドイミド多孔質体並びにその製造方法、分離及び/又は吸着を行う方法、分離材、吸着材、フィルターメディア、積層体、並びに、フィルターデバイス

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000306568A (ja) * 1999-04-23 2000-11-02 Ube Ind Ltd 多孔質フィルム及びそれを用いた電池用セパレータ
JP2001089593A (ja) * 1999-09-20 2001-04-03 Ube Ind Ltd 多孔質膜の製造方法および多孔質膜
JP2001145826A (ja) * 1999-11-19 2001-05-29 Ube Ind Ltd 多孔質膜の製造方法および多孔質膜

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000306568A (ja) * 1999-04-23 2000-11-02 Ube Ind Ltd 多孔質フィルム及びそれを用いた電池用セパレータ
JP2001089593A (ja) * 1999-09-20 2001-04-03 Ube Ind Ltd 多孔質膜の製造方法および多孔質膜
JP2001145826A (ja) * 1999-11-19 2001-05-29 Ube Ind Ltd 多孔質膜の製造方法および多孔質膜

Cited By (16)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011004097A (ja) * 2009-06-17 2011-01-06 Ube Industries Ltd 撥水性通気カバー、撥水性通気カバー付きトランスデューサー
JP2011001434A (ja) * 2009-06-17 2011-01-06 Ube Industries Ltd ポリイミド多孔質体の製造方法、及びポリイミド多孔質体
JP2011006520A (ja) * 2009-06-23 2011-01-13 Canon Inc 多孔質高分子膜の製造方法及びその製造方法で製造した多孔質高分子膜
US8916619B2 (en) 2009-06-23 2014-12-23 Canon Kabushiki Kaisha Method of producing porous polymer film and porous polymer film produced by the method
WO2010150794A1 (en) * 2009-06-23 2010-12-29 Canon Kabushiki Kaisha Method of producing porous polymer film and porous polymer film produced by the method
US9911955B2 (en) 2013-04-22 2018-03-06 Tokyo Ohka Kogyo Co., Ltd. Method for producing porous polyimide film, porous polyimide film and separator using same
WO2014175011A1 (ja) * 2013-04-22 2014-10-30 東京応化工業株式会社 多孔質ポリイミド膜の製造方法、多孔質ポリイミド膜、及びそれを用いたセパレータ
US20160072110A1 (en) * 2013-04-22 2016-03-10 Tokyo Ohka Kogyo Co.,Ltd. Method for producing porous polyimide film, porous polyimide film and separator using same
US9601739B2 (en) 2013-04-22 2017-03-21 Tokyo Ohka Kogyo Co., Ltd. Method for producing porous polyimide film, porous polyimide film and separator using same
US20170187021A1 (en) * 2013-04-22 2017-06-29 Tokyo Ohka Kogyo Co., Ltd. Method for producing porous polyimide film, porous polyimide film and separator using same
JP2014231570A (ja) * 2013-05-29 2014-12-11 宇部興産株式会社 ポリマー多孔質膜の製造方法及びポリマー多孔質膜
WO2016125832A1 (ja) * 2015-02-06 2016-08-11 東京応化工業株式会社 ポリイミド及び/又はポリアミドイミド多孔質体並びにその製造方法、分離及び/又は吸着を行う方法、分離材、吸着材、フィルターメディア、積層体、並びに、フィルターデバイス
JPWO2016125832A1 (ja) * 2015-02-06 2017-12-07 東京応化工業株式会社 ポリイミド及び/又はポリアミドイミド多孔質体並びにその製造方法、分離及び/又は吸着を行う方法、分離材、吸着材、フィルターメディア、積層体、並びに、フィルターデバイス
CN107207760A (zh) * 2015-02-06 2017-09-26 东京应化工业株式会社 聚酰亚胺及/或聚酰胺酰亚胺多孔质体以及其制造方法、进行分离及/或吸附的方法、分离材料、吸附材料、过滤介质、层叠体、以及过滤装置
US10576432B2 (en) 2015-02-06 2020-03-03 Tokyo Ohka Kogyo Co., Ltd. Polyimide and/or polyamideimide porous body and method for manufacturing same, method for separation and/or adsorption, separation material, adsorption material, filter media, laminate, and filter device
CN107207760B (zh) * 2015-02-06 2021-03-16 东京应化工业株式会社 聚酰亚胺及/或聚酰胺酰亚胺多孔质体及其制造方法和用途

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5641042B2 (ja) 多孔質ポリイミド膜及びその製造方法
JP5577804B2 (ja) 多孔質ポリイミド膜及びその製造方法
JP5577803B2 (ja) 多孔質ポリイミド膜及びその製造方法
JP5636960B2 (ja) 多孔質ポリイミド膜及びその製造方法
JP4238416B2 (ja) 多孔質炭化膜およびその製造方法
JP3589125B2 (ja) 多孔質膜の製造方法および多孔質膜
CN109563300B (zh) 多孔质聚酰亚胺膜的制造方法及由该方法制造的多孔质聚酰亚胺膜
JP2007092078A (ja) ポリイミド多孔質膜の製造方法
JP4302342B2 (ja) ポリイミド多孔質膜及びその製造方法
JP3687448B2 (ja) 多孔質ポリイミドフィルムの製造法及びフィルム
JP3687480B2 (ja) 多孔質ポリイミドフィルムおよびその製造法
JP2009162297A (ja) オイル供給部材
JP4273608B2 (ja) 高結晶性の多孔質黒鉛膜及びその製造方法
JP4075221B2 (ja) ポリイミド多孔質フィルムの製造方法、ポリイミド多孔質フィルム、フィルター用多孔質フィルムおよびフィルター
JP3966654B2 (ja) 多孔質膜の製造方法
JP2002219344A (ja) カ−ボンフィルタ−
JP2001068608A (ja) 熱伝導体およびそれを用いた電気・電子機器
JP2001224934A (ja) フィルタ−用多孔質フィルムおよびフィルタ−
JP2020147685A (ja) 多孔質ポリイミド膜及びその製造方法
JP6815024B2 (ja) 多孔質積層フィルムおよび多孔質積層フィルムの製造方法
JP2004168971A (ja) ポリアミック酸の保存方法
JP2003147118A (ja) ポリイミド多孔質膜の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20061204

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20061207

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20061204

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100413

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20100817