JP3963765B2 - 多孔性フィルム及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、表面に実質的にスキン層(緻密層)を有さず、連続微小孔が多数形成された多孔性フィルムに関する。この多孔性フィルムは、精密濾過、分離濃縮等の膜分離技術や、その空孔特性をそのまま利用したり、または空孔を機能性材料で充填することにより、電池用セパレーター、電解コンデンサー、回路用基板等、広範囲な基板材料としての利用が可能である。
【0002】
【従来の技術】
ポリアミドイミドからなる膜の製造法としては、特開昭63−283705号公報、特開平2−198619号公報に記載があるが、これらは何れも浸透気化法または蒸気透過法による水分子と有機物分子の分離によるものである。従ってこれらの手法は、各分子の膜中への溶解度差に基づいた分離であり、膜表面にはスキン層(緻密層)が存在し、実質的な開孔部は存在し得ないものであった。また特開2001−67643号公報、特開2001−145826号公報、特開2001−319442号公報には、ポリイミドからなる多孔膜やその製造方法の記載があるが、これらは表面に孔を開けるために溶媒置換速度調整材を介して製造することが必要なために、その製造工程が複雑である上、充分な透過性を有するものではないという不具合があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、表面に実質的にスキン層を有しない、優れた空孔特性を有するアミドイミド系ポリマー又はイミド系ポリマーからなる多孔性フィルムを提供することにある。
本発明の他の目的は、上記多孔性フィルムを簡便に製造できる方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記に述べた公知技術の欠点を克服すべく鋭意研究を重ねた結果、アミドイミド系ポリマー又はポリアミック酸、特定の水溶性ポリマー、水、及びアミドイミド系ポリマー又はポリアミック酸の良溶媒を特定の割合で含む混合溶液をフィルム状に流延する際、特定の相対湿度及び温度雰囲気下で特定時間保持した後、アミドイミド系ポリマー又はポリアミック酸の非溶剤からなる水溶性凝固液に導き、ポリアミック酸を用いた場合にはさらにイミド化工程を経てイミド系ポリマーとすると、連通性を有する微小孔が多数形成された均質な多孔性フィルムが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0005】
すなわち、本発明は、連通性を有する微小孔が多数存在するアミドイミド系ポリマー又はイミド系ポリマーからなる多孔性フィルムであって、該フィルムの厚みが5〜200μm、微小孔の平均孔径が0.01〜10μm、空孔率が30〜80%、微小孔の連通性を示す透気度がガーレー値で0.2〜29秒/100ccであることを特徴とする多孔性フィルムを提供する。
【0006】
この多孔性フィルムにおいて、フィルムの表面の開孔率は、例えば30〜80%程度である。また、微小孔の連通性を示す純水透過速度は、例えば3.3×10-9〜1.1×10-7m・sec-1・Pa-1程度である。
【0007】
本発明は、また、アミドイミド系ポリマー又はポリアミック酸8〜25重量%、分子量1000以上の水溶性ポリマー10〜40重量%、水0〜10重量%、アミドイミド系ポリマー又はポリアミック酸の良溶媒30〜82重量%からなる混合溶液をフィルム状に流延する際に、該フィルムを相対湿度70〜100%、温度15〜90℃からなる雰囲気下に0.2〜15分間保持した後、アミドイミド系ポリマー又はポリアミック酸の非溶剤を含む水溶性凝固液に導き、ポリアミック酸を用いた場合にはさらにイミド化工程を経てイミド系ポリマーとすることを特徴とする多孔性フィルムの製造方法を提供する。
【0008】
【発明の実施の形態】
アミドイミド系ポリマーは、耐熱性があり、熱成形が可能で、機械的強度、耐薬品性、電気特性に優れていることから、各種成形材料や耐熱性絶縁塗料等に応用されており、通常無水トリメリット酸とジイソシアネートとの反応、又は無水トリメリット酸クロライドとジアミンとの反応により重合した後、イミド化することによって製造することができる。一方、イミド系ポリマーは、テトラカルボン酸成分とジアミン成分との反応によりポリアミック酸を得て、それをさらにイミド化することにより製造することができる。イミド系ポリマーの場合も耐熱性があり、前述のアミドイミド系ポリマーと同様の性質を有しているが、イミド化すると溶解性が悪くなるために、まずポリアミック酸の段階で多孔膜を形成してからイミド化されることが多い。
【0009】
本発明の多孔性フィルムは、アミドイミド系ポリマー又はイミド系ポリマーを主成分とするフィルム状成型物であり、該成型物には連通性を有する微小孔(連続微小孔)が多数存在している。本発明の多孔性フィルムの厚みは、5〜200μmであり、好ましくは10〜100μm、さらに好ましくは20〜80μmである。厚みが薄くなりすぎるとフィルムの機械強度が充分でなくなり、一方厚すぎる場合には孔径分布を均一に制御することが困難になる。
【0010】
多孔性フィルムに存在する微小孔の平均孔径(=フィルム表面の平均孔径)は、その用途により好適なサイズが異なるが、通常0.01〜10μmであり、好ましくは0.05〜5μmである。サイズが小さすぎる場合には透過性能が劣り、大きすぎる場合は分離濃縮の効率が落ちるなどの不具合がある。また多孔部に機能性材料を充填する場合にはサブミクロン〜ミクロン単位の分解能で充填できることが好ましいことから、上述の平均孔径が好ましく、小さすぎると機能性材料を充填できないなどの不具合が生じたり、一方、大きすぎるとサブミクロン〜ミクロン単位の制御が困難となる。また、フィルム表面の最大孔径は15μm以下が好ましい。
【0011】
本発明のフィルムは、空孔率が30〜80%であり、好ましくは55〜80%である。空孔率が低すぎると、透過性能が充分でなかったり、機能性材料を充填しても機能が発揮できないことがある。一方、空孔率が高すぎると、機械的強度に劣る可能性がある。また、フィルムの表面の開孔率(表面開孔率)としては、30〜80%程度が良く、より好ましくは55〜80%程度である。表面開孔率が低すぎると透過性能が充分でない場合が生じ、高すぎると機械的強度が低下しやすくなる。
【0012】
フィルムに存在する微小孔の連通性は、その特性を示す上で重要な指標であるが、本発明では、透気度を表すガーレー値でその特性を表すことができ、そのガーレー値は0.2〜29秒/100ccであり、好ましくは1〜25秒/100cc、さらに好ましくは1〜18秒/100ccである。これよりも数値が大きいと、実用上の透過性能が充分でなかったり、機能性材料を充分に充填できないためにその機能が発揮できないことがある。一方、数値がこれよりも小さいと、機械的強度に劣る可能性がある。
【0013】
フィルムに存在する微小孔の連通性を示すもう一つの指標として、純水透過速度が挙げられる。本発明のフィルムでは、その純水透過速度が3.3×10-9〜1.1×10-7m・sec-1・Pa-1[=20〜700リットル/(m2・min・atm)]であることが好ましく、さらに好ましくは4.9×10-9〜8.2×10-8m・sec-1・Pa-1[=30〜500リットル/(m2・min・atm)]である。これよりも純水透過速度が低いと、実用上の透過性能が充分でなかったり、機能性材料を充分に充填できないためにその機能が発揮できないことがある。一方、数値がこれよりも大きいと、機械的強度に劣る可能性がある。
【0014】
本発明の多孔性フィルムを製造する方法としては、例えば、アミドイミド系ポリマー又はポリアミック酸8〜25重量%、分子量1000以上の水溶性ポリマー10〜40重量%、水0〜10重量%、アミドイミド系ポリマー又はポリアミック酸の良溶媒30〜82重量%からなる混合溶液をフィルム状に流延する際に、該フィルムを相対湿度70〜100%、温度15〜90℃からなる雰囲気下に0.2〜15分間保持した後、アミドイミド系ポリマー又はポリアミック酸の非溶剤を含む水溶性凝固液に導き(接触させ)、ポリアミック酸の場合にはさらにイミド化工程を経て本多孔性フィルムを得る方法が挙げられる。
【0015】
アミドイミド系ポリマーは、前述の通り、通常無水トリメリット酸とジイソシアネートとの反応、または無水トリメリット酸クロライド等の酸成分とジアミンとの反応により重合される。酸成分としては、無水トリメリット酸、無水トリメリット酸クロライドやそれらの誘導体等が、一方、ジアミン成分としては、m−フェニレンジアミン、p−パラフェニレンジアミン、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2′−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ジアミノピリジン等が例示されるがこれらに限定されるものではない。また、特開昭63−283705号公報や特開平2−198619号公報には化学構造に関する開示例があり、これらを使用することも可能である。
【0016】
イミド化は熱イミド化でも化学イミド化でもよく、化学イミド化の例としては特許第3192762号公報に記載例がある。またイミド系ポリマーに関しては、前述の通りテトラカルボン酸成分とジアミン成分を反応させることにより重合されるが、一旦ポリアミック酸を合成し、その状態で多孔膜を形成してから熱イミド化または化学イミド化される例が多い。テトラカルボン酸成分の例としては、無水ピロメリット酸、ジフェニルエーテルテトラカルボン酸無水物、3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3′,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物やそれらの誘導体が、一方、ジアミン成分としては、3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノジフェニルエーテルや、前述のアミドイミド系ポリマーに使用するジアミン成分や、特開昭63−283704号公報、特開平4−110027号公報、特開平4−110028号公報、特開平4−110029号公報、特開平4−110030号公報に開示の成分を使用することも可能である。またイミド化は前述のアミドイミド系ポリマーと同じ手法をとることが可能である。
【0017】
アミドイミド系ポリマーからなる多孔性フィルムを製造する場合、流延に付す混合溶液は、アミドイミド系ポリマー8〜25重量%、分子量1000以上の水溶性ポリマー10〜40重量%、水0〜10重量%、アミドイミド系ポリマーの良溶媒30〜82重量%からなるが、この際に、アミドイミド系ポリマーの濃度が低すぎるとフィルムの強度が弱くなり、また高すぎると空孔率が小さくなる。水溶性ポリマーは、フィルム内部を均質なスポンジ状の多孔構造にするために添加するが、この際に濃度が低すぎるとフィルム内部に10μmを超えるような巨大ボイドが発生し均質性が低下する。また水溶性ポリマーの濃度が高すぎると溶解性が悪くなる。フィルム状に流延する際には、キャストフィルムを相対湿度70〜100%、温度15〜90℃からなる雰囲気下に0.2〜15分間保持した後、アミドイミド系ポリマーの非溶剤を含む水溶性凝固液に導くことで、表面に適度な孔を開孔することができる。一方、イミド系ポリマーからなる多孔性フィルムを製造する場合には、前記アミドイミド系ポリマーの代わりにポリアミック酸を使用して、同様の方法により多孔膜を得た後、熱イミド化または化学イミド化により、所望の多孔性フィルムとすることができる。
【0018】
キャスト時におけるより好ましい条件としては、相対湿度90〜100%、温度30〜80℃であり、特に好ましい条件は、相対湿度約100%(例えば、95〜100%)、温度40〜70℃である。空気中の水分量がこれよりも少ない場合は、表面の開孔率が充分でなくなる不具合がある。
【0019】
製膜用の塗布液を調製する場合の、アミドイミド系ポリマーやイミド系ポリマーの前駆体であるポリアミック酸に使用する溶媒(良溶媒)としては、ジメチルアセトアミド(DMAc)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、NMP/キシレン/メチルエチルケトン系混合溶媒、NMP/キシレン系混合溶媒、エチルアルコール/トルエン系混合溶媒等やこれらの混合物でもよく、使用するポリマーの化学骨格に応じて溶解性を有するものを使用することができる。
【0020】
また、膜構造をスポンジ状に多孔化するためには、水溶性ポリマーや水を加えることが効果がある。水溶性ポリマーとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、多糖類等やその誘導体などが挙げられる。これらの水溶性ポリマーは単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。これらの中でも、ポリビニルピロリドンが特に好ましい。多孔化のためには、水溶性ポリマーの分子量は1000以上が良く、好ましくは5000以上、特に好ましくは1万以上(例えば、1万〜20万程度)である。本発明では、分子量1000以上のポリビニルピロリドンが特に好ましく用いられる。水の添加量はボイド径の調整に用いることができ、添加量を増やすことで径を大きくすることが可能となる。水溶性凝固液としては、アミドイミド系ポリマー又はポリアミック酸を凝固させる溶剤であればよく、例えば、水;メタノール、エタノール等の1価アルコール、グリセリン等の多価アルコールなどのアルコール;ポリエチレングリコール等の水溶性高分子;これらの混合物などが使用できる。
【0021】
多孔性フィルムの微小孔の径、空孔率、透気度、表面開孔率は、上記のように、用いる水溶性ポリマーの種類や量、水の使用量、流延時の湿度、温度及び時間等を適宜選択することにより所望の値に調整することができる。
【0022】
溶液をキャストする際に用いる板(キャスト板)としては、ガラス板;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂、ナイロン、PET(ポリエチレンテレフタレート)等のポリエステル、ポリカーボネート、スチレン系樹脂、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)等のフッ素系樹脂、塩化ビニル樹脂、その他の樹脂からなるプラスチックシート;ステンレス板、アルミニウム板等の金属板等が使用できる。なお表面素材と内部素材とを違うもので組合せた複合板でもよい。キャスト板における表面素材の種類や粗度は、多孔性フィルムとの剥がれやすさや、多孔性フィルム表面の孔径・開孔率・平滑性に影響を与えるので、目的に応じて適宜選択するのが好ましい。
【0023】
【実施例】
次に本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、得られたフィルムの評価は次のようにして行った。
【0024】
透気度
YOSHIMITSU社製のGurley's Densometerを用い、JIS P8117に準じて測定した。但し、測定面積が標準の1/10の装置を使用したので、JIS P8117の付属書1に準じて標準のガーレー値に換算して求めた。
【0025】
純水透過速度
Amicon社製のSTIRRED ULTRAFILTRATION CELLS MODELS 8200の平膜用濾過器を用いて評価した。透過面積は28.7cm2であった。なお、評価の際に、透過側には濾紙をスペーサー代わりに配置し、透過側の抵抗をできるだけ排除した。圧力は0.5kg/cm2で測定し換算した。測定温度は25℃である。
【0026】
平均孔径
電子顕微鏡写真から、フィルム表面の任意の30点以上の孔についてその面積を測定し、まずその平均値を平均孔面積Saveとした。次に、次式からその孔が真円であると仮定した時の孔径に換算し、その値を平均孔径とした。ここでπは円周率を表す。
平均孔径=2×(Save/π)1/2
【0027】
最大孔径
フィルム表面の電子顕微鏡写真から、任意の20×20μmの面積を5箇所選び、その中に存在する孔を真円であると仮定したときの孔径に換算し、その中で最も大きくなるものを最大孔径とした。なお、換算には次式を使用した。ここでSは孔の面積である。πは円周率を表す。
孔径=2×(S/π)1/2
【0028】
表面開孔率
表面開孔率は、フィルム表面の電子顕微鏡写真から、任意の20×20μmの面積を選び、その中に存在する孔の合計面積が全体に占める比率を算出した。この操作を任意の5箇所について実施し平均値を求めた。
【0029】
空孔率
フィルムの空孔率は次式より求めた。ここでVはフィルムの体積、Wはフィルムの重量、Dはフィルム素材の密度であり、ポリアミドイミドの密度は1.45(g/cm3)、ポリイミドの密度は1.35(g/cm3)とした。
空孔率(%)=100−100×W/(D・V)
【0030】
実施例1
東洋紡績社製の商品名「バイロマックスHR11NN」(アミドイミド系ポリマー、固形分濃度15重量%、溶剤NMP、溶液粘度20dPa・s/25℃)を使用し、この溶液100重量部に対し、水溶性ポリマーとしてポリビニルピロリドン(分子量5万)を30重量部加えて製膜用の原液とした。この原液を20℃とし、フィルムアプリケーターを使用してガラス板上にキャストした。キャストは30℃、80%RH雰囲気で実施し、キャスト後速やかに湿度約100%、温度45℃の容器中に4分間保持した。その後、水中に浸漬して凝固させ、次いで乾燥することによって多孔性フィルムを得た。この操作ではキャスト時のフィルムアプリケーターとガラス板とのギャップは127μmとし、得られたフィルムの厚みは約50μmとなった。
得られたフィルムの膜構造を観察したところ、片面に存在する孔の平均孔径は約1.5μm、最大孔径は2.9μmで表面開孔率は約55%、もう一方の面に存在する孔の平均孔径は約0.3μm、最大孔径は0.6μmで表面開孔率は約40%であった。フィルムの内部はほぼ均質で、全域に亘って連通性を持つ微小孔が存在していた。また、フィルムの空孔率は70%であった。透過性能を測定したところ、ガーレー透気度で10.2秒、純水透過速度で8.4×10-9m・sec-1・Pa-1[=51リットル/(m2・min・atm)]という優れた性能を示した。
【0031】
実施例2
東洋紡績社製、商品名「バイロマックスHR11NN」(アミドイミド系ポリマー、固形分濃度15重量%、溶剤NMP、溶液粘度20dPa・s/25℃)を使用し、この溶液100重量部に対し、水溶性ポリマーとしてポリビニルピロリドン(分子量5万)を25重量部、水を5重量部加えて製膜用の原液とした以外は、実施例1と同様にしてフィルムを製膜した。フィルムの厚みは50μmであった。
得られたフィルムの膜構造を観察したところ、片面に存在する孔の平均孔径は約2.5μm、最大孔径は4.1μmで表面開孔率は約60%、もう一方の面に存在する孔の平均孔径は約1.8μm、最大孔径は3.4μmで表面開孔率は約45%であった。フィルムの内部はほぼ均質で、全域に亘って連通性を持つ微小孔が存在していた。また、フィルムの空孔率は約70%であった。透過性能を測定したところ、ガーレー透気度で5.6秒、純水透過速度で1.8×10-8m・sec-1・Pa-1[=110リットル/(m2・min・atm)]という優れた性能を示した。
【0032】
比較例1
東洋紡績社製、商品名「バイロマックスHR11NN」(アミドイミド系ポリマー、固形分濃度15重量%、溶剤NMP、溶液粘度20dPa・s/25℃)をそのまま製膜用の原液として用い、20℃、32%RHでキャスト後、速やかに水中に浸漬する以外は、実施例1と同様に製膜した。フィルムの厚みは50μmであった。このフィルムの膜構造を電子顕微鏡で観察したところ、両面共に孔が観察されず、また内部には約5×25μmの巨大ボイドが形成されていた。
透過性能を測定したところ、このフィルムは表面に孔がほとんど無く内部の孔の連通性が悪いために、ガーレー透気度は1300秒以上で測定不能であり、純水透過速度は約6.4×10-12m・sec-1・Pa-1[=約0.039リットル/(m2・min・atm)]という低い性能を示した。
【0033】
比較例2
東洋紡績社製、商品名「バイロマックスHR11NN」(アミドイミド系ポリマー、固形分濃度15重量%、溶剤NMP、溶液粘度20dPa・s/25℃)100重量部に対して、水溶性ポリマーとしてポリエチレングリコール(分子量400)を20重量部添加した以外は、実施例1と同様に製膜して多孔性フィルムを得た。フィルムの厚みは50μmであった。このフィルムの膜構造を観察したところ、片面に存在する孔の平均孔径は約1.5μm、最大孔径は3.1μmで表面開孔率は約33%、もう一方の面に存在する孔の平均孔径は約0.6μm、最大孔径は1.3μmで表面開孔率は約12%であった。フィルムの内部はほぼ均質で、全域に亘って連通孔が存在していた。また、フィルムの空孔率は約60%であった。
透過性能を測定したところ、このフィルムは内部の孔の連通性が悪いために、ガーレー透気度は1300秒以上で測定不能であり、純水透過速度は約4.9×10-10m・sec-1・Pa-1[=約3リットル/(m2・min・atm)]という低い性能を示した。
【0034】
実施例3
ジフェニルエーテルテトラカルボン酸無水物とp−フェニレンジアミンをDMAc中で反応させて、ポリアミック酸溶液を得た。ポリマー濃度を15重量%に調整した後、この溶液100重量部に対し、水溶性ポリマーとしてポリビニルピロリドン(分子量5万)を30重量部加えて製膜用の原液とした。この原液を20℃とし、フィルムアプリケーターを使用してガラス板上にキャストした。キャストは30℃、80%RH雰囲気で実施し、キャスト後速やかに湿度約100%、温度45℃の容器中に4分間保持した。その後、水中に浸漬して凝固させ、次いで乾燥することによって多孔性フィルムを得た。このフィルムを200℃で6時間、さらに250℃で2時間加熱し、イミド化反応を行った。この操作では最終的に得られたフィルムの厚みは約40μmとなった。
得られたフィルムの膜構造を観察したところ、片面に存在する孔の平均孔径は約1μm、最大孔径は2.1μmで表面開孔率は約50%、もう一方の面に存在する孔の平均孔径は約0.2μm、最大孔径は0.5μmで表面開孔率は約40%であった。フィルムの内部はほぼ均質で、全域に亘って連通性を持つ微小孔が存在していた。フィルムの空孔率は約65%であった。
透過性能を測定したところ、ガーレー透気度で21秒、純水透過速度で5.9×10-9m・sec-1・Pa-1[=36リットル/(m2・min・atm)]という優れた性能を示した。
【0035】
【発明の効果】
本発明の多孔性フィルムは、微小孔の平均孔径、空孔率、透気度等が特定の範囲にあり、均質で優れた空孔特性を有するため、精密濾過、分離濃縮等の膜分離技術に利用できるほか、その空孔を機能性材料で充填することにより、電池用セパレータ、電解コンデンサー、回路用基板等、広範囲な基板材料としての利用が可能である。
本発明の製造法によれば、このような優れた空孔特性を有する多孔性フィルムを簡便な操作で得ることができる。

Claims (4)

  1. 連通性を有する微小孔が多数存在するアミドイミド系ポリマー又はイミド系ポリマーからなる多孔性フィルムであって、該フィルムの厚みが5〜200μm、微小孔の平均孔径が0.01〜10μm、空孔率が30〜80%、微小孔の連通性を示す透気度がガーレー値で0.2〜29秒/100ccであることを特徴とする多孔性フィルム。
  2. フィルムの表面の開孔率が30〜80%である請求項1記載の多孔性フィルム。
  3. 微小孔の連通性を示す純水透過速度が3.3×10-9〜1.1×10-7m・sec-1・Pa-1である請求項1又は2記載の多孔性フィルム。
  4. アミドイミド系ポリマー又はポリアミック酸8〜25重量%、分子量1000以上の水溶性ポリマー10〜40重量%、水0〜10重量%、アミドイミド系ポリマー又はポリアミック酸の良溶媒30〜82重量%からなる混合溶液をフィルム状に流延する際に、該フィルムを相対湿度70〜100%、温度15〜90℃からなる雰囲気下に0.2〜15分間保持した後、アミドイミド系ポリマー又はポリアミック酸の非溶剤を含む水溶性凝固液に導き、ポリアミック酸を用いた場合にはさらにイミド化工程を経てイミド系ポリマーとすることを特徴とする多孔性フィルムの製造方法。
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