JP2007119573A - 低誘電性ポリイミドフィルム及びその製造方法並びに配線基板用積層体 - Google Patents

低誘電性ポリイミドフィルム及びその製造方法並びに配線基板用積層体 Download PDF

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Abstract

【課題】低誘電率、高耐熱性、低熱膨張係数のポリイミドフィルム及びそれを使用した配線基板用積層体提供する。
【解決手段】厚さ1〜500μmで、JIS Z−0208により測定される25℃、50RH%での水蒸気透湿度から計算される水蒸気透湿係数が2〜100kgμm/m2.24hrの範囲にあり、かつ19.5GHzにおける誘電率が3.1以下である低誘電性ポリイミドフィルム。この低誘電性ポリイミドフィルムは、ポリイミド層X/ポリイミド層Yからなる層構造を有し、ポリイミド層Xのアルカリ水溶液に対するエッチング速度がポリイミド層Yの2倍以上である積層体を準備し、ポリイミド層Y側からアルカリ水溶液によるエッチング処理を60秒以上行うことにより得られる。
【選択図】図1

Description

本発明は低誘電性ポリイミドフィルム及びその製造方法並びに配線基板用積層体に関する。
従来からポリイミド樹脂は高い絶縁性、寸法安定性、易成形性、軽量等の特徴を有するために、信頼性の必要な部品、部材として、回路基板などの電子、電気機器や電子部品に広く用いられている。特に近年、電気、電子機器の高性能、高機能化に伴い、情報の高速転送化が要求されており、これらに使用される部材にも高速化対応が求められている。そのような用途に使用されるポリイミドにも高速化に対応した電気特性として低誘電率化が求められている。
一般にプラスチック材料の誘電率はその分子骨格によって決定されるため、誘電率を下げる試みとして分子骨格を変成する方法が考えられる。しかし、その制御と骨格には限界がある。また骨格の変更により、膜強度や線膨張係数などの諸物性が変化してしまうなどの問題がある。 ポリイミドは極性の強いイミド基を含有するため、普通は誘電率が3.5以上である。
一方、フッ素ポリイミドは低誘電率ポリイミド材料として提案されているが、製造コストがかさんだり、金属材料との接着性が悪いという欠点がある。他の低誘電率化の試みとしては空気の誘電率が1であることを利用し、プラスチック材料を多孔化させて、その空孔率によって誘電率を制御しようとする方法が各種提案されている。
従来の一般的な多孔質ポリマーを得る方法としては、物理発泡法と化学発泡法とが知られている。物理発泡法は、例えばクロロフルオロカーボン類又は炭化水素類などの低沸点溶媒を発泡剤としてポリマーに分散させた後、加熱して発泡剤を揮発させることによりセルを形成し、多孔質体を得るものである。また化学発泡法は、ポリマーに発泡剤を添加してこれを熱分解することによって生じるガスによりセルを形成し、これによって発泡体を得るものである。
物理的手法による発泡技術は、発泡剤として用いる物質の有害性やオゾン層の破壊など各種の環境への問題が存在する。また、物理的手法は一般的に数十μm以上のセル径を有する発泡体を得るのに好適に用いられ、微細で尚且つ均一なセル径を有する発泡体を得ることは難しい。また、化学的手法による発泡技術においては、発泡後、ガスを発生させた発泡剤の残渣が発泡体中に残り、特に電子部品用途などにおいては、低汚染性の要求が高いため腐食性ガスや不純物による汚染が問題となる場合がある。
更に、近年はセル径が小さく、なおかつセル密度の高い多孔質体を得る方法として、窒素や二酸化炭素等の不活性気体を、高圧でポリマー中に溶解させた後、圧力を解放し、ポリマーのガラス転移温度や軟化点付近まで加熱することにより気泡を形成させる方法が提案されている。この発泡方法は、熱力学的不安定な状態から核を形成し、形成された核が膨張成長することで気泡が形成するものであり、今までにない微孔質の発泡体が得られるという利点がある。
特開平6−322168号公報 特開2002−146085号公報 特開2002−9202号公報
これらの手法を熱可塑性ポリマーのポリエーテルイミドに適用し、耐熱性を有する発泡体を製造する方法が特許文献1に提案されている。しかし、この手法では、高圧ガスを圧力容器中でポリマーに含浸させる際に、圧力容器をポリマーのビカー軟化点又はその近傍まで加熱するため、減圧するときにポリマーが溶融状態にあって高圧ガスが膨張しやすい。そのため、得られる発泡体の気泡寸法が10〜300μmと大きく、回路基板として用いようとする際には厚みが厚くなってしまい、パターンの微細化に限界が生じてしまう。
ポリイミド前駆体に分散体化合物を添加して、10μm未満のミクロ相分離構造をポリマー内に形成させた後、超臨界二酸化炭素を用いて分散性化合物を抽出除去し、平均気泡径が5μm未満で、誘電率が3以下である多孔質ポリイミドが特許文献2に提案されているが、製造プロセスは煩雑である。
更に、基板に樹脂絶縁層を形成してから金属微粒子を添加し、拡散する工程と、金属微粒子を化学エッチングして微細な孔を生成して樹脂絶縁層を多孔質化する工程とが含まれる低誘電率樹脂絶縁層の製造方法が特許文献3に提案されている。しかし、金属微粒子の粒径の制御及び粒子分散の工程は煩雑である。
本発明は、耐熱性や熱膨張係数などのポリイミドの優れた基本特性を保持したまま、誘電率の低いポリイミドフィルムを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく検討した結果、ポリイミドフィルムの内部構造を制御することで上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、厚さ1〜500μmで、JIS Z−0208により25℃、50RH%で測定される水蒸気透湿度から計算される水蒸気透湿係数が2〜100kgμm/m2.24hrの範囲であり、かつ19.5GHzにおける誘電率が3.1以下であることを特徴とする低誘電性ポリイミドフィルムである。
また、本発明は、ポリイミド層X/ポリイミド層Yからなる層構造を有し、ポリイミド層Xのアルカリ水溶液に対するエッチング速度がポリイミド層Yの2倍以上である積層体を準備し、ポリイミド層Y側からアルカリ水溶液によるエッチング処理を60秒以上行うことで、上記低誘電性ポリイミドフィルムを製造する方法である。更に、本発明は、上記低誘電性ポリイミドフィルム絶縁樹脂層とする配線基板用積層体である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の低誘電性ポリイミドフィルムは、JIS Z−0208により25℃、50RH%で測定される水蒸気透湿度から計算される水蒸気透湿係数が2〜100kgμm/m2.24hrの範囲であり、かつ19.5GHzにおける誘電率が3.1以下である。好ましくは、JIS Z−0208により25℃、50RH%で測定される水蒸気透湿度が100〜1000g/m2.24hrの範囲にあり、19.5GHzにおける誘電率が3.0以下である。一般に知られているポリイミドフィルムは、透湿度が100g/m2.24hrよりも小さい。例えば、東レ・デュポン社製のカプトン(商品名)で知られるポリイミドフィルムの水蒸気透湿度は、本発明者等の知見では、8g/m2.24hrであり、水蒸気透湿係数に換算すると0.3kgμm/m2.24hrである。また、ポリイミドフィルムに1μm程度以上の気孔を多数設けたフィルムはこの透湿度が1000g/m2.24hrよりも大きくなるものと考えられる。ポリイミドフィルムの水蒸気透湿係数が2kgμm/m2.24hrに満たないと低誘電特性の確保が困難になり、一方、100kgμm/m2.24hrを超えるとポリイミドの内部構造の変化が大きくなるため、耐熱性や熱膨張係数の低下が起き易く、電気・電子部品として用いるのに適さない。
低誘電性ポリイミドフィルムの厚さは、1〜500μmの範囲にあることが必要で、6〜60μmの範囲が好ましく、特には10〜40μmの範囲が好ましい。フィルム厚みが1〜500μmの範囲にないと、実用性や有用性に欠けるフィルム材料となる。
本発明の低誘電性ポリイミドフィルムの熱膨張係数は25ppm/℃以下であることが好ましく、1〜20ppm/℃の範囲にあることがより好ましい。熱膨張係数の範囲を25ppm/℃以下とすることで電気・電子部品や、配線回路材料に適用した場合に優れたものとなる。
本発明の低誘電性ポリイミドフィルムの熱分解温度(Td5%)は450℃以上であることが好ましく、450〜600℃の範囲にあることがより好ましい。なお、本発明でいう熱分解温度(Td5%)は、5%重量減少温度を意味する。この熱分解温度が450℃に満たないと、加工時にかかる熱履歴や実用時の耐熱性によりフィルム特性の低下を招くおそれがある。
本発明の低誘電性ポリイミドフィルムは、単層のみから形成されていてもよく、また複数層から形成されていてもよい。低誘電性ポリイミドフィルムの少なくとも1層には、エチレンジアミン11wt%、エチレングリコール22wt%、水酸化カリウム33.5wt%、水33.5wt%からなるアルカリ水溶液(以下、基準アルカリ水溶液という)を使用して80℃で測定されるエッチング速度が5μm/min以下、より好ましくは2μm/min以下、特に好ましくは1μm/min以下である低エッチングポリイミド層Y'を有していることが好ましい。
低エッチングポリイミド層Y'を含む複数のポリイミド層からなる場合、ポリイミド層Y'の厚さは10μm以下であることが好ましく、0.5〜5μmの範囲がより好ましい。低エッチングポリイミド層Y'に、熱膨張係数の大きなものを使用する場合、この層の厚さを大きくすることは積層体全体の低熱膨張性維持の観点から好ましくない。本発明の低誘電性ポリイミドフィルムにおいて、低エッチングポリイミド層Y'以外の層(低エッチングポリイミド層Y'よりエッチング速度が速いポリイミド層)は、一層のポリイミド層(好ましくは高エッチングポリイミド層X')から形成されていることが好ましく、その厚さは、5〜100μmの範囲が好ましく、より好ましくは10〜50μmの範囲である。
本発明の低誘電性ポリイミドフィルムは、単層のポリイミド層からなる場合は高エッチングポリイミド層X'からなることがよく、複数のポリイミド層からなる場合、ポリイミド層X'とポリイミド層Y'からなることがよく、ポリイミド層Y'の厚さは全体厚さの5〜50%、好ましくは10〜30%の範囲にあることがよい。そして、ポリイミド層X'とポリイミド層Y'はいずれも多孔質のポリイミド層であることが望ましい。この多孔質の程度は水蒸気透湿度又は水蒸気透湿係数を前記範囲に調整によって決めることができる。水蒸気透湿度又は水蒸気透湿係数が大きいほど多孔質であり、低誘電性を与えると考えられる。
本発明の低誘電性ポリイミドフィルムは、以下の方法によって有利に製造することができる。すなわち、ポリイミド層X/ポリイミド層Yからなる層構造を有する積層体を準備し、ポリイミド層Y側からアルカリ水溶液によるエッチング処理を行うことで低誘電性ポリイミド層を有する低誘電性ポリイミドフィルムを製造することができる。積層体としては、ポリイミド層X/ポリイミド層Yからなる層構造を有するものであればよく、他のポリイミド層や複数のポリイミド層Xやポリイミド層Y又は支持体層が含まれてもよいが、少なくとも一方の表面はポリイミド層Yである。そして、最もエッチング速度が遅いポリイミド層Yを基準として、2倍以上のエッチング速度を示すポリイミド層をポリイミド層Xとする。好ましい積層体としては、支持体/ポリイミド層X/ポリイミド層Y、又はポ
リイミド層Y/ポリイミド層X/ポリイミド層Yからなる積層体が例示される。ここで、ポリイミド層Yは低エッチング速度ポリイミド層であり、エッチング処理された後、完全に除去されるか、除去されないときはポリイミド層Y'を与える。ポリイミド層Xはポリイミド層Yよりアルカリ水溶液に対するエッチング速度が速い高エッチング速度ポリイミド層であり、エッチング処理された場合、ポリイミド層X'を与える。ポリイミド層Xとポリイミド層Y(2層以上の場合はその合計)の厚み比は、ポリイミド層X/ポリイミド層Yとして2〜20の範囲が好ましい。
このエッチング処理では、ポリイミド層Y側からエッチングされるので、ポリイミド層Yが表面側からエッチング除去されると共に、一部は内部にエッチング液が浸透して、ポリイミド層Yの内部の一部をエッチング除去して、小孔を形成したポリイミド層Y'となる。それと同時にエッチング液はポリイミド層Xの内部にも浸透して、ポリイミド層Xの内部の一部をエッチング除去して、小孔を形成したポリイミド層X'となる。ポリイミド層Yはその厚みの10〜100%、好ましくは50〜100%がエッチング除去されることがよい。ポリイミド層Yが全部除去される場合は、ポリイミド層Xの一部も除去されることがあるが、ポリイミド層Xの厚みの50〜100%、好ましくは70〜100%は残すことがよい。
基準アルカリ水溶液によって測定される80℃におけるエッチング速度は、次の範囲がよい。ポリイミド層Yは、5μm/min以下、より好ましくは2μm/min以下、特に好ましくは1μm/min以下である。ポリイミド層Xは、1.5μm/min以上であることが好ましく、より好ましくは2.0μm/min以上である。ポリイミド層Xのエッチング速度は、ポリイミド層Yよりも2倍以上早いことが好ましく、2〜500倍の範囲がより好ましく、5〜100倍の範囲が最も好ましい。
準備される積層体としては、(I) 支持体/ポリイミド層X/ポリイミド層Y、又は(II)ポリイミド層Y/ポリイミド層X/ポリイミド層Yの層構成の積層体が好ましい。上記支持体は、特に限定されるものではないが、配線回路材料とする場合には、そのままその支持体を構成材料とすることができることから、銅箔、合金銅箔、ステンレス箔などの金属箔が好ましい。その場合には、金属箔の厚みは、5〜50μmの範囲が好ましく、8〜20μmの範囲がより好ましい。ポリイミド層Xやポリイミド層Yは、それぞれのポリイミドフィルムを上記層構成となるように順次積層してもよいが、ポリイミドフィルムの厚みを薄くしようとする場合には、ポリイミド又はポリイミド前駆体の樹脂を溶液状態で塗布することによって形成することが好ましい。ポリイミド前駆体樹脂を塗布した場合、熱処理し溶媒を除去し、その後、イミド化することで上記積層体とすることができる。
積層体におけるポリイミド層X及びポリイミド層Yは、公知の方法で製造することができる。例えば、ほぼ等モル(0.95〜1.05)のテトラカルボン酸二無水物とジアミノ化合物を原料として、溶媒中、反応温度0〜200℃、好ましくは0〜100℃の範囲で反応させることにより、ポリイミド前駆体の溶液が得られ、更にこれをイミド化することによりポリイミドが得られる。なお、本発明でいうポリイミドとは、ポリイミドの他、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリシロキサンイミド、ポリベンズイミダゾールイミドなどの構造中にイミド基を有するポリマーからなる樹脂をいう。
上記ポリイミド層Xを構成するポリイミドは、エッチング速度が速く、かつ、線熱膨張係数(CTE)が25ppm/℃以下であることが好ましい。このような、ポリイミドとしては、ジアミンとして、1,3-ビス-(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4'-ジアミノ-2'-メトキシベンズアニリド、パラフェニレンジアミン、メタフェニレンジアミン、4,4'-ジアミノベンズアニリド、3,3'-ジメチル-4,4'-ジアミノビフェニル、2,2'-ジメトキシ-4,4'-ジアミノビフェニル、2,4-トルエンジアミンを用い、テトラカルボン酸二無水物として、p-フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル無水物)、テトラカルボン酸二無水物としてピロメリット酸二無水物、3,3',4,4'-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物を用い、これらを組み合わせて合成されるポリイミド樹脂が例示される。
上記ポリイミド層Yを構成するポリイミドは、エッチング速度が遅く、かつ、水透過係数が0.3kgμm/m2.h以上、好ましくは0.3〜5kgμm/m2.hの範囲にあることがよい。この低エッチングポリイミド層を有することで、低誘電性ポリイミドフィルムの製造方法を簡易なものとすることができる。また、水透過係数の範囲が0.3kgμm/m2.hに満たないと、本発明の効果を達するまでに時間を長くかかってしまい、場合によって、誘電率の低下が見られなくなる恐れもある。なお、この低エッチングポリイミド層の水透過係数の値は、エッチング処理前の値を指し、エッチング処理後は、より大きな値となる。
ポリイミド層Yの合成で使用されるジアミノ化合物は、特に限定されるものではなく公知のジアミノ化合物を用いることができるが、全ジアミノ化合物中、4,4-ジアミノジフェニルエーテル、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、4,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、1,4-ビス-(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、3,3'-ジアミノベンゾフェノン、4,4'-ジアミノジフェニルスルフィド若しくは4,4'-ジアミノ-2,2'-ジメチルビフェニル等の芳香環に置換基として低級アルキル基を有する芳香族ジアミンから選ばれる1種以上のジアミンを30モル%以上、更には50モル%以上用いることが好ましい。ポリイミド層Yを形成するポリイミドに、特に好ましいジアミンとしては、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,4-ビス-(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、ジアミノジフェニルエーテル、又は芳香環に置換基として低級アルキル基を有する芳香族ジアミンである。ポリイミド層Yを形成するポリイミドの合成で使用されるテトラカルボン酸二無水物は、特に限定されるものではなく公知のテトラカルボン酸二無水物を用いることができるが、全テトラカルボン酸二無水物中、ピロメリット酸二無水物、3,4,3',4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4'-(2,2'-ヘキサフルオロイソポロポリデン)ジフタル酸ニ無水物、3,4,3',4'-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、3,4,3',4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、m-フェニル-3,4,3',4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、オキシジフタル酸二無水物、ナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物から選ばれる1種以上のテトラカルボン酸二無水物を50モル%以上、好ましくは70%モル以上、更に好ましくは80%モル以上使用することがよい。ポリイミド層Yを形成するポリイミドに、特に好ましいテトラカルボン酸二無水物は、3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、オキシジフタル酸二無水物、ナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物である。
上記合成反応に用いられる溶媒としては、一般的にはN-メチルピロリドン(NMP)、メチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルスルフォキサイド(DMSO)、硫酸ジメチル、スルフォラン、ブチロラクトン、クレゾール、フェノール、ハロゲン化フェノール、シクロヘキサン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジグライム、トリグライムなどが挙げられる。
本発明の低誘電性ポリイミドフィルムの製造方法においては、準備された積層体をアルカリ水溶液によりエッチング処理を行うが、その場合、ポリイミド層の表面層側からエッチング液が接触するように浸漬、スプレー処理等の方法でエッチングを行うことができる。例えば、上記(I) 支持体/ポリイミド層X/ポリイミド層Y、又は(II)ポリイミド層Y/ポリイミド層X/ポリイミド層Yの層構成の積層体を用いた場合、ポリイミド層Y側からエッチング処理される。エッチング処理方法が、内部層が先に処理されてしまうと意図するポリイミドフィルムの形態とならず、また、誘電率の低下も期待できない。(II)の場合は両面側からエッチング処理することが可能であり、両面を同時にエッチング処理することにより処理時間が短縮される。
本発明の低誘電性ポリイミドフィルムの製造方法によれば、最表面のポリイミド層Yがエッチングされる間、この表面層のポリイミドエッチング速度が遅いため、エッチング速度の速い内部のポリイミド層Xにエッチング液が浸透し、緻密層である最表面層ポリイミドの自由体積の大きさの孔が内部ポリイミド層に全体的に生成し、誘電率が下がる理由となると考えられる。このことは、エッチング時間と共に、水蒸気透湿度が大きく増加したことから推測できる。なお、孔の存在はSEMとTEM電子顕微鏡では10万倍拡大しても観察されなかった。この結果からナノサイズよりも小さく、極めて小さい孔ができていると考えられる。
本発明の低誘電性ポリイミドフィルムの製造方法に使用されるエッチング液は、特に限定されるものではないが、アルカリ水溶液であることが好ましい。なお、本発明で規定するエッチング速度は、特にことわりの無い限り、上記基準アルカリ水溶液を使用して、80℃でのエッチング速度を指すものである。
本発明の配線基板用積層体は、一層又は多層のポリイミド樹脂層の片面又は両面に、金属箔が積層されている構造を有し、上記低誘電性ポリイミドフィルムを絶縁樹脂層とする。金属箔としては、フレキシブルプリント配線板用途に使用するものには、厚みが10〜50μmの銅箔が適しており、また、HDDサスペンション用基板として使用する場合には、厚みが10〜70μmのステンレス箔が適している。配線基板用積層体とする場合、これら銅箔やステンレス箔を支持体として、支持体上に、複数層のポリイミド層、例えば、ポリイミド層X/ポリイミド層Yを順次形成し、ポリイミド層Y側からエッチング液によりエッチング処理することで、本発明の低誘電性ポリイミドフィルムと同じ特性を有する絶縁樹脂層の配線基板用積層体とすることができる。
本発明の低誘電性ポリイミドフィルムは、ポリイミドの有する耐熱性や低熱膨張性などの基本特性を保持し低誘電性を達成したものである。また、本発明のポリイミドフィルムの製造方法は、複雑な製造技術を採用しなくとも上記ポリイミドの基本特性を有した低誘電性ポリイミドフィルムを簡易に効率よく製造できる。この低誘電性ポリイミドフィルムは、電気・電子部品の絶縁材料、配線基板用材料、緩衝材などとして工業的にも広く使用することができその有用性は高い。これは、本発明の製造方法によれば、低誘電性ポリイミドフィルムの内部構造の変化が微小で均一に制御されたものとすることができるためと推測される。
図1に本発明の低誘電性ポリイミドフィルムの製造方法の3つの態様を例示する。
図中1a〜1cは、支持体である銅箔4上にポリイミド層Y3、ポリイミド層X2、ポリイミド層Y1からなる3層のポリイミド層からなる積層体をエッチングする状況を示したものである。この積層体をアルカリ水溶液により処理すると、積層体のポリイミド層はポリイミド層1側からエッチングが開始し、同時にポリイミド層2又はポリイミド層2及び3の内部が徐々に浸透してきたアルカリ水溶液により処理され、支持体上に低誘電性ポリイミドフィルムを有する積層体となる。ここで、上記アルカリ水溶液による処理によりポリイミド層1が除去されてもよい(1c)。1b又は1cの積層体は、その銅箔をエッチング除去することで、樹脂層のみからなる低誘電性ポリイミドフィルムとすることができる。ここで行われるアルカリ水溶液により処理は、60秒以上、好ましくは60秒〜20分の範囲で行うことが好ましい。処理時間が60秒に満たないと誘電率を下げる効果が得られにくく、また、20分を超えると低誘電性ポリイミドフィルムの生産性が悪くなる他、機械的強度の低下が懸念される。
図中2a〜2cは、支持体である銅箔4上にポリイミド層X2/ポリイミド層Y1からなる2層のポリイミド層を形成した積層体をエッチングする状態を示したものである。2aの積層体を上記アルカリ水溶液により処理すると、積層体のポリイミド層はポリイミド層1側からエッチングが開始し、まもなくポリイミド層2の内部が徐々にアルカリ水溶液により処理され、支持体上に低誘電性ポリイミドフィルムを有する積層体となる。ここで、上記アルカリ水溶液による処理によりポリイミド層1が除去されてもよい(2c)。2b又は2cの積層体は、その銅箔をエッチング除去することで、樹脂層のみからなる低誘電性ポリイミドフィルムとすることができる。
図中3a〜3cは、ポリイミド層Y1/ポリイミド層X2/ポリイミド層Y3からなる3層のポリイミド層を形成した積層体をエッチングする状態を示したものである。3aの積層体を上記アルカリ水溶液により処理すると、積層体のポリイミド層は両ポリイミド層Y側からエッチングが開始し、まもなくポリイミド層2の内部が徐々にアルカリ水溶液により処理され、低誘電性ポリイミドフィルムを有する積層体となる。
なお、アルカリ水溶液による処理時間が長くなると、1a、2a又は3aに示したポリイミド層Yやポリイミド層Xの厚みは減少することとなる。但し、ポリイミド層Xの厚みの減少は、ポリイミド層1側のポリイミド層Yが除去された後に減少することとなる。また、ここで使用されたポリイミド層Y及びポリイミド層Xは、上述したようにアルカリ水溶液に対するエッチング速度がポリイミド層Yよりもポリイミド層Xの方が速いものである。そして、このポリイミド層Yは、絶縁樹脂層の最外層として用いることが好ましい。ポリイミド層Yのエッチング速度が、5μm/minを超えると良好な低誘電性ポリイミドフィルムを得ることが難しくなり、又は大きな孔が生じやすくなり、ポリイミド樹脂の絶縁樹脂特性を低下させる恐れもある。また、内層のポリイミド層のエッチング速度が、最表面樹脂層のエッチング速度より遅いと、本発明効果の誘電率低下は見られなくなるか、又は効果を達成するのに長時間がかかってしまう。
以下、実施例及び比較例に基づき本発明を更に具体的に説明する。
なお、実施例における各種特性の評価は以下の方法による。なお、試料のポリイミドにはイミド化が十分に終了したものを用いた。
[エッチング速度の測定]
本発明におけるエッチング速度は、銅箔上にポリイミド層を形成した積層体を用い、基準アルカリ水溶液を用いて測定することができる。測定は、まず、銅箔上にポリイミド層を形成した積層体全体の厚みを測定し、次いで銅箔を残したままの状態で80℃の上記基準エッチング液に浸漬してポリイミド樹脂が全てなくなる時間を測定し、初期の厚みをエッチングに要した時間で割った値をエッチング速度とした。なお、エッチング時間が長いポリイミド樹脂に関しては、膜厚が減った量をエッチングに要した時間で割った値をエッチング速度とした。
[誘電率の測定]
5cm×5cmのフィルムサンプルを用意して、23℃、50%RHの恒温恒湿室中、マイクロ波方式分子配向計MOA−3020A、MOA-6015、MOA-3001Aを用い、任意の周波数における誘電率を測定した。
[水蒸気透湿度の測定]
JIS Z−0208カップ法による測定により、25℃において防湿包装材料を境界面とし、一方の側の空気を相対湿度50%RH、他の側の空気を吸湿剤(無水塩化カルシウム21g)によって乾燥状態に保ったとき、24時間にこの境界面(28.27cm2)を透過する水蒸気の質量(g)を測定し、水蒸気透湿度(g/m2.24hr)を求めた。更に、単位厚みあたりの水蒸気透湿係数(kgμm/m2.24hr)を算出した。
[水透過係数の測定]
上部に供給液室を、下部に被透過液室とを備え、両室を有効面積が22cm2の任意のポリイミド膜で隔てた測定装置を用いた。供給液室に純水(液温80℃)を100ml入れ、被透過液室を真空ポンプにより0.1torr とし、液を透過させた。透過物は液体窒素によりトラップ内で凝固させ捕集した。膜の水透過速度は、単位厚み、単位面積、単位時間当たりの水の水透過係数QL(kgμm/m2h)として評価した。
[線膨張係数(CTE)の測定]
3mm×15mmのサイズのポリイミドフィルムを、熱機械分析(TMA)装置にて5.0gの荷重を加えながら一定の昇温速度で30℃から260℃の温度範囲で引張り試験を行った。温度に対するポリイミドフィルムの伸び量から線膨張係数を測定した。
[熱分解温度(Td5%)の測定]
窒素雰囲気下で10〜20mgの重さのポリイミドフィルムを、熱重量分析(TG)装置にて一定の速度で30℃から550℃まで昇温させたときの重量変化を測定し、5%重量減少温度(Td5%)を求めた。
[ガラス転移温度(Tg)の測定]
ポリイミドフィルム(10mm×22.6mm)を動的熱機械分析装置(DMA)にて20℃から500℃まで5℃/分で昇温させたときの動的粘弾性を測定し、ガラス転移温度(tanδ極大値)を求めた。
[ポリイミドフィルムの形態観察方法]
作製した膜の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)と透過型電子顕微鏡(TEM、日立製H-7100FA型)により観察した。
実施例等に用いた略号を下記に示す。
・PMDA:ピロメリット酸二無水物
・BTDA:3,3',4,4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物
・BPDA:3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
・DSDA:3,3',4,4'-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物
・MABA:4,4'-ジアミノ-2'-メトキシベンズアニリド
・TPE-R:1,3-ビス-(4-アミノフェノキシ)ベンゼン
・DAPE:4,4'-ジアミノジフェニルエーテル
・m-TB:2,2'-ジメチル-4,4'-ジアミノビフェニル
・BAPP: 2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン
・DMAc:N,N-ジメチルアセトアミド
合成例1〜5
表1に原料使用量(重量部)を示す。500mlのセパラブルフラスコの中で、攪拌しながら溶剤DMAc340gにジアミノ化合物を溶解させた。次いで、窒素気流下でテトラカルボン酸二無水物を加えた。その後、溶液を室温に戻し、3時間攪拌を続けて重合反応を行い、A〜Eの粘稠なポリイミド前駆体の溶液を得た。
Figure 2007119573
参考例1〜5
上記ポリイミド前駆体溶液をそれぞれ銅箔上にアプリケータを用いて塗布し、110℃で10分間乾燥した後、更に130〜360℃で段階的にそれぞれ数分程度熱処理を行い、銅箔上に厚み11.1〜20μmのポリイミド層を形成した。
次いで、上記した測定方法に準じて、誘電率、エッチング速度、水蒸気透湿度、水蒸気透湿係数、水透過係数を求めた。結果を表2に示す。
Figure 2007119573
実施例1
18μm厚み銅箔を使用し、この銅箔上に合成例2で調製したポリイミド前駆体溶液Bを25μmの厚みで均一に塗布したのち、130℃で加熱乾燥し溶剤を除去した。次に、その上に積層するように合成例1で調製したポリイミド前駆体溶液Aを195μmの厚みで均一に塗布し、70℃〜130℃で加熱乾燥し溶剤を除去した。更に、ポリイミド前駆体A層上に合成例2で調製したポリイミド前駆体溶液Bを37μmの厚みで均一に塗布し、140℃で加熱乾燥し溶剤を除去した。この後、室温から360℃まで約5hrかけて熱処理しイミド化させ、3層のポリイミド層からなる合計厚み約25μmの絶縁樹脂層が銅箔上に形成された積層体M1を得た。銅箔上に塗布したポリイミド前駆体の乾燥後厚みは、銅箔側からB/A/Bの順に、約2.5μm/約19μm/約3.5μmである。
積層体M1を用い、それぞれ120秒、150秒、170秒で外層側からポリイミドエッチングを行った。ポリイミドエッチング後、銅箔エッチングにより銅箔を除去し、残されたポリイミドフィルムの誘電率と水蒸気透湿率の測定を行った。
実施例2、3
実施例1と同様にして、3層のポリイミド層からなる層合計厚み約25〜26μmの絶縁樹脂層が銅箔上に形成された積層体M2、M3を得た。銅箔上に塗布したポリイミド前駆体の種類と乾燥後厚みは、銅箔側から順に、積層体M2はB約3.5μm/A約19μm/C約2.5μmであり、積層体M3はE約3.0μm/D約21μm/E約2.5μmである。
実施例2では積層体M2を用い、実施例3では積層体M3を用いて、実施例1と同様にポリイミドエッチングを行った。実施例1〜3の結果を表3に示す。ポリイミドエッチング時間の増加と共に、フィルムの厚みが薄くなり、誘電率が小さくなり、透湿率が大きくなることがわかる。
Figure 2007119573
実施例1の積層体M1から得られた厚みの異なるポリイミドフィルムの4GHz,15GHz, 19.5GHzの各周波数における誘電率、熱分解温度(Td5%)、熱膨張係数(CTE)及びガラス転移温度(Tg)を測定した。結果を表4に示す。ポリイミドエッチング時間の増加と共に、フィルムの厚みが薄くなり、各周波数において誘電率が小さくなったことが確認された。また、エッチングを行ったものは、いずれもTd5%が450℃以上、CTEが20ppm/℃以下と高耐熱性で低熱膨張性の特性を示した。
Figure 2007119573
比較例1
実施例1と同様にして、銅箔上に所定厚みのポリイミド層が形成されるようにポリイミド前駆体Aの溶液を塗布し、約5〜22μmの厚みの5種類のポリイミドフィルムを得た。それぞれのポリイミドフィルムの誘電率を測定したが、表5に示すように、厚みによる誘電率の変化は認められなかった。
Figure 2007119573
比較例2
市販のポリイミドフィルム(宇部興産製:UPILEX-25S)を用い、所定時間でポリイミドエッチングを行い、3種の異なる厚みのポリイミドフィルムを得た。それぞれの誘電率を測定したが、表6に示すように、誘電率に大きな変化は見られなかった。
Figure 2007119573
比較例3
実施例1と同様にして、銅箔上にポリイミド前駆体Aの溶液を塗布し、20μmの厚みのポリイミド層を有する積層体を得た。それから、アルカリ水溶液により所定時間でエッチングを行い表7に示す厚みのポリイミドフィルムを得て、その誘電率を測定した。表7に示すように、フィルムが薄くなると共に、誘電率がわずか下がったが、大きな変化は見られなかった。
Figure 2007119573
積層体のエッチング状況を示す図である。

Claims (12)

  1. 厚さ1〜500μmで、JIS Z−0208により測定される25℃、50RH%での水蒸気透湿度から計算される水蒸気透湿係数が2〜100kgμm/m2.24hrの範囲にあり、かつ19.5GHzにおける誘電率が3.1以下であることを特徴とする低誘電性ポリイミドフィルム。
  2. 低誘電性ポリイミドフィルムの熱膨張係数が25ppm/℃以下である請求項1記載の低誘電性ポリイミドフィルム。
  3. 低誘電性ポリイミドフィルムの熱分解温度(Td5%)が450℃以上である請求項1又は2記載の低誘電性ポリイミドフィルム。
  4. 低誘電性ポリイミドフィルムが複数のポリイミド層からなり、その少なくとも1層が、80℃で、エチレンジアミン11wt%、エチレングリコール22wt%、水酸化カリウム33.5wt%、水33.5wt%からなるアルカリ水溶液によって測定されるエッチング速度が5μm/min以下である低エッチングポリイミド層である請求項1〜3いずれか記載の低誘電性ポリイミドフィルム。
  5. 請求項1〜4いずれか記載の低誘電性ポリイミドフィルムを絶縁樹脂層とする配線基板用積層体。
  6. ポリイミド層X/ポリイミド層Yからなる層構造を有し、ポリイミド層Xのアルカリ水溶液に対するエッチング速度がポリイミド層Yの2倍以上である積層体を準備し、ポリイミド層Y側からアルカリ水溶液によるエッチング処理を60秒以上行うことで、厚さ1〜500μmで、JIS Z−0208により測定される25℃、50RH%での水蒸気透湿度から計算される水蒸気透湿係数が2〜100kgμm/m2.24hrの範囲にあり、かつ19.5GHzにおける誘電率が3.1以下であるフィルムを形成することを特徴とする低誘電性ポリイミドフィルムの製造方法。
  7. 積層体が、支持体/ポリイミド層X/ポリイミド層Y、又はポリイミド層Y/ポリイミド層X/ポリイミド層Yからなるものである請求項6記載の低誘電性ポリイミドフィルムの製造方法。
  8. 低誘電性ポリイミドフィルムの熱膨張係数が25ppm/℃以下である請求項6又は7記載の低誘電性ポリイミドフィルムの製造方法。
  9. エチレンジアミン11wt%、エチレングリコール22wt%、水酸化カリウム33.5wt%、水33.5wt%からなるアルカリ水溶液による80℃におけるエッチング速度が、ポリイミド層Xは1.5μm/min以上であり、ポリイミド層Yは1.0μm/min以下である請求項6〜8のいずれかに記載の低誘電性ポリイミドフィルムの製造方法。
  10. ポリイミド層Yの水透過係数が、0.3kgμm/m2.h以上である請求項6〜9のいずれかに記載の低誘電性ポリイミドフィルムの製造方法。
  11. 請求項6〜10いずれかに記載の低誘電性ポリイミドフィルムの製造方法によって得られた低誘電性ポリイミドフィルム。
  12. 請求項11に記載の低誘電性ポリイミドフィルムを絶縁樹脂層とする配線基板用積層体。
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