JP2005142264A - 半導体実装用フィルムサブストレート - Google Patents

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Abstract

【課題】下地層の酸化劣化による界面接着性の低下が抑制され耐久性に優れ、かつ熱や湿度変化によるフィルムの形態変化が少なく、配線回路パターンのエッチング性やめっき耐性を低下させることなく、長時間の加熱、湿熱に暴露されても接着強度が低下することなく、さらに耐マイグレーション特性に優れ、結果として高い信頼性を与える半導体実装用フィルムサブストレートの提供。
【解決手段】ニッケル−クロム合金のスパッタ層を下地層とし、さらに厚付けされた金属層を有する金属化ポリイミドフィルムにおいて、該ポリイミドフィルムの酸素透過率が20ml/m2・day・atm以下で、かつ熱線膨張率が12ppm/℃以下あることを特徴とする金属化ポリイミドフィルムを基材として用いたことを特徴とする半導体実装用フィルムサブストレート。
【選択図】なし

Description

本発明は、フィルム基板上にフリップチップボンディング技術を用いて半導体チップを実装するいわゆるCOFに適用して好適なフィルムサブストレートに関するものであり、さらに詳しくは、微細線を形成するに十分な銅箔接着強度と、微細線間を実現するに足る十分な線間絶縁信頼性をもつ半導体実装用フィルムサブストレートに関する。
COF技術は、TAB技術に代わる新しい半導体実装用フィルムサブストレート技術として注目を集めている。最近では従来TAB技術が用いられていた、半導体装置の実装、特には液晶表示素子、EL表示素子、電気泳動表示素子、粒子回転型表示素子、等、薄型ディスプレイ、電子ペーパーなどの駆動ICの実装方法として広く用いられている。また最近では半導体実装用フィルムサブストレートを経て、BGA:ボールグリッドアレイ、マイクロ・ボールグリッドアレイ、チップスケールパッケージを得るパッケージ方法が広く実用化されている。
COF技術は、回路素子パッケージの薄型化や多ピン化への対応が容易であることのほか、半導体チップ等の実装において一括ボンディングを採用することが可能であること等、数多くの優れた特徴を有する。特に一括ボンディングは、リードフレームを使用したワイヤボンディングの場合に比較して、ボンディング時間を著しく短縮することが可能であり、例えば300ピンのパッケージの場合、ワイヤボンディング法によっては45〜60秒を必要とするボンディング作業を僅か1〜2秒程度で完了することが出来る。
半導体実装用フィルムサブストレートは、通常、長尺の絶縁材料製フィルム(例えばポリイミドフィルム)に導電材料として機能する銅箔を貼り合わせたような構造となっており、銅箔に所定のエッチングを施すことによって所望のパターンのパッドを形成する。これらのパッド部分には、半導体チップのボンディング作業を容易かつ確実にするため、必要な箇所に金、錫又は半田めっき、あるいは金めっきが行われる。また接合部には場合によってバンプと呼ばれる突起が形成される。
COF技術を用いて生産した半導体回路素子パッケージの信頼性を阻害する一つの大きな要因は、冷却と加熱の繰返しの結果として発生する熱歪によるクラック(導電材料や半導体チップ、チップ/導体間の接続部などの破断又は亀裂)である。この種のクラックは、導電材料である銅と、半導体(シリコン)チップ、および支持基材との間の熱膨張差に起因するものである。信頼性を阻害する他の要因として、支持体フィルムの吸湿による伸縮の結果として発生する歪によるクラックを、同様に例示する事ができる。
COF技術が適用される、最も大きな用途は液晶表示素子などの平面型ディスプレイの駆動用ICの実装である。かかる駆動用ICは平面型ディスプレイの2辺ないし4辺に取り付けられる。COFのいわゆるアウターリードが、平面型表示素子の2辺ないし4辺から引き出されている電極に接続される訳である。組立工程の合理化の観点よりは、この接続が、なるべく一度に行えることが好ましい、つまりCOFのアウターリード側のワーク幅、リード数は多ければ多いほど良いということである。現状では、ワーク幅が広がる以上にリード数が増えており、リード線幅とリード線間は非常に狭くなってきている。かかる狭い間隔のリード線が広いワーク幅に配置された場合、一般に累積ピッチ問題と呼ばれる誤差の累積によるリード端子の位置ずれが発生する。誤差は熱膨張係数の差、湿度膨張係数の差によって生ずるため、これらの特性は非常に重要である。
また近年ではチップ面積が大きくなり、同時に入力、出力信号線の数も増えているため、同様の問題は半導体との接続部であるパッド側でも生じている。
従来、ポリイミドフィルムに銅箔、アルミニウム箔等の金属箔を接着剤で貼り合わせた、いわゆる3層タイプフレキシブルプリント配線基板に用いられる金属化ポリイミドフィルムが知られている。このものは使用する接着剤に起因すると考えられる次のような問題点がある。まずフィルムより熱的劣性能による寸法精度低下、不純物イオン汚染による電気特性が低下する欠点があり、高密度配線には限界がある。また接着層の厚み分や、両面用のスルホール穴あけ等の加工性が低下する欠点もある。よって、小型、軽量化対応に極めて不都合な点が多いといえる。
一方、ポリイミドフィルム上に接着剤を用いず、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング、銅めっき等の方法で金属層を形成させた、いわゆる薄膜タイプの接着剤層の無い2層フレキシブルプリント配線基板用の金属化ポリイミドフィルムが提案されている。
たとえば、絶縁性フィルムにクロム系セラミック蒸着層、銅または銅合金蒸着層及び銅めっき層を順次設けたフレキシブルな電気回路用キャリヤーが提案されている(特許文献1参照)。
特開平4−329690号公報
また、重合体フィルムにプラズマによる金属酸化物をランダム配置させ、次いで金属蒸着層、及び金属めっき層を具備する金属−フィルム積層板の製造方法が提案されている(特許文献2参照)。
また、電気絶縁性支持体フィルム上に25〜150オングストロームの厚みのクロム/酸化クロムスパッタリング層、1ミクロン未満の厚みの銅スパッタリング層を付与し、前記銅層にフォトレジスト組成物を塗布する回路材料の製造方法が提案されている(特許文献3参照)。
特開平4−290742号公報 特開昭62−293689号公報
また、フィルム中に錫をフィルムの0.02〜1質量%含有するポリイミドフィルムの片面または両面に、フィルムの表面より内にむけた厚み方向に、蒸着金属の一部または全部がフィルムに混在し、該混在層を含めた10〜300オングストロームの範囲の厚みからなる第一蒸着金属層を設け、次いで該蒸着層上に銅からなる第二蒸着層を設けたことを特徴とするフレキシブルプリント配線用基板であり、第一金属層が好ましくはクロム、クロム合金及びクロム化合物の群から選択した1種以上であり、さらには、第一蒸着金属層を構成する金属がクロムが20質量%未満のニクロムであるフレキシブルプリント配線用基板が開示されている(特許文献4参照)。
特開平8−330728号公報
これらの例からも解るように従来の薄膜タイプの金属化ポリイミドフィルムは、ポリイミドフィルムに、まず、何らかの下地層を形成し、その上に良導電材である銅を形成することにより作製されている。導電層である金属層と、基材であるポリイミドフィルムの間には、化学的な結合力はなく、ミクロの下地層がミクロに基材表面に投錨され、一方で銅とは金属/金属接合により、下地層を介することにより接着力が発現されている。
下地層に非金属、ないし金属酸化物を用いた場合には下地層をエッチングにより除去することが困難であり、なおかつ無電解めっき工程などでの還元作用により、線間に残された金属酸化物が還元され、導電性金属異物となって線間の絶縁不良を生じる可能性があった。また下地層としてよく使用されるクロム酸化物は環境衛生上好ましくない化合物であるとされている。
下地層に銅以外の金属を用いる場合には、下地層が銅のエッチング液で除去できるかどうかが問題となる。銅より、耐食性の良い金属を用いると、下地金属の除去が不十分となり、線間の絶縁性を低下せしめる恐れがある。また銅よりエッチングしやすい金属の場合、下地部分がオーバーエッチされやすく、導体の実効的な接着強度が低下しやすくなる。またさらに、下地金属自体による絶縁性低下が問題にならないレベルであったとしても、後工程の無電解めっき時に残存した金属が触媒活性を示し、線間にめっき金属が析出し短絡を生じる場合がある。またさらに、配線間に残存した下地材料が配線間の耐マイグレーション性を低下せしめることが懸念されている。
ポリイミドフィルムの片方の表面上に下地金属薄膜、銅薄膜が形成され、もう一方の表面上に酸素透過率が少ない薄膜により構成され、そして、その片面あるいは両面上に回路用銅層を付与されたフレキシブルプリント回路基板用材料が提案されている(特許文献5参照)。
当該提案は、接着力の低下が金属とポリイミドフィルムとの界面の酸化によるものとの観点から成されたものであるが、例示された酸素透過率の小さい材料はいずれも脆く、高い屈曲性が要求されるフレキシブルプリント配線板には不適である。
特開平6−29634号公報
かかる観点より、近年、ニッケル−クロム系合金を下地として使用した金属化ポリイミドフィルムが注目されており、一般のポリイミドフィルムにニッケルークロム系の合金層を下地層に用い、さらに銅にて厚付けした金属化フィルムの例示がある(例えば、特許文献6参照)。
ニッケル−クロム系合金は酸化脆化に対する耐性が比較的強く、適度なアンカー効果が期待できる素材である。ニッケル−クロム系合金の場合にはクロム含有量が比較的少ない場合には、銅のエッチング液により除去が容易であり、無電解めっきの異常析出やマイグレーションの発生による配線間の絶縁性低下が生じにくい。しかしながらクロムの含有量が少ないと、合金の硬度が低いために投錨効果が低く、さらに耐酸化性が落ちるために、十分なる接着力を得ることが難しい。逆にクロムの含有量が多いと、接着強度は向上するものの、合金被膜の耐食性が上がり、エッチングによる除去が困難となるため配線間の絶縁信頼性が低下する。
特開2002−252257号公報
近年の半導体産業における高密度配線に対する要求は高度化してきており、該高度化した高密度配線用の半導体実装用フイルムサブストレートにおいては、上記した従来技術では使用環境の温湿度等の変化に対する耐久性等の信頼性が市場要求を満たせられなくなってきている。
かかる状況に鑑み、高度化した高密度配線用の半導体実装用フイルムサブストレートにおいて使用環境の温湿度等の変化に対する耐久性等の信頼性高めるために成されたものであり、本発明は、下地層の酸化劣化による界面接着性の低下が抑制され耐久性が向上しており、かつ熱や湿度変化によるポリイミドフィルムの形態変化が少なく、配線回路パターンのエッチング性やめっき耐性を低下させることなく、長時間の加熱、湿熱に暴露されても接着強度が低下することなく、さらに耐マイグレーション特性に優れ、結果として高い信頼性を与える半導体実装用フィルムサブストレートを提供することにある。また本発明は、微細線を形成するに十分な銅箔接着強度と、微細線間を実現するに足る十分な線間絶縁信頼性をもつ半導体実装用フィルムサブストレートを提供することにある。
すなわち本発明は、ニッケル−クロム合金のスパッタ層を下地層とし、さらに厚付けされた金属層を有する金属化ポリイミドフィルムにおいて、該ポリイミドフィルムの酸素透過率が20ml/m2・day・atm以下で、かつ熱線膨張率が12ppm/℃以下あることを特徴とする金属化ポリイミドフィルムを基材として用いたことを特徴とする半導体実装用フィルムサブストレートである。
本発明において基材として用いられる金属化ポリイミドフィルムは、酸素透過率が低く、かつ熱線膨張率の低い特定構造のポリイミドフィルムを構成素材としており、さらに、その製造工程における熱処理により該ポリイミドフィルムの有している歪や金属化ポリイミドフィルムの製造過程で生ずる歪が緩和されている。従って、下地層の酸化劣化による界面接着性の低下が抑制されその耐久性が向上している。また、熱や湿度変化によるポリイミドフィルムの形態変化が少ないので、優れた電気特性、配線回路パターンのエッチング性やめっき耐性を低下させることなく、長時間の加熱、湿熱に暴露による接着強度の低下が大幅に改善されている。さらに耐マイグレーション特性に優れるため、該基材を用いた半導体実装用フイルムサブストレートは、フレキシブルな電子回路基板材料として有用なること大である。また、細線化された高密度配線の半導体パッケージにおいても、該半導体パッケージの使用環境の温湿度変化に対する耐久性が向上し、半導体の信頼性が高まる。
以下、本発明の半導体実装用フイルムサブストレートの実施の形態について詳細に説明する。
本発明の金属化ポリイミドフィルムの概略断面図を図1に示す。図1に示されるように、本発明の金属化ポリイミドフィルムは、基材フィルム1−1と厚付け金属層(1−3導電化スパッタ層と1−4厚付け金属層(電気めっき層)の間に、ニッケル−クロム合金のスパッタ層1−2が設けられている。
本発明においては酸素透過率が20ml/m2・day・atm以下で、かつ熱線膨張率が12ppm/℃以下あるポリイミドフィルムを用いることが必須である。酸素透過率は14ml/m2・day・atm以下が好ましく、9ml/m2・day・atm以下がより好ましく、7ml/m2・day・atm以下が特に好ましい。
金属化ポリイミドフィルムにおいて、金属箔とフィルムの接着性はアンカー効果に支配される。アンカー効果が効果的に発揮されるためには、界面が堅牢である必要がある。界面の堅牢性を低下せしめる最大の原因は金属面の酸化劣化であり、酸素透過率が低い素材を用いることにより、界面堅牢性の劣化を最低限に抑えることができる。
本発明におけるポリイミドフィルムの熱線膨張率は、0〜11ppm/℃の範囲が好ましく、2〜10ppm/℃の範囲がより好ましく、なおさらに3〜9ppm/℃が好ましい。該特性を有したポリイミドフィルムを用いることにより、前記した耐久性の優れた金属化ポリイミドフィルムを得ることができる。
熱線膨張率がこの範囲を大きく越えると、金属の持つ熱線膨張係数との解離が大きくなり、加熱された際にフィルムと金属面にて応力が生じ接着力低下を引き起こす場合がある。また12〜18程度の領域は、好ましく用いられる金属層である銅の熱線膨張係数に近いために、フィルム/金属の接着には影響しないが、最終使用形態に想定される半導体実装においては、半導体素子、特にシリコン、ないしガリウムアセナイトの単結晶が有する熱線膨張係数との解離が大きくなり、半田付け時、ないし、長期の温度サイクルなどで接合の破断などが生じやすくなる。さらに線膨張係数が、所定の範囲より小さい場合に置いては、金属、半導体両方との差が大きくなるために信頼性が大幅に低下する。
本発明におけるポリイミドフィルムの水蒸気透過率は請求項2に記載のごとく、3ml/m2・day・atm以上であることが好ましく、6ml/m2・day・atm以上がより好ましく、12ml/m2・day・atm以上が更に好ましく、20ml/m2・day・atm以上が特に好ましい。
ポリイミドはイミド構造があるが故に、宿命的に吸湿しやすい素材である。基材フィルムの吸湿は、加熱された際に吸収された水分が放出される過程において、様々な問題を引き起こすことが懸念されるやっかいな問題である。かかる吸湿された水分は、フィルムと金属の接合界面において、特に問題となる。高い水蒸気透過率は、界面近傍に吸湿された水分を効果的に逃がすことができるということを意味する。かかる効果は、水蒸気透過率が高ければ高いほど顕著になり、さらに、酸素透過率に対して水蒸気透過率が高いほど促進される。
かかるポリイミドフィルムの酸素透過率と水蒸気透過率の制御は、例えばポリイミドフィルムにガス透過性を制御できる素材をポリイミドに複合化することで実現できる。かかるガス透過率制御素材としては、高分子素材であればポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレン−ポリビニルアルコール共重合体等を、無機素材であれば、アルミナ−シリカ系セラミクス薄膜、硫化亜鉛薄膜、SiO2-X薄膜等を例示することが出来る。複合化形態としては多層化、配合、分散、固溶化、ブレンド、アロイ化等の手法を例示できる。
本発明におけるポリイミドフィルムは酸素透過率と水蒸気透過率の制御と共に、熱線膨張率も低くする必要があるので、以下に述べる特定組成のポリイミドを用いることが好ましい実施態様である。該方法は、酸素透過率を上記方法で低下させる方法に比べ耐久性が向上できるメリットもあり推奨される。
ポリイミドの場合には、主鎖にエーテル結合を導入すると、分子の柔軟性が増し、自由体積も増えるため、酸素透過率、水蒸気透過率ともに高くなる。一方、主鎖にエーテル結合などの折れ曲がり構造を無くし、芳香環の平面構造が共平面になるような成分を導入すると、配向により芳香環が積層された構造が発現し、剛直性が増し、酸素透過率、水蒸気透過率ともに低い数値となる。
本発明者らは、このような剛直構造においても、主鎖に極性構造(たとえばベンゾオキサゾール構造)があると、非極性ガス透過率は低い状態で維持されるが、極性を有するガス、例えば水蒸気などの透過性は増すことを見出し、低酸素透過率でありながら水蒸気透過率は高いポリイミドフィルムを得るに至った。
すなわち、本発明において好ましく用いられるポリイミドは、具体的にはベンゾオキサゾール構造を有するジアミン類と芳香族テトラカルボン酸無水物類の縮合により得られるポリイミドが挙げられる。一般にポリイミドは、溶媒中でジアミン類とテトラカルボン酸無水物を反応して得られるポリアミド酸溶液を、支持体に塗布・乾燥してポリアミド酸フィルムと成し、さらに支持体上で、あるいは支持体から剥がした状態でポリアミド酸フィルムを高温熱処理することにより脱水閉環反応を行うことによって得られる。
本発明におけるベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類としては、具体的には以下のものが挙げられる。
Figure 2005142264
Figure 2005142264
Figure 2005142264
を例示することができる。該ジアミンは、単独であっても二種以上を用いることも可能である。
本発明においては、全ジアミンの30モル%以下であれば下記に例示されるベンゾオキサゾール構造を有しないジアミン類を一種または二種以上を併用しても構わない。例えば、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−アミノベンジルアミン、p−アミノベンジルアミン、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホキシド、3,4’−ジアミノジフェニルスルホキシド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホキシド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−2−[4−(4−アミノフェノキシ)−3−メチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−3−メチルフェニル]プロパン、2−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−2−[4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン,4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,1−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、2,2−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシド、4,4’−ビス[3−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、ビス[4−{4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ}フェニル]スルホン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−トリフルオロメチルフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−フルオロフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−メチルフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−シアノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジフェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5,5’−ジフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4,5’−ジフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5−フェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−5’−フェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジビフェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5,5’−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4,5’−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5−ビフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−5’−ビフェノキシベンゾフェノン、1,3−ビス(3−アミノ−4−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−4−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−5−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−5−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−4−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−4−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−5−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−5−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、2,6−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾニトリル、および上記芳香族ジアミンの芳香環上の水素原子の一部もしくは全てがハロゲン原子、炭素数1〜3のアルキル基またはアルコキシ基、シアノ基、またはアルキル基またはアルコキシ基の水素原子の一部もしくは全部がハロゲン原子で置換された炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基またはアルコキシ基で置換された芳香族ジアミン等が挙げられる。
本発明において用いられるテトラカルボン酸無水物は芳香族テトラカルボン酸無水物類である。芳香族テトラカルボン酸無水物類としては、具体的には、以下のものが挙げられる。
Figure 2005142264
Figure 2005142264
の使用が好ましい。これらのテトラカルボン酸二無水物は単独でも二種以上を用いることも可能である。
本発明においては、全テトラカルボン酸二無水物の30モル%以下であれば下記に例示される非芳香族のテトラカルボン酸二無水物類を一種または二種以上を併用しても構わない。用いられるテトラカルボン酸無水物としては、例えば、ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、ペンタン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサ−1−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、3−エチルシクロヘキサ−1−エン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−メチル−3−エチルシクロヘキサン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−メチル−3−エチルシクロヘキサ−1−エン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−エチルシクロヘキサン−1−(1,2),3,4−テトラカルボン酸二無水物、1−プロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3,4−テトラカルボン酸二無水物、1,3−ジプロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3−(2,3)−テトラカルボン酸二無水物、ジシクロヘキシル−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6ラカルボン酸二無水物、1−プロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3,4−テトラカルボン酸二無水物、1,3−ジプロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3−(2,3)−テトラカルボン酸二無水物、ジシクロヘキシル−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物等である。これらのテトラカルボン酸二無水物は単独でも二種以上を用いることも可能である。
また、本発明の線状ポリイミドまたは線状ポリアミド酸の分子末端を炭素−炭素二重結合を有する末端基で封止するために無水マレイン酸等を用いることが出来る。無水マレイン酸の使用量は、芳香族ジアミン成分1モル当たり0.001〜1.0モル比である。
本発明のポリアミド酸の合成時に使用する極性有機溶剤としては、原料モノマーおよび生成するポリアミド酸のいずれをも溶解するものであれば特に限定されないが、例えば、N−メチル−2−ピロリドン,N−アセチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホリックアミド、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、スルホラン、ハロゲン化フェノール類等があげられ,これらの溶媒は,単独あるいは混合して使用することができる。極性有機溶媒の使用量は,仕込みモノマーを溶解するのに十分な量であればよく,通常は5〜50質量%であり,好ましくは10〜20質量%の固形分を含むものであればよい。
本発明で用いるポリアミド酸の有機溶媒溶液は、固形分を好ましくは5〜40質量%、より好ましくは10〜30質量%を含有するものであって、またその粘度はブルックフィールド粘度計による測定で10〜2000Pa・s、好ましくは100〜1000Pa・sのものが、安定した送液が可能であることから好ましい。重合反応は、有機溶媒中で撹拌および/または混合しながら、0〜80℃の温度範囲で、10分〜30時間連続して進められるが、必要により重合反応を分割したり、温度を上下させてもかまわない。この場合に、両反応体の添加順序には特に制限はないが、芳香族ジアミン類の溶液中に芳香族テトラカルボン酸無水物類を添加するのが好ましい。
本発明では閉環触媒を用いても良い。本発明で使用される閉環触媒の具体例としては、トリメチルアミン、トリエチルアミンなどの脂肪族第3級アミンおよびイソキノリン、ピリジン、ベータピコリンなどの複素環式第3級アミンなどが挙げられるが、複素環式第3級アミンから選ばれる少なくとも一種のアミンを使用することが好ましい。
本発明で使用される閉環触媒の具体例としては、トリメチルアミン、トリエチルアミンなどの脂肪族第3級アミンおよびイソキノリン、ピリジン、ベータピコリンなどの複素環式第3級アミンなどが挙げられるが、複素環式第3級アミンから選ばれる少なくとも一種のアミンを使用するのが好ましい。
重合反応中に真空脱泡することは、良質なポリアミド酸の有機溶媒溶液を製造するのに有効な方法である。また、重合反応の前に芳香族ジアミン類に少量の末端封鎖剤を添加して重合を制御することを行ってもよい。
本発明で使用される脱水剤の具体例としては、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸などの脂肪族カルボン酸無水物、および無水安息香酸などの芳香族カルボン酸無水物などが挙げられるが、無水酢酸および/または無水安息香酸が好ましい。ポリアミド酸に対する閉環触媒の含有量は、閉環触媒の含有量(モル)/ポリアミド酸の含有量(モル)が0.5〜8となる範囲が好ましい。また、ポリアミド酸に対する脱水剤の含有量は、脱水剤の含有量(モル)/ポリアミド酸の含有量(モル)が0.1〜4となる範囲が好ましい。尚、この場合には、アセチルアセトンなどのゲル化遅延剤を併用してもよい。
本発明のポリイミドフィルムは、ポリアミド酸溶液を支持体にフィルム状に連続的に押し出し又は塗布し、次いで乾燥することにより得たポリアミド酸フィルム(グリーンフィルムともいう)を、前記支持体から剥離し、延伸、乾燥、熱処理することにより製造されるが、ポリアミド酸の有機溶媒からポリイミドフィルムを製造する代表的な方法としては、閉環触媒および脱水剤を含有しないポリイミド酸の有機溶媒溶液をスリット付き口金から支持体上に流延してフィルムに成形し、支持体上で加熱乾燥することにより自己支持性を有するグリーンフィルムにした後、支持体よりフィルムを剥離し、更に高温下で乾燥熱処理することによりイミド化する熱閉環法、および閉環触媒および脱水剤を含有せしめたポリド酸の有機溶媒をスリット付き口金から支持体上に流延してフィルム状に成形し、支持体上でイミド化を一部進行させて自己支持性を有するフィルムとした後、支持体よりフィルムを剥離し、加熱乾燥/イミド化し、熱処理を行う化学閉環法が挙げられる。
本発明における支持体とは、ポリアミド酸溶液をフィルム状に成形する際に用いられるドラムまたはベルト状回転体である。ポリアミド酸溶液は支持体上に塗布され、加熱乾燥により自己支持性を与えられる。支持体の表面は金属、プラスチック、ガラス、磁器などが挙げられ、好ましくは金属であり、更に好ましくは錆びなくて耐腐食に優れるSUS材である。また、Cr、Ni、Snなどの金属めっきをしても良い。本発明における支持体表面は必要に応じて鏡面にしたり、あるいは梨地状に加工することができる。
基材フィルムの表面に設けられたニッケル−クロム合金のスパッタ層1−2は、その厚さが20〜2000Å、好ましくは40〜1000Å、さらに好ましくは80〜500Åである。ニッケル−クロム合金のスパッタ層2の厚さが20Å未満では、接着性が充分でなく、2000Åを超えると回路基板に施される無電解スズめっきの異常析出が著しくなる。
尚、ニッケル−クロム合金のスパッタ層の厚さは、蛍光X線のファンダメンタルパラメータ法(FP法)により測定されたものである。
また、ニッケル−クロム合金中のクロム含有量は、1〜10質量%であることが望ましく、2〜8質量%がさらに好ましく、3〜6質量%がなお好ましい。クロム含有量が1質量%未満では耐マイグレーション性の向上効果がなく、10質量%を超えても耐マイグレーション性の向上効果はほぼ同一で、かえって、導体の導電性が阻害され、かつパターン形成時の銅の足残りが多くなる問題がある。
ニッケル−クロム合金中のクロム含有量は、高周波誘導結合発光分析により測定されたものである。
ニッケル−クロム合金のスパッタ層の上に設けられる厚付け金属層は、その厚さが1〜12μmであることが好ましく、さらには1〜9μm、なおさらには2〜5μm程度が適当である。
厚付け金属層の厚さは、走査型電子顕微鏡による断面観察で測定されたものである。
本発明の金属化ポリイミドフィルムの製造方法を説明する。本発明においては、請求項7に記載のごとく、前記ポリイミドフィルムの表面をプラズマ処理した後、ニッケル−クロム合金をスパッタリングにより厚さ20〜2000Åとなるように付着させ、次いで導電化層をスパッタ法および/または蒸着法および/または無電解めっき法により付着させ、その後、さらに厚付け金属を電解めっきし、さらに200〜350℃の熱処理を行うことが好ましい実施態様である。
先ず、ポリイミドフィルムの表面をプラズマ処理によって表面処理を行う。かかるプラズマは不活性ガスプラズマであり、不活性ガスとしては窒素ガス、Ne、Ar、Kr、Xeが用いられる。プラズマを発生させる方法に格別な制限はなく、不活性気体をプラズマ発生装置内に導入し、プラズマを発生させればよい。プラズマ処理の方法に格別な制限はなく、基材フィルム上に金属層を形成する際に用いるプラズマ処理装置を用いて行えばよい。プラズマ処理に要する時間は特に限定されず、通常1秒〜30分、好ましくは10秒〜10分である。プラズマ処理時のプラズマの周波数と出力、プラズマ発生のためのガス圧、処理温度に関しても格別な制限はなく、プラズマ処理装置で扱える範囲であれば良い。周波数は通常13.56MHz、出力は通常50W〜1000W、ガス圧は通常0.01Pa〜10Pa、温度は、通常20℃〜250℃、好ましくは20℃〜180℃である。出力が高すぎると、基材フィルム表面に亀裂の入るおそれがある。また、ガス圧が高すぎると電気絶縁層表面の平滑性が低下するおそれがある。スパッタリングの方法に格別な制限はなく、直流2極スパッタリング、高周波スパッタリング、マグネトロンスパッタリング、対向ターゲットスパッタリング、ECRスパッタリング、バイアススパッタリング、プラズマ制御型スパッタリング、マルチ・ターゲットスパッタリングなどを用いることができる。これらのうち、直流2極スパッタリング、又は高周波スパッタリングが好適である。スパッタリング処理時の出力、プラズマ発生のためのガス圧、処理温度に関しても格別な制限はなく、スパッタリング装置で扱える範囲であれば良い。出力は通常10W〜1000W、ガス圧は通常0.01Pa〜10Pa、温度は、通常20℃〜250℃、好ましくは20℃〜180℃である。また、成膜レートは0.1Å/秒〜1000Å/秒、好ましくは1Å/秒〜100Å/秒である。成膜レートが高すぎると、形成した金属膜に亀裂の入るおそれがある。また、ガス圧が高すぎると密着性が低下するおそれがある。
次いで、この表面処理した面に、ニッケル−クロム合金をスパッタリングにより付着させ、厚さ20〜2000Åのニッケル−クロム合金のスパッタ層を形成する。スパッタリング条件は任意である。なお、ニッケル−クロム合金のスパッタ層は、ニッケル−クロムの合金ターゲットを用いる方法、二元同時スパッタリングを行う方法、あるいはニッケルとクロムを独立にスパッタリングし、後工程で両者を拡散させる方法など用いることができる。
次に、厚付け金属層を形成する。この厚付け金属層は導電化層と厚付け層からなり、導電化層はスパッタ法、蒸着法、湿式の無電解めっき法のいずれを用いて形成しても良く、また好ましくは2つ以上の方法を組み合わせて形成される。本発明では、ニッケル−クロム合金のスパッタ層の後に、導電化層としてスパッタ法、蒸着法、無電解めっき法の何れかで、まず0.1〜3μm程度の銅層を形成した後に、厚付け層として電気めっき法にてさらに銅層の厚みを稼ぐ方法を好ましく用いることができる。該厚付け金属層の金属としては、銀、銅、金、白金、ロジウム、ニッケル、アルミニウム、鉄、亜鉛、錫、黄銅、白銅、青銅、モネル、錫鉛系半田、錫銅系半田、錫銀系半田、等が用いられるが銅を用いるのが性能と経済性のバランスにおいて好ましい実施態様である。
さらに本発明では、ニッケル−クロム合金のスパッタ層の後に、導電化層として蒸着法により0.1〜3μm程度の金属銅層を形成する方法を特に好ましく用いることができる。もちろん、この後に電気めっき法等にて金属銅層の厚みを稼ぐことができる。蒸着中のフィルムは100℃〜400℃、好ましくは150℃〜300℃に保持される。この方法により下地層と銅層との接着性はより堅牢な物になる。かかる工程において、下地合金の一部と蒸着される該金属銅が相互に拡散し、界面に組成傾斜した領域が形成される物と推察される。該金属も上記同様に銅を用いることが好ましい実施態様である。
本発明の厚付け金属層の厚付け層として好ましく用いられる銅層の形成としては、電気めっきを用いることができる。電気めっき法としては、ピロリン酸銅めっき、あるいは硫酸銅めっきを好ましく用いることができる。
本発明においては、上記方法で得られたポリイミドフィルムと金属との複合体を、さらに200〜350℃で熱処理することが大きな特徴である。220〜330℃が好ましく、240〜310℃がより好ましい。該熱処理により基材フィルムの有している歪や金属化ポリイミドフィルムの製造過程で生ずる歪が緩和され、本発明の効果をより効果的に発現することができ、前記した半導体パッケージの耐久性や信頼性を向上することができる。200℃未満では歪を緩和する効果が小さくなり、逆に350℃を超えた場合は、基材のポリイミドフィルムの劣化が起こるので好ましくない。
このようにして得られた本発明の金属化ポリイミドフィルムは、通常の方法によって、銅層側にフォトレジストを塗布し乾燥後、露光、現像、エッチング、フォトレジスト剥離の工程により、配線回路パターンを形成し、さらに必要に応じてソルダーレジスト塗布、硬化及び無電解スズめっきを行い、回路基板が得られる。
次に本発明の半導体実装用フィルムサブストレート、いわゆるCOFテープの製法を説明する。片面COFは、以下の工程で作製される。
(1)まず、所定の幅にスリットされたポリイミドフィルムに、これまで述べてきた方法により、金属箔(銅箔)を形成する。
(2)位置合わせ用の穴開けを行う。
(3)通常のサブトラクティブ法により銅箔をパターン化する。
(4)エッチングレジストを、フォトプロセス等により形成する。
(5)エッチングし、レジスト剥離する。
(7)所定部分に半田レジストを形成する。
ここまでが片面COFテープとなる。さらに、
(8)ICチップを実装する。
(9)ICチップを封止する。
以上の工程を経て、所定部分を切り抜き、主基板に実装される。図2に片面COFの製法の概略図を示す。
両面COFは、以下の工程で作製される。
(1)まず、所定の幅にスリットされたポリイミドフィルムに、これまで述べてきた方法により、金属箔(銅箔)を両面に形成する。
(2)位置合わせ用、スルホール接続用の穴開けを行う。
(3)スルホールめっき(一般的には無電解銅めっき+電気厚付けめっき)する。
(4)通常のサブトラクティブ法により銅箔をパターン化する。
(5)エッチングレジストを、フォトプロセス等により形成する。
(6)エッチングし、レジスト剥離する。
(7)所定部分に半田レジストを形成する。
ここまでが両面COFテープとなる。さらに、
(8)ICチップを実装する。
(9)ICチップを封止する。
以上の工程を経て、所定部分を切り抜き、主基板に実装される。図3に本発明の両面COFの製法の概略図を示す。
以下、本発明の有効性を実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下の実施例における物性の評価方法は以下の通りである。
1.ポリアミド酸の還元粘度(ηsp/C)
ポリマー濃度が0.2g/dlとなるようにN−メチル−2−ピロリドンに溶解した溶液をウベローデ型の粘度管により30℃で測定した。
2.ポリイミドフィルムのフィルム厚さ
フイルムの厚さは、マイクロメーター(ファインリューフ社製、ミリトロン1245D)を用いて測定した。
3、ポリイミドフィルムの引張弾性率、引張破断強度および破断伸度
乾燥後のフィルムを長手方向(MD方向)および幅方向(TD方向)にそれぞれ長さ100mm、幅10mmの短冊状に切り出して試験片とし、引張試験機(島津製作所製オートグラフ(R)機種名AG−5000A)を用い、引張速度50mm/分、チャック間距離40mmで測定し、引張弾性率、引張強度及び破断伸度を求めた。
4.ポリイミドフィルムの線膨張係数(CTE)
下記条件で伸縮率を測定し、30〜300℃までを15℃間隔で分割し、各分割範囲の伸縮率/温度の平均値より求めた。
装置名 ; MACサイエンス社製TMA4000S
試料長さ ; 20mm
試料幅 ; 2mm
昇温開始温度 ; 25℃
昇温終了温度 ; 400℃
昇温速度 ; 5℃/min
雰囲気 ; アルゴン
5.ポリイミドフィルムの融点、ガラス転位温度
試料を下記条件でDSC測定し、融点(融解ピーク温度Tpm)とガラス転移点(Tmg)をJIS K 7121に準拠して下記測定条件で求めた。
装置名 ; MACサイエンス社製DSC3100S
パン ; アルミパン(非気密型)
試料重量 ; 4mg
昇温開始温度 ; 30℃
昇温速度 ; 20℃/min
雰囲気 ; アルゴン
6.ポリイミドフィルムの熱分解温度
熱分解温度は、充分に乾燥した試料を下記条件でTGA測定(熱天秤測定)して、5%重量減をもって規定した。
装置名 ; MACサイエンス社製TG−DTA2000S
パン ; アルミパン(非気密型)
試料重量 ; 10mg
昇温開始温度 ; 30℃
昇温速度 ; 20℃/min
雰囲気 ; アルゴン
7.ポリイミドフィルムの酸素透過率
MOCON社製酸素透過率測定装置OX−TRAN ten.fiftyを用い、23℃・65%RHにてJIS K7126 B法準拠の方法で測定した。
8.ポリイミドフィルムの水蒸気透過率
MOCON社製水蒸気透過率測定装置PERMATRAN−W 3/31を用い、40℃・90%RHにてJIS K7129準拠の方法で測定した。
9.ニッケル−クロム合金のスパッタ層の厚さ
蛍光X線のファンダメンタルパラメータ法(FP法)を用いて、蛍光X線分析装置に付随のパソコンに導入されている解析ソフトにより、スパッタ層の厚みを測定した。なお、分析値の正確さを向上させる目的で、組成および厚みの既知であるニッケル−クロム合金薄膜(組成比;ニッケル/クロム=95/5、厚み;2000Å)でX線強度を補正する一点測定法を用いた。下記に、蛍光X線の測定条件を示す。
(測定条件)
装置名 ; 理学電機工業(株)製 走査型蛍光X線分析装置 ZSX100e型
X線管球 ; Rh(ロジウム)
X線出力 ; 50kV、50mA
分光結晶 ; LiF
使用線種 ; Kα線
試料回転 ; 有り(試料ムラを平均化するため)
10.ニッケル−クロム合金中のクロム含有量
試料ポリマー成分を550℃の温度で炭化・灰化させた後、その残渣を希硫酸で加熱溶解させて冷却後定容した。溶解液中のクロム含有量は高周波誘導結合発光分析装置より求めた。下記に、高周波誘導結合発光分析の測定条件を示す。
(測定条件)
装置名 ;(株)リガク製 高周波誘導結合発光分析装置 CIROS120
高周波出力 ; 1400W
周波数 ; 27.12MHz
測定発光線 ; 267.716nm
11.厚付け金属層の厚さ
金属化フィルムをエポキシ樹脂で包埋したものをミクロトーム(ライカ(株)製ミクロトーム JUNG RM2065)を用いて、面出し・研磨を行った。その後、走査型電子顕微鏡(日立製作所製S−4500)により、研磨後サンプルの断面を観察し、厚付け金属層の厚さを測定した。なお、走査型電子顕微鏡観察の倍率は、厚付け金属層の厚さに応じて適宜調製した。
12.金属化ポリイミドフィルムの初期の導体接着性
90度剥離試験をJIS C5016準拠の方法にて行った。
13.金属化ポリイミドフィルムの加熱試験後の導体接着性
150℃のドライオーブン中に100時間放置した後、90度剥離試験をJIS C5016準拠の方法にて行った。
14.金属化ポリイミドフィルムの加圧加湿試験後の導体接着性
平山製作所製PCT試験機にて、121℃・2気圧(飽和水蒸気圧雰囲気)条件下にて100時間処理した後、90度剥離試験をJIS C5016準拠の方法にて行った。
なお、銅箔5μmでは、銅箔切れが多発し、満足な評価が行えなかったため、(7)〜(9)項に関してのみ、銅箔厚を電気めっきにてさらに35μmまで厚付けして評価を行った。
15.金属化ポリイミドフィルムの体積抵抗率
JIS C6481準拠の方法にて行った。
16.金属化ポリイミドフィルムの表面抵抗
JIS C6481準拠の方法にて行った。
17.金属化ポリイミドフィルムの耐マイグレーション性
40μmピッチの櫛形電極に、電圧(DC60V)を印荷し、85℃・85%RHの恒温恒湿槽(FX412Pタイプ、エタック社製)の中に入れ電圧負荷状態のまま5分毎に絶縁抵抗値を測定記録し、線間の抵抗値が100Mオーム以下に達する時間を測定しマイグレーション評価とした。
(実施例1)
<ポリイミドの重合体およびフィルムの製造例1>
窒素導入管,温度計,攪拌棒を備えた反応容器内を窒素置換した後,5−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンズオキサゾール500重量部を仕込んだ。次いで,N−メチル−2−ピロリドン5000重量部を加えて完全に溶解させた後,ピロメリット酸二無水物485重量部を加え,25℃の反応温度で15時間攪拌すると,褐色で粘調なポリアミド酸溶液が得られた。このもののηsp/Cは2.0であった。
続いてこのポリアミド酸溶液をステンレスベルトにウエット膜厚180ミクロンとなるようにコーティングし、80℃にて60分間乾燥した。乾燥後に自己支持性となったポリアミド酸フィルムをステンレスベルトから剥離しグリーンフィルムを得た。得られたグリーンフィルムを、連続式の乾燥炉に通し、200℃から400℃まで、ほぼ直線的に20分間にて昇温し10分間で冷却、厚み25μmの褐色のポリイミドフィルム(フィルム1)を得た。得られたポリイミドフィルムの特性値を表1に示す。なお表1中のカプトン(R)Hは東レ・デュポン社製のポリイミドフィルムである。また、ユーピレックスSは宇部興産社製のポリイミドフィルムである。
Figure 2005142264
<金属化フィルムの製造法>
フィルム1を25cm×25cmの正方形に切り取り、直系24cmの開口部を有するステンレス製の枠に挟んで固定した。次いでフィルム表面のプラズマ処理を行った。プラズマ処理条件はキセノンガス中で、周波数13.56MHz、出力100W、ガス圧0.8Paの条件であり、処理時の温度は25℃、処理時間は5分間であった。次いで、周波数13.56MHz、出力400W、ガス圧0.8Paの条件、ニッケル−クロム(3質量%)合金のターゲットを用い、キセノン雰囲気下にてRFスパッタ法により、10Å/秒のレートで厚さ50Åのニッケル−クロム合金被膜(下地層)を形成した。次いで、基板の温度を250℃にあげ、100Å/秒のレートで銅を蒸着し、厚さ0.5μmの銅薄膜(導電化層)を形成させた。
得られた金属化フィルムをプラスチック製の枠に固定し直し、硫酸銅めっき浴をもちいて、厚さ5μmの厚付け銅めっき層(厚付け層)を形成し、引き続き300℃で10分間熱処理し目的とする金属化ポリイミドフィルムを得た。
得られた金属化ポリイミドフィルムを使用し、フォトレジスト:FR−200、シプレー社製を塗布・乾燥後にガラスフォトマスクで密着露光し、さらに1.2質量%KOH水溶液にて現像した。次に、HClと過酸化水素を含む塩化第二銅のエッチングラインで、40℃、2kgf/cm2のスプレー圧でエッチングし、後述する評価試験に必要なテストパターンを形成後、0.5μm厚に無電解スズめっきを行った。その後、125℃、1時間のアニール処理を行った。
得られた試験パターンを用いて試験評価を行った。結果を表2に示す。
(実施例2〜4)
ニッケル−クロム合金層の膜厚を変える以外は実施例1と同様に操作し、評価した。結果を表2に示す。
(実施例5〜8)
<ポリイミドの重合体およびフィルムの製造例2>
テトラカルボン酸二無水物として3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物653重量部を用いる以外は,実施例1(フィルム1)と同様にしてポリアミド酸溶液を得た。このもののηsp/Cは1.5であり、実施例1(フィルム1)と同様にして、厚み25μmの褐色のポリイミドフィルム(フィルム2)を得た。得られたポリイミドフィルムの特性値を表1に示す。
<金属化フィルムの製造法>
基材フィルムを上記フィルム2に変えた以外は実施例1〜4と同様に操作し、評価した。結果を表3に示す。
(実施例9、10)
ポリイミドフィルム1を用いて、ニッケル−クロム合金のクロム含有率を変え、それ以外は実施例1と同様に操作し、評価した。結果を表4に示す。
(実施例11、12)
フィルム2を用いて、ニッケル−クロム合金のクロム含有率を変え、それ以外は実施例5と同様に操作し、評価した。結果を表4に示す。
Figure 2005142264
Figure 2005142264
Figure 2005142264
(比較例1〜4)
基材フィルムを東レ・デュポン社製カプトン(R)Hに変えた以外は実施例1〜4と同様に操作し、評価した。結果を表5に示す。
(比較例5〜8)
基材フィルムを宇部興産社製ユーピレックス(R)Sに変えた以外は実施例1〜4と同様に操作し、評価した。結果を表6に示す。
(比較例9〜12)
基材フィルムにフィルム1を用い、ニッケル−クロム層の膜厚、およびクロム含有率を変えて、同様に評価を行った。結果を表7に示す。
Figure 2005142264
Figure 2005142264
Figure 2005142264
実施例1〜12で得られた半導体実装用フィルムサブストレートは、導体と基材フィルム間の接着強度、特に熱処理後、および加湿加熱試験後の接着性に優れ、また無電解錫めっきの異常析出もなく、耐マイグレーション性にも問題なく絶縁信頼性に優れており高品質である。一方、比較例1〜8で得られた半導体実装用フィルムサブストレートは加湿加熱試験後の導体と基材フィルム間の接着強度が小さい。比較例9〜12で得られた半導体実装用フィルムサブストレートは無電解錫めっきの異常析出が生じやすかったり、耐マイグレーション性が不良であり絶縁信頼性が劣る。
以上、述べてきたように本発明の半導体実装用フィルムサブストレートは、基材として用いられる金属化ポリイミドフィルムは、酸素透過率が低く、かつ熱線膨張率の低い特定構造のポリイミドフィルムを構成素材としており、さらに、その製造工程における熱処理により該ポリイミドフィルムの有している歪や金属化ポリイミドフィルムの製造過程で生ずる歪が緩和されている。従って、下地層の酸化劣化による界面接着性の低下が抑制されその耐久性が向上している。また、熱や湿度変化によるポリイミドフィルムの形態変化が少ないので、優れた電気特性、配線回路パターンのエッチング性やめっき耐性を低下させることなく、長時間の加熱、湿熱に暴露による接着強度の低下が大幅に改善されている。さらに耐マイグレーション特性に優れるため、該基材を用いた半導体実装用フイルムサブストレートは、フレキシブルな電子回路基板材料として有用なること大である。また、細線化された高密度配線の半導体パッケージにおいても、該半導体パッケージの使用環境の温湿度変化に対する耐久性が向上し、半導体の信頼性が高まるので産業界に寄与することが大である。
本発明に用いられる金属化ポリイミドフィルムの概略断面図である。 本発明の片面COF製法を説明した断面図である。 本発明の両面COF製法を説明した断面図である。
符号の説明
1−1.ポリイミドフィルム
1−2.スパッタしたニッケル−クロム層(下地層)
1−3.厚付け金属層(導電化層)
1−4.厚付け金属層(厚付け層)
1.基材フィルム
2.銅箔
3.スルホールメッキ銅
4.エッチングレジスト
5.半田レジスト
6.ICチップ
7.封止材

Claims (7)

  1. ニッケル−クロム合金のスパッタ層を下地層とし、さらに厚付けされた金属層を有する金属化ポリイミドフィルムにおいて、該ポリイミドフィルムの酸素透過率が20ml/m2・day・atm以下で、かつ熱線膨張率が12ppm/℃以下あることを特徴とする金属化ポリイミドフィルムを基材として用いたことを特徴とする半導体実装用フィルムサブストレート。
  2. ポリイミドフィルムの水蒸気透過率比が3ml/m2・day・atm以上であることを特徴とする請求項1記載の半導体実装用フィルムサブストレート。
  3. ポリイミドが、ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類と、芳香族テトラカルボン酸無水物類とを反応させて得られるポリイミドからなることを特徴とする請求項1または2いずれかに記載の半導体実装用フィルムサブストレート。
  4. ニッケル−クロム合金のスパッタ層の厚さが、20〜2000Åである請求項1〜3いずれかに記載の半導体実装用フィルムサブストレート。
  5. ニッケル−クロム合金のスパッタ層のクロム含有量が1〜10質量%である請求項1〜4いずれかに記載の半導体実装用フィルムサブストレート。
  6. 厚付けされた金属層の厚さが1〜12μmである請求項1〜5いずれかに記載の半導体実装用フィルムサブストレート。
  7. ポリイミドフィルムの表面をプラズマ処理した後、ニッケル−クロム合金をスパッタリングにより厚さ20〜2000Åとなるように付着させ、次いで導電化層をスパッタ法および/または蒸着法および/または無電解めっき法により付着させ、その後、さらに厚付け金属を電解めっきし、さらに200〜350℃の熱処理を行うことにより得た金属化ポリイミドフィルムを基材として用いることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の半導体実装用フィルムサブストレート。
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