JP2007245393A - 金属樹脂積層体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 低熱膨張金属層と、ポリイミド樹脂層との積層体である金属樹脂積層体であって、30℃から200℃の平均線膨張係数が−5ppm/℃〜+10ppm/℃である金属樹脂積層体であり、低熱膨張金属層が、30℃から200℃の平均線膨張係数が−5ppm/℃〜+10ppm/℃である低熱膨張金属の層であり、ポリイミド樹脂層が、30℃から200℃の平均線膨張係数が−5ppm/℃〜+10ppm/℃であるポリイミド樹脂の層である金属樹脂積層体。
【選択図】なし
Description
また従来の混成集積回路(ハイブリッドIC)においては、樹脂等よりなる配線基板上に素子が装着されるが、その基板の線熱膨張率がフリップチップ実装されるシリコンチップの線熱膨張率よりかなり大きく(例えばその値は、ガラスエポキシ基板で12〜13ppm/℃、シリコン;3から4ppm/℃)、フリップチップを大型化し多バンプ化した際には接合部へのストレス(応力)が大きく接合部の信頼性が乏しくなるという問題があった。
また、半導体パッケージ内部の接続信頼性に優れ、反り変形の少ない薄型軽量の半導体パッケージを提供するため、半導体素子と、該半導体素子を取り巻く如く配置される基板と、該基板の一方の面側であって半導体素子の内部接続端子側に、該内部接続端子と接続される配線と絶縁層が積層されてなる配線層とを有する半導体パッケージであって、前記基板は、樹脂層と、前記半導体素子を取り巻く30〜200℃の平均熱膨張係数が−5ppm/℃以上10ppm/℃以下の低熱膨張金属層とが複合されている半導体パッケージ(特許文献2参照)が提案されているが、基板を構成する樹脂層としては、エポキシ、フェノール、BT、ポリイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、液晶ポリマー等の樹脂フィルムや、これらの樹脂をガラス等の無機質繊維やポリアミド等の有機質繊維等からなる織布、不織布に含浸させたプリプレグが挙げられており、低熱膨張金属層と樹脂層とは、たとえば、真空加熱プレス等により温度と圧力を用いて、両者を積層接着することが開示されており、少なくとも樹脂層の熱膨張係数に着目するものではない。
これらの膨張係数に着目した積層は、一方の膨張係数には着目するものの、積層される(絶縁性)樹脂層と金属層両者の膨張係数をほぼ合致させて積層するものではなく両者間の膨張係数を同等にする思想も無いものであり、樹脂層と金属層との積層体としての反りや剥離に着目するものでもない。
し、両者間の膨張係数を同等にすることで、樹脂層と金属層との積層体としての反りや剥離が生じ難い金属樹脂積層体を提供せんとするものである。
小型化、高精細化、高密度化が可能である半導体装置、特に消費電力の高い発熱の大きい半導体装置において、高い生産収率と環境耐久性に優れ、高密度実装(配線ピッチ狭くなる)、鉛フリー半田(半田温度の上昇)、消費電力による発熱などの熱履歴による基板の反り(カール)などが抑止され、かつ両者間の積層が熱履歴によっても剥離が生じ難い基板を使用した半導体装置や絶縁性放熱板の提供を目的とする。
パッケージ及びそれを含む電子機器の製造工程での熱履歴、半導体駆動時の温度上昇、下降、その他部品による、温度上昇や下降による、そり、変形の発生を、低減でき、このことから、パッケージ内接続信頼性、パッケージの外部との接続信頼性を高めることができる。熱が局所的に加わるときに、温度を伝え、広い領域に分散させるため、局所的な熱の上昇を緩和できる。
さらに、低熱膨張層と銅やアルミなどの良熱伝導体を直接接合させることにより、反りや、変形を抑えかつ、放熱が良好に行える金属樹脂積層体を提供せんとするものである。
1.低熱膨張金属層と、ポリイミド樹脂層との積層体である金属樹脂積層体であって、30℃から200℃の平均線膨張係数が−5ppm/℃〜+10ppm/℃であることを特徴とする金属樹脂積層体。
2.低熱膨張金属層が、30℃から200℃の平均線膨張係数が−5ppm/℃〜+10ppm/℃である低熱膨張金属の層であり、ポリイミド樹脂層が、30℃から200℃の平均線膨張係数が−5ppm/℃〜+10ppm/℃であるポリイミド樹脂の層である前記1の金属樹脂積層体。
3.低熱膨張金属層が、ポリイミド樹脂層に直接積層している前記1〜2いずれかの金属樹脂積層体。
4.ポリイミド樹脂層がベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類と、芳香族テトラカルボン酸無水物類とを反応させて得られるポリイミドベンゾオキサゾールを主成分とするポリイミドフィルムである前記1〜3のいずれかの金属樹脂積層体。
5.Cu、Alから選ばれる一種以上の金属を主成分とする金属層がさらに積層された前記1〜4いずれかに記載の金属樹脂積層体。
6.前記1〜5いずれかの金属樹脂積層体を用いた回路基板。
7.前記1〜5いずれかの金属樹脂積層体を用いた回路放熱板。
って、30℃から200℃の平均線膨張係数が−5ppm/℃〜+10ppm/℃である金属樹脂積層体は、小型化、高精細化、高密度化された半導体装置、特に消費電力の高い発熱の大きい半導体装置において、高密度実装(配線ピッチ狭くなる)や鉛フリー半田(半田温度の上昇)に伴い、消費電力による発熱などの熱履歴による基板の反り(カール)や(絶縁性)樹脂層と(補強や放熱のための)金属層との両者間の積層の熱履歴による剥離が生じ難い回路形成基板や絶縁性放熱板として極めて有用である。
また、シリコンウェハーと近いCTEを持つことから、シリコンウェハー近傍で使用される、バーンインテスターボードの接触子、基板材料としてもきわめて有効である。
半導体装置などにおける回路形成基板や絶縁性放熱板として本発明の金属樹脂積層体を使用した場合、これらの製造工程での熱履歴、半導体駆動時の温度上昇、下降、その他部品による温度上昇や下降による熱履歴によって、発生するこれらの反り、変形の発生また層間剥離を低減でき、パッケージ内接続信頼性、パッケージの外部との接続信頼性を高めることができる。熱が局所的に加わるときに、温度を伝え、広い領域に分散させるため、局所的な熱の上昇を緩和でき、さらに低熱膨張層と銅やアルミなどの良熱伝導体を直接接合させることにより、反りや、変形を抑えかつ、放熱が良好に行えるものとなり、工業的な意義は極めて大きい。
これらの低熱膨張金属層とポリイミド樹脂層との積層の方法は特に限定されるものではないが、低熱膨張金属層とポリイミド樹脂層との圧着や、低熱膨張金属層にポリイミド樹脂を流延しイミド化する方法、ポリイミドフィルムに低熱膨張金属層をスパッタリング法や蒸着法などの乾式薄膜形成法で形成する方法が挙げられる、この積層において両者の積層が両者間で他を介在せずに直接積層する方法や、接着剤層などを介して積層する方法などが挙げられるが、好ましいのは、両者の積層が両者間で他を介在せずに直接積層する方法である。
『測定対象のポリイミド樹脂層(フィルム)および金属樹脂積層体について、下記条件にてMD方向およびTD方向の伸縮率を測定し、30℃〜40℃、40℃〜50℃、…と10℃の間隔での伸縮率/温度を測定し、この測定を250℃まで行い、30℃から200℃までの全測定値の平均値を平均線膨張係数(CTE)として算出した。
MD方向(縦方向)、TD方向(幅方向)の大きい方の値を、測定値として採用する。必ずしも、MD,TDの区別が付かなくても、直交方向に測定を行い、大きいほうをとることとする。
(なお低熱膨張金属層については、薄膜の場合は、そのスパッタターゲットあるいは、薄膜組成を蛍光X線分析して、0.1%以内で同一組成の厚さ0.1mm厚の薄板で測定を行った。30℃〜40℃、40℃〜50℃、…と10℃の間隔での伸縮率/温度を測定し、この測定を250℃まで行い、30℃から200℃までの全測定値の平均値を平均線膨張係数(CTE)として算出した。この場合、MD、TDの区別は行っていない。)
装置名 ; MACサイエンス社製TMA4000S
試料長さ ; 10mm
試料幅 ; 2mm
昇温開始温度 ; 25℃
昇温終了温度 ; 400℃
昇温速度 ; 5℃/min
雰囲気 ; アルゴン 』
上述の「反応」は、特に限定はされないが、好ましくは溶媒中でジアミン類とテトラカルボン酸無水物類とを開環重付加反応に供してポリアミド酸溶液を得るものであり、フィルムの場合は、次いでこのポリアミド酸溶液からグリーンフィルムを成形した後に脱水縮合(イミド化)することにより製造することができ、樹脂層としては前記フィルムが好ましい形態であるがこれに限定されるものではなく、低熱膨張金属層に流延後に同様にしてイミド化したものであってもよい。
以下ポリイミド樹脂層の一であるフィルムについて記述する。
本発明は、前記ジアミンとは別に下記の芳香族ジアミンを使用してもよい。
そのようなジアミン類としては、例えば、4,4'−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−アミノベンジルアミン、p−アミノベンジルアミン、
本発明においては、全テトラカルボン酸二無水物の30モル%未満であれば下記に例示される非芳香族のテトラカルボン酸二無水物類を一種または二種以上、併用しても構わない。そのようなテトラカルボン酸無水物としては、例えば、ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、ペンタン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサ−1−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、3−エチルシクロヘキサ−1−エン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−メチル−3−エチルシクロヘキサン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−メチル−3−エチルシクロヘキサ−1−エン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−エチルシクロヘキサン−1−(1,2),3,4−テトラカルボン酸二無水物、1−プロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3,4−テトラカルボン酸二無水物、1,3−ジプロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3−(2,3)−テトラカルボン酸二無水物、ジシクロヘキシル−3,4,3',4'−テトラカルボン酸二無水物。
本発明におけるポリアミド酸の還元粘度(ηsp/C)は、特に限定するものではないが2.0dl/g以上が好ましく、3.0dl/g以上がさらに好ましく、なおさらに4.0dl/g以上が好ましい。
重合反応により得られるポリアミド酸溶液から、ポリイミドフィルムを形成するためには、ポリアミド酸溶液を支持体上に塗布して乾燥するなどによりグリーンフィルムを得て、次いで、グリーンフィルムを熱処理に供することでイミド化反応させる方法が挙げられる。
熱風乾燥を行う場合は、グリーンフィルムを自己支持性が出る程度に乾燥する際に、グリーンフィルム表裏面のイミド化率の範囲およびその差を所定範囲にするために、支持体の上面/下面の温度差を10℃以下、好ましくは5℃以下に制御するのが好ましく、上面/下面の熱風温度を個別にコントロールすることにより、当該温度差を制御すること必要である。
熱閉環法の加熱最高温度は、100〜500℃程度であるが、好ましくは200〜480℃である。加熱最高温度がこの範囲より低いと充分に閉環されづらくなり、またこの範囲より高いと劣化が進行し、フィルムが脆くなりやすくなる。より好ましい態様としては、150〜250℃で3〜20分間処理した後に350〜500℃で3〜20分間処理する2段階熱処理が挙げられる。
閉環触媒をポリアミド酸溶液に加えるタイミングは特に限定はなく、ポリアミド酸を得るための重合反応を行う前に予め加えておいてもよい。閉環触媒の具体例としては、トリメチルアミン、トリエチルアミンなどといった脂肪族第3級アミンや、イソキノリン、ピリジン、ベータピコリンなどといった複素環式第3級アミンなどが挙げられ、中でも、複素環式第3級アミンから選ばれる少なくとも一種のアミンが好ましい。ポリアミド酸1モルに対する閉環触媒の使用量は特に限定はないが、好ましくは0.5〜8モルである。
ポリイミドフィルムの厚さは特に限定されないが、後述するプリント配線基板用ベース基板に用いることを考慮すると、通常1〜100μm、好ましくは1〜40μmである。 また、シリコンウェハーとCTEが近いことを利用するため、インターポーザーなどの用途を鑑みると、1〜12μm、好ましくは、好ましくは1〜8μmである。
この厚さはポリアミド酸溶液を支持体に塗布する際の塗布量や、ポリアミド酸溶液の濃度によって容易に制御し得る。また、厚いものでは貼りあわせフィルムなどとしても良い。
熱閉環法とは、ポリアミド酸を加熱することでイミド化する方法である。ポリアミド酸溶液に閉環触媒および脱水剤を含有させておいて、上記閉環触媒および脱水剤の作用によってイミド化反応を促進しても構わない。この方法では、ポリアミド酸溶液を支持体に塗布した後、イミド化反応を一部進行させて自己支持性を有するフィルムを形成した後に、加熱によってイミド化を完全に行わせることができる。
閉環触媒をポリアミド酸溶液に加えるタイミングは特に限定はなく、ポリアミド酸を得るための重合反応を行う前に予め加えておいてもよい。閉環触媒の具体例としては、トリメチルアミン、トリエチルアミンなどといった脂肪族第3級アミンや、イソキノリン、ピリジン、ベータピコリンなどといった複素環式第3級アミンなどが挙げられ、中でも、複素環式第3級アミンから選ばれる少なくとも一種のアミンが好ましい。ポリアミド酸1モルに対する閉環触媒の使用量は特に限定はないが、好ましくは0.5〜8モルである。
支持体に形成されたポリイミドフィルムの前駆体(グリーンフィルム)を完全にイミド化する前に支持体から剥離してもよいし、イミド化後に剥離してもよい。
滑剤としては、無機や有機の0.03μm〜3μm程度の平均粒子径を有する微粒子が使用でき、具体例として、酸化チタン、アルミナ、シリカ、炭酸カルシウム、燐酸カルシウム、燐酸水素カルシウム、ピロ燐酸カルシウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、粘土鉱物などが挙げられる。
本発明で使用されるポリイミドフィルムは、通常は無延伸フィルムであるが、1軸または2軸に延伸しても構わない。ここで、無延伸フィルムとは、テンター延伸、ロール延伸、インフレーション延伸などによってフィルムの面拡張方向に機械的な外力を意図的に加えずに得られるフィルムをいう。
前記した下地金属層は、例えば表面処理を施したプラスチックフィルムの片面または両面に、クロム、ニッケル、TiN、Mo含有Cuなどの金属からなる群から選択した1種以上を、好適にはスパッタリング法、イオンプレーティング法で蒸着させて、下地金属層を形成する。この場合、加工の安定性、プロセスの簡素化、蒸着層の均一性を良好にし、カールの発生を少なくするスパッタリング法がより好適である。
下地金属層の膜厚は、1〜50nm(10〜500Å)の範囲が好ましく、2〜10nm(20〜100Å)の範囲がより好ましい。
これらの主金属層の形成方法は、乾式製膜方法または湿式製膜方法であればよく、この主金属層の膜厚(層厚)は、2μm〜50μmの範囲が好適である。
本発明の金属樹脂積層体は、上記の如くして、例えばFPC(フレキシブルプリント配線用基板)などとして極めて効果的に使用することができるが、本発明の金属樹脂積層体からのFPCなどは、高密度実装(配線ピッチ狭くなる)、鉛フリー半田(半田温度の上昇)、消費電力による発熱などの熱履歴による基板の反り(カール)などが抑止され、かつ両者間の積層が熱履歴によっても剥離が生じ難いフレキシブルプリント配線板などとすることができる。
ポリマー濃度が0.2g/dlとなるようにN−メチル−2−ピロリドンに溶解した溶液をウベローデ型の粘度管により25℃で測定した。
(ポリアミド酸溶液の調製に使用した溶媒がN、N−ジメチルアセトアミドの場合はN、N−ジメチルアセトアミドを使用してポリマーを溶解し測定した。)
マイクロメーター(ファインリューフ社製、ミリトロン1254D)を用いて測定した。
測定対象のポリイミドフィルムを、流れ方向(MD方向)および幅方向(TD方向)にそれぞれ100mm×10mmの短冊状に切り出したものを試験片とした。引張試験機(島津製作所製、オートグラフ(商品名)、機種名AG−5000A)を用い、引張速度50mm/分、チャック間距離40mmの条件で、MD方向、TD方向それぞれについて、引張弾性率、引張破断強度および引張破断伸度を測定した。
測定対象のポリイミド樹脂層(フィルム)、金属樹脂積層体について、下記条件にてMD方向およびTD方向の伸縮率を測定し、30℃〜40℃、40℃〜50℃、…と10℃の間隔での伸縮率/温度を測定し、この測定を250℃まで行い、30℃から200℃までの全測定値の平均値を平均線膨張係数(CTE)として算出した。
MD方向(縦方向)、TD方向(幅方向)の大きい方の値を、測定値として採用する。測定対象のMD,TDの区別が付かない場合は、直交する2方向に測定を行い、大きい方向の値を採用する。(なお、低熱膨張金属層については、薄膜の場合は、そのスパッタターゲットと同一組成の厚さ0.1mm厚の薄板で測定を行った。30℃〜40℃、40℃〜50℃、…と10℃の間隔での伸縮率/温度を測定し、この測定を250℃まで行い、30℃から200℃までの全測定値の平均値を平均線膨張係数(CTE)として算出した。この場合、MD、TDの区別は行っていない。
装置名 ; MACサイエンス社製TMA4000S
試料長さ ; 10mm
試料幅 ; 2mm
昇温開始温度 ; 25℃
昇温終了温度 ; 400℃
昇温速度 ; 5℃/min
雰囲気 ; アルゴン
金属樹脂積層体のカール度(以下、200℃におけるフィルムのカール度ともいう)とは、所定の熱処理を行った後のフィルムの面方向に対する厚さ方向への変形度合を意味し、具体的には、図1に示すように、50mm×50mmの試験片を、200℃で10分間熱風処理した後に、平面上に試験片を凹状となるように静置し、四隅の平面からの距離(h1、h2、h3、h4:単位mm)の平均値をカール量(mm)とし、試験片の各頂点から中心までの距離(35.36mm)に対するカール量の百分率(%)で表される値である。
試料片は、金属樹脂積層体の全長に対して5分の1の長さピッチで幅方向に2点(幅長の1/3と2/3の点)を試験片の中心点として計10点をサンプリングし、測定値は10点の平均値とする。
但し、10点のサンプリングをするに十分な金属樹脂積層体がない場合は、可能な限り等間隔でサンプリングする。 具体的には、次式によって算出される。
カール量(mm)=(h1+h2+h3+h4)/4
カール度(%)=100×(カール量)/35.36
本発明の金属樹脂積層体のカール度は10%以下が望ましく、更に望ましくは5%以下である。
得られた金属樹脂積層体の少なくとも長さ0.3mを採取し、水平面に静置して、金属薄膜層の剥がれと皺とを目視観察し、ほとんど剥がれと皺が観察されないものを◎、剥がれと皺が僅かに観察できるものを△、剥がれと皺が多く観察できるものを×として判定した。
(ポリアミド酸の重合−1)
<ベンゾオキサゾール構造を有するジアミンからなるポリアミド酸の重合>
窒素導入管,温度計,攪拌棒を備えた反応容器内を窒素置換した後、5−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール500質量部を仕込んだ。次いで、N、N−ジメチルアセトアミド8000質量部を加えて完全に溶解させた後,ピロメリット酸二無水物485質量部を加え,25℃の反応温度で48時間攪拌すると,淡黄色で粘調なポリアミド酸溶液(A)が得られた。得られた溶液のηsp/Cは4.0dl/gであった。
(ポリアミド酸の重合−2)
テトラカルボン酸二無水物として3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物398質量部、パラフェニレンジアミン147質量部を4600質量部のN、N−ジメチルアセトアミドに溶解し、温度を20℃以下に保ちながら同様に反応させてポリアミド酸溶液(B)を得た。得られた溶液のηsp/Cは3.0dl/gであった。
各参考例で得られたポリアミド酸溶液を表1に示すようにそれぞれ使い、このポリアミド酸溶液をコンマコーターを用いて幅600mm、エンドレスステンレスベルトの片面に塗膜乾燥厚さが14μmとなるようにコーティングして、110℃で10分間乾燥・剥離して各ポリイミド前駆体フィルムであるグリーンフィルムを得て、このグリーンフィルムを窒素置換された連続式の熱処理炉に通し、第1段、第2段の2段階の高温加熱を施して、イミド化反応を進行させた。
その後、5分間で室温にまで冷却することで、褐色を呈する各例のポリイミドフィルムを得た。得られたポリイミドフィルム(ポリイミド樹脂層)の測定結果を表1に記載する。
これらの各例のポリイミドフィルムを使用して、下記する金属樹脂積層体作製例に基づいて金属樹脂積層体を作製した。得られた金属樹脂積層体の評価を表1、2に記載する。
各実施例、比較例でのポリイミドフィルム(ポリイミド樹脂層)を使用して、このフィルム上に、インバー組成の合金ターゲット(30℃から200℃の平均線膨張係数+4.0ppm/℃)を用い、DCマグネトロンスパッタリングによってインバー合金薄膜層、膜厚0.3μmを形成し金属樹脂積層体を作製した。薄膜堆積時にはアルゴンガスをチャンバー内に導入して、真空度は3×10-3Torrに調整した。アルゴンガス導入前の真空度は、4×10-6Torrであった。真空度は電離真空計によって測定した。
厚さ1mmのインバー合金板をエポキシ系接着剤にて接着して金属樹脂積層体を作製した。
金属樹脂積層体作製例1と同様の薄膜を作製した後に、真空を破らずに同一真空チャンバーにあるCuターゲットを用い、DCマグネトロンスパッタリングによってCu薄膜を作製した。インバー合金層の厚さを0.4μmにした後Cu層の厚さは0.2μmとした。薄膜堆積時にはアルゴンガスをチャンバー内に導入して、真空度は3×10-3Torrに調整した。アルゴンガス導入前の真空度は、4×10-6Torrであった。真空度は電離真空計によって測定した。
Cuターゲットを用い、DCマグネトロンスパッタリングによってCu薄膜を作製した。Cu0.1μm後にインバー合金層の厚さは0.3μmとした。薄膜堆積時にはアルゴンガスをチャンバー内に導入して、真空度は3×10-3Torrに調整した。アルゴンガス導入前の真空度は、4×10-6Torrであった。この後に真空を破らずに同一真空チャンバーにあるインバー組成の合金ターゲットを用い、DCマグネトロンスパッタリングによって作製した。薄膜堆積時にはアルゴンガスをチャンバー内に導入して、真空度は3×10-3Torrに調整した。真空度は電離真空計によって測定した。インバー合金ターゲットと同一組成の薄板のCTEを測定すると、4ppm/℃であった。Cuターゲットと同一組成の薄板のCTEを測定すると、16ppm/℃であった。
金属樹脂積層体作製例1同様の薄膜を作製したもの2枚使用して、それらの薄膜面を内側にして、向かい合わせ、エポキシ系の接着シートを挟み、熱圧着して、内側に薄膜層の入った金属樹脂積層体を作製した。
Cu層をスパッタリング法により堆積させた。Cuターゲットを用い、DCマグネトロンスパッタリングによって作製した。Cu層の厚さは0.5μmとした。薄膜堆積時にはアルゴンガスをチャンバー内に導入して、真空度は3×10-3Torrに調整した。アルゴンガス導入前の真空度は、4×10-6Torrであった。真空度は電離真空計によって測定した。Cuターゲットと同一組成の薄板のCTEを測定すると、16ppm/℃であった。
インバー合金層はスパッタリング法により堆積させた。インバー組成の合金ターゲットを用い、DCマグネトロンスパッタリングによって作製した。薄膜堆積時にはアルゴンガスをチャンバー内に導入して、真空度は3×10-3Torrに調整した。アルゴンガス導入前の真空度は、4×10-6Torrであった。真空度は電離真空計によって測定した。
一旦真空装置から取り出して、インバー合金層の付いている面とは逆の面が、蒸着されるようにフィルムをセットしなおし、Cu層はスパッタリング法により堆積させた。Cuターゲットを用い、DCマグネトロンスパッタリングによって作製した。インバー合金層を厚さ0.4μm堆積させ、フィルムの反対側にCu層を0.2μm作製した。薄膜堆積時にはアルゴンガスをチャンバー内に導入して、真空度は3×10-3Torrに調整した。アルゴンガス導入前の真空度は、4×10-6Torrであった。真空度は電離真空計によって測定した。インバー合金ターゲットと同一組成の薄板のCTEを測定すると、4ppm/℃であった。Cuターゲットと同一組成の薄板のCTEを測定すると、16ppm/℃であった。
Al層をスパッタリング法により堆積させた。Alターゲットを用い、DCマグネトロンスパッタリングによって作製した。Al層の厚さは0.5μmとした。薄膜堆積時にはアルゴンガスをチャンバー内に導入して、真空度は3×10-3Torrに調整した。アルゴンガス導入前の真空度は、4×10-6Torrであった。真空度は電離真空計によって測定した。Alターゲットと同一組成の薄板のCTEを測定すると、21ppm/℃であった。
Claims (7)
- 低熱膨張金属層と、ポリイミド樹脂層との積層体である金属樹脂積層体であって、30℃から200℃の平均線膨張係数が−5ppm/℃〜+10ppm/℃であることを特徴とする金属樹脂積層体。
- 低熱膨張金属層が、30℃から200℃の平均線膨張係数が−5ppm/℃〜+10ppm/℃である低熱膨張金属の層であり、ポリイミド樹脂層が、30℃から200℃の平均線膨張係数が−5ppm/℃〜+10ppm/℃であるポリイミド樹脂の層である請求項1記載の金属樹脂積層体。
- 低熱膨張金属層が、ポリイミド樹脂層に直接積層している請求項1〜2いずれかに記載の金属樹脂積層体。
- ポリイミド樹脂層がベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類と、芳香族テトラカルボン酸無水物類とを反応させて得られるポリイミドベンゾオキサゾールを主成分とするポリイミドフィルムである請求項1〜3のいずれかに記載の金属樹脂積層体。
- Cu、Alから選ばれる一種以上の金属を主成分とする金属層がさらに積層された請求項1〜4いずれかに記載の金属樹脂積層体。
- 請求項1〜5いずれかに記載の金属樹脂積層体を用いた回路基板。
- 請求項1〜5いずれかに記載の金属樹脂積層体を用いた回路放熱板。
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