JP4810985B2 - 金属被覆ポリイミドフィルム - Google Patents
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Description
下地層に非金属、ないし金属酸化物を用いた場合には下地層をエッチングにより除去することが困難であり、なおかつ無電解メッキ工程などでの還元作用により、線間に残された金属酸化物が還元され、導電性金属異物となって線間の絶縁不良を生じる可能性があった。また下地層としてよく使用されるクロム酸化物は環境衛生上好ましくない化合物であるとされている。
当該提案は、接着力の低下が金属とポリイミドフィルムとの界面の酸化によるものとの観点から成されたものであるが、例示された酸素透過率の小さい材料はいずれも脆く、高い屈曲性が要求されるフレキシブルプリント配線板には不適である。
ニッケル−クロム系合金は酸化脆化に対する耐性が比較的強く、適度なアンカー効果が期待できる素材である。しかしながら、かかるニッケル−クロム系合金を下地に用いた場合においても、その製造条件により必ずしも十分な接着強度を得られることは出来ず、特に湿熱環境下に置かれた場合に接着強度が低下することが問題視されてきている。
〔1〕 ポリイミドフィルムの少なくとも片面に少なくともCuを主体とする金属層を含む二層以上の金属層が形成された金属被覆ポリイミドフィルムにおいて、該金属被覆ポリイミドフィルムを硫酸/過酸化水素系エッチング試薬で処理したポリイミドフィルム表面のIR−ATR法から算出される表面金属指数Asmが0.001以上、0.005以下、かつ表面抵抗率が1×1013Ω以上であることを特徴とする金属被覆ポリイミドフィルム、
〔2〕 前記ポリイミドフィルムが、ベンゾオキサゾール骨格を有するジアミン類と、芳香族テトラカルボン酸二無水物類の縮重合により得られるポリイミドフィルムであることを特徴とする前記〔1〕の金属被覆ポリイミドフィルム、
である。
ポリイミドフィルムにおいては、その中間体であるポリアミド酸由来の分析困難なレベルに極微量のカルボキシル基とアミド基が存在することが推察される。かかる両性官能基に水の共存することで近接する異種金属成分間には電気化学的ポテンシャルが生じ、長期間にわたって電気化学的な腐食が生じ、かかる現象が金属層とポリイミド層の間の接着力を低下させるものと考えられる。
本発明において用いられる硫酸/過酸化水素系エッチング試薬は、比較的Cuに対するエッチング選択性が高いことが知られているが、Cu以外の金属、特に卑金属類の一部に対してはエッチング性を有する。かかる試薬によって処理した後のポリイミド表面のIR−ATR法により求められる金属指数Asmはポリイミドの表面ないし表面近傍に残存する金属成分の量を表すパラメータである。かかる値が所定量以上であるとともに、表面絶縁抵抗が所定値以下であることを満足することは、導電性に関与することなくポリイミドフィルム表面近傍に存在する金属成分の有効量を与える。本発明者らは、かかるパラメータが初期密着強度を上げ、さらに耐湿熱試験後の接着強度維持に高い効果を与えることを定量化し本発明を構成した。
本発明に好ましく適用し得る、ポリイミドフィルムを得るための芳香族ジアミン類と、芳香族テトラカルボン酸類との反応は、溶媒中で芳香族ジアミン類と芳香族テトラカルボン酸(無水物)類とを(開環)重付加反応に供してポリイミド前駆体であるポリアミド酸の溶液を得て、次いで、このポリアミド酸の溶液から前駆体フィルム(グリーンフィルムともいう)を成形した後に乾燥・熱処理・脱水縮合(イミド化)することにより製造される。
A.ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類と芳香族テトラカルボン酸類と組み合わせ。
B.ジアミノジフェニルエーテル骨格を有する芳香族ジアミン類とピロメリット酸骨格を有する芳香族テトラカルボン酸類との組み合わせ。
C.フェニレンジアミン骨格を有する芳香族ジアミン類とビフェニルテトラカルボン酸骨格を有する芳香族テトラカルボン酸類との組み合わせ。
D.上記のABCの一種以上の組み合わせ。
本発明で好ましく使用できるベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類として、下記の化合物が例示できる。
本発明においては、前記ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミンを70モル%以上使用することが好ましい。
本発明におけるフェニレンジアミン骨格を有する芳香族ジアミン類としては、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミンおよびそれらの誘導体が挙げられる。
例えば、4,4'−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、m−アミノベンジルアミン、p−アミノベンジルアミン、3,3'−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3'−ジアミノジフェニルスルホキシド、3,4'−ジアミノジフェニルスルホキシド、4,4'−ジアミノジフェニルスルホキシド、3,3'−ジアミノジフェニルスルホン、3,4'−ジアミノジフェニルスルホン、4,4'−ジアミノジフェニルスルホン、3,3'−ジアミノベンゾフェノン、3,4'−ジアミノベンゾフェノン、4,4'−ジアミノベンゾフェノン、3,3'−ジアミノジフェニルメタン、3,4'−ジアミノジフェニルメタン、4,4'−ジアミノジフェニルメタン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、
前記に限定されないで下記の芳香族テトラカルボン酸を使用してもよい。
本発明におけるポリアミド酸の還元粘度(ηsp/C)は、特に限定するものではないが3.0dl/g以上が好ましく、4.0dl/g以上がさらに好ましく、なおさらに5.0dl/g以上が好ましい。
重合反応中に真空脱泡することは、良質なポリアミド酸の溶液を製造するのに有効である。
さらに、以下述べるポリアミド酸の溶液を支持体上に流延・塗布するに際して予め減圧などの処理によって該溶液中の気泡や溶存気体を除去しておくことも、本発明のポリイミドフィルムを得るために有効な処理である。
熱閉環法の熱処理温度は、150〜500℃が好ましく、熱処理温度がこの範囲より低いと充分に閉環されづらくなり、またこの範囲より高いと劣化が進行し、フィルムが脆くなりやすくなる。より好ましい態様としては、150〜250℃で3〜20分間処理した後に350〜500℃で3〜20分間熱処理するところの初期段階熱処理と後段階熱処理とを有する2段階熱処理工程が挙げられる。
脱水剤をポリアミド酸溶液に加えるタイミングも特に限定はなく、ポリアミド酸を得るための重合反応を行う前に予め加えておいてもよい。脱水剤の具体例としては、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸などといった脂肪族カルボン酸無水物や、無水安息香酸などといった芳香族カルボン酸無水物などが挙げられ、中でも、無水酢酸、無水安息香酸あるいはそれらの混合物が好ましい。また、ポリアミド酸1モルに対する脱水剤の使用量は特に限定はないが、好ましくは0.1〜4モルである。脱水剤を用いる場合には、アセチルアセトンなどといったゲル化遅延剤を併用してもよい。
ポリイミドフィルムの厚さは特に限定されないが、後述するプリント配線基板用ベース基板に用いることを考慮すると、5〜150μm、好ましくは10〜100μmである。この厚さはポリアミド酸溶液を支持体に塗布する際の塗布量や、ポリアミド酸溶液の濃度によって容易に制御し得る。
本発明のポリイミドフィルムには、滑剤をポリイミド中に添加含有せしめるなどしてフィルム表面に微細な凹凸を付与しフィルムの滑り性を改善することが好ましい。
滑剤としては、無機や有機の0.03μm〜3μm程度の平均粒子径を有する微粒子が使用でき、具体例として、酸化チタン、アルミナ、シリカ、炭酸カルシウム、燐酸カルシウム、燐酸水素カルシウム、ピロ燐酸カルシウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、粘土鉱物などが挙げられる。
先ず、ポリイミドフィルムの表面をプラズマ処理によって表面処理を行うことが好ましい。かかるプラズマは不活性ガスプラズマであり、不活性ガスとしては窒素ガス、Ne、Ar、Kr、Xeが用いられる。プラズマを発生させる方法に格別な制限はなく、不活性気体をプラズマ発生装置内に導入し、プラズマを発生させればよい。プラズマ処理の方法に格別な制限はなく、基材フィルム上に金属層を形成する際に用いるプラズマ処理装置を用いて行えばよい。プラズマ処理に要する時間は特に限定されず、通常1秒〜30分、好ましくは10秒〜10分である。プラズマ処理時のプラズマの周波数と出力、プラズマ発生のためのガス圧、処理温度に関しても格別な制限はなく、プラズマ処理装置で扱える範囲であれば良い。周波数は通常13.56MHz、出力は通常50W〜1000W、ガス圧は通常0.01Pa〜10Pa、温度は、通常20℃〜250℃、好ましくは20℃〜180℃である。出力が高すぎると、基材フィルム表面に亀裂の入るおそれがある。また、ガス圧が高すぎると電気絶縁層表面の平滑性が低下するおそれがある。
スパッタリングの方法に格別な制限はなく、直流2極スパッタリング、高周波スパッタリング、マグネトロンスパッタリング、対向ターゲットスパッタリング、ECRスパッタリング、バイアススパッタリング、プラズマ制御型スパッタリング、マルチ・ターゲットスパッタリングなどを用いることができる。これらのうち、直流2極スパッタリング、又は高周波スパッタリングが好適である。スパッタリング処理時の出力、プラズマ発生のためのガス圧、処理温度に関しても格別な制限はなく、スパッタリング装置で扱える範囲であれば良い。出力は通常10W〜1000W、ガス圧は通常0.01Pa〜10Pa、温度は、通常20℃〜250℃、好ましくは20℃〜180℃である。また、成膜レートは0.1Å/秒〜1000Å/秒、好ましくは1Å/秒〜100Å/秒である。成膜レートが高すぎると、形成した金属膜に亀裂の入るおそれがある。また、ガス圧が高すぎると密着性が低下するおそれがある。
第一の金属層としては、Cr、Ta、Ti、Hf、Mo、W、Re、Ni−Cr、SiCr、TiCr、Cu−Mn−NiPd−Ag、Pd−Au−Fe、Cr−SiO、Cr−MgF2、Au−SiO、窒化タンタルあるいは部分窒化タンタル、窒化チタンあるいは部分窒化チタンなどが挙げられる。好ましくはNi−Cr、Ni−Co−Crである。更に好ましくは、99.9%以上のスパッタリング用NiCrターゲットを用いる。このようなNiCr中間層の厚さは、大気中、150℃で24時間の加熱処理により銅粒子がポリイミド層内へ実質的に侵入しない(拡散抑制効果)程度の厚さが最低必要で、5〜50nm程度がよい。膜厚が余りに薄すぎるとこのような条件下で銅粒子がポリイミド層内へ侵入してしまい拡散抑制層としての効果を有さない。また、厚すぎるとNiCr中間層の形成に時間を要し、生産効率の面で好ましくない。
尚、これら第1および第2の金属薄膜の膜厚は、スパッタリング、或いはメッキ時に試料の一部にマスクを設け、その後マスクをはずしてマスクした部分としてない部分との段差を段差測定機により測定することにより求めた。段差部分の長さが装置の測定限界を超える場合は、スパッタリング或いはメッキ時間を測定限界内に収まるように調節して求めた。その後一定率での薄膜堆積を基に計算した。
ここに硫酸/過酸化水素系エッチング試薬は、硫酸濃度100g/リットル、35%過酸化水素水濃度40g/リットル、銅濃度30g/リットル、のものを用いる。
処理は25℃に温度調整したエッチング液に浸積し、緩やかに揺動した状態で、30分間行った後にイオン交換水で十分に洗浄する。処理時間は第二の金属層のCu分がほぼ溶出し、これ以上処理を続けても残存金属成分が量が変化しなくなると判断されるに十分な時間である。厚付け金属層が存在する場合には厚づけ金属層をエッチング除去するに十分な時間を加える必要がある。なお処理液の総量は、かかる試験処理により新たに金属成分が処理液に加わってなお前記組成比の範囲内にあるだけの十分な量が必要である。
(測定法:ATR法赤外吸収スペクトル)
金属被覆ポリイミドフィルムをCu選択エッチング液で処理、水洗し、十分に乾燥させた後、得られたポリイミドフィルムの金属で被覆されていた面についてATR赤外吸収スペクトルを測定した。測定はDIGILAB社製 FTS 896/60Aに、1回反射ATR測定用アクセサリーとしてSpecac社製シルバーゲート(Ge45°)を設置して行った。試料がGe結晶(7mmφ)全面を十分に覆うようにし、試料と押さえ具の間に厚さ1mm以上のシリコンゴムを挟んで、試料がGe結晶に十分密着するようにした。分解能は8cm-1、積算回数は64回以上とした。
表面金属指数Asmは以下の式で定義される
Asm=A2000−A4000
A2000:2000cm-1の吸光度
A4000:4000cm-1の吸光度
本発明は、かかる表面金属指数と表面抵抗率を両立することにより構成される。かかる状態を実現する手段については特に限定されないが、例えば第一の金属層の構成成分を均質な合金とすることなく、さらに微細な層状構造とすること、組成傾斜をつけること、基材であるポリイミドフィルムの表面層を実質的に250℃以上、好ましくは350℃以上、さらに好ましくは400℃以上として金属層を形成すること、プラズマに投入するエネルギーを高めること等により実現することができる。
1.ポリアミド酸の還元粘度(ηsp/C)
ポリマー濃度が0.2g/dlとなるようにN−メチル−2−ピロリドンに溶解した溶液をウベローデ型の粘度管により30℃で測定した。
フィルムの厚さは、マイクロメーター(ファインリューフ社製、ミリトロン1254D)を用いて測定した。
乾燥後のフィルムを長手方向(MD方向)および幅方向(TD方向)にそれぞれ長さ100mm、幅10mmの短冊状に切り出して試験片とし、引張試験機(島津製作所製、商品名オートグラフ、機種名AG−5000A)を用い、引張速度50mm/分、チャック間距離40mmで測定し、引張弾性率、引張強度および引張破断伸度を求めた。
下記条件で伸縮率を測定し、30〜300℃までを15℃間隔で分割し、各分割範囲の伸縮率/温度の平均値より求めた。
装置名 ; MACサイエンス社製TMA4000S
試料長さ ; 20mm
試料幅 ; 2mm
昇温開始温度 ; 25℃
昇温終了温度 ; 400℃
昇温速度 ; 5℃/min
雰囲気 ; アルゴン
試料を下記条件でDSC測定し、融点(融解ピーク温度Tpm)とガラス転移点(Tmg)をJIS K 7121に準拠して下記測定条件で求めた。
装置名 ; MACサイエンス社製DSC3100S
パン ; アルミパン(非気密型)
試料質量 ; 4mg
昇温開始温度 ; 30℃
昇温速度 ; 20℃/min
雰囲気 ; アルゴン
熱分解温度は、充分に乾燥した試料を下記条件でTGA測定(熱天秤測定)して、5%質量減をもって規定した。
装置名 ; MACサイエンス社製TG−DTA2000S
パン ; アルミパン(非気密型)
試料質量 ; 10mg
昇温開始温度 ; 30℃
昇温速度 ; 20℃/min
雰囲気 ; アルゴン
8.フィルムの表面抵抗率
JIS C2318に準拠して測定した。
90度剥離試験をJIS C5016準拠の方法にて行った。
なお、銅箔5μmでは、導体切れが多発し、満足な評価が行えなかったため、接着強度に関しては銅箔厚を電気メッキにてさらに18μmまで厚付けして評価を行った。
10.金属被覆ポリイミドフィルムの耐湿熱環境試験後の導体接着性
平山製作所製PCT試験機にて、121℃・2気圧(飽和)条件下にて100時間処理した後、90度剥離試験をJIS5016準拠の方法にて行った。
(無機粒子の予備分散)
アモルファスシリカの球状粒子シーホスターKE−P10(日本触媒株式会社製)を1.22質量部、N−メチル−2−ピロリドン420質量部を、容器の接液部、および輸液用配管はオーステナイト系ステンレス鋼SUS316Lである容器に入れホモジナイザーT−25ベイシック(IKA Labor technik社製)にて、回転数1000回転/分で1分間攪拌し予備分散液を得た。予備分散液中の平均粒子径は0.11μmであった。
(ポリアミド酸溶液の調製)
窒素導入管、温度計、攪拌棒を備えた容器の接液部、および輸液用配管はオーステナイト系ステンレス鋼SUS316Lである反応容器内を窒素置換した後、223質量部の5−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾオキサゾールを入れた。次いで、4000質量部のN−メチル−2−ピロリドンを加えて完全に溶解させてから、先に得た予備分散液を420質量部と217質量部のピロメリット酸二無水物を加えて、25℃にて24時間攪拌すると、褐色の粘調なポリアミド酸溶液Aが得られた。この還元粘度(ηsp/C)は3.8dl/gであった。
窒素導入管,温度計,攪拌棒を備えた容器の接液部、および輸液用配管はオーステナイト系ステンレス鋼SUS316Lである反応容器内を窒素置換した後,5−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール223質量部、N,N−ジメチルアセトアミド4416質量部を加えて完全に溶解させた後,コロイダルシリカをジメチルアセトアミドに分散してなるスノーテックスDMAC−ST30(日産化学工業株式会社製)40.5質量部(シリカを8.1質量部含む)、ピロメリット酸二無水物217質量部を加え、25℃の反応温度で24時間攪拌すると、褐色で粘調なポリアミド酸溶液Bが得られた。このもののηsp/Cは4.0dl/gであった。
(無機粒子の予備分散)
アモルファスシリカの球状粒子シーホスターKE−P10(日本触媒株式会社製)を7.6質量部、N−メチル−2−ピロリドン390質量部を容器の接液部、および輸液用配管はオーステナイト系ステンレス鋼SUS316Lである容器に入れホモジナイザーT−25ベイシック(IKA Labor technik社製)にて、回転数1000回転/分で1分間攪拌し予備分散液を得た。
(ポリアミド酸溶液の調製)
窒素導入管、温度計、攪拌棒を備えた容器の接液部、および輸液用配管はオーステナイト系ステンレス鋼SUS316Lである反応容器内を窒素置換した後、200質量部のジアミノジフェニルエーテルを入れた。次いで、3800質量部のN−メチル−2−ピロリドンを加えて完全に溶解させてから、先に得た予備分散液を390質量部と217質量部のピロメリット酸二無水物を加えて、25℃にて5時間攪拌すると、褐色の粘調なポリアミド酸溶液Cが得られた。この還元粘度(ηsp/C)は3.7dl/gであった。
(無機粒子の予備分散)
アモルファスシリカの球状粒子シーホスターKE−P10(日本触媒株式会社製)を3.7質量部、N−メチル−2−ピロリドン420質量部を容器の接液部、および輸液用配管はオーステナイト系ステンレス鋼SUS316Lである容器に入れホモジナイザーT−25ベイシック(IKA Labor technik社製)にて、回転数1000回転/分で1分間攪拌し予備分散液を得た。
(ポリアミド酸溶液の調製)
窒素導入管、温度計、攪拌棒を備えた容器の接液部、および輸液用配管はオーステナイト系ステンレス鋼SUS316Lである反応容器内を窒素置換した後、108質量部のフェニレンジアミンを入れた。次いで、3600質量部のN−メチル−2−ピロリドンを加えて完全に溶解させてから、先に得た予備分散液を420質量部と292.5質量部のジフェニルテトラカルボン酸二無水物を加えて、25℃にて12時間攪拌すると、褐色の粘調なポリアミド酸溶液Dが得られた。この還元粘度(ηsp/C)は4.5dl/gであった。
重合例1〜4で得たポリアミド酸溶液を、ポリエチレンテレフタレート製フィルムA−4100(東洋紡績株式会社製)の無滑剤面上に、コンマコーターを用いてコーティングし(ギャップは、150μm、塗工幅1240mm)、連続式の送風式乾燥機を用いて105℃にて18分間乾燥した。乾燥後に自己支持性となったポリアミド酸フィルムを支持体から剥離して両端をカットし、厚さ21μm、幅1200mmのそれぞれのグリーンフィルムを得た。
得られたこれらのグリーンフィルムを5段階の加熱ゾーンを有する熱処理路を持つピンテンターに通し、ピンシート間隔を1140mm、すなわちグリーンフィルム両端の各30mmをピンに刺仕込み、第1段が150℃で5分、第2段210℃、第3段480℃、第4段480℃、第5段にて150℃まで徐冷し、さらに室温にまで冷却し、フィルムの両端部の平面性が悪い部分をスリッターにて切り落とし、ロール状に巻き上げ、褐色を呈する製造例1〜4のそれぞれのポリイミドフィルムを得た。
得られたポリイミドフィルムの物性を表1に示す。
製造例1にて得られたポリイミドフィルムを、まず250mm幅にスリットした。ついでロールトゥロール方式のプラズマ表面処理装置にセットし、酸素のグロー放電でポリイミドフィルムの表面を処理した。諸理事の条件はO2ガス圧2×10-3Torr、流量50SCCM、放電周波数13.56MHz、出力320W、処理時間は、フィルム送り速度0.05m/minで有効プラズマ照射幅が10cm程度の為1箇所のプラズマ照射時間が2分となる。この後、表面処理装置より取り出し、フィルムの片面上に、NiターゲットとCrターゲットを用いてアルゴンガスによるDCマグネトロンスパッタリング法により厚さ15nmのNi層、8nmのCr層を形成させた。この2層をもって第一の金属層とする。薄膜層作製時の真空度は3×10-3Torrである。その後、第二の金属層として、直ちに銅をターゲットとして、アルゴンガスによるDCマグネトロンスパッタリング法により厚さ250nmの銅薄膜層を形成させた。ターゲットのCuは純度4Nのものを用いた。
各室の間は、スリットによって概略仕切られている。スパッタ室ではフィルムはチルロールに接しており、チルロールの温度(−5度)によって冷やされながら、巻きだし側に近い、Niターゲット1ケ、Crターゲット1ケ、その後Cuターゲット2ケからの金属粒子によって薄膜が形成される。各ターゲットのフィルム送り方向の幅は12cmである。スパッタされた粒子はフィルム上に達するまでに一部混じるが、フィルム厚さ方向にNiがついた後に、一部混合するが、Crが堆積しその後に、Cu薄膜が形成される。CrターゲットとCuターゲット間は50cm以上はなれている為、ここでは真空中でスパッタされた、CrとCuの粒子の間の混合は起こらない。
次に、当該銅薄膜の上に銅の電解メッキを施した。得られた金属被覆フィルムをプラスチック製の枠に固定し直し、硫酸銅メッキ浴を用いて、厚さ5μmの厚付け銅メッキ層(厚付け層)を形成し、目的とする金属被覆ポリイミドフィルムを得た。
得られた金属被覆ポリイミドフィルムを使用し、フォトレジスト:FR−200、シプレー社製を塗布・乾燥後にガラスフォトマスクで密着露光し、さらに1.2質量%KOH水溶液にて現像した。次に、HClと過酸化水素を含む塩化第二銅のエッチングラインで、40℃、2kgf/cm2のスプレー圧でエッチングし、後述する評価試験に必要なテストパターンを形成後、0.5μm厚に無電解スズメッキを行った。その後、125℃、1時間のアニール処理を行った。
得られた試験パターンを用いて試験評価を行った。結果を表2に示す。
製造例2にて得られたポリイミドフィルムを、用いた以外は実施例1と同様に操作し金属被覆ポリイミドフィルムを得た。以下同様に評価した結果を表2に示す。
〔実施例3〕
製造例3にて得られたポリイミドフィルムを、用いた以外は実施例1と同様に操作し金属被覆ポリイミドフィルムを得た。以下同様に評価した結果を表2に示す。
〔実施例4〕
製造例4にて得られたポリイミドフィルムを、用いた以外は実施例1と同様に操作し金属被覆ポリイミドフィルムを得た。以下同様に評価した結果を表2に示す。
製造例1に示すポリイミドフィルムを250mm幅にスリットし、プラズマ表面処理装置にセットしと同様にプラズマ処理を行った。この後、表面処理装置より取り出し、フィルムの片面上に、NiCr合金をターゲットとしてアルゴンガスによるDCマグネトロンスパッタリング法により厚さ15nmのNiCr下地薄膜層を形成させた。薄膜層作製時の真空度は3×10-3Torrである。その後、直ちに銅をターゲットとして、アルゴンガスによるDCマグネトロンスパッタリング法により厚さ250nmの銅薄膜層を形成させた。ターゲットのNiCr合金の組成は、Ni80質量%、Cr20質量%純度3Nのものを用いた。以下実施例と同様に操作し、金属被覆ポリイミドフィルムを得た。以下同様に評価した結果を表2に示す。
比較例において。スパッタ室のチルロールの冷却を止め、以下同様に操作した。実験は製造例1にて得られたフィルムを用いて行った。以下同様に評価した。結果を表2.に示す。
なお製造例3、および製造例4において得られたフィルムを用いた場合には第一の金属層形成中にフィルムが変形し、評価に足るサンプルを得ることが出来なかった。製造例3、および製造例4のフィルムにおいては320℃前後に変曲点があることが知られており、スパッタリング中のフィルム表面温度が320℃を越えていたことが推測される。
Claims (1)
- ベンゾオキサゾール骨格を有するジアミン類と、芳香族テトラカルボン酸二無水物類の縮重合により得られるポリイミドフィルムの少なくとも片面に(1)アルゴンガスによるスパッタリング法により形成されたNi−Cr又はNi−Co−Crからなる第一の金属層、(2)Cuを主体とする第二の金属層が順次積層されてなる金属被覆ポリイミドフィルムにおいて、該金属被覆ポリイミドフィルムを硫酸/過酸化水素系エッチング試薬で処理したポリイミドフィルム表面のIR−ATR法から算出される表面金属指数Asmが0.001以上、0.005以下、かつ表面抵抗率が1×1013Ω以上であることを特徴とする金属被覆ポリイミドフィルム。
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