JP2005271515A - 導体層付き樹脂フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】ファインピッチの配線パターンを容易に形成でき、配線パターンの密着力が十分にあり、絶縁信頼性の高いプリント配線板を得ることができる導体層付き樹脂フィルムを提供する。
【解決手段】耐熱性樹脂フィルムの少なくとも片面に、バリヤメタル層と導体層とが形成された導体層付き樹脂フィルムであって、バリヤメタル層が(a)Ti、Zr、Hf、Cr、Mo、W、V、Nb、Taから選ばれる1種類以上、(b)Mn、Fe、Co、Ni、Znから選ばれる1種類以上、および、Cuを含有し、Cuの原子分率が1%以上30%以下である導体層付き樹脂フィルム。
【選択図】 なし

Description

本発明は、プリント配線板、フレキシブルプリント配線板、TABテープ、COFテープなどの電子部品の材料となる導体層付き樹脂フィルムに関する。
ポリイミドフィルムなどの耐熱性樹脂フィルムに銅などの導体層を形成した導体層付き樹脂フィルムが、フレキシブルプリント配線板(FPC)、TABテープ、COFテープなどの電子部品の材料として使用されている。
導体層付き樹脂フィルムには、耐熱性樹脂フィルムと金属箔とを接着剤を介して接合した3層型ラミネート品、市販の金属箔に耐熱性樹脂層を形成する2層型キャスト品、および、市販の耐熱性樹脂フィルムにスパッタおよびめっきにより金属層を形成する2層型めっき品がある。
最近では、特に携帯電子機器の小型化、薄型化にともない、上記FPC、TAB、COFに対しても、小型化、薄型化が要求され、その配線ピッチは狭くなっていることから、導体層の厚みを薄く、自由にコントロールできる2層型めっき品が注目を集めている。
しかし、2層型めっき品は、平坦な耐熱性樹脂フィルム上に導体層が形成されるため密着力が小さいという欠点がある。特に熱負荷後の密着力、高温高湿負荷後の密着力など環境負荷後の密着力が低下する。
密着力の低下を防ぐためにフィルムと導体層との間にバリヤメタル層を形成することが行われる。ポリイミドフィルム上に銅の導体層を形成する際のバリヤメタル層として、Cr層を蒸着で形成する方法が提案されている(例えば特許文献1、2参照)。しかし、この方法では、通常用いられているCuのエッチング液である、塩化鉄系、塩化銅系のエッチング液ではCrは溶解しないため、Cu配線パターン形成後、別の手段でCrをエッチングしなければならず、製造工程等を増やす要因の一つとなる。同じく、バリヤメタル層としてNi、または、Ni−Cr層を蒸着で形成する方法が提案されている(例えば特許文献3参照)。しかし、この方法では、配線パターンの密着力が小さくファインピッチパターンには対応できない。また、バリヤメタル層として、Ni、Cr、Co、および、Moを用いて、さらに銅層を形成後、全層を加熱、加圧、または、加熱加圧する方法が提案されている(例えば特許文献4参照)。しかし、この方法では、バリヤメタル層のエッチングが困難で絶縁信頼性がない、または、配線パターンの密着性が低い、といった問題を十分に解決するにはいたっていない。
特開昭62−62551号公報(第3−5頁) 特開平2−98994号公報(第2頁) 特開昭62−181488号公報(第2−3頁) 特開2002−280684号公報(第3−6頁)

かかる状況に鑑み、本発明の目的は、ファインピッチの配線パターン形成後において、パターンの密着力が高く、かつ、バリヤメタル層を通常の銅エッチング液でエッチングを行うことができ、絶縁信頼性も優れている導体層付き樹脂フィルムを提供することである。
すなわち本発明は、耐熱性樹脂フィルムの少なくとも片面に、バリヤメタル層と導体層とが形成された導体層付き樹脂フィルムであって、バリヤメタル層が(a)Ti、Zr、Hf、Cr、Mo、W、V、Nb、Taから選ばれる1種類以上、(b)Mn、Fe、Co、Ni、Znから選ばれる1種類以上、および、Cuを含有し、Cuの原子分率が1%以上30%以下である導体層付き樹脂フィルムである。
本発明によれば、ファインピッチの配線パターンを容易に形成できる導体層付き樹脂フィルムを得ることができる。また、配線パターンの密着力が十分にあり、絶縁信頼性の高いプリント配線板を得ることができる。
本発明は、耐熱性樹脂フィルムの少なくとも片面に、バリヤメタル層と導体層とが形成された導体層付き樹脂フィルムに関する。
耐熱性樹脂フィルムの少なくとも片面に、バリヤメタル層を形成する方法としては、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティングなどの真空プロセス、または、無電解めっきなどの化学プロセスがあげられる。上記の中で、スパッタリングが特に好ましく用いられる。スパッタリング方法は、特に限定されない。形成すべき薄膜に対応したターゲットを選択して用いればよいが、対応したターゲットがない場合には、2種類以上のターゲットを同時に用いてスパッタリングすることで形成すべき薄膜にすることもできるし、ターゲット上に金属片をおいてスパッタリングすることで形成すべき薄膜にすることもできる。
本発明において、バリヤメタル層が(a)Ti、Zr、Hf、Cr、Mo、W、V、Nb、Taから選ばれる1種類以上、(b)Mn、Fe、Co、Ni、Znから選ばれる1種類以上、および、Cuを含有し、Cuの原子分率が1%以上30%以下であることが重要である。(a)群は、Cuと固溶体を作らない、もしくは、作りにくい金属群であって、この金属群は、耐熱性樹脂フィルムとの密着力向上に寄与する金属群である。(b)群は、Cuと固溶体を作りやすい金属群であって、バリヤメタル層にCuが含有されるために必要である。また、Cuは、エッチング性を向上し、絶縁信頼性を得るためには必須の成分である。このときCuは原子分率1%以上30%以下であることが好ましく、5%以上20%以下であることがより好ましい。1%より小さいと形成されるパターンの絶縁信頼性が維持できない。30%よりも大きいと耐熱性樹脂フィルムとの密着性が不十分になる。すなわち、本発明は、(a)群、(b)群、および、Cuのすべてを含有し、Cuは原子分率1%以上30%以下であることが重要である。
(a)群、(b)群、および、Cuのすべてを含有するバリヤメタル層を形成する方法としては、(a)群、(b)群、および、Cuの合金ターゲットを用いる方法、(a)群および(b)群の合金ターゲットとCuのターゲットを同時に用いる方法、(a)群のターゲットと(b)群と銅との合金ターゲットを用いる方法、(a)群のターゲット、(b)群のターゲット、および、Cuのターゲットの3種類のターゲットを同時に用いる方法などがあげられる。また、(a)群および(b)群の合金ターゲットを用いて、(a)群および(b)群の合金層を形成した後、Cu層を形成し、後の工程で加熱処理を行うことによりCuを(a)群および(b)群の合金層に拡散させることで、(a)群、(b)群、および、Cuのすべてを含有するバリヤメタル層を形成することもできる。
本発明におけるバリヤメタル層とは、上記方法で形成した、(a)群、(b)群、および、Cuのすべてを含有する層のことを示す。
本発明のバリヤメタル層は通常の銅エッチング液でエッチングをすることができる。通常の銅エッチング液としては、塩化銅系、塩化鉄系、あるいは、過酸化水素系のエッチング液があげられる。
さらに酸素が存在する場合は酸素の原子分率が15%以下であることが好ましい。ここで、酸素の原子分率が、15%よりも大きくなると、導体層と耐熱性樹脂フィルムとの密着力が確保できない。より好ましくは10%以下であり、より好ましくは7%以下である。一般に、ロール状のフィルムサンプルをロールトゥーロールで蒸着する場合、ロール状のままでは乾燥は困難である。蒸着前の真空乾燥を十分に行うことが好ましいが、酸素の原子分率を0.5%より小さくすることは生産効率が下がるため好ましくない。
バリヤメタル層において、(a)群はCrであることが好ましく、(b)群はNiであることが好ましい。また、Crの原子分率が1%以上80%以下であり、Niの原子分率が20%以上99%以下であることが好ましい。Crの原子分率が1%より小さいと、密着力が低下する。Crの原子分率が80%より大きいと、エッチングが困難になり、絶縁信頼性が低下する。また、Niの原子分率が20%より小さいと、エッチングが困難になり、絶縁信頼性が低下する。Niの原子分率が99%より大きいと、密着力が低下する。バリヤメタル層の厚みは1〜100nmであることが好ましい。バリヤメタル層が1nmよりも薄いと、バリヤメタルとしての機能を果たせず、密着力が小さくなる。バリヤメタル層が100nmよりも厚いと、エッチングが困難になると同時に、生産におけるコストが増大する。
上記のバリヤメタル層の厚み、および、原子分率は、オージェ電子分光法によって測定することができる。オージェ電子分光法は、電子線を照射してオージェ電子を観測する方法であり、表面の元素分析に使用できる。また、アルゴンイオンエッチングと併用することにより深さ方向の元素分析にも使用できるので、本発明のバリヤメタル層の厚み、および、原子分率測定に効果的に使用できる。バリヤメタル層の厚みとは、オージェ電子分光法で測定できる(a)群、および、(b)群の半値幅とした。また、バリヤメタル層の原子分率とは、(a)群、および、(b)群の半値幅の中間値における、各原子の原子分率とした。
バリヤメタル層は、耐熱性樹脂フィルム上に形成される。耐熱性樹脂フィルムとしては、芳香族ポリイミド、芳香族ポリアミド、芳香族ポリエーテルイミド、ポリフェニレンスルファイド、ポリアリールエーテルケトン、ポリアミドイミド、液晶ポリマーなどの樹脂をフィルムにしたものがあげられる。これらの樹脂の中では芳香族ポリイミドが好ましく、ピロメリット酸二無水物、あるいはビフェニルテトラカルボン酸二無水物などの芳香族テトラカルボン酸二無水物と、ジアミノジフェニルエーテル、パラフェニレンジアミンなどの芳香族ジアミンとの縮合物である芳香族ポリイミドがより好ましい。具体的な製品としては東レ・デュポン製“カプトン”、宇部興産製“ユーピレックス”、鐘淵化学工業製“アピカル”、東レ製“ミクトロン”、クラレ製“ベクスター”などがあげられる。耐熱性樹脂フィルムの厚みとしては、好ましくは5〜150μm、より好ましくは10〜100μmである。
上記、耐熱性樹脂フィルムに表面処理することなくバリヤメタル層を形成しても良いし、表面処理をしてからバリヤメタル層を形成しても良い。表面処理としては、コロナ放電処理、低温プラズマ処理、あるいは、公知のウェットエッチング処理などがあげられる。
また、耐熱性樹脂フィルムに樹脂層を積層してからバリヤメタル層を形成することも好ましい。耐熱性樹脂フィルムに樹脂層を積層するにあたって、耐熱性樹脂フィルムには表面処理をしてから樹脂層を形成することが好ましい。表面処理としては、コロナ放電処理、低温プラズマ処理、あるいは、公知のウェットエッチング処理などがあげられる。樹脂層としては、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリエーテルイミド系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリスルホン系樹脂などがあげられる。上記樹脂を単独で用いてもよく、また、2種以上を混合して用いてもよい。耐熱性、絶縁信頼性、密着性の点から、ポリイミド系樹脂が好ましく用いられる。
本発明は、耐熱性樹脂フィルム上に樹脂層を設けてもよく、なかでもポリイミド系樹脂が好ましい。ポリイミド系樹脂を作製するときに用いるジアミンは一般式(1)〜(2)で表されるジアミンから選ばれる少なくとも1種のジアミンを、全ジアミン成分中0.5〜50モル%含むことが好ましい。
Figure 2005271515
一般式(1)のnは1〜30の整数を示す。また、R1およびR2は、それぞれ同一または異なっていてもよく、炭素数1〜10のアルキレン基またはフェニレン基を示す。R3〜R6はそれぞれ同一異なっていてよく、炭素数1〜10のアルキル基、フェニル基またはフェノキシ基を示す。一般式(2)のmは1〜30の整数を示す。また、R7およびR8は同じでも異なっていてもよく単結合または2価の有機基を示す。
一般式(1)で表されるシロキサン系ジアミンには、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ビス(4−アミノフェニル)ジシロキサン、1,1,3,3−テトラフェノキシ−1,3−ビス(4−アミノエチル)ジシロキサン、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチル−1,5−ビス(4−アミノフェニル)トリシロキサン、1,1,3,3−テトラフェニル−1,3−ビス(2−アミノエチル)ジシロキサン、1,1,5,5−テトラフェニル−3,3−ジメチル−1,5−ビス(3−アミノプロピル)トリシロキサン、1,1,5,5−テトラフェニル−3,3−ジメトキシ−1,5−ビス(4−アミノブチル)トリシロキサン、1,1,5,5−テトラフェニル−3,3−ジメトキシ−1,5−ビス(5−アミノペンチル)トリシロキサン、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ビス(2−アミノエチル)ジシロキサン、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ビス(3−アミノプロピル)ジシロキサン、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ビス(4−アミノブチル)ジシロキサン、1,3−ジメチル−1,3−ジメトキシ−1,3−ビス(4−アミノブチル)ジシロキサン、1,1,5,5−テトラメチル−3,3−ジメトキシ−1,5−ビス(2−アミノエチル)トリシロキサン、1,1,5,5−テトラメチル−3,3−ジメトキシ−1,5−ビス(3−アミノプロピル)トリシロキサン、1,1,5,5−テトラメチル−3,3−ジメトキシ−1,5−ビス(4−アミノブチル)トリシロキサン、1,1,5,5−テトラメチル−3,3−ジメトキシ−1,5−ビス(5−アミノペンチル)トリシロキサン、1,1,3,3,5,5−ヘキサエチル−1,5−ビス(3−アミノプロピル)トリシロキサン、1,1,3,3,5,5−ヘキサプロピル−1,5−ビス(3−アミノプロピル)トリシロキサン、ジアミノポリシロキサン類などがあげられる。
一般式(2)で表されるジアミンには、1,2−エチレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、1,7−ヘプタンジアミン、1,8−オクタンジアミン、1,9−ノナンジアミン、1,10−デカンジアミン、1,12−ドデカンジアミン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)プロパン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ブタン、1,5−ビス(4−アミノフェノキシ)ペンタン、などがあげられる。上記、ジアミン類は単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
上記一般式(1)〜(2)で表されるジアミン以外には、芳香族ジアミンを全ジアミン中50〜99.5モル%含有することが好ましい。
芳香族ジアミンには、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、2,5−ジアミノトルエン、2,4−ジアミノトルエン、2,4−ジアミノピリジン、3,5−ジアミノ安息香酸、2,6−ジアミノ安息香酸、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルサルファイド、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、2,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、ビスアニリンフルオレン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)−2−フェニルベンゼンなどがあげられる。
一般式(1)〜(2)で表されるジアミンや芳香族ジアミンと反応する芳香族テトラカルボン酸二無水物には、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルトリフルオロプロパンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’’,4,4’’−p−ターフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’’,4,4’’−m−ターフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,7,8−フェナントレンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物などがあげられる。上記、芳香族テトラカルボン酸二無水物は、単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。ジアミンとテトラカルボン酸二無水物との比は、実質的に当モルであるが、膜物性を損なわない範囲でどちらか一方を過剰に重合することも好ましい。
一般式(1)〜(2)で表されるジアミンや芳香族ジアミンとテトラカルボン酸二無水物を反応させることにより、ポリイミドワニス、またはポリイミド前駆体ワニスを得る。この反応は、ジアミンとテトラカルボン酸二無水物とをN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等の有機溶媒中で0〜150℃で反応させることによりポリイミド前駆体ワニスが得られる。これらの有機溶媒は単独あるいは二種以上混合して用いられる。ポリイミド前駆体ワニス濃度は特に限定されないが、5〜60重量%が好ましい。
ポリマーが溶媒に溶解する範囲で、重合系内でイミド化をしてもよいし、ポリイミド前駆体の状態のワニスのまま用いてもよい。ポリイミド前駆体を反応系内でイミド化する場合は、トルエンやジエチレングリコールジメチルエーテルなどの水と共沸する溶媒で水を除去しながら、150℃から250℃で熱イミド化する方法や、ピリジン、無水酢酸などを加えて化学的にイミド化する方法がある。
本発明の導体層付き樹脂フィルムの製造方法について、一例を挙げて説明するが、これに限定されない。耐熱性樹脂フィルム上に樹脂層を設ける方法は、耐熱性樹脂フィルム上にポリイミド前駆体ワニスを含む溶媒溶液を、製膜用スリットから吐出させて均一に塗布する。塗布方法としては、ロールコーター、ナイフコーター、密封コーター、コンマコーター、ドクターブレードフロートコーターなどによるものが挙げられる。また、枚葉実験ではバーコーターが使用される。次に上記のように耐熱性絶縁フイルムに塗布した溶液の溶媒を、60〜200℃程度の温度で連続的または断続的に1〜60分間で加熱除去した後、更にイミド化のための加熱処理を行う。イミド化のための加熱処理としては、150〜350℃の範囲で1〜30分程度の加熱処理を行うことが好ましい。このようにしてポリイミド前駆体をイミド化し、耐熱性樹脂フィルム上に接着層としてのポリイミド系樹脂膜を形成する。次に樹脂層を形成した後、バリヤメタル層を設ける。なおポリイミド前駆体をイミド化した後の厚みは、好ましくは0.01〜50μm、より好ましくは0.05〜10μmである。薄すぎると接着効果が弱くなり、厚すぎるとそりなどの問題が生じる。
次に、バリヤメタル層上に導体層を形成する。導体層としては銅が好ましい。バリヤメタル層は、上記の方法で形成するが、(a)群、(b)群、および、Cuを同時にスパッタリングしてバリヤメタル層を形成する場合は、その後にCuを好ましい厚みだけスパッタリングして、電解めっきの下地層とする。また、(a)群、および、(b)群をスパッタリングした後に、Cuをスパッタリングして、後の工程で加熱処理をする方法では、(a)群、および、(b)群スパッタリングした後、Cuを好ましい厚みだけスパッタリングすることで、電解めっきの下地層として、電解銅めっき後に加熱処理をして、バリヤメタル層を形成する。バリヤメタル層上のCu層の厚みは、10nm以上500nm以下が好ましい。10nmよりも小さいと、電解めっきの際に十分な導電度が得られない。また、500nmより大きいとスパッタリングに時間がかかり生産効率が良くない。
引き続き、電解めっき法により全面に所望の厚さの導体層を形成する。電解めっきとして例えば銅をめっきする場合、通常硫酸銅めっき液、シアン化銅めっき液、ピロリン酸銅めっき液などが用いられる。この場合の、電解めっき法により形成される金属導体層の厚みは、金属導体層をそのまま配線として使用するので、3〜40μmの範囲が好ましい。得られた導体層付き樹脂フィルムを不活性気体雰囲気中で150〜400℃で加熱することも密着力向上の点で好ましい。
本発明の導体層付き樹脂フィルムは、例えば以下のように使用される。金属導体層上にレジスト層を形成し、レジスト層を露光・現像することにより配線パターンに合った形状にレジストをパターニングする。パターニングしたレジストをエッチングマスクとして金属導体層を通常の銅エッチング液でエッチングして配線パターンを形成する。本発明の導体層付き樹脂フィルムでは、バリヤメタル層を特別なエッチング液でエッチングする必要がない。配線パターン形成後にレジストを除去することで、良好なプリント回路基板が得られる。
本発明によって得られた配線パターンの密着力は、高ければ高いほど良い。常態の密着力では6N/cm以上が好ましく、8N/cm以上あればさらに好ましい。耐湿熱試験後、熱負荷試験後の密着力は3N/cm以上が好ましく、3.5N/cm以上であれば好ましく、4N/cm以上であればより好ましく、6N/cm以上あればさらに好ましい。
上記配線パターンの絶縁信頼性は、湿熱条件下で電圧を印可する試験で評価する。本発明の導体層付き樹脂フィルムを用いて作製した配線パターンは絶縁信頼性は高く、実用上有用である。
以下に実施例をあげて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
耐熱性樹脂フィルム上に形成する樹脂層用のポリイミド前駆体ワニスは次のように合成した。温度計、乾燥窒素導入口、温水・冷却水による加熱、冷却装置、および撹拌装置を付した反応釜に窒素気流下、N,N−ジメチルアセトアミド2000gを入れ、1,1,3,3−テトラメチル−ビス(3−アミノプロピル)ジシロキサン62g(0.25モル)、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル150g(0.75モル)を溶解させた後、3,3’、4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物288g(0.98モル)を加え、60℃で4時間撹拌して反応させることにより20重量%のポリイミド前駆体ワニスを得た。
スパッタリングは、ロールトゥロールのスパッタリング装置でスパッタリングを行った。ターゲット/サンプル距離100mm、Ar流量30sccm、内圧0.5Paで行った。電源はDC電源を用いた。
めっきは、硫酸銅めっき液を用いた。硫酸180g/L、硫酸銅・五水和物75g/L、塩素イオン40mg/L、添加剤として荏原ユージライト(株)製キューブライト21を用いた。
金属層のエッチングには、通常の銅エッチング液として用いられる塩化鉄/塩酸/塩化銅/水=25/5/10/60(重量%)のエッチング液を用いた。本発明の実施例、比較例においては、該銅エッチング液でのみエッチングを行った。絶縁信頼性は、エッチングが十分である場合に得られ、絶縁信頼性が良好ということは当該エッチング液でエッチング可能ということを表す。
(1)常態の密着力
導体層付き樹脂フィルムの導体層を2mm幅にエッチングし、該2mm幅の導体層をTOYO BOLDWIN社製“テンシロン”UTM-4-100にて引っ張り速度50mm/分、90°剥離で測定した。
(2)耐湿熱試験後の密着力
導体層付き樹脂フィルムの導体層を2mm幅にエッチングし、121℃/100%RH/2気圧に設定された高温高湿オーブン中に96時間おいた後取り出し、(1)記載の方法で密着力を測定した。
(3)熱負荷試験後の密着力
導体層付き樹脂フィルムの導体層を2mm幅にエッチングし、150℃に設定された熱風オーブン中に168時間おいた後取り出し、(1)記載の方法で密着力を測定した。
(4)絶縁信頼性
50μmピッチ(配線幅25μm、配線間25μm)のくし型銅配線パターンを形成し、配線にSnめっきを施した。高湿熱加速条件下で配線に直流電流を印可して抵抗値を測定した。抵抗値が106Ωを下回ったときをショート時間とし、最大100時間まで測定した。絶縁信頼性は結果のばらつきが大きいためので各水準について20個ずつサンプルを作製評価した。20個中100時間以上保持したものが1個以上であることが必要であり、10個以上であることが好ましく、15個以上であることがより好ましい。計測に使用したシステムと条件は以下のとおりである。
高度加速寿命試験装置 EHS−221MD(タバイエスペック)
130℃、85%RH
イオンマイグレーション評価装置 AEI−020P(タバイエスペック)
印可電圧60V(DC)。
(5)バリヤメタル層の原子分率測定
導体層付き樹脂フィルムの導体層を剥離したあと、導体層側をアルゴンイオンエッチングを併用したオージェ電子分光法で元素分析を行った。原子分率は、バリヤメタル層の半値幅中心での原子分率を用いた。
測定装置 走査型オージェ電子分光装置SAM−670型(PHI製)
測定真空度 表面分析時 8×10-7Pa
深さ方向分析時 1×10-6Pa
スペクトル測定条件 加速電圧 10kV
試料電流 20nA
ビーム径 80nmφ
試料傾斜角 30度
イオンエッチング条件 イオン種 Ar+
加速電圧 2kV。
実施例1
ロール状の東レデュポン(株)製ポリイミドフィルム“カプトン”100EN(厚み25μm)を真空中で十分に乾燥させてから、片面にスパッタリングによって金属薄膜層を形成した。まず、Ni−Cr合金(Ni80−Cr20(重量%))のターゲットを用いて出力2W/cm2で10nm積層し、続いて、Cuを出力5W/cm2で100nm積層した。次に、銅導電層を硫酸銅めっきにより8μm積層した。これを、窒素雰囲気下、280℃で1時間の熱処理を行って導体層付き樹脂フィルムAを得た。この導体層付き樹脂フィルムの常態の密着力は6.2N/cmであり、耐湿熱試験後の密着力は4.2N/cmであり、熱負荷試験後の密着力は4.1N/cmであった。また、絶縁信頼性試験の結果、20サンプル中18サンプルで100時間以上ショートしなかった。この導体層付き樹脂フィルムの常態の密着力を測定した後の、銅箔側をオージェ電子分光法を用いて、バリヤメタル層の厚み、および、原子分率を測定した。その結果、バリヤメタル層の厚みは12nmであり、原子分率はNi/Cr/Cu/O=70/18/10/2であった(表1)。
実施例2
東レデュポン(株)製ポリイミドフィルム“カプトン”100EN(厚み25μm)を真空中で十分に乾燥させてから、片面に酸素雰囲気下でプラズマ処理を行い、スパッタリングによって金属薄膜層を形成した。まず、Ni−Cr合金(Ni80−Cr20(重量%))のターゲットとCuのターゲットを用いてバリヤメタル層を10nm積層した。この際、Ni−Cr合金を出力2W/cm2で、Cuを出力0.5W/cm2で行った。続いてCuを出力5W/cm2で100nm積層した。次に、銅導体層を硫酸銅めっきにより8μm積層して、導体層付き樹脂フィルムBを得た。実施例1と同様にして、密着力の測定、絶縁信頼性試験、および、バリヤメタル層の厚みと原子分率の測定を行った結果を表1に示した。
実施例3
東レデュポン(株)製ポリイミドフィルム“カプトン”100EN(厚み25μm)の片面に、上記ポリイミド前駆体ワニスを塗布、乾燥し、290℃で3分間熱処理を行い、厚み0.3μmの樹脂層を積層した。該フィルムを真空中で十分に乾燥させてから、スパッタリングによって金属薄膜層を形成した。まず、Ni−Cr合金(Ni80−Cr20(重量%))のターゲットを用いて出力2W/cm2で10nm積層し、続いて、Cuを出力5W/cm2で100nm積層した。次に、銅導電層を硫酸銅めっきにより8μm積層した。次に、銅導電層を硫酸銅めっきにより8μm積層した。これを、窒素雰囲気下、280℃で1時間の熱処理を行って導体層付き樹脂フィルムCを得た。実施例1と同様にして、密着力の測定、絶縁信頼性試験、および、バリヤメタル層の厚みと原子分率の測定を行った結果を表1に示した。
実施例4
東レデュポン(株)製ポリイミドフィルム“カプトン”100EN(厚み25μm)の片面に、上記ポリイミド前駆体ワニスを塗布、乾燥し、290℃で3分間熱処理を行い、厚み0.3μmの樹脂層を積層した。該フィルムを真空中で十分に乾燥させてから、スパッタリングによって金属薄膜層を形成した。まず、Ni−Cr合金(Ni80−Cr20(重量%))のターゲットとCuのターゲットを用いてバリヤメタル層を10nm積層した。この際、Ni−Cr合金を出力2W/cm2で、Cuを出力0.5W/cm2で行った。続いてCuを出力5W/cm2で100nm積層した。次に、銅導体層を硫酸銅めっきにより8μm積層して、導体層付き樹脂フィルムDを得た。実施例1と同様にして、密着力の測定、絶縁信頼性試験、および、バリヤメタル層の厚みと原子分率の測定を行った結果を表1に示した。
実施例5
東レデュポン(株)製ポリイミドフィルム“カプトン”100EN(厚み25μm)を真空中で十分に乾燥させてから、片面にスパッタリングによって金属薄膜層を形成した。まず、Ni−Cr合金(Ni95−Cr5(重量%))のターゲットを用いて出力2W/cm2で10nm積層し、続いて、Cuを出力5W/cm2で100nm積層した。次に、銅導電層を硫酸銅めっきにより8μm積層した。これを、窒素雰囲気下、280℃で1時間の熱処理を行って導体層付き樹脂フィルムEを得た。実施例1と同様にして、密着力の測定、絶縁信頼性試験、および、バリヤメタル層の厚みと原子分率の測定を行った結果を表1に示した。
実施例6
東レデュポン(株)製ポリイミドフィルム“カプトン”100EN(厚み25μm)を真空中で十分に乾燥させてから、片面にスパッタリングによって金属薄膜層を形成した。まず、Ni−Cr合金(Ni50−Cr50(重量%))のターゲットを用いて出力2W/cm2で10nm積層し、続いて、Cuを出力5W/cm2で100nm積層した。次に、銅導電層を硫酸銅めっきにより8μm積層した。これを、窒素雰囲気下、280℃で1時間の熱処理を行って導体層付き樹脂フィルムFを得た。実施例1と同様にして、密着力の測定、絶縁信頼性試験、および、バリヤメタル層の厚みと原子分率の測定を行った結果を表1に示した。
実施例7
東レデュポン(株)製ポリイミドフィルム“カプトン”100EN(厚み25μm)を真空中で十分に乾燥させてから、片面にスパッタリングによって金属薄膜層を形成した。まず、Ni−Cr合金(Ni80−Cr20(重量%))のターゲットを出力10W/cm2で50nm積層し、続いて、Cuを出力5W/cm2で100nm積層した。次に、銅導電層を硫酸銅めっきにより8μm積層した。これを、窒素雰囲気下、280℃で1時間の熱処理を行って導体層付き樹脂フィルムGを得た。実施例1と同様にして、密着力の測定、絶縁信頼性試験、および、バリヤメタル層の厚みと原子分率の測定を行った結果を表1に示した。
実施例8
東レデュポン(株)製ポリイミドフィルム“カプトン”100EN(厚み25μm)を真空中で十分に乾燥させてから、片面にスパッタリングによって金属薄膜層を形成した。まず、Ni−Cr合金(Ni80−Cr20(重量%))のターゲットを出力0.4W/cm2で2nm積層し、続いて、Cuを出力5W/cm2で100nm積層した。次に、銅導電層を硫酸銅めっきにより8μm積層した。これを、窒素雰囲気下、280℃で1時間の熱処理を行って導体層付き樹脂フィルムHを得た。実施例1と同様にして、密着力の測定、絶縁信頼性試験、および、バリヤメタル層の厚みと原子分率の測定を行った結果を表1に示した。
実施例9
東レデュポン(株)製ポリイミドフィルム“カプトン”100EN(厚み25μm)を真空中で十分に乾燥させてから、片面にスパッタリングによって金属薄膜層を形成した。まず、Ni−Cr合金(Ni80−Cr20(重量%))のターゲットを用いて出力2W/cm2で10nm積層し、続いて、Cuを出力5W/cm2で100nm積層した。次に、銅導電層を硫酸銅めっきにより8μm積層した。これを、窒素雰囲気下、350℃で1時間の熱処理を行って導体層付き樹脂フィルムIを得た。実施例1と同様にして、密着力の測定、絶縁信頼性試験、および、バリヤメタル層の厚みと原子分率の測定を行った結果を表1に示した。
実施例10
東レデュポン(株)製ポリイミドフィルム“カプトン”100EN(厚み25μm)を真空中で十分に乾燥させてから、片面にスパッタリングによって金属薄膜層を形成した。まず、Ni−Cr合金(Ni80−Cr20(重量%))のターゲットを用いて出力2W/cm2で10nm積層し、続いて、Cuを出力5W/cm2で100nm積層した。次に、銅導電層を硫酸銅めっきにより8μm積層した。これを、窒素雰囲気下、180℃で1時間の熱処理を行って導体層付き樹脂フィルムJを得た。実施例1と同様にして、密着力の測定、絶縁信頼性試験、および、バリヤメタル層の厚みと原子分率の測定を行った結果を表1に示した。
実施例11
宇部興産(株)製ポリイミドフィルム“ユーピレックス”25S(厚み25μm)を真空中で十分に乾燥させてから、片面にスパッタリングによって金属薄膜層を形成した。まず、Ni−Cr合金(Ni80−Cr20(重量%))のターゲットを用いて出力2W/cm2で10nm積層し、続いて、Cuを出力5W/cm2で100nm積層した。次に、銅導電層を硫酸銅めっきにより8μm積層した。これを、窒素雰囲気下、280℃で1時間の熱処理を行って導体層付き樹脂フィルムKを得た。実施例1と同様にして、密着力の測定、絶縁信頼性試験、および、バリヤメタル層の厚みと原子分率の測定を行った結果を表1に示した。
実施例12
宇部興産(株)製ポリイミドフィルム“ユーピレックス”25S(厚み25μm)を真空中で十分に乾燥させてから、片面に上記ポリイミド前駆体ワニスを塗布、乾燥し、290℃で3分間熱処理を行い、厚み0.3μmの樹脂層を積層した。そこに、スパッタリングによって金属薄膜層を形成した。まず、Ni−Cr合金(Ni80−Cr20(重量%))のターゲットを用いて出力2W/cm2で10nm積層し、続いて、Cuを出力5W/cm2で100nm積層した。次に、銅導電層を硫酸銅めっきにより8μm積層した。これを、窒素雰囲気下、280℃で1時間の熱処理を行って導体層付き樹脂フィルムLを得た。実施例1と同様にして、密着力の測定、絶縁信頼性試験、および、バリヤメタル層の厚みと原子分率の測定を行った結果を表1に示した。
実施例13
東レデュポン(株)製ポリイミドフィルム“カプトン”100EN(厚み25μm)を真空中で十分に乾燥させてから、片面に上記ポリイミド前駆体ワニスを塗布、乾燥し、290℃で3分間熱処理を行い、厚み0.3μmの樹脂層を積層した。そこに、スパッタリングによって金属薄膜層を形成した。まず、Coのターゲットを出力5W/cm2で、Moのターゲットを出力5W/cm2で、Co/Moを10nm積層し、続いて、Cuを出力5W/cm2で100nm積層した。次に、銅導電層を硫酸銅めっきにより8μm積層した。これを、窒素雰囲気下、280℃で1時間の熱処理を行って導体層付き樹脂フィルムMを得た。実施例1と同様にして、密着力の測定、絶縁信頼性試験、および、バリヤメタル層の厚みと原子分率の測定を行った結果を表1に示した。
実施例14
東レデュポン(株)製ポリイミドフィルム“カプトン”100EN(厚み25μm)を常圧60℃で乾燥してから片面に、スパッタリングによって金属薄膜層を形成した。まず、Ni−Cr合金(Ni80−Cr20(重量%))のターゲットを用いて出力2W/cm2で10nm積層し、続いて、Cuを出力5W/cm2で100nm積層した。次に、銅導電層を硫酸銅めっきにより8μm積層した。これを、窒素雰囲気下、280℃で1時間の熱処理を行って導体層付き樹脂フィルムNを得た。実施例1と同様にして、密着力の測定、絶縁信頼性試験、および、バリヤメタル層の厚みと原子分率の測定を行った結果を表1に示した。
実施例15
東レデュポン(株)製ポリイミドフィルム“カプトン”100EN(厚み25μm)を常圧80℃で乾燥してから片面に、スパッタリングによって金属薄膜層を形成した。まず、Ni−Cr合金(Ni80−Cr20(重量%))のターゲットを用いて出力2W/cm2で10nm積層し、続いて、Cuを出力5W/cm2で100nm積層した。次に、銅導電層を硫酸銅めっきにより8μm積層した。これを、窒素雰囲気下、280℃で1時間の熱処理を行って導体層付き樹脂フィルムOを得た。実施例1と同様にして、密着力の測定、絶縁信頼性試験、および、バリヤメタル層の厚みと原子分率の測定を行った結果を表1に示した。
実施例16
東レデュポン(株)製ポリイミドフィルム“カプトン”100EN(厚み25μm)を真空中で十分に乾燥させてから、片面にスパッタリングによって金属薄膜層を形成した。まず、Ni−Cr合金(Ni80−Cr20(重量%))のターゲットを用いて出力30W/cm2で150nm積層し、続いて、Cuを出力5W/cm2で100nm積層した。次に、銅導電層を硫酸銅めっきにより8μm積層した。これを、窒素雰囲気下、280℃で1時間の熱処理を行って導体層付き樹脂フィルムPを得た。実施例1と同様にして、密着力の測定、絶縁信頼性試験、および、バリヤメタル層の厚みと原子分率の測定を行った結果を表1に示した。
実施例17
東レデュポン(株)製ポリイミドフィルム“カプトン”100EN(厚み25μm)を真空中で十分に乾燥させてから、片面にスパッタリングによって金属薄膜層を形成した。まず、Ni−Cr合金(Ni80−Cr20(重量%))のターゲットを用いて出力0.1W/cm2で0.5nm積層し、続いて、Cuを出力5W/cm2で100nm積層した。次に、銅導電層を硫酸銅めっきにより8μm積層した。これを、窒素雰囲気下、280℃で1時間の熱処理を行って導体層付き樹脂フィルムQを得た。実施例1と同様にして、密着力の測定、絶縁信頼性試験、および、バリヤメタル層の厚みと原子分率の測定を行った結果を表1に示した。
実施例18
東レデュポン(株)製ポリイミドフィルム“カプトン”100EN(厚み25μm)の片面に、スパッタリングによって金属薄膜層を形成した。まず、Ni−Cr合金(Ni80−Cr20(重量%))のターゲットを用いて出力2W/cm2で10nm積層し、続いて、Cuを出力5W/cm2で100nm積層した。この際に、“カプトン”の乾燥が不十分であった。次に、銅導電層を硫酸銅めっきにより8μm積層した。これを、窒素雰囲気下、280℃で1時間の熱処理を行って導体層付き樹脂フィルムRを得た。実施例1と同様にして、密着力の測定、絶縁信頼性試験、および、バリヤメタル層の厚みと原子分率の測定を行った結果を表1に示した。
比較例1
東レデュポン(株)製ポリイミドフィルム“カプトン”100EN(厚み25μm)を真空中で十分に乾燥させてから、片面にスパッタリングによって金属薄膜層を形成した。まず、Ni−Cr合金(Ni80−Cr20(重量%))のターゲットを用いて出力2W/cm2で10nm積層し、続いて、Cuを出力5W/cm2で100nm積層した。次に、銅導体層を硫酸銅めっきにより8μm積層して、導体層付き樹脂フィルムSを得た。実施例1と同様にして、密着力の測定、絶縁信頼性試験、および、バリヤメタル層の厚みと原子分率の測定を行った結果を表1に示した。なお、実施例1と同様にして、銅エッチング液で配線パターンを形成した際に、バリヤメタル層がエッチングされていないことは目視で確認できた。
比較例2
東レデュポン(株)製ポリイミドフィルム“カプトン”100EN(厚み25μm)を真空中で十分に乾燥させてから、片面に酸素雰囲気下でプラズマ処理を行い、スパッタリングによって金属薄膜層を形成した。まず、Ni−Cr合金(Ni80−Cr20(重量%))のターゲットを用いて出力2W/cm2で10nm積層し、続いて、Cuを出力5W/cm2で100nm積層した。次に、銅導体層を硫酸銅めっきにより8μm積層して、導体層付き樹脂フィルムTを得た。実施例1と同様にして、密着力の測定、絶縁信頼性試験、および、バリヤメタル層の厚みと原子分率の測定を行った結果を表1に示した。なお、実施例1と同様にして、銅エッチング液で配線パターンを形成した際に、バリヤメタル層がエッチングされていないことは目視で確認できた。
比較例3
東レデュポン(株)製ポリイミドフィルム“カプトン”100EN(厚み25μm)を真空中で十分に乾燥させてから、片面に酸素雰囲気下でプラズマ処理を行い、スパッタリングによって金属薄膜層を形成した。まず、Niのターゲットを用いて出力2W/cm2で10nm積層し、続いて、Cuを出力5W/cm2で100nm積層した。次に、銅導体層を硫酸銅めっきにより8μm積層した。これを、窒素雰囲気下、280℃で1時間の熱処理を行って導体層付き樹脂フィルムRを得た。導体層付き樹脂フィルムUを得た。実施例1と同様にして、密着力の測定、絶縁信頼性試験、および、バリヤメタル層の厚みと原子分率の測定を行った結果を表1に示した。
比較例4
東レデュポン(株)製ポリイミドフィルム“カプトン”100EN(厚み25μm)を真空中で十分に乾燥させてから、片面に酸素雰囲気下でプラズマ処理を行い、スパッタリングによって金属薄膜層を形成した。まず、Crのターゲットを用いて出力2W/cm2で10nm積層し、続いて、Cuを出力5W/cm2で100nm積層した。次に、銅導体層を硫酸銅めっきにより8μm積層した。これを、窒素雰囲気下、280℃で1時間の熱処理を行って導体層付き樹脂フィルムVを得た。導体層付き樹脂フィルムLを得た。実施例1と同様にして、密着力の測定、絶縁信頼性試験、および、バリヤメタル層の厚みと原子分率の測定を行った結果を表1に示した。なお、実施例1と同様にして、銅エッチング液で配線パターンを形成した際に、バリヤメタル層がエッチングされていないことは目視で確認できた。
比較例5
東レデュポン(株)製ポリイミドフィルム“カプトン”100EN(厚み25μm)を真空中で十分に乾燥させてから、片面にスパッタリングによって金属薄膜層を形成した。まず、Ni−Cr合金(Ni80−Cr20(重量%))のターゲットを用いて出力2W/cm2で10nm積層し、続いて、Cuを出力5W/cm2で100nm積層した。次に、銅導電層を硫酸銅めっきにより8μm積層した。これを、窒素雰囲気下、420℃で1時間の熱処理を行って導体層付き樹脂フィルムWを得た。実施例1と同様にして、密着力の測定、絶縁信頼性試験、および、バリヤメタル層の厚みと原子分率の測定を行った結果を表1に示した。
Figure 2005271515

Claims (5)

  1. 耐熱性樹脂フィルムの少なくとも片面に、バリヤメタル層と導体層とが形成された導体層付き樹脂フィルムであって、バリヤメタル層が下記の(a)、(b)およびCuを含有し、Cuの原子分率が1%以上30%以下である導体層付き樹脂フィルム。
    (a)Ti、Zr、Hf、Cr、Mo、W、V、Nb、Taから選ばれる1種類以上
    (b)Mn、Fe、Co、Ni、Znから選ばれる1種類以上。
  2. さらに酸素を有し、酸素の原子分率が15%以下である請求項1記載の導体層付き樹脂フィルム。
  3. 耐熱性樹脂フィルムの少なくとも片面に、積層された樹脂層とバリヤメタル層と導体層が形成された請求項1〜2のいずれか記載の導体層付き樹脂フィルム。
  4. 請求項1〜2のいずれか記載の導体層付き樹脂フィルムにおいて、バリヤメタル層中のCrの原子分率が1%以上80%以下、Niの原子分率が20%以上99%以下である導体層付き樹脂フィルム。
  5. 請求項1〜2のいずれか記載の導体層付き樹脂フィルムにおいて、バリヤメタル層の厚みが1〜100nmである導体層付き樹脂フィルム。
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