JP2010023380A - 金属化ポリイミドフィルムとその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ポリイミドフィルムの表面に、蒸着法又はスパッタ法で下地金属層を形成する工程(1)、及び得られたポリイミドフィルムの下地金属層上に、電気めっき法又は無電解めっき法、若しくはその両者を組み合わせた方法で銅層を形成する工程(2)を含む金属化ポリイミドフィルムの製造方法において、
前記ポリイミドフィルムは、酸素透過度が300〜600cm3/(m2・24h・atm)であることを特徴とする。
【選択図】なし
Description
近年、電子部品の軽薄短小化に伴い、電子機器内の配線材料として用いる、プリント配線板(PWB)、フレキシブルプリント配線板(FPC)、テープ自動ボンディング用テープ(TAB)、チップオンフィルム(COF)等のフレキシブルプリント配線板において、その配線を狭ピッチ化するという要求が高まっている。このため、その材料として使用する金属化ポリイミドフィルムに対しても、微細配線が描けることが要求され、その際、エッチング工程及び加熱工程に際して、寸法安定性の改善とともに、接着剤層の排除が要求されている。すなわち、金属化ポリイミドフィルムから接着剤層を排除することにより、接着剤層の特性による影響を受けない、ポリイミド本来の安定性を利用した材料が得られるためである。
以上のように、従来技術では、接着剤層を用いない金属化ポリイミドフィルムにおいて、寸法安定性が十分に向上し、ファインピッチ化対応に適した金属化ポリイミドフィルムを得ることができなかった。
前記ポリイミドフィルムは、酸素透過度が300〜600cm3/(m2・24h・atm)であることを特徴とする金属化ポリイミドフィルムの製造方法が提供される。
が提供される。
IPC−TM−650、2、2、4(Dimensional Stability、Flexible Dielectric Materials)に定めるエッチング寸法変化率(Method B)及び加熱寸法変化率(Method C)が、前記ポリイミドフィルムの搬送の方向と直角方向において0.000±0.005%であることを特徴とする金属化ポリイミドフィルムが提供される。
1.金属化ポリイミドフィルムの製造方法
本発明の金属化ポリイミドフィルムの製造方法は、ポリイミドフィルムの表面に、蒸着法又はスパッタ法で下地金属層を形成する工程(1)、及び得られたポリイミドフィルムの下地金属層上に、電気めっき法又は無電解めっき法、若しくはその両者を組み合わせた方法で銅層を形成する工程(2)を含む金属化ポリイミドフィルムの製造方法において、
前記ポリイミドフィルムは、酸素透過度が300〜600cm3/(m2・24h・atm)であることを特徴とする。
これに対し、ポリイミドフィルムの吸水度による特定(例えば、特許文献1参照。)では、吸水速度の違いがある場合、めっき処理中にめっき層が所望の厚さに成長するまでの間に十分な膨張が得られることを保証することができない。
すなわち、酸素透過度が、300cm3/(m2・24h・atm)未満では、吸水速度が小さく、ポリイミドフィルムの吸水による膨張が十分でないので、乾燥後のポリイミドフィルムのめっき層への圧縮による引張り応力の緩和効果が減少し、十分な寸法安定性が得られない。一方、酸素透過度が、600cm3/(m2・24h・atm)を超えても、ポリイミドフィルムの吸水による膨張がより速くなるのみで、引張り応力緩和効果はそれ以上向上せず、しかも電子部品として用いた場合に銅層の耐食性に問題が生じる。
上記工程(1)は、ポリイミドフィルムの表面に、蒸着法又はスパッタ法からなる乾式めっき法で下地金属層を形成する工程である。前記乾式めっき法としては、特に限定されるものではなく、ポリイミドフィルムの表面に所望の厚さに金属層を形成することができる通常の条件が用いられる。
例えば、上記ポリイミドフィルムの厚さとしては、特に限定されるものではないが、屈曲げ性の確保を考慮すると、25〜50μmであることが好ましい。
上記ポリイミドフィルムの吸水率としては、特に限定されるものではなく、前述したように、吸水速度による効果が重要な要因であることから、金属化ポリイミドフィルムに通常に用いられるポリイミドフィルムと同等の吸水率のものが用いられる。その中で、例えば、吸水率が1〜3%であるものが好ましい。すなわち、吸水率が1%未満では、ポリイミドフィルムの吸水による膨張が十分でないため十分な寸法安定性が得られない場合がある。一方、吸水率が3%を超えると、ポリイミドフィルムの吸水による膨張が大きくなり過ぎて、ポリイミドフィルムのめっき層への圧縮による引張り応力とのバランスが崩れ、十分な寸法安定性が得られない場合がある。なお、前記吸水率は、ASTM D570に準拠して測定したものであり、20℃で24時間の浸漬による。
上記式表面処理としては、例えば、酸素ガス雰囲気下に、紫外線照射処理に付すことができる。また、これらの処理の前に、コロナ放電やイオン照射処理などを行うことがより好ましい。これら乾式表面処理の条件としては、特に限定されるものではなく、通常の金属化ポリイミドフィルムの製造方法に用いられる条件で行われる。
また、効率的に行なうためには、上記乾式めっき装置として、ロール状に巻いたポリイミドフィルムを、乾式めっき装置の内部に設置した巻出機から巻出し、乾式めっき処理部を通過させて、巻取機で巻取ながら、連続的に搬送して乾式めっきを行うことが好ましい。
上記工程(2)は、上記工程(1)で得られたポリイミドフィルムの下地金属層上に、電気めっき法又は無電解めっき法、若しくはその両者を組み合わせた方法からなる湿式めっき法で銅層を形成する工程である。ここで、前記湿式めっき法による銅層は、通常、引張り応力を持っているので、前記ポリイミドフィルムの銅層への圧縮との作用により、内部応力が緩和され、寸法変化率の極めて低い金属化ポリイミドフィルムが得られる。
ここで、フィルムの搬送速度としては、例えば、50〜150m/hに調整することが好ましい。すなわち、搬送速度が、50m/h未満では、生産性が低くなり過ぎる。一方、搬送速度が、150m/hを超えると、電流密度が大きくなり内部応力が大きくなりすぎる場合がある。
本発明の金属化ポリイミドフィルムは、上記製造方法で、前記工程(1)及び(2)において、下地金属層と銅層のそれぞれが、ポリイミドフィルムの搬送を連続的に行いながら形成することにより得られる金属化ポリイミドフィルムであって、
IPC−TM−650、2、2、4(Dimensional Stability、Flexible Dielectric Materials)に定めるエッチング寸法変化率(Method B)及び加熱寸法変化率(Method C)が、前記ポリイミドフィルムの搬送の方向と直角方向において0.000±0.005%であることを特徴とする。
酸素透過度が450cm3/(m2・24h・atm)のビフェニルテトラカルボン酸を主成分とする、厚さが35μmのポリイミドフィルム((株)カネカ製、アピカル35FPI)を用いて、下記の条件で下地金属層と銅層を形成して、金属化ポリイミドフィルムを得た。
[下地金属層の形成]
上記ポリイミドフィルムを巻出機と巻取機により連続的に搬送しながら、直流スパッタリング法により、20質量%クロムのクロム−ニッケル合金層を厚さ230Åで形成した後、さらにその上に、銅を厚さ1000Åで形成した。なお、銅は、電気めっきの導電体として作用するものである。
[銅層の形成]
下地金属層上に通常の条件による電気めっき法により、厚さ8μmの銅層を厚付けした。ここで、電気めっき浴としては、銅濃度23g/Lの硫酸銅浴を用い、浴温を25℃とした。また、めっき槽は連続めっき槽とし、巻出機と巻取機により連続的に各槽を搬送しながら電気めっきを行なった。また、搬送速度は、75m/hとし、めっき槽の平均陰極電流密度を1〜2.5A/dm2に調整して、めっき被膜の内部応力を制御した。
ポリイミドフィルムとして、酸素透過度が44cm3/(m2・24h・atm)のビフェニルテトラカルボン酸を主成分とする、厚さが38μmのポリイミドフィルム((株)東レデュポン製、カプトン150EN )を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、金属化ポリイミドフィルムを得た。
まず、得られた金属化ポリイミドフィルムについて、実施例1と同様にして評価したところ、寸法変化率は、いずれも0.045±0.005%であった。
次に、得られた金属化ポリイミドフィルムを用いて、実施例1と同様にしてICチップと接合させた。このとき、リードとICチップ上のパッドとの接合不良が生じた割合としては、0.001%であり、リードピッチを25μmとした場合においても、接合不良が生じた割合は0.1%であった。これより、ファインピッチでは、十分な信頼性が得られないことが分かる。
ポリイミドフィルムとして、酸素透過度が8cm3/(m2・24h・atm)のビフェニルテトラカルボン酸を主成分とする、厚さが35μmポリイミドフィルム(宇部興産製 ユーピレックス35SGA )を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、金属化ポリイミドフィルムを得た。
まず、得られた金属化ポリイミドフィルムについて、実施例1と同様にして評価したところ、寸法変化率は、いずれも0.040±0.005%であった。
次に、得られた金属化ポリイミドフィルムを用いて、実施例1と同様にしてICチップと接合させた。このとき、リードとICチップ上のパッドとの接合不良が生じた割合としては、0.001%であり、リードピッチを25μmとした場合においても、接合不良が生じた割合は0.1%であった。これより、ファインピッチでは、十分な信頼性が得られないことが分かる。
Claims (11)
- ポリイミドフィルムの表面に、蒸着法又はスパッタ法で下地金属層を形成する工程(1)、及び得られたポリイミドフィルムの下地金属層上に、電気めっき法又は無電解めっき法、若しくはその両者を組み合わせた方法で銅層を形成する工程(2)を含む金属化ポリイミドフィルムの製造方法において、
前記ポリイミドフィルムは、酸素透過度が300〜600cm3/(m2・24h・atm)であることを特徴とする金属化ポリイミドフィルムの製造方法。 - 前記ポリイミドフィルムの組成は、ビフェニルテトラカルボン酸を主成分とすることを特徴とする請求項1に記載の金属化ポリイミドフィルムの製造方法。
- 前記ポリイミドフィルムの厚さは、25〜50μmであることを特徴とする請求項1に記載の金属化ポリイミドフィルムの製造方法。
- 前記ポリイミドフィルムの吸水率は、1〜3%であることを特徴とする請求項1に記載の金属化ポリイミドフィルムの製造方法。
- 前記工程(1)において、下地金属層は、ニッケル、クロム、又は銅から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の金属化ポリイミドフィルムの製造方法。
- 前記工程(1)において、下地金属層の厚さは、5〜50nmであることを特徴とする請求項1に記載の金属化ポリイミドフィルムの製造方法。
- 前記工程(2)において、銅層の厚さは、1.0〜20μmであることを特徴とする請求項1に記載の金属化ポリイミドフィルムの製造方法。
- 前記工程(2)において、銅層は、硫酸浴を用いた電気めっき法により形成されることを特徴とする請求項1に記載の金属化ポリイミドフィルムの製造方法。
- 前記工程(2)で得られる銅層の内部応力は、ポリイミドフィルムが乾燥される前の状態で、5〜30MPaの引張り応力となるように制御することを特徴とする請求項1に記載の金属化ポリイミドフィルムの製造方法。
- 前記工程(1)及び(2)において、下地金属層と銅層のそれぞれが、ポリイミドフィルムの搬送を連続的に行いながら形成されることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の金属化ポリイミドフィルムの製造方法。
- 請求項10の製造方法で得られる金属化ポリイミドフィルムであって、
IPC−TM−650、2、2、4(Dimensional Stability、Flexible Dielectric Materials)に定めるエッチング寸法変化率(Method B)及び加熱寸法変化率(Method C)が、前記ポリイミドフィルムの搬送の方向と直角方向において0.000±0.005%であることを特徴とする金属化ポリイミドフィルム。
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