JP2011037214A - 金属被覆ポリイミドフィルムとその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】リール・ツー・リール方式により、ポリイミドフィルム表面に、ニッケル−クロム合金層と銅層とからなる下地金属層を乾式めっき法により設け、その上に銅めっき層を設けるに際して、ポリイミドフィルム表面にニッケル−クロム合金層が設けられた後、下地金属層が形成されたポリイミドフィルムがロールに巻き取られるまでの間の搬送を、搬送装置と接触する部分がポリイミドフィルム面のみとする。
【選択図】なし
Description
COFは、従来の実装法の主流であったTCP(Tape Carrier Package)に比べて、配線のファインピッチ化が可能であるとともに、実装する駆動用ICチップの小型化が可能であること、及び実装コストを低下させることが容易であるという特徴がある。
COFの一般的な製造方法としては、高耐熱性かつ高絶縁性樹脂であるポリイミドフィルム表面に金属被膜を設けた金属被覆ポリイミドフィルムを基板として使用し、その基板上の金属被膜をフォトリソグラフィー技法によってファインパターニングして配線を形成した後、配線の所望の箇所を、例えば、スズめっきし、その後、所望の箇所をソルダーレジストで被覆する方法がとられる。
上記スパッタリング法によりスパッタ層を設ける場合には、例えば、リール・ツー・リール方式で連続的にポリイミドフィルムを搬送し、真空中でスパッタリンクして行われる。例えば、内部に巻き取り・巻き出し機により駆動され、長尺のフィルムを巻き取り、巻き出しすることができる第1および第2のロール取着軸を備えた真空槽と、該真空槽に取着された、フィルム上に成膜するスパッタユニットとを具備し、一方のロール取着軸にセットされたロールからフィルムを巻き出し、前記真空槽の前記スパッタユニットと対面する領域を通して搬送して、他方のロール取着軸でロールに巻き取り、フィルムを搬送しつつその上に連続的に成膜するようにした連続スパッタ装置を用いる(特許文献2 特開2006−336029号公報 第2頁参照)。
ピンホールの発生原因に関しては、スパッタ層の材質そのものに求めるもの(特許文献3 参照)、電気銅めっき被膜との密着性改善のためにスパッタ層に施された活性化処理に求めるもの(特許文献4 参照)等があるが、こうした各種の対策を採った結果、ある程度のピンホールは減少させることができるようになったものの、ファインピッチのCOF製造用としては未だ十分なものとなっていない。
しかしながら、このようにアイ紙により帯状部材とステアリングローラとの接触を排除するを金属被覆ポリイミドフィルムの製造方法に適用しようとすると、アイ紙をはさみ込むための機構が必要となり装置が複雑化するばかりか、アイ紙そのものから異物が発生して銅層に欠陥を生じさせる可能性がある。さらに、アイ紙として特殊なものを用いた場合にはコストアップとなってしまうという問題もある。
したがって、金属被覆ポリイミドフィルムのピンホール数を減少させうる方法は未だ提供されていない。
このように銅層の厚さが従来のものより薄い金属被覆ポリイミドフィルにおいても、前記したピンホールの低減と高耐折性は強く求められ、加えて、製品収率を高くするためにエッチング時、および加熱時の寸法変化率の変動が少ない、即ち寸法安定性のよいことも要求されている。
以上のように、電子回路のファインピッチ化対応に対応しうる、ピンホール個数が極めて少なく、高耐折性で、寸法安定性に優れた金属被覆ポリイミドフィルムとその製造方法が求められている。
即ち、本発明の第1の発明によれば、
リール・ツー・リール方式により、ポリイミドフィルム表面に、ニッケル−クロム合金層と銅層とからなる下地金属層を乾式めっき法により設ける工程(a)と、次いで連続めっき装置を用いて下地金属層の上に銅めっき層を設ける工程(b)とを含む金属被覆ポリイミドフィルムの製造方法であって、
工程(a)において、下地金属層が形成されたポリイミドフィルムがロールに巻き取られるまでの間、搬送装置と接触する部分をポリイミドフィルム面のみとすることにより、下地金属層の表面をライトテーブルで観察したとき、直径が10μm以上のピンホールの数が160mm角の面積において20個以下にし、かつ、工程(b)において、厚さ0.5〜3.0μmの銅めっき層を設けることを特徴とする金属被覆ポリイミドフィルムの製造方法が提供される。
銅めっき層の表面をライトテーブルで観察したとき、直径が10μm以上のピンホールの数が160mm角の面積において10個以下であり、かつ、MIT耐折性評価の折曲げ回数が2000回以上であることを特徴とする金属被覆ポリイミドフィルムが提供される。
1.金属被覆ポリイミドフィルムの製造方法
次に本発明の金属被覆ポリイミドフィルムの製造方法について説明する。
本発明の製造方法は、リール・ツー・リール 方式により、乾式めっき法により、ニッケル−クロム合金層と、その上に設けられた銅層からなる下地金属層を設けられたポリイミドフィルムを得る工程(a)と、次いで連続めっき装置を用いて下地金属層に銅めっき層を設ける工程(b)とを含む金属被覆ポリイミドフィルムの製造方法において、
工程(a)においては、ニッケル−クロム合金層が設けられた後は、下地金属層が設けられたポリイミドフィルムがロールに巻き取られるまでの間の搬送を、搬送装置と接触する部分がポリイミドフィルム面のみとし、
工程(b)においては、厚さ0.5〜3.0μmの銅めっき層を設け、かつ形成された銅めっき層の内部応力が、ポリイミドフィルムが乾燥される前の状態で、5〜30MPaの引張り応力となるようする。
工程(a)で、ニッケル−クロム合金層を設けた後のポリイミドフィルムを搬送するに際して、ポリイミドフィル面のみが搬送装置に接するようにすること、そして工程(b)において、厚さ0.5〜3.0μmの銅めっき層を設けること、および設けられた銅めっき層の内部応力が、ポリイミドフィルムが乾燥される前の状態で、5〜30MPaの引張り応力となるようにされていることに本発明の技術的意義がある。
こうして下地金属層を形成すれば、下地金属層に発生する直径10μm以上のピンホールは、160mm角の面積において20個以下とすることができる。この点が重要である。というのは、後述するように、電気銅めっき法により下地金属層に銅めっき層を設ける場合、銅めっき層の厚みの増加と共にピンホールは埋設され、ライトテーブルにより検出できるピンホールの数は減少するが、工程(b)で設ける銅層の厚さが3.0μm以下の場合、こうした効果は小さく、下地金属層に発生した直径10μm以上のピンホールはそのまま金属被覆ポリイミドフィルム表面に見られるピンホールとして残りやすいからである。
なお、本発明者らの検討結果では、ニッケル−クロム合金層や銅層を蒸着法やスパッタリング法で設ける場合、通常の条件であれば、直径10μm以上のピンホールは、ほとんど発生しない。
また、工程(b)において、形成された銅めっき層の内部応力が、ポリイミドフィルムが乾燥される前の状態で、5〜30MPaの引張り応力とするのは、乾燥によるポリイミドフィルムの収縮により銅めっき層の内部応力を緩和し、もってエッチング寸法変化率(及び加熱寸法変化率を、搬送方向とその直角方向において0.03%以下とし、寸法安定性を確保する。
以下、工程毎に説明する。
工程(a)は、リール・ツー・リール方式で連続的にポリイミドフィルムを搬送して、ポリイミドフィルムの表面に蒸着法又はスパッタリング法で下地金属層を形成し、ロールに巻き取る工程である。本発明では、まず、ポリイミドフィルム表面にニッケル−クロム合金層を形成する。そして、ニッケル−クロム合金層の上に銅層を形成する。
本発明に用いるポリイミドフィルムは、ファイピッチ化に対応可能なものとするために厚さ10〜50μm、好ましくは厚さ25〜38μmのものとすることが好ましい。こうした厚さのものは、一般的に工業生産され、使用されている。また、巻き取り時にポリイミドフィルムと下地金属層とが接触することを考慮すると、ピンホール発生防止の観点よりポリイミドフィルムの表面は、平滑であることが好ましい。
前記乾式めっき法としては、蒸着法やスパッタリング法等を用いるが、蒸着条件やスパッタリング条件に関しては既に提案され、報告されている各種の文献を参考とすることができる。
また、ニッケル−クロム層としては、クロムを5〜30質量%含有するニッケル合金を用いることが好ましい。クロム含有量が5質量%未満では、耐マイグレーション性が不十分となることがあり、クロム含有量が30質量%を超えるとエッチング性が低下し、COF等の配線板を作成する際に、下地金属層を十分除去できず、配線間の絶縁性を確保できない場合がある。
銅層は、銅以外に、耐食性改善などの目的に応じて銅−ニッケル合金や銅−ニッケル−クロム合金などの銅合金を用いて形成することもできるが、導電性を確保するためには純銅とすることが好ましい。
こうすることにより、下地金属層に発生する直径10μm以上のピンホール数を160mm角の面積において20個以下にすることができる。
また、下地金属層を構成する銅層はその下のニッケル−クロム層と比較して硬度が低く、搬送装置と接触してピンホールが発生する可能性は高くなる。前記銅層の形成後においては銅層と搬送装置とが接触しないように保持して搬送することは特に重要となる。
また、ポリイミドフィルムを巻き出す軸の太さとポリイミドフィルムを巻き取る軸の太さは、時間と共に変化するため、蒸着装置やスパッタリング装置内でターゲットとポリイミドフィルムとの間隔を一定に保つための複雑な機構が必要となるのでさらに好ましくない。
工程(b)は、上記工程(a)で形成された下地金属層上に、電気銅めっき法又は無電解銅めっき法、若しくはその両者を組み合わせた方法で銅めっき層を形成する工程である。
設けられる銅めっき層は、前記したように、セミアディティブ法でファインピッチ化に対応したCOF等の配線板を作成する場合を考慮して、厚さを0.5〜3.0μmとする。また、この厚さは、高耐屈性と導電性の観点から規制されることも前述したとおりである。
ところで、銅層の厚さが3.0μm以下ということになると、以下の点に留意しなければならなくなる。
すなわち、銅層を電気銅めっき法により形成する場合、下地金属に銅が析出して銅層が形成されるが、下地金属が存在しない部分、すなわち、ピンホール部では周囲に析出した銅から、ピンポール内部方向にめっき金属が析出してピンホールを覆うという現象が起きる。このため、得られる銅層の厚さが厚いほど下地金属のピンホールは、外観から消失することになる。
しかし、銅層の厚さが3.0μm以下の場合には、下地金属層表面の微細なピンホールは析出した銅により覆われ、外観から消失するものの、直径が10μm以上のピンホールでは、析出した銅により完全に覆われて表面から消失することは少なく、金属被覆ポリイミドフィルム表面にピンホールとして残ってしまうことが多い。したがって、工程(b)ではピンホールの数を大幅に減少させることはできない。
このため、工程(b)では、工程(a)により得られた、直径10μm以上のピンホール数が160mm角の面積において20個以下の下地金属層を有するポリイミドフィルムを用い、この下地金属層の上に銅めっき層を設ける。こうすることによりライトテーブル観察により検出できる直径10μm以上のピンホールの個数を、160mm角の面積において10個以内にすることができる。
したがって、工程(a)において、直径10μm以上のピンホール数が160mm角の面積において20個以下の下地金属層を有するポリイミドフィルムを得ることは、工程(b)の大前提であり、極めて重要である。
なお、仮に、銅めっき条件を厳選して下地金属層のピンホールを表面上消失させたとしても、実態は、ピンホール内に銅が析出してピンホールを消失させているのではなく、ピンホールの上を覆うようにしてピンホールを表面から見えなくしているだけである。そのため、そのような金属被覆ポリイミドフィルムでは、銅層と下地金属層、あるいは下地金属層とポリイミドフィルムとの間の密着力が不十分となるばかりか、下地金属層のピンホールが屈曲時の剥離の起点となり、剥離しやすいので、高耐屈性の金属被覆ポリイミドフィルムにはなり得ない。
この場合、用いる硫酸銅めっき浴は、特に限定されるものではなく、一般的に用いられる硫酸銅めっき浴でよい。また、めっき条件も特殊なものでなく、通常に用いられる条件でよい。
最も簡便な方法としては、陰極電流密度の抑制がある。通常の硫酸銅めっき浴を用いることを前提とすれば、平均陰極電流密度を2.0A/dm2以下とすることが好ましく、1.0A/dm2以下とすることがより好ましい。平均陰極電流密度が2.0A/dm2を超えると、銅の析出が不均一となり銅めっき層の内部応力の制御が困難となるからである。
ポリイミドフィルムが乾燥される前の状態で、5〜30MPaの引張り応力を有する銅めっき層は、ポリイミドフィルムが乾燥されることにより収縮し、銅めっき層の内部応力は緩和され、その結果、エッチング寸法変化率及び加熱寸法変化率を、搬送方向とその直角方向において0.03%以下の寸法安定性に優れた金属被覆ポリイミドフィルムとなる。
本発明の金属被覆ポリイミドフィルムは、ポリイミドフィルム表面に直接下地金属層が設けられ、下地金属層の上に銅めっき層が設けられた金属被覆ポリイミドフィルムである。そして、銅めっき層の厚さは0.5〜3.0μmであり、その銅めっき層の表面をライトテーブルで観察したときに、直径が10μm以上のピンホールの個数が、160mm角の面積において10個以下のものであり、MIT耐折性評価の折曲げ回数が2000回以上のものであり、加えて、エッチング寸法変化率(Method B)及び加熱寸法変化率(Method C)が、搬送方向とその直角方向において絶対値として0.03%以下のものである。
さらに、エッチング寸法変化率(Method B)及び加熱寸法変化率(Method C)を、搬送方向とその直角方向において0.03%以下とするのは、この範囲を外れると、ファインピッチ対応、例えば、配線幅20〜25μmの配線パターンを有するCOF等の配線板を作成し、これにICチップを実装する際に、ICチップ表面の電極パッドと配線のリードとの接合不良が多くなる場合があるからである。この傾向は、フリップチップボンディング法によりICチップを実装する際には顕著である。
(1)ピンホールの大きさ:透過光式のライトテーブルを用いて目視にて計測した。
なお、本発明において、ピンホールの大きさとは、ピンホールの周囲から任意の2点を測定した最大距離をいい、10μm以上のピンホールとは、この最大距離が10μm以上のものをいう。
(2)MIT耐折性評価:JPCA BM01−11.6、及びJIS C5016−8.7に準ず方法で行い、R=0.38、荷重1000g、線幅0.5mmとしてMIT耐折性試験方法に定める折れ曲げに至るまでの回数を求めた。
(3)エッチング寸法変化率(Method B)及び加熱寸法変化率(Method C):IPC−TM−650,2,2,4に定める方法に従って測定した。数値は、絶対値にて評価した。
用いたポリイミドフィルムは、厚さ35μmのポリイミドフィルム((株)宇部興産製、UPILEX35SGA)である。
以下、工程分けして説明する。
1.下地金属層の形成(工程(a))
ポリイミドフィルムを巻き出し機と巻き取り機により連続的に搬送しながら、通常の直流スパッタリング法により、厚さ23nmのニッケル−クロム合金層を形成した。ニッケル−クロム層のクロム濃度は20質量%であった。
次に、その上に、厚さ100nmの銅層を形成して下地金属層を得た。
なお、下地金属層の形成に用いた装置は、真空槽内に巻き出し機と巻き取り機およびスパッタ装置を設けたものであり、ニッケル−クロム層形成後は、ポリイミドフィルム面側のみが搬送ロールによって支持されて巻き取り機でロールに巻き取られるようにした。
下地金属層が形成されたポリイミドフィルムを透過光式のライトテーブルで観察し結果を表1に示した。
通常の硫酸銅めっき浴を用い、下地金属層の上に厚さ1.3μmの銅めっき層を電気銅めっきして設けた。用いた硫酸銅めっき浴は、銅濃度23g/lで、浴温を27℃とした。また、めっき槽は連続めっき槽とし、巻き出し機と巻き取り機により連続的に各槽を搬送しながら電気銅めっきを行なった。また、搬送速度は、115m/hとし、めっき槽の平均陰極電流密度を、≦1.0A/dm2に調整して、めっき被膜の内部応力を、ポリイミドフィルムが乾燥される前の状態で、セル方式における被膜形成を積層することで、5〜30MPaの範囲に該当する引張り応力となるようにした。事前の試験片による測定では、めっき被膜の内部応力は、ポリイミドフィルムが乾燥される前の状態で、15MPaの引張り応力となっていた。
得られた金属被覆ポリイミドフィルムについて、10μm以上ピンホールの個数を透過光式のライトテーブルで観察して求め、MIT耐折性の評価、寸法安定性についても評価し、得られた結果を表1に示した。
ポリイミドフィルムとして、厚さ35μmのポリイミドフィルム((株)カネカ製、Apical−35FP)を用いた以外は、実施例1と同様にして、金属被覆ポリイミドフィルムを得て、実施例1と同様に評価した。得られた結果を表1に示した。
なお、めっき被膜の内部応力は、ポリイミドフィルムが乾燥される前の状態で、セル方式における被膜形成を積層することで、5〜30MPaの範囲に該当する引張り応力となるようにした。
銅めっき層の厚さを0.5μmとした以外は実施例1と同様にして金属被覆ポリイミドフィルムを得て、実施例1と同様に評価した。得られた結果を表1に示した。
なお、めっき被膜の内部応力は、ポリイミドフィルムが乾燥される前の状態で、ポリイミドフィルムが乾燥される前の状態で、セル方式における被膜形成を積層することで、5〜30MPaの範囲に該当する引張り応力となるようにした。
事前の試験片による測定では、めっき被膜の内部応力は、ポリイミドフィルムが乾燥される前の状態で、8MPaの引張り応力となっていた。
銅めっき層の厚さを3.0μmとした以外は実施例1と同様にして金属被覆ポリイミドフィルムを得て、実施例1と同様に評価した。得られた結果を表1に示した。
なお、事前の試験片による測定では、めっき被膜の内部応力は、ポリイミドフィルムが乾燥される前の状態で、25MPaの引張り応力となっていた。
めっき槽の平均陰極電流密度を、≦2.0A/dm2に調整して、めっき被膜の内部応力を30MPaの引っ張り応力とした以外は実施例1と同様にして金属被覆ポリイミドフィルムを得て、実施例1と同様に評価した。得られた結果を表1に示した。
実施例1〜5で得られた銅被覆ポリイミドフィルムを用いて配線間隔25μmのCOFをセミアディティブ法で作成し、配線加工収率をもとめたところ、実施例1のものを用いた場合には85%、実施例2のものを用いた場合には83%、実施例3のものを用いた場合には80%、実施例4のものを用いた場合には83%、実施例5のものを用いた場合には80%、であり、ファインピッチ対応用として満足するものであった。
スパッタ装置の巻取部において、銅層形成後に下地金属層表面にロールを接触させてポリイミドフィルムを支持する機構を備えた装置を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、金属被覆ポリイミドフィルムを得て、実施例1と同様に評価した。得られた結果を表1に示した。
スパッタ装置の巻取部において、銅層形成後に下地金属層表面にロールを接触させてポリイミドフィルムを支持する機構を備えた装置を用いたこと、銅めっき工程においてめっき槽の平均陰極電流密度を3〜5A/dm2に調整して厚さ8.5μmの銅めっき層を形成したこと以外は、実施例1と同様にして、金属被覆ポリイミドフィルムを得て実施例1と同様に評価した。得られた結果を表1に示した。
比較例1で得られた銅被覆ポリイミドフィルムを用いて実施例6と同様に配線加工収率をもとめたところ、61%であった。
一方、下地金属層の形成後に銅層の表面が非接触状態に保たれなかった比較例1では、耐折性及び寸法安定性は良好であるが、10μm以上のピンホールが多く存在し、ファインピッチ対応用の銅被覆ポリイミドフィルムは得られなかった。また、下地金属層の形成後に銅層の表面が非接触状態に保たれず、銅めっき層厚を8.5μmとした比較例2は、銅めっき層の厚さを厚くしたため、ライトテーブルで検出できる直径10μm以上のピンホール数は改善されているものの、耐折性および寸法安定性が良好な値となっていない。
また、本発明の方法は簡便であり、大量生産に適するため、産業上の価値は高い。
Claims (10)
- リール・ツー・リール方式により、ポリイミドフィルム表面に、ニッケル−クロム合金層と銅層とからなる下地金属層を乾式めっき法により設ける工程(a)と、次いで連続めっき装置を用いて下地金属層の上に銅めっき層を設ける工程(b)とを含む金属被覆ポリイミドフィルムの製造方法であって、
工程(a)において、下地金属層が形成されたポリイミドフィルムがロールに巻き取られるまでの間、搬送装置と接触する部分をポリイミドフィルム面のみとすることにより、下地金属層の表面をライトテーブルで観察したとき、直径が10μm以上のピンホールの数が160mm角の面積において20個以下にし、かつ、工程(b)において、厚さ0.5〜3.0μmの銅めっき層を設けることを特徴とする金属被覆ポリイミドフィルムの製造方法。 - ポリイミドフィルムは、厚さが10〜50μmで、かつ表面が平滑であることを特徴とする請求項1記載の金属被覆ポリイミドフィルムの製造方法。
- 工程(a)において、下地金属層は、ニッケル−クロム合金層および銅層の順番で形成されることを特徴とする請求項1記載の金属被覆ポリイミドフィルムの製造方法。
- 前記ニッケル−クロム合金層の厚さは、5〜50nmであることを特徴とする請求項3記載の金属被覆ポリイミドフィルムの製造方法。
- 前記ニッケル−クロム合金層は、クロムを5〜30質量%含有するニッケル−クロム合金で形成されることを特徴とする請求項3または4に記載の金属被覆ポリイミドフィルムの製造方法。
- 前記銅層は、厚さが50〜500nmであることを特徴とする請求項3記載の金属被覆ポリイミドフィルムの製造方法。
- 工程(b)において、銅めっき層は、硫酸銅めっき浴を用いた電気銅めっき法により形成されることを特徴とする請求項1記載の金属被覆ポリイミドフィルムの製造方法。
- 形成された銅めっき層の内部応力が、ポリイミドフィルムが乾燥される前の状態で、5〜30MPaの引張り応力となるように陰極電流密度を調整することを特徴とする請求項7記載の金属被覆ポリイミドフィルムの製造方法。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の製造方法で得られる金属被覆ポリイミドフィルムであって、
銅めっき層の表面をライトテーブルで観察したとき、直径が10μm以上のピンホールの数が160mm角の面積において10個以下であり、かつ、MIT耐折性評価の折曲げ回数が2000回以上であることを特徴とする金属被覆ポリイミドフィルム。 - さらに、エッチング寸法変化率(Method B)及び加熱寸法変化率(Method C)が、搬送方向とその直角方向において0.03%以下であることを特徴とする請求項9記載の金属被覆ポリイミドフィルム。
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