JP2007245564A - フレキシブル銅張積層基板の製造方法 - Google Patents

フレキシブル銅張積層基板の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】キャリア付き極薄銅箔上にポリイミド樹脂等の溶液を塗工して樹脂層を形成した後、キャリアを引き剥がす際のカール発生を抑制し、微細回路形成における作業性に優れたフレキシブル銅張積層基板を提供する。
【解決手段】耐熱性キャリア上に剥離層を介して極薄銅箔が形成されているキャリア付き極薄銅箔の極薄銅箔上に、樹脂溶液を塗工し、乾燥、熱処理してキャリア付き極薄銅箔に1層以上の樹脂層を形成した多層積層体とし、その後、多層積層体からキャリアを剥離してフレキシブル銅張積層基板とする際、剥離部位にて多層積層体の進行方向に対し剥離されたフレキシブル銅張積層基板を±20°の範囲で進行させ、且つキャリアの剥離角度θをフレキシブル銅張積層基板の進行方向に対し140°≦θ≦180°の範囲とする。
【選択図】図3

Description

本発明は、フレキシブル銅張積層基板の製造方法に関し、詳しくは、耐熱性キャリア箔付き極薄銅箔を使用したフレキシブル銅張積層基板の製造方法に関する。
近年、COF市場においては、電子情報機器の高機能化、軽薄短小化に伴い、基板配線の高密度化が要求され、配線パターンの狭ピッチ化に対応可能なフレキシブルプリント基板材料が必要とされている。現状の回路形成手法としては銅箔をエッチングし、配線を形成するサブトラクティブ法が主流である。但し、例えば30μmピッチ以下の更なる微細配線加工を行うには、サブトラクティブ工法では配線形状が台形となるため、ICチップ実装時に実装部面積が減少し、実装不具合が生じる他、配線の十分な断面積が得られなくなるため、導電率低下等の不具合も発生する可能性が高いことから、ファイン化が進むとセミアディティブ工法が用いられる。セミアディティブ工法においては、ポリイミドフィルム等の絶縁フィルム上に電解めっき時の導電層の役割を担う極薄の銅箔層を形成させた材料が必要とされる。この材料としては、ポリイミド等の絶縁フィルム上に真空下にてスパッタリング法及び電解めっき法にて極薄銅層を形成させた材料が提案されている。
一方、近年、キャリア箔上に剥離層と極薄銅箔層から構成される複合銅箔が提案されている。本複合銅箔はポリイミドワニスを塗布し、イミド化するキャスティング法や接着層付きポリイミドフィルムに高温加圧により複合銅箔を熱圧着するラミネート法に応用可能である。銅張積層基板得るための多層積層体を製造後、キャリア箔を引き剥がす手法により、5μm以下の銅箔とポリイミド樹脂層とからなる銅張積層基板を製造する手法が提案されている。しかしながら、キャリア箔を剥離して製造される銅張積層基板は、極薄銅箔層厚みが10μm以下で、剛性が低いために、キャリア箔剥離の際にかかる応力で発生するカールを抑制することが困難である。そこで、この応力を制御する技術が重要となってくる。
フレキシブル銅張積層基板にカールが存在すると、微細配線加工の際や実装の段階で不具合が生じる恐れがあるため、以下の様な提案がなされている。
例えば、下記特許文献1や特許文献2等において、フレキシブル銅張積層基板のカールを抑制できる熱膨張係数の範囲と、熱膨張率の異なる樹脂層の厚みの範囲を指定している。しかし、これらは商業的に多用されている18μm以上の銅箔上に樹脂層をラミネートあるいは直接塗工して形成された材料に関するものであり、キャリア箔付き極薄銅箔に対してはカール抑制を満足できない。特許文献3に示されるようなキャリア箔付き極薄銅箔は厚み18μm〜35μmの銅箔上に剥離層を介して、例えば1μm〜3μmの極薄銅箔が形成されている材料であり、極薄銅箔上に樹脂層を形成後にキャリア箔を引き剥がすと、薄銅箔側に対し応力が発生しカールが生じるためである。つまり、キャリア箔を剥離する前に熱膨張係数等を制御してカールの無い多層積層体を製造しても、キャリア箔剥離の際の応力を小さくしなければフレキシブル銅張積層基板のカールを抑制することができないのである。
また、特許文献4には、絶縁層に接着層を設けた接着フィルムと離型層を伴った金属箔とをロールにより熱ラミネートする際に保護フィルムを介して熱ラミネートする方法が開示されており、その保護フィルムの剥離角度や積層板と離型層の剥離角度を90°以上とすることが示されている。しかし、剥離角度に関しては、他の具体的な態様は示されておらず、本発明者らの知見によれば剥離角度90°ではカールの抑制は不十分であった。
特開平8−250860号公報 特開2000−188445号公報 特開2003−340963号公報 特開2005−254632号公報
本発明は、耐熱性キャリア付き極薄銅箔を用い、その極薄銅箔上にポリイミド樹脂などの樹脂溶液を直接塗工して樹脂層を形成した後、キャリアを引き剥がした際に生じるフレキシブル銅張積層基板のカール発生を抑制し、微細回路形成工程における作業性に優れたフレキシブル銅張積層基板を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記課題に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、耐熱性キャリア付き極薄銅箔を用いたフレキシブル銅張積層基板において、キャリアを剥離する角度を制御することで、キャリア箔剥離後のフレキシブル銅張積層基板のカールを抑制した材料を得ることができることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、キャリア上に剥離層を介して極薄銅箔が形成されている耐熱性キャリア付き極薄銅箔の極薄銅箔上に、樹脂溶液を塗工し、乾燥、熱処理して耐熱性キャリア付き極薄銅箔に1層以上の樹脂層を形成した多層積層体とし、その後、キャリアを剥離して樹脂層と極薄銅箔からなるフレキシブル銅張積層基板を製造する方法において、多層積層体からキャリアを剥離する際、剥離部位にて多層積層体の進行方向に対しフレキシブル銅張積層基板を±20°の範囲で進行させ、且つキャリアの剥離角度θをフレキシブル銅張積層基板の進行方向に対し140°≦θ≦180°の範囲とすることを特徴とするフレキシブル銅張積層基板の製造方法である。
また、本発明は、多層積層体からキャリアを剥離する際、剥離部位の多層積層体の表面に接して分離用の治具を設置し、キャリアを治具の上から、フレキシブル銅張積層基板を治具の下から引き出すようにした上記のフレキシブル銅張積層基板の製造方法である。更に、本発明は、多層積層体からキャリアを剥離する際、剥離部位を一定部位に保持するように剥離部位にて分離されたキャリアとフレキシブル銅張積層基板を別個に一定速度で引き出すと共に、剥離部位におけるフレキシブル銅張積層基板とキャリアの進行方向の角度θが140°≦θ≦180°となるように剥離する上記のフレキシブル銅張積層基板の製造方法である。
本発明において使用する耐熱性キャリア付き極薄銅箔(以下、キャリア付き極薄銅箔という)は、フィルム状又は箔状のキャリア(支持体)上に剥離層を介して極薄銅箔が形成されているものを使用する。好ましいキャリアを例示すると、銅、ステンレス、アルミニウム若しくはそれらを主成分とする金属箔又は耐熱性樹脂フィルムなどが挙げられる。これらの中でも銅箔又は銅を主として含有する合金箔がハンドリング性に優れ且つ安価で好ましい。
キャリア付極薄銅箔は、極薄銅箔上に樹脂溶液が直接塗工されて樹脂層が形成されるため、ある程度変形しにくいことが必要であり、そのためには一定の厚みを有していることが必要である。キャリアの厚み範囲は、好ましくは5〜100μmの範囲であり、より好ましくは12〜50μmの範囲である。キャリアの厚みが薄すぎると、フレキシブル銅張積層基板の製造における搬送性が安定せず、また厚すぎてもキャリアの再利用の適用が困難であるため、無駄が生じる。
キャリア付き極薄銅箔における剥離層は、極薄銅箔とキャリアとの剥離を容易にする目的(又は弱接着性を与える目的)で設けられるため、その厚みは薄い方が望ましく、0.5μm以下であることが好ましく、50〜100nmの範囲にあることがより好ましい。剥離層はキャリアの耐熱性キャリア箔と極薄銅箔との剥離を安定して容易にするものであれば特に限定されるものではないが、銅、クロム、ニッケル、コバルトあるいはそれらの元素を含む化合物から選択される少なくとも1種を含有するものが好ましい。また、特許文献3に記載のような有機化合物系材料も使用できる他、弱粘接着剤も必要により使用できる。極薄銅箔とキャリアの剥離開始強度は、極薄銅箔と上記樹脂層との剥離開始強度より十分低い。
キャリア剥離後に剥離層はキャリア側に残っていても、フレキシブル銅張積層基板の極薄銅箔側に転写されてもよい。ただし、剥離層が極薄銅箔に転写された場合で、導体の性質を阻害する場合は、公知の方法で除去することが望ましい。
耐熱性キャリア付極薄銅箔における極薄銅箔は、銅又は銅を主成分とする合金から形成されている。極薄銅箔の厚みは、フレキシブル銅張積層基板製造後の回路形成の際に、ファインパターンを形成するためには、0.1〜10μmの範囲が好ましく、0.1〜6μmの範囲がより好ましく、1〜5μmの範囲が最も好ましい。極薄銅箔における表面粗度(Rz)の好ましい範囲は、エッチング性の観点から1.0μm以下であり、より好ましくは0.01〜0.1μmの範囲である。この表面粗度に関しては、樹脂溶液を塗工する側の面が上記範囲にあることが好ましいが、両方の面が上記範囲にあることで回路形成後のパターン形状と直線性がより優れたフレキシブル銅張積層基板とすることができる。なお、上記Rzは、表面粗さにおける十点平均粗さ(JIS B 0601−1994)を示す。
本発明では、上記耐熱性キャリア付極薄銅箔の極薄銅箔上に樹脂溶液が直接塗工されるが、そのことによって極薄銅箔と樹脂層との接着性が優れたフレキシブル銅張積層板とすることができる。ここで、樹脂溶液は、絶縁層の耐熱性確保の観点から、ポリイミド樹脂又はポリイミド前駆体樹脂を溶剤に溶解したものが好ましい。本発明でいうポリイミド樹脂とは、樹脂骨格中にイミド結合を有するものをいい、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリイミドエステル等を指す。
極薄銅箔上に直接塗工される樹脂層は、上記ポリイミド樹脂又はポリイミド前駆体樹脂の層であることが好ましく、単一の樹脂による単層構造でも、2種以上の樹脂による多層構造にしてもよい。極薄銅箔上に形成する樹脂層を複数層とする場合、熱膨張係数(線膨張係数)が20×10-6(1/K)以上の少なくとも1層の高熱膨張性樹脂層と熱膨張係数が20×10-6(1/K)未満の少なくとも1層の低膨張性樹脂層との2層以上の多層構造とすることが好ましい。この場合、樹脂層全体の熱膨張係数が15×10-6〜25×10-6(1/K)の範囲にある多層ポリイミド樹脂層とすることが望ましく、極薄銅箔と接する層は、高熱膨張性樹脂層とすることがよい。なお、ポリイミド前駆体樹脂の層である場合は、熱処理を行ってイミド化することがよい。
ポリイミド樹脂は、公知の原料であるジアミンと酸二無水物を選択して、溶媒中で反応させて製造することができる。
高熱膨張性樹脂層には4,4’‐ジアミノジフェニルエーテル(DAPE)、1,3‐ビス(4‐アミノフェノキシ)ベンゼン(1,3−BAB)、2,2’‐ビス[4‐(4‐アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP)、から選ばれる少なくとも1種のジアミン成分と、無水ピロメリット酸(PMDA)、3,3’,4,4’‐ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、3,3’,4,4’‐ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)、3,3’,4,4’‐ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物(DSDA)から選ばれる少なくとも1種の酸無水物成分をそれぞれの主成分として、これらを反応して得られるポリイミド前駆体樹脂溶液を用いることが好ましい。高熱膨張性樹脂層のより好ましい熱膨張係数の範囲は、30×10-6〜100×10-6(1/K)である。
低熱膨張性樹脂層には、4,4’‐ジアミノ‐2,2’ジメチルビフェニル(DADMB)、4,4’‐ジアミノ‐2’‐メトキシベンズアニリド(MABA)から選ばれる少なくとも1種のジアミン成分と、酸無水物成分としては無水ピロメリット酸(PMDA)、3,3’,4,4’‐ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)から選ばれる少なくとも1種の酸無水物成分をそれぞれの主成分として、これらを反応して得られるポリイミド前駆体樹脂溶液を用いることが好ましい。低熱膨張性樹脂層のより好ましい熱膨張係数の範囲は、0〜19×10-6(1/K)である。
上記反応に用いられる溶媒は、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)、n−メチルピロリジノン、2−ブタノン、ジグライム、キシレン等が挙げられ、これらの1種若しくは2種以上併用して使用することもできる。
樹脂溶液の極薄銅箔上への塗工は、公知の方法を適用して行うことができ、工業的には、ロールコーター、ダイコーター、バーコーターがよく使用される。塗工厚みは、均一にすることが必要であり、熱処理後の樹脂層の厚みばらつきを±1.5μmの範囲内にすることが望ましい。極薄銅箔上に樹脂溶液が塗工された後は、樹脂溶液の溶媒除去のため乾燥、熱処理される。熱処理は130℃以上の温度で行われる処理であればよく、ここで乾燥が更に進行するだけでもよい。有利には、熱処理によってイミド化等の反応や樹脂の性状改質がなされる。例えば、樹脂溶液にポリイミド前駆体樹脂を用いた場合には、イミド化のために熱処理がなされる。イミド化のために熱処理の温度条件を変化させることにより得られる多層積層体のカールを変化させることもできる。ここで、樹脂層を多層とする場合には、塗工、乾燥を繰り返した後、一括して熱処理することもできる。
本発明では、このようにしてキャリア付き極薄銅箔の極薄銅箔上に均一な樹脂層を形成した多層積層体とし、その後、キャリアを剥離することで樹脂層と極薄銅箔とからなるフレキシブル銅張積層基板(積層基板ともいう)を製造するが、キャリアを剥離する際にキャリアから剥離される積層基板に応力がかかる。この剥離工程でかかる応力を考慮せずに製造されたものであると、剥離の際にかかる応力のために積層基板にカールが発生していた。つまり、多層積層体がフラットであっても、キャリアを剥離する際に積層基板のキャリア側とは反対側面が凹むようにカールが発生する現象が生じる。
そこで、本発明では、多層積層体からキャリアを剥離する際に積層基板に変形を起こすような応力が極力かからないように、剥離角度を制御する。剥離部位において、多層積層体の進行方向に対し、剥離された積層基板を±20°の範囲で進行させる。更に、剥離された積層基板とキャリアの進行方向がなす角度である剥離角度θを140°≦θ≦180°の範囲とする。ここで、多層積層体の進行方向に対し、剥離された積層基板を±20°の範囲で進行させるとは、多層積層体から分離された積層基板の進行角度を分離前の多層積層体の進行方向を0°とした値であり、剥離前後で積層基板を直線的に進行させる場合は0°となる。この角度が上記範囲を外れると剥離された積層基板にカールが生じやすい。そして、本発明においては、上記剥離角度θを140°≦θ≦180°の範囲とする。剥離角度が140°に満たないと、積層基板が接していたキャリア面側を凸とする大きくなカールが生じ、剥離角度が180°を超えるとキャリア面側を凹とするカールが生じるおそれがある。好ましい剥離角度θは、150°≦θ≦180°の範囲である。
本発明では、多層積層体からキャリアを剥離して積層基板を得るが、この際、極薄銅箔と樹脂層は積層されて一体となった状態でキャリアと分離されることとなる。分離された積層基板は、銅箔が極薄銅箔であるフレキシブル銅張積層基板である。多層積層体をキャリアと積層基板に分離する場合、キャリア剥離前の多層積層体に、キャリア側を凹に10mmから1mmの範囲にカールが生ずる程度に応力を制御しておくことが好ましい。特に、キャリア側を凹に8mmから2mmの範囲にカールが生ずる程度に制御しておくことがよい。このカール値は、後記実施例記載の多層積層体のカール量の測定によって求められる値である。キャリア剥離の際に最低限発生するカールを打ち消すように、それとは逆側に若干のカールをつけていることでキャリア剥離後の積層基板のカールを±6mmの範囲に収めることができる。
剥離点での剥離角度を140°≦θ≦180°とするためには、剥離部位を固定する治具は極力径が小さいロールを用いた方がよく、可能であれば鋭角な治具を用いることがよい。更に有利には、剥離部位に治具を使用せずに剥離スピードや張力等を制御することで剥離点を安定化させるようにすることがよい。剥離開始時に剥離部位の調整を行い、剥離部位が所定の位置となったら、分離されたキャリアと積層基板の引き出し速度を一定に保つことにより、剥離部位が固定され、それにより剥離角度が保持される。
本発明によって得られるフレキシブル銅張積層基板は、樹脂層の片面に極薄銅箔を有する片面フレキシブル銅張積層基板であっても、樹脂層の両面に極薄銅箔を有する両面フレキシブル銅張積層基板であってもよい。
両面フレキシブル銅張積層基板とするためには、片面フレキシブル銅張積層基板を製造した後に、新たな銅箔か、耐熱性キャリア付き極薄銅箔を準備し、加熱圧着することで製造することができる。耐熱性キャリア付き極薄銅箔を用いることで、極薄銅箔を有するフレキシブル銅張積層基板を製造することができる。
本発明によって製造されたフレキシブル銅張積層基板は、極薄銅箔と樹脂層との接着強度が0.8 kN/m以上であることが好ましく、また、空気中で150℃、168時間の熱処理後における極薄銅箔と樹脂層の接着強度が、熱処理前の初期接着強度の80%以上であることが好ましい。また、樹脂層形成後における極薄銅箔とキャリアとの剥離強度を3〜100N/m とすることでより良好なフレキシブル銅張積層基板を製造することができる。
本発明によれば、カールの発生を抑制することができることから、その後の微細回路形成工程における作業性に優れたフレキシブル銅張積層基板を得ることができる。また、このフレキシブル銅張積層基板は、極薄銅箔上に樹脂溶液を塗工して得られたものであり、極薄銅箔と樹脂層との接着性や耐熱信頼性にも優れたものとなる。更に、本発明のフレキシブル銅張積層基板の製造方法では、その銅箔厚みを0.1〜10μmに任意に設定できるために、サブトラクティブ工法やセミアディティブ工法にも有用なフレキシブル銅張積層基板を製造することができる。
本発明を図面により説明する。図1は多層積層体5の層構造を示す断面図である。耐熱性キャリア付極薄銅箔は、キャリア4、剥離層3及び極薄銅箔2からなっている。この上に樹脂層1a、1b及び1cが積層されている。この多層積層体5は図1に示すようにキャリア4側を内側にしてカールしている。
図2は多層積層体からキャリア4を剥離して得られた積層基板(フレキシブル銅張積層基板)6の層構造を示す断面図である。この積層基板6は極薄銅箔2及び1a、1b及び1cの各樹脂層からなる樹脂層1からなっている。この積層基板6はカールしていない。
図3は、多層積層体を搬送し、キャリア4を剥離し、積層基板6を製造する場合の一例を示す工程図である。任意の方法で製造された多層積層体20は搬送のためのロール10及びロール11により搬送される。図3に示した例では搬送ロール11付近を剥離部位として、剥離された積層基板6は直線的に搬送され、任意の工程を経て巻き取られる。この際、搬送ロール11と更に後続して設けられる搬送ロール(図示なし)によりフレキシブル銅張積層基板の進行方向を±20°の範囲で調整することができる。図3の積層基板6’及び6”は、多層積層体20の進行方向に対して±20°の範囲で調整することを表したものである。また、多層積層体20から剥離されるキャリア4は、治具30を用いて積層基板の進行方向に対して140〜180°の剥離角度θで剥離され、一定速度で進行する。治具30の形状は任意であり、剥離角度を上記範囲に制御できれば、治具30は用いなくとも良い。
以下、実施例及び比較例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されないことは勿論である。
合成例1
294gのDMAcに、BAPP29.13g(0.071モル)を溶解させた。次に、3.225g(0.011モル)のBPDA及び13.55g(0.062モル)のPMDAを加えた。その後、約3時間攪拌を続けて重合反応を行い、35poise(25℃)のポリイミド前駆体樹脂液aを得た。この得られたポリイミド前駆体樹脂液aを銅箔上に塗工し、130℃で5分間乾燥し、その後、15分かけて360℃まで昇温させイミド化を完了させ、厚さ25μmのポリイミドフィルムを作成した。得られたフィルムの熱膨張係数を測定したところ55×10-6/Kであった。
合成例2
3.076kgのDMAcに、DADMB203.22g(0.957モル)及び1,3−BAB31.10g(0.106モル)を溶解させた。次に、61.96g(0.211モル)のBPDA及び183.73g(0.842モル)のPMDAを加えた。その後、約4時間攪拌を続けて重合反応を行い、250poise(25℃)のポリイミド前駆体樹脂液bを得た。この得られたポリイミド前駆体樹脂液bを用いて得られたポリイミドフィルムの熱膨張係数は15×10-6/Kであった。
実施例1
耐熱性キャリア箔付き極薄銅箔(日本電解製 YSNAP−3B, キャリア箔厚み18μm、極薄銅箔厚み3μm)の極薄銅箔上に、合成例1の樹脂液aを塗工し、130℃で5分間乾燥して樹脂層1aを形成した後、合成例2の樹脂液bを塗工し、130℃で10分間乾燥して樹脂層1bを形成し、更にその樹脂層上に合成例1の樹脂液aを塗工し、130℃で5分間乾燥して樹脂層1cを形成し、その後、15分かけて360℃まで昇温させイミド化を完了させ、多層ポリイミド樹脂層(1a/1b/1c=2μm/20μm/3μm)を有する樹脂層を形成した。ここでイミド化反応の段階で、その初期のイミド化温度を140℃として多層ポリイミド樹脂層の熱膨張係数を19ppm/Kまで低下させて、剥離工程前にキャリアが内側になるようにカールする多層積層体とした。次いで、図3に示すような剥離工程で、キャリアを剥離してフレキシブル銅張積層基板を得た。この際の、多層積層体と積層基板の進行方向は同一(0°)とし、積層基板とキャリアの進行方向の角度は180°とし、進行速度は同一とした。
上記の方法により得られたフレキシブル銅張積層基板について、剥離前の多層積層体のカール、剥離後のフレキシブル銅張積層基板のカール、ピール強度、及び耐熱保持率を測定した。測定結果を表1に示す。剥離後フレキシブル銅張積層基板のカールが±3mm以内で、且つピール強度が0.8kN/m以上で、更に耐熱保持率が80%以上であったものの判定を○とし、それ以外のものの判定を×とした。
[多層積層体のカール量の測定]
測定に供する多層積層体が50×50mmの大きさになるように、他の導体部分(50×50mmより外側の部分)を塩化第二鉄溶液でエッチングした後に切断して多層積層体を得た。100℃で10分間乾燥させ、温度25℃、湿度50%の雰囲気下に24時間静置した後、水平板上に下側が凸となるように置き、四隅の高さの平均値を測定した。樹脂層側が凸となるときを−とし、キャリア側が凸となる時を+とした。
[フレキシブル銅張積層基板のカールの測定]
剥離後のフレキシブル銅張積層基板を温度25℃、湿度50%の雰囲気下に24時間静置した後、下側が凸となるように置き、四隅の高さの平均値を測定した。樹脂層側が凸となるときを−とし、極薄銅箔側が凸となる時を+とした。
[ピール強度の測定]
剥離後のフレキシブル銅張積層基板につき、測定を容易にするために銅の総厚みが8μmになるように極薄銅箔上に電解銅めっきを行い、テンシロンテスター(東洋精機製作所社製)を用いて、幅1mmに直線状にパターニング形成したテスト用フレキシブル回路基板の樹脂側を両面テープによりステンレス板に固定し、銅を90°方向に50mm/分の速度で剥離して求めた。
[耐熱保持率の測定]
上記ピール強度の測定で使用したと同様の試料を準備し、空気中、150℃の環境下に168時間おく耐熱試験を行い、耐熱試験前後のピール強度保持率を算出した。
実施例2及び比較例1〜3
キャリアを剥離する角度を変化させた以外は実施例1と同様の方法でフレキシブル銅張積層基板を作成し諸特性につき評価した。測定結果を表1に示す。
Figure 2007245564
評価の結果、実施例1及び2は、共に剥離後のフレキシブル銅張積層基板のカールを6mm以内にすることが可能であった。一方、比較例1〜4では剥離角度が大きく、フレキシブルプリント基板にかかる応力が大きいために、剥離後のカールが大きくなり不良であった。
キャリア剥離前の多層積層体の断面図である。 キャリア剥離後のフレキシブル銅張積層基板の断面図である。 本発明のフレキシブル銅張積層板の製造方法を示す工程図である。
符号の説明
1、1a、1b、1c 樹脂層、2 極薄銅箔、3 剥離層、4 キャリア、5 多層積層体、6 フレキシブル銅張積層基板、10,11 搬送ロール、20 多層積層体、30 治具

Claims (6)

  1. キャリア上に剥離層を介して極薄銅箔が形成されている耐熱性キャリア付き極薄銅箔の極薄銅箔上に、樹脂溶液を塗工し、乾燥、熱処理して耐熱性キャリア付き極薄銅箔に1層以上の樹脂層を形成した多層積層体とし、その後、キャリアを剥離して樹脂層と極薄銅箔からなるフレキシブル銅張積層基板を製造する方法において、多層積層体からキャリアを剥離する際、剥離部位にて多層積層体の進行方向に対しフレキシブル銅張積層基板を±20°の範囲で進行させ、且つキャリアの剥離角度θをフレキシブル銅張積層基板の進行方向に対し140°≦θ≦180°の範囲とすることを特徴とするフレキシブル銅張積層基板の製造方法。
  2. 耐熱性キャリア付き極薄銅箔の極薄銅箔の厚みが0.1〜10μmであり、キャリアが金属箔又は耐熱性樹脂フィルムであり、キャリアの厚みが5〜100μmであるフレキシブル銅張積層基板の製造方法。
  3. 極薄銅箔上に形成される樹脂層が、熱膨張係数が15×10-6〜25×10-6(1/K)の範囲にあるポリイミド樹脂層である請求項1又は2記載のフレキシブル銅張積層基板の製造方法。
  4. ポリイミド樹脂層が、熱膨張係数が20×10-6(1/K)以上の少なくとも1層の高熱膨張性樹脂層と熱膨張係数20×10-6(1/K)未満の少なくとも1層の低熱膨張性樹脂層とを有し、樹脂層全体の熱膨張係数が15×10-6〜25×10-6(1/K)の範囲にあるポリイミド樹脂層である請求項3記載のフレキシブル銅張積層基板の製造方法。
  5. 多層積層体からキャリアを剥離する際、剥離部位の多層積層体の表面に接して分離用の治具を設置し、キャリアを治具の上から、フレキシブル銅張積層基板を治具の下から引き出すようにしたことを特徴とする請求項1記載のフレキシブル銅張積層基板の製造方法。
  6. 多層積層体からキャリアを剥離する際、剥離部位を一定部位に保持するように剥離部位にて分離されたキャリアとフレキシブル銅張積層基板を別個に一定速度で引き出すと共に、剥離部位におけるフレキシブル銅張積層基板とキャリアの進行方向の角度θが140°≦θ≦180°となるように剥離することを特徴とする請求項1記載のフレキシブル銅張積層基板の製造方法。
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