JP2016087898A - 2層銅張積層板及びその製造方法、並びにそれを用いたフレキシブル配線板及びその製造方法 - Google Patents

2層銅張積層板及びその製造方法、並びにそれを用いたフレキシブル配線板及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】シワの発生がなく、高い寸法安定性を有し、フレキシブル配線板加工中及び加工後の反りが低減されたセミアディティブ法によるフレキシブル配線板の製造に用いる2層銅張積層板及びその製造方法の提供、及び2層銅張積層板を用いたフレキシブル配線板を提供。
【解決手段】4,4’−ジアミノジフェニルエーテルとピロメリット酸二無水物とからなるイミド結合を含むポリイミドフィルム1の少なくとも一方の表面に接着剤を介することなく下地金属層2と銅層3が積層され、銅層3の厚みが0.1〜1μmで、2層銅張積層板の長手(MD)方向において、2層銅張積層板のエッチング前の寸法に対するエッチング後の寸法が、0.000〜0.010%の範囲で膨張または収縮する寸法変化を示し、且つエッチング後に熱処理した後の寸法が、エッチング前の寸法に対して、0.010〜0.030%の範囲で収縮する寸法変化を示す2層銅張積層板である。
【選択図】図1

Description

本発明は、フレキシブル配線板に用いられる、ポリイミドフィルムの少なくとも一方の表面に接着剤を介することなく下地金属層と銅層が積層された2層銅張積層板およびその製造方法、並びにその2層銅張積層板を用いたフレキシブル配線板及びその製造方法に関する。特に本発明はセミアディティブ法にてフレキシブル配線板を製造するのに用いられる2層銅張積層板およびその製造方法に関する。
フレキシブル配線板は、その自在に屈曲できる性質を活かしてハードディスクの読み書きヘッドやプリンターヘッドなどの電子機器の可動部の屈曲を要する配線部分、液晶ディスプレイ装置内のわずかな隙間を通す配線部分などに広く用いられている。
使用するフレキシブル配線板は、一般的に銅層とポリイミドフィルム等の樹脂フィルム層とからなる積層構造のフレキシブルな銅張積層板(Flexible Copper Clad Laminationとも称す。)に対して、セミアディティブ法やサブトラクティブ法等を用いて配線加工することで作製されている。
その配線加工法の一つであるセミアディティブ法とは、配線以外の不要部分にレジスト塗布後、配線部分の銅張積層板の銅層に電気めっき処理して銅を積層して配線パターンを形成し、レジスト除去後に配線パターン以外の不要部分を除去する方法である。この方法は配線パターンの断面が略長方形状となり、サブトラクティブ法と比較して高精度で配線ピッチの微細な配線パターンを形成するのに有利である。
このセミアディティブ法の配線加工についてより詳しく説明すると、銅張積層板の銅層の表面にフォトレジスト層を成膜した後、このフォトレジスト層にパターニング処理を施すことにより導体配線として残したい部分の銅層の表面を露出させる。次にこの銅層の露出部分に通電して、電気めっき処理により銅めっき層を積層する。最後にフォトレジスト層を剥離除去し、フラッシュエッチングで銅めっき層の周囲に露出した銅張積層板の銅層及び下地金属層を溶解除去する。その後、必要に応じて配線に錫めっき等を施し、錫めっき後、必要な個所にソルダーレジストを塗布し硬化させてソルダーレジスト膜を形成しフレキシブル配線板が完成する。完成したフレキシブル配線板には半導体素子などの電子部品が実装されて回路装置となる。
セミアディティブ法でフレキシブル配線板を製造するのに用いられる銅張積層板では、銅層は配線加工の電気めっき処理で通電に必要な厚みがあればよく、厚く形成する必要がないため、通常は銅層の膜厚は1μm以下である。このような非常に薄い銅層であるため、銅張積層板にシワがあれば、電気めっきで銅めっき層を積層して形成された配線パターンの位置精度が大きく低下することとなり、シワのない銅張積層板が要求されている。
また、フレキシブル配線板を製造する過程で、フォトレジストなどの硬化をはじめとする熱が銅張積層板に付加されるが、銅張積層板は、銅層と樹脂フィルム層の積層体であり、銅層も樹脂フィルム層も熱や配線加工を起因とする膨張・収縮が起こり、これら膨張・収縮による寸法変動が問題となっている。即ち、フレキシブル配線板の配線ピッチの微細化によりフレキシブル配線板と半導体素子などの電子部品とを接続する際の配線パターンとの位置合わせに係わり、半導体素子の多ピン化の進展に従い要求される位置精度に対応することが厳しくなってきている。
そこで、特許文献1では銅張積層板の一方の表面に補強板を剥離可能な有機物層を介して貼り合わせ、次いで補強板が貼り合わされていない面に回路パターンを形成してから、該可撓性フィルムを該補強板から剥離する回路基板の製造方法の技術が開示されている。しかしながら、補強板を張り合わせる工程、剥離する工程などの製造工程の増加や、接着に用いた有機物質による汚染などの問題が生じ易く、要求される精度に対応した寸法安定性の高いフレキシブル配線板が望まれている。
さらに、フレキシブル配線板の反りについては、特許文献2において、ポリイミドフィルムの製造時にポリイミドフィルムをロール状に巻き取るロールの曲率半径と張力を適切な範囲とすることで、反りの少ないポリイミドフィルムとし、そのポリイミドフィルムを用いて銅張積層板とする技術が開示されている。反りもまた、フレキシブル配線板において配線加工を施す時に、その位置精度を低下させる要因となる。
しかしながら、反りは銅張積層板製造時の熱や加工等にも影響され、特許文献2に開示された技術のみでは、半導体素子の多ピン化の進展に従い要求される高い位置精度に対応するのは困難になりつつあった。
特開2003−124605号公報 特開2006−321219号公報
このような状況の中で本発明は、セミアディティブ法でフレキシブル配線板を製造するために用いられる2層銅張積層板において、シワの発生がなく、高い寸法安定性を有しているとともに、フレキシブル配線板加工中及び加工後の反りが低減される2層銅張積層板およびその製造方法を提供する。さらにこの2層銅張積層板を用いセミアディティブ法で配線加工したフレキシブル配線板およびその製造方法を提供するものである。
本発明の第1の発明は、ポリイミドフィルムの少なくとも一方の表面に、接着剤を介することなく下地金属層と銅層が積層された2層銅張積層板において、使用するポリイミドフィルムが「4,4’−ジアミノジフェニルエーテル」と「ピロメリット酸二無水物」とからなるイミド結合を含むポリイミドフィルムで、銅層の厚みが0.1μm〜1μmからなり、下記(A)及び(B)に示す前記2層銅張積層板の長手(MD)方向の寸法変化を有することを特徴とする2層銅張積層板である。

(A)前記2層銅張積層板のエッチング前の寸法に対してエッチング後の寸法が、0.000% 〜0.010%の範囲で膨張または収縮する寸法変化。
(B)前記2層銅張積層板のエッチング前の寸法に対して、前記2層銅張積層板をエッチング後に熱処理した後の寸法が、0.010%〜0.030%の範囲で収縮する寸法変化。
本発明の第2の発明は、第1の発明におけるポリイミドフィルムの厚みが、10μm〜50μmであることを特徴とする2層銅張積層板である。
本発明の第3の発明は、第1及び第2の発明における下地金属層の厚みが、3nm〜50nmであることを特徴とする2層銅張積層板である。
本発明の第4の発明は、第3の発明における下地金属層が、ニッケル、クロム、ニッケル合金、クロム合金、ニッケル・クロム合金のいずれか1種からなることを特徴とする2層銅張積層板である。
本発明の第5の発明は、第1から第4の発明の2層銅張積層板の下地金属層と銅層を含む配線を有することを特徴とするフレキシブル配線板である。
本発明の第6の発明は、ポリイミドフィルムの少なくとも一方の表面に、接着剤を介することなく下地金属層と銅層が積層された2層銅張積層板の製造方法において、ロール・ツー・ロール方式でポリイミドフィルムに張力を掛けて搬送しながら行う以下の(イ)ポリイミドフィルムを脱水処理する脱水工程と、(ロ)脱水工程を経た脱水処理されたポリイミドフィルムに、乾式めっき法を用いて乾式めっきする乾式めっき工程の2工程を備え、使用するポリイミドフィルムが、「4,4’−ジアミノジフェニルエーテル」と「ピロメリット酸二無水物」とからなるイミド結合を含むポリイミドフィルムで、そのポリイミドフィルムに掛けられる張力が、以下の(ハ)脱水工程における脱水処理では、ポリイミドフィルムの長手(MD)方向の破断強度の0.4%〜0.9%の張力範囲、且つ(ニ)乾式めっき工程における乾式めっき処理では、ポリイミドフィルムの長手(MD)方向の破断強度の1.5%〜3.0%の張力範囲である2層銅張積層板の製造方法である。
本発明の第7の発明は、第6の発明における銅層の厚みが、0.1μm〜1μmであることを特徴とする2層銅張積層板の製造方法である。
本発明の第8の発明は、第6及び第7の発明おけるポリイミドフィルムの厚みが、10μm〜50μmであることを特徴とする2層銅張積層板の製造方法である。
本発明の第9の発明は、第6〜第8の発明における下地金属層の厚みが、3nm〜50nmであることを特徴とする2層銅張積層板の製造方法である。
本発明の第10の発明は、第9の発明における下地金属層が、ニッケル、クロム、ニッケル合金、クロム合金、ニッケル・クロム合金のいずれか1種からなることを特徴とする2層銅張積層板の製造方法である。
本発明の第11の発明は、第6〜第10の発明における2層銅張積層板の長手(MD)方向の寸法変化が、2層銅張積層板のエッチング前の寸法に対するエッチング後の寸法が、0.000% 〜0.010%の範囲で膨張または収縮する寸法変化で、且つ2層銅張積層板をエッチング後に熱処理した後の寸法が、そのエッチング前の寸法に対して、0.010%〜0.030%の範囲で収縮する寸法変化となる2層銅張積層板を製造することを特徴とする2層銅張積層板の製造方法である。
本発明の第12の発明は、第6〜第11の発明の製造方法により得られた2層銅張積層板に、配線加工を施して配線を形成することを特徴とするフレキシブル配線板の製造方法である。
本発明の第13の発明は、第12の発明における配線加工による配線の形成が、セミアディティブ法を用いて行うことを特徴とするフレキシブル配線板の製造方法である。
本発明によれば、2層銅張積層板において、シワの発生がなく、フレキシブル配線板加工中及び加工後に反りが抑制されており、かつ高い寸法安定性を有しているため、高精度で配線ピッチの微細な配線パターンを有するフレキシブル配線板にも好適に用いることができるものである。
本発明の2層銅張積層板の模式的な断面図である。 本発明の乾式めっきの一実施形態であるロール・ツー・ロールスパッタリング装置の一具体例の正面図である。
本発明の2層銅張積層板は、樹脂フィルム基材上に設けられた銅層や下地金属層(以降あわせて金属膜層とも称する。)をエッチングして除去する前後の長手(MD:Machine Dimension)方向の寸法変化率と、この金属膜層がエッチングされた2層銅張積層板を加熱処理した前後のMD方向の寸法変化率を特定の範囲に制御することで、「高い寸法安定性」と「反りを抑制する効果」の両方を併せ持つものである。またその製造時に張力を適正な範囲とすることで「シワを発生させない効果」も有している。
以下に2層銅張積層板、その製造方法と順を追って説明するが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、以下の説明に限定されることはない。
(1)銅張積層板
フレキシブル配線板の製造に用いられる銅張積層板は、接着剤を用いて電解銅箔や圧延銅箔をベース層である絶縁性の樹脂フィルムに接着した「銅箔/接着剤層/樹脂フィルム」からなる3層構造の銅張積層板(以下、3層銅張積層板とも称する。)と、銅層若しくは銅箔と樹脂フィルム基材とが直接接合した「銅層若しくは銅箔/樹脂フィルム」からなる2層構造の銅張積層板(以下、2層銅張積層板とも称する。)とに分類することができる。
本発明の対象とする2層銅張積層板は、更に次の3種類に大別することができる。
即ち、樹脂フィルムの表面に下地金属層と銅層を順次めっきして形成した金属膜層を備える2層銅張積層板(通称メタライジング基板)、銅箔に樹脂フィルムのワニスを塗って絶縁層を形成した2層銅張積層板(通称キャスト基板)、および銅箔に樹脂フィルムをラミネートした2層銅張積層板(通称ラミネート基板)の3種類である。
これらのうち、メタライジング基板は銅層の薄膜化が可能であり、且つ樹脂フィルムと銅層や下地金属層との界面の平滑性が高いため、キャスト基板やラミネート基板あるいは3層銅張積層板と比較して配線ピッチの微細化に適している。
一方、キャスト基板やラミネート基板あるいは3層銅張積層板では、樹脂フィルム等と銅箔の界面のアンカー効果による密着性を向上のため、銅箔の表面うち樹脂フィルム側の表面粗さを粗くしているので、樹脂フィルムと銅箔の界面の平滑性は望めない。そのため、本発明に係る銅張積層板は、2層銅張積層板で、メタライジング基板を用いることが望ましい。
(2)メタライジング基板
図1はメタライジング基板(2層銅張積層板4)の一例を示す模式断面図である。
ポリイミドフィルムを用いた樹脂フィルム基材1の少なくとも片面に、樹脂フィルム基材1側から順に下地金属層2に銅層3が積層された金属膜層5を備える構成である。
ここで、下地金属層2は樹脂フィルム基材1と銅層3との密着性や耐熱性などの信頼性を確保するものである。従って、下地金属層2の材質は、ニッケル、クロム、ニッケルを主成分とするニッケル合金、クロムを主成分とするクロム合金、ニッケル、クロムを主成分とするニッケル・クロム合金のいずれか1種とするのが好ましい。特に、密着強度や配線作製時のエッチングしやすさを考慮すると、ニッケル・クロム合金が適している。
下地金属層2に用いるニッケル・クロム合金は、その組成が、クロムを15質量%以上22質量%以下とするのが望ましく、これにより優れた耐食性や耐マイグレーション性が得られる。このうち、20質量%クロムのニッケル・クロム合金はニクロム合金として流通しており、マグネトロンスパッタリング法のスパッタリングターゲットとして容易に入手可能である。また、ニッケルまたはクロムを含む合金には、クロム、バナジウム、チタン、モリブデン、コバルト等を添加しても良い。さらに、クロム濃度の異なる複数のニッケル・クロム合金の薄膜を積層して、ニッケル・クロム合金に関して濃度勾配を有する下地金属層を成膜しても良い。
下地金属層2の膜厚は、3nm〜50nmが望ましい。
この下地金属層2の膜厚が3nm未満では、ポリイミドフィルムからなる樹脂フィルム基材1と銅層3との密着性を保てず、耐食性や耐マイグレーション性で劣るおそれがある。
一方、下地金属層2の膜厚が50nmを超えると、セミアディティブ法で配線加工する際に下地金属層2の十分な除去が困難な場合が生じる。このように下地金属層2の除去が不十分な場合は、配線間のマイグレーション等の不具合が懸念される。
銅層3は、主に銅で構成され、その膜厚は、0.1μm〜1μmが望ましい。
銅層3の膜厚が0.1μm未満では、後述するセミアディティブ法で銅めっき層を積層する際の導電性の確保が困難になり、電気めっきの際の外観不良に繋がる。
銅層3の膜厚が1μmを超えても2層銅張積層板の品質上の問題は生じないが、2層銅張積層板の生産性が低下するだけでなく、後述するセミアディティブ法で配線パターン以外の銅層をフラッシュエッチングする時の生産性が低下する問題を生じることから1μm以下が望ましい。
樹脂フィルム基材1に使用するポリイミドフィルムは、芳香族ポリイミドフィルムを用いる。ポリイミドフィルムの特性は、芳香族ジアミンと芳香族酸無水物とによるイミド化合物により支配されるので、本発明に係るフレキシブル配線板の製造方法では、ポリイミドフィルムが、「4,4’−ジアミノジフェニルエーテルとピロメリット酸二無水物」からなるイミド化合物を含有している必要がある。
このようなイミド結合をもつポリイミドフィルムには「カプトン(登録商標 東レ・デュポン株式会社製)」が知られている。「カプトン(登録商標)」フィルムは市場で容易に入手することができる。
ポリイミドフィルムの厚みは、柔軟性とフィルムとして形状が保てる厚みであればよく、厚み10μm〜50μmが望ましい。
(3)メタライジング基板の製造方法
次に、メタライジング基板の製造方法の一例としては、以下に示す(a)、(b)の2工程を経て製造される。
(a)脱水工程:樹脂フィルムとして用いるポリイミドフィルムに対して脱水処理を行う。
(b)乾式めっき工程:脱水処理したポリイミドフィルムの少なくとも一方の表面にスパッタリング法などの乾式めっき法で下地金属層を成膜し、下地金属層の表面に乾式めっき法で銅層を成膜する。
なお、本発明のメタライズ基板である2層銅張積層板は、セミアディティブ法によりフレキシブル配線板に加工されるため、上述のように銅層の膜厚が0.1μm〜1μmであり、乾式めっき後に銅層を厚付するための電気めっき工程(湿式めっき工程)は行わない。
以下、メタライジング基板の製造方法について詳しく説明する。
(a)脱水工程
メタライズ基板に用いられるポリイミドフィルムは、後述の乾式めっきを施す前に脱水することが好ましい。この脱水が不十分であると、下地金属層に水分が取り込まれて酸化してしまい、セミアディティブ法を用いたフレキシブル配線板を作製する時に、十分なフラッシュエッチング処理を行うことができない。このため、配線の縁や配線間に下地金属層が溶け残り、エッチング残渣と呼ばれる金属成分が残存することに起因してマイグレーションが発生し、得られるフレキシブル配線板の絶縁信頼性が低下するといった問題がある。
ポリイミドフィルムはロール状に巻回されているので、ロール・ツー・ロールでポリイミドフィルムを搬送しながら連続的に脱水処理を行う。脱水処理の方法は特に限定されないが、ヒーターなどの加熱装置を用いて大気中もしくは減圧雰囲気下で加熱する方法、減圧雰囲気下でプラズマ処理またはイオンビーム処理をする方法など、公知の方法を用いればよい。
これらの方法を用いて、ポリイミドフィルムにシワが発生しないように脱水処理を行う。
(b)乾式めっき工程
ポリイミドフィルムに下地金属層や銅薄膜層を成膜するには、図2に示すロール・ツー・ロールスパッタリング装置を用いればよい。なお、乾式めっき方法はこのスパッタリングに限定されることはなく、真空蒸着、イオンプレーティング等を用いてもかまわない。
この図2に示すロール・ツー・ロールスパッタリング装置10は、直方体状のチャンバー12内にその構成要素のほとんどを収納した構造になっている。チャンバー12の形状は図2の直方体形状に限られるものではなく、10−4Pa〜1Pa程度の減圧状態を維持できるのであれば円筒形状等の他の形状でもよい。
このチャンバー12内に、ポリイミドフィルムからなる樹脂フィルム基材F1が引き出される巻出ロール13、樹脂フィルム基材F1の搬送に追従して回転するフリーロール11a、11b、樹脂フィルム基材F1を外周面に巻き付けて冷却するキャンロール14、マグネトロンカソード式のスパッタリングカソード15a、15b、15c、15d、キャンロール14に隣接して設けられた前フィードロール16aおよび後フィードロール16b、張力センサーを備えたテンションロール17a、17b、下地金属層および銅薄膜層が成膜された樹脂フィルム基材F2をロール状に巻き取る巻取ロール18が設けられている。
これらのうち、巻出ロール13、キャンロール14、前フィードロール16a、および巻取ロール18には回転駆動手段であるサーボモータが備わっている。更に巻出ロール13および巻取ロール18の各々は、パウダークラッチ等によるトルク制御によって搬送中の樹脂フィルム基材の張力バランスを保っている。フリーロール11a、11b、キャンロール14、およびテンションロール17a、17bは、外周面が硬質クロムめっきで仕上げられている。
キャンロール14の内部にはチャンバー12の外部から供給される冷媒や温媒が循環しており、キャンロール14の外周面を略一定の温度に調整することができる。このキャンロール14の外周面に対向してスパッタリングカソード15a〜15dが配置されている。キャンロール14の外周面の幅方向におけるスパッタリングカソード15a〜15dの寸法は、樹脂フィルム基材F1の幅よりも大きいのが好ましい。
上記説明したように銅層が成膜されて、2層銅張積層板のメタライジング基板が得られる。得られたメタライジング基板は、配線加工に適した幅にスリッターで裁断される。
(4)フレキシブル配線板の製造方法
次に、本発明に係るフレキシブル配線板の製造方法を詳細に説明する。
先ず、配線ピッチが微細化されたフレキシブル配線板の配線加工方法としては、セミアディティブ法として以下のものが知られている。
配線加工に適した幅に裁断されたメタライジング基板は、その銅層の表面にフォトレジスト層が形成され、このフォトレジスト層を露光、現像して所望のパターンを形成する。
次に、形成されたフォトレジストパターンをマスクとし、露出した銅層に通電して、電気めっき処理により銅めっき層を積層して配線パターンを形成する。次いでフォトレジスト層をアルカリ溶液等により剥離除去する。フォトレジスト層を剥離除去後に、配線パターン周囲に露出した通電用の銅層をフラッシュエッチングにより溶解除去し、さらにサイドに銅層を除去したことにより露出した下地金属層を溶解除去する。必要に応じて、錫めっきを施し、ソルダーレジスト膜が形成されてフレキシブル配線板が作製される。
フォトレジスト層を形成するフォトレジスト層形成工程は、液状のフォトレジストをスクリーン印刷など公知の塗布方法で銅層表面に塗布され、塗布後、加熱乾燥される。この液状フォトレジストの加熱乾燥の際に、2層銅張積層板も熱が加わり熱処理が行われる。その液状フォトレジストの乾燥条件は、温度100℃〜150℃の範囲で、乾燥時間は5分以上である。
なお、フォトレジスト層はドライフィルムタイプのフォトレジスト(ドライフィルム)を銅層の表面にラミネートしてもよい。
ドライフィルムレジストをラミネートする場合は公知のラミネート方法で、温度100℃〜150℃で数秒以上加圧密着される。瞬間的ではあるが、ドライフィルムレジストのラミネートでも2層銅張積層板には加熱される熱処理が行われる。
フォトレジスト層形成工程の次に露光工程が行われる。
2層銅張積層板の銅層の表面に形成されたフォトレジスト層は、露光工程においては、銅層に配線パターンを形成するために、所定パターンからなるフォトマスクを介して紫外線をフォトレジストに照射し、露光部を形成する。
露光工程の次は現像工程である。
露光されたフォトレジストは、現像工程においては、露光領域を現像液で溶解除去し、開口部を有するフォトレジストパターンが形成される。
現像工程は、現像液に、例えば、温度30℃〜50℃とした炭酸ナトリウム水溶液やトリエタノールアミン水溶液等のアルカリ溶液を用い、現像液をシャワー噴射して行う。
現像工程の次は電気めっき工程である。
フォトレジストパターンが形成された後、この電気めっき工程で、2層銅張積層板は配線パターンに加工される。
電気めっき方法は公知の方法を用いればよく、2層銅張積層板を、銅塩を含むめっき液に浸漬状態とし、銅層及び下地金属層をカソードとして通電することで、フォトレジストパターンの開口部に露出した銅層に銅めっき層が積層される。めっき液も公知の銅めっき液を用いればよく、例えば硫酸銅溶液にブライトナーやポリマー等の添加剤を含有させた銅めっき液を用いることができる。
この電気めっき工程を経て配線パターンが形成されると、フォトレジストパターンはフォトレジスト剥離工程で剥離される。フォトレジスト剥離工程においては、水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリ溶液で、フォトレジストパターンが剥離除去される。
フォトレジスト剥離工程の次はフラッシュエッチング工程である。
フォトレジストパターンが剥離除去され、配線パターンの周囲に露出した銅めっき層が積層されていない銅層およびその下層である下地金属層がフラッシュエッチングにより溶解除去される。フラッシュエッチング液は銅層や下地金属層(以降あわせて金属膜層とも称する。)がエッチングできる組成が望ましい。
使用するエッチング液としては、例えば、硫酸、過酸化水素、塩酸、塩化第二銅、塩化第二鉄及びこれらの組み合わせが用いられる。
以降必要に応じて、錫めっき工程とソルダーレジスト膜形成工程が行われる。
錫めっき工程においては、フラッシュエッチング工程により形成された銅層の配線の表面上に、公知の無電解錫めっき法で、錫めっき層が形成される。
錫めっき工程の後水洗による薬液除去の後、エアーナイフ等の液切により乾燥され、乾燥後は次工程のソルダーレジスト膜形成工程へ移る。
ソルダーレジスト膜形成工程は、スクリーン印刷により、所定パターンのソルダーレジストを配線パターン上に印刷する。
ソルダーレジストには、ポリイミド系(日立化成工業株式会社製:SN−9000)やウレタン系(日本ポリテック株式会社製:NPR−3300)のものが使用可能であり、いずれも加熱により硬化するソルダーレジストである。ソルダーレジスト印刷の後、ソルダーレジストは加熱硬化される。
ソルダーレジストの加熱硬化条件は、温度100℃〜150℃の範囲に加熱される。
ソルダーレジスト加熱硬化でも、2層銅張積層板には、熱処理が施されることになる。
以上の工程を経て、フレキシブル配線板の製品として完成する。そして、必要に応じて電子部品の実装しやすい大きさに裁断される。
以上説明した製造方法にて2層銅張積層板であるメタライズ基板は製造されるが、本発明のメタライズ基板は、金属膜層をエッチングして除去する前後のMD方向の寸法変化率を「−0.010%〜0.010%」、さらにこの金属膜層がエッチングされた2層銅張積層板を加熱処理した後のMD方向の寸法変化率をエッチング前に対して「−0.030%〜−0.010%」とするのが好ましい。
これらの寸法変化率の範囲は、「IPC−TM−650,2.2.4」に準拠して測定される。
金属膜層をエッチングして除去する前後のMD方向の寸法変化率は「Method B」に準拠した測定値により規定され、金属膜層がエッチングされた2層銅張積層板を加熱処理した前後のMD方向の寸法変化率は、「Method C」を準拠した測定値により規定される。なおこれらの測定では、収縮はマイナス値、膨張はプラス値で表される。
この評価方法では、それぞれ金属膜層をエッチングして除去する前後のMD方向の寸法変化率は、セミアディティブ法でのフラッシュエッチング工程を、金属膜層がエッチングされた2層銅張積層板を加熱処理した後のMD方向の寸法変化率は、ソレダーレジスト膜形成工程での寸法変化を想定した指標であり、寸法変化率が0に近いほど寸法安定性は高いとされる。
次に、メタライズ基板およびそれを用いたフレキシブル配線板の反りについては、金属膜層メタライズ基板の残留応力の絶対値が比較的小さく、かつ引張の残留応力を有していれば抑制できると考えられる。また、メタライズ基板ではポリイミドフィルムの厚みの方が厚い等、相対的に金属膜層よりもポリイミドフィルムの影響が大きい。さらに、メタライズ基板を構成するポリイミドフィルムと金属膜層において、金属膜層がエッチングされた2層銅張積層板を加熱処理した後のMD方向の寸法変化が、エッチングのみのMD方向の寸法変化に対して収縮する方向であれば、ポリイミドフィルムは引張の残留応力を有していると考えられる。この特性を有していれば、例えばポリイミドフィルムの片方の面に金属膜層を形成し、金属膜層を上側とした時に、金属膜層を内側にして上方に反ることを防止することができる。
しかしながら金属膜層がエッチングされた2層銅張積層板を加熱処理した後のMD方向の寸法変化率が高い収縮率を示すほど、先ほどの例と同じくポリイミドフィルムの片方の面に金属膜層を形成し、金属膜層を上側とした場合に、反りの方向が変化し、ポリイミドフィルムを内側にして下方に反るようになる。
従って、金属膜層がエッチングされた2層銅張積層板を加熱処理した後のMD方向の寸法変化が、エッチングのみのMD方向の寸法変化に対して収縮する方向であり、かつ金属膜層がエッチングされた2層銅張積層板及びそれを加熱処理した2層銅張積層板のMD方向の寸法変化率の絶対値が適正な範囲内にあれば、メタライズ基板、およびそれを用いたフレキシブル配線板加工中及び加工後の反りを抑制できる。
この上記寸法変化率の範囲は、金属膜層がエッチングされた2層銅張積層板を加熱処理した後のMD方向の寸法変化率が、エッチングのみのMD方向の寸法変化に対して収縮する方向であり、かつ、金属膜層がエッチングされた2層銅張積層板及びそれを加熱処理した2層銅張積層板のMD方向の寸法変化率ともに、数値範囲の絶対値の上限は0.030%のため、メタライズ基板およびそれを用いたフレキシブル配線板は高い寸法安定性を示すとともに、メタライズ基板、およびそれを用いたフレキシブル配線板の加工中及び加工後の反りを抑制することができる。
なおポリイミドフィルムの熱的特性は、芳香族酸無水物と芳香族ジアミンとによるイミド化合物により支配されるので、これらの寸法変化率に係る数値範囲は、4,4’−ジアミノジフェニルエーテルとピロメリット酸二無水物からなるイミド化合物を含有しているポリイミドフィルム特有のものであり、異なる種類のイミド化合物の場合には、上記両寸法変化率の範囲内の値を示したとしても、反りを抑制できる効果が得られないこともある。
その異なる種類のイミド化合物の例としては、芳香族ジアミンと3,3’−4,4’−ジフェニルテトラカルボン酸二無水物とからなるイミド化合物がある。このイミド化合物を含有しているポリイミドフィルムとしては、ユーピレックス(登録商標 宇部興産株式会社製)が知られていており、市場で容易に入手することができる。
これらの寸法変化率の範囲とするために、(3)メタライズ基板の製造方法にて説明した方法に追加して、少なくとも(a)脱水工程の脱水処理時、(b)乾式めっき工程の乾式めっき時において、ロール・ツー・ロールでポリイミドフィルムを搬送する際の張力を、各処理に用いるポリイミドフィルムのMD方向の破断強度との比で、脱水処理は0.4%〜0.9%、乾式めっきは1.5%〜3.0%の張力とするのが好ましい。
これらの工程は、ポリイミドフィルムが加熱されるため、張力を高くすることでポリイミドフィルムに引張の残留応力を効果的に付与することができる。もちろん張力は高いほどポリイミドフィルムの引張の残留応力を高くなるが、処理中にシワが発生したり、ポリイミドフィルムをロールに巻取る際の締め付け力が増大して、次工程でのポリイミドフィルムの巻出しが不安定になることがある。
また、必要以上に高い張力を負荷することによりポリイミドフィルムの引張の残留応力が高くなりすぎて、張力を低く設定した時とは逆方向に反りが発生することがある。ポリイミドフィルムのMD方向の破断強度との比で、脱水処理の張力が0.9%、乾式めっきの張力が3.0%以下であれば、シワの発生はなく、高い寸法安定性と反りが抑制された2層銅張積層板を製造することができる。
一方張力を低くしすぎると反りが発生しやすくなる。ポリイミドフィルムのMD方向の破断強度との比で、脱水処理の張力が0.4%、乾式めっきの張力が1.5%以上であれば、反りの発生もなく2層銅張積層板を製造することができる。
また脱水処理や乾式めっきの張力を上記範囲とすれば、ポリイミドフィルムに引張の残留応力を付与するとともに、本来の目的である脱水処理や乾式めっきを良好に処理することができる。
以下、実施例を用いて本発明をさらに説明する。なお評価方法は以下の通りである。
(外観検査)
2層銅張積層板の表面を目視で観察し、シワ等の外観異常の発生がなければ良好とした。
(MD方向の寸法変化率)
「IPC−TM−650,2.2.4規格」に規定される「Method B」及び「Method C」に準拠して測定した。
(反り量)
2層銅張積層板をセミアディティブ法でフレキシブル配線板に加工した試料を評価に供した。この試料のうちいくつかを150℃、30分加熱し、加熱ありと加熱なしの試料を用意した。これらの試料を水平面に載置し、長手方向の一方の端部に錘を載せて水平面に固定し、他方の端部の2ヶ所の角における水平面からの高さを測定し、その平均値を「反り量」とした。
なお、フレキシブル配線板の配線パターンを形成した面を上側にして水平面に載置し、上方に反った場合の「反り量」をプラスに、配線パターンを形成した面を下側にして水平面に載置し、上方に反った場合の「反り量」をマイナスとした。
「4,4’−ジアミノジフェニルエーテル」と「ピロメリット酸二無水物」からなるイミド化合物を含有する厚み38μmのポリイミドフィルム「カプトン(登録商標)ENA、MD方向の破断強度390MPa」を用意し、ロール・ツー・ロール方式でこのポリイミドフィルム搬送させながら、ポリイミドフィルムの破断強度の0.6%の張力、温度210℃の条件で脱水処理を施した。
脱水処理後、このポリイミドフィルムからなる樹脂フィルム基材の一方の表面に、乾式めっきとして図2のロール・ツー・ロールスパッタリング装置10を用い、ポリイミドフィルムの破断強度の2.3%の張力にて、Crを20重量%含むNi−Cr合金からなる厚み25nmの下地金属層と、その下地金属層の表面に厚み0.3μmの銅層を成膜して、2層銅張積層板を作製した。
その得られた2層銅張積層板の外観検査、MD方向の寸法変化率測定を行った。結果を表1に示す。
次にこの2層銅張積層板をセミアディティブ法にてフレキシブル配線板に加工した工程を説明する。
2層銅張積層板をMD方向に長さ250mm、TD(Transverse Dimension)方向(幅方向)に長さ150mmで切り出し、銅層の表面にドライフィルムレジスト(品名RY−3215、日立化成株式会社製)をラミネートした。このドライフィルムレジストを照度40mJで露光し、温度30℃の1%炭酸ナトリウム水溶液にレジストフィルムを接して現像を行い、フォトレジストパターンの形成を行った。
このフォトレジストパターンの開口部に、市販の硫酸銅めっき浴を用い電気めっき法にて、厚み約9μmの銅めっき層を積層した。その後、フォトレジストパターンを濃度5%の水酸化ナトリウム水溶液を用いて剥離除去した。その後、配線パターンの周囲に露出した銅層を主成分が硫酸及び過酸化水素からなるソフトエッチング液(品名CPE800:菱江化学株式会社製)を用いて、温度30℃、圧力0.1MPaの条件で約30秒間スプレー処理して溶解除去し、露出した下地金属層を市販のニッケル/クロム選択エッチング液(品名CH1920:メック株式会社製)を用いて温度40℃で2秒間浸漬して溶解除去した。これらの工程を経て、ライン/スペース幅:10μm/10μmの配線パターンを有するフレキシブル配線板を作製した。
次いで、得られたフレキシブル配線板の「反り量」測定を行った。これらの結果を表1に示す。
実施例1の脱水処理の張力をポリイミドフィルムの破断強度の0.4%、乾式めっきの張力も同じく1.6%とした以外は、実施例1と同じ条件で2層銅張積層板及びフレキシブル配線板を作製した。
得られた2層銅張積層板の外観検査、MD方向の寸法変化率測定、及びフレキシブル配線板の「反り量」測定を行った。これらの結果を表1に示す。
実施例1の脱水処理の張力をポリイミドフィルムの破断強度の0.9%、乾式めっきの張力も同じく3.0%とした以外は、実施例1と同じ条件で2層銅張積層板及びフレキシブル配線板を作製した。
得られた2層銅張積層板の外観検査、MD方向の寸法変化率測定、及びフレキシブル配線板の「反り量」測定を行った。これらの結果を表1に示す。
(比較例1)
実施例1の脱水処理の張力をポリイミドフィルムの破断強度の0.4%、乾式めっきの張力も同じく0.4%とした以外は、実施例1と同じ条件で2層銅張積層板及びフレキシブル配線板を作製した。
得られた2層銅張積層板の外観検査、MD方向の寸法変化率測定、及びフレキシブル配線板の「反り量」測定を行った。これらの結果を表1に示す。
Figure 2016087898
実施例1〜3より、脱水処理工程及び乾式めっき工程の張力を本発明の範囲内とすることで、「IPC−TM−650,2.2.4」の「Method B」および「Method C」に準拠して測定したMD方向の寸法変化率の絶対値は小さく、また加熱処理した「Method C」の値は加熱処理前の「Method B」に対して収縮方向に変化し、かつ値自体も収縮を示している。これらを反映して、反り量も小さくなっていることが分かる。
また、脱水処理工程及び乾式めっき工程の張力を比較例1よりも高くしているが、2層銅張積層板の外観は良好を維持していることも分かる。
一方、乾式めっき工程の張力が本発明の範囲よりも低い比較例1は、「Method C」の値が加熱処理前の「Method B」に対して収縮方向に変化しているものの値自体も膨張を示しているため、反り量で大きな値をして示していることが分かる。
F1 樹脂フィルム基材
F2 下地金属層および銅薄膜層が成膜された樹脂フィルム基材(2層銅張積層板)
1 樹脂フィルム基材
2 下地金属層
3 銅層
4 2層銅張積層板
5 金属膜層
10 ロール・ツー・ロールスパッタリング装置
11a、11b フリーロール
12 チャンバー
13 巻出ロール
14 キャンロール
15a、15b、15c、15d スパッタリングカソード
16a 前フィードロール
16b 後フィードロール
17a、17b テンションロール
18 巻取ロール

Claims (13)

  1. ポリイミドフィルムの少なくとも一方の表面に、接着剤を介することなく下地金属層と銅層が積層された2層銅張積層板において、
    前記ポリイミドフィルムが、4,4’−ジアミノジフェニルエーテルとピロメリット酸二無水物とからなるイミド結合を含むポリイミドフィルムで、
    前記銅層の厚みが0.1μm〜1μmで、
    下記(A)及び(B)に示す前記2層銅張積層板の長手(MD)方向の寸法変化を有することを特徴とする2層銅張積層板。
    (記)
    (A)前記2層銅張積層板のエッチング前の寸法に対してエッチング後の寸法が、0.000% 〜0.010%の範囲で膨張または収縮する寸法変化。
    (B)前記2層銅張積層板のエッチング前の寸法に対して、前記2層銅張積層板をエッチング後に熱処理した後の寸法が、0.010%〜0.030%の範囲で収縮する寸法変化。
  2. 前記ポリイミドフィルムの厚みが、10μm〜50μmであることを特徴とする請求項1に記載の2層銅張積層板。
  3. 前記下地金属層の厚みが、3nm〜50nmであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の2層銅張積層板。
  4. 前記下地金属層が、ニッケル、クロム、ニッケル合金、クロム合金、ニッケル・クロム合金のいずれか1種からなることを特徴とする請求項3に記載の2層銅張積層板。
  5. 請求項1〜4に記載の2層銅張積層板の下地金属層と銅層を含む配線を有することを特徴とするフレキシブル配線板。
  6. ポリイミドフィルムの少なくとも一方の表面に、接着剤を介することなく下地金属層と銅層が積層された2層銅張積層板の製造方法において、
    ロール・ツー・ロール方式で前記ポリイミドフィルムに張力を掛けて搬送しながら行う以下の(イ)と(ロ)の2工程を備え、
    (イ)前記ポリイミドフィルムを脱水処理する脱水工程、
    (ロ)前記脱水工程を経た脱水処理されたポリイミドフィルムに、乾式めっき法を用いて乾式めっきする乾式めっき工程、
    前記ポリイミドフィルムが、4,4’−ジアミノジフェニルエーテルとピロメリット酸二無水物とからなるイミド結合を含むポリイミドフィルムで、
    前記ポリイミドフィルムに掛けられる張力が、下記(ハ)かつ(ニ)の張力範囲である2層銅張積層板の製造方法。
    (記)
    (ハ)前記脱水工程における脱水処理では、前記ポリイミドフィルムの長手(MD)方向の破断強度の0.4%〜0.9%の張力範囲。
    (ニ)前記乾式めっき工程における乾式めっき処理では、前記ポリイミドフィルムの長手(MD)方向の破断強度の1.5%〜3.0%の張力範囲。
  7. 前記銅層の厚みが、0.1μm〜1μmであることを特徴とする請求項6に記載の2層銅張積層板の製造方法。
  8. 前記ポリイミドフィルムの厚みが、10μm〜50μmであることを特徴とする請求項6又は7に記載の2層銅張積層板の製造方法。
  9. 前記下地金属層の厚みが、3nm〜50nmであることを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項に記載の2層銅張積層板の製造方法。
  10. 前記下地金属層が、ニッケル、クロム、ニッケル合金、クロム合金、ニッケル・クロム合金のいずれか1種からなることを特徴とする請求項9に記載の2層銅張積層板の製造方法。
  11. 2層銅張積層板の長手(MD)方向の寸法変化が、
    前記2層銅張積層板のエッチング前の寸法に対するエッチング後の寸法が、0.000% 〜0.010%の範囲で膨張または収縮する寸法変化で、
    且つ前記2層銅張積層板をエッチング後に熱処理した後の寸法が、前記エッチング前の寸法に対して、0.010%〜0.030%の範囲で収縮する寸法変化となる2層銅張積層板を製造することを特徴とする請求項6〜10のいずれか1項に記載の2層銅張積層板の製造方法。
  12. 請求項6〜11に記載の製造方法により得られた2層銅張積層板に、配線加工を施して配線を形成することを特徴とするフレキシブル配線板の製造方法。
  13. 前記配線加工による配線の形成が、セミアディティブ法を用いて行うことを特徴とする請求項12に記載のフレキシブル配線板の製造方法。
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