JP2016087898A - 2層銅張積層板及びその製造方法、並びにそれを用いたフレキシブル配線板及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】4,4’−ジアミノジフェニルエーテルとピロメリット酸二無水物とからなるイミド結合を含むポリイミドフィルム1の少なくとも一方の表面に接着剤を介することなく下地金属層2と銅層3が積層され、銅層3の厚みが0.1〜1μmで、2層銅張積層板の長手(MD)方向において、2層銅張積層板のエッチング前の寸法に対するエッチング後の寸法が、0.000〜0.010%の範囲で膨張または収縮する寸法変化を示し、且つエッチング後に熱処理した後の寸法が、エッチング前の寸法に対して、0.010〜0.030%の範囲で収縮する寸法変化を示す2層銅張積層板である。
【選択図】図1
Description
使用するフレキシブル配線板は、一般的に銅層とポリイミドフィルム等の樹脂フィルム層とからなる積層構造のフレキシブルな銅張積層板(Flexible Copper Clad Laminationとも称す。)に対して、セミアディティブ法やサブトラクティブ法等を用いて配線加工することで作製されている。
記
(A)前記2層銅張積層板のエッチング前の寸法に対してエッチング後の寸法が、0.000% 〜0.010%の範囲で膨張または収縮する寸法変化。
(B)前記2層銅張積層板のエッチング前の寸法に対して、前記2層銅張積層板をエッチング後に熱処理した後の寸法が、0.010%〜0.030%の範囲で収縮する寸法変化。
以下に2層銅張積層板、その製造方法と順を追って説明するが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、以下の説明に限定されることはない。
フレキシブル配線板の製造に用いられる銅張積層板は、接着剤を用いて電解銅箔や圧延銅箔をベース層である絶縁性の樹脂フィルムに接着した「銅箔/接着剤層/樹脂フィルム」からなる3層構造の銅張積層板(以下、3層銅張積層板とも称する。)と、銅層若しくは銅箔と樹脂フィルム基材とが直接接合した「銅層若しくは銅箔/樹脂フィルム」からなる2層構造の銅張積層板(以下、2層銅張積層板とも称する。)とに分類することができる。
即ち、樹脂フィルムの表面に下地金属層と銅層を順次めっきして形成した金属膜層を備える2層銅張積層板(通称メタライジング基板)、銅箔に樹脂フィルムのワニスを塗って絶縁層を形成した2層銅張積層板(通称キャスト基板)、および銅箔に樹脂フィルムをラミネートした2層銅張積層板(通称ラミネート基板)の3種類である。
一方、キャスト基板やラミネート基板あるいは3層銅張積層板では、樹脂フィルム等と銅箔の界面のアンカー効果による密着性を向上のため、銅箔の表面うち樹脂フィルム側の表面粗さを粗くしているので、樹脂フィルムと銅箔の界面の平滑性は望めない。そのため、本発明に係る銅張積層板は、2層銅張積層板で、メタライジング基板を用いることが望ましい。
図1はメタライジング基板(2層銅張積層板4)の一例を示す模式断面図である。
ポリイミドフィルムを用いた樹脂フィルム基材1の少なくとも片面に、樹脂フィルム基材1側から順に下地金属層2に銅層3が積層された金属膜層5を備える構成である。
この下地金属層2の膜厚が3nm未満では、ポリイミドフィルムからなる樹脂フィルム基材1と銅層3との密着性を保てず、耐食性や耐マイグレーション性で劣るおそれがある。
一方、下地金属層2の膜厚が50nmを超えると、セミアディティブ法で配線加工する際に下地金属層2の十分な除去が困難な場合が生じる。このように下地金属層2の除去が不十分な場合は、配線間のマイグレーション等の不具合が懸念される。
銅層3の膜厚が0.1μm未満では、後述するセミアディティブ法で銅めっき層を積層する際の導電性の確保が困難になり、電気めっきの際の外観不良に繋がる。
銅層3の膜厚が1μmを超えても2層銅張積層板の品質上の問題は生じないが、2層銅張積層板の生産性が低下するだけでなく、後述するセミアディティブ法で配線パターン以外の銅層をフラッシュエッチングする時の生産性が低下する問題を生じることから1μm以下が望ましい。
このようなイミド結合をもつポリイミドフィルムには「カプトン(登録商標 東レ・デュポン株式会社製)」が知られている。「カプトン(登録商標)」フィルムは市場で容易に入手することができる。
ポリイミドフィルムの厚みは、柔軟性とフィルムとして形状が保てる厚みであればよく、厚み10μm〜50μmが望ましい。
次に、メタライジング基板の製造方法の一例としては、以下に示す(a)、(b)の2工程を経て製造される。
(a)脱水工程:樹脂フィルムとして用いるポリイミドフィルムに対して脱水処理を行う。
(b)乾式めっき工程:脱水処理したポリイミドフィルムの少なくとも一方の表面にスパッタリング法などの乾式めっき法で下地金属層を成膜し、下地金属層の表面に乾式めっき法で銅層を成膜する。
以下、メタライジング基板の製造方法について詳しく説明する。
メタライズ基板に用いられるポリイミドフィルムは、後述の乾式めっきを施す前に脱水することが好ましい。この脱水が不十分であると、下地金属層に水分が取り込まれて酸化してしまい、セミアディティブ法を用いたフレキシブル配線板を作製する時に、十分なフラッシュエッチング処理を行うことができない。このため、配線の縁や配線間に下地金属層が溶け残り、エッチング残渣と呼ばれる金属成分が残存することに起因してマイグレーションが発生し、得られるフレキシブル配線板の絶縁信頼性が低下するといった問題がある。
これらの方法を用いて、ポリイミドフィルムにシワが発生しないように脱水処理を行う。
ポリイミドフィルムに下地金属層や銅薄膜層を成膜するには、図2に示すロール・ツー・ロールスパッタリング装置を用いればよい。なお、乾式めっき方法はこのスパッタリングに限定されることはなく、真空蒸着、イオンプレーティング等を用いてもかまわない。
上記説明したように銅層が成膜されて、2層銅張積層板のメタライジング基板が得られる。得られたメタライジング基板は、配線加工に適した幅にスリッターで裁断される。
次に、本発明に係るフレキシブル配線板の製造方法を詳細に説明する。
先ず、配線ピッチが微細化されたフレキシブル配線板の配線加工方法としては、セミアディティブ法として以下のものが知られている。
次に、形成されたフォトレジストパターンをマスクとし、露出した銅層に通電して、電気めっき処理により銅めっき層を積層して配線パターンを形成する。次いでフォトレジスト層をアルカリ溶液等により剥離除去する。フォトレジスト層を剥離除去後に、配線パターン周囲に露出した通電用の銅層をフラッシュエッチングにより溶解除去し、さらにサイドに銅層を除去したことにより露出した下地金属層を溶解除去する。必要に応じて、錫めっきを施し、ソルダーレジスト膜が形成されてフレキシブル配線板が作製される。
ドライフィルムレジストをラミネートする場合は公知のラミネート方法で、温度100℃〜150℃で数秒以上加圧密着される。瞬間的ではあるが、ドライフィルムレジストのラミネートでも2層銅張積層板には加熱される熱処理が行われる。
2層銅張積層板の銅層の表面に形成されたフォトレジスト層は、露光工程においては、銅層に配線パターンを形成するために、所定パターンからなるフォトマスクを介して紫外線をフォトレジストに照射し、露光部を形成する。
露光されたフォトレジストは、現像工程においては、露光領域を現像液で溶解除去し、開口部を有するフォトレジストパターンが形成される。
現像工程は、現像液に、例えば、温度30℃〜50℃とした炭酸ナトリウム水溶液やトリエタノールアミン水溶液等のアルカリ溶液を用い、現像液をシャワー噴射して行う。
フォトレジストパターンが形成された後、この電気めっき工程で、2層銅張積層板は配線パターンに加工される。
電気めっき方法は公知の方法を用いればよく、2層銅張積層板を、銅塩を含むめっき液に浸漬状態とし、銅層及び下地金属層をカソードとして通電することで、フォトレジストパターンの開口部に露出した銅層に銅めっき層が積層される。めっき液も公知の銅めっき液を用いればよく、例えば硫酸銅溶液にブライトナーやポリマー等の添加剤を含有させた銅めっき液を用いることができる。
フォトレジストパターンが剥離除去され、配線パターンの周囲に露出した銅めっき層が積層されていない銅層およびその下層である下地金属層がフラッシュエッチングにより溶解除去される。フラッシュエッチング液は銅層や下地金属層(以降あわせて金属膜層とも称する。)がエッチングできる組成が望ましい。
使用するエッチング液としては、例えば、硫酸、過酸化水素、塩酸、塩化第二銅、塩化第二鉄及びこれらの組み合わせが用いられる。
錫めっき工程においては、フラッシュエッチング工程により形成された銅層の配線の表面上に、公知の無電解錫めっき法で、錫めっき層が形成される。
錫めっき工程の後水洗による薬液除去の後、エアーナイフ等の液切により乾燥され、乾燥後は次工程のソルダーレジスト膜形成工程へ移る。
ソルダーレジストには、ポリイミド系(日立化成工業株式会社製:SN−9000)やウレタン系(日本ポリテック株式会社製:NPR−3300)のものが使用可能であり、いずれも加熱により硬化するソルダーレジストである。ソルダーレジスト印刷の後、ソルダーレジストは加熱硬化される。
ソルダーレジストの加熱硬化条件は、温度100℃〜150℃の範囲に加熱される。
ソルダーレジスト加熱硬化でも、2層銅張積層板には、熱処理が施されることになる。
金属膜層をエッチングして除去する前後のMD方向の寸法変化率は「Method B」に準拠した測定値により規定され、金属膜層がエッチングされた2層銅張積層板を加熱処理した前後のMD方向の寸法変化率は、「Method C」を準拠した測定値により規定される。なおこれらの測定では、収縮はマイナス値、膨張はプラス値で表される。
従って、金属膜層がエッチングされた2層銅張積層板を加熱処理した後のMD方向の寸法変化が、エッチングのみのMD方向の寸法変化に対して収縮する方向であり、かつ金属膜層がエッチングされた2層銅張積層板及びそれを加熱処理した2層銅張積層板のMD方向の寸法変化率の絶対値が適正な範囲内にあれば、メタライズ基板、およびそれを用いたフレキシブル配線板加工中及び加工後の反りを抑制できる。
一方張力を低くしすぎると反りが発生しやすくなる。ポリイミドフィルムのMD方向の破断強度との比で、脱水処理の張力が0.4%、乾式めっきの張力が1.5%以上であれば、反りの発生もなく2層銅張積層板を製造することができる。
2層銅張積層板の表面を目視で観察し、シワ等の外観異常の発生がなければ良好とした。
「IPC−TM−650,2.2.4規格」に規定される「Method B」及び「Method C」に準拠して測定した。
2層銅張積層板をセミアディティブ法でフレキシブル配線板に加工した試料を評価に供した。この試料のうちいくつかを150℃、30分加熱し、加熱ありと加熱なしの試料を用意した。これらの試料を水平面に載置し、長手方向の一方の端部に錘を載せて水平面に固定し、他方の端部の2ヶ所の角における水平面からの高さを測定し、その平均値を「反り量」とした。
なお、フレキシブル配線板の配線パターンを形成した面を上側にして水平面に載置し、上方に反った場合の「反り量」をプラスに、配線パターンを形成した面を下側にして水平面に載置し、上方に反った場合の「反り量」をマイナスとした。
次にこの2層銅張積層板をセミアディティブ法にてフレキシブル配線板に加工した工程を説明する。
2層銅張積層板をMD方向に長さ250mm、TD(Transverse Dimension)方向(幅方向)に長さ150mmで切り出し、銅層の表面にドライフィルムレジスト(品名RY−3215、日立化成株式会社製)をラミネートした。このドライフィルムレジストを照度40mJで露光し、温度30℃の1%炭酸ナトリウム水溶液にレジストフィルムを接して現像を行い、フォトレジストパターンの形成を行った。
次いで、得られたフレキシブル配線板の「反り量」測定を行った。これらの結果を表1に示す。
得られた2層銅張積層板の外観検査、MD方向の寸法変化率測定、及びフレキシブル配線板の「反り量」測定を行った。これらの結果を表1に示す。
得られた2層銅張積層板の外観検査、MD方向の寸法変化率測定、及びフレキシブル配線板の「反り量」測定を行った。これらの結果を表1に示す。
実施例1の脱水処理の張力をポリイミドフィルムの破断強度の0.4%、乾式めっきの張力も同じく0.4%とした以外は、実施例1と同じ条件で2層銅張積層板及びフレキシブル配線板を作製した。
得られた2層銅張積層板の外観検査、MD方向の寸法変化率測定、及びフレキシブル配線板の「反り量」測定を行った。これらの結果を表1に示す。
また、脱水処理工程及び乾式めっき工程の張力を比較例1よりも高くしているが、2層銅張積層板の外観は良好を維持していることも分かる。
F2 下地金属層および銅薄膜層が成膜された樹脂フィルム基材(2層銅張積層板)
1 樹脂フィルム基材
2 下地金属層
3 銅層
4 2層銅張積層板
5 金属膜層
10 ロール・ツー・ロールスパッタリング装置
11a、11b フリーロール
12 チャンバー
13 巻出ロール
14 キャンロール
15a、15b、15c、15d スパッタリングカソード
16a 前フィードロール
16b 後フィードロール
17a、17b テンションロール
18 巻取ロール
Claims (13)
- ポリイミドフィルムの少なくとも一方の表面に、接着剤を介することなく下地金属層と銅層が積層された2層銅張積層板において、
前記ポリイミドフィルムが、4,4’−ジアミノジフェニルエーテルとピロメリット酸二無水物とからなるイミド結合を含むポリイミドフィルムで、
前記銅層の厚みが0.1μm〜1μmで、
下記(A)及び(B)に示す前記2層銅張積層板の長手(MD)方向の寸法変化を有することを特徴とする2層銅張積層板。
(記)
(A)前記2層銅張積層板のエッチング前の寸法に対してエッチング後の寸法が、0.000% 〜0.010%の範囲で膨張または収縮する寸法変化。
(B)前記2層銅張積層板のエッチング前の寸法に対して、前記2層銅張積層板をエッチング後に熱処理した後の寸法が、0.010%〜0.030%の範囲で収縮する寸法変化。 - 前記ポリイミドフィルムの厚みが、10μm〜50μmであることを特徴とする請求項1に記載の2層銅張積層板。
- 前記下地金属層の厚みが、3nm〜50nmであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の2層銅張積層板。
- 前記下地金属層が、ニッケル、クロム、ニッケル合金、クロム合金、ニッケル・クロム合金のいずれか1種からなることを特徴とする請求項3に記載の2層銅張積層板。
- 請求項1〜4に記載の2層銅張積層板の下地金属層と銅層を含む配線を有することを特徴とするフレキシブル配線板。
- ポリイミドフィルムの少なくとも一方の表面に、接着剤を介することなく下地金属層と銅層が積層された2層銅張積層板の製造方法において、
ロール・ツー・ロール方式で前記ポリイミドフィルムに張力を掛けて搬送しながら行う以下の(イ)と(ロ)の2工程を備え、
(イ)前記ポリイミドフィルムを脱水処理する脱水工程、
(ロ)前記脱水工程を経た脱水処理されたポリイミドフィルムに、乾式めっき法を用いて乾式めっきする乾式めっき工程、
前記ポリイミドフィルムが、4,4’−ジアミノジフェニルエーテルとピロメリット酸二無水物とからなるイミド結合を含むポリイミドフィルムで、
前記ポリイミドフィルムに掛けられる張力が、下記(ハ)かつ(ニ)の張力範囲である2層銅張積層板の製造方法。
(記)
(ハ)前記脱水工程における脱水処理では、前記ポリイミドフィルムの長手(MD)方向の破断強度の0.4%〜0.9%の張力範囲。
(ニ)前記乾式めっき工程における乾式めっき処理では、前記ポリイミドフィルムの長手(MD)方向の破断強度の1.5%〜3.0%の張力範囲。 - 前記銅層の厚みが、0.1μm〜1μmであることを特徴とする請求項6に記載の2層銅張積層板の製造方法。
- 前記ポリイミドフィルムの厚みが、10μm〜50μmであることを特徴とする請求項6又は7に記載の2層銅張積層板の製造方法。
- 前記下地金属層の厚みが、3nm〜50nmであることを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項に記載の2層銅張積層板の製造方法。
- 前記下地金属層が、ニッケル、クロム、ニッケル合金、クロム合金、ニッケル・クロム合金のいずれか1種からなることを特徴とする請求項9に記載の2層銅張積層板の製造方法。
- 2層銅張積層板の長手(MD)方向の寸法変化が、
前記2層銅張積層板のエッチング前の寸法に対するエッチング後の寸法が、0.000% 〜0.010%の範囲で膨張または収縮する寸法変化で、
且つ前記2層銅張積層板をエッチング後に熱処理した後の寸法が、前記エッチング前の寸法に対して、0.010%〜0.030%の範囲で収縮する寸法変化となる2層銅張積層板を製造することを特徴とする請求項6〜10のいずれか1項に記載の2層銅張積層板の製造方法。 - 請求項6〜11に記載の製造方法により得られた2層銅張積層板に、配線加工を施して配線を形成することを特徴とするフレキシブル配線板の製造方法。
- 前記配線加工による配線の形成が、セミアディティブ法を用いて行うことを特徴とする請求項12に記載のフレキシブル配線板の製造方法。
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