JP2011171621A - 抵抗層付き銅箔並びに銅張積層板及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】エッチングによる回路形成の時間の短縮、エッチング性の向上、ショートや回路幅の不良の発生を防止できると共に、抵抗体の部品内蔵化が達成できる抵抗層付き銅箔並びに銅張積層板及びその製造方法を提供する。
【解決手段】エッチングにより回路形成を行う電子回路用の銅箔であって、該銅箔の両面にニッケルクロム合金スパッタ膜を有し、一方のニッケルクロム合金スパッタ膜が抵抗層として機能する抵抗層付き銅箔。両面ニッケルクロム合金をスパッタした銅箔を使用した銅張積層板で回路形成することにより、銅面上のニッケルクロム合金層が回路配線のファインピッチ化の妨げとなるサイドエッチングを抑制するだけでなく、銅/基板間のニッケルクロム合金層を抵抗層として機能させることにより、抵抗器の表面実装数を低減することを可能とすると共に、回路配線のファイン化と抵抗体の部品内蔵化により、基板面積を縮小する。
【選択図】図2
【解決手段】エッチングにより回路形成を行う電子回路用の銅箔であって、該銅箔の両面にニッケルクロム合金スパッタ膜を有し、一方のニッケルクロム合金スパッタ膜が抵抗層として機能する抵抗層付き銅箔。両面ニッケルクロム合金をスパッタした銅箔を使用した銅張積層板で回路形成することにより、銅面上のニッケルクロム合金層が回路配線のファインピッチ化の妨げとなるサイドエッチングを抑制するだけでなく、銅/基板間のニッケルクロム合金層を抵抗層として機能させることにより、抵抗器の表面実装数を低減することを可能とすると共に、回路配線のファイン化と抵抗体の部品内蔵化により、基板面積を縮小する。
【選択図】図2
Description
本発明は、エッチングにより回路形成を行う電子回路用の抵抗層付き銅箔並びに銅張積層板及びこれらの製造方法に関する。
電子・電気機器に印刷回路用銅箔が広く使用されているが、この印刷回路用銅箔は、一般に合成樹脂ボードやフィルム等の基材に接着剤を介して、あるいは接着剤を用いずに高温高圧下で接着して銅張積層板を製造し、その後、目的とする回路を形成するためにレジスト塗布及び露光工程により回路を印刷し、さらに銅箔の不要部分を除去するエッチング処理を経、またさらに各種の素子が半田付けされてエレクトロデバイス用の印刷回路が形成されている。
このような印刷回路に使用する銅箔は、その製造方法の種類の違いにより電解銅箔及び圧延銅箔に大別されるが、いずれも印刷回路板の種類や品質要求に応じて使用されている。
これらの銅箔は、樹脂基材と接着される面と非接着面があり、それぞれ特殊な表面処理(トリート処理)が施されている。また、多層プリント配線板の内層に使用する銅箔のように両面に樹脂との接着機能をもつようにされる(ダブルトリート処理)場合もある。
これらの銅箔は、樹脂基材と接着される面と非接着面があり、それぞれ特殊な表面処理(トリート処理)が施されている。また、多層プリント配線板の内層に使用する銅箔のように両面に樹脂との接着機能をもつようにされる(ダブルトリート処理)場合もある。
電解銅箔は一般に回転ドラムに銅を電着させ、それを連続的に剥がして銅箔を製造しているが、この製造時点で回転ドラムに接触する面は光沢面で、その反対側の面は多数の凹凸を有している(粗面)。しかし、このような粗面でも樹脂基板との接着性を一層向上させるために、0.2〜3μm程度の銅粒子を付着させるのが一般的である。
さらに、このような凹凸を増強した上に銅粒子の脱落を防止するために薄いめっき層を形成する場合もある。これらの一連の工程を粗化処理と呼んでいる。このような粗化処理は、電解銅箔に限らず圧延銅箔でも要求されることであり、同様な粗化処理が圧延銅箔においても実施されている。
以上のような銅箔を使用してホットプレス法や連続法により銅張積層板が製造される。この積層板は、例えばホットプレス法を例にとると、エポキシ樹脂の合成、紙基材へのフェノール樹脂の含浸、乾燥を行ってプリプレグを製造し、さらにこのプリプレグと銅箔を組合せプレス機により熱圧成形を行う等の工程を経て製造されている。これ以外にも、銅箔にポリイミド前駆体溶液を乾燥及び固化させて、前記銅箔上にポリイミド樹脂層を形成する方法もある。
このようにして製造された銅張積層板は、目的とする回路を形成するためにレジスト塗布及び露光工程により回路を印刷し、さらに銅箔の不要部分を除去するエッチング処理を経るが、エッチングして回路を形成する際に、その回路が意図した通りの幅にならないという問題がある。
それは、エッチング後の銅箔回路の銅部分が、銅箔の表面から下に向かって、すなわち樹脂層に向かって、末広がりにエッチングされる(ダレを発生する)ことである。大きな「ダレ」が発生した場合には、樹脂基板近傍で銅回路が短絡し、不良品となる場合もある。
それは、エッチング後の銅箔回路の銅部分が、銅箔の表面から下に向かって、すなわち樹脂層に向かって、末広がりにエッチングされる(ダレを発生する)ことである。大きな「ダレ」が発生した場合には、樹脂基板近傍で銅回路が短絡し、不良品となる場合もある。
このような「ダレ」は極力小さくすることが必要であるが、このような末広がりのエッチング不良を防止するために、エッチング時間を延長して、エッチングをより多くして、この「ダレ」を減少させることも考えた。
しかし、この場合は、すでに所定の幅寸法に至っている箇所があると、そこがさらにエッチングされることになるので、その銅箔部分の回路幅がそれだけ狭くなり、回路設計上目的とする均一な線幅(回路幅)が得られず、特にその部分(細線化された部分)で発熱し、場合によっては断線するという問題が発生する。
電子回路のファインパターン化がさらに進行する中で、現在もなお、このようなエッチング不良による問題がより強く現れ、回路形成上で、大きな問題となっている。
しかし、この場合は、すでに所定の幅寸法に至っている箇所があると、そこがさらにエッチングされることになるので、その銅箔部分の回路幅がそれだけ狭くなり、回路設計上目的とする均一な線幅(回路幅)が得られず、特にその部分(細線化された部分)で発熱し、場合によっては断線するという問題が発生する。
電子回路のファインパターン化がさらに進行する中で、現在もなお、このようなエッチング不良による問題がより強く現れ、回路形成上で、大きな問題となっている。
本発明者らは、これらを改善するために、エッチング面側の銅箔に銅よりもエッチング速度が遅い金属又は合金層を形成した銅箔を提案した(特許文献1参照)。この場合の金属又は合金としては、ニッケル、コバルト及びこれらの合金である。
回路設計に際しては、レジスト塗布側、すなわち銅箔の表面からエッチング液が浸透するので、レジスト直下にエッチング速度が遅い金属又は合金層があれば、その近傍の銅箔部分のエッチングが抑制され、他の銅箔部分のエッチングが進行するので、「ダレ」が減少し、より均一な幅の回路が形成できるという効果をもたらした。この結果は、従来技術から見ると、大きな進歩があった。
回路設計に際しては、レジスト塗布側、すなわち銅箔の表面からエッチング液が浸透するので、レジスト直下にエッチング速度が遅い金属又は合金層があれば、その近傍の銅箔部分のエッチングが抑制され、他の銅箔部分のエッチングが進行するので、「ダレ」が減少し、より均一な幅の回路が形成できるという効果をもたらした。この結果は、従来技術から見ると、大きな進歩があった。
一方、銅箔を使用した銅張積層板で回路形成においては、回路配線のファイン化と共に、抵抗体の部品内蔵化が要請されている。回路配線のファイン化と抵抗体の部品内蔵化は、板面積の縮小を課題とするものであり、また製造コストを低減化できるが、これらを同時に対応できる銅箔並びに銅張積層板が存在していないのが現状である。
本発明は、銅張り積層板の銅箔をエッチングにより回路形成を行うに際し、エッチングによる「ダレ」を防止し、目的とする回路幅の均一な回路を形成でき、エッチングによる回路形成の時間をなるべく短縮すると共に、パターンエッチングでのエッチング性の向上、ショートや回路幅の不良の発生を防止できる電子回路用の銅箔並びに銅張積層板を提供すると共に、抵抗体の部品内蔵化が達成できる抵抗層付き銅箔並びに銅張積層板及びその製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、圧延銅箔又は電解銅箔のエッチング面に、複数の層を形成して、エッチング方向に異方性を持たせ、「ダレ」のない回路幅の均一な回路を形成すると共に、抵抗体の部品内蔵化が達成でき、その他電子回路を設計する際の、いくつかの問題を同時に解決できるとの知見を得た。
本発明はこの知見に基づいて、
1)エッチングにより回路形成を行う電子回路用の銅箔であって、該銅箔の両面にニッケルクロム合金スパッタ膜を有し、一方のニッケルクロム合金スパッタ膜が抵抗層として機能することを特徴とする抵抗層付き銅箔
2)ニッケルクロム合金スパッタ膜中のニッケル比率が50質量%を超えることを特徴とする1)記載の抵抗層付き銅箔
3)銅箔が圧延銅箔又は電解銅箔からなることを特徴とする1)又は2)記載の抵抗層付き銅箔
4)銅箔の面に形成されたニッケルクロム合金膜の厚みが1〜50nmであることを特徴とする1)〜3)のいずれか一項に記載の抵抗層付き銅箔
5)上記1)〜4)のいずれか一項に記載の抵抗層付き銅箔を樹脂基板上に有することを特徴とする銅張積層板、を提供する。
1)エッチングにより回路形成を行う電子回路用の銅箔であって、該銅箔の両面にニッケルクロム合金スパッタ膜を有し、一方のニッケルクロム合金スパッタ膜が抵抗層として機能することを特徴とする抵抗層付き銅箔
2)ニッケルクロム合金スパッタ膜中のニッケル比率が50質量%を超えることを特徴とする1)記載の抵抗層付き銅箔
3)銅箔が圧延銅箔又は電解銅箔からなることを特徴とする1)又は2)記載の抵抗層付き銅箔
4)銅箔の面に形成されたニッケルクロム合金膜の厚みが1〜50nmであることを特徴とする1)〜3)のいずれか一項に記載の抵抗層付き銅箔
5)上記1)〜4)のいずれか一項に記載の抵抗層付き銅箔を樹脂基板上に有することを特徴とする銅張積層板、を提供する。
また、本発明は、
6)両面にニッケルクロム合金スパッタ膜A、Bを有する銅箔の片側を樹脂基板に張付けた銅張積層板に抵抗層を形成する抵抗層付き銅張積層板の製造方法であって、前記銅箔外面のニッケルクロム合金スパッタ膜A上に、幅決めしてフォトレジストを塗布し、露光及び現像を行った後、回路となる部分以外のニッケルクロム合金スパッタ膜Aと銅層をエッチングで除去する工程、回路となる部分のニッケルクロム合金スパッタ膜A上のフォトレジストを剥離する工程、ニッケルクロム合金スパッタ膜Aをエッチングにより除去し銅箔層を表面に出現させる工程、表面に出現した銅箔層上に、長さを決めてフォトレジストを塗布し、露光及び現像を行う工程、銅箔層をエッチングにより除去し、ニッケルクロム合金スパッタ膜Bである抵抗層を出現させる工程、フォトレジストを剥離する工程からなり、銅箔層間に抵抗層を有することを特徴とする抵抗層付き銅張積層板の製造方法、を提供する。
6)両面にニッケルクロム合金スパッタ膜A、Bを有する銅箔の片側を樹脂基板に張付けた銅張積層板に抵抗層を形成する抵抗層付き銅張積層板の製造方法であって、前記銅箔外面のニッケルクロム合金スパッタ膜A上に、幅決めしてフォトレジストを塗布し、露光及び現像を行った後、回路となる部分以外のニッケルクロム合金スパッタ膜Aと銅層をエッチングで除去する工程、回路となる部分のニッケルクロム合金スパッタ膜A上のフォトレジストを剥離する工程、ニッケルクロム合金スパッタ膜Aをエッチングにより除去し銅箔層を表面に出現させる工程、表面に出現した銅箔層上に、長さを決めてフォトレジストを塗布し、露光及び現像を行う工程、銅箔層をエッチングにより除去し、ニッケルクロム合金スパッタ膜Bである抵抗層を出現させる工程、フォトレジストを剥離する工程からなり、銅箔層間に抵抗層を有することを特徴とする抵抗層付き銅張積層板の製造方法、を提供する。
本発明は、また
7)ニッケルクロム合金のスパッタ膜中のニッケル比率が50質量%を超えることを特徴とする6)記載の抵抗層付き銅張積層板の製造方法
8)銅箔が圧延銅箔又は電解銅箔からなることを特徴とする6)又は7)記載の抵抗層付き銅張積層板の製造方法
9)銅箔の面に形成されたニッケルクロム合金膜の厚みが1〜50nmであることを特徴とする6)〜8)のいずれか一項に記載の抵抗層付き銅張積層板の製造方法
10)銅箔の両面に予めニッケルクロム合金膜をスパッタリングにより形成することを特徴とする6)〜9)のいずれか一項に記載の抵抗層付き銅張積層板の製造方法、を提供する。
7)ニッケルクロム合金のスパッタ膜中のニッケル比率が50質量%を超えることを特徴とする6)記載の抵抗層付き銅張積層板の製造方法
8)銅箔が圧延銅箔又は電解銅箔からなることを特徴とする6)又は7)記載の抵抗層付き銅張積層板の製造方法
9)銅箔の面に形成されたニッケルクロム合金膜の厚みが1〜50nmであることを特徴とする6)〜8)のいずれか一項に記載の抵抗層付き銅張積層板の製造方法
10)銅箔の両面に予めニッケルクロム合金膜をスパッタリングにより形成することを特徴とする6)〜9)のいずれか一項に記載の抵抗層付き銅張積層板の製造方法、を提供する。
本発明は、両面ニッケルクロム合金をスパッタした銅箔を使用した銅張積層板で回路形成することにより、銅面上のニッケルクロム合金層が回路配線のファインピッチ化の妨げとなるサイドエッチングを抑制するだけでなく、目的とする回路幅のより均一な回路を形成できるという効果を有する。また、エッチングによるダレの発生を防止し、エッチングによる回路形成の時間を短縮することが可能となる。さらに、銅/基板間のニッケルクロム合金層を抵抗層として機能させることにより、抵抗器の表面実装数を低減することを可能とすると共に、回路配線のファイン化と抵抗体の部品内蔵化により、基板面積の縮小を課題とする。これによってパターンエッチングでのエッチング性の向上、ショートや回路幅の不良の発生を防止できる電子回路用の抵抗層付き銅箔及び銅張積層板並びに抵抗層付き銅張積層板の製造方法を提供することができるという優れた効果を有する。
本発明の抵抗層付き銅箔は、エッチングにより回路形成を行う電子回路用の銅箔であって、該銅箔の両面にニッケルクロム合金スパッタ膜を有するものである。そして、一方の面を高いエッチファクタを可能とする処理層とし、他方のニッケルクロム合金スパッタ膜を抵抗層として機能させる。
すなわちニッケルクロム合金層としては、銅張積層板とした段階で、表面に現れるニッケルクロム合金層が高エッチファクタを発現する機能を有し、基板/銅間に存在するニッケルクロム合金層が抵抗層としての機能を有する。ニッケルクロム合金層で二つの機能を具備させることが大きな特徴である。
ニッケルクロム合金層の形成方法としては、スパッタリングのような乾式法の他に、電解或いは無電解めっきのような湿式法があるが、スパッタリングにより形成される薄膜は、ターゲットの成分組成が直接反映され、同成分が成膜できるメリットがある。湿式法の場合、合金の組成比の制御が難しく、厚みのばらつきが生じ易いため、特に抵抗層として機能させる場合、抵抗値のばらつきの原因となる。すなわちニッケルクロム合金層で高エッチファクタ層としての機能と抵抗層としての二つの機能を具備させる場合、抵抗層としての精度向上のためにはスパッタリングのような乾式法で形成することが望ましい。
すなわちニッケルクロム合金層としては、銅張積層板とした段階で、表面に現れるニッケルクロム合金層が高エッチファクタを発現する機能を有し、基板/銅間に存在するニッケルクロム合金層が抵抗層としての機能を有する。ニッケルクロム合金層で二つの機能を具備させることが大きな特徴である。
ニッケルクロム合金層の形成方法としては、スパッタリングのような乾式法の他に、電解或いは無電解めっきのような湿式法があるが、スパッタリングにより形成される薄膜は、ターゲットの成分組成が直接反映され、同成分が成膜できるメリットがある。湿式法の場合、合金の組成比の制御が難しく、厚みのばらつきが生じ易いため、特に抵抗層として機能させる場合、抵抗値のばらつきの原因となる。すなわちニッケルクロム合金層で高エッチファクタ層としての機能と抵抗層としての二つの機能を具備させる場合、抵抗層としての精度向上のためにはスパッタリングのような乾式法で形成することが望ましい。
上記ニッケルクロム合金スパッタ膜中のニッケル比率は、50質量%を超えることが望ましい。これは抵抗層としての機能を持たせるためであり、またこの比率は高いエッチファクタを保有させることができる。
ニッケルクロム合金の組成は、一般電気抵抗用ニッケルクロム合金として、JIS C2532に示されるようなクロムが19〜21質量%含まれるGNC108合金のような市販品を用いることができる。なお、合金の組成は質量%で、合金の組成は、例えば、ニッケル80質量%、クロム20質量%の合金は、「80Ni20Cr」と表記する。
ニッケルクロム合金の組成は、一般電気抵抗用ニッケルクロム合金として、JIS C2532に示されるようなクロムが19〜21質量%含まれるGNC108合金のような市販品を用いることができる。なお、合金の組成は質量%で、合金の組成は、例えば、ニッケル80質量%、クロム20質量%の合金は、「80Ni20Cr」と表記する。
ニッケルクロム合金中のクロム割合を変化させることにより、図1に示すように同じ厚さでも異なるシート抵抗を有するニッケルクロム合金層を形成することができる。
しかし、ニッケルクロム合金中のクロムの割合を大きくすることは、20%Crを30%Crにした場合でも、シート抵抗を大きくする効果が小さく、一方では、クロム割合が大きくなることで一般的なエッチング液である塩化第二鉄、塩化第二銅のようなものに溶け難くなることは知られている。以上を考慮して、ニッケルクロム合金を適宜選択することが可能である。
しかし、ニッケルクロム合金中のクロムの割合を大きくすることは、20%Crを30%Crにした場合でも、シート抵抗を大きくする効果が小さく、一方では、クロム割合が大きくなることで一般的なエッチング液である塩化第二鉄、塩化第二銅のようなものに溶け難くなることは知られている。以上を考慮して、ニッケルクロム合金を適宜選択することが可能である。
銅箔は、電解銅箔及び圧延銅箔のいずれにも適用できる。また、粗化面(M面)又は光沢面(S面)にも同様に適用できる。通常は、光沢面側を使用する。圧延銅箔の中には高純度銅箔又は強度を向上させた合金銅箔も存在するが、本件発明はこれらの銅箔の全てを包含する。この圧延銅箔又は電解銅箔を樹脂と接合して銅張積層板とする。
銅箔の面に形成されたニッケルクロム合金膜の厚みは、1〜50nmとするものが望ましい。ニッケルクロム合金膜の厚さとしては、銅箔の両面で同じでも異なっても良い。
高エッチファクタ層用としては1nm以上であれば良いが、厚くなるに従い、エッチファクタを高める効果があるものの、最終的に銅表面から除去することを考えると、1〜50nmであることが望ましい。
高エッチファクタ層用としては1nm以上であれば良いが、厚くなるに従い、エッチファクタを高める効果があるものの、最終的に銅表面から除去することを考えると、1〜50nmであることが望ましい。
エッチングを抑制するニッケルクロム合金は、銅箔上のレジスト部分に近い位置にあり、レジスト側の銅箔のエッチング速度は、このニッケルクロム合金の層により抑制され、逆にニッケルクロム合金の層から遠ざかるに従い、銅のエッチングは通常の速度で進行する。これによって、銅回路の側面のレジスト側から樹脂基板側に向かってほぼ垂直にエッチングが進行し、矩形の銅箔回路が形成される。
エッチング液には、塩化第二鉄水溶液若しくは塩化第二銅水溶液を用いて銅箔又はニッケルクロム合金をエッチングし、回路を形成する。
その後、抵抗素子を形成するために、アルカリエッチング液で銅を選択エッチングして、必要な抵抗素子を形成する。
その後、抵抗素子を形成するために、アルカリエッチング液で銅を選択エッチングして、必要な抵抗素子を形成する。
一方、抵抗層として使用されるニッケルクロム合金層は、図1に示すようなニッケルクロム合金層の厚さとシート抵抗の関係が得られている。
ニッケルクロム合金層の厚さで任意のシート抵抗を得ることは可能であるが、安定した抵抗値を得るには、5nmより薄いとニッケルクロム合金層厚さの少しの変動がシート抵抗の大きな変動になるため、5nm以上の厚さであることが望ましい。10nm以上であれば、多少の厚さ変動であっても、シート抵抗の変動は小さくなり、更に望ましい。
ニッケルクロム合金層の厚さで任意のシート抵抗を得ることは可能であるが、安定した抵抗値を得るには、5nmより薄いとニッケルクロム合金層厚さの少しの変動がシート抵抗の大きな変動になるため、5nm以上の厚さであることが望ましい。10nm以上であれば、多少の厚さ変動であっても、シート抵抗の変動は小さくなり、更に望ましい。
一方、ニッケルクロム合金層の厚さが厚くなると、厚さによるシート抵抗の変化が小さくなり、抵抗の安定性としては良くなるが、ニッケルクロム合金層が厚くなるほど、またニッケルクロム合金層のCr量が大きくなるに従い、一般的なエッチング液である塩化第二鉄、塩化第二銅のようなものに溶け難くなるため、50nm以下であることが望ましい。
以上から、ニッケルクロム合金層の厚さとしては、1nm以上、特に10nm以上、50nm以下であるならば、抵抗層がエッチング可能であり、かつ数十〜百数十Ω/□のシート抵抗を持つ機能層を有することになり、エッチング性と機能性の両方を満足する層を形成できる。上記抵抗層付き銅箔を樹脂基板上に有する銅張積層板の断面の構造を図2に示す。
抵抗層付き銅張積層板の製造方法は、次の工程からなる。まず、両面にニッケルクロム合金スパッタ膜A、Bを有する銅箔の片側を樹脂基板に張付ける。次に、前記銅箔外面のニッケルクロム合金スパッタ膜A上に、幅決めしてフォトレジストを塗布し、露光及び現像を行った後、回路となる部分以外のニッケルクロム合金スパッタ膜Aと銅層を塩化第二鉄、或いは塩化第二銅でエッチング除去する。
この工程は、エッチファクタが問題となる。ニッケルクロム合金スパッタ膜Aは、高エッチファクタを可能とする。
この工程は、エッチファクタが問題となる。ニッケルクロム合金スパッタ膜Aは、高エッチファクタを可能とする。
(エッチファクタの測定条件)
エッチファクタは、回路のトップ幅(T)とボトム幅(B)の差を1/2にすることで、回路のダレを現しており、銅厚(A)をこれで割り返した値である。この数値が大きいほど、回路断面の傾斜角は大きくなり、エッチング残渣が残らず、「ダレ」が小さくなることを意味する。
エッチファクタ(EF)の計算方法の概略を図3に示す。この図3に示すように、EF=A/((B-T)/2)として計算する。このエッチファクタを用いることにより、エッチング性の良否を簡単に判定できる。
エッチファクタは、回路のトップ幅(T)とボトム幅(B)の差を1/2にすることで、回路のダレを現しており、銅厚(A)をこれで割り返した値である。この数値が大きいほど、回路断面の傾斜角は大きくなり、エッチング残渣が残らず、「ダレ」が小さくなることを意味する。
エッチファクタ(EF)の計算方法の概略を図3に示す。この図3に示すように、EF=A/((B-T)/2)として計算する。このエッチファクタを用いることにより、エッチング性の良否を簡単に判定できる。
次に、回路となる部分のニッケルクロム合金スパッタ膜A上のフォトレジストを剥離し、ニッケルクロム合金スパッタ膜Aを選択エッチングにより除去して、銅箔層を表面に出現させる。表面に出現(露出)した銅箔層上に、予め長さを決めてフォトレジストを塗布し、露光及び現像を行う。
さらに、銅箔層を選択エッチングにより除去し、ニッケルクロム合金スパッタ膜Bである抵抗層を出現(露出)させ、さらにフォトレジストを剥離することにより抵抗層付き銅張積層板が完成する。
さらに、銅箔層を選択エッチングにより除去し、ニッケルクロム合金スパッタ膜Bである抵抗層を出現(露出)させ、さらにフォトレジストを剥離することにより抵抗層付き銅張積層板が完成する。
次に、本発明の実施例及び比較例について説明する。なお、本実施例はあくまで1例であり、この例に制限されるものではない。すなわち、本発明の技術思想の範囲内で、実施例以外の態様あるいは変形を全て包含するものである。
抵抗層としての機能は、ニッケルクロム合金層が均一な場合、シート抵抗は同一なため、その抵抗値は形成する素子の幅と長さにより規定される。つまり、正方形の素子を形成した場合、その幅は同じままで、長さを2倍にした場合、抵抗値は正方形の素子の2倍となる。よって、抵抗層として機能させる場合、エッチングによりニッケルクロム合金層の幅と長さを決める必要がある。
ニッケルクロム抵抗層の製作工程の具体例を、図3に示す。
工程(1)でフォトレジストを塗布し、必要な回路パターンを露光、現像して必要な回路の幅を決める。次に工程(2)のように銅とニッケルクロム合金層を同時に溶解する塩化第二銅又は塩化第二鉄のエッチング液で回路形成を行う。
続いて、工程(3)のように回路上のフォトレジストを除去し、回路は銅の上にニッケルクロム合金層が残った状態とする。次に工程(4)に示すように、ニッケルクロム合金の選択エッチング液で、銅上のニッケルクロム合金を除去する。
次に、抵抗素子形成のため、工程(5)に示すように、フォトレジストで素子の長さを決め、工程(6)のように銅を選択エッチングすることで幅と長さを規定した抵抗素子を作製する。工程(7)が抵抗層付き銅張積層板の完成図である。
工程(1)でフォトレジストを塗布し、必要な回路パターンを露光、現像して必要な回路の幅を決める。次に工程(2)のように銅とニッケルクロム合金層を同時に溶解する塩化第二銅又は塩化第二鉄のエッチング液で回路形成を行う。
続いて、工程(3)のように回路上のフォトレジストを除去し、回路は銅の上にニッケルクロム合金層が残った状態とする。次に工程(4)に示すように、ニッケルクロム合金の選択エッチング液で、銅上のニッケルクロム合金を除去する。
次に、抵抗素子形成のため、工程(5)に示すように、フォトレジストで素子の長さを決め、工程(6)のように銅を選択エッチングすることで幅と長さを規定した抵抗素子を作製する。工程(7)が抵抗層付き銅張積層板の完成図である。
本願発明に使用される銅箔並びに銅張積層板は特に限定されるものではない。銅箔は電解銅箔又は圧延銅箔のいずれでも良く、また銅張積層板はキャスト法、ラミネート法、メタライジング法のいずれにも適用できる。
比較例及び実施例においては、メタライジング法の銅張積層板を用いた。
比較例及び実施例においては、メタライジング法の銅張積層板を用いた。
まず、最初にポリイミドフィルムを真空装置内にセットし真空排気後、酸素をチャンバー内に導入し、チャンバー圧力を10Paに調整し、プラズマ処理をした。次に、上記のプラズマ処理したポリイミドフィルム表面にスパッタリングにより、0〜50nmの範囲で厚さを変えたタイコート層(ニッケルクロム合金;80Ni20Cr、70Ni30Cr、93Ni7Cr)と、その上に銅層を300nm形成した。なお、タイコート層は図2のB層に相当する。
さらに、上記のタイコート層とその上の銅層の上に電気めっきにより厚さ8.5、5、12μmの電解銅箔層を形成することにより、メタライジング法の銅張積層板を作製した。この銅張積層板に対し、その電解銅箔層表面にさらにスパッタリングにより、0〜50nmのニッケルクロム合金;80Ni20Crを形成した。なお、このスパッタ層は図2のA層に相当する。
次に、銅張積層板はエッチファクタを評価するため、液体レジストを塗工、乾燥した後、ライン25ミクロン、スペース15ミクロンの回路が描写された40ミクロンピッチのガラスマスクを用い、露光、現像、乾燥した後、塩化第二鉄溶液(40°ボーメ、液温50°C、スプレー圧0.2MPa)を使用し、液体レジストを剥離後、乾燥させてエッチファクタの評価を実施した。
一方、シート抵抗の評価はエッチファクタの評価とは別に、銅張積層板を予めニッケルクロムの選択エッチング液で表層(A層)のニッケルクロム合金を除去し、その後、アンモニアアルカリエッチング液(温度50°C、浸漬)で銅を選択的に全面エッチングすることで積層板上にニッケルクロム膜(B層)だけを残し、シート抵抗を測定した。測定は、KEITHLEY社2002マルチメーターに四探針プローブを付け、シート抵抗値を測定した。
(比較例)
比較例1は、8.5μmの銅箔の上下にニッケルクロム膜がない場合であり、塩化第二鉄でエッチングした結果、その際のエッチファクタは1.69であり、シート抵抗としてはニッケルクロムがないため、直接絶縁体を測ることになるため、データとしてはない。
比較例2は、比較例1のエッチング液を塩化第二銅に変えた場合であり、その際のエッチファクタは1.85であり、シート抵抗としてはニッケルクロムがないため、直接絶縁体を測ることになるため、データとしてはない。
比較例1は、8.5μmの銅箔の上下にニッケルクロム膜がない場合であり、塩化第二鉄でエッチングした結果、その際のエッチファクタは1.69であり、シート抵抗としてはニッケルクロムがないため、直接絶縁体を測ることになるため、データとしてはない。
比較例2は、比較例1のエッチング液を塩化第二銅に変えた場合であり、その際のエッチファクタは1.85であり、シート抵抗としてはニッケルクロムがないため、直接絶縁体を測ることになるため、データとしてはない。
(実施例1)
実施例1は、8.5μmの銅箔の上にA層としてニッケルクロム膜(80Ni20Cr)を3nm形成し、銅箔の下にB層としてニッケルクロム膜(80Ni20Cr)を10nm形成した場合であり、塩化第二鉄でエッチングした結果、その際のエッチファクタは2.93となり、比較例に比べ、高いエッチファクタを示した。シート抵抗については、167Ω/□であった。
実施例1は、8.5μmの銅箔の上にA層としてニッケルクロム膜(80Ni20Cr)を3nm形成し、銅箔の下にB層としてニッケルクロム膜(80Ni20Cr)を10nm形成した場合であり、塩化第二鉄でエッチングした結果、その際のエッチファクタは2.93となり、比較例に比べ、高いエッチファクタを示した。シート抵抗については、167Ω/□であった。
(実施例2)
実施例2は、8.5μmの銅箔の上にニッケルクロム膜(80Ni20Cr)を10nm形成し、銅箔の下にB層としてニッケルクロム膜(80Ni20Cr)を3nm形成した場合であり、塩化第二鉄でエッチングした結果、その際のエッチファクタは3.04となり、実施例1に比べ、ニッケルクロム膜が厚くなったことにより、更に高いエッチファクタを示した。シート抵抗については、568Ω/□であり、実施例1に比べ、ニッケルクロム膜が薄くなったことにより、シート抵抗は高くなった。
実施例2は、8.5μmの銅箔の上にニッケルクロム膜(80Ni20Cr)を10nm形成し、銅箔の下にB層としてニッケルクロム膜(80Ni20Cr)を3nm形成した場合であり、塩化第二鉄でエッチングした結果、その際のエッチファクタは3.04となり、実施例1に比べ、ニッケルクロム膜が厚くなったことにより、更に高いエッチファクタを示した。シート抵抗については、568Ω/□であり、実施例1に比べ、ニッケルクロム膜が薄くなったことにより、シート抵抗は高くなった。
(実施例3)
実施例3は、8.5μmの銅箔の上にニッケルクロム膜(80Ni20Cr)を10nm形成し、銅箔の下にB層としてニッケルクロム膜(80Ni20Cr)を10nm形成した場合であり、エッチング液を塩化第二銅に変えた場合であり、その際のエッチファクタは3.06となった。シート抵抗については、実施例1と同じである。
実施例3は、8.5μmの銅箔の上にニッケルクロム膜(80Ni20Cr)を10nm形成し、銅箔の下にB層としてニッケルクロム膜(80Ni20Cr)を10nm形成した場合であり、エッチング液を塩化第二銅に変えた場合であり、その際のエッチファクタは3.06となった。シート抵抗については、実施例1と同じである。
(実施例4)
実施例4は、実施例3のA層とB層のニッケルクロム膜(80Ni20Cr)を30nmに変えた場合であり、塩化第二銅でエッチングした結果、その際のエッチファクタは6.54となり、実施例3に比べ、ニッケルクロム膜が厚くなったことにより、更に高いエッチファクタを示した。シート抵抗については、55Ω/□であり、実施例3に比べ、ニッケルクロム膜が厚くなったことにより、シート抵抗は低くなった。
実施例4は、実施例3のA層とB層のニッケルクロム膜(80Ni20Cr)を30nmに変えた場合であり、塩化第二銅でエッチングした結果、その際のエッチファクタは6.54となり、実施例3に比べ、ニッケルクロム膜が厚くなったことにより、更に高いエッチファクタを示した。シート抵抗については、55Ω/□であり、実施例3に比べ、ニッケルクロム膜が厚くなったことにより、シート抵抗は低くなった。
(実施例5)
実施例5は、実施例4のA層とB層のニッケルクロム膜(80Ni20Cr)を50nmに変えた場合であり、その際のエッチファクタは5.15となり、実施例4に比べ、エッチファクタは頭打ちとなったが、比較例2と比べ、エッチファクタは高くなった。シート抵抗については、33Ω/□であり、実施例4に比べ、ニッケルクロム膜が厚くなったことにより、シート抵抗は低くなった。
実施例5は、実施例4のA層とB層のニッケルクロム膜(80Ni20Cr)を50nmに変えた場合であり、その際のエッチファクタは5.15となり、実施例4に比べ、エッチファクタは頭打ちとなったが、比較例2と比べ、エッチファクタは高くなった。シート抵抗については、33Ω/□であり、実施例4に比べ、ニッケルクロム膜が厚くなったことにより、シート抵抗は低くなった。
(実施例6)
実施例6は、銅厚5μmの銅箔の上にA層としてニッケルクロム膜(80Ni20Cr)を10nm形成し、銅箔の下にB層としてニッケルクロム膜(93Ni7Cr)を10nm形成した場合であり、塩化第二鉄でエッチングした結果、エッチファクタは6.30となり、銅厚を薄くすることで、エッチファクタは更に高くなった。シート抵抗については、B層中のCr濃度が低くなったことにより、同じ10nmの実施例1と比較してシート抵抗は低くなり、107Ω/□であった。
実施例6は、銅厚5μmの銅箔の上にA層としてニッケルクロム膜(80Ni20Cr)を10nm形成し、銅箔の下にB層としてニッケルクロム膜(93Ni7Cr)を10nm形成した場合であり、塩化第二鉄でエッチングした結果、エッチファクタは6.30となり、銅厚を薄くすることで、エッチファクタは更に高くなった。シート抵抗については、B層中のCr濃度が低くなったことにより、同じ10nmの実施例1と比較してシート抵抗は低くなり、107Ω/□であった。
(実施例7)
実施例7は、銅厚12μmの銅箔の上にA層としてニッケルクロム膜(80Ni20Cr)を10nm形成し、銅箔の下にB層としてニッケルクロム膜(70Ni30Cr)を10nm形成にした場合であり、塩化第二鉄でエッチングした結果、エッチファクタは1.93となり、銅厚を厚くすることで、実施例2の銅厚8.5μmの場合よりエッチファクタは小さくなるが、比較例1の8.5μmの銅箔の上下にニッケルクロム膜がない場合より、エッチファクタは大きくなり、銅厚が厚い場合にもニッケルクロム膜のエッチファクタ向上効果が示された。シート抵抗については、B層中のCr濃度が高くなったことにより、同じ10nmの実施例1や実施例6と比較してシート抵抗は高くなり、186Ω/□であった。
実施例7は、銅厚12μmの銅箔の上にA層としてニッケルクロム膜(80Ni20Cr)を10nm形成し、銅箔の下にB層としてニッケルクロム膜(70Ni30Cr)を10nm形成にした場合であり、塩化第二鉄でエッチングした結果、エッチファクタは1.93となり、銅厚を厚くすることで、実施例2の銅厚8.5μmの場合よりエッチファクタは小さくなるが、比較例1の8.5μmの銅箔の上下にニッケルクロム膜がない場合より、エッチファクタは大きくなり、銅厚が厚い場合にもニッケルクロム膜のエッチファクタ向上効果が示された。シート抵抗については、B層中のCr濃度が高くなったことにより、同じ10nmの実施例1や実施例6と比較してシート抵抗は高くなり、186Ω/□であった。
(実施例8)
実施例8は、8.5μmの銅箔の上にA層としてニッケルクロム膜(70Ni30Cr)を10nm形成し、銅箔の下にB層としてニッケルクロム膜(70Ni30Cr)を30nm形成した場合であり、塩化第二鉄でエッチングした結果、エッチファクタは3.09となり、シート抵抗値は61Ω/□となった。シート抵抗は、実施例7と比べ、低くなっており、ニッケルクロム膜が厚くなったことにより、シート抵抗は低くなった。
実施例8は、8.5μmの銅箔の上にA層としてニッケルクロム膜(70Ni30Cr)を10nm形成し、銅箔の下にB層としてニッケルクロム膜(70Ni30Cr)を30nm形成した場合であり、塩化第二鉄でエッチングした結果、エッチファクタは3.09となり、シート抵抗値は61Ω/□となった。シート抵抗は、実施例7と比べ、低くなっており、ニッケルクロム膜が厚くなったことにより、シート抵抗は低くなった。
(実施例9)
実施例9は、実施例8のニッケルクロムの組成を93Ni7Crに変えた場合であり、エッチファクタは3.21となり、シート抵抗値は35Ω/□となった。シート抵抗は、実施例8と比べ、低くなっており、ニッケルクロム膜のCr濃度が低くなったことにより、シート抵抗は低くなった。
実施例9は、実施例8のニッケルクロムの組成を93Ni7Crに変えた場合であり、エッチファクタは3.21となり、シート抵抗値は35Ω/□となった。シート抵抗は、実施例8と比べ、低くなっており、ニッケルクロム膜のCr濃度が低くなったことにより、シート抵抗は低くなった。
本発明は、両面ニッケルクロム合金をスパッタした銅箔を使用した銅張積層板で回路形成することにより、銅面上のニッケルクロム合金層が回路配線のファインピッチ化の妨げとなるサイドエッチングを抑制するだけでなく、目的とする回路幅のより均一な回路を形成できるという効果を有する。
また、エッチングによる「ダレ」の発生を防止し、エッチングによる回路形成の時間を短縮することが可能となる。さらに、銅/基板間のニッケルクロム合金層を抵抗層として機能させることにより、抵抗器の表面実装数を低減することを可能とすると共に、回路配線のファイン化と抵抗体の部品内蔵化により、基板面積の縮小を課題とする。
また、エッチングによる「ダレ」の発生を防止し、エッチングによる回路形成の時間を短縮することが可能となる。さらに、銅/基板間のニッケルクロム合金層を抵抗層として機能させることにより、抵抗器の表面実装数を低減することを可能とすると共に、回路配線のファイン化と抵抗体の部品内蔵化により、基板面積の縮小を課題とする。
これによってパターンエッチングでのエッチング性の向上、ショートや回路幅の不良の発生を防止できる電子回路用の抵抗層付き銅箔及び銅張積層板並びに抵抗層付き銅張積層板の製造方法を提供することができるという優れた効果を有するので、銅張積層板(リジッド及びフレキ用)としての利用、プリント基板の電子回路の形成への利用が可能である。
Claims (10)
- エッチングにより回路形成を行う電子回路用の銅箔であって、該銅箔の両面にニッケルクロム合金スパッタ膜を有し、一方のニッケルクロム合金スパッタ膜が抵抗層として機能することを特徴とする抵抗層付き銅箔。
- ニッケルクロム合金スパッタ膜中のニッケル比率が50質量%を超えることを特徴とする請求項1記載の抵抗層付き銅箔。
- 銅箔が圧延銅箔又は電解銅箔からなることを特徴とする請求項1又は2記載の抵抗層付き銅箔。
- 銅箔の面に形成されたニッケルクロム合金膜の厚みが1〜50nmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の抵抗層付き銅箔。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載の抵抗層付き銅箔を樹脂基板上に有することを特徴とする銅張積層板。
- 両面にニッケルクロム合金スパッタ膜A、Bを有する銅箔の片側を樹脂基板に張付けた銅張積層板に抵抗層を形成する抵抗層付き銅張積層板の製造方法であって、前記銅箔外面のニッケルクロム合金スパッタ膜A上に、幅決めしてフォトレジストを塗布し、露光及び現像を行った後、回路となる部分以外のニッケルクロム合金スパッタ膜Aと銅層をエッチングで除去する工程、回路となる部分のニッケルクロム合金スパッタ膜A上のフォトレジストを剥離する工程、ニッケルクロム合金スパッタ膜Aをエッチングにより除去し銅箔層を表面に出現させる工程、表面に出現した銅箔層上に、長さを決めてフォトレジストを塗布し、露光及び現像を行う工程、銅箔層をエッチングにより除去し、ニッケルクロム合金スパッタ膜Bである抵抗層を出現させる工程、フォトレジストを剥離する工程からなり、銅箔層間に抵抗層を有することを特徴とする抵抗層付き銅張積層板の製造方法。
- ニッケルクロム合金のスパッタ膜中のニッケル比率が50質量%を超えることを特徴とする請求項6記載の抵抗層付き銅張積層板の製造方法。
- 銅箔が圧延銅箔又は電解銅箔からなることを特徴とする請求項6又は7記載の抵抗層付き銅張積層板の製造方法。
- 銅箔の面に形成されたニッケルクロム合金膜の厚みが1〜50nmであることを特徴とする請求項6〜8のいずれか一項に記載の抵抗層付き銅張積層板の製造方法。
- 銅箔の両面に予めニッケルクロム合金膜をスパッタリングにより形成することを特徴とする請求項6〜9のいずれか一項に記載の抵抗層付き銅張積層板の製造方法。
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---|---|---|---|---|
WO2013047847A1 (ja) * | 2011-09-30 | 2013-04-04 | Jx日鉱日石金属株式会社 | プリント配線板用銅箔及びそれを用いた積層板 |
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-
2010
- 2010-02-22 JP JP2010035707A patent/JP2011171621A/ja not_active Withdrawn
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