JP5043154B2 - 電子回路用銅箔及び電子回路の形成方法 - Google Patents
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Description
これらの銅箔は、樹脂基材と接着される面と非接着面があり、それぞれ特殊な表面処理(トリート処理)が施されている。また、多層プリント配線板の内層に使用する銅箔のように両面に樹脂との接着機能をもつようにされる(ダブルトリート処理)場合もある。
電解銅箔は一般に回転ドラムに銅を電着させ、それを連続的に剥がして銅箔を製造しているが、この製造時点で回転ドラムに接触する面は光沢面で、その反対側の面は多数の凹凸を有している(粗面)。しかし、このような粗面でも樹脂基板との接着性を一層向上させるために、0.2〜3μm程度の銅粒子を付着させるのが一般的である。
さらに、このような凹凸を増強した上に銅粒子の脱落を防止するために薄いめっき層を形成する場合もある。これらの一連の工程を粗化処理と呼んでいる。このような粗化処理は、電解銅箔に限らず圧延銅箔でも要求されることであり、同様な粗化処理が圧延銅箔においても実施されている。
このようにして製造された銅張り積層板は、目的とする回路を形成するためにレジスト塗布及び露光工程により回路を印刷し、さらに銅箔の不要部分を除去するエッチング処理を経るが、ここで大きな問題が発生した。
このような末広がりのエッチング不良を防止するために、図3に示すようにエッチング時間を延長してエッチングをより高める方法を採用した。
しかし、この場合は図3の符号5に示すように、銅回路の側面が極端に狭くなり、回路設計上目的とする均一な線幅(回路幅)が得られず、特にその部分(細線化された部分)で発熱し、場合によっては断線するという問題が発生した。
最近では電子回路のファインパターン化が要求されているが、このようなエッチング不良による問題がより強く現れ、回路形成上大きな問題となっている。
下記特許文献2には、銅箔をエッチングする際に、塩化第二鉄溶液でエッチングする技術が、特許文献3には、厚さ1000〜10000Å(100〜1000μm)の銅箔に、厚さ10〜300Å(1〜30μ)のニッケルの被覆層を形成して腐食を抑制する技術が開示されている。しかし、これらは断片的技術であり、また皮膜の膨大な厚さは電子回路のファインパターン化に適合しない厚さである。したがって、従来の問題は未解決で残っているのが現状である。
本発明はこの知見に基づいて、
1 エッチングにより回路形成を行う電子回路用銅箔において、エッチング面側に銅よりエッチングレートの遅い金属又は合金層を形成したことを特徴とする電子回路用銅箔
2 銅張り積層板であることを特徴とする上記1記載の電子回路用銅箔
3 銅よりエッチングレートの遅い金属又は合金層がコバルト、ニッケル又はこれらの合金層であることを特徴とする上記1又は2記載の電子回路用銅箔
4 100〜10000μg/dm2の金属又は合金層を形成することを特徴とする上記1〜3記載の電子回路用銅箔
5 銅箔のエッチング側面の傾斜角度が、80〜95度の範囲にあることを特徴とする上記1〜4のそれぞれに記載の電子回路用銅箔
6 銅箔のエッチング側面の傾斜角度が、85〜90度の範囲にあることを特徴とする上記1〜4のそれぞれに記載の電子回路用銅箔、を提供する。
7 銅張り積層板の銅箔をエッチングし電子回路を形成する方法において、銅箔のエッチング面側に銅よりエッチングレートの遅い金属又は合金層を形成した後、塩化第二銅水溶液を用いて該銅箔をエッチングし、回路を形成することを特徴とする電子回路の形成方法
8 銅よりエッチングレートの遅い金属又は合金層がコバルト、ニッケル又はこれらの合金層であることを特徴とする上記7記載の電子回路の形成方法
9 100〜10000μg/dm2の金属又は合金層を形成することを特徴とする上記7又は8記載の電子回路の形成方法
10 銅箔のエッチング側面の傾斜角度が、80〜95度の範囲にあることを特徴とする上記7〜9のそれぞれに記載の電子回路の形成方法
11 銅箔のエッチング側面の傾斜角度が、85〜90度の範囲にあることを特徴とする上記7〜9のそれぞれに記載の電子回路の形成方法、を提供するものである。
圧延銅箔の中には高純度銅箔又は強度を向上させた合金銅箔も存在するが、本件発明はこれらの銅箔の全てを包含する。
銅よりエッチングレートの遅い金属又は合金層を形成する材料としては、コバルト、ニッケル又はこれらの合金が使用できるが、特にコバルト、ニッケル又はこれらの合金が好適である。合金層としては、Co−P、Ni−P、Co−Ni、Co−Zn、Ni−Znが使用できる。
これによって、銅回路の側面6のレジスト3側から樹脂基板4側に向かってほぼ垂直にエッチングが進行し、矩形の銅箔回路が形成される。
(コバルトめっき)
Co:1〜20g/L
pH:1〜4
温度:常温〜60°C
電流密度Dk:1〜15A/dm2
時間:1〜10秒
Ni:1〜20g/L
pH:1〜4
温度:常温〜60°C
電流密度Dk:1〜15A/dm2
時間:1〜10秒
Co:1〜20g/L
Ni:1〜20g/L
温度:常温〜60°C
電流密度Dk:1〜15A/dm2
時間:1〜10秒
上記の条件でエッチングすることにより、銅箔回路のエッチング側面と樹脂基板との間の傾斜角度が80〜95度の範囲にすることができる。特に望ましい傾斜角度は85〜90度の範囲である。これによって、ダレのない矩形のエッチング回路が形成できる。
12μm電解銅箔の光沢(S)面に、コバルトめっきを施した。
めっき条件は次の通りである。
Co:10g/L
pH:2.5
温度:50°C
電流密度Dk:5A/dm2
時間:2秒
このコバルトめっき層を設けた銅箔をエッチング側とし、樹脂基板に接着して銅張り積層板とした。その後、レジスト塗布及び露光工程により10本の回路を印刷し、さらに銅箔の不要部分を除去するエッチング処理を実施した。
エッチング液は塩化第二銅水溶液を用いた。エッチング条件は次の通りである。
水溶液組成:CuCl2、CuO、HCl(3.5M/L)
S.G.(比重):1.26
温度:50°C
搬送スピード:0.77m/min(槽長770mm)
上面回路幅:0.222mm
次に、エッチングした銅箔の傾斜角度を測定した(なお、この測定値は、エッチング回路10の平均値である)。その結果左傾斜角91.8度であり、右傾斜角89.4°であり、ほぼ矩形の銅箔回路が形成され、極めて良好なエッチング回路が得られた。
12μm電解銅箔の粗化(M)面に、ニッケルめっきを施した。
めっき条件は次の通りである。
Ni:10g/L
pH:2.5
温度:50°C
電流密度Dk:5A/dm2
時間:8秒
このニッケルめっき層を設けた銅箔をエッチング側として樹脂基板に接着し、銅張り積層板とした。その後、レジスト塗布及び露光工程により10本の回路を印刷し、さらに銅箔の不要部分を除去するエッチング処理を実施した。
エッチング液は塩化第二銅水溶液を用いた。エッチング条件は次の通りである。
水溶液組成:CuCl2、CuO、HCl(3.5M/L)
S.G.(比重):1.26
温度:50°C
搬送スピード:0.77m/min(槽長770mm)
上面回路幅:0.232mm
次に、エッチングした銅箔の傾斜角度を測定した(なお、この測定値は、エッチング回路10の平均値である)。その結果左傾斜角81.5度であり、右傾斜角82.5°であり、図1に示すような、ほぼ矩形の銅箔回路が形成され、良好なエッチング回路が得られた。
12μm電解銅箔の光沢(S)面に、コバルトめっきを施した。
めっき条件は次の通りである。
Co:10g/L
pH:2.5
温度:50°C
電流密度Dk:5A/dm2
時間:14秒
このコバルトめっき層を設けた銅箔をエッチング面側として樹脂基板に接着し、エッチング側とし、銅張り積層板とした。その後、レジスト塗布及び露光工程により10本の回路を印刷し、さらに銅箔の不要部分を除去するエッチング処理を実施した。
水溶液組成:CuCl2、CuO、HCl(3.5M/L)
S.G.(比重):1.26
温度:50°C
搬送スピード:0.77m/min(槽長770mm)
上面回路幅:0.220mm
12μm電解銅箔を、粗化(M)面側をエッチング面として、樹脂基板に接着して銅張り積層板とした後、レジスト塗布及び露光工程により10本の回路を印刷し、さらに銅箔の不要部分を除去するエッチング処理を実施した。
エッチング液は塩化第二銅水溶液を用いた。エッチング条件は次の通りである。
水溶液組成:CuCl2、CuO、HCl(3.5M/L)
S.G.(比重):1.26
温度:50°C
搬送スピード:0.77m/min(槽長770mm)
上面回路幅:0.233mm
表1から明らかなように、100〜10000μg/dm2の範囲にあるコバルトめっき及びニッケルめっきは、ほぼ矩形の銅箔回路が形成され、極めて良好なエッチング回路が得られた。特にコバルトめっき層は少量でも優れたエッチング性が得られた。
これに対して、めっき層を設けていないものは、ダレが大きく台形状の銅箔回路が形成され、エッチング不良であった。また、逆にめっき層が多すぎると、レジスト側に比べて樹脂基板側が過度にエッチングされ、逆台形状の銅箔回路が形成されて、エッチング不良の回路が形成された。
実施例では、コバルト層及びニッケル層を形成した場合について説明したが、これらの合金層でも同様な効果があることを確認した。しかし、合金めっきに比べ,コバルトめっき及びニッケルめっきの単独層はめっき液及びめっき条件の管理が容易なので、めっき処理操作上より効果的である。
2:ダレが発生した銅箔エッチング面
3:レジスト
4:樹脂基板
5:過度にエッチングされた銅箔エッチング面
6:基板に対してほぼ垂直である銅箔エッチング面
7:コバルト又はニッケル等の金属又は合金層
Claims (3)
- エッチングにより回路形成を行う電子回路用銅箔であって、銅箔(但し、厚さが35μm以上の銅箔を除く)のエッチング面側にニッケルめっき又はニッケル合金めっき層を、100〜6600μg/dm2形成したことを特徴とする電子回路用銅箔。
- 銅張り積層板であることを特徴とする請求項1記載の電子回路用銅箔。
- 銅張り積層板の銅箔をエッチングし電子回路を形成する方法であって、銅箔(但し、厚さが35μm以上の銅箔を除く)のエッチング面側にニッケルめっき又はニッケル合金めっき層を100〜6600μg/dm2形成した後、塩化第二銅水溶液を用いて該銅箔をエッチングし、回路を形成することを特徴とする電子回路の形成方法。
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JP2010131709A JP5043154B2 (ja) | 2010-06-09 | 2010-06-09 | 電子回路用銅箔及び電子回路の形成方法 |
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