JP2011177899A - 無接着剤フレキシブルラミネート及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】少なくとも一方の面がプラズマ処理されたポリイミドフィルムと、その上に形成されたタイコート層と、該タイコート層上に形成された金属導体層を有し、さらに該金属導体層の上に前記タイコート層と同一成分の層を有することを特徴とする無接着剤フレキシブルラミネート。
【選択図】図1
Description
このメタライジング法においては、金属層とポリイミドフィルムとの密着力を高めるために、金属層を形成するに先立ち、ポリイミドフィルム表面をプラズマ処理により、表面の汚染物質の除去ならびに表面粗さの向上を目的として改質を行うことが行われる(特許文献1及び2参照)。
インヒビターを含むエッチング液は、従来のエッチングラインで適用可能であるが、金属導体層の厚みや回路配線のピッチにより、同一基板内に存在する様々な回路配線幅で形状が異なり、配線の直線性に劣るという問題を解決するに至っていない。
それは、エッチング後の銅箔回路の銅部分が、銅箔の表面から下に向かって、すなわち樹脂層に向かって、末広がりにエッチングされる(「ダレ」を発生する)ことである。大きな「ダレ」が発生した場合には、樹脂基板近傍で銅回路が短絡し、不良品となる場合もある。
しかし、この場合は、すでに所定の幅寸法に至っている箇所があると、そこがさらにエッチングされることになるので、その銅箔部分の回路幅がそれだけ狭くなり、回路設計上目的とする均一な線幅(回路幅)が得られず、特にその部分(細線化された部分)で発熱し、場合によっては断線するという問題が発生する。
電子回路のファインパターン化がさらに進行する中で、現在もなお、このようなエッチング不良による問題がより強く現れ、回路形成上で、大きな問題となっている。
1)少なくとも一方の面がプラズマ処理されたポリイミドフィルムと、その上に形成されたタイコート層と、該タイコート層上に形成された金属導体層を有し、さらに該金属導体層の上に銅よりエッチングレートの低い金属層を有することを特徴とする無接着剤フレキシブルラミネート
2)該金属導体層の上に形成された銅よりエッチングレートの低い金属層がニッケル、コバルト、ニッケル合金、コバルト合金のいずれか1種から選択したスパッタ層であることを特徴とする1)に記載の無接着剤フレキシブルラミネート
3)少なくとも一方の面がプラズマ処理されたポリイミドフィルムと、その上に形成されたタイコート層と、該タイコート層上に形成された金属導体層を有し、さらに該金属導体層の上に形成されたニッケル、コバルト、ニッケル合金、コバルト合金のいずれか1種から選択したスパッタ層が前記タイコート層と同一成分の層であることを特徴とする2)記載の無接着剤フレキシブルラミネート
4)金属導体層上に形成された層が、厚さが1〜10nmのスパッタ層であることを特徴とする1)〜3)のいずれか一項に記載の無接着剤フレキシブルラミネート。
5)前記タイコート層が、厚さ5〜100nmのニッケル、コバルト、ニッケル合金、コバルト合金のいずれか1種から選択したスパッタ層であることを特徴とする1)〜4)記載の無接着剤フレキシブルラミネート
6)前記金属導体層が銅又は銅合金であることを特徴とする1)〜5)記載の無接着剤フレキシブルラミネート、を提供する。
7)ポリイミドフィルムの少なくとも一方の面にグロー放電によるプラズマ処理した後、タイコート層をスパッタリングにより形成し、次に該スパッタ層上に金属導体層を形成し、更に該金属導体層上に銅よりエッチングレートの低い金属層をスパッタリングにより形成することを特徴とする無接着剤フレキシブルラミネートの製造方法。
8)ポリイミドフィルムの少なくとも一方の面にグロー放電によるプラズマ処理した後、タイコート層をスパッタリングにより形成し、次に該スパッタ層上に金属導体層を形成し、更に該金属導体層上にニッケル、コバルト、ニッケル合金、コバルト合金のいずれか1種から選択したターゲット材を用いてスパッタリングにより形成することを特徴とする7)に記載の無接着剤フレキシブルラミネートの製造方法。
9)ポリイミドフィルムの少なくとも一方の面にグロー放電によるプラズマ処理した後、タイコート層をスパッタリングにより形成し、次に該スパッタ層上に金属導体層を形成し、更に該金属導体層上に前記タイコート層と同一成分のターゲット材を用いてスパッタリングにより形成することを特徴とする7)〜8)に記載の無接着剤フレキシブルラミネートの製造方法。
10)前記金属導体層上に、スパッタリングによって、厚さが1〜10nmのスパッタ層を形成することを特徴とする7)〜9)のいずれか一項に記載の無接着剤フレキシブルラミネートの製造方法
11)前記プラズマ処理面に、ニッケル、コバルト、ニッケル合金、コバルト合金のいずれか1種から選択したターゲット材料を用いてスパッタリングして厚さ5〜100nmのタイコート層を形成することを特徴とする7)〜10)記載の無接着剤フレキシブルラミネートの製造方法。
12)前記金属導体層に銅又は銅合金を用いることを特徴とする7)〜11)記載の無接着剤フレキシブルラミネートの製造方法、を提供する。
すなわち、これにより無接着剤フレキシブルラミネートの金属銅体層をエッチングにより回路形成を行うに際し、エッチングによる「ダレ」の発生を防止し、エッチングによる回路形成の時間を短縮することが可能である。すなわち、目的とする回路幅のより均一な回路を形成でき、パターンエッチングでのエッチング性の向上、ショートや回路幅の不良の発生を防止できる電子回路用の無接着剤フレキシブルラミネートを提供することができる効果を有する。
タイコート層は、ポリイミドフィルム層と金属導体層との密着性を高めるための中間層を意味する。「タイコート層」の用語は、前記特許文献1(特許第3173511号公報)でも使用されているもので、一般的は技術用語として知られているものである。本願明細書においては、必要に応じて「タイコート層」の用語を使用する。
ニッケル合金、コバルト合金については、それぞれニッケル、コバルトを主成分(50wt%以上含有する)とする合金であって、副成分は特に制限されない。既存の合金であれば全て適用できるものである。スパッタリングにより形成される薄膜は、ターゲットの成分組成が直接反映され、同成分が成膜できる。
前記金属導体層としては、銅または銅合金を使用することができる。これも同様に他の導電性に富む材料の選択を否定するものではない。
タイコート層と同じ成分が、高いエッチファクタを持つという認識が非常に重要なことであり、本願発明において、初めて知見されたものである。この場合の層の厚さは、1nm未満では効果が低く、また10nmを超えるとスパッタ層の金属、或いは合金自体の溶解し難くなり、スパッタ層内にエッチング液が浸透することで、金属導体層とスパッタ層の界面での剥離を促進し、エッチング中に膜としてレジスト開口部から除去される際、不均一に剥離することがあり、金属導体層の不均一なエッチングにもつながるため、スパッタ厚さ1〜10nmが適当である。
具体的には、前記プラズマ処理面に、ニッケル、コバルト、ニッケル合金、コバルト合金のいずれか1種から選択したターゲット材料を用いてスパッタリングして厚さ5〜100nmのタイコート層を形成することができる。そして、上記の通り、前記金属導体層に銅又は銅合金を用いることができる。
この層は、金属導体層の回路形成時のサイドエッチングを抑制してエッチングによるダレの発生を防止し、高いエッチファクタを有する。
まず、最初にポリイミドフィルムを真空装置内にセットし真空排気後、酸素をチャンバー内に導入し、チャンバー圧力を10Paに調整し、プラズマ処理をした。
さらに、上記のタイコート層とその上の銅層の上に電気めっきにより銅からなる金属導体層(厚さ8.5、5、12μm)を形成することにより、無接着剤フレキシブルラミネートを作製した。
この無接着剤フレキシブルラミネートに対し、その金属導体層表面にさらにスパッタリングにより、1〜10nmのスパッタ層を形成した。
表1にエッチファクタの評価結果を示す。エッチング時間は、回路配線幅はトップ幅(T)を12±1ミクロンに揃えるためにサンプルによって異なる。
スペース15ミクロンのレジスト開口部から浸入したエッチング液が、ボトムに向かってエッチングが進むだけでなく、サイドエッチングも同時に起こすため、一定のトップ幅までのエッチングした場合、エッチファクタの低いサンプルはボトム幅(B)が大きくなる。一方、サイドエッチングが抑制されたサンプルでは、ボトム方向へのエッチングが優先的に進行するため、トップ幅(T)とボトム幅(B)の差は小さくなる。
この表1に示すように、実施例1は3nmのニッケル合金(Ni/Cr=80/20)のタイコート層を形成し、銅厚8.5ミクロンにした後、3nmのニッケル合金(Ni/Cr=80/20)のスパッタ層を形成した場合、塩化第二鉄エッチングにおいて、エッチファクタは2.93と高くなる。さらに、実施例2は10nmのニッケル合金(Ni/Cr=80/20)のタイコート層を形成し、銅厚8.5ミクロンにした後、ニッケル合金(Ni/Cr=80/20)の10nmのスパッタ層を形成した場合であり、塩化第二鉄エッチングにおいて、エッチファクタが3.04と高くなることがわかった。
実施例3は、実施例2のニッケル合金(Ni/Cr=80/20)を組成比が異なるニッケル合金(Ni/Cr=93/7)に変え、エッチング液を塩化第二鉄から塩化第二銅に変えた場合であり、エッチファクタは3.06である。実施例2と実施例3は、ニッケル合金の組成比、及びエッチング液が異なっても、エッチファクタに大きな差は見られない。
実施例5は実施例4のニッケルのタイコート層とスパッタ層を10nmのコバルトのタイコート層とスパッタ層に変更した場合であり、塩化第二銅エッチングにおいて、エッチファクタが2.66となった。
実施例6は実施例5のコバルトのタイコート層とスパッタ層を10nmのコバルト合金(Co/Cr=80/20)に変更した場合であり、塩化第二銅エッチングにおいて、エッチファクタが2.98となった。
実施例8は、実施例2の銅厚を8.5ミクロンから12ミクロンと厚くした場合であり、銅厚が厚くなることにより、実施例2よりエッチファクタが低くなり、1.93となったが、比較例1と比べ、銅厚が厚いにもかかわらず、エッチファクタは高くなっており、ニッケル合金スパッタ膜で高いエッチファクタが可能となる裏付けである。
Claims (12)
- 少なくとも一方の面がプラズマ処理されたポリイミドフィルムと、その上に形成されたタイコート層と、該タイコート層上に形成された金属導体層を有し、さらに該金属導体層の上に銅よりエッチングレートの低い金属よりなる層を有することを特徴とする
無接着剤フレキシブルラミネート。 - 銅よりエッチングレートの低い金属よりなる層がニッケル、コバルト、ニッケル合金、コバルト合金のいずれか1種から選択したスパッタ層であることを特徴とする請求項1に記載の無接着剤フレキシブルラミネート。
- ニッケル、コバルト、ニッケル合金、コバルト合金のいずれか1種から選択したスパッタ層が前記タイコート層と同一成分の層を有することを特徴とする請求項2に記載の無接着剤フレキシブルラミネート。
- 金属導体層上に形成された層が、厚さが1〜10nmのスパッタ層であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の無接着剤フレキシブルラミネート。
- 前記タイコート層が、厚さ5〜100nmであることを特徴とする請求項1〜4記載の無接着剤フレキシブルラミネート。
- 前記金属導体層が銅又は銅合金であることを特徴とする請求項1〜5記載の無接着剤フレキシブルラミネート。
- ポリイミドフィルムの少なくとも一方の面にグロー放電によるプラズマ処理した後、タイコート層をスパッタリングにより形成し、次に該スパッタ層上に金属導体層を形成し、更に該金属導体層上に銅よりエッチングレートの低い金属層をスパッタリングにより形成することを特徴とする無接着剤フレキシブルラミネートの製造方法。
- ポリイミドフィルムの少なくとも一方の面にグロー放電によるプラズマ処理した後、タイコート層をスパッタリングにより形成し、次に該スパッタ層上に金属導体層を形成し、更に該金属導体層上にニッケル、コバルト、ニッケル合金、コバルト合金のいずれか1種から選択したターゲット材を用いてスパッタリングにより形成することを特徴とする請求項7に記載の無接着剤フレキシブルラミネートの製造方法。
- ポリイミドフィルムの少なくとも一方の面にグロー放電によるプラズマ処理した後、タイコート層をスパッタリングにより形成し、次に該スパッタ層上に金属導体層を形成し、更に該金属導体層上に前記タイコート層と同一成分のターゲット材を用いてスパッタリングにより形成することを特徴とする請求項7〜8に記載の無接着剤フレキシブルラミネートの製造方法。
- 前記金属導体層上に、スパッタリングによって、厚さが1〜10nmのスパッタ層を形成することを特徴とする請求項7〜9のいずれか一項に記載の無接着剤フレキシブルラミネートの製造方法
- 前記プラズマ処理面に、ニッケル、コバルト、ニッケル合金、コバルト合金のいずれか1種から選択したターゲット材料を用いてスパッタリングして厚さ5〜100nmのタイコート層を形成することを特徴とする請求項7〜10記載の無接着剤フレキシブルラミネートの製造方法。
- 前記金属導体層に銅又は銅合金を用いることを特徴とする7)〜11)記載の無接着剤フレキシブルラミネートの製造方法。
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