JP6252987B2 - 2層銅張積層板及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、フレキシブル配線板に用いられる、ポリイミドフィルムの少なくとも一方の表面に接着剤を介することなく下地金属層と銅層が積層された2層銅張積層板およびその製造方法に関する。
フレキシブル配線板は、その自在に屈曲できる性質を活かしてハードディスクの読み書きヘッドやプリンターヘッドなどの電子機器の可動部の屈曲を要する配線部分、液晶ディスプレイ装置内のわずかな隙間を通す配線部分などに広く用いられている。
使用するフレキシブル配線板は、一般的に銅層とポリイミドフィルム等の樹脂フィルム層とからなる積層構造のフレキシブルな銅張積層板(Flexible Copper Clad Laminationとも称す)に対して、サブトラクティブ法等を用いて配線加工することで作製されている。
この配線加工法の一つであるサブトラクティブ法とは、銅張積層板の銅層を化学エッチング処理して配線以外の不要部分を除去する方法である。
具体的には、銅張積層板の銅層の表面にフォトレジスト層を成膜した後、このフォトレジスト層にパターニング処理を施すことにより導体配線として残したい部分以外の銅層の表面を露出させ、この銅層の露出部分を、銅を溶かすエッチング液を用いて選択的に除去することで導体配線を形成し、その後水洗するものである。その後、必要に応じて配線に錫めっき等を施し、錫めっき後、必要な個所にソルダーレジストを塗布し硬化させてソルダーレジスト膜を形成しフレキシブル配線板が完成する。完成したフレキシブル配線板には半導体素子などの電子部品が実装されて回路装置となる。
このように、フレキシブル配線板を製造する過程で、ソルダーレジストなどの硬化をはじめとする熱が銅張積層板に付加されるが、銅張積層板は、銅層と樹脂フィルム層の積層体であり、銅層も樹脂フィルム層も熱や配線加工を起因とする膨張・収縮が起こり、これら膨張・収縮による寸法変動が問題となっている。
即ち、フレキシブル配線板の配線ピッチの微細化によりフレキシブル配線板と半導体素子などの電子部品とを接続する際の配線パターンとの位置合わせに係わり、半導体素子の多ピン化の進展に従い要求される精度に対応することが厳しくなってきている。
そこで、特許文献1では銅張積層板の一方の表面に補強板を剥離可能な有機物層を介して貼り合わせ、次いで補強板が貼り合わされていない面に回路パターンを形成してから、該可撓性フィルムを該補強板から剥離する回路基板の製造方法の技術が開示されている。しかしながら、補強板を張り合わせる工程、剥離する工程などの製造工程の増加や、接着に用いた有機物質による汚染などの問題が生じ易く、要求される精度に対応した寸法安定性の高いフレキシブル配線板が望まれている。
また、特に液晶ディスプレイ等の電子機器において、これらの大型化や薄型化により、フレキシブル配線板が引き回す配線長が増大する傾向もある。
この配線長の増大により、電子機器の組み立て工程においては、フレキシブル配線板上の電極と他のフレキシブル配線板上にはない電極とを接続する際に、フレキシブル配線板の反りや垂れに伴う電極同士の位置合わせ時間が増加し、電子機器組み立て工程の生産性低下が問題となってきた。
さらに、フレキシブル配線板の反りについては、特許文献2において、ポリイミドフィルムの製造時にポリイミドフィルムをロール状に巻き取るロールの曲率半径と張力を適切な範囲とすることで、反りの少ないポリイミドフィルムとし、そのポリイミドフィルムを用いて銅張積層板とする技術が開示されている。
しかしながら、銅張積層板の垂れに関しては特に言及されておらず、垂れが少ない銅張積層板およびそれを用いたフレキシブル配線板が望まれている。
特開2003−124605号公報 特開2006−321219号公報
このような状況の中で本発明は、高い寸法安定性を有しているとともに、垂れが抑制される2層銅張積層板及びその製造方法を提供し、さらにこの2層銅張積層板を用いたフレキシブル配線板を提供するものでもある。
本発明の第1の発明は、ポリイミドフィルムの少なくとも一方の表面に接着剤を介することなく下地金属層と銅層が積層された2層銅張積層板において、そのポリイミドフィルムが、芳香族ジアミンと3,3’−4,4’−ジフェニルテトラカルボン酸二無水物とからなるイミド結合を含むポリイミドフィルムで、2層銅張積層板の長手(MD)方向における寸法挙動が、下記(A)及び(B)の挙動を有することを特徴とする2層銅張積層板である。
(A)前記2層銅張積層板のエッチング前の寸法に対するエッチング後の寸法が、0.000% 〜0.030%の範囲で膨張する挙動。
(B)前記2層銅張積層板をエッチング後に熱処理した後の寸法が、前記熱処理する前の寸法に対して、0.009%〜0.030%の範囲で収縮する挙動。
本発明の第2の発明は、第1の発明における銅層の厚みが、5μm〜12μmであることを特徴とする2層銅張積層板である。
本発明の第3の発明は、第1及び第2の発明におけるポリイミドフィルムの厚みが、10μm〜50μmであることを特徴とする2層銅張積層板である。
本発明の第4の発明は、第1から第3の発明における下地金属層の厚みが、3nm〜50nmであることを特徴とする2層銅張積層板である。
本発明の第5の発明は、第4の発明における下地金属層が、ニッケル、クロム、またはこれらを主成分とする合金の何れか1種を含有していることを特徴とする2層銅張積層板である。
本発明の第6の発明は、第1の発明に記載の2層銅張積層板に配線加工を施したことを特徴とするフレキシブル配線板である。
本発明の第7の発明は、ポリイミドフィルムの少なくとも一方の表面に接着剤を介することなく下地金属層と銅層が積層された2層銅張積層板の製造方法において、ロール・ツー・ロール方式でポリイミドフィルムに張力を掛けて搬送しながら、(イ)ポリイミドフィルムを脱水処理する脱水工程、(ロ)脱水工程を経た脱水処理されたポリイミドフィルムに、乾式めっき法を用いて乾式めっきする乾式めっき工程、(ハ)乾式めっき工程を経た乾式めっき処理されたポリイミドフィルムに、湿式めっき法を用いて湿式めっき処理する湿式めっき工程の(イ)から(ハ)の3工程を備え、そのポリイミドフィルムが、芳香族ジアミンと3,3’−4,4’−ジフェニルテトラカルボン酸二無水物とからなるイミド結合を含むポリイミドフィルムで、そのポリイミドフィルムに掛けられる張力が、下記(ニ)、(ホ)、(へ)のいずれかの張力範囲であることを特徴とする2層銅張積層板の製造方法である。
(記)
(ニ)前記脱水工程における脱水処理では、前記ポリイミドフィルムの長手(MD)方向の破断強度の0.8%〜2.0%の張力範囲、
(ホ)前記乾式めっき工程における乾式めっき処理では、前記ポリイミドフィルムの長手(MD)方向の破断強度の2.5%〜3.5%の張力範囲、
(へ)前記脱水工程における脱水処理では、前記ポリイミドフィルムの長手(MD)方向の破断強度の0.8%〜2.0%の張力範囲、且つ前記乾式めっき工程における乾式めっき処理では、前記ポリイミドフィルムの長手(MD)方向の破断強度の2.5%〜3.5%の張力範囲。
本発明の第8の発明は、第7の発明における銅層の厚みが、5μm〜12μmであることを特徴とする2層銅張積層板の製造方法である。
本発明の第9の発明は、第7及び第8の発明のおけるポリイミドフィルムの厚みが、10μm〜50μmであることを特徴とする2層銅張積層板の製造方法である。
本発明の第10の発明は、第7〜第9の発明における下地金属層の厚みが、3nm〜50nmであることを特徴とする2層銅張積層板の製造方法である。
本発明の第11の発明は、第10の発明における下地金属層が、ニッケル、クロム、またはこれらを主成分とする合金の何れか1種を含有していることを特徴とする2層銅張積層板の製造方法である。
本発明の第12の発明は、第7〜第11の発明における2層銅張積層板の長手(MD)方向の寸法変化は、2層銅張積層板をエッチングした後の寸法がエッチング前の寸法に対して0.000% 〜0.030%の範囲で膨張する寸法変化で、かつ、2層銅張積層板をエッチングして熱処理した後の寸法が熱処理前の寸法に対して、0.009%〜0.030%の範囲で収縮する寸法変化であることを特徴とする2層銅張積層板の製造方法である。
本発明の第13の発明は、第7の発明に記載の製造方法により得られた2層銅張積層板に、配線加工を施したことを特徴とするフレキシブル配線板の製造方法である。
本発明の第14の発明は、第13の発明における配線加工が、サブトラクティブ法により行われたことを特徴とするフレキシブル配線板の製造方法である。
本発明によれば、2層銅張積層板の「垂れ」が抑制されているため、本発明に係る2層銅張基板を用いたフレキシブル配線板も垂れが抑制されることから、電子機器の組み立て工程において、位置合わせが容易となり生産性の向上を可能とする。
また本発明の2層銅張積層板は、高い寸法安定性を併せ持ち、配線ピッチが微細化されたフレキシブル配線板にも好適に用いることもできるものである。
本発明の2層銅張積層板の模式的な断面図である。 本発明の乾式めっきの一実施形態であるロール・ツー・ロールスパッタリング装置の一具体例の正面図である。 本発明の湿式めっきの一実施形態であるロール・ツー・ロール電気めっき装置の一具体例の正面図である。 垂れ量を評価する方法の模式図である。
本発明の2層銅張積層板は、金属膜層をエッチングして除去する前後の長手(MD:Machine Dimension)方向の寸法変化率と、この金属膜層がエッチングされた2層銅張積層板を加熱処理した前後のMD方向の寸法変化率を特定の範囲に制御することで、「高い寸法安定性」と「垂れを抑制する効果」の両方を併せ持つものである。
以下に2層銅張積層板、その製造方法と順を追って説明するが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、以下の説明に限定されることはない。
(1)銅張積層板
フレキシブル配線板の製造に用いられる銅張積層板は、接着剤を用いて電解銅箔や圧延銅箔をベース層である絶縁性の樹脂フィルムに接着した「銅箔/接着剤層/樹脂フィルム」からなる3層構造の銅張積層板(以下、3層銅張積層板とも称する。)と、銅層若しくは銅箔と樹脂フィルム基材とが直接接合した「銅層若しくは銅箔/樹脂フィルム」からなる2層構造の銅張積層板(以下、2層銅張積層板とも称する。)とに分類することができる。
本発明の対象とする2層銅張積層板は、更に次の3種類に大別することができる。
即ち、樹脂フィルムの表面に下地金属層と銅層を順次めっきして形成した2層銅張積層板(通称メタライジング基板)、銅箔に樹脂フィルムのワニスを塗って絶縁層を形成した2層銅張積層板(通称キャスト基板)、および銅箔に樹脂フィルムをラミネートした2層銅張積層板(通称ラミネート基板)の3種類である。
これらのうち、メタライジング基板は銅層の薄膜化が可能であり、且つ樹脂フィルムと銅層や下地金属層との界面の平滑性が高いため、キャスト基板やラミネート基板あるいは3層銅張積層板と比較して配線ピッチの微細化に適している。
一方、キャスト基板やラミネート基板あるいは3層銅張積層板では、樹脂フィルム等と銅箔の界面のアンカー効果による密着性を向上のため、銅箔の表面うち樹脂フィルム側の表面粗さを粗くしているので、樹脂フィルムと銅箔の界面の平滑性は望めない。そのため、本発明に係る銅張積層板は、2層銅張積層板で、メタライジング基板を用いることが望ましい。
(2)メタライジング基板
図1はメタライジング基板(2層銅張積層板6)の一例を示す模式断面図である。
ポリイミドフィルムを用いた樹脂フィルム基材1の少なくとも片面に、樹脂フィルム基材1側から順に下地金属層2、銅薄膜層3、および銅電気めっき層4が積層され、銅層5は銅薄膜層3と銅電気めっき層4とから構成されている。
ここで、下地金属層2は樹脂フィルム基材1と銅層5との密着性や耐熱性などの信頼性を確保するものである。従って、下地金属層2の材質は、ニッケル、クロム、またはこれらを主成分とする合金の何れか1種とするのが好ましい。特に、密着強度や配線作製時のエッチングしやすさを考慮すると、ニッケル・クロム合金が適している。
下地金属層2に用いるニッケル・クロム合金は、その組成が、クロムを15質量%以上22質量%以下とするが望ましく、これにより優れた耐食性や耐マイグレーション性が得られる。このうち、20質量%クロムのニッケル・クロム合金はニクロム合金として流通しており、マグネトロンスパッタリング法のスパッタリングターゲットとして容易に入手可能である。また、ニッケルまたはクロムを含む合金には、クロム、バナジウム、チタン、モリブデン、コバルト等を添加しても良い。さらに、クロム濃度の異なる複数のニッケル・クロム合金の薄膜を積層して、ニッケル・クロム合金に関して濃度勾配を有する下地金属層を成膜しても良い。
下地金属層2の膜厚は、3〜50nmが望ましい。
この下地金属層2の膜厚が3nm未満では、ポリイミドフィルムからなる樹脂フィルム基材1と銅層5との密着性を保てず、耐食性や耐マイグレーション性で劣るおそれがある。一方、下地金属層2の膜厚が50nmを超えると、サブトラクティブ法やセミアディティブ法で配線加工する際に下地金属層2の十分な除去が困難な場合が生じる。
このように下地金属層2の除去が不十分な場合は、配線間のマイグレーション等の不具合が懸念される。
銅薄膜層3は、主に銅で構成され、その膜厚は、10nm〜1μmが望ましい。
銅薄膜層3の膜厚が10nm未満では、後述する銅電気めっき層4を電気めっき法で成膜する際の導電性の確保が困難になり、電気めっきの際の外観不良に繋がる。銅薄膜層3の膜厚が1μmを超えても2層銅張積層板の品質上の問題は生じないが、生産性が低下する問題を生じることから1μm以下が望ましい。
銅電気めっき層4と銅薄膜層を合わせた銅層5の膜厚は12μm以下が望ましく、銅層5の膜厚が12μmを超えると配線ピッチ50μm以下のフレキシブル配線板への化学エッチング配線加工(サブトラクティブ法の配線加工)が困難となる。また、銅層5の膜厚は、薄くなるほどフレキシブル配線板としての導電性は低下することになるが、この膜厚を5μm以上とすれば十分な導電性を有したフレキシブル配線板となる。
樹脂フィルム基材1に使用するポリイミドフィルムは、芳香族ポリイミドフィルムを用いる。ポリイミドフィルムの特性は、芳香族ジアミンと芳香族酸無水物とによるイミド化合物により支配されるので、本発明に係るフレキシブル配線板の製造方法では、ポリイミドフィルムが、芳香族ジアミンと3,3‘−4,4−ジフェニルテトラカルボン酸二無水物からなるイミド化合物を含有している必要がある。なお芳香族ジアミンには、パラフェニレンジアミン等のジアミノベンゼンが挙げられる。
このようなイミド結合をもつポリイミドフィルムには「ユーピレックス(登録商標 宇部興産株式会社製)」が知られている。「ユーピレックス(登録商標)」フィルムは市場で容易に入手することができる。
ポリイミドフィルムの厚みは、柔軟性とフィルムとして形状が保てる厚みであればよく、厚み10μm〜50μmが望ましい。
(3)メタライジング基板の製造方法
次に、メタライジング基板の製造方法の一例としては、以下に示す(a)〜(c)の3工程を経て製造される。
(a)脱水工程:樹脂フィルムとして用いるポリイミドフィルムに対して脱水処理を行う。
(b)乾式めっき工程:脱水処理したポリイミドフィルムの少なくとも一方の表面にスパッタリング法などの乾式めっき法で下地金属層を成膜し、下地金属層の表面に乾式めっき法で銅薄膜層を成膜する。
(c)湿式めっき工程:下地金属層と銅薄膜層が成膜された銅薄膜層付樹脂フィルム基材の銅薄膜層の表面に、硫酸銅水溶液中で電気めっき法などの湿式めっき法で銅電気めっきを成膜する。
以下、メタライジング基板の製造方法について詳しく説明する。
(a)脱水工程
メタライズ基板に用いられるポリイミドフィルムは、後述の乾式めっきを施す前に脱水することが好ましい。この脱水が不十分であると、下地金属層に水分が取り込まれて酸化してしまい、サブトラクティブ法を用いたフレキシブル配線板を作製する時に、十分な化学エッチング処理を行うことができない。
このため、配線の縁や配線間に下地金属層が溶け残り、エッチング残渣と呼ばれる金属成分が残存することに起因して、得られるフレキシブル配線板の絶縁信頼性が低下するといった問題がある。
ポリイミドフィルムはロール状に巻回されているので、ロール・ツー・ロールでポリイミドフィルムを搬送しながら連続的に脱水処理を行う。脱水処理の方法は特に限定されないが、ヒーターなどの加熱装置を用いて大気中もしくは減圧雰囲気下で加熱する方法、減圧雰囲気下でプラズマ処理またはイオンビーム処理をする方法など、公知の方法を用いればよい。
これらの方法を用いて、ポリイミドフィルムにシワが発生しないように脱水処理を行う。
(b)乾式めっき工程
ポリイミドフィルムに下地金属層や銅薄膜層を成膜するには、図2に示すロール・ツー・ロールスパッタリング装置を用いればよい。なお、乾式めっき方法はこのスパッタリングに限定されることはなく、真空蒸着、イオンプレーティング等を用いてもかまわない。
この図2に示すロール・ツー・ロールスパッタリング装置10は、直方体状のチャンバー12内にその構成要素のほとんどを収納した構造になっている。チャンバー12の形状は図2の直方体形状に限られるものではなく、10−4Pa〜1Pa程度の減圧状態を維持できるのであれば円筒形状等の他の形状でもよい。
このチャンバー12内に、ポリイミドフィルムからなる樹脂フィルム基材F1が引き出される巻出ロール13、樹脂フィルム基材F1の搬送に追従して回転するフリーロール11a、11b、樹脂フィルム基材F1を外周面に巻き付けて冷却するキャンロール14、マグネトロンカソード式のスパッタリングカソード15a、15b、15c、15d、キャンロール14に隣接して設けられた前フィードロール16aおよび後フィードロール16b、張力センサーを備えたテンションロール17a、17b、下地金属層および銅薄膜層が成膜された樹脂フィルム基材F2をロール状に巻き取る巻取ロール18が設けられている。
これらのうち、巻出ロール13、キャンロール14、前フィードロール16a、および巻取ロール18には回転駆動手段であるサーボモータが備わっている。更に巻出ロール13および巻取ロール18の各々は、パウダークラッチ等によるトルク制御によって搬送中の樹脂フィルム基材の張力バランスを保っている。フリーロール11a、11b、キャンロール14、およびテンションロール17a、17bは、外周面が硬質クロムめっきで仕上げられている。
キャンロール14の内部にはチャンバー12の外部から供給される冷媒や温媒が循環しており、キャンロール14の外周面を略一定の温度に調整することができる。このキャンロール14の外周面に対向してスパッタリングカソード15a〜15dが配置されている。キャンロール14の外周面の幅方向におけるスパッタリングカソード15a〜15dの寸法は、樹脂フィルム基材F1の幅よりも大きいのが好ましい。
(c)湿式めっき工程
上記乾式めっき法で銅薄膜層が成膜された銅薄膜層付樹脂フィルム基材F2は、次に湿式めっき法により銅電気めっき層の成膜が行われる。
湿式めっき法を行う装置としては、例えば硫酸銅などのめっき浴中にて不溶性アノードを用いて電気めっきを行う装置を挙げることができる。なお、使用する銅めっき浴の組成は、通常用いられるプリント配線板用のハイスロー硫酸銅めっき浴でも良い。
図3には、かかる電気めっき装置の一具体例として、ロール・ツー・ロール電気めっき装置20(以下電気めっき装置20とも称する。)が示されている。
この電気めっき装置20は、下地金属層と銅薄膜層を成膜して得られた銅薄膜層付樹脂フィルム基材F2をロール・ツー・ロールで連続的に搬送することで電気めっき槽21内のめっき液28への浸漬状態と非浸漬状態とを繰り返し、めっき液28に浸漬している間に電気めっきにより金属薄膜の表面に銅電気めっき層を成膜するものである。
これにより所定の膜厚の銅層が形成された2層銅張積層板Sを作製することができる。なお、銅薄膜層付樹脂フィルム基材F2の搬送速度は、数m〜数十m/分の範囲が好ましい。
具体的に説明すると、銅薄膜層付樹脂フィルム基材F2は、巻出ロール22から巻き出され、給電ロール26aを経て、電気めっき槽21内のめっき液28に浸漬される。めっき液28内に入った銅薄膜層付樹脂フィルム基材F2は、反転ロール23により搬送方向が反転された後、めっき液面28aより上に引き上げられる。
反転ロール23での反転の直前および直後の搬送経路を走行する銅薄膜層付樹脂フィルム基材F2に対向する位置にはそれぞれアノード24aおよびアノード24bが設けられている。各アノードは給電ロールとの間で電圧が印加されるようになっており、例えば給電ロール26a、アノード24a、めっき液、銅薄膜層付樹脂フィルム基材F2および電源により電気めっき回路が構成される。
これにより銅薄膜層付樹脂フィルム基材F2の表面に電気めっき処理が施される。
即ち、11個の給電ロール26a〜26kおよび10個の反転ロール23により銅薄膜層付樹脂フィルム基材F2にはめっき液28への浸漬状態と非浸漬状態とが複数回(図3では合計10回)繰り返され、これにより銅薄膜層付樹脂フィルム基材F2の銅薄膜層上に徐々に銅層が成膜され、2層銅張積層板Sを形成していく。最終の反転ロール23で搬送方向が反転せしめられた2層銅張積層板Sは給電ロール26kを経た後、巻取ロール29に巻き取られる。なお、各アノードを構成する不溶性アノードには導電性セラミックで表面をコーティングした公知のものを使用することができる。
電気めっき槽21の外部には、めっき液28に銅イオンを供給する機構が設けられている。このめっき液28への銅イオンの供給は、酸化銅水溶液、水酸化銅水溶液、炭酸銅水溶液等で供給するのが好ましい。あるいは、めっき液中に微量の鉄イオンを添加して、無酸素銅ボールを溶解して銅イオンを供給する方法でもよい。
電気めっき中における電流密度は、アノード24aから搬送方向下流に進むにつれて電流密度を段階的に上昇させ、アノード24qから24tで最大の電流密度となるようにするのが好ましい。
このように電流密度を上昇させることで、銅層の変色を防ぐことができる。また、銅層の膜厚が薄い場合に電流密度が高いと銅層の変色が起こりやすいため、めっき中の電流密度は0.1〜8A/dmが望ましい。この電流密度が8A/dmより高くなると銅電気めっき層の外観不良が発生するおそれがある。
上記説明したように銅電気めっき層が成膜されて、2層銅張積層板のメタライジング基板が得られる。得られたメタライジング基板は、配線加工に適した幅にスリッターで裁断される。
(4)フレキシブル配線板の製造方法
次に、本発明に係るフレキシブル配線板の製造方法を詳細に説明する。
先ず、配線ピッチが微細化されたフレキシブル配線板の配線加工方法としては、サブトラクティブ法として以下のものが知られている。
配線加工に適した幅に裁断されたメタライジング基板は、その銅層の表面にフォトレジスト膜が形成され、このフォトレジスト膜を露光、現像して所望のパターンを形成する。次に、形成されたフォトレジストパターンをマスクとして、露出した銅層をエッチングして、フォトレジストパターンと略相似形状の銅層と下地金属層からなる配線パターンを形成する。次いでフォトレジスト層をアルカリ溶液等により剥離除去する。フォトレジスト層を剥離除去後に、必要に応じて、錫めっきを施し、ソルダーレジスト膜が形成されてフレキシブル配線板が作製される。
フォトレジスト膜を形成するフォトレジスト膜形成工程は、液状のフォトレジストをスクリーン印刷など公知の塗布方法で銅層表面に塗布され、塗布後、加熱乾燥される。
この液状フォトレジストの加熱乾燥の際に、2層銅張積層板も熱が加わり熱処理が行われる。
その液状フォトレジストの乾燥条件は、温度100℃〜150℃の範囲で、乾燥時間は5分以上である。
なお、フォトレジスト膜はドライフィルムタイプのフォトレジスト(ドライフィルム)を銅層の表面にラミネートしてもよい。ドライフィルムレジストをラミネートする場合は公知のラミネート方法で、温度100℃〜150℃で数秒以上加圧密着される。瞬間的ではあるが、ドライフィルムレジストのラミネートでも2層銅張積層板には加熱される熱処理が行われる。
フォトレジスト膜形成工程の次は露光工程である。
2層銅張積層板の銅層の表面に形成されたフォトレジスト膜は、露光工程においては、銅層に配線パターンを形成するために、所定パターンからなるフォトマスクを介して紫外線をフォトレジストに照射し、露光部を形成する。
露光工程の次は現像工程である。
露光されたフォトレジストは、現像工程においては、露光領域を現像液で溶解除去し、開口部を有するフォトレジストパターンが形成される。
現像工程は、現像液に、例えば、温度30℃〜50℃とした炭酸ナトリウム水溶液やトリエタノールアミン水溶液等のアルカリ溶液を用い、現像液をシャワー噴射して行う。
現像工程の次は化学エッチング工程である。
フォトレジストパターンが形成された後、この化学エッチング工程で、2層銅張積層板は配線パターンに加工される。エッチング液は銅層や下地金属層(以降あわせて金属膜層とも称する)がエッチングできる組成が望ましい。
使用するエッチング液としては、例えば、塩化第二銅水溶液や塩化第二鉄水溶液が用いられる。
その処理条件としては、例えば、温度が40〜50℃、シャワー圧力が0.1〜0.7MPa、処理時間が20〜120秒という条件でエッチング液を噴射してエッチング処理が行われる。このとき、下地金属層も同時にエッチング除去される。また、必要に応じて過マンガン酸塩水溶液などの下地金属層除去剤をシャワー噴射して下地金属層除去工程を加えてもよい。
この化学エッチング工程を経て配線パターンが形成されると、フォトレジストパターンはフォトレジスト剥離工程で剥離される。
フォトレジスト剥離工程においては、水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリ溶液で、フォトレジストパターンが溶解除去される。
フォトレジスト除去工程の後、水洗による薬液除去の後、エアーナイフ等の液切により乾燥される。化学エッチング工程とフォトレジスト剥離工程は連続して行われる。
以降必要に応じて、錫めっき工程とソルダーレジスト膜形成工程が行われる。
錫めっき工程においては、化学エッチング工程により形成された銅層の配線の表面上に、公知の無電解錫めっき法で、錫めっき層が形成される。錫めっき工程の後水洗による薬液除去の後、エアーナイフ等の液切により乾燥される。乾燥後は次工程のソルダーレジスト膜形成工程へ移る。
ソルダーレジスト膜形成工程は、スクリーン印刷により、所定パターンのソルダーレジストを配線パターン上に印刷する。ソルダーレジストには、ポリイミド系(日立化成工業株式会社製:SN−9000)やウレタン系(日本ポリテック株式会社製:NPR−3300)のものが使用可能であり、いずれも加熱により硬化するソルダーレジストである。
ソルダーレジスト印刷の後、ソルダーレジストは加熱硬化される。
ソルダーレジストの加熱硬化条件は、温度100℃〜150℃の範囲に加熱される。ソルダーレジスト加熱硬化でも、2層銅張積層板には、熱処理が施されることになる。
以上の工程を経て、フレキシブル配線板の製品として完成する。そして、必要に応じて電子部品の実装しやすい大きさに裁断される。
以上説明した製造方法にて2層銅張積層板であるメタライズ基板は製造されるが、本発明のメタライズ基板は、金属膜層をエッチングして除去する前後のMD方向の寸法変化率を0.000%〜0.030%、この金属膜層がエッチングされた2層銅張積層板を加熱処理した前後のMD方向の寸法変化率を−0.030%〜−0.009%とするのが好ましい。
これらの寸法変化率の範囲は、「IPC−TM−650,2.2.4」に準拠して測定される。
金属膜層をエッチングして除去する前後のMD方向の寸法変化率は「Method B」に準拠した測定値により規定され、金属膜層がエッチングされた2層銅張積層板を加熱処理した前後のMD方向の寸法変化率は「Method C」を準拠した測定値により規定される。なおこれらの測定では、収縮はマイナス値、膨張はプラス値で表される。
この評価方法では、それぞれ金属膜層をエッチングして除去する前後のMD方向の寸法変化率は、サブトラクティブ法での化学エッチング工程を、金属膜層がエッチングされた2層銅張積層板を加熱処理した前後のMD方向の寸法変化率は、ソレダーレジスト膜形成工程での寸法変化を想定した指標であり、寸法変化率が0に近いほど寸法安定性は高いとされる。
次に、メタライズ基板およびそれを用いたフレキシブル配線板の垂れについては、メタライズ基板が引張の残留応力を有していれば抑制できると考えられる。また、メタライズ基板ではポリイミドフィルムの厚みの方が厚い等、相対的に金属膜層よりもポリイミドフィルムの影響が大きい。
さらに、メタライズ基板を構成するポリイミドフィルムと金属膜層において、金属膜層がエッチングされた2層銅張積層板を加熱処理した前後のMD方向の寸法変化が収縮の方向であれば、ポリイミドフィルムは引張の残留応力を有していると考えられる。以上より金属膜層がエッチングされた2層銅張積層板を加熱処理した前後のMD方向の寸法変化率がマイナスならば、メタライズ基板およびそれを用いたフレキシブル配線板の垂れを抑制できる。
従って、上記の寸法変化率の範囲は、金属膜層をエッチングして除去する前後のMD方向の寸法変化率、金属膜層がエッチングされた2層銅張積層板を加熱処理した前後のMD方向の寸法変化率ともに、数値範囲の絶対値の上限は0.030%のため、メタライズ基板およびそれを用いたフレキシブル配線板は高い寸法安定性を示す。また金属膜層がエッチングされた2層銅張積層板を加熱処理した前後のMD方向の寸法変化率は収縮を示すため、メタライズ基板およびそれを用いたフレキシブル配線板は垂れを抑制することができる。
なおポリイミドフィルムの熱的特性は、芳香族酸無水物と芳香族ジアミンとによるイミド化合物により支配されるので、これらの寸法変化率に係る数値範囲は、芳香族ジアミンと3,3‘−4,4−ジフェニルテトラカルボン酸二無水物からなるイミド化合物を含有しているポリイミドフィルム特有のものであり、異なる種類のイミド化合物の場合には、上記両寸法変化率の範囲内の値を示したとしても、垂れを抑制できる効果が得られないこともある。
その異なる種類のイミド化合物の例としては、4,4’−ジアミノジフェニルエーテルとピロメリット酸二無水物とからなるイミド化合物がある。このイミド化合物を含有しているポリイミドフィルムとしては、カプトン(登録商標 東レ・デュポン株式会社製)が知られていており、市場で容易に入手することができる。
これらの寸法変化率の範囲とするために、(3)メタライズ基板の製造方法にて説明した方法に追加して、少なくとも(a)脱水工程の脱水処理時、(b)乾式めっき工程の乾式めっき時のいずれかの工程において、ロール・ツー・ロールでポリイミドフィルムを搬送する際の張力を、各処理に用いるポリイミドフィルムのMD方向の破断強度との比で、脱水処理は0.8%〜2.0%、乾式めっきは2.5%〜3.5%の張力とするのが好ましい。もちろん脱水処理と乾式めっきの両方の工程において、張力を上記範囲とすれば一層効果的である。
これらの工程は、ポリイミドフィルムが加熱されるため、張力を高くすることでポリイミドフィルムに引張の残留応力を効果的に付与することができる。もちろん張力は高いほどポリイミドフィルムの引張の残留応力を高くなるが、処理中にシワが発生したり、ポリイミドフィルムをロールに巻取る際の締め付け力が増大して、次工程でのポリイミドフィルムの巻出しが不安定になることがある。
脱水処理や乾式めっきの張力を上記範囲とすれば、ポリイミドフィルムに引張の残留応力を付与するとともに、本来の目的である脱水処理や乾式めっきを良好に処理することができる。同じ目的で湿式めっきの張力を高くすることも考えられるが、湿式めっき中のポリイミドフィルム(図3における銅薄膜層付き樹脂フィルム基材F2)が到達する最高温度は脱水処理や乾式めっき中に到達する最高温度よりも格段に低く、ポリイミドフィルムに引張の残留応力を付与する効果は限定的となる。
本発明のメタライズ基板は、サブトラクティブ法にてフレキシブル配線板に加工されるとして以上説明してきたが、本発明で好ましい範囲とした銅電気めっき層の厚みを5〜12μmとしたメタライズ基板を、セミアディティブ法にてフレキシブル配線板に加工したとしても、寸法安定性が高く垂れを抑制する効果は十分に発揮され、特に妨げるものではない。
以下、実施例を用いて本発明をさらに説明する。
芳香族ジアミンと3,3‘−4,4−ジフェニルテトラカルボン酸二無水物からなるイミド化合物を含有する厚み35μmのポリイミドフィルム「ユーピレックス(登録商標)V1、MD方向の破断強度510MPa」を用意し、ロール・ツー・ロール方式でこのポリイミドフィルム搬送させながら、ポリイミドフィルムの破断強度の1.0%の張力、温度250℃の条件で脱水処理を施した。
脱水処理後、このポリイミドフィルムからなる樹脂フィルム基材の一方の表面に、乾式めっきとして図2のロール・ツー・ロールスパッタリング装置10を用い、ポリイミドフィルムの破断強度の2.8%の張力にて、Crを20重量%含むNi−Cr合金からなる厚み25nmの下地金属層と、その下地金属層の表面に厚み100nmの銅薄膜層を成膜して、銅薄膜層付樹脂フィルム基材を得た。
その得られた銅薄膜層付樹脂フィルム基材の銅薄膜層の表面に湿式めっきとして図3のロール・ツー・ロール電気めっき装置20を使用し、ポリイミドフィルムの破断強度の1.0%の張力 にて厚み8μmの銅電気めっき層を成膜して2層銅張積層板を作製した。
得られた2層銅張積層板を「IPC−TM−650,2.2.4規格」に規定される「Method B」及び「Method C」に準拠してMD方向の寸法変化率を測定した。
また2層銅張積層板の「垂れ量」は、2層銅張積層板のMD方向に長さ300mm、TD(Transverse Dimension)方向(幅方向)に長さ48mmとして切り出した長方形状の垂れ評価試料30を、図4に示すように長手方向の一方の端から70mmの位置で、錘31を用いて固定し、水平位置からの垂れ量32を測定した。
これらの結果を表1に示す。
実施例1の乾式めっきを施した図2のロール・ツー・ロールスパッタリング装置10の張力を、ポリイミドフィルムの破断強度の2.4%の張力とした以外は、実施例1と同一の条件で2層銅張積層板を作製した。
得られた2層銅張積層板を「IPC−TM−650,2.2.4規格」に規定される「Method B」及び「Method C」に準拠してMD方向の寸法変化率と、図4に示すように垂れ量を測定した。
これらの結果を表1に示す。
(比較例1)
実施例2の脱水処理の張力をポリイミドフィルムの破断強度の0.5%の張力とした以外は、実施例2と同一の条件で2層銅張積層板を作製した。
得られた2層銅張積層板を「IPC−TM−650,2.2.4規格」に規定される「Method B」及び「Method C」に準拠してMD方向の寸法変化率と、図4に示すように垂れ量を測定した。
これらの結果を表1に示す。
(比較例2)
比較例1の湿式めっきを施した図3のロール・ツー・ロール電気めっき装置20において、張力をポリイミドフィルムの破断強度の2.0%の張力とした以外は、比較例1と同一の条件で2層銅張積層板を作製した。
得られた2層銅張積層板を「IPC−TM−650,2.2.4規格」に規定される「Method B」及び「Method C」に準拠してMD方向の寸法変化率と、図4に示すように垂れ量を測定した。
これらの結果を表1に示す。
Figure 0006252987
実施例1及び実施例2より、脱水処理のみ(実施例2)、脱水処理と乾式めっき(実施例1)の張力を本発明の範囲内とすることで、Method B及びMethod Cの寸法変化率の絶対値が小さく、垂れ量も小さくなっていることが分かる。
一方、脱水処理と乾式めっきの両工程の張力が本発明の範囲よりも低い比較例1は、「Method C」の寸法変化率がマイナスで収縮を示しているが値が実施例1、2よりも高く、垂れ評価で大きな値を示していることが分かる。
さらに、湿式めっき工程の張力を高めた比較例2も「Method C」の寸法変化率がプラスで膨張を示し、垂れ評価で大きな値を示していることが分かる。
F1 樹脂フィルム基材
F2 銅薄膜層付樹脂フィルム基材
S 2層銅張積層板
1 樹脂フィルム基材
2 下地金属層
3 銅薄膜層
4 銅電気めっき層
5 銅層
6 2層銅張積層板
10 ロール・ツー・ロールスパッタリング装置
11a、11b フリーロール
12 チャンバー
13 巻出ロール
14 キャンロール
15a、15b、15c、15d スパッタリングカソード
16a 前フィードロール
16b 後フィードロール
17a、17b テンションロール
18 巻取ロール
20 ロール・ツー・ロール電気めっき装置
21 電気めっき槽
22 巻出ロール
23 反転ロール
24a〜24t アノード
26a〜26k 給電ロール
28 めっき液
28a めっき液面
29 巻取ロール
30 垂れ評価試料
31 錘
32 垂れ量

Claims (14)

  1. ポリイミドフィルムの少なくとも一方の表面に接着剤を介することなく下地金属層と銅層が積層された2層銅張積層板において、
    前記ポリイミドフィルムが、芳香族ジアミンと3,3’−4,4’−ジフェニルテトラカルボン酸二無水物とからなるイミド結合を含むポリイミドフィルムで、
    前記2層銅張積層板の長手(MD)方向における寸法挙動が、下記(A)及び(B)の挙動を有することを特徴とする2層銅張積層板。
    (記)
    (A)前記2層銅張積層板のエッチング前の寸法に対するエッチング後の寸法が、0.000% 〜0.030%の範囲で膨張する挙動。
    (B)前記2層銅張積層板をエッチング後に熱処理した後の寸法が、前記熱処理する前の寸法に対して、0.009%〜0.030%の範囲で収縮する挙動。
  2. 前記銅層の厚みが5μm〜12μmであることを特徴とする請求項1に記載の2層銅張積層板。
  3. 前記ポリイミドフィルムの厚みが10μm〜50μmであることを特徴とする請求項1または2に記載の2層銅張積層板。
  4. 前記下地金属層の厚みが3nm〜50nmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の2層銅張積層板。
  5. 前記下地金属層は、ニッケル、クロム、またはこれらを主成分とする合金の何れか1種を含有していることを特徴とする請求項4に記載の2層銅張積層板。
  6. 請求項に記載の2層銅張積層板に配線加工を施したことを特徴とするフレキシブル配線板。
  7. ポリイミドフィルムの少なくとも一方の表面に接着剤を介することなく下地金属層と銅層が積層された2層銅張積層板の製造方法において、
    ロール・ツー・ロール方式で前記ポリイミドフィルムに張力を掛けて搬送しながら、行う下記の(イ)から(ハ)の3工程を備え、
    (イ)前記ポリイミドフィルムを脱水処理する脱水工程、
    (ロ)前記脱水工程を経た脱水処理されたポリイミドフィルムに、乾式めっき法を用いて乾式めっきする乾式めっき工程、
    (ハ)前記乾式めっき工程を経た乾式めっき処理されたポリイミドフィルムに、湿式めっき法を用いて湿式めっき処理する湿式めっき工程、
    前記ポリイミドフィルムが、芳香族ジアミンと3,3’−4,4’−ジフェニルテトラカルボン酸二無水物とからなるイミド結合を含むポリイミドフィルムで、
    前記ポリイミドフィルムに掛けられる張力が、下記(ニ)、(ホ)、(へ)のいずれかの張力範囲であることを特徴とする2層銅張積層板の製造方法。
    (記)
    (ニ)前記脱水工程における脱水処理では、前記ポリイミドフィルムの長手(MD)方向の破断強度の0.8%〜2.0%の張力範囲、
    (ホ)前記乾式めっき工程における乾式めっき処理では、前記ポリイミドフィルムの長手(MD)方向の破断強度の2.5%〜3.5%の張力範囲、
    (へ)前記脱水工程における脱水処理では、前記ポリイミドフィルムの長手(MD)方向の破断強度の0.8%〜2.0%の張力範囲、且つ前記乾式めっき工程における乾式めっき処理では、前記ポリイミドフィルムの長手(MD)方向の破断強度の2.5%〜3.5%の張力範囲。
  8. 前記銅層の厚みが5μm〜12μmであることを特徴とする請求項7に記載の2層銅張積層板の製造方法。
  9. 前記ポリイミドフィルムの厚みが10μm〜50μmであることを特徴とする請求項7または8に記載の2層銅張積層板の製造方法。
  10. 前記下地金属層の厚みが3nm〜50nmであることを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載の2層銅張積層板の製造方法。
  11. 前記下地金属層が、ニッケル、クロム、またはこれらを主成分とする合金の何れか1種を含有していることを特徴とする請求項10に記載の2層銅張積層板の製造方法。
  12. 前記2層銅張積層板の長手(MD)方向の寸法変化は、
    前記2層銅張積層板をエッチングした後の寸法がエッチング前の寸法に対して0.000% 〜0.030%の範囲で膨張する寸法変化で、
    かつ、前記2層銅張積層板をエッチングして熱処理した後の寸法が熱処理前の寸法に対して、0.009%〜0.030%の範囲で収縮する寸法変化であることを特徴とする請求項7〜11のいずれか1項に記載の2層銅張積層板の製造方法。
  13. 請求項に記載の製造方法により得られた2層銅張積層板に、配線加工を施したことを特徴とするフレキシブル配線板の製造方法。
  14. 前記配線加工が、サブトラクティブ法により行われたことを特徴とする請求項13に記載のフレキシブル配線板の製造方法。
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