JP5470685B2 - 3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸成分からなるポリイミド発泡体及びその製造方法 - Google Patents

3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸成分からなるポリイミド発泡体及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、テトラカルボン酸成分として3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸ジエステルを用いて形成されたポリイミド発泡体及びその製造方法に関する。特に、本発明は、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸成分と芳香族ジアミン成分とからなるポリイミド発泡体であって、発泡体セルが均一で細かなものであり、変形しても容易に亀裂が発生しない可撓性や優れたクッション性などの発泡体としての実用的な機械的特性を有したポリイミド発泡体及びその製造方法に関する。
ポリイミド発泡体は、耐熱性などの優れた特性が期待できることから種々の検討がなされている。それらの多くは、例えば特許文献1で開示されているようにテトラカルボン酸成分として3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸ジエステルを用いたものであった。
ところで、テトラカルボン酸成分として3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸ジエステルを用いると、芳香族ジアミン成分との均一な溶液を得ることが難しい(容易に析出が起こる)ので、換言すれば3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸ジエステルと芳香族ジアミンとが好適に分散したポリイミド前駆体を調製することが難しいので、その結果、実用的な機械的特性を有するポリイミド発泡体を得ることができなかった。
特許文献2には、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸ジエステルをTHFなどのエーテルと(水素結合により)錯形成させることによって芳香族ジアミンとの均一な溶液とし、その均一な溶液から得られたポリイミド前駆体からポリイミド発泡体を製造することが記載されている。しかしながら、ここで得られた3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸ジエステルからなるポリイミド発泡体は、発泡体セルが極めて粗く且つ不均一なものであった。さらに、発泡倍率が小さい(見掛け密度が大きい)ために、容易に変形できず且つクッション性が劣るなど、発泡体として実用的な機械的特性を有したものではなかった。
特開昭59−145222号公報 特表2000−515584号公報
本発明は、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸成分と芳香族ジアミン成分とからなるポリイミド発泡体であって、発泡体セルが均一で細かなものであり、変形しても容易に亀裂が発生しない可撓性や優れたクッション性などの発泡体としての実用的な機械的特性を有したポリイミド発泡体及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸成分と芳香族ジアミン成分とからなる芳香族ポリイミドによって構成されたポリイミド発泡体であって、寸法が断面1cm×1cmで長さ5cmの前記ポリイミド発泡体を長手方向の両端部同士が接触して環状になるまで変形しても亀裂が生じない程度以上の可撓性を有することを特徴とするポリイミド発泡体に関する。
また、寸法が2cm×2cm×2cmの前記ポリイミド発泡体の一面に荷重を掛けて厚さを0.2cmになるまで圧縮し、その状態で30秒間保持した後で、荷重を取り除いたときに、厚みの永久歪みが10%以下のクッション性を有することを特徴とする前記ポリイミド発泡体に関する。
また、断面積の80%以上が、径が1〜1000μmの範囲内の発泡体セルで構成されていることを特徴とする前記ポリイミド発泡体に関する。
また、前記芳香族ジアミン成分がm−フェニレンジアミン、3,4’−オキシジアニリン、2,4−ジアミノトルエンのいずれか、或いはそれらの混合物からなることを特徴とする前記ポリイミド発泡体に関する。
さらに、本発明は、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸成分と芳香族ジアミン成分とからなる芳香族ポリイミドによって構成されたポリイミド発泡体であって、発泡倍率が185倍以上(見掛け密度が0.0075g/cm以下)であることを特徴とするポリイミド発泡体に関する。
さらに、本発明は、溶媒中で3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸エステル誘導体と芳香族ジアミンとを下記化学式(1)の酸性リン酸エステルの存在下に均一に溶解させて得られたポリイミド前駆体を、加熱処理してポリイミド発泡体を製造する製造方法に関する。
Figure 0005470685
ここで、(a)R1はOHであり、R2及びR3はそれぞれ独立にORである、(b)R1及びR2はOHであり、R3はORである、または(c)R1はCHCOOYであり、R2及びR3はそれぞれ独立にORである。
なお、Rは炭素数が1〜25のアルキル基又は炭素数が1〜25のアルケニル基であり、これらの基は更に炭素数が1〜25のアルコキシ基又は炭素数が1〜5のアルキル基からなる置換基を有してもよい。また、Yは水素原子又は炭素数が1〜5のアルキル基である。
本発明によって、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸成分と芳香族ジアミン成分とからなるポリイミド発泡体であって、発泡体セルが均一で細かなものであり、変形しても容易に亀裂が発生しない可撓性や優れたクッション性などの発泡体としての実用的な機械的特性を有したポリイミド発泡体、及びその製造方法を得ることができる。
本発明のポリイミド発泡体は、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸成分と芳香族ジアミン成分とからなる芳香族ポリイミドによって構成されたポリイミド発泡体である。すなわち、ポリイミド発泡体を構成するポリイミドは下記繰返し単位(1)を有しているポリイミドからなる。
Figure 0005470685
(ここで、Bは芳香族からなる二価の基である。)
本発明において、テトラカルボン酸成分として3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸成分以外のテトラカルボン酸成分を、本発明の効果の範囲内で含んでも構わない。好ましくは、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸成分は、全テトラカルボン酸成分中60モル%以上であり、より好ましくは80モル%以上、更に好ましくは90モル%以上、特に100モル%である。3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸成分が全テトラカルボン酸成分中60モル%以上であると、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸成分からなるポリイミドが有する耐熱性、耐加水分解性、耐アルカリ性、ガラス転移温度、機械的強度などの優れた特性を容易に得ることができる。60モル%未満では前記のような特性を得ることが難しくなる。
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸成分以外のテトラカルボン酸成分としては、ピロメリット酸成分、ベンゾフェノンテトラカルボン酸成分、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸成分、4,4’−オキシジフタル酸成分、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸成分、2,2−ビス(4−フェノキシフェニル)プロパンテトラカルボン酸成分などを挙げることができる。ここでテトラカルボン酸成分とは、テトラカルボン酸、その酸無水物或いはエステル化誘導体などの、ポリイミドを形成し得るテトラカルボン酸類を意味する。
本発明のポリイミド発泡体を構成するポリイミドの芳香族ジアミン成分は、芳香族ジアミン、或いはそのアミノ基をイソシアネート基などに変性した誘導体などのポリイミドを形成し得るジアミン類であれば特に限定するものではないが、例えば3,4’−オキシジアニリン、4,4’−オキシジアニリン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパンなどの芳香族ジアミン或いはその誘導体を挙げることができる。これらは単独でも混合して用いても構わない。本発明のポリイミド発泡体を構成するポリイミドの芳香族ジアミン成分は、m−フェニレンジアミン、3,4’−オキシジアニリン、2,4−ジアミノトルエンのいずれか、或いはそれらの混合物からなることが、発泡体セルが均一で細かなものであって、変形しても容易に亀裂が発生しない可撓性や優れたクッション性などの発泡体としての実用的な機械的特性を有したポリイミド発泡体を容易に得ることができるので好適である。
本発明のポリイミド発泡体では、テトラカルボン酸成分と芳香族ジアミン成分とを略等モル、具体的にはモル比(テトラカルボン酸成分/芳香族ジアミン成分)が0.95〜1.05の範囲で用いることが好適である。
本発明のポリイミド発泡体は、発泡体セルが均一で細かなものである。発泡体セルとは、独立気泡でも連続気泡でも構わないが、発泡体を形成する発泡工程で一つの気泡として発泡したと見なされる気泡を意味する。したがって、発泡後に連続気泡化していても、各々を一つの発泡体セルと見なす。本発明のポリイミド発泡体は、発泡体セルの径が概ね5000μm以下、好ましくは3000μm以下、より好ましくは0.1〜2000μm、特に1〜1000μmの範囲内である。ここで「概ね」とは断面積の80%以上特に90%以上の面積が該発泡体セルで構成されていることであり、また発泡体セルの径とはポリイミド発泡体の断面における各発泡体セルの最大の内径を意味する。
本発明のポリイミド発泡体は、変形しても容易に亀裂が発生しない可撓性や優れたクッション性などの発泡体としての実用的な機械的特性を有する。ここで、変形しても容易に亀裂が生じない可撓性は、寸法が断面1cm×1cmで長さ5cmのポリイミド発泡体について、長手方向の両端部同士が接触して環状になるまで変形した時に亀裂が生じルかどうかを目視によって観察して評価した。また、クッション性は、寸法が2cm×2cm×2cmのポリイミド発泡体について、その上面から荷重を掛けて厚さを0.2cm(圧縮前の厚みの10分の1)になるまで圧縮し、その状態で30秒間保持した後で荷重を取り除き、厚みが回復したときの永久歪み(回復できなかった厚み)を測定して圧縮前の厚みに対する割合で評価した。
そして、本発明のポリイミド発泡体は、前記のポリイミド発泡体を環状に変形する可撓性を評価する試験によっても亀裂を生じない程度以上の可撓性を有しており、さらに前記クッション性の試験によっても永久歪みが10%以下である程度以上のクッション性を有している。本発明では、前記の如き実用的な評価法によって本発明のポリイミド発泡体を評価したが、これらの結果から、本発明のポリイミド発泡体は、発泡体として極めて高い機械的特性を有していることがわかる。
さらに本発明のポリイミド発泡体は、発泡体セルが均一で細かなものであり、特に好ましくは、断面積の80%以上好ましくは90%以上の面積が、径が1〜1000μmの範囲内の発泡体セルで構成されている。
また、本発明のポリイミド発泡体の発泡倍率は、好ましくは50倍以上、より好ましくは100倍以上であり、好ましくは500倍以下、より好ましくは400倍以下のものである。発泡倍率が50倍未満では、剛直になって可撓性やクッション性を得ることができなくなるのみならず、軽量化などの発泡体として通常期待される特質や特長が得られなくなる。一方、発泡倍率が500倍を越えると、機械的特性が低下して変形によって亀裂が発生し易くなるので、可撓性や優れたクッション性などの発泡体としての実用的な機械的特性を有したポリイミド発泡体を得ることが難しくなる。
本発明のポリイミド発泡体は、限定されるものではないが、好ましくは以下の方法によって得ることができる。
すなわち、本発明のポリイミド発泡体は、溶媒中で3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸エステル誘導体と芳香族ジアミンとを下記化学式(1)のリン酸エステルの存在下に均一な溶液にしてポリイミド前駆体を得る工程(工程1)、及び、前記ポリイミド前駆体を加熱処理してポリイミド発泡体を形成する工程(工程2)からなる方法によって好適に得ることができる。
Figure 0005470685
ここで、(a)R1はOHであり、R2及びR3はそれぞれ独立にORである、(b)R1及びR2はOHであり、R3はORである、または(c)R1はCHCOOYであり、R2及びR3はそれぞれ独立にORである。
なお、Rは炭素数が1〜25のアルキル基又は炭素数が1〜25のアルケニル基であり、これらの基は更に炭素数が1〜25のアルコキシ基又は炭素数が1〜5のアルキル基からなる置換基を有してもよい。また、Yは水素原子又は炭素数が1〜5のアルキル基である。
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸エステル誘導体は、3,3’,4,4’−ビフェニルテトアカルボン酸二無水物と低級アルキルアルコールとを反応させて容易に得ることができる。すなわち、低級アルキルアルコールに3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を加えて120℃以下の低温で0.1〜24時間好ましくは1〜12時間程度反応させることで容易に得ることができる。この方法によって3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸ジエステルを主成分とした3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸エステル誘導体の溶液が得られる。
ここで用いる低級アルキルアルコールは、炭素数が1〜6の低級アルキルアルコールが好ましく、具体的にはメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、或いはそれらの混合物などが好適である。
次いで、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸エステル誘導体の溶液に前記化学式(1)の酸性リン酸エステルと芳香族ジアミンとを添加して均一な溶液にする。均一な溶液は、好ましくは60℃以下の温度(通常室温、例えば24℃)で、好ましくは0.1〜6時間(通常1〜2時間)程度混合撹拌すればよい。酸性リン酸エステルの添加量は、均一な溶液を得ることができれば特に限定するものではないが、テトラカルボン酸エステル誘導体と芳香族ジアミンとの合計100質量部に対して好ましくは0.1〜10質量部、より好ましくは1〜5質量部、特に2〜3質量部である。
化学式(1)の酸性リン酸エステルを添加して得られる均一な溶液は、酸性リン酸エステルの何らかの作用により、溶液中で3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸エステル誘導体と芳香族ジアミンとが分子レベルで相互作用して、カルボン酸成分とジアミン成分とが交互に配置した、いわゆる分子分散したポリイミド前駆体になって溶解していると考えられる。
なお、酸性リン酸エステルを10質量部を越えて添加すると、発泡工程中に酸性リン酸エステルが分解して、その分解生成物が得られるポリイミド発泡体の特性に悪影響を与えて特性を低下させることがある。一方、化学式(1)の酸性リン酸エステルを添加しないか、0.1質量部未満しか添加しない場合には、沈殿が生じて均一な溶液を得ることができず、その結果、実用的な機械的特性を有するポリイミド発泡体を得ることができない。
本発明において、酸性リン酸エステルとは、前記化学式(1)で示すものであり、分子中に少なくとも一つの水酸基を有する5価のリン化合物に加えて、分子中に少なくとも一つのCHCOOY基を有する5価のリン化合物をも意味する。具体的例としては、例えば、モノメチルホスフェート、ジメチルホスフェート、モノエチルホスフェート、ジエチルホスフェート、モノブチルホスフェート、ジブチルホスフェート、モノ(2−エチルヘキシル)ホスフェート、ジ(2−エチルヘキシル)ホスフェート、モノオレイルホスフェート、ジオレイルホスフェート、モノイソプロピルホスフェート、ジイソプロピルホスフェート、モノステアリルホスフェート、ジステアリルホスフェート、さらに、エチルジエチルホスホノアセテートを好適に挙げることができる。
これらは、エチルアシッドホスフェートJP−502、ブチルアシッドホスフェートJP−504、2−エチルヘキシルアシッドホスフェートJP−508、オレイルアシッドホスフェートJP−518−0(以上、城北化学工業株式会社製)などのモノエステル体とジエステル体の混合物として、また、エチルアシッドホスフェートJUMP−18−0、ステアリルアシッドホスフェートJUMP−18(以上、城北化学工業株式会社製)などのモノエステル体として、また、ジブチルホスフェートDBP、ビス(2−エチルヘキシル)ホスフェートLB−58(以上、城北化学工業株式会社製)などのジエステル体として好適に入手できる。また、エチルジエチルホスホノアセテートJC−224(城北化学工業株式会社製)として好適に入手することができる。
本発明において、ポリイミド前駆体には、必要に応じて界面活性剤、触媒、難燃剤などの添加剤を好適に加えることができる。これらの添加剤は、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸エステル誘導体と芳香族ジアミンとを前記化学式(1)の酸性リン酸エステルの存在下に均一な溶液にする工程では、エステル誘導体溶液に芳香族ジアミンに先立って加えることが好適であるが、芳香族ジアミンの後で加えても構わない。
界面活性剤(整泡剤)としては、ポリウレタンフォームの整泡剤として好適に使用される界面活性剤を好適に使用することができる。中でも、ポリジメチルシロキサンのメチル基の一部がポリエチレンオキサイド基、ポリ(エチレン−プロピレン)オキサイド基またはプロピレンオキサイド基等のポリアルキレンオキサイド基で置換されたグラフト共重合体(置換したポリアルキレンオキサイド基の末端は水酸基又はメチルエーテル等のアルキルエーテル基やアセチル基等のアルキルエステル基である)などのポリエーテル変性シリコーンオイルが特に好適である。
ポリエーテル変性シリコーンオイルの具体的としては、SH−193、SH−192、SH−194、SH−190、SF−2937、SF−2908、SF−2904、SF−2964、SRX−298、SRX−2908、SRX−274C,SRX−295、SRX−294A、SRX−280A(以上、東レダウコーニングシリコーン社製)、L−5340、SZ−1666、SZ−1668(以上、日本ユニカー社製)、TFA4205(GE東芝シリコーン社製)、X−20−5148(信越化学社製)などが挙げられる。
触媒としては、重合イミド化を促進するために、1,2−ジメチルイミダゾール、ベンズイミダゾールなどのイミダゾール類、イソキノリンなどのキノリン類、ピリジンなどのピリジン類などを加えても構わない。
また、本発明のポリイミド発泡体は高い難燃性を有しているが、それを更に難燃化するために、3価の亜リン酸エステルなどのリン化合物を用いてもよい。
本発明のポリイミド発泡体は、例えば前記(工程1)で得られたポリイミド前駆体を、その溶液のままで加熱処理することによって好適に得ることができる。
また、本発明のポリイミド発泡体は、ポリイミド前駆体の溶液から溶媒(例えばアルコール)を除去することによって容易に得ることができる粉末状のポリイミド前駆体を用いて、例えば前記粉末状のポリイミド前駆体を圧縮して得られるグリーン体を加熱処理することによって好適に得ることができる。
また、本発明のポリイミド発泡体は、前記粉末状のポリイミド前駆体を再度適当な溶媒と混合した混合体(溶液又はスラリー)を、加熱処理することによって好適に得ることができる。
ポリイミド前駆体の粉末化は、前記ポリイミド前駆体溶液から溶媒を蒸発させて乾固させ、得られた乾固物(固形物)を粉砕するか、或いはスプレードライヤーを用いて溶媒の蒸発と粉末化を同時に行う方法によって好適に行うことができる。溶媒の蒸発に際しては発泡が生じない低い温度範囲内で加熱処理するのが好ましく、好ましくは100℃以下、より好ましくは50℃以上である。前記温度よりも高温で蒸発を行って得られたポリイミド前駆体粉末は発泡性が著しく低下する。なお、溶媒の蒸発や粉末の乾燥は常圧下でも、加圧下でも、あるいは減圧下でも構わない。
グリーン体は、例えばポリイミド前駆体の粉末を室温で金型に充填し、圧縮形成することで好適に得ることができる。また、グリーン体は、例えば低級アルコールなどの適当な溶媒に溶解させたポリイミド前駆体溶液を型枠中に流延させ、そのまま溶媒を蒸発させて乾固させる方法でも得られる。
ポリイミド前駆体粉末を再度溶媒と混合する際は、ポリイミド前駆体粉末と適量の溶媒、好ましくは低級アルコールとを混合して、混合体(溶解若しくはスラリー化させたもの)を得る。この混合体を得るための混合時には加熱してもよいが、好ましくは100℃以下、より好ましくは60℃以下、さらに好ましくは加熱しないで室温ないし室温以下で行うことが好適である。
ポリイミド前駆体を発泡させてポリイミド発泡体を得るための加熱処理は、発泡させるための加熱を行うことができれば限定されるものではないが、例えばオーブンあるいはマイクロ波装置などの加熱装置を用いて好適に行うことができる。この時の加熱処理条件(加熱温度や時間など)は、ポリイミド前駆体の種類や処理量に対応して適宜選択することができる。
オーブンで加熱する場合は、発泡のために、好ましくは80〜200℃、より好ましくは100〜180℃、特に好ましくは130〜150℃の温度範囲で加熱処理することが必要であり、また加熱処理時間は好ましくは5〜60分間、より好ましくは10〜30分間程度である。前記の加熱温度よりも温度が低くなると発泡させるために長時間が必要となるので好ましくなくなる。また前記の加熱温度よりも温度が高くなると得られるポリイミド発泡体の発泡体セルを均一にするのが難しくなるので好適ではない。
マイクロ波加熱装置を日本で用いる際は、通常は電波法に基づいて2.45GHzの周波数で行う。ポリイミド前駆体の処理量を増すとより大きな出力が必要になる。例えば、ポリイミド前駆体の粉末数十グラム〜数千グラムに対して1〜5kwの出力が好適に採用される。マイクロ波を照射すると、通常は1〜2分間程度で発泡が開始し、照射時間が5〜10分間で発泡は収束する。
オーブン加熱或いはマイクロ波照射のいずれの場合も、発泡が終了した段階では、得られたポリイミド発泡体は十分な機械的強度を有していない。従って、得られたポリイミド発泡体を例えばオーブンなどの加熱装置によって、さらに後加熱することが好適である。
後加熱は、得られたポリイミド発泡体の大きさに依存するが、200℃以上でポリイミド発泡体の[ガラス転移温度+10℃]以下の温度範囲、通常は200〜400℃好ましくは200〜300℃の温度範囲で、5分〜24時間加熱することによって好適に行うことができる。後加熱は、例えば200℃程度の比較的低温から10℃/分の昇温速度で徐々に昇温し、300℃程度の高温で最終的に加熱するような所定の温度プロフィールにしたがって加熱温度を変える方法であっても構わない。
なお、発泡倍率や見掛け密度(密度)は、発泡時の揮発成分(重合イミド化の際に発生するアルコールや水、更に溶媒やその他の揮発性の添加物など)の量や、加熱処理の方法や、加熱時の温度プロピールなどの諸条件によって適宜制御することができる。
本発明において、化学式(1)の酸性リン酸エステルは、本来溶解性が良好ではない3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸エステル誘導体と芳香族ジアミンとを均一な溶液にし、さらに何らかの作用によって、それらが分子レベルで相互に作用して、いわゆる分子分散したポリイミド前駆体を形成する役割を有している。さらに、化学式(1)の酸性リン酸エステルは、ポリイミド前駆体が加熱処理されて発泡しながら重合イミド化する際に重合イミド化を促進する作用を有していると思われる。しかも、その重合イミド化を促進する作用は後加熱の工程においても有効に作用する。その結果として、本発明で得られるポリイミド発泡体は、従来に比べてより大きな分子量を有するポリイミドによって形成されている。
すなわち、本発明のポリイミド発泡体は、均一に分散したポリイミド前駆体を用いたことに加えて、十分に大きな分子量を有するポリイミドによって発泡体セルが形成されるために、発泡工程において均一で細かな発泡体セルを形成することが可能であり、更に変形しても容易に亀裂が発生しない可撓性や優れたクッション性などの発泡体としての実用的な機械的特性を有している。
本発明のポリイミド発泡体は、前述のとおり、均一で細かな発泡体セルが、十分に大きな分子量を持ったポリイミドによって構成されたものであるから、低発泡倍率(高密度)のポリイミド発泡体のみならず、高発泡倍率(低密度)であって且つ可撓性やクッション性が優れた軟質のポリイミド発泡体を好適に得ることができる。
すなわち、本発明のポリイミド発泡体は、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸成分と芳香族ジアミン成分とからなる芳香族ポリイミドによって構成されたポリイミド発泡体であって、寸法が断面1cm×1cmで長さ5cmの前記ポリイミド発泡体を長手方向の両端部同士が接触して環状になるまで変形しても亀裂が生じない程度以上の可撓性を有すること、寸法が2cm×2cm×2cmの前記ポリイミド発泡体の一面に荷重を掛けて厚さを0.2cmになるまで圧縮し、その状態で30秒間保持した後で、荷重を取り除いたときに、厚みの永久歪みが10%以下のクッション性を有すること、或いは断面積の80%以上が、径が1〜1000μmの範囲内の発泡体セルで構成されていることを特徴とするポリイミド発泡体である。
さらに、本発明のポリイミド発泡体は、好ましくは発泡倍率が185〜500倍(見掛け密度が0.0075〜0.0027g/cm)、より好ましくは発泡倍率が185〜400倍(見掛け密度が0.0075〜0.0034g/cm)、さらに好ましくは発泡倍率が200〜400倍(見掛け密度が0.0068〜0.0034g/cm)のポリイミド発泡体である。本発明のポリイミド発泡体において、限定するのもではないが、前記範囲の発泡倍率(見掛け密度)を有するとき、変形しても容易に亀裂が発生しない可撓性や優れたクッション性などの発泡体としての実用的な機械的特性を有した軟質のポリイミド発泡体を得ることが容易になるので好適である。
次に、実施例によって本発明を更に詳しく説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
以下の例において、各略号は次の化合物を意味する。
s−BPDA:3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
MPD:m−フェニレンジアミン
3,4’−ODA:3,4’−オキシジアニリン
2,4−DAT:2,4−ジアミノトルエン
MeOH:メタノール
(酸性リン酸エステル)
JP−502:エチルアシッドホスフェートJP−502(城北化学工業株式会社製)、モノエチルエステル体とジエチルエステル体の混合物
JP−508:2−エチルヘキシルアシッドホスフェートJP−508(城北化学工業株式会社製)、モノ(エチルヘキシル)エステル体とジ(エチルヘキシル)エステル体の混合物
JC−224:エチルジエチルホスホノアセテートJC−224(城北化学工業株式会社製)、エチルジエチルホスホノアセテート
JP−518−0:オレイルアシッドホスフェートJP−518−0(城北化学工業株式会社製)、モノオレイルエステル体とジオレイルエステル体の混合物
本発明で用いた測定方法について説明する。なお、特に記載がない事項については、JIS K−6400に準じた。
〔見掛け密度(ポリイミド発泡体の密度)〕
ポリイミド発泡体を50mm×50mm×50mmの立方体に切り出し、その重量を測定することによって、見掛け密度を算出した。
測定はサンプル25℃、50%RHの条件下で24時間保持したものを同条件下で行った。
〔発泡倍率〕
ポリイミド発泡体を構成しているものと同じテトラカルボン酸成分とジアミン成分とからなるポリイミドフィルムを、最高加熱温度をポリイミド発泡体の加熱温度と同一にして作成した。このポリイミドフィルムの密度(真密度)を密度勾配管及びピクノメーターを用いて測定した。
得られたポリイミドフィルムの真密度を、前記ポリイミド発泡体の見掛け密度で除することで発泡倍率を算出した。
測定はサンプルを25℃、50%RHの条件下で24時間保持したものを同条件下で行った。
〔発泡体セルの観察(均一性)〕
ポリイミド発泡体から、ミクロトームで負荷が掛からないようにして寸法:2cm×2cm×2cmのサンプルを切り出した。そのサンプルの各断面について走査型電子顕微鏡(SEM)により、倍率20倍で、断面写真を撮影した。なお、SEM測定は、発泡体サンプルを25℃、50%RHの条件下で24時間保持したものを同条件下で行った。
前記SEMによる断面写真を、画像処理ソフト(Scion Corporation社製「Scion Image」)を用いて解析した。すなわち、SEMによる断面写真の特定の発泡体セルの一端をクリックし、もう一端にドラッグすることで、その発泡体セルの内径を算出した。また、特定の発泡体セルの周囲をドラッグしながら囲むことでその面積を算出した。そして、特定の発泡体セルの面積の和を全断面積で除することで、特定の発泡体セルの全断面積に対する面積比率を算出した。
本発明では、前記方法に従って、サンプルの各断面積について測定し、その平均値を求めた。そして、発泡体セルの均一性は、径が1〜1000μmの範囲内の発泡体セルの断面積の総和が全断面積に対して80%以上を○(特に径が1〜500μmの範囲内の発泡体セルの断面積の総和が全断面積に対して80%以上は◎)、80%未満で50%以上を△、50%未満を×として評価した。
〔可撓性〕
断面1cm×1cmで長さ5cmのポリイミド発泡体を切り出してサンプルとした。サンプルの長手方向の両端部をもって、両端部同士が接触して環状になるまで5秒間程度で変形させた。目視観察で亀裂の有無を確認し、亀裂が入ってサンプルが2つに折れたものを×、亀裂が入ったがサンプルは2つに折れなかったものを△、亀裂が生じないものを○で評価した。
測定はサンプルを25℃、50%RHの条件下で24時間保持したものを同条件下で行った。
〔クッション性〕
2cm×2cm×2cmのポリイミド発泡体を切り出してサンプルとした。そのサンプルの上面から荷重を掛けて厚さを0.2cm(圧縮前の厚みの10分の1)になるまで引張り圧縮試験機(オリエンテック社製 ORIENTEC TENSILON RPA−500)によって上面と底面とが平行を保つようにして圧縮し、その状態で30秒間保持した後で荷重を取り除き、30秒後の厚みが回復したときの永久歪み(回復できなかった厚み)を測定した。クッション性は、永久歪みの圧縮前の厚みに対する割合で評価した。
永久歪みが0〜10%を○、11〜20%を△、21%以上を×として評価した。
なお、サンプルに異方性がある場合には3方向の測定値の平均値とした。
測定は25℃、50%RHの条件下で24時間保持したものを同条件下で行った。
〔実施例1〕
1000mlナス型フラスコにs−BPDA 50g(0.1699mol)、MeOH 94.5823gを仕込み、80℃のオイルバス中で、還流させながら、120分間加熱攪拌を行い、s−BPDAをエステル化し、均一な反応溶液とした。得られた反応溶液を室温まで冷却した後、酸性リン酸エステルの2−エチルへキシルアシッドホスフェートJP−508(城北化学工業株式会社製) 2.8375g、芳香族ジアミン成分のMPD 18.3730g(0.1699mol)、シリコーン系界面活性剤のX−20−5148(信越シリコーン社製) 0.9458gを加えて攪拌して、沈殿物を生じることなく均一な溶液を得た。この溶液をエバポレ−タ−で溶媒のMeOHを除去して濃縮後、室温で減圧乾燥器を用い乾燥し固形物を得た。得られた固形物を、乳鉢を用いて細かく粉砕してポリイミド前駆体粉末とした。次に、ポリイミド前駆体粉末を100mm×100mm×10mmの金枠に敷き詰め、スペ−サ−を使用して、圧縮成型機(株式会社神藤金属工業所製 S−37.5)により、室温で圧縮成型した。得られた成型体を電子レンジ(シャ−プ株式会社製RE−6200)を用いて、1120Wで5分間、マイクロ波加熱処理して発泡させて、ポリイミド発泡体を得た。この発泡体を200℃に設定した熱風オ−ブン(光洋サーモシステム(株)製ハイテンプオーブンHTO−9B)に投入し、最高温度360℃で後加熱処理を行った。得られたポリイミド発泡体は発泡体セルが細かく、均一で、可撓性及びクッション性が優れていた。結果を表1に示す。
〔実施例2〕
酸性リン酸エステルとしてエチルアシッドホスフェートJP−502(城北化学工業株式会社製)を、芳香族ジアミン成分として3,4’−ODAを用い、後加熱処理の最高温度を260℃で行った以外は実施例1に準じてポリイミド発泡体を得た。得られたポリイミド発泡体は発泡体セルが細かく、均一で、可撓性及びクッション性が優れていた。結果を表1に示す。
〔実施例3〕
酸性リン酸エステルとしてエチルジエチルホスホノアセテートJC−224(城北化学工業株式会社製)を、芳香族ジアミン成分として2,4−DATを用い、後加熱処理の最高温度を370℃で行った以外は実施例1に準じてポリイミド発泡体を得た。得られたポリイミド発泡体は発泡体セルが細かく、均一で、可撓性及びクッション性が優れていた。結果を表1に示す。
〔実施例4〕
酸性リン酸エステルとしてオレイルアシッドホスフェートJP−518−0(城北化学工業株式会社製)を用いた以外は、実施例1に準じてポリイミド前駆体粉末を得た。得られたポリイミド前駆体粉末100gをイソプロピルアルコール10gに均一に再溶解させた。その溶液を用いて、実施例1のマイクロ波加熱条件、後加熱処理条件に準じて、ポリイミド発泡体を得た。得られたポリイミド発泡体は発泡体セルが細かく、均一で、可撓性及びクッション性が優れていた。結果を表1に示す。
〔比較例1〕
1000mlナス型フラスコにs−BPDA 50g(0.1699mol)、MeOH 94.5823gを仕込み、80℃のオイルバス中で、還流させながら、120分間加熱攪拌を行い、s−BPDAをエステル化して均一な反応溶液とした。得られた反応液を室温まで冷却した後、酸性リン酸エステルを加えることなく、芳香族ジアミン成分のMPD 18.3730g(0.1699mol)、シリコーン系界面活性剤のX−20−5148(信越シリコーン社製) 0.9458gを加えて攪拌したところ、沈殿物を生じた。この混合溶液について実施例1に準じて濃縮、乾燥し、得られた固形物の粉末を加熱処理した。発泡は極めて不均一にしか起こらなかった。また、得られたポリイミド発泡体は、本願発明のポリイミド発泡体とは全く相違して、発泡体セルの目が極めて粗く且つ不均一であり、クッション性及び可撓性がない(脆い)ものであった。結果を表1に示した。
〔比較例2〕
s−BPDA 706g(2.4mol)を、480gのTHFと280gのMeOHに室温で分散させ、70℃に加熱して6時間攪拌し、均一溶液とした。この溶液に、3,4’−ODA 488g(2.4mol)を添加して2時間攪拌し、均一なポリイミド前駆体溶液を得た。この溶液をステンレス製のバットに流延し、70℃で14時間乾燥した。この乾燥物を冷却し、微粉末に粉砕した。この粉末を、80℃で加熱してプロトンnmr測定でTHF含有量が3.9重量%の固体状ポリイミド前駆体を得た。この固体状ポリイミド前駆体を140℃で60分間加熱処理して発泡を行い、さらに300℃で60分間加熱処理してイミド化した。得られたポリイミド発泡体を更に200℃で2時間後加熱処理し、揮発成分を完全に除去した。これは引用文献2の例に従って発泡体を得た例であるが、ここで得られたポリイミド発泡体は、本願発明のポリイミド発泡体とは全く相違して、発泡体セルの目が極めて粗く且つ不均一であり、クッション性及び可撓性がない(脆い)ものであった。結果を表1に示した。
Figure 0005470685
本発明によって、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸成分と芳香族ジアミン成分とからなるポリイミド発泡体であって、発泡体セルが均一で細かなものであり、変形しても容易に亀裂が発生しない可撓性や優れたクッション性などの発泡体としての実用的な機械的特性を有したポリイミド発泡体、及びその製造方法を得ることができる。

Claims (4)

  1. 3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸成分と芳香族ジアミン成分とからなる芳香族ポリイミドによって構成されたポリイミド発泡体であって、前記芳香族ジアミン成分がm−フェニレンジアミン、3,4’−オキシジアニリン、2,4−ジアミノトルエンのいずれか、或いはそれらの混合物からなり、寸法が断面1cm×1cmで長さ5cmの前記ポリイミド発泡体を長手方向の両端部同士が接触して環状になるまで変形しても亀裂が生じない可撓性を有することを特徴とするポリイミド発泡体。
  2. さらに、寸法が2cm×2cm×2cmの前記ポリイミド発泡体の一面に荷重を掛けて厚さを0.2cmになるまで圧縮し、その状態で30秒間保持した後で、荷重を取り除いたときに、厚みの永久歪みが10%以下のクッション性を有することを特徴とする請求項1に記載のポリイミド発泡体。
  3. 断面積の80%以上が、径が1〜1000μmの範囲内の発泡体セルで構成されていることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載のポリイミド発泡体。
  4. 溶媒中で3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸エステル誘導体と、m−フェニレンジアミン、3,4’−オキシジアニリン、2,4−ジアミノトルエンのいずれか、或いはそれらの混合物からなる芳香族ジアミンとを下記化学式(1)の酸性リン酸エステルの存在下に均一に溶解させて得られたポリイミド前駆体を、加熱処理してポリイミド発泡体を製造する製造方法。
    Figure 0005470685
    ここで、(a)R1はOHであり、R2及びR3はそれぞれ独立にORである、(b)R1及びR2はOHであり、R3はORである、または(c)R1はCHCOOYであり、R2及びR3はそれぞれ独立にORである。
    なお、Rは炭素数が1〜25のアルキル基又は炭素数が1〜25のアルケニル基であり、これらの基は更に炭素数が1〜25のアルコキシ基又は炭素数が1〜5のアルキル基からなる置換基を有してもよい。また、Yは水素原子又は炭素数が1〜5のアルキル基である。
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