JP3671805B2 - 振動計測装置及び方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、振動測定方法及び振動数測定装置に係り、特に、測定対象物の振動状態を自己混合型レーザドップラ振動計を用いて計測する振動測定方法及び振動数測定装置に関する。
本発明は、振動解析を行う種々の分野に応用できる。具体的には、エンジンの振動解析、車体伝搬振動解析、車室内騒音解析、さらにマフラの振動解析などである。その他の製造分野での応用は多岐に渡る。モータを使ったプラントの振動の検出や、水道管、ガス管の漏れ診断などの保守に用いることもできる。さらに、西瓜等の大型果実の打音による糖度の判定など、農業分野にも応用可能である。
また、本発明では、例えば200 [nm] といった微少な振幅の振動周期や振動面の速度変化を測定することができるため、振動発生装置の検査及び校正装置、長時間稼働する動力装置の異常振動検出装置などに応用できる。検査、校正装置としては、例えば水晶発振子や超音波発振子の振動数の検査や、ファンクションゼネレータの校正に利用できる。また、異常振動検出装置としては、高周波振動を利用した半導体製造装置において共振等、振動エネルギーが効率よく伝播しないことで発生する不良の検査装置や、ドリルなどの工具破損検出などに利用できる。
このため、以下、「測定対象物」というときには、これらエンジンから工具まで振動測定の対象となる物体をいう。
【0002】
【従来の技術】
従来、振動物体の振動数を非接触で計測する手段として、例えば三角測量を応用したレーザ変位計により振動数を求める方法がある。また、レーザドップラ振動計を用いた同一出願人による振動測定装置が、特開平11―287699号公報に開示されている。この公報記載の手法では、出射光の周波数と、測定対象物の速度に応じたドップラ周波数が重畳した戻り光の周波数との差によるビート波を検出し、このビート波に基づいて測定対象物の変位量や速度変化を検出している。
【0003】
この公報に記載された手法では、測定対象物がビート波の発振波長λの半分の長さ(λ/2)だけ変位したときにビート波が一波生じることを利用して、ビート波の波数に基づいて変位量を算出していた。そして、測定対象物の折り返し部分では測定対象物の変位量がλ/2に満たないことから、波形が崩れ、ビート波の波長が長くなることを利用して折り返し位置を判定していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来例では、振動計測の精度がレーザの発振波長に依存してしまうため、λ/2未満の変位量や振動振幅がλ/2に満たないような微少高周波数振動の状態を良好に計測することが難しい、という不都合があった。また、折り返し位置の判定を行うために種々の信号処理が必要となるため、測定対象物の振動数が高い場合に、処理数が膨大となってしまう、という不都合があった。また、測定対象物が単振動ではなく複数の振動が複雑に関連しあった振動を行う場合に、折り返し位置の判定処理の手法によっては、振動状態を正確に算出することが困難となってしまう、という不都合があった。
【0005】
【発明の目的】
本発明は、係る従来例の有する不都合を改善し、特に、レーザ発振波長に依存せずに高精度に測定対象物の振動状態を計測することのできる振動計測装置及び方法を提供することを、その目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明では、レーザ光を発振すると共に当該発振した出射光が測定対象物で反射した戻り光と当該戻り光受光時に発振した出射光とを自己混合させることでビート波を生成するレーザ共振器と、測定対象物の速度に応じて戻り光に重畳するドップラ周波数と比較して高い周波数の変調ビート周波数をビート波に生じさせる変調ビート周波数生成制御手段と、レーザ共振器内の自己混合により生じたビート波を信号処理すると共に処理結果を振動情報として出力する信号処理手段とを備えている。そして、信号処理手段は、ビート波の周波数変化を変調ビート周波数を中心としたドップラ周波数による周波数変化として当該ビート波から振動情報を生成する振動情報生成部を備えた、という構成を採っている。これにより前述した目的を達成しようとするものである。
【0007】
レーザ共振器では、測定対象物の速度に応じてドップラ周波数分シフトした戻り光と、戻り光受光時の出射光とが自己混合し、ビート波を生じる。このとき、変調ビート周波数生成制御手段は、測定対象物の速度に応じて戻り光に重畳するドップラ周波数と比較して高い周波数の変調ビート周波数をビート波に生じさせる。変調ビート周波数生成制御手段は、例えば、レーザ共振器の発振周波数を変化させるレーザ駆動電流をレーザ共振器に与える構成としても良いし、また、レーザ共振器を物理的に一定速度で変位させることで測定対象物の速度に応じた移動速度以外のドップラ周波数を変調ビート周波数として生じさせるようにしても良い。
【0008】
変調ビート周波数生成制御手段(または、レーザ駆動制御手段)が、自己混合によるビート波に変調ビート周波数を生じさせるため、ビート波の周波数(ドップラビート周波数又はビート波の実際に観測した観測周波数)は、変調ビート周波数と測定対象物の速度に応じたドップラ周波数との和となる。測定対象物が振動している場合、ドップラ周波数は測定対象物の速度に応じて変化するため、測定対象物の移動方向が折り返す位置ではドップラ周波数は「0」となる。このとき、ビート波のドップラビート周波数(観測周波数)は、変調ビート周波数生成制御手段によって生成される変調ビート周波数である。折り返し位置でのビート波の観測周波数が変調ビート周波数であるため、折り返し位置でビート波の波形が崩れることがない。
【0009】
測定対象物が折り返し位置で移動方向が逆転し、加速していくと、ドップラ周波数はこれに伴って変化する。正弦振動している場合には、振動の中心位置で最速となる。従って、ドップラビート周波数は、変調ビート周波数を中心としてドップラ周波数の変化に応じて変化する。このため、ビート波は、変調ビート周波数を搬送周波数としてドップラ周波数で周波数変調された信号と考えることができる。搬送周波数となる変調ビート周波数を高くしていくことで、微細なドップラ周波数の変化を捉えることができ、これは、レーザ共振器の発振波長とは無関係に精度を定めることを意味する。例えば、ある周波数で振動している測定対象物の振動を計測する場合、変調ビート周波数を振動周波数の10倍とすると、測定対象物1周期について10周期分のビート波を得ることができ、したがって、10個のドップラ周波数情報を得ることができる。
【0010】
信号処理手段は、ビート波に基づいて振動情報を生成する。ビート波自体も、測定対象物の速度に応じて周波数変調された信号であるため、振動情報として有用である。また、ビート波を周波数電圧変換した波形は、変調ビート周波数を中心とするドップラ周波数の変化波形であり、これは速度変化波形である。この速度変化波形を微分することで加速度変化波形を、積分することで変位変化波形を得ることができ、また、速度変化波形の周期が振動周期となる。さらに、ドップラビート周波数から変調ビート周波数を減算するとドップラ周波数となる。このドップラ周波数とレーザ発振波長とから速さを求めることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態の構成を示すブロック図である。本実施形態による振動計測装置は、レーザ光を発振すると共に当該発振した出射光が測定対象物で反射した戻り光と当該戻り光受光時に発振した出射光とを自己混合させることでビート波を生成するレーザ共振器を有するレーザ部12を備えている。振動計測装置はさらに、測定対象物の速度Vに応じて戻り光に重畳するドップラ周波数Δfdと比較して高い周波数の変調ビート周波数fbをビート波に生じさせる変調ビート周波数生成制御手段8と、レーザ共振器内の自己混合により生じたビート波を信号処理すると共に処理結果を振動情報として出力する信号処理手段21とを備えている。そして、信号処理手段21は、ビート波の周波数変化(ドップラビート周波数fdbの変化)を変調ビート周波数fbを中心としたドップラ周波数Δfdによる周波数変化として、当該ビート波から振動情報を生成する振動情報生成部22を備えている。
【0012】
また、図1に示す例では、変調ビート周波数生成制御手段8が、レーザ部12内のレーザ共振器を予め定められた波形及び周期のレーザ駆動電流で駆動制御するレーザ駆動制御部24を備えている。このレーザ駆動制御部24は、測定対象物10までの光路長Lと測定する振動の最高周波数に応じた周期で且つ鋸歯状の波形を有するレーザ駆動電流(図9(B)参照)を生成する鋸歯状波生成機能26を備えると良い。また、鋸歯状波に変えて、三角状の波形を有するレーザ駆動電流(図9(A)参照)を生成する三角波生成機能28を備えるようにしても良い。
【0013】
図2は図1に示したレーザ部12の詳細構成を中心とした振動計測装置の構成を示す説明図である。測定対象物10は、振動の状態を解析しようとする対象物であり、レーザ光が反射する位置での速度変化や、速度変化の周期や、振動周波数や、変位量が計測される。振動測定装置は、レーザ部12と、このレーザ部12から出射した出射光と、測定対象物で散乱した一部の戻り光とをそれぞれ集光するレンズ16と、レーザ部12で受光した戻り光と出射光とが自己混合したことで生じるビート波が入力される信号処理部21とを備えている。
【0014】
レーザ部12は、レーザ共振器を有するレーザダイオード(LD)14と、レーザダイオード中のレーザ共振器から出力されるビート波を光電変換するフォトダイオード(PD)20とを備えている。信号処理部21は、例えばパーソナルコンピュータやマイコンやアナログ回路等のハードウエア資源を有し、ビート波を対象として信号処理を行う。
【0015】
図3は、図1及び図2に示した構成を使用して振動情報を生成する処理例を示すフローチャートである。図3に示す例では、予め定められた目標変調ビート周波数fbobjに基づいてレーザ共振器への駆動電流の波形及び周期を設定する(ステップS1,駆動電流波形設定工程)。また、目標変調ビート周波数fbobjに基づいて、レーザ部12から測定対象物までの距離(光路長L)を駆動電流波形と共に調整するようにしてもよい。目標変調ビート周波数fbobjは、測定対象物の単一又は複数重畳した振動周期の内、測定したい最大周波数に応じて定めると良い。測定対象物の振動の周波数が100 [kHz] の場合、目標変調ビート周波数fbobjを800 [kHz] とすると、測定対象物の振動の1周期あたり8周期分のビート波を得ることができる。測定対象物の振動周波数が低い場合で、振幅もレーザ発振波長に対して長い場合には、従前の手法では測定対象物が一往復する間に多数のビート波が生じてしまうが、本実施形態では、目標変調ビート周波数fbobjを低くすることで計測の精度を可変とすることができる。従って、必要な精度を確保しつつ、信号処理負担を軽減させることができる。また、目標変調ビート周波数fbobjを高く設定すると、従前のレーザ発振波長の半分(λ/2)未満の変位量の振動であっても良好に振動状態を計測することができる。
【0016】
このように、本実施形態では、計測したい周波数の上限と測定対象物の一周期内にいくつのビート波(ドップラ周波数の値)を得るかに応じて、目標変調ビート周波数fbobjを設定する。目標変調ビート周波数fbobjが定まると、測定対象物までの光路長Lを一定とした場合、レーザ駆動電流の変化率(df/dt)を調整することで実際の変調ビート周波数fbを変化させることができる。従って、光路長Lが定まっていて、目標変調ビート周波数fbobjが与えられた場合には、レーザ駆動電流の周期(傾き)を変化させるとよい。
【0017】
ステップS1にて駆動電流波形が設定されると、続いて、レーザ光が出射される(ステップS2,レーザ光出射工程)。そして、出射光往復時間τ後に、戻り光を受光する(ステップS3,戻り光受光工程)。すなわち、戻り光受光工程S3では、レーザ光出射工程S2にて出射され所定の光路長Lを介して測定対象部10にて錯乱反射した戻り光の一部を受光する。
【0018】
続いて、この戻り光受光工程S3にて受光した戻り光と当該戻り光受光時の出射光との周波数差(変調ビート周波数:fb)と、測定対象物の移動速度に応じたドップラ周波数(Δfd)との和であるドップラビート周波数(fdb)を有するビート波を検出する(ステップS4,ビート波検出工程)。このビート波検出工程S4にて実際に観測されるビート波の観測周波数は、このドップラビート周波数(fdb)であり、ドップラービート周波数fdbは、fdb = |±Δfd + fb|である。
【0019】
続いて、ドップラビート周波数fdbを有するビート波に基づいて、振動情報を生成する(ステップS5,振動情報生成工程)。
【0020】
以下、これを詳細に説明する。
【0021】
<測定原理>
本実施形態での動作原理を説明するための関連式は以下の通りである。
【0022】
【数1】
Figure 0003671805
【0023】
さて、ドップラ周波数Δfdと測定対象物の振動面の速度Vとの関係は、レーザ発振波長をλとして、式(1)で表される。Δfdはドップラ周波数であり、出射光の周波数fとドップラ効果により変調された戻り光の周波数fdとの差である。駆動電流を一定にして連続発振したレーザ光を測定対象物にあてて自己混合方式でビート波を生じさせたとき、観測されるビート波の周波数はドップラ周波数Δfdそのものである。式(1)を積分すると、ビート波の波数νと変位量の関係は式(2)で表される。従前は、時間経過に対するビート波の波数を計数することで、発振波長の半分(λ/2)の長さを最小変位量として、振動面の変位量を算出していた。また、ビート波の周波数はドップラ周波数Δfdであるため、ビート波の観測周波数を求めることで、式(3)に基づいて振動速度Vを算出することができる。
【0024】
測定対象物の振動周波数が低いものであれば振動の振幅も大きく、振動面が往復する間に生じるビート波数は数多い。しかし、振動数が高い場合、振動振幅は小さくなる傾向にあるため、振動面の移動により観測されるビート波が一波を下回ることも少なくない。従って、この場合、ビート波を計数することで振動変位量を算出することが困難となる。また、振動変位量をλ/2未満の精度で計測することも難しい。
【0025】
本実施形態では、ビート波を所定の基準で生じさせる状態とし、この基準となる変調ビート周波数fbにドップラ周波数Δfdを重畳させることで、発振波長による解像度を、基準となる変調ビート周波数での解像度へと変更する。これにより、発振波長を基準とする計測と比較して計測の精度を高めることができる。従って、本実施形態ではλ/2未満の変位量を算出したり、また、周波数の高い振動で振幅が小さい測定対象物の振動の状態を計測することができる。
【0026】
基準となる変調ビート周波数fbを生じさせるためには、出射光と戻り光とに周波数差を生じさせる。例えば、共振器14を一定速度で移動させる場合には、測定対象物のドップラ周波数以外に、共振器14の速度に応じたドップラ周波数が生じる。また、レーザ共振器は駆動電流を増加させることで発振波長が変化するため、レーザ駆動電流を変化させることで変調ビート周波数fbを生じさせることができる。この変調ビート周波数fbは、駆動電流の増加率が一定であれば、一定の周波数となる。共振器を移動させる場合には、共振器の速度が一定であれば、変調ビート周波数は一定となる。変調ビート周波数fbを可変とする場合には、ドップラ周波数よりも十分高いという条件を満たしつつ、計測されたドップラビート周波数fdbから時間変化する変調ビート周波数成分を取り除けば良い。
【0027】
半導体レーザの共振器14には、駆動電流量によってレーザ波長が変化する特性が見られる。これは、レーザ共振器の活性層に注入される電流量が増えることによって温度が上昇し、レーザ共振器内の発振波長が変化することによる。従って、測定対象物表面10からの戻り光をレーザ共振器に帰還させ外部共振器を形成した状態で、半導体レーザの駆動電流を一定の割合で変化させると、順次レーザ波長は変化していく。
【0028】
レーザ発振波長を一定割合で変化させ、測定対象物表面10で反射散乱した光を共振器14に帰還させ戻り光受光時の出射光と混合すると、測定対象物が停止している状態でビート波fbが生じる。
【0029】
出射光の周波数をf、レーザ駆動電流を変化させることによる光周波数変化率をdf/dtとすると、測定対象物までの距離(外部共振器長)をL、測定環境でのレーザ光の速さをCとして、測定対象物が静止している場合の変調ビート周波数fbは式(4)で表される。出射光の周波数fと波長λの関係式の両辺を微分して、光周波数変化率df/dtを波長変化率で表すと、式(5)となる。式(5)を式(4)に代入して整理すると、式(6)となる。出射光往復時間をτ = (2L/C)とし、波長変化率をレーザ光出射時の波長λ1と戻り光受光時の出射光の波長λ2の差で近似でき、式(7)が導かれる。
【0030】
従って、任意の時刻t1に波長λ1で発振しているレーザ共振器から出射したレーザ光が、距離L離れたところにある測定対象物表面で反射散乱され、時刻t2に共振器に帰還したとする。レーザ駆動電流を一定割合で変化させると、時刻t2で発振しているレーザ波長はλ2である。共振器では、λ2で発振しているレーザ光と、帰還したλ1のレーザ光とが自己混合する。このときの共振器からの光をフォトダイオードで受光することでと、λ1とλ2との干渉によって波長差に応じたビート波が光強度変化として検出される。このように、レーザ駆動電流の増加率と、光周波数変化率df/dtと、出射光往復時間τ(または、測定対象物までの距離L及びレーザ光の速さC)とによって定まる変調ビート周波数fbを、測定対象物の静止時(例えば、振動の移動方向の折り返し時)に生じさせることができる。
【0031】
測定対象物までの距離Lは、振動面の移動によって変化するが、測定対象物が静止しているときの距離Lext(外部共振器長)を約150 [mm] とし、振動変位Xmは1 [μm] とすると、L≒Lextとして変化量への影響を考える必要がない。
【0032】
測定対象物が静止している状態でビート波が変調ビート周波数fbにて生じると、測定対象物表面が速度を有する場合、ビート波の観測周波数(ドップラビート周波数)fdbは観測ビート周波数fbとドップラ周波数Δfdとの和となる(式(8))。測定対象物が静止している場合には、ドップラ周波数Δfdが「0」であるため、ドップラビート周波数fdb = fbとなる。式(8)のように、変調ビート周波数fbを十分に高くとると、そのドップラビート周波数fdは、変調ビート周波数fbに対してドップラ周波数Δfd分推移した周波数となる。
【0033】
変調ビート周波数fbを一定とすると、フォトダイオード20で検出されるビート波のドップラビート周波数fdbの変化は、測定対象物10の速度変化を表す。例えば、測定対象物10が単振動している場合には、ドップラビート周波数fdbの周期が振動周期である。そして、ドップラビート周波数fdbから変調ビート周波数fb成分を差し引くと、符号に注意しつつドップラ周波数dbを求めることができる。このため、振動速度を算出することができ、さらに、振動速度を時間積分することで変位量を算出することができる。
【0034】
この動作原理を波形を参照して再度説明する。図4(A)は振動変位波形の一例を示す波形図である。ここでは、振動変位の増加方向は共振器14側である。測定対象物10が振動数ftで振動している場合には、対象物の移動によるドップラー効果のため反射光の周波数が変化し、出射光と戻り光は混合して図4(B)で示すようにドップラー周波数Δfdのビート波が生じる。図4(A)に示す振動では、ドップラ周波数の最大値Δfdmaxは測定対象物が近づいているときの測定対象物の振動の振幅中心付近での最大速さであり、ドップラ周波数の最小値Δfdminは測定対象物が遠ざかる場合の最大値速さである。図4(B)に示すように、ドップラ周波数の変化波形は振動変位波形を微分した波形であり、速度変化波形である。実際、ドップラ周波数に出射光波長を掛けると速度の次元となる。
【0035】
図4(C)乃至(E)は変調ビート周波数fbの生成を説明するための波形図である。ここでは、測定対象物は静止しているとする。図4(C)の符号32で示す波形は、出射光の波長変化(又は、周波数変化)であり、符号33で示す波形は、出射光往復時間τ経過後の戻り光の波長変化(又は、周波数変化)である。時刻t1に波長λ1で出射した出射光32は、出射光往復時間τ経過後の時刻t2に共振器へ戻る。このときの出射光32の波長はλ2となっている。この波長差又は周波数差に応じて、図4(D)の符号34で示す変調周波数fbのビート波が生じる。波長変化率が一定である場合には、この変調ビート周波数fbも図4(E)の符号35で示すように一定である。
【0036】
図4(C)に示すように、出射光周波数と戻り光周波数の関係は、レーザ駆動電流のピーク及びボトムにて逆転する。また、レーザ駆動電流のピークの後には、出射光周波数と戻り光周波数の差がない状態となってしまい、変調ビート周波数が「0」であるか、又は逆転してしまい、一定ではなくなる。本明細書では、この変調ビート周波数が一定ではなくなる期間を、不定期間37という。図4(C)に示すように、レーザ駆動電流波形との関係で、不定期間37を除いた変調ビート周波数一定期間36内にてビート波を取り扱うと、信号処理が容易となる。
【0037】
図5を参照して、ドップラ周波数成分と変調ビート周波数成分とが重畳するビート波の生成過程を説明する。図5は、各周波数の関係を定性的に説明するための図であり、周波数の大きさの関係を正確に示すものではない。測定対象物が遠ざかっていて、ドップラ周波数Δfdがマイナス、f1 > fd、fdb > fbの場合である。時刻t1に周波数f1の出射光32がレーザ部12から出射される。速度Vを有する測定対象物10にて反射すると、ドップラ効果により出射光周波数f1は戻り光周波数fdへ変化する。このf1とfdとの差が、ドップラ周波数Δfdであり、測定対象物の速度(移動方向)が共振器側の場合にΔfdがプラスとなる。理想的な状態で周波数分析を行うとすると、出射光周波数f1がΔfd分シフトして、戻り光の周波数がfdとなったと考えられる。
【0038】
また、レーザ駆動電流を変化させているため、時刻t2での出射光周波数はf2へ変化している。戻り光受光時の出射光周波数f2と、出射光周波数f1との差が、変調ビート周波数fbであり、この変調ビート周波数は式(4),(7)等で定義される。
【0039】
実際に共振器14内で自己混合する2つの波は、周波数fdを有する戻り光と、戻り光受光時の周波数f2を有する出射光とである。このf2とfdの差は、出射光周波数f1がキャンセルされ、ドップラビート周波数fdbとなる。従って、自己混合により生じたビート波の観測周波数は、変調ビート周波数fbとドップラ周波数Δfdとの和である。変調ビート周波数fbの符号はレーザ駆動電流が上昇しているか又は下降しているかに依存する。レーザ駆動電流を増加すると、レーザの波長は長くなる。駆動電流が増加している時の電流変調により生じた周波数を正の周波数とすると、変調ビート周波数fbと観測したビート波のドップラビート周波数fdbとの差の絶対値が、ドップラ周波数の大きさであり、これに基づいて測定対象物の移動の速さを算出することができる。
【0040】
また、振動の方向よりも振動周期や振動速度が重要な場合には、ドップラビート周波数変化波形について測定対象物振動面の移動方向を問わずに速度変化波形として扱うようにしても良い。
【0041】
このように、ドップラ周波数Δfdそのものをビート波とするのではなく、変調ビート周波数をドップラ周波数分シフトさせたドップラビート周波数fdbを有するビート波を生じさせることで、従来と比較して格段に精度良くドップラ周波数Δfdを得ることができ、従って、振動速度や振動周期を精度良く計測することができる。そして、変調ビート周波数fbをドップラ周波数Δfdの搬送周波数と考え、測定対象物の振動周期や測定したい上限の周波数などに応じて変調ビート周波数fbを設定することで、信号処理手段21の性能に応じて検出するビート波の波数を調整することができ、従って、計測精度と計測に必要なデータ量とを任意に選択することが可能となる。
【0042】
図6は、本実施形態での光路長設定手段の構成例を示す説明図であり、図6(A)は光路長設定手段として複数のミラーを用いる例を示す図で、図6(B)は光路長設定手段として光ファイバを用いた例を示す図である。式(4)に示すように、変調ビート周波数fbは光路長Lに依存する。一方、駆動電流変調により生じる変調ビート周波数fbは、ドップラ周波数Δfdよりも十分高くする設定する必要があるため、光路長Lを伸ばしたい場合が生じる。測定対象物までの距離が無い場合には、図6(A)に示すようにミラー60で光路長Lを調整することができる。また、図6(B)に示すように、光ファイバ61を介して測定対象物に出射光を照射し、また戻り光を測定対象物10からレーザ共振器まで導くようにしても良い。
【0043】
図7は、本実施形態による振動計測例を示す波形図であり、図7(A)は振動変位波形の一例を示す図で、図7(B)はこの場合のビート波の波形例を示す図である。図7(A)に示す例では、変位の増加方向を共振器側としている。このため、符号3cで示す部分にて測定対象物は遠ざかっており、ドップラ周波数Δfdがマイナスであることから、変調ビート周波数fbをプラスとして差を求めるとドップラビート周波数fdbの値は小さくなり、従って、周期は長くなる。変調ビート周波数fbがマイナスの場合には、この振動面動き方向とビート波の周期の関係は逆転する。
符号3bで示す位置にて、測定対象物は折り返すため、速度が「0」となる。このとき、計測によるドップラビート周波数fdbはレーザ駆動電流変調により生じさせた変調ビート周波数fbと等しい。この振動の折り返し点でビート波が崩れないことにより、種々の利点が生じる。まず、測定対象物の振動に複数の振動周期が重畳し、複雑な変位を行ったとしても、変調ビート周波数を中心としてドップラ周波数により周波数変調されるのみであるため、振動の状態を良好に計測することができ、さらに、測定対象物の振動の減衰を計測したい場合であっても、減衰により測定対象物の変位量が「0」となった場合には、ビート波を観測した周波数であるドップラビート周波数が変調ビート周波数になるだけで、ビート波の波形が崩れることがないため、減衰の過程を精度良く計測することができる。
【0044】
図7に示すように、本実施形態による振動計測装置にて測定対象物の振動を計測すると、変調ビート周波数を中心周波数としてドップラ周波数で変調されたビート波を得ることができる。このビート波をF/V変換すると図7(C)に示す速度変化波形を得ることができ、また、ドップラビート周波数から変調ビート周波数を差し引いて符号を反転させることでドップラ周波数を得ることができるため、速度の方向及び速さを算出することができる。
【0045】
【第1実施例】
<信号補正処理>
図8は、本発明の各実施例に共通する振動計測装置の概略構成例を示すブロック図である。図8に示す例では、振動計測装置は、レーザ光を発振すると共に当該発振した出射光が測定対象物で反射した戻り光と当該戻り光受光時に発振した出射光とを自己混合させるレーザ共振器(レーザダイオード)14と、このレーザ共振器の自己混合により生じたビート波を光電変換するフォトダイオード20とをを有するレーザ部12を備えている。
【0046】
また、振動計測装置は、このレーザ共振器を予め定められた波形及び周期のレーザ駆動電流で駆動制御するレーザ駆動制御部24と、レーザ駆動電流の時間変化によるレーザ光の発振周波数fの変化(df/dt)と出射光の出射から戻り光の受光までの期間τとに応じて共振器14内に生じる出射光と戻り光の周波数差を変調ビート周波数fbとするビート波を検出する信号処理手段21とを備えている。
【0047】
しかも、信号処理手段21が、ビート波の変調ビート周波数fbに重畳する測定対象物の速度に応じたドップラ周波数Δfdの変化を周波数変化波形として生成する周波数変化波形生成部22Aを備えている。また、信号処理手段21は、PD出力信号からビート波を検出するビート波検出回路51と、このビート波検出回路によって検出されたPD出力信号のうちレーザ駆動電流と同様に変化する大きな光強度変化成分を除去する任意波形除去回路52と、この任意波形除去回路52によって変調成分が取り除かれた後に信号を増幅する信号増幅回路53とを備えている。信号増幅回路53によって増幅された信号は、上述したビート波として周波数変化波形生成部22Aに入力される。
【0048】
図9は、第1実施例による駆動電流波形の一例を示す波形図であり、図9(A)はレーザ駆動電流を三角波とした場合の例を示す図で、図9(B)は鋸歯状波とした例を示す図である。レーザ駆動電流の変化量が一定であれば、駆動電流による変調で発生する周波数は一定となるため、測定したビート波のドップラビート周波数fdbが変化すると、測定対象物の速度に応じたドップラ周波数Δfdが変化したことが即座に判り、振動状態の判定が容易となる。従って、駆動電流の波形(時間的変化)は図9(A)又は(B)に示すように一定の傾きを有する直線が周期的に繰り返される波形が好ましい。レーザ駆動電流の除去や、変調ビート周波数fbの算出などの観点から、図9(B)に示す鋸歯状波状の駆動電流波形が扱いやすいが、図9(A)に示す対称的な傾きを有する三角波でもよい。三角波による場合、波形の直線部分の傾きの正負によって、変調ビート周波数の増減も変わるため、ドップラ速度を算出する過程で所定の信号処理が必要となる。従って、信号処理を簡略化するためには、できるだけ1つの傾きで、かつその範囲の長い図9(B)の鋸歯状波が好ましい。
【0049】
図9(A)の三角波を駆動電流とするとき、傾きを正負両方で測定する場合には、波形の傾きの正負に応じて周波数処理を選択する必要がある。図10はこの三角波をレーザ駆動電流波形とする場合の振動情報生成部の構成例を示すブロック図である。例えば、図9(C)に示すように駆動電流の上昇期間又は下降期間に応じてセレクト期間を定める。その時測定したドップラ周波数をセレクト期間に応じた演算器を通すことで一様に処理することができる。
【0050】
図10に示す例では、信号処理手段21は、ビート波信号3の周波数(ドップラビート周波数)fdbを算出する周波数算出部54と、レーザ駆動電流の電流変調による変調ビート周波数fbの値を用いてドップラ周波数Δfdを算出する演算部55と、レーザ駆動電流の波形が三角波である場合には当該三角波の立ち上がり期間と立ち下がり期間とに分けてビート波からドップラ周波数を抽出する期間別信号処理部22Bとを備えている。図10に示す例では、期間別信号処理部22Bは、演算部によって算出されたドップラ周波数Δfdの極性(符号)を反転させる極性反転部56と、図9(C)に示すタイミングに応じてドップラ周波数又は極性が反転されたドップラ周波数を選択するセレクタ57とを備えている。ドップラ周波数Δfdを時系列で出力することで、周波数変化波形を出力する。
【0051】
図11は、本実施例での任意波形除去回路の構成例を示すブロック図であり、図11(A)は概略構成を示す図で、図11(B)はレーザ駆動電圧に基づいてビート波から三角波成分を除去する構成例を示す図である。図11(A)に示す例では、図8に示す任意波形除去回路52は、周波数の高い成分を通過させ直流成分を除去するハイパス・フィルタ63と、このハイパス・フィルタ63を通過した信号のうちレーザ駆動電流と同様に変化する光強度変化成分を除去する三角波成分除去部(駆動電流成分除去部)64とを備えている。三角波成分除去部64は、駆動電流波形が鋸歯状波である場合には鋸歯状波成分除去部として機能する。
【0052】
フォトダイオード20で検出されたレーザの光強度変化(PD出力信号)に伴う電気信号をフィルタ63に通して交流成分のみを取り出す。このときの抽出された信号には駆動電流変化に合わせてレーザの光強度が強弱するため、駆動電流波形に比例した三角波成分が含まれている。ビート波に比べてこの三角波成分が非常に大きいため、信号を増幅する前に三角波成分(鋸歯状波成分)を除去する必要がある。
【0053】
具体的には、駆動電流の三角波や鋸歯状波に相当する三角波電圧を用意し、増幅等により振幅を調整した後、PD出力信号に同期させて差し引くことで、駆動電流成分を除去することができる。図11(B)に示す例では、レーザ駆動制御部24にて生成される三角波電圧波形の電圧をPD出力信号の三角波成分の電圧と略同一となるように調整する電圧調整部65と、PD出力信号の位相を検出すると共に当該検出した位相と電圧調整部65で振幅を調整された信号の位相とを同期させる位相検出・同期合わせ部66と、ハイパス・フィルタを通過したPD出力信号から、位相検出・同期合わせ部にて位相が調整された三角波信号を差し引くことでドップラビート周波数を有するビート波のみを抽出する演算回路67とを備えている。
【0054】
図12は、任意波形除去回路52の他の例を示すブロック図である。図12に示す例では、PD出力信号から三角波成分だけを抽出し、電圧調整及び位相調整を行った後に、信号から三角波成分を差し引いている。図12に示す例では、三角波成分除去部64は、ハイパス・フィルタ63を通過したPD出力信号のうち三角波成分を抽出する三角波抽出部68と、この三角波抽出部68によって抽出された三角波波形の位相及び電圧を調整する位相・電圧調整部69と、ハイパス・フィルタ63を通過したPD出力信号から、位相・電圧調整部69から出力される信号成分を差し引く演算回路67とを備えている。
【0055】
また、ハイパス・フィルタ63の遮断周波数を駆動電流波形の周期に応じて設定することで、PD出力信号から三角波成分を除去することもできる。すなわち、ビート波と駆動電流変化の周波数に差があり、ビート波の方が高い周波数を持つため、ハイパスフィルタ63を用いて信号中の駆動電流変化による三角波成分を除去することができる。
【0056】
図11及び図12に示す例では、PD出力信号に含まれる駆動電流の三角波成分を除去した後、増幅する。このため、ビート波成分のみを広い帯域にて扱うことが可能となる。例えば、デジタル信号に変換する場合には、A/D変換器の分解能を最大限活用することができる。
【0057】
【第2実施例】
<周波数変化算出>
第2実施例では、ビート波から周波数変化波形を算出する構成を詳細に説明する。図13(A)はドップラビート周波数の変化を振動速度変化として出力する構成例を示す図である。ビート波の観測周波数は、ドップラ周波数Δfdと変調ビート周波数fbとの差であるため、変調ビート周波数fbが一定の場合には、ドップラビート周波数の変化は、変調ビート周波数で速度を「0」とする速度変化波形として利用することができる。図13(A)に示す例では、周波数変化波形生成部22Aは、信号増幅回路53にて増幅されたビート波のうち、不定期間等について補正を行う信号補正回路72と、この信号補正回路から出力されるビート波の周波数を電圧に変換するF/V変換素子73とを備えている。図13(A)に示す構成は、アナログ回路にて実現することができるため、測定対象物の振動の異常等をリアルタイムで計測する用途に適している。
【0058】
図13(B)はドップラ周波数Δfdの変化を振動速度変化として出力する例を示す図である。図13(B)に示す例では、ドップラビート周波数fdbの変化ではなく、変調ビート周波数成分fbを取り除いて、ドップラ周波数成分Δfdのみを要素とする周波数変化波形を生成する。図13(B)に示す例では、周波数変化波形生成部22Aは、図13(A)に示す構成に加えて、F/V変換素子73から出力されるドップラビート周波数fdbの変化波形から変調ビート周波数fb分を取り除く演算回路75を備えている。演算回路75は、ドップラ周波数の変化波形や、波長を掛けた速度変化波形や、速度変化波形を積分した変位変化波形等を振動情報として出力する。
【0059】
場合によっては、あらかじめ得られた電流変調による変調ビート周波数を、増幅した信号(ビート波)に掛け合わせ、そのエンベローブを測定することでドップラ周波数を算出しても良い。
【0060】
図14は、本発明の第2実施例での信号処理手段の構成例を示すブロック図である。図14及び図15に示す例では、デジタル信号処理により周波数変化波形を出力する。具体的には、数値化されたビート波の周期をビート波形データから時間的に求める。例えば、ビート波を微分することで波形のピークを判定してピーク間の時間を観測して波形の周期を求める方法や、ビート波そのものが任意の電圧を横切る区間を計測することで波形の周期を求めることができる。
【0061】
ピーク間での周期計測は、中心電圧変動に強い一方、ノイズの影響を受けやすい。ビート波が任意の電圧を横切る区間を計測する例では、中心電圧変動には弱いが、比較的ノイズの影響を受けない。このため、信号の状態によって各手法を選択することで波形の周期を正確に算出することができる。
【0062】
ビート波の微分処理を行う例では、ノイズの影響をなくすため、予め波形を平均化したほうが良い。波形のピークを求める方法は、平均化してノイズを除去した信号を微分し、微分値がゼロラインを正から負へ横切った点をピークとするようにしても良い。場合によっては、微分値がゼロラインを負から正へ横切った点をピークとしてもよい。
【0063】
ノイズ対策としては、微分値がゼロラインを正から負へ横切った点の間隔が、予想しうるビート波の波長よりも短かった場合、次の点までの間隔を累積して周期として計算する方法も有効である。また、微分値がゼロラインを正から負へ横切ったときの傾きが、予想しうる傾きよりも急峻だった場合にノイズと判定してこれを無視するようにしても良い。
【0064】
ビート波の周期を直接求める例では、信号を大きく平均化するなどの手段で信号の中心電圧を求め、その電圧ラインをビート波が正から負(又は、負から正)へ横切った点の間隔を測定する。
【0065】
ビート波を微分した微分ビート波を用いて周波数変化波形を生成する例では、図14に示すように、周波数変化波形生成部22Aが、ビート波を微分する微分機能77と、この微分機能77によって微分された微分ビート波がゼロクロスする周期の変化を周波数変化波形として算出するゼロクロス周期算出機能78とを備える。さらに、ゼロクロス周期算出機能78によって検出された周期の値の逆数を時系列で連続的なデータへ整形する機能を備えると、周波数変化波形(測定対象物の速度変化波形)を生成することができる。
【0066】
図15(A)はビート波の周期を直接求める例を示す図で、図15(B)は微分したビート波の周期を求める例を示す図である。図15(A)に示す例では、ビート波が負から正へゼロクロスする位置を検出することで周期Tを求めている。図15(B)に示す例では、図14に示した構成により、ビート波を微分してその微分ビート波が負から正へゼロクロスする位置を検出することで、ビート波のピークからピークまでの周期Tを求めている。
【0067】
【第3実施例】
<周波数スペクトル算出>
第3実施例では、ビート波を周波数分析する例を中心に説明する。図16は、本発明の第3実施例の構成例を示すブロック図である。図16に示す例では、信号処理手段21が、ビート波のノイズを除去する信号補正部72と、ビート波の周波数スペクトルを求めるフーリエ解析機能81と、このフーリエ解析機能81によって生成された周波数スペクトルのうちビート周波数を中心としたスペクトラム幅に基づいて測定対象物の速度に応じたドップラ周波数の最大値又は最小値を算出するドップラ周波数算出機能82とを備えている。
【0068】
図17は、第3実施例で使用するビート波の周波数スペクトルの例を示すスペクトル図である。理想的な状態におけるビート波の周波数分布は、電流変調によって発生する変調ビート周波数fbを中心として、ドップラ周波数Δfd分シフトした形で観測される。従って、信号をフーリエ解析した時のスペクトラム幅の中心が駆動電流変調による変調ビート周波数fbであり、スペクトラム幅の最小周波数fdbminあるいは最大周波数fdbmaxから変調ビート周波数fbを差し引いた周波数の絶対値が最小ドップラ周波数Δfdminまたは最大ドップラ周波数Δfdmaxである。
【0069】
このため、FFTなどの手法を用いてビート波3をフーリエ解析することで、計測したビート波から変調ビート周波数fbと最大ドップラ周波数Δfdmaxとを特定することができる。最大ドップラ周波数Δfdmaxが判明すると、式(3)を用いて測定対象物の最大移動速度を算出することができる。
【0070】
再度図16を参照すると、信号処理手段は、ビート波の観測周波数fdbと中心変調ビート周波数fbとの差の絶対値を測定対象物の速度に応じたドップラ周波数Δfdとして算出するドップラ周波数算出部80と、このドップラ周波数算出部80によって算出されたドップラ周波数Δfdに基づいて測定対象物の速度を算出する移動速度算出部83とを備えている。ドップラ周波数算出部80は、図16に示す例ではFFTを用いることとしているが、予め算出又は計測した変調ビート周波数をビート波の観測周波数から取り除くことでドップラ周波数を抽出するようにしても良い。
【0071】
【第4実施例】
<複数共振器>
第4実施例では、複数のレーザ共振器を用いることで、レーザ駆動電流波形に応じて生じてしまう不定期間のビート波を用いずに連続した振動計測を可能とする。図18は、本発明の第4実施例の構成例を示すブロック図である。本実施形態による振動計測装置は、レーザ光を発振すると共に当該発振した出射光が測定対象物で反射した戻り光と当該戻り光受光時に発振した出射光とを自己混合させる複数のレーザ共振器90,91と、これら複数のレーザ共振器90,91をそれぞれ予め定められた波形及びそれぞれの位相のレーザ駆動電流で駆動制御するレーザ駆動制御部92と、複数の共振器内に生じる出射光と戻り光の周波数差を変調ビート周波数fbとして測定対象物の移動速度に応じたドップラ周波数Δfdが重畳したビート波をそれぞれ検出する信号処理手段95とを備えている。
【0072】
この信号処理手段95は、複数の共振器90,91でそれぞれ生じるビート波のうちレーザ駆動電流の位相及び周期と関係して変調ビート周波数fdbが不定となる不定期間37となっていない共振器90のビート波を選択するビート波選択部93と、このビート波選択部93によって選択されたビート波に基づいて測定対象物の振動情報を生成する振動情報生成部94とを備えている。
【0073】
図19は、第4実施例での2つのレーザ駆動電流の位相関係を示す波形図である。レーザ駆動電流波形の傾きが変わる部分、すなわち、駆動電流波形のピークでは、電流変化がなくなるため、駆動電流変調によるビート波が発生しない。さらに、実際に三角波又は鋸歯状波波形を生成する場合、波形のピークで瞬時に波形の傾きを変えることは難しいため、ピークの前後で直線性が失われて曲線に近くなる。このため、駆動電流波形のピーク近辺では変調ビート周波数fbが生じないか、または不安定となる。このため、図19に示すように、レーザ駆動電流の位相をずらして測定を行うと、変調ビート周波数fbの不定期間37が重ならず、従って、両方の変調ビート周波数安定期間のビート波を利用することで、連続した振動計測を安定して行うことができる。
【0074】
図20は、第4実施例の詳細構成例を示すブロック図である。図20に示す例では、符号90で示す第1のレーザAと、符号91で示す第2のレーザBとでそれぞれF/V変換を行い、セレクタ93にてビート波の不定期間37を除くようにレーザA,Bを選択している。具体的には、レーザA側では、ビート波のノイズを除去する信号補正回路72Aと、ノイズ除去されたビート波の周期変化を電圧変化に変換するF/V変換素子73Aと、このF/V変換素子73Aから出力される速度変化波形の電圧値を規格化する電圧調整回路65Aとを備えている。レーザB側も同様の構成となっており、それぞれの電圧調整回路65A,Bにより速度変化波形の振幅を同一へと整形している。
【0075】
【第5実施例】
<不定期間>
第5実施例では、レーザを1つとしつつ、不定期間の波形を除去して間欠的に振動を計測する。振動の最大速度の監視を行うような場合に有用である。図21は、本発明の第5実施例の構成例を示すブロック図である。図21に示す例では、信号処理手段21が、ビート波のうちレーザ駆動電流の位相及び周期と関係して変調ビート周波数が不定となる不定期間の不定ビート波を除去する不定期間補正部95と、この不定期間補正部95で補正されたビート波に基づいて測定対象物の振動情報を生成する振動情報生成部94とを備えている。不定期間補正部95は、レーザ駆動電流波形の周期及び位相に応じて不定期間とされているビート波を補正する。例えば、ビート波の値を「0」や、十分に低い周期の波形と置き換える。ビート波の値を「0」とすることで、振動情報生成部94の構成を変更することなく、不定期間でのビート波の変動を除去することができる。
【0076】
図22は、第5実施例での安定期間内のビート波の一例を示す波形図であり、図22(A)は測定対象物が停止している場合のビート波を示す図で、図22(B)は測定対象物が振動している場合のビート波の例を示す図である。図22に示すビート波を連続させると、第4実施例等他の実施例で扱うビート波と同様となる。図22(A)に示す例では、ビート波の振幅が若干変動しているものの、周期は略一定であり、この周期に応じた周波数が変調ビート周波数fdbである。図22(B)に示す例では、この変調ビート周波数がドップラ周波数Δfdで変調されている。長い周期から除々に周期が短くなり、続いて周期が長くなっている。この周波数変化が測定対象物のドップラ周波数成分である。廉価な部品を用いても、変調ビート周波数としてメガヘルツオーダーの高周波数を実現できるため、測定対象物の振動変位や祖速度計測の分解能が大幅に向上する。
【0077】
【発明の効果】
本発明は以上のように構成され機能するので、これによると、変調ビート周波数生成制御手段が、測定対象物の速度に応じて戻り光に重畳するドップラ周波数Δfdと比較して高い周波数の変調ビート周波数fbをビート波に含ませるため、測定対象物が静止している状態でも変調ビート周波数fbのビート波を生じさせることができ、そして、測定対象物のドップラ周波数Δfdが、変調ビート周波数fbとの和としてビート波に重畳するため、変調ビート周波数を一定とする場合にはビート波の観測周波数(ドップラビート周波数fdb)の変化がドップラ周波数Δfdの変化を表し、従って、ビート波の観測によるドップラビート周波数fdbの変化波形を速度変化波形として扱うことができ、さらに、ビート波の数だけドップラ周波数Δfdを計測することができるため、変調ビート周波数fbを高く設定することで振動計測の分解能を向上させることができ、特に、従前の発振周波数の半分の長さ(λ/2)を単位とする変位量や速度の算出と比較して大幅に解像度を向上させることができ、従って、従来安定した測定が困難であった微少周期の振動や変位量の微少な変化を精度良く計測することができ、一方、λ/2の長さと比較して変位量が大きく測定対象物の振動周期に対して多すぎるビート波が生じていた場合に対しては、変調ビート周波数fbを低く設定することにより測定対象物の振動周期に対するビート波の数を調整することができ、このように、変調ビート周波数fbを可変とすることで計測精度の向上とデータ量の削減を必要な範囲で調整することができ、さらに、測定対象物が静止している状態でも変調ビート周波数のビート波が生じることから、測定対象物が、複数の振動周期が重畳した複雑な振動をしている場合であっても移動方向の折り返しや速度をビート波の観測周波数(ドップラビート周波数)の変化から計測することができ、また、測定対象物が静止してもビート波が崩れないため、振動の減衰の状態を良好に計測することができ、このようにレーザ発振波長に依存せずに高精度に測定対象物の振動状態を計測することができる、という従来にない優れた振動計測装置及び方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示した構成のレーザ部の詳細構成を示す説明図である。
【図3】図1に示した構成を使用して振動情報を生成する工程例を示すフローチャートである。
【図4】本実施形態の動作原理を説明するための波形図であり、図4(A)は振動変位波形の一例を示す図で、図4(B)はドップラ周波数変化波形(速度変化波形)の一例を示す図で、図4(C)は出射光と戻り光の位相差を例示する図で、図4(D)は図4(C)に示す位相差に応じて生じたレーザ光の周波数差を変調ビート周波数とするビート波の一例を示す図で、図4(E)は測定対象物が停止している場合のビート波の周波数を例示する図である。
【図5】図1に示す構成での各種周波数を例示する説明図である。
【図6】本実施形態での光路長設定手段の構成例を示す説明図であり、図6(A)は光路長設定手段として複数のミラーを用いる例を示す図で、図6(B)は光路長設定手段として光ファイバを用いた例を示す図である。
【図7】本実施形態による振動計測例を示す波形図であり、図7(A)は振動変位波形の一例を示す図で、図7(B)はこの場合のビート波の波形例を示す図で、図7(C)はこのビート波をFV変換した周波数変化波形(速度変化波形)の一例を示す図である。
【図8】本発明の実施例の概略構成例を示すブロック図である。
【図9】第1実施例による駆動電流波形の一例を示す波形図であり、図9(A)はレーザ駆動電流を三角波とした場合の例を示す図で、図9(B)は鋸歯状波とした例を示す図で、図9(C)は三角波を選択的に処理する例を示す図である。
【図10】本実施例での振動情報生成部の構成の一例を示すブロック図である。
【図11】本実施例での任意波形除去回路の構成例を示すブロック図であり、図11(A)は概略構成を示す図で、図11(B)はレーザ駆動電圧に基づいてビート波から三角波成分を除去する構成例を示す図である。
【図12】本実施例での任意波形除去回路の他の例を示すブロック図である。
【図13】本実施例でのビート波から振動速度波形を生成する構成例を示すブロック図であり、図13(A)はドップラビート周波数の変化を振動速度変化として出力する構成例を示す図で、図13(B)はドップラ周波数の変化を振動速度変化として出力する例を示す図である。
【図14】本発明の第2実施例での信号処理手段の構成例を示すブロック図である。
【図15】第2実施例での処理を説明するための波形図であり、図15(A)はビート波の周期を直接求める例を示す図で、図15(B)は微分したビート波の周期を求める例を示す図である。
【図16】本発明の第3実施例の構成例を示すブロック図である。
【図17】第3実施例で使用するビート波の周波数スペクトルの例を示すスペクトル図である。
【図18】本発明の第4実施例の構成例を示すブロック図である。
【図19】第4実施例での2つのレーザ駆動電流の位相関係を示す波形図である。
【図20】第4実施例の詳細構成例を示すブロック図である。
【図21】本発明の第5実施例の構成例を示すブロック図である。
【図22】第5実施例での安定期間内のビート波の一例を示す波形図であり、図22(A)は測定対象物が停止している場合のビート波を示す図で、図22(B)は測定対象物が振動している場合のビート波の例を示す図である。
【符号の説明】
8 変調ビート周波数生成制御手段
10 測定対象物
12 レーザ部
14 レーザダイオード(LD)
20 フォトダイオード(PD)
21 信号処理手段
22 振動情報生成部
22A 周波数変化波形生成部(又は、振動速度波形生成部)
22B 期間別信号処理部
24 レーザ駆動制御部
26 鋸歯状波生成機能
28 三角波生成機能

Claims (15)

  1. レーザ光を発振すると共に当該発振した出射光が測定対象物で反射した戻り光と当該戻り光受光時に発振した出射光とを自己混合させることでビート波を生成するレーザ共振器と、前記測定対象物の速度に応じて前記戻り光に重畳するドップラ周波数と比較して高い周波数の変調ビート周波数を前記ビート波に生じさせる変調ビート周波数生成制御手段と、前記レーザ共振器内の自己混合により生じたビート波を信号処理すると共に処理結果を振動情報として出力する信号処理手段とを備え、
    前記信号処理手段は、前記ビート波の周波数変化を前記変調ビート周波数を中心とした前記ドップラ周波数による周波数変化として当該ビート波から振動情報を生成する振動情報生成部を備えたことを特徴とする振動計測装置。
  2. 前記変調ビート周波数生成制御手段が、前記レーザ共振器を予め定められた波形及び周期のレーザ駆動電流で駆動制御するレーザ駆動制御部を備えたことを特徴とする請求項1記載の振動計測装置。
  3. 前記レーザ駆動制御部は、前記測定対象物までの光路長と測定する振動の最高周波数に応じた周期で且つ鋸歯状の波形を有するレーザ駆動電流を生成する鋸歯状波生成機能を備えたことを特徴とする請求項2記載の振動計測装置。
  4. 前記レーザ駆動制御部は、前記測定対象物までの光路長と測定する振動の最高周波数に応じた周期で且つ三角状の波形を有するレーザ駆動電流を生成する三角波生成機能を備えたことを特徴とする請求項2記載の振動計測装置。
  5. 前記光路長を予め定められた長さに設定する光路長設定手段を備えたことを特徴とする請求項3又は4記載の振動計測装置。
  6. レーザ光を発振すると共に当該発振した出射光が測定対象物で反射した戻り光と当該戻り光受光時に発振した出射光とを自己混合させるレーザ共振器と、このレーザ共振器を予め定められた波形及び周期のレーザ駆動電流で駆動制御するレーザ駆動制御部と、前記レーザ駆動電流の時間変化による前記レーザ光の発振周波数の変化と前記出射光の出射から前記戻り光の受光までの出射光往復時間とに応じて前記共振器内に生じる出射光と戻り光の周波数差を変調ビート周波数とするビート波を検出する信号処理手段とを備え、
    前記信号処理手段が、前記ビート波に基づいて、前記変調ビート周波数に重畳する前記測定対象物の速度に応じたドップラ周波数の変化を周波数変化波形として生成する周波数変化波形生成部を備えたことを特徴とする振動計測装置。
  7. 前記信号処理手段が、前記レーザ駆動電流の波形が三角波である場合には当該三角波の立ち上がり期間と立ち下がり期間とに分けて前記ビート波からドップラ周波数を抽出する期間別信号処理部を備えたことを特徴とする請求項6記載の振動計測装置。
  8. 前記信号処理手段が、前記ビート波から前記レーザ駆動電流の波形に応じた光強度変化成分を除去する駆動電流成分除去部を備えたことを特徴とする請求項6記載の振動計測装置。
  9. 前記周波数変化波形生成部が、前記ビート波を微分する微分機能と、この微分機能によって微分された微分ビート波がゼロクロスする周期の変化を前記周波数変化波形として算出するピーク間周期算出機能とを備えたことを特徴とする請求項6記載の振動計測装置。
  10. レーザ光を発振すると共に当該発振した出射光が測定対象物で反射した戻り光と当該戻り光受光時に発振した出射光とを自己混合させるレーザ共振器と、このレーザ共振器を予め定められた波形及び周期のレーザ駆動電流で駆動制御するレーザ駆動制御部と、前記レーザ駆動電流の時間変化による前記レーザ光の発振周波数の変化と前記出射光の出射から前記戻り光の受光までの出射光往復時間とに応じて前記共振器内に生じる出射光と戻り光の周波数差を変調ビート周波数とするビート波を検出する信号処理手段とを備え、
    前記信号処理手段が、前記ビート波の周波数スペクトルを求めるフーリエ解析機能と、このフーリエ解析機能によって生成された周波数スペクトルのうち前記変調ビート周波数を中心としたスペクトラム幅に基づいて前記測定対象物の速度に応じたドップラ周波数の最大値又は最小値を算出するドップラ周波数算出機能とを備えたことを特徴とする振動計測装置。
  11. レーザ光を発振すると共に当該発振した出射光が測定対象物で反射した戻り光と当該戻り光受光時に発振した出射光とを自己混合させるレーザ共振器と、このレーザ共振器を予め定められた波形及び周期のレーザ駆動電流で駆動制御するレーザ駆動制御部と、前記レーザ駆動電流の時間変化による前記レーザ光の発振周波数の変化と前記出射光の出射から前記戻り光の受光までの出射光往復時間とに応じて前記共振器内に生じる出射光と戻り光との周波数差を変調ビート周波数とするビート波を検出する信号処理手段とを備え、
    前記信号処理手段が、前記ビート波の周波数と前記変調ビート周波数との差を前記測定対象物の速度に応じたドップラ周波数として算出するドップラ周波数算出部と、このドップラ周波数算出部によって算出されたドップラ周波数に基づいて前記測定対象物の速度を算出する移動速度算出部とを備えたことを特徴とする振動計測装置。
  12. レーザ光を発振すると共に当該発振した出射光が測定対象物で反射した戻り光と当該戻り光受光時に発振した出射光とを自己混合させる複数のレーザ共振器と、これら複数のレーザ共振器をそれぞれ予め定められた波形及びそれぞれの位相のレーザ駆動電流で駆動制御するレーザ駆動制御部と、前記複数の共振器内に生じる出射光と戻り光の周波数差を変調ビート周波数として前記測定対象物の移動速度に応じたドップラ周波数が重畳したビート波をそれぞれ検出する信号処理手段とを備え、
    前記信号処理手段が、前記複数の共振器でそれぞれ生じるビート波のうち前記レーザ駆動電流の位相及び周期と関係して変調ビート周波数が不定となる不定期間となっていない共振器のビート波を選択するビート波選択部と、このビート波選択部によって選択されたビート波に基づいて前記測定対象物の振動情報を生成する振動情報生成部とを備えたことを特徴とする振動計測装置。
  13. レーザ光を発振すると共に当該発振した出射光が測定対象物で反射した戻り光と当該戻り光受光時に発振した出射光とを自己混合させるレーザ共振器と、このレーザ共振器を予め定められた波形及び周期のレーザ駆動電流で駆動制御するレーザ駆動制御部と、前記共振器内に生じる出射光と戻り光の周波数差を変調ビート周波数として前記測定対象物の移動速度に応じたドップラ周波数が重畳したビート波を検出する信号処理手段とを備え、
    前記信号処理手段が、前記ビート波のうち前記レーザ駆動電流の位相及び周期と関係して変調ビート周波数が不定となる不定期間の不定ビート波を除去する不定期間補正部と、この不定期間補正部で補正されたビート波に基づいて前記測定対象物の振動情報を生成する振動情報生成部とを備えたことを特徴とする振動計測装置。
  14. レーザ共振器を使用して測定対象物にレーザ光を出射するレーザ光出射工程と、このレーザ光出射工程にて出射され所定の光路長を介して前記測定対象物にて錯乱反射した戻り光の一部を受光する戻り光受光工程と、この戻り光受光工程にて受光した戻り光と当該戻り光受光時の出射光との周波数差である変調ビート周波数と、前記測定対象物の移動速度に応じたドップラ周波数とを含んだドップラビート周波数を有するビート波を検出するビート波検出工程とを備えると共に、
    このビート波検出工程に続いて、前記変調ビート周波数と前記ドップラビート周波数との差に基づいて前記測定対象物の振動情報を生成する振動情報生成工程とを備えたことを特徴とする振動計測方法。
  15. 前記レーザ光出射工程に前後して、予め定められた目標変調ビート周波数と前記光路長とに応じて前記レーザ共振器への駆動電流の波形及び周期を設定する駆動電流波形設定工程を備えたことを特徴とする請求項14記載の振動計測方法。
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