JP2011189407A - レーザ溶接装置およびレーザ溶接方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】レーザ溶接装置100は、(a)一定強度のレーザ光を、レーザ光の強度にピークが発生するように変調して、溶接部102に照射し、(b)ピークに応じて溶接部102に発生した超音波105を圧電素子115で検出し、(c)レーザ光の変調時間と照射位置と、超音波105の検出位置と検出時間とに基づいて、溶接部102の溶け込み量を算出し、(d)溶け込み量に基づいて、溶接の良否を判定する。
【選択図】図1
Description
以下、本発明に係わる実施の形態1について、図面を参照しながら説明する。なお、同じ構成要素には同じ符号を付して説明を省略する場合もある。
図1に示すように、本実施の形態におけるレーザ溶接装置100では、水平方向(X方向)に延在する被溶接材101の溶接部102を溶接するにあたり、垂直方向(Z方向)から被溶接材101の上面にレーザ光が照射される。溶接部102が上部から溶融し、溶融池103が形成される。溶融池103が形成されると共に、溶融池103から溶融金属が蒸発し、蒸発時の蒸気の圧力によってキーホール104が形成される。このとき、溶融池103の底部を照射するレーザ光の強度を、図2に示すように、所定のパルス幅で一瞬増加するように変調すると、溶融池103の底部が、瞬間的に、熱膨張、もしくは、アブレーションを起こす。これに伴い、図1に示すように、所定のパルス幅と同程度のパルス幅を有する超音波105が溶融池103の底部で発生する。発生した超音波105が被溶接材101の内部を伝搬する。伝搬した超音波105の一部が、被溶接材101の上面に設置された圧電素子115で検出される。集光光学系114の位置から特定される溶接部102の位置と、圧電素子115の設置位置から特定される超音波105の検出位置と、レーザ光が変調された時間と、超音波が検出された時間とに基づいて、溶接部102の溶け込み量が特定される。特定された溶け込み量に基づいて、溶接部102の良否が判定される。
具体的には、図3に示すように、レーザ溶接装置100では、レーザ発振器111から一定強度で連続的に出力されたレーザ光が光変調素子112で変調される。光変調素子112で変調されたレーザ光が、レーザ光伝送用光学系113を介して集光光学系114に伝送されて、集光光学系114で集光される。集光光学系114で集光されたレーザ光が被溶接材101の溶接に供される。被溶接材101の溶接の際に、レーザ光の変調に応じた超音波105が溶接部102から発生する。溶接部102から発生した超音波105が圧電素子115で検出される。検出された超音波105の波形に応じた信号が圧電素子115から出力される。圧電素子115から出力された信号が、アンプ116、A/D変換器117を介してコンピュータ118に入力されて、コンピュータ118で処理される。
レーザ発振器111は、コンピュータ118と接続されており、コンピュータ118から出力される指令に応じて、レーザ光の出力開始/出力停止、レーザ光の出力強度などが制御される。例えば、レーザ光の出力開始の指令を受信すると、レーザ光の出力を開始する。レーザ光の出力停止の指令を受信すると、レーザ光の出力を停止する。レーザ光の強度変更の指令を受信すると、受信した指令に設定された強度にレーザ光の出力強度を変更する。
光変調素子112は、信号発生器119と接続されており、信号発生器119から高周波信号を受信している間、レーザ発振器111から出力されたレーザ光の強度を変調する。このとき、図2に示すように、レーザ発振器111から一定強度で出力されたレーザ光の強度に、パルス波を発生させるように変調する。
信号発生器119は、トリガ発生器120と接続されており、トリガ発生器120からトリガ信号を受信すると、瞬間的に、高周波信号を出力する。
トリガ発生器120は、コンピュータ118と接続されており、コンピュータ118からトリガ信号の出力の指令を受信すると、信号発生器119とA/D変換器117とにトリガ信号を同時に出力する。レーザ光の変調時機と超音波の検出時機とを同期させる。
A/D変換器117は、トリガ発生器120と接続されており、トリガ発生器120からトリガ信号を受信すると、アンプ116から出力された超音波波形の信号をアナログからデジタルに変換して出力する。
なお、集光光学系114は、ステージコントローラ121からの指令に基づいて移動する移動ステージ122に接続されている。
次に、溶接部102の溶け込み量について説明する。図4では、光変調素子112から出力されたレーザ光の強度の時間変化を示すグラフを上側に示し、圧電素子115で検出された超音波の振幅の時間変化を示すグラフを下側に示している。時間を合わせた状態で、これらのグラフが並べられている。
次に、レーザ溶接装置の動作について説明する。
以上、本実施の形態によれば、変調後のレーザ光で発生させた超音波を圧電素子115で検出することによって、溶け込み量を定量的に検出することができ、非破壊で溶接品質の保証を定量的にすることができる。また、溶接中に溶け込み量をモニタリングすることができるので、モニタリングした溶け込み量をもとにレーザ光強度を制御することによって、高い品質の溶接を行うこともできる。特に、非破壊で溶接品質の保証をする機能を有することから、自動車や電子部品等のレーザ溶接装置として適用することができる。
なお、図7に示すように、圧電素子115の代わりに、光干渉計125を使用して超音波105を検出するとしてもよい。具体的には、光干渉計125から出力された光が超音波の検出位置(圧電素子115の設置位置)に照射される。超音波の検出位置に照射された光が被溶接材101の上面で反射される。このとき、超音波105によって被溶接材101の上面が振動すると、被溶接材101の上面の振動に応じて、被溶接材101の上面で反射された光が位相や周波数で変調される。変調された光が、光干渉計125に入射し、光干渉計125で信号に変換される。これによって、非接触で超音波を検出することができる。このことから、溶接部102の位置から光干渉計125の照射位置までの水平距離L1を一定にすることができる。光干渉計125を溶接部102に近づけることができる。計測精度を高くすることができる。
以下、本発明に係わる実施の形態2について、図面を参照しながら説明する。なお、実施の形態1と同一の構成要素については、同一の参照符号を付して、説明を省略する。
ここでは、一例として、図10に示すように、レーザ溶接装置200では、レーザ発振器111と別に超音波発生用レーザ発振器211を備える。超音波発生用レーザ発振器211から出力されたレーザ光が光変調素子112で変調される。光変調素子112で変調されたレーザ光が、レーザ発振器111から出力されたレーザ光と光結合素子212で結合される。光結合素子212で結合された、これらのレーザ光が、レーザ光伝送用光学系113を介して集光光学系114に伝送されて、集光光学系114で集光される。
以上、本実施の形態によれば、高出力のレーザ発振器111と低出力の超音波発生用レーザ発振器211とを併用することで、効率良くエネルギーを使用することができる。
以下、本発明に係わる実施の形態3について、図面を参照しながら説明する。本実施の形態3におけるレーザ溶接装置の構成は実施の形態1におけるレーザ溶接装置100と同じである。レーザ光の強度を変調する方法、及び、溶け込み量の算出方法が、実施の形態1におけるレーザ溶接装置100と異なる。そこで、図3に示したレーザ溶接装置100を用いて、本実施の形態3におけるレーザ溶接装置に特有の作用、効果について説明する。
実施の形態1におけるレーザ溶接装置100では、光変調素子112にて、パルス波、バースト波、チャープ波等にレーザ光を変調し、その変調後のレーザ光を照射した被溶接材101から発生する超音波を検出する。この場合、レーザ光が変調された時間と、超音波が検出された時間とに基づいて、溶接部102の溶け込み量が特定される。
まず、本実施の形態3における光変調素子112について説明する。光変調素子112には、信号発生器119から発生する一定周波数の正弦波が入力される。このとき、光変調素子112によって、レーザ発振器111から一定強度で出力されたレーザ光は、図12に示すように、一定強度の信号に一定周波数の正弦波が重畳した波形となるように変調される。なお、信号発生器119からは一定周波数の正弦波が出力されるため、信号発生器119に信号の出力を開始させる際にのみ、トリガ発生器120からのトリガ信号を発生させればよい。
次に、溶接部102の溶け込み量について説明する。図1に示した溶融池103の底部(キーホール104の底部)には、一定の周期(周波数)で強度のピークを持つ正弦波に変調されたレーザ光が照射される。このため、溶融池103の底部は、照射されるレーザ光の正弦波と同じ周波数で熱膨張、収縮を繰り返す。このとき、正弦波に変調されたレーザ光の周波数と同じ周波数の超音波105が発生し、被溶接材101の内部を伝播する。この伝播した超音波105を圧電素子115にて検出する。光変調素子112から出力されたレーザ光の強度の時間変化を示すグラフを図13の上側に示し、圧電素子115で検出された超音波(検出信号)の振幅の時間変化を示すグラフを図13の下側に示す。
以上、本実施の形態によれば、レーザ発振器111から一定強度で出力されたレーザ光が、一定周波数の正弦波となるように、光変調素子112で変調される。また、圧電素子115で検出された検出信号をフーリエ変換することにより、変調されたレーザ光の周波数と同じ周波数の信号のみを抽出する。これらにより、検出信号に含まれるノイズを除去し、溶融池103の底部で発生した超音波を精度良く検出することが可能となる。このため、圧電素子115のS/N比が悪い場合でも、感度良く、溶け込み量を測定することが可能となる。
なお、図7に示すように、圧電素子115の代わりに、光干渉計125を使用して超音波105を検出するとしてもよい。非接触で超音波105を検出することができるため、溶接部102の位置から光干渉計125の照射位置までの水平距離L1を一定にすることが可能となる。また、非接触であるため、溶接部102からの熱の影響を低減させることができ、光干渉計125の熱膨張等による測定誤差を小さくすることが可能となる。また、一般的に光干渉計125は、圧電素子115に比べ感度が一桁以上悪い。しかし、実施の形態3によって、光干渉計125の感度が悪い場合でも、高精度に検出信号の位相を求めることが可能となる。このため、圧電素子115よりも感度の悪い光干渉計125を用いても、高い精度で溶接部102の溶け込み量を測定することが可能となる。
101 被溶接材
102 溶接部
103 溶融池
104 キーホール
105 超音波
111 レーザ発振器
112 光変調素子
113 レーザ光伝送用光学系
114 集光光学系
115 圧電素子
116 アンプ
117 A/D変換器
118 コンピュータ
119 信号発生器
120 トリガ発生器
121 ステージコントローラ
122 移動ステージ
125 光干渉計
200 レーザ溶接装置
211 超音波発生用レーザ発振器
212 光結合素子
Claims (21)
- レーザ光で溶接部を溶接するレーザ溶接装置であって、
強度にピークを有するレーザ光を前記溶接部に照射するレーザ出力手段と、
前記レーザ出力手段で照射されたレーザ光により前記溶接部から発生した超音波を検出する超音波検出手段と、
前記超音波検出手段で検出された超音波の波形に基づいて、前記溶接部の溶け込み量を算出する算出手段と、
前記算出手段で算出された溶け込み量に基づいて、前記溶接部の溶接品質を評価する評価手段とを備える
ことを特徴とするレーザ溶接装置。 - 前記レーザ出力手段が、
レーザ光を一定強度で連続的に出力するレーザ発振器と、
前記レーザ発振器から出力されたレーザ光を、レーザ光の強度にピークが発生するように変調する光変調素子と、
変調後のレーザ光を集光して前記溶接部に照射する光学系とを備える
ことを特徴とする請求項1に記載のレーザ溶接装置。 - 前記レーザ出力手段が、
第1レーザ光を一定強度で連続的に出力する第1レーザ発振器と、
前記第1レーザ光と強度が異なる第2レーザ光を一定強度で連続的に出力する第2レーザ発振器と、
レーザ光の強度にピークが発生するように前記第2レーザ光を変調する光変調素子と、
前記第1レーザ光と変調後の第2レーザ光とを結合する光結合素子と、
結合後のレーザ光を集光して前記溶接部に照射する光学系とを備える
ことを特徴とする請求項1に記載のレーザ溶接装置。 - 前記光変調素子が、変調前のレーザ光の強度にパルス波を発生させたレーザ光を変調後のレーザ光として出力するものである
ことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のレーザ溶接装置。 - 前記光変調素子が、変調前のレーザ光の強度にバースト波を発生させたレーザ光を変調後のレーザ光として出力するものである
ことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のレーザ溶接装置。 - 前記光変調素子が、変調前のレーザ光の強度にチャープ波を発生させたレーザ光を変調後のレーザ光として出力するものである
ことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のレーザ溶接装置。 - 前記光変調素子が、変調前のレーザ光の強度に正弦波を発生させたレーザ光を変調後のレーザ光として出力するものである
ことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のレーザ溶接装置。 - 前記算出手段が、前記レーザ出力手段によるレーザ光の変調時間・照射位置と、前記超音波検出手段による超音波の検出位置・検出時間とに基づいて、前記溶接部の溶け込み量を算出する
ことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のレーザ溶接装置。 - 前記算出手段が、前記超音波検出手段で検出された超音波の波形をフーリエ変換することで、前記変調後のレーザ光と同じ周波数の超音波の位相を求め、その求めた超音波の位相と、前記超音波検出手段による超音波の検出位置と、前記レーザ出力手段による前記変調後のレーザ光の位相・照射位置とに基づいて、前記溶接部の溶け込み量を算出する
ことを特徴とする請求項7に記載のレーザ溶接装置。 - 前記超音波検出手段が、圧電素子である
ことを特徴とする請求項1に記載のレーザ溶接装置。 - 前記超音波検出手段が、光干渉計である
ことを特徴とする請求項1に記載のレーザ溶接装置。 - 前記評価手段で評価された結果に基づいて、前記レーザ出力手段のレーザ光の出力強度を制御する制御手段を備える
ことを特徴とする請求項1に記載のレーザ溶接装置。 - レーザ光で溶接部を溶接するレーザ溶接方法であって、
強度にピークを有するレーザ光を前記溶接部に照射する第1の工程と、
前記第1の工程で照射されたレーザ光により前記溶接部から発生した超音波を検出する第2の工程と、
前記第2の工程で検出された超音波の波形に基づいて、前記溶接部の溶け込み量を算出する第3の工程と、
前記第3の工程で算出された溶け込み量に基づいて、前記溶接部の溶接品質を評価する第4の工程とを含む
ことを特徴とするレーザ溶接方法。 - 前記第1の工程において、レーザ光を変調し、レーザ光の強度にピークを発生させる
ことを特徴とする請求項13に記載のレーザ溶接方法。 - 前記第1の工程において、レーザ光の強度にパルス波が発生するようにレーザ光を変調する
ことを特徴とする請求項14に記載のレーザ溶接方法。 - 前記第1の工程において、レーザ光の強度にバースト波が発生するようにレーザ光を変調する
ことを特徴とする請求項14に記載のレーザ溶接方法。 - 前記第1の工程において、レーザ光の強度にチャープ波が発生するようにレーザ光を変調する
ことを特徴とする請求項14に記載のレーザ溶接方法。 - 前記第1の工程において、レーザ光の強度に正弦波が発生するようにレーザ光を変調する
ことを特徴とする請求項14に記載のレーザ溶接方法。 - 前記第3の工程において、レーザ光の変調時間・照射位置と、超音波の検出位置・検出時間とに基づいて、前記溶接部の溶け込み量を算出する
ことを特徴とする請求項14に記載のレーザ溶接方法。 - 前記第3の工程において、前記第2の工程で検出された超音波の波形をフーリエ変換することで、前記第1の工程で変調されたレーザ光と同じ周波数の超音波の位相を求め、その求めた超音波の位相と、超音波の検出位置と、前記第1の工程で変調されたレーザ光の位相・照射位置とに基づいて、前記溶接部の溶け込み量を算出する
ことを特徴とする請求項18に記載のレーザ溶接方法。 - 前記第4の工程で評価された結果に基づいて、前記レーザ光の出力強度を制御する第5の工程を含む
ことを特徴とする請求項13に記載のレーザ溶接方法。
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