JP5528385B2 - ポアソン比の計測方法、及び計測装置 - Google Patents

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Description

本発明は、レーザを用いて非接触で被検査体に超音波を発生させるレーザ超音波法において、熱弾性効果を利用して、被検査体の表面にダメージを与えずに超音波を発生させ、ポアソン比を計測する方法に関する。
ポアソン比は、材料に応力を与えたときの横ひずみと縦ひずみの比であり、弾性変形域での変形を把握するうえで、ヤング率などと同様に、重要な材料の強度指標である。ポアソン比を適切に調整することにより、強度のばらつきが少ない材料を製造することができる。このような観点で、ポアソン比を計測することは重要な意味を持つ。
一般に、ポアソン比は引張試験により求められる。すなわち、材料から引張試験片を切削加工し、ひずみゲージを貼り付け、引張試験機で、一定の速度で引っ張り、引張方向のひずみ、及び、その垂直方向のひずみを計測することで、ポアソン比を求める。
しかし、この方法は、試験機の荷重計測精度や、試験片を引張試験機に取り付ける際に発生する初期ひずみの影響が、計測精度に影響する。また、引張試験は、破壊的方法の試験であるから、実物についてはポアソン比を計測することはできないという欠点がある。
非破壊で、被検査体のポアソン比を計測する方法がこれまでいくつか提案されている。例えば、特許文献1、及び、特許文献2には、被検査体に超音波探触子から超音波を入射し、接触式超音波探触子を用いて、被検査体を伝搬する超音波の縦波音速、及び、横波音速(以下、それぞれ、単に、「縦波音速」及び「横波音速」という)を計測し、計測した縦波音速と横波音速、及び、被検査体の密度から、ヤング率、及び、ポアソン比を計測する方法が開示されている。これらの方法は、実物を破壊することなく、実物のヤング率、ポアソン比を計測できるという利点がある。しかし、接触式の計測法の場合、計測の高速化の観点から、やや難がある。
例えば、圧電探触子を使用する方法は、被検査体と変換機の間に超音波の伝達媒質が必要であるが、伝達媒質は高温下において、その機能が低下する。また、電磁超音波探触子を使用する方法は、該探触子を通常、数mm程度まで被検査体に近接させる必要がある。それゆえ、いずれの方法も、例えば、鋼板の製造ラインや、特に熱間圧延工程のような劣悪な環境下で使用することは不可能であるという欠点がある。
一方、パルス発振レーザを利用して超音波を発生させ、被検査体内を伝搬した超音波を、連続波レーザを利用して検出する、非接触式の計測方法(以下「レーザ超音波法」ともいう)について、種々の応用が提案されている。
レーザ超音波法によるポアソン比の計測方法については、非特許文献1で、アブレーションによる超音波励起を利用した、ポアソン比、縦波音速、及び、横波音速の計測方法が報告されている。
非特許文献1には、被検査体にフルーエンス(単位面積当たりのエネルギー量)約5.1mJ/mmのパルス出力のQスイッチNd:YAGレーザ光を照射して超音波励起し、発生した板波超音波の、群速度ゼロのS1モードの周波数(以下「S1f」という)、群速度ゼロのA2モードの周波数(以下「A2f」という)を、連続波出力の2倍波Nd:YAGレーザを用いて検出し、その値からポアソン比、縦波音速、横波音速を算出した実験結果が記載されている。
非接触式のレーザ超音波法は、破壊的な引張試験が不要であるので、高速性、高信頼性が要求される、製造ラインにおけるオンラインでの非破壊検査として、種々の応用が期待される。
レーザにより超音波を励起する方法には、高エネルギーのレーザ光を被検査体の表面に照射し、瞬間的温度上昇による熱弾性効果により超音波を励起する方法と、さらに高いエネルギーにより被検査体の表面の一部を気化(アブレーション)させたときに発生する圧力波を利用して超音波を励起する方法がある。
図1Aに、アブレーションを利用した超音波励起の原理を模式的に示し、図1Bに熱弾性効果を利用した超音波励起の原理を模式的に示す。
図1Aに示すように、対象物1に対してレーザ光2を照射すると、高いエネルギーにより、対象物の一部が蒸発する(図中、3参照)。このときに、反力として発生する圧力波として、超音波4が発生する。ここで、図中、超音波4の矢印は、発生する超音波の指向性を示す。対象物1の表面には、対象物の一部が蒸発することにより、レーザ光の照射痕が生じる。ただし、鋼材に照射する場合、フルーエンス約2mJ/mm以下であれば、対象物にアブレーションによる照射痕は生じない。
図1Bに示すように、対象物1に対してレーザ光2を照射すると、レーザによる急速加熱により、瞬間的に対象物1の表面の温度が上昇し、温度上昇領域5が形成され、温度上昇領域5での熱膨張と収縮に伴い超音波4が発生する。ここで、図中、超音波4の矢印は、発生する超音波の指向性を示す。
熱弾性効果による超音波励起の、超音波伝搬の指向性については、例えば、非特許文献2に記載されている。
特開平5−133861号公報 特開平5−126805号公報
Dominique Clorennec, etc, ‘Local and non-contact measurements of bulk acoustic wave velocities in thin isotropic plates and shells using zero group velocity Lamb modes’ , Journal of Applied Physics, 101, 034908, 2007. C.B.Scruby and L.E.Drain, "Laser Ultrasonic-Techniques and Applications", ISBN0-7503-0050-7, Adam Hilger, p.289, 1990 A. Gibson and J.S. Popovics, "Lamb Wave Basis for Impact-Echo Method Analysis" , J. Eng. Mech., vol. 131 (4), 438-443, (2005).
例えば、非特許文献1に記載の、従来のレーザ超音波法によるポアソン比の計測技術においては、アブレーションによる超音波励起を利用しているが、アブレーションにより被検査体の表面に照射痕が生じる。そのため、照射痕が許されない用途では、この方法による計測はできず、用途が限定されるという問題がある。
しかしながら、同様の計測を、熱弾性効果による超音波励起を利用して行おうとすると、発生した超音波の検出が難しく、板波超音波のA2fの計測ができないという問題がある。すなわち、超音波伝搬の指向性の違いにより、熱弾性効果を利用した超音波励起では、超音波の検出が難しく、特に、S/Nが悪いA2fの計測は、事実上不可能である。
本発明は、上記の事情に鑑み、レーザ超音波法において、被検査体の表面にダメージを与えず、レーザの照射痕が生じない、熱弾性効果による超音波励起を利用した、ポアソン比の計測方法、及び、計測装置の提供を課題とする。
本発明者らは、熱弾性効果で励起される超音波を受信し、ポアソン比を算出する方法について、鋭意検討した。
その結果、波長の異なる超音波発生用のレーザと超音波検出用のレーザを用いて、適切な計測系を構成することにより、板波超音波の、群速度ゼロのS1モードの周波数と、縦波共振周波数を検出することが可能となり、検出された周波数からポアソン比が算出できることを見出した。
さらに、超音波検出用レーザにパルス発振レーザを用いることにより、測定精度を上げることが可能であることを見出した。
本発明は、上記の知見に基づいてなされたもので、要旨は以下のとおりである。
(1)被検査体のポアソン比を計測する方法であって、
被検査体に超音波発生用パルス発振レーザ光を照射し、被検査体に超音波を発生させるステップと、
前記被検査体に超音波発生用パルス発振レーザ光と波長の異なる超音波検出用レーザ光を照射するステップと、
前記被検査体に超音波発生用パルス発振レーザ光を照射して発生した超音波の振動によりドップラーシフトを受けた前記超音波検出用レーザ光の反射光を受信し、前記ドップラーシフトの量に応じた強度の光を出力するステップと、
前記ドップラーシフトの量に応じた強度の光を用いて、前記ドップラーシフトの量から前記被検査体に発生した超音波の強度波形を算出するステップと、
前記超音波の強度波形の周波数解析を行い、前記被検査体に発生した群速度ゼロのS1モードの板波超音波の周波数、及び、縦波の共振周波数を算出するステップと、
算出された群速度ゼロのS1モードの板波超音波の周波数、及び、縦波の共振周波数からポアソン比を算出するステップを備えることを特徴とするポアソン比の計測方法。
(2)前記超音波検出用レーザ光は、パルス発振レーザ光であること特徴とする前記(1)のポアソン比の計測方法。
(3)前記超音波検出用レーザ光のピーク出力が、100〜1000W、パルス幅が、50μs〜1msであることを特徴とする前記(2)のポアソン比の計測方法。
(4)前記超音波発生用パルス発振レーザ光を前記被検査体に照射し超音波を発生させる際に、該超音波発生用パルス発振レーザ光を点状スポットで照射することを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかのポアソン比の計測方法。
(5)前記超音波検出用レーザ光を、前記超音波発生用パルス発振レーザ光を照射する前記点状スポット域内に照射することを特徴とする前記(4)のポアソン比の計測方法。
(6)前記被検査体に超音波発生用パルス発振レーザ光を照射して発生した超音波の振動によりドップラーシフトを受けた前記超音波検出用レーザ光を受信し、前記ドップラーシフトの量に応じた強度の光を出力する方法は、前記ドップラーシフトを受けた前記超音波検出用レーザ光を干渉計で干渉させ、該干渉計から該ドップラーシフトの量に応じた強度の光を出力する方法であることを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれかのポアソン比の計測方法。
(7)被検査体のポアソン比を計測する装置であって、
被検査体に超音波を発生させるための超音波発生用パルス発振レーザ光を照射する超音波発生用レーザ照射部と、
前記被検査体に超音波発生用パルス発振レーザ光と波長の異なる超音波検出用レーザ光を照射する超音波検出用レーザ照射部と、
前記被検査体に超音波発生用パルス発振レーザ光を照射して発生した超音波の振動によりドップラーシフトを受けた前記超音波検出用レーザ光の反射光を受信し、前記ドップラーシフトの量に応じた強度の光を出力する受信部と、
前記ドップラーシフトの量に応じた強度の光を用いて、前記ドップラーシフトの量から前記被検査体に発生した超音波の強度波形を算出する第一の処理部と、
前記超音波の強度波形の周波数解析を行い、前記被検査体に発生した群速度ゼロのS1モードの板波超音波の周波数、及び、縦波の共振周波数を算出する第二の処理部と、
算出された群速度ゼロのS1モードの板波超音波の周波数、及び、縦波の共振周波数からポアソン比を算出する第三の処理部を備えることを特徴とするポアソン比の計測装置。
(8)前記超音波検出用レーザ照射部は、パルス発振レーザ光源を備えること特徴とする前記(7)のポアソン比の計測装置。
(9)前記パルス発振レーザ光源は、ピーク出力が、100〜1000W、パルス幅が、50μs〜1msのレーザ光を照射できることを特徴とする前記(8)のポアソン比の計測装置。
(10)前記超音波発生用レーザ照射部は、被検査体の表面に点状スポットでパルス発振レーザ光を照射することができることを特徴とする前記(7)〜(9)のいずれかのポアソン比の計測装置。
(11)前記超音波検出用レーザ照射部は、前記超音波発生用レーザ照射部が被検査体の表面に照射したパルス発振レーザ光の点状スポット域内にレーザ光を照射することができることを特徴とする前記(10)のポアソン比の計測装置。
(12)前記受信部は、前記被検査体に超音波発生用パルス発振レーザ光を照射して発生した超音波の振動によりドップラーシフトを受けた前記超音波検出用レーザ光を入力して干渉させ、ドップラーシフトの量に応じた強度の光を出力する干渉計であることを特徴とする前記(7)〜(11)のいずれかのポアソン比の計測装置。
本発明によれば、アブレーションが生じない程度の低いエネルギーのレーザ光を用いて、熱弾性効果によって超音波を励起するので、被検査体の表面にダメージを与えず、レーザ光の照射痕を生じさせずに、非接触、かつ、非破壊で、ポアソン比を計測することができる。
レーザ光によるアブレーションを利用した超音波励起の原理を模式的に説明する、図である。 レーザ光による熱弾性効果を利用した超音波励起の原理を模式的に説明する、図である。 板波超音波の群速度と、周波数×板厚との関係を示す図である。 ポアソン比とβ1の関係を示す図である。 ポアソン比とβ2の関係を示す図である。 本発明の計測方法における、超音波発生用レーザ光と、超音波検出用レーザ光のパルス波形を説明する図である。 本発明の計測方法における、超音波発生用レーザ光と、超音波検出用レーザ光のパルス波形の他の例を説明する図である。 本発明における、群速度ゼロの板波超音波を検出する際の、好ましい、超音波発生用レーザと、超音波検出用レーザの照射位置の関係を示す図である。 ファブリ・ペロー干渉計の周波数と透過率の関係の一例を示す図である。 本発明の計測方法を用いてポアソン比を計測する計測装置の概略を示す構成図である。 本発明の計測方法を用いてポアソン比を計測する計測装置の概略の他の例を示す構成図である。 本発明の実施例で検出した超音波の強度波形を示す図である。 本発明の実施例で検出した超音波の強度波形を高速フーリエ変換(FFT)により処理した結果を示す図である。 本発明の実施例で検出した超音波の強度波形を高速フーリエ変換(FFT)により処理した結果の、それぞれのピークの隣のピークとの間隔を示す図である。 本発明の実施例で測定した温度とポアソン比との関係を示す図である。
以下、本発明における、熱弾性効果による超音波励起を利用した計測法の原理について、アブレーションによる超音波励起を利用した計測法(以下「従来法」という)と比較して、説明する。
従来法では、アブレーションを利用した超音波励起により、被検査体に超音波を発生させ、伝搬させる。このとき、被検査体が比較的薄い板の場合、縦波と横波の他に、固体平面層内を平面に沿って伝搬する弾性波である、板波超音波と呼ばれる波が発生する。
板波超音波には、振動の対称性によって、対称モード(S0,S1,S2,…)と、非対称モード(A0,A1,A2,…)に分けられる、多くのモードが存在する。また、板波超音波の位相速度はモードによって異なり、周波数と板厚の積にも依存する。すなわち、位相速度は速度分散の特徴を有する。そして、位相速度分散により、群速度が存在し、群速度も周波数と板厚の積に依存する。板波超音波の群速度[m/s]と、周波数と板厚の積との間は、図2に示す関係があることが知られている。
板波超音波は、S/N、及び、超音波の減衰の観点から、S1モード、A2モードが検出しやすいモードであり、板波超音波の周波数の計測は、主にS1モード、A2モードについて行われる。
板波超音波のS1f、及び、A2fと、ポアソン比ν、縦波音速V、及び、横波音速Vとの関係は式1のようになることが知られている。β1(ν)、及び、β2(ν)は、ポアソン比νをパラメタとする既知の関数である(非特許文献3)。図3Aに、ポアソン比とβ1(ν)との関係を示し、図3Bに、ポアソン比とβ2(ν)との関係を示す。
式1と、式2に示す、ポアソン比νと、縦波音速V、及び、横波音速Vとの関係より、式3が得られる。S1f、及び、A2fの値が求まれば、式3より、ポアソン比νを算出でき、次いで、式1より、縦波音速Vと横波音速Vを算出できる。
Figure 0005528385
すなわち、従来法では、アブレーションにより発生した板波超音波を、連続波レーザなどを用いて検出し、検出した強度波形を、高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform:以下「FFT」という)により処理することにより、板波超音波のS1f、及び、A2fを、同時に計測して、ポアソン比ν、縦波音速V、及び、横波音速Vを算出する。
次に、本発明の計測法を説明する。
被検査体に、超音波発生用レーザ光を照射して超音波を励起すると、縦波、横波、及び、板波超音波が発生する。本発明では、熱弾性効果による超音波励起を利用して、板波超音波のS1f、及び、縦波の共振周波数を計測する。以下、n次の縦波の共振周波数を、fと記す。
1次の縦波の共振周波数fは、縦波音速Vと被検査体の厚さdとすると、f=V/2dである。すなわち、S1f及びfが求まれば、式1よりβ1(ν)が求まる。そして、図3Aに示したポアソン比とβ1(ν)との関係から、ポアソン比νを算出できる。
上述したとおり、熱弾性効果による超音波励起を利用した測定では、A2fの計測は事実上不可能である。しかし、波長の異なる超音波発生用のレーザと超音波検出用のレーザを用いて、本発明による適切な測定系を構成すれば、板波超音波のS1f、及び、縦波共振周波数fの計測は可能である。すなわち、A2fを計測することなく、S1f、縦波共振周波数fを計測することで、熱弾性効果による超音波励起を利用したポアソン比の算出を可能とした点が、本発明の特徴である。
具体的には、被検査体に超音波発生用パルス発振レーザ光を照射し、被検査体に超音波を発生させる。そして、さらに、超音波発生用パルス発振レーザ光とは波長の異なる超音波検出用レーザ光を被検査体に照射する。
超音波検出用レーザ光は、被検査体で反射する際に、被検査体に発生した超音波の振動によりドップラーシフトを受け、周波数(=波長-1)が変化する。ドップラーシフトの大きさは、被検査体11の表面変位速度をV、超音波検出用レーザの波長をλとしてΔf=2V/λで表される。
すなわち、超音波の振動状態により超音波検出用レーザ光の波長が変化するので、被検査体で反射した超音波検出用レーザ光の反射光の波長から、被検査体に生じた超音波の強度波形を算出することができる。そして、この強度波形をFFTにより処理することにより、S1f、fを求めることができる。
超音波発生用のパルス発振レーザ光と、超音波検出用のレーザ光には、波長の異なるレーザを用いるが、これは、超音波受信部で受信する超音波検出用のレーザ光に超音波発生用のパルス発振レーザ光が混じり、ノイズとなるのを防ぐためである。すなわち、2つのレーザ光が異なる波長であれば、使用する波長は限定されるものではない。
被検査体に生じた超音波の検出感度を向上させるためには、超音波検出用レーザ光の光量を大きくすればよい。そのためには、大出力の検出用レーザを使用することが有効である。しかしながら、出力の大きな連続発振レーザ光源は、装置サイズが大きく、また、高価格であるので、産業上の使用において、デメリットがある。
そこで、超音波検出用レーザをパルス発振のレーザ光とし、強度波形検出のタイミングに同期して発振させることで、超音波検出用レーザの平均出力をそれほど高くしなくても、超音波の検出感度を向上させることができる。
これを、図4Aを用いて説明する。図4Aは、超音波発生用レーザ光及び超音波検出用レーザ光のパルス波形の一例を示すものであり、実線は超音波発生用レーザ光のパルス波形6、破線は超音波検出用レーザ光のパルス波形7を表している。また、一点鎖線は、超音波検出用レーザ光の連続波波形8を表している。
被検査体に生じる超音波は、超音波発生用パルス発振レーザ光が被検査体に照射されたときに最も大きくなる。つまり、超音波検出用レーザは、これと同時に被検査体に照射されたときに最も精度よく超音波を検出することができ、これとタイミングがずれて照射された超音波検出用レーザは、超音波検出に対する寄与は小さい。
超音波検出用レーザが連続波出力である場合、レーザの出力は時間に対して一定であるが、超音波発生用パルス発振レーザ光が出力されている間以外に照射されている超音波検出用レーザは、超音波検出に対する寄与は小さい。
超音波検出用レーザがパルス出力である場合、レーザの出力は時間に対して変化する。平均出力パワーが低い超音波検出用レーザを用いた場合であっても、出力がピークとなる周辺の時間では、超音波検出用レーザ光の出力は、大出力の連続波出力のレーザを用いた場合と同等、又は、それ以上の出力とすることができる。その結果、平均出力パワーが低くても、超音波の検出感度を、大出力の連続波出力のレーザを用いた場合と同等、又は、それ以上とすることができる。
超音波検出用レーザ光を強度波形検出のタイミングに同期させて発振させるには、例えば、フォトレシーバ等を用いて2つのパルスを確認しながら、レーザ光源を調整する等すれば、容易に同期させることができる。
超音波検出用レーザ光をパルス発振レーザ光とする場合には、パルス幅は50μs以上、1ms以下、パルスのピーク出力は100W以上、1000W以下とするのが好ましい。
パルス幅が50μs以下になると、強度波形の周波数解析における有効な波形時間域が50μs以下となるので周波数分解能が低下し、S1fの周波数ピーク、及び縦波共振の周波数ピークが明瞭に得られなくなる。パルス幅を1ms以上とすると、技術的に装置製作の実現が困難となる。
パルスのピーク出力が100W以下となると、超音波検出用レーザ光の光量が少なくなり、特に縦波共振周波数ピークを検出することが困難になる。パルスのピーク出力を1000W以上とするには、技術的に装置製作の実現が困難である。
超音波検出用レーザ光は、超音波発生用レーザ光の強度がピークとなるときに、ピークとなるようにしたときが、最も効率よく精度の良い測定ができる。ただし、ピークのタイミングが多少ずれた場合でも、超音波発生用レーザ光のパルスが、超音波検出用レーザ光のパルス内にあれば、超音波検出用レーザ光が連続波出力である場合に比べて精度の良い測定を行うことは可能である。
また、超音波検出用レーザ光のパルス繰り返し周波数は、超音波発生用レーザ光のパルス繰り返し周波数と同じになるようにすれば、最も効率よく精度のよい測定ができるが、レーザ光源の制約などがある場合は、必ずしも同じパルス繰り返し周波数にする必要はない。例えば、図4Bに示すように、超音波検出用レーザ光のパルス繰り返し周波数が、超音波発生用レーザ光の2倍となるような設定であっても、超音波検出用レーザ光が連続波出力である場合に比べて精度の良い測定を行うことは可能である。本発明の計測が可能な範囲内であれば、これ以外のパルス繰り返し周波数としてもかまわない。
被検査体表面の照射領域は、図5に示すように、超音波発生用レーザ光を点状スポットで照射し、その照射領域内に、超音波検出用レーザ光を照射するのが好ましい。超音波発生用レーザ光と超音波検出用レーザ光を、ほぼ同じ位置に照射することで、超音波検出用レーザにより面方向に進行する波は検出されず、検出することができるのは、移動しない波、すなわち、群速度ゼロの板波、及び、縦波のみとなる。
また、群速度ゼロの板波モードには複数のモードが存在するが、被検査体のレーザ照射面に垂直な方向に対して変位が一番大きく、レーザ超音波法の熱弾性領域で検出可能なモードは、群速度ゼロのS1モードの板波の周波数のみである。
さらに、超音波発生用レーザの点状スポット域内に、超音波検出用レーザ光を照射すれば、超音波検出用レーザ光は発生した超音波によるドップラーシフトを効率よく受けるので、その結果、群速度ゼロの板波と、縦波を精度よく検出することができる。
ドップラーシフトを受けた超音波検出用レーザ光のドップラーシフトの量は、例えば、超音波検出用レーザ光をファブリ・ペロー干渉計のような干渉計で干渉させ計測する方法がある。
ファブリ・ペロー干渉計は、波長フィルターとしての役割を果たす。ファブリ・ペロー干渉計の透過率は、図6に示すように、光の周波数によって大きく異なる。
ファブリ・ペロー干渉計に入射される超音波検出用レーザ光は、被検査体を伝播する超音波より受けたドップラーシフトの量、すなわち被検査体の表面変位速度によってわずかに周波数が変化する。周波数が変化した超音波検出用レーザ光をファブリ・ペロー干渉計に導入し、出力することで、周波数の変化を、相対的に大きな、光強度の変化に変換することができる。
そして、ファブリ・ペロー干渉計を透過した、超音波検出用レーザ光の強度変化を計測することで、被検査体の表面の振動状態を求めることができる。
本発明において、ドップラーシフトの量の計測に用いる方法は、ファブリ・ペロー干渉計を用いる方法に限定されるものではない。
例えば、ドップラーシフトを受けた超音波検出用レーザ光を、超音波検出用レーザ光の波長付近で損失波長特性が急峻となる光ファイバグレーティングや微細構造光ファイバに導入して、出力される光の強度をドップラーシフトの量に応じた強度とし、これを用いて超音波の周波数スペクトルを算出する方法なども採用することができる。
本発明による、板波超音波のS1f、及び、縦波共振周波数fの計測を行い、その結果からポアソン比を求めるための装置は、超音波発生用レーザ照射部、超音波検出用レーザ光を照射する超音波検出用レーザ照射部、受信部、第一の処理部、第二の処理部、及び、第三の処理部からなる。
超音波発生用レーザ照射部は、被検査体の表面に、超音波発生用のパルス発振レーザ光を照射し、超音波励起することにより超音波を発生させるためのパルス発振レーザ光源を含む。さらに、必要に応じて、レンズ、ミラー等からなる照射光学系を備える。
超音波検出用レーザ照射部は、被検査体の表面に、超音波検出用のレーザ光を照射する連続発振レーザ光源、又は、パルス発振レーザ光源を含む。さらに、必要に応じて、レンズ、ミラー等からなる照射光学系を備える。
受信部は、被検査体に超音波発生用パルス発振レーザ光を照射して発生した超音波の振動によりドップラーシフトを受けた超音波検出用レーザ光を受信し、ドップラーシフトの量に応じた強度の光を出力する機構を備える。
第一の処理部は、電子計算機等からなり、受信部から出力されたドップラーシフトの量の情報から、周波数スペクトルを算出する。受信部から出力された情報を、光/電気変換器を介して、電気信号として第一の処理部に入力してもよい。
第二の処理部は、電子計算機等からなり、第一の処理部で算出した周波数スペクトルの周波数解析を行い、周波数ピークを同定し、板波超音波の周波数S1fと縦波の共振周波数fを算出する。
第三の処理部は、電子計算機等からなり、第二の処理部で求められた板波超音波の周波数S1fと縦波の共振周波数fとから、被検査体のポアソン比νを算出する。
第一の処理部、第二の処理部、第三の処理部は、それぞれ物理的に別の装置から構成される必要はなく、例えば、同一の電子計算機内に、それぞれの処理を行うプログラムを有するものであってもかまわない。
以下、図面を用いて、本発明によるポアソン比の計測方法の一例を、より詳細に説明する。
図7Aに、本発明の計測装置の概略を示す。
超音波発生用レーザ照射部の超音波発生用レーザ光源21には、例えば、パルス出力のQスイッチ2倍波Nd:YAGレーザが使用できる。
超音波発生用レーザ光源21から出射されたレーザ光GLは、ミラー22a、フィルター23、ミラー22b、を介し、集光レンズ24でビーム径が拡大され、被検査体11の表面に照射される。このとき、被検査体表面の照射領域でのフルーエンスが、約2mJ/mm以下となるように、フィルター23の透過率を決定するか、又は、超音波発生用レーザ光源21の出力を調整する。
超音波発生用レーザ光GLのパルス繰り返し周波数は、使用するパルス出力のQスイッチNd:YAGレーザの特性に依存するが、10〜200Hz程度である。また、被検査体11の表面に照射されるレーザ光GLの照射角は、実用上は、面に対し垂直方向±30°以内程度である。これらは、特に限定されるものではない。
被検査体11の表面では、超音波発生用レーザ光GLが照射されることにより、急激な温度上昇がおこり、熱弾性効果によって、超音波が励起される。
超音波検出用レーザ光源31から出射された超音波検出用レーザ光DLは、上述のとおり、超音波発生用レーザ光GLの被検査体11上の照射位置と、同じ位置に照射される。
群速度がゼロとなる周波数の板波超音波は、板波超音波のエネルギーが被検査体内を伝搬せず、発生源となるレーザ光の照射位置で局所的に共振するので、超音波検出用レーザ光DLの照射位置を超音波発生用レーザ光GLの照射位置と一致させた場合、群速度がゼロの板波超音波の周波数を計測可能となる。
縦波も同様に、超音波発生用レーザ光GLの照射位置で局所的に共振するので、超音波検出用レーザ光DLの照射位置を超音波発生用レーザ光GLの照射位置と一致させた場合、縦波の周波数の計測が可能となる。
超音波検出用レーザ光DLは、超音波発生用レーザ光GLによって被検査体11上に生じた超音波によるドップラーシフトを受け波長が変化する。すなわち、超音波検出用レーザ光DLの反射光は、被検査体11上に生じた超音波の情報を有している。
この情報を、受信部41を介して、第一の処理部である周波数スペクトル算出部51a、第二の処理部である周波数ピーク同定算出部51b、第三の処理部であるポアソン比算出部51cを有する算出部51に入力し、ポアソン比を算出する。
必要に応じて、結果を出力する表示装置61を設けてもよい。
図7Bは、本発明の計測装置の他の例を示す図であり、受信部として、ファブリ・ペロー干渉計を用いる場合の計測装置の概略を示している。
図7Bの計測装置では、超音波検出用レーザ光源31から出射されたレーザ光DLは、偏光ビームスプリッタ(polarization beam splitter:以下「PBS」という)34aで、P偏光成分DLPは透過し、S偏光成分DLSは反射される。レーザ光DLのP偏光成分DLPはミラー32a、32bを介し、被検査体11の表面に照射される。
被検査体11に照射された超音波検出用レーザ光DLのP偏光成分DLPは、被検査体11に発生した超音波により、被検査体11の表面変位速度Vに応じて、ドップラーシフトΔf=2V/λを受け、反射される。λは超音波検出用レーザ光の波長である。
反射されたレーザ光は、集光レンズ33、ミラー32c、32dを介し、PBS34bを透過し、ファブリ・ペロー干渉計42へ入射される。
被検査体11に照射されるレーザ光DLのP偏光成分DLPの照射角は、特に限定されるものではないが、実用上は被検査体11の面に対し垂直方向±30°以内程度である。
一方、PBS34aで分けられた、レーザ光DLのS偏光成分DLSは、PBS34bで反射され、ファブリ・ペロー干渉計42へ入射される。
ファブリ・ペロー干渉計42に入射されるレーザ光DLのP偏光成分DLPは、被検査体11を伝播する超音波より受けたドップラーシフトの量、すなわち被検査体11の表面変位速度によってわずかに周波数が変化するが、これをファブリ・ペロー干渉計42を透過させることにより、相対的に大きな透過光強度の変化に変換する。
そして、ファブリ・ペロー干渉計42を透過した、レーザ光DLのP偏光成分DLPの強度変化を計測することで、被検査体11の表面の振動状態を求めることができる。
ここで、ドップラーシフトΔfの大きさは、おおよそ0.01〜0.1Hz程度である。したがって、超音波検出用レーザ光源31は周波数安定性の高いレーザ光源を用いるのが好ましく、特に制限はしないが、周波数ドリフトが100Hz/s程度以下であることが好ましい。
また、ファブリ・ペロー干渉計42の透過特性は、FWHM(Full Width Half Max)が1〜10MHz程度、FSR(Free Spectral Range)が100MHz〜1GHz程度が好ましい。なお、FWHMとは、ある関数f(x)が、山形の局所的関数の形状を示している場合、f(x)がその最大値の半分の値以上の値となるxの範囲の幅値である。またFSRとは、自由スペクトル領域の略であり、隣り合った共振ピーク周波数値の差として定義される値である(図6を参照)。
レーザ光DLのS偏光成分DLSは、ファブリ・ペロー干渉計42から出射された後、PBS43で反射され、APD(アバランシェ・フォトダイオード)44aで、レーザ光の強度に応じた電気信号ES1に変換され、安定化回路45へ送られる。
APD44aに入射されるレーザ光DLのS偏光成分DLSの強度は、途中のレーザ光の経路が常に同一の状態にあるので、変化することはないはずである。強度が変化したとすれば、ファブリ・ペロー干渉計42の共振器を構成する2つの反射ミラー(図示せず)間の距離が外部振動などの外乱により変化し、ファブリ・ペロー干渉計42の特性が変化した、又は、超音波検出用レーザ光源31の発振周波数に揺らぎが生じたなどの原因が考えられる。
その場合は、APD44aに入射されるレーザ光DLのS偏光成分DLSの強度が一定になるように、安定化回路45からの電気信号ES2により、ファブリ・ペロー干渉計42の反射ミラーが最適な位置になるように調整する。反射ミラーの位置の調整には、例えば、ピエゾ素子などを用いることができる。
レーザ光DLのP偏光成分DLPは、ファブリ・ペロー干渉計42から出射された後、PBS43を透過し、APD44bで電気信号ES3に変換され、算出部51へ送られる。
周波数スペクトル算出部51aで算出された強度波形は、例えば、図8のようになる。これを、周波数ピーク同定算出部51bでFFTにより処理すると、図9のようになる。
図9のそれぞれのピークの、となりのピークとの間隔(周波数)を求めると、図10のようになる。図10から、1番目のピークのみが、異なる成分であることが分かる。
そして、式1より、S1f=β1V/2dであり、図3Aに示すように、β1<1であるから、S1fは縦波の周波数よりも小さくなる。このことから、1番目のピークがS1fのものであり、他が縦波のものであることが分かる。
なお、式1と図3Aから分かるように、S1fを示すピークの近くに、1次の縦波の周波数を示すピークが観測されるはずだが、図9では、それがはっきりしない。これは、受信部としてファブリ・ペロー干渉計を用いた場合の、ファブリ・ペロー干渉計の周波数特性によるものである。
しかし、縦波の性質から、n次の縦波の周波数と、n+1次の縦波の周波数の差は、縦波の次数が増えても一定であり、その差はfと等しいから、1次の縦波周波数を示すピークが直接観測されないこと自体は、特に問題とはならない。もちろん、1次の縦波周波数が観測できる他の受信部を用いてもかまわない。
本発明においては、fは何次の縦波の周波数を示すピークから求めてもよい。3つ以上の次数の縦波を示すピークが観測できた場合は、それぞれの隣接する縦波との周波数の差の平均値を、fとしてもよい。
以下、実施例を用いて、本発明をより具体的に説明する。
図7Bに示した計測装置を用いて、鋼材のポアソン比を計測した。鋼材には、2mm厚のS55Cを用いた。
超音波発生用レーザ光源にはパルス出力の、Qスイッチ2倍波Nd:YAGレーザを使用し、超音波検出用レーザ光源にはパルス出力の、QスイッチNd:YAGレーザを使用した。計測条件は、表1に示す。
Figure 0005528385
超音波発生用レーザ光の被検査体上でのフルーエンスは、1.8mJ/mmとした。これは、アブレーションが生じない程度のエネルギーである。また、表1中の被検査体と検出系の距離は、被検査体と検出系の最短距離を意味し、図7Bの例では、被検査体11と、集光レンズ33との距離である。
計測の結果、図8に示す強度波形の超音波が観測され、その強度波形をFFT処理すると図9に示すようになり、それぞれのピークと隣のピークとの間隔は図10に示すようになった。この結果から、群速度ゼロの板波の周波数S1f=0.905MHz、縦波の共振周波数f=0.979MHzと求まり、図3Aから、ポアソン比νは0.287と算出された。
[比較例]
実施例において得られた結果が妥当であるかを調べるために、公知の方法である、アブレーションを利用した計測法で、ポアソン比νを算出した。比較例において、被検査体に照射されている超音波発生用のパルスレーザ光の強さは3.5mmJ/mmであり、これは、微小なアブレーションが生じる程度の強さである。
計測結果は、S1f=0.902、A2f=1.571となり、ポアソン比νは、0.291と算出された。
比較例において計測した、計測後の被検査体の表面を観察したところ、アブレーションによる照射痕が観察された。
以上の結果から、本発明による計測法を用いた計測結果と、従来法による計測結果はよく一致しており、本発明の計測法は、被検査体にレーザによる照射痕を生じさせることなく、適切な計測結果が得られたことが確認できた。
鋼材を、加熱炉で1000℃で保持した後取り出し、900℃程度から自然空冷しながら、本発明のポアソン比の計測方法により、0.2秒毎にポアソン比を計測した。
結果を、図11に示す。図11は、横軸が温度、縦軸がポアソン比を示している。すなわち、本実施例における測定は、右上にプロットされた点から、左下にプロットされた点へ順に測定されたものである。650℃付近は、変態域であり、変態熱により温度が上昇している。図11から、変態の前後で、温度とポアソン比の関係が変化していることが分かる。
計測後の被検査体を観察したところ、レーザ光照射による照射痕は観察されなかった。
以上、実施例を用いて本発明を説明したが、本発明の実施の態様は上記の実施例に制限されるものでないことは、いうまでもない。
本発明によれば、レーザ超音波法において、熱弾性効果を利用して超音波励起し、対象物の表面にレーザによる照射痕を生じさせることなくポアソン比が算出できるので、種々の材料の非破壊検査に適用可能である。
さらに、本発明は、非破壊、非接触式の計測方法であるから、本発明を、例えば金属の製造プロセス中に適用することによって、オンラインで、製造中の実物のポアソン比などの物性値を計測することができ、製造中に直ちに、製造条件へフィードバックするなどの利用も可能である。
1 対象物
2 レーザ光
3 対象物の蒸発
4 超音波
5 温度上昇領域
6 超音波発生用レーザ光のパルス波形
7 超音波検出用レーザ光のパルス波形
8 超音波検出用レーザ光の連続波波形
9 超音波発生用レーザ光の照射スポット
10 超音波検出用レーザ光の照射スポット
11 被検査体
21 超音波発生用レーザ光源
22a、22b ミラー
23 フィルター
24 集光レンズ
31 超音波検出用レーザ光源
32a、32b、32c、32d ミラー
33 集光レンズ
34a、34b 偏光ビームスプリッタ
41 受信部
42 ファブリ・ペロー干渉計
43 偏光ビームスプリッタ
44a、44b アバランシェ・フォトダイオード
45 安定化回路
51 算出部
51a 周波数スペクトル算出部
51b 周波数ピーク同定算出部
51c ポアソン比算出部
61 表示装置
DL 超音波検出用レーザ光
DLP 超音波検出用レーザ光のP偏光成分
DLS 超音波検出用レーザ光のS偏光成分
GL 超音波発生用レーザ光

Claims (12)

  1. 被検査体のポアソン比を計測する方法であって、
    被検査体に超音波発生用パルス発振レーザ光を照射し、被検査体に超音波を発生させるステップと、
    前記被検査体に超音波発生用パルス発振レーザ光と波長の異なる超音波検出用レーザ光を照射するステップと、
    前記被検査体に超音波発生用パルス発振レーザ光を照射して発生した超音波の振動によりドップラーシフトを受けた前記超音波検出用レーザ光の反射光を受信し、前記ドップラーシフトの量に応じた強度の光を出力するステップと、
    前記ドップラーシフトの量に応じた強度の光を用いて、前記ドップラーシフトの量から前記被検査体に発生した超音波の強度波形を算出するステップと、
    前記超音波の強度波形の周波数解析を行い、前記被検査体に発生した群速度ゼロのS1モードの板波超音波の周波数、及び、縦波の共振周波数を算出するステップと、
    算出された群速度ゼロのS1モードの板波超音波の周波数、及び、縦波の共振周波数からポアソン比を算出するステップを備えることを特徴とするポアソン比の計測方法。
  2. 前記超音波検出用レーザ光は、パルス発振レーザ光であること特徴とする請求項1に記載のポアソン比の計測方法。
  3. 前記超音波検出用レーザ光のピーク出力が、100〜1000W、パルス幅が、50μs〜1msであることを特徴とする請求項2に記載のポアソン比の計測方法。
  4. 前記超音波発生用パルス発振レーザ光を前記被検査体に照射し超音波を発生させる際に、該超音波発生用パルス発振レーザ光を点状スポットで照射することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のポアソン比の計測方法。
  5. 前記超音波検出用レーザ光を、前記超音波発生用パルス発振レーザ光を照射する前記点状スポット域内に照射することを特徴とする請求項4に記載のポアソン比の計測方法。
  6. 前記被検査体に超音波発生用パルス発振レーザ光を照射して発生した超音波の振動によりドップラーシフトを受けた前記超音波検出用レーザ光を受信し、前記ドップラーシフトの量に応じた強度の光を出力する方法は、前記ドップラーシフトを受けた前記超音波検出用レーザ光を干渉計で干渉させ、該干渉計から該ドップラーシフトの量に応じた強度の光を出力する方法であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のポアソン比の計測方法。
  7. 被検査体のポアソン比を計測する装置であって、
    被検査体に超音波を発生させるための超音波発生用パルス発振レーザ光を照射する超音波発生用レーザ照射部と、
    前記被検査体に超音波発生用パルス発振レーザ光と波長の異なる超音波検出用レーザ光を照射する超音波検出用レーザ照射部と、
    前記被検査体に超音波発生用パルス発振レーザ光を照射して発生した超音波の振動によりドップラーシフトを受けた前記超音波検出用レーザ光の反射光を受信し、前記ドップラーシフトの量に応じた強度の光を出力する受信部と、
    前記ドップラーシフトの量に応じた強度の光を用いて、前記ドップラーシフトの量から前記被検査体に発生した超音波の強度波形を算出する第一の処理部と、
    前記超音波の強度波形の周波数解析を行い、前記被検査体に発生した群速度ゼロのS1モードの板波超音波の周波数、及び、縦波の共振周波数を算出する第二の処理部と、
    算出された群速度ゼロのS1モードの板波超音波の周波数、及び、縦波の共振周波数からポアソン比を算出する第三の処理部を備えることを特徴とするポアソン比の計測装置。
  8. 前記超音波検出用レーザ照射部は、パルス発振レーザ光源を備えること特徴とする請求項7に記載のポアソン比の計測装置。
  9. 前記パルス発振レーザ光源は、ピーク出力が、100〜1000W、パルス幅が、50μs〜1msのレーザ光を照射できることを特徴とする請求項8に記載のポアソン比の計測装置。
  10. 前記超音波発生用レーザ照射部は、被検査体の表面に点状スポットでパルス発振レーザ光を照射することができることを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載のポアソン比の計測装置。
  11. 前記超音波検出用レーザ照射部は、前記超音波発生用レーザ照射部が被検査体の表面に照射したパルス発振レーザ光の点状スポット域内にレーザ光を照射することができることを特徴とする請求項10に記載のポアソン比の計測装置。
  12. 前記受信部は、前記被検査体に超音波発生用パルス発振レーザ光を照射して発生した超音波の振動によりドップラーシフトを受けた前記超音波検出用レーザ光を入力して干渉させ、ドップラーシフトの量に応じた強度の光を出力する干渉計であることを特徴とする請求項7〜11のいずれか1項に記載のポアソン比の計測装置。
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