JP2004271493A - レーザ振動計 - Google Patents
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Abstract
【課題】光学系及び信号処理系を簡略化し、装置全体を小型軽量化した半導体レーザデジタル振動計測装置を提供することを目的とする
【解決手段】レーザ発振周波数が固定された半導体レーザと、前記半導体レーザダイオード(LD)1の射出光を被測定物体3の表面に照射し、その反射光の一部が戻り光として前記半導体レーザに結合するように配置された光学素子(LE)2と、前記被測定物体3の振動変位に関係して生じる半導体レーザの出力の変化を検出する受光素子(PD)4とを有する光学ヘッド部分と、前記半導体レーザに電流を供給する働きと、前記受光素子出力から信号成分を増幅する働きを併せ持つ回路(A)7と、該増幅部の出力をAD変換するAD変換機18と、ドプラビート波の波数を計数する働きと、前記増幅部の出力から変位方向を判別し前記カウンタ部の加算と減算を切り換える信号を取り出す方向判別の働きと、前記カウンタ部の計数値を記憶し前記振動変位を演算する働きを併せ持つ回路(B)11とから構成した
【選択図】図1
【解決手段】レーザ発振周波数が固定された半導体レーザと、前記半導体レーザダイオード(LD)1の射出光を被測定物体3の表面に照射し、その反射光の一部が戻り光として前記半導体レーザに結合するように配置された光学素子(LE)2と、前記被測定物体3の振動変位に関係して生じる半導体レーザの出力の変化を検出する受光素子(PD)4とを有する光学ヘッド部分と、前記半導体レーザに電流を供給する働きと、前記受光素子出力から信号成分を増幅する働きを併せ持つ回路(A)7と、該増幅部の出力をAD変換するAD変換機18と、ドプラビート波の波数を計数する働きと、前記増幅部の出力から変位方向を判別し前記カウンタ部の加算と減算を切り換える信号を取り出す方向判別の働きと、前記カウンタ部の計数値を記憶し前記振動変位を演算する働きを併せ持つ回路(B)11とから構成した
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体レーザを用いて振動する物体の変位を測定する半導体レーザデジタル振動計測装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の振動計測装置には半導体レーザドプラ速度計を用いたものと、ヘリウムネオンレーザを用いたものとがあり、半導体レーザドプラ速度計を用いた振動計測装置は,ヘリウムネオンレーザを用いた装置に比べて光学系が簡単である。ここで、半導体レーザを用いた振動計測装置の一例を挙げ簡単に説明する。
【0003】図3は変形トワイマン・グリーン干渉系を用いた従来型の振動計測装置のブロック図,図4は図3に示した振動測定装置を説明するための図である。図3において、半導体レーザダイオード(LD)1からの光周波数ωcの出射光は、光周波数シフタ15によりそのまま直進する光と一定の周波数ωbだけ周波数偏移した局発光に分けられ,光分岐器(BS)40に向けて出射される。そして光分岐器(BS)13を透過して被測定物体3で反射し被測定物体3の振動によりドプラ周波数偏移した戻り光と、光分岐器(BS)13、鏡14で反射した戻り局発光とを光分岐器(BS)13から外部のホトダイオード(PD)4に取り込み、ヘテロダイン混合することによって、図4(a)に示すようにドプラビート信号を得ている。その周波数がωbを中心として変化するドップラビート周波数を図4(b)に示す。そのビート信号を中心周波数ωbの電気的な周波数弁別器17で変換し図4(c)に示すようにドップラビート周波数bと同じ位相で振動周波数ωsで振動している被測定物体に比例したアナログ信号を得る。これをAD変換器18で数値化した後、演算処理回路8で積分することで図4(x)に示すように90°位相のずれた変位波形を得、さらに高速フーリエ変換(FFT)処理をすることでスペクトル解析を行なっている。
【0004】上記、変形トワイマン・グリーン干渉系を用いた従来型の振動計測装置の他にも、一例としてレーザ発振周波数が固定された半導体レーザと、前記半導体レーザに電流を供給する駆動回路と、前記半導体レーザの射出光を被測定物体の表面に照射し、その反射光の一部が戻り光として前記半導体レーザに結合するように配置された光学素子と、前記被測定物体の振動変位に関係して生じる半導体レーザの出力の変化を検出する受光素子と、前記受光素子出力から信号成分を増幅する増幅回路と、該増幅回路の出力のドプラビート波の波数を計数するカウンタ回路と、前記増幅部の出力から変位方向を判別し前記カウンタ部の加算と減算を切り換える信号を取り出す方向判別回路と、前記カウンタ部の計数値を記憶し前記振動変位を演算する演算処理回路とから構成された戻り光を利用した半導体レーザデジタル振動計測装置もある。図5にその回路構成をしめす。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、変形トワイマン・グリーン干渉系の測定原理による振動計測装置の特徴は、光学系の部分で周波数シフタ15と光分岐路(BS)13及び鏡14を用いているので、ヘリウムネオンレーザを用いた装置に比べて光学系が簡単であるとはいうものの、光学ヘッド部分が大きくなるのが問題である。さらに、LD駆動回路12、周波数弁別器17とAD変換器18と演算処理回路10が必要であり、信号処理系の回路も複雑になるという問題がある。
【0006】戻り光を利用した半導体レーザデジタル振動計測装置においては、変形トワイマン・グリーン干渉系の測定原理による振動計測装置と比べて光学ヘッド部分は小さくでき、信号処理系の回路も簡素化できるものの、光学ヘッド、駆動回路、増幅回路、カウンタ回路、方向判別回路、演算処理回路と複数の回路で構成しなければならないこと、それぞれの回路用に電源を有する必要があることから、装置全体を小型化することができないという問題がある。電源部が複数あることで、ノイズの発生源も多くなり、装置に及ぼすノイズの影響も大きくなる、また、個々の電源回路に電源供給が必要となるため、消費電力が増加してしまうという問題も生ずる。
【0007】上記の方向判別回路内では、固定した閾値を基準にアナログ信号の処理を行なっているため、ホトダイオード(PD)4からのアナログ信号にドプラビート波が表れていても、半導体レーザダイオード(LD)1に供給する電流が不安定な場合や、被測定物体3の測定面の状態により反射率が低く戻り光の光量が低い場合など、インプット信号が上記閾値に達しない条件下では、方向判別が不可能で、ドプラビート波の検出ができない。
【0008】本発明は、上記の課題を解決するものであって、光学系及び信号処理系を簡略化し、装置全体を小型軽量化した半導体レーザデジタル振動計測装置を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】そのために本発明は、半導体レーザを用いて振動する物体の変位を測定する半導体レーザデジタル振動計測装置であって、レーザ発振周波数が固定された半導体レーザと、前記半導体レーザの射出光を被測定物体の表面に照射し、その反射光の一部が戻り光として前記半導体レーザに結合するように配置された光学素子と、前記被測定物体の振動変位に関係して生じる半導体レーザの出力の変化を検出する受光素子とを有する光学ヘッド部分と、前記半導体レーザに電流を供給する働きと、前記受光素子出力から信号成分を増幅する働きを併せ持つ回路Aと、該増幅部の出力をAD変換するAD変換機と、ドプラビート波の波数を計数する働きと、前記増幅部の出力から変位方向を判別し前記カウンタ部の加算と減算を切り換える信号を取り出す方向判別の働きと、前記カウンタ部の計数値を記憶し前記振動変位を演算する働きを併せ持つ回路Bとから構成したことを特徴とする半導体レーザデジタル振動計測装置。
【0010】
【作用】本発明の半導体レーザデジタル振動計測装置では、レーザ発振周波数が固定された半導体レーザと、前記半導体レーザに電流を供給する駆動回路と、前記半導体レーザの射出光を被測定物体の表面に照射し、その反射光の一部が戻り光として前記半導体レーザに結合するように配置された光学素子と、前記被測定物体の振動変位に関係して生ずる半導体レーザの出力の変化を検出する受光素子で構成したので、光学系の部分で周波数シフタと光分岐路及び鏡を用いずに構成することができ、光学系の構成を簡素化することができる。また、信号処理部分を半導体レーザに電流を供給する働きと、前記受光素子出力から信号成分を増幅する働きを併せ持つ回路Aと、該増幅部の出力をAD変換するAD変換機と、ドプラビート波の波数を計数する働きと、前記増幅部の出力から変位方向を判別し前記カウンタ部の加算と減算を切り換える信号を取り出す方向判別の働きと、前記カウンタ部の計数値を記憶し前記振動変位を演算する働きを併せ持つ回路Bとから構成したので、回路構成を簡素化することができる。
【0011】
【実施例】本発明の実施例を説明する。図1は本発明の半導体レーザデジタル振動変位計測装置の実施例を示すブロック図、図2は図1に示す実施例の動作を説明するための波形図である。
【0012】図1において、半導体レーザダイオード(LD)1は、レーザ発振周波数は固定され、駆動/増幅回路7の半導体レーザダイオード駆動部5からの注入電流でレーザ発光するものであり、注入電流は、一定の直流電流である。光学素子(LE)2は、半導体レーザダイオード(LD)1の射出光を被測定物体3の表面に照射し、その反射光の一部が戻り光として半導体レーザダイオード(LD)1に結合するように配置されたものである。受光素子(PD)4は、被測定物体3の振動変位に関係して生ずる半導体レーザの出力の変化を検出するものである。駆動/増幅回路7の増幅部6は、受光素子(PD)4の出力から信号成分を増幅するものである。演算処理回路11のカウンタ部9はAD変換機18の出力のドプラビート波の波数を計数するものである。演算処理回路11の方向判別部8は、AD変換機18の出力から変位方向を判別しカウンタ部9の加算と減算を切り換える信号を取り出すものである。演算処理回路11の演算処理部10は、カウンタ部9の計数値を記憶し被測定物体3の振動変位を演算するものである。
【0013】次に、動作を説明する。半導体レーザダイオード(LD)1の射出光は、前方へ光学素子(LE)2を通して被測定物体3に照射され、そこからドプラ周波数偏移した反射光の一部が半導体レーザダイオード(LD)1に戻り光として帰還し、自己混合効果を発生させる。そして、半導体レーザダイオード(LD)1の後方への出射光は、ドプラビート信号による出力変動として、受光素子(PD)4で電気信号に変換され、駆動/増幅回路7の増幅部6により増幅される。このドプラビート信号は、図2(a)に示すような波形となり、自己混合効果により変位の方向に応じてのビート波の傾きは逆転する。そのビート波の傾きより方向を判別する演算処理回路11の方向判別部8の出力電圧は、図2(b)に示すように矩形となるので、その方向判別信号によりドプラビート波の演算処理回路11のカウンタ部9のモードを増加または減少とを切り換えることによって、図2(n)に示すような増減する計数値信号を生成する。
【0014】計数値nと変位xとの関係式は、λをレーザ発振波長とすると、
【0015】
【数1】x=(λ/2)・n
と表されるので、この計数値信号(n)は、取り込まれた演算処理回路11の演算処理部10で直ちに図2(x)のような変位情報として得られる。
【0016】図3は小型ラウドスピーカ表面の変位振動波形を実測した一例を示す図であり、(a)はドプラビート波の計測値波形を示す図、(b)はドプラビート波の計数値を演算処理し変位変換した結果を示す図、(c)はドプラビート波の計数値をFFT処理した結果を示す図である。
【0017】本発明によるデジタル振動変位計測装置は小型で低コストである特徴を有するが、精度は、光波の半波長を振動振幅で除した数値にほぼ等しいので、大振幅になるほど精度が良くなる。
【0018】なお、本発明は上記の実施例に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば上記の実施例では、振動変位を計測したが、振動変位を微分して速度を検出してもよいし、振動変位を2回微分して加速度を検出してもよいし、振動変位をフーリエ変換処理して周波数スペクトルを求め振動を解析するように構成してもよい。
【0019】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明によれば、自己混合効果を利用した振動変位計測装置において、光学系は半導体レーザダイオード・受光素子の他にレンズのみで済み、前記半導体レーザに電流を供給する働きと、前記受光素子出力から信号成分を増幅する働きを併せ持つ駆動/増幅回路である回路Aと、該増幅部の出力をAD変換するAD変換機と、AD変換機の出力からドップラビート波の波数を計数する働きと、変位方向を判別し加算と減算を切り換える信号を取り出す方向判別の働きと、前記カウンタ部の計数値を記憶し前記振動変位を演算する働きを併せ持つ演算処理回路である回路Bとし、特に電源関係の部品の共通化を図ったことで、変形トワイマン・グリーン干渉系の測定原理による振動計測装置、戻り光を利用した振動計測装置で駆動回路、増幅回路、カウンタ回路、方向判別回路、演算処理回路を別々の回路として構成した場合、と比べて回路構成を簡素化することができ、ハード部分の大きさを半分以下にすることが可能となり、装置本体を大幅に小型軽量化することができる。
【0020】また、前記戻り光を利用した振動計測装置と比べ、回路の電源部分を共通化したことでノイズが回路に及ぼす影響を大幅に削減でき、ノイズ対策のための構成部品も削減できる。電源の共通化は複数の被測定物体の振動計測を行なう場合にも、有効である。
【0021】なお、上記回路Bにおいて、AD変換機の出力からドプラビート波の波数を計数する働きと、変位方向を判別し加算と減算を切り換える信号を取り出す方向判別の働きと、前記カウンタ部の計数値を記憶し前記振動変位を演算する働きを、ひとつの回路で処理するため、演算処理部分をコンピュータプログラム言語によるプログラムソフト化することができ、また、回路Bを市販されている汎用パーソナルコンピュータへの置き換えも可能となる。
【0022】上記、演算処理部分をコンピュータ言語に置き換えることによる特徴的な効果は、ホトダイオード(PD)4からのアナログ信号をAD変換器によりデジタル信号に変換し、コンピュータプログラム言語によるプログラミングにより、閾値を自動で設定し方向判別処理を実行することで、半導体レーザダイオード(LD)1に供給する電流が不安定な場合や、被測定物体3の測定面の状態により反射率が低く戻り光の光量が低い場合でも、ドプラビート波の検出が可能となる。
【0023】その他、ハード回路から、コンピュータ言語に置き換えることで次のような効果があげられる。
・ フィルター、FFT解析等の設定が容易になり、測定範囲、精度が向上する
・ 多チャンネル測定が可能になる
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の半導体レーザデジタル振動計測装置の実施例を示すブロック図である。
【図2】図1に示す実施例の動作を説明するための波形図である。
【図3】変形トワイマン・グリーン干渉系を用いた従来型の振動測定装置のブロック図である。
【図4】図3に示した振動測定装置を説明するための図である。
【図5】戻り光を利用した従来型の振動測定装置のブロック図である。
【符号の簡単な説明】
1. 半導体レーザダイオード
2. 光学素子
3. 被測定物体
4. 受光素子
7. 回路A
11. 回路B
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体レーザを用いて振動する物体の変位を測定する半導体レーザデジタル振動計測装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の振動計測装置には半導体レーザドプラ速度計を用いたものと、ヘリウムネオンレーザを用いたものとがあり、半導体レーザドプラ速度計を用いた振動計測装置は,ヘリウムネオンレーザを用いた装置に比べて光学系が簡単である。ここで、半導体レーザを用いた振動計測装置の一例を挙げ簡単に説明する。
【0003】図3は変形トワイマン・グリーン干渉系を用いた従来型の振動計測装置のブロック図,図4は図3に示した振動測定装置を説明するための図である。図3において、半導体レーザダイオード(LD)1からの光周波数ωcの出射光は、光周波数シフタ15によりそのまま直進する光と一定の周波数ωbだけ周波数偏移した局発光に分けられ,光分岐器(BS)40に向けて出射される。そして光分岐器(BS)13を透過して被測定物体3で反射し被測定物体3の振動によりドプラ周波数偏移した戻り光と、光分岐器(BS)13、鏡14で反射した戻り局発光とを光分岐器(BS)13から外部のホトダイオード(PD)4に取り込み、ヘテロダイン混合することによって、図4(a)に示すようにドプラビート信号を得ている。その周波数がωbを中心として変化するドップラビート周波数を図4(b)に示す。そのビート信号を中心周波数ωbの電気的な周波数弁別器17で変換し図4(c)に示すようにドップラビート周波数bと同じ位相で振動周波数ωsで振動している被測定物体に比例したアナログ信号を得る。これをAD変換器18で数値化した後、演算処理回路8で積分することで図4(x)に示すように90°位相のずれた変位波形を得、さらに高速フーリエ変換(FFT)処理をすることでスペクトル解析を行なっている。
【0004】上記、変形トワイマン・グリーン干渉系を用いた従来型の振動計測装置の他にも、一例としてレーザ発振周波数が固定された半導体レーザと、前記半導体レーザに電流を供給する駆動回路と、前記半導体レーザの射出光を被測定物体の表面に照射し、その反射光の一部が戻り光として前記半導体レーザに結合するように配置された光学素子と、前記被測定物体の振動変位に関係して生じる半導体レーザの出力の変化を検出する受光素子と、前記受光素子出力から信号成分を増幅する増幅回路と、該増幅回路の出力のドプラビート波の波数を計数するカウンタ回路と、前記増幅部の出力から変位方向を判別し前記カウンタ部の加算と減算を切り換える信号を取り出す方向判別回路と、前記カウンタ部の計数値を記憶し前記振動変位を演算する演算処理回路とから構成された戻り光を利用した半導体レーザデジタル振動計測装置もある。図5にその回路構成をしめす。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、変形トワイマン・グリーン干渉系の測定原理による振動計測装置の特徴は、光学系の部分で周波数シフタ15と光分岐路(BS)13及び鏡14を用いているので、ヘリウムネオンレーザを用いた装置に比べて光学系が簡単であるとはいうものの、光学ヘッド部分が大きくなるのが問題である。さらに、LD駆動回路12、周波数弁別器17とAD変換器18と演算処理回路10が必要であり、信号処理系の回路も複雑になるという問題がある。
【0006】戻り光を利用した半導体レーザデジタル振動計測装置においては、変形トワイマン・グリーン干渉系の測定原理による振動計測装置と比べて光学ヘッド部分は小さくでき、信号処理系の回路も簡素化できるものの、光学ヘッド、駆動回路、増幅回路、カウンタ回路、方向判別回路、演算処理回路と複数の回路で構成しなければならないこと、それぞれの回路用に電源を有する必要があることから、装置全体を小型化することができないという問題がある。電源部が複数あることで、ノイズの発生源も多くなり、装置に及ぼすノイズの影響も大きくなる、また、個々の電源回路に電源供給が必要となるため、消費電力が増加してしまうという問題も生ずる。
【0007】上記の方向判別回路内では、固定した閾値を基準にアナログ信号の処理を行なっているため、ホトダイオード(PD)4からのアナログ信号にドプラビート波が表れていても、半導体レーザダイオード(LD)1に供給する電流が不安定な場合や、被測定物体3の測定面の状態により反射率が低く戻り光の光量が低い場合など、インプット信号が上記閾値に達しない条件下では、方向判別が不可能で、ドプラビート波の検出ができない。
【0008】本発明は、上記の課題を解決するものであって、光学系及び信号処理系を簡略化し、装置全体を小型軽量化した半導体レーザデジタル振動計測装置を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】そのために本発明は、半導体レーザを用いて振動する物体の変位を測定する半導体レーザデジタル振動計測装置であって、レーザ発振周波数が固定された半導体レーザと、前記半導体レーザの射出光を被測定物体の表面に照射し、その反射光の一部が戻り光として前記半導体レーザに結合するように配置された光学素子と、前記被測定物体の振動変位に関係して生じる半導体レーザの出力の変化を検出する受光素子とを有する光学ヘッド部分と、前記半導体レーザに電流を供給する働きと、前記受光素子出力から信号成分を増幅する働きを併せ持つ回路Aと、該増幅部の出力をAD変換するAD変換機と、ドプラビート波の波数を計数する働きと、前記増幅部の出力から変位方向を判別し前記カウンタ部の加算と減算を切り換える信号を取り出す方向判別の働きと、前記カウンタ部の計数値を記憶し前記振動変位を演算する働きを併せ持つ回路Bとから構成したことを特徴とする半導体レーザデジタル振動計測装置。
【0010】
【作用】本発明の半導体レーザデジタル振動計測装置では、レーザ発振周波数が固定された半導体レーザと、前記半導体レーザに電流を供給する駆動回路と、前記半導体レーザの射出光を被測定物体の表面に照射し、その反射光の一部が戻り光として前記半導体レーザに結合するように配置された光学素子と、前記被測定物体の振動変位に関係して生ずる半導体レーザの出力の変化を検出する受光素子で構成したので、光学系の部分で周波数シフタと光分岐路及び鏡を用いずに構成することができ、光学系の構成を簡素化することができる。また、信号処理部分を半導体レーザに電流を供給する働きと、前記受光素子出力から信号成分を増幅する働きを併せ持つ回路Aと、該増幅部の出力をAD変換するAD変換機と、ドプラビート波の波数を計数する働きと、前記増幅部の出力から変位方向を判別し前記カウンタ部の加算と減算を切り換える信号を取り出す方向判別の働きと、前記カウンタ部の計数値を記憶し前記振動変位を演算する働きを併せ持つ回路Bとから構成したので、回路構成を簡素化することができる。
【0011】
【実施例】本発明の実施例を説明する。図1は本発明の半導体レーザデジタル振動変位計測装置の実施例を示すブロック図、図2は図1に示す実施例の動作を説明するための波形図である。
【0012】図1において、半導体レーザダイオード(LD)1は、レーザ発振周波数は固定され、駆動/増幅回路7の半導体レーザダイオード駆動部5からの注入電流でレーザ発光するものであり、注入電流は、一定の直流電流である。光学素子(LE)2は、半導体レーザダイオード(LD)1の射出光を被測定物体3の表面に照射し、その反射光の一部が戻り光として半導体レーザダイオード(LD)1に結合するように配置されたものである。受光素子(PD)4は、被測定物体3の振動変位に関係して生ずる半導体レーザの出力の変化を検出するものである。駆動/増幅回路7の増幅部6は、受光素子(PD)4の出力から信号成分を増幅するものである。演算処理回路11のカウンタ部9はAD変換機18の出力のドプラビート波の波数を計数するものである。演算処理回路11の方向判別部8は、AD変換機18の出力から変位方向を判別しカウンタ部9の加算と減算を切り換える信号を取り出すものである。演算処理回路11の演算処理部10は、カウンタ部9の計数値を記憶し被測定物体3の振動変位を演算するものである。
【0013】次に、動作を説明する。半導体レーザダイオード(LD)1の射出光は、前方へ光学素子(LE)2を通して被測定物体3に照射され、そこからドプラ周波数偏移した反射光の一部が半導体レーザダイオード(LD)1に戻り光として帰還し、自己混合効果を発生させる。そして、半導体レーザダイオード(LD)1の後方への出射光は、ドプラビート信号による出力変動として、受光素子(PD)4で電気信号に変換され、駆動/増幅回路7の増幅部6により増幅される。このドプラビート信号は、図2(a)に示すような波形となり、自己混合効果により変位の方向に応じてのビート波の傾きは逆転する。そのビート波の傾きより方向を判別する演算処理回路11の方向判別部8の出力電圧は、図2(b)に示すように矩形となるので、その方向判別信号によりドプラビート波の演算処理回路11のカウンタ部9のモードを増加または減少とを切り換えることによって、図2(n)に示すような増減する計数値信号を生成する。
【0014】計数値nと変位xとの関係式は、λをレーザ発振波長とすると、
【0015】
【数1】x=(λ/2)・n
と表されるので、この計数値信号(n)は、取り込まれた演算処理回路11の演算処理部10で直ちに図2(x)のような変位情報として得られる。
【0016】図3は小型ラウドスピーカ表面の変位振動波形を実測した一例を示す図であり、(a)はドプラビート波の計測値波形を示す図、(b)はドプラビート波の計数値を演算処理し変位変換した結果を示す図、(c)はドプラビート波の計数値をFFT処理した結果を示す図である。
【0017】本発明によるデジタル振動変位計測装置は小型で低コストである特徴を有するが、精度は、光波の半波長を振動振幅で除した数値にほぼ等しいので、大振幅になるほど精度が良くなる。
【0018】なお、本発明は上記の実施例に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば上記の実施例では、振動変位を計測したが、振動変位を微分して速度を検出してもよいし、振動変位を2回微分して加速度を検出してもよいし、振動変位をフーリエ変換処理して周波数スペクトルを求め振動を解析するように構成してもよい。
【0019】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明によれば、自己混合効果を利用した振動変位計測装置において、光学系は半導体レーザダイオード・受光素子の他にレンズのみで済み、前記半導体レーザに電流を供給する働きと、前記受光素子出力から信号成分を増幅する働きを併せ持つ駆動/増幅回路である回路Aと、該増幅部の出力をAD変換するAD変換機と、AD変換機の出力からドップラビート波の波数を計数する働きと、変位方向を判別し加算と減算を切り換える信号を取り出す方向判別の働きと、前記カウンタ部の計数値を記憶し前記振動変位を演算する働きを併せ持つ演算処理回路である回路Bとし、特に電源関係の部品の共通化を図ったことで、変形トワイマン・グリーン干渉系の測定原理による振動計測装置、戻り光を利用した振動計測装置で駆動回路、増幅回路、カウンタ回路、方向判別回路、演算処理回路を別々の回路として構成した場合、と比べて回路構成を簡素化することができ、ハード部分の大きさを半分以下にすることが可能となり、装置本体を大幅に小型軽量化することができる。
【0020】また、前記戻り光を利用した振動計測装置と比べ、回路の電源部分を共通化したことでノイズが回路に及ぼす影響を大幅に削減でき、ノイズ対策のための構成部品も削減できる。電源の共通化は複数の被測定物体の振動計測を行なう場合にも、有効である。
【0021】なお、上記回路Bにおいて、AD変換機の出力からドプラビート波の波数を計数する働きと、変位方向を判別し加算と減算を切り換える信号を取り出す方向判別の働きと、前記カウンタ部の計数値を記憶し前記振動変位を演算する働きを、ひとつの回路で処理するため、演算処理部分をコンピュータプログラム言語によるプログラムソフト化することができ、また、回路Bを市販されている汎用パーソナルコンピュータへの置き換えも可能となる。
【0022】上記、演算処理部分をコンピュータ言語に置き換えることによる特徴的な効果は、ホトダイオード(PD)4からのアナログ信号をAD変換器によりデジタル信号に変換し、コンピュータプログラム言語によるプログラミングにより、閾値を自動で設定し方向判別処理を実行することで、半導体レーザダイオード(LD)1に供給する電流が不安定な場合や、被測定物体3の測定面の状態により反射率が低く戻り光の光量が低い場合でも、ドプラビート波の検出が可能となる。
【0023】その他、ハード回路から、コンピュータ言語に置き換えることで次のような効果があげられる。
・ フィルター、FFT解析等の設定が容易になり、測定範囲、精度が向上する
・ 多チャンネル測定が可能になる
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の半導体レーザデジタル振動計測装置の実施例を示すブロック図である。
【図2】図1に示す実施例の動作を説明するための波形図である。
【図3】変形トワイマン・グリーン干渉系を用いた従来型の振動測定装置のブロック図である。
【図4】図3に示した振動測定装置を説明するための図である。
【図5】戻り光を利用した従来型の振動測定装置のブロック図である。
【符号の簡単な説明】
1. 半導体レーザダイオード
2. 光学素子
3. 被測定物体
4. 受光素子
7. 回路A
11. 回路B
Claims (1)
- 半導体レーザを用いて振動する物体の変位を測定する半導体レーザデジタル振動計測装置であって、レーザ発振周波数が固定された半導体レーザと、前記半導体レーザの射出光を被測定物体の表面に照射し、その反射光の一部が戻り光として前記半導体レーザに結合するように配置された光学素子と、前記被測定物体の振動変位に関係して生じる半導体レーザの出力の変化を検出する受光素子とを有する光学ヘッド部分と、前記半導体レーザに電流を供給する働きと、前記受光素子出力から信号成分を増幅する働きを併せ持つ回路Aと、該増幅部の出力をAD変換するAD変換機と、ドプラビート波の波数を計数する働きと、前記増幅部の出力から変位方向を判別し前記カウンタ部の加算と減算を切り換える信号を取り出す方向判別の働きと、前記カウンタ部の計数値を記憶し前記振動変位を演算する働きを併せ持つ回路Bとから構成したことを特徴とする半導体レーザデジタル振動計測装置。
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JP2012083274A (ja) * | 2010-10-14 | 2012-04-26 | High Energy Accelerator Research Organization | 白色干渉法による振動測定装置及び振動測定方法 |
KR20200075965A (ko) * | 2018-12-18 | 2020-06-29 | 한국광기술원 | 레이저를 이용한 비접촉식 진동 측정 장치 |
CN113063484A (zh) * | 2021-03-31 | 2021-07-02 | 中煤科工集团重庆研究院有限公司 | 一种振动识别放大方法 |
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2003
- 2003-03-10 JP JP2003109633A patent/JP2004271493A/ja active Pending
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